今日も今日とて俺は、セイバートロン星は『
だけど俺は、これでもセイバートロン星最大勢力にして、サイバトロンとデストロンの均衡を保っている中立勢力NAILの、そのトップだ。リーダーだ。先々に重要になる代物だからと言って、それにかまけて目先の事を放置するわけにもいかないんだ。
いや、目先の事よりも将来を見据えろって意見も、無いわけじゃないだろう。だけど卑近の事象を大事にせずに、遠くばかり眺めて歩いて、足元にある石に
俺がこければ、NAILがこける。NAILがこければ、サイバトロンとデストロン主流派がこける。セイバートロン星3勢力がこければ、セイバートロン星がこける。セイバートロン星がこければ、地球やら惑星パラドロンやら惑星ジャンキオンやら、連携してる星々がこける。喜ぶのはガルバトロン派だけだ。
そんなわけで、今日も今日とて俺は事務仕事とか、色んな
「ふう……。スカイファイアーたちの研究は、進んでるのか? ルナクローバー」
「はい! 今日、日付が変わった頃にようやく新合金の精製に成功したそうです!」
「そうか! やったか!」
「ただ……。今の技術ですと、実験室内での少量の精製がやっとだそうで。今後は、大量生産できる様に生産技術を煮詰めなければならないって話でした。実用化には、まだまだ時間が必要みたいです」
「それは……。残念だな。いや、今後に期待か」
そうかー。新合金の実用化には、まだまだ時間が必要かー。いや、何の新合金かって言うと、強力な耐熱合金なんだ。『トランスフォーマー2010』の最終回で、人間や超ロボット生命体、その他の知性体かまわずに感染し、発症して狂暴化させる『宇宙ペスト』。その対策として、この耐熱合金を研究させてたんだよな。アニメでは地球人のグレゴリー・スワッフォード博士の研究成果なんだが。
まあ外装表面をコレでメッキできる、トランスフォーマーとかの超ロボット生命体じゃないと、意味の無い対策なんだが。これで表面をガードすれば、宇宙ペストは少なくともトランスフォーマーに感染はしない。そうすれば、抜本的、根本的な対策を取る余裕ができるってもんだ。
できる事ならやっぱり、サイバトロンのマトリクスには頼りたく無いんだよな。サイバトロンのマトリクスは、『宇宙ペスト』消滅のために使っちまうと全エネルギーと内部に蓄えられた『叡智の力』を失ってしまう。エネルギーは再度蓄える事ができても、『叡智の力』が失われるのは避けたいからなあ……。
宇宙ペストの根本対策として、ワクチンとか特効薬とかの研究もしたいけれど、病原体を手に入れないとソレは不可能だし。あれは種族とか関係なしで、耐熱合金除けば基本的に防護とか関係なしで感染しやがるし。だから、あえて病原体は捜索させてないんだよな。
それと最近、当のグレゴリー・スワッフォード博士とか、それ以外にもマーク・モーガン博士についても、地球に縁が深いサイバトロンを通じて探してもらっている。特にスワッフォード博士はアニメでは、コンボイとメガトロンの戦いに巻き込まれて顔に大怪我させられて、トランスフォーマー全体を恨んでるって事だったからな。
この世界でも、スワッフォード博士がトランスフォーマーを恨んでいた場合、宇宙ペストの病原体を手に入れて復讐に走りかねない。モーガン博士もアニメでは、娘がデストロンとサイバトロンの戦闘に巻き込まれて下半身不随になっちまって、トランスフォーマーを恨んでスワッフォード博士と組むんだよなあ。
そんなもんで、俺は万一に備えて有機生命体の再生医療に関しても、かなり大枚の金額を投資させているし、個人としても投資している。いや、有機生命体の再生医療は、俺たちトランスフォーマーは門外漢だからなあ。自前で研究するよりか、金出して研究してもらった方が早いんだ。一応、必要とあらば俺たちの科学技術も、きちんと提供しているんだが。
そんな事を考えていたら、突然壁のディスプレイ画面に通信が入る。サンダークラッカーからの連絡だ。
『スタースクリーム! 見つけたぜ! トランスオーガニックの封印場所だ!』
「見つけたか! 扱いには注意するんだぞ! 絶対に、目覚めさせるな!」
『わかってらい! トランスオーガニック、特にその親玉にエネルギーを吸われ尽したら、そいつの操り人形にされちまうんだろ? くわばら、くわばら。
しかし以前の瞬間凍結装置と言い、このトランスオーガニックと言い、クインテッサ星人はいったいどれだけのヤバい代物を、セイバートロン星に遺していきやがったんだか……』
トランスオーガニックとは、クインテッサ星人が超ロボット生命体の原型であるロボットたちを開発する以前に研究していた、有機生命体と機械を融合させた生命体の事だ。だがその研究は上手く行かず、他のあらゆる生き物、クインテッサ星人をも襲う恐るべき怪物を生み出しただけに終わったんだよな。
そしてクインテッサ星人は、そのトランスオーガニックをどうにかこうにか封印する事に成功した。トランスオーガニックの事は、セイバートロン星の地下深くに恐怖の化け物が住み着いているって言う都市伝説じみた噂話になってたんだよなあ……。
でも、トランスオーガニックを放置しておくわけにも行かないんだ。アニメだと、クインテッサ星人に
だもんで俺は、サンダークラッカーに捜索チームを作らせて、トランスオーガニックの封印場所を探させていたんだ。瞬間凍結装置のときは見つけるのに失敗して、ガルバトロンの阿呆にスイッチを入れさせちまったが……。今度は間に合ったな。
「計画では、そいつらの封印されてる
『壮大な宇宙のゴミ処理場、違うな、危険物処理場ってわけだ』
「そう言う事だ」
俺はその後、サンダークラッカーとその配下たちに事細かに指示し、そのあたりのブロックをセイバートロン星そのものから切り離す作業を行わせた。更にその辺り一帯の警戒レベルを上げ、ガルバトロン派の侵入に備えさせる。
いや、あの頭の悪いと言うか、
うん、やっぱりガルバトロンとクインテッサ星人どもはやって来た。ガルバトロン、また騙されてやがる。クインテッサ星人は、ガルバトロンを騙してトランスオーガニックを復活させ、セイバートロン星を壊滅させるつもりなんだ。
ちなみに俺は、その様子を現場近くの監視カメラの映像で、しっかり観ていたりする。
『この大昔の廃坑を辿っていけば、NAILの研究所の真下に出られる。そこでは新エネルギーの研究が行われている』
『その研究成果を奪取さえすれば、わしらデストロン軍団はよりいっそう戦力を充実させられる、と言うわけか。だが釘を刺しておくぞ? 貴様らクインテッサどもが、わしを騙そうとしているのなら……』
『我々クインテッサには、いろいろな人種がある。わしらが、お前を以前騙した様な者と同一の種族に見えるのかね?』
『……よかろう。者ども、いくぞ!』
『『『『『『ハイル! ガルバトロン!』』』』』』
まったく、この
『そこまでだ、ガルバトロン!』
『な、何っ! 貴様はサンダークラッカー!』
『馬鹿な、我々の計算では、発見されるはずが……』
『その廃坑の奥に封印されてたトランスオーガニックは、もう先日にきれいさっぱり始末済みだ。ガルバトロン、あんたもまたソイツらに騙されて、ご苦労さんなこったな?』
『な、なんだと!?』
そしてサンダークラッカーとプロテクティコン、更に彼らが率いるNAIL防衛軍一般軍人たちと、ガルバトロンと
まあ、ただじゃ逃がしゃしねえよ? 流石に現場に貼り付けていられる戦力には、限度があったけどよ。サイバトロン軍団とデストロン主流派にも急ぎ連絡を取って、追撃部隊を放ったんだ。ガルバトロンはスウィープスのうち2名ほどを見捨てて、なんとか逃げのびたけどな。
その2名のスウィープスは、とりあえず拘置所送りだ。この後行われる裁判の結果、おそらくは刑務所送りだろうな。ただこいつらの量刑がどのぐらいになるのかは、ちょっと分からないけどよ。一応ガルバトロンの親衛隊だからなあ。
ちなみにガルバトロンを騙したクインテッサ星人だが。あいつらは、きっちり捕まえる事に成功した。あいつらも拘置所に入れて裁判が待ってるんだが、どんだけ求刑されるやら。死刑判決とか、あいつらの場合は有り得るからなあ。これまでにやって来た事がやって来た事だし。
そして俺は、あいかわらず政務と軍司令官としての仕事で忙しい。ほんとはやりたい研究テーマとかあるんだがな。まあ、だけど超魂パワーとかの鍛錬は、なんとか時間ひねり出して頑張ってるけどよ。
そんなさなか、あるニュースが飛び込んで来る。エタクシス星とラナーク星は、何千年もの間、星間戦争を繰り広げていた。だがその戦争がエスカレートし、ちょっと他所にも影響しそうになって来てたんだ。
そんなわけで、巻き込まれそうな近隣星域の住人たちが、俺たちNAILに頼み込んで来たんだよな。何百万年にも渡ったセイバートロン星のグレートウォーを仲裁、調停して仲介を取り、サイバトロンとデストロンに講和条約を結ばせた実績のある俺たちに、力を貸してくれって。
ただなあ……。エタクシス星とラナーク星は、ちょっとなあ……。かつてのサイバトロンとデストロンと同じか、それ以上に喧嘩腰なんだ。しかも俺たちNAILは、ある意味サイバトロン軍団とデストロン軍団のどちらにも顔が利いた。だけどエタクシス星とラナーク星には、伝手が無えんだよ。どうしろって。
「こう言う時、証拠があればなあ……」
「何の証拠だい? スタースクリーム」
「いや、な、スカイファイアー。『例の情報』の中に、あったんだ。クインテッサ星人が両方の星に、武器をばら撒いて戦いを煽ってた、って証拠のデータを収めたカプセルが宇宙の何処かにあるって」
うん、『トランスフォーマー2010』のアニメ知識なんだけどな、情報源は。スカイファイアーもソレは知っている。
「ああ、なるほど。それが見つかれば、クインテッサ星人の陰謀を暴いて糾弾し、双方の惑星の怨恨を
「それで話を上手く持って行ければ、両方の星に和平は無理でも停戦ぐらいはさせられないかな、とな」
とりあえずこの仲介要請は、受けざるを得ない。受けなければ、NAILの信用に傷が付く。NAILは正義の味方じゃねえけどよ、だからと言って頼って来た者の手を振り払っちゃ、まずいんだよな。
とりあえず、両方の惑星に使者を出すかあ……。
……。
…………。
俺に研究をやらせろーーー!! って、この状況下じゃあそうも行かんのだよな。ちくしょう。
サイバトロンは元々民間人ですから、そう言う仕事ができる文官職だったサイバトロン戦士もけっこう居るんですがね。ちなみにオクトーンの下のデストロン主流派も、オクトーンが必死になって書類の山を捌いてます。
……ガルバトロン派、サイクロナスが居なければ今頃どうなってるかなあ。