惑星トーキュロンが壊滅した。何が何だか分からないかも知れないが、これはガルバトロン派の……と言うよりは、ガルバトロン個人の仕業だった。何が起きたかは、ガルバトロン派にカウンターパンチとして潜り込んでいる、スペースパンチの報告でだいたい判明している。
まあ、何と言うかガルバトロン派内部では、キ○ガイの様に暴れまくるだけのガルバトロンの異常性に、いい加減我慢の限界に来た者たちが多く居るのだ。中でもその中心人物は、メガトロンには絶対的な忠誠を尽くしていたスタントロン部隊参謀、モーターマスターだと言うのだから、何と言えば良いのか。
そしてそれに危惧を抱いたガルバトロン派No.2のサイクロナスが、ガルバトロンを騙して宇宙の精神病院星、惑星トーキュロンへ連れて行ったのだ。その裏に何やらクインテッサ星人も関与していた模様なのだが、そこら辺は良くわからない。しかし何にせよ、ガルバトロンは惑星トーキュロンで治療を受けた。
まあ、無駄だったんだがな。
そして惑星トーキュロンは、狂気をガルバトロンの精神ごと破壊しようとしたトーキュロン人医師に怒ったガルバトロンの手で、壊滅状態にさせられた。上手く復興したとしても、数百年は必要なありさまらしい。まあ、いくらなんでもソレは治療としては認められんだろう。
「そりゃあなあ……。あの
俺はユニクロン戦争の最終局面、ユニクロンの中で一瞬だけメガトロンの精神を取り戻した、あのときのガルバトロンを思い出す。思わずため息が出た。
「返す返すも……。あのとき、ガルバトロンのボディを再生不能になるまで、破壊し尽してりゃ良かったよ……。奴のためにも、な」
涙腺も無いのに、涙が出そうだった。憎くて、恨んでて、存在自体が許せなくて……。だけど、それでも
「けど、センチになってても仕方がねえな。オクトーンたちと話をしねえと。奴らも動いてはいるんだろうが……」
これはガルバトロン派を解体縮小する、大きなチャンスだ。少なくともモーターマスターとスタントロンをガルバトロン派から引っこ抜けるならば……。オクトーンと、その件についてホットラインで話さないといけないな。
それでもスタントロンどもが、俺たちNAILやサイバトロンと上手くやれるかって問題はあるんだが。まあ、サイバトロンとは上手くやれなくても、離して置いときゃどうにかなるんなら、それでいいんだがな。
嬉しい出来事があった。新規に多数の元サイバトロン、一部元デストロンのNAIL市民が、文官としてこちらのスカウトに応じてくれたんだ。さっそくこれまでの行政担当部署などに増員として配属する。いや、これで俺の負担も多少は減るだろう。
と言うか、NAILは建前上軍事政権じゃないんだよな。何故か俺に権限と責任が集中する仕組みになってるけど、この辺は徐々に変えていかないとイカン。今の段階だと、政治リーダーと軍事司令官双方を俺が兼ねざるを得ないんだがなあ。
悲しい出来事があった。例のエネルギー生命体トルネドロンの製作者……になるはずの天災科学者プリマクロンを発見したと言う情報が飛び込んで来たんだが、間一髪で逃げられてしまった。流石天災にして天才科学者だけあって、奴の宇宙船はステルス能力も凄まじいらしい。一向に再発見はできなかった。
まずい、本気でまずい。プリマクロンの奴がエネルギー生命体トルネドロンを完成させやがったら、立ち向かうどころか太刀打ちすらできやしねえ。とりあえずユニクロン製作の
それはそうと、エタクシス星とラナーク星の戦争なんだが。双方に使者を送って、このままだと双方共倒れになるぞと誠心誠意の説得を行った。結果、NAILの顔を潰して敵側に支援でもされたら大変だと、双方の惑星における国家主席同士が話し合いのテーブルに着いてくれる事になったんだ。
だけどウチの諜報主任シックスショットの調査結果によれば、エタクシス星もラナーク星も、どちらもチャンスがあれば相手の星を滅ぼしてしまおうと画策しているらしい。うん、たぶんどちらの惑星にも、クインテッサ星人が最終兵器であるオメガ爆弾、つまり
会談の日まで、あまり時間が無い。なんとか証拠を手に入れられないか。もし証拠が手に入れば、双方の怨みをクインテッサ星人に向ける事ができる。そうすれば、講和条約や和平は無理でも、なんとか停戦ぐらいは……。
その事で悩んでいた時だ。デストロン主流派総帥オクトーンが、ホットラインで呼び出しを掛けて来たのは。俺は急ぎ司令室から、指令室へと足を運ぶ。指令室の
『やあ、NAILリーダー、スタースクリーム殿。実はどうにも困ってしまってね……』
「何があったんだ? オクトーン殿」
『実はガルバトロン派切り崩しのために、ウチからこっそりスタントロン部隊にコナを掛けてたのは知っているだろう?』
「ああ。何か進展があったのか?」
『実は……』
オクトーンからの頼み事は、物凄く頭が痛い事だった。
今、俺はNAIL本部である『
そして今ここに居る面々と言うと、まずはNAILから俺、スカイファイアー、サンダークラッカー、ルナクローバーと言う中枢メンバー。そしてコンバッティコンとプロテクティコンと言う合体闘士メンバーが来ている。
次にデストロン主流派から、オクトーン総帥に
なんと言うか、
轟音と共に、黒っぽいスペースシャトルが演習場の真ん中に着陸する。そしてその胴体の扉が開き、ガルバトロン派スタントロン部隊のデッドエンド、ドラッグストライプ、ブレークダウン、ワイルドライダーが次々に降りて来た。そして最後に降りて来たのは、当然ながらスタントロン参謀のモーターマスターだった。
ちなみに全員がスペースシャトルから降りると、シャトルもまた人型の超ロボット生命体、輸送参謀アストロトレインに
「……此度の事、申し出を受け入れてもらい、感謝する」
「やれやれ。やるんなら、さっさとやろうぜ? たしか勝負の結果に関わらず、お前さん方はセイバートロン星デストロン主流派へと帰順するって話だったな」
俺の言葉に、モーターマスターは頷く。
「ああ。だがその前に、ぜひとも……。いや、何としても、一度だけでいい、はっきりとした決着をつけておきたかった……。
ユニクロン戦争の数年前……。俺たちはメガトロン大帝の命により、そこのルナクローバーとか言うお嬢さんを人質に、あんたを……。スタースクリームを
「……」
「あの時、正直メガトロン様の命令だとは言え、あまりやる気は出なかったのは確かだ。勝負は見えていた……と思っていたからな。だが結果は、あんた1人にデストロン全軍が惨敗した。
俺は、俺たちスタントロンは、あんたと戦いたい。今度こそ、最初から本気で! そしてきっちりと決着をつけておきたいんだ! 勝敗の決着は既についているかもしれん! だが、俺たちの気持ちの決着をつけておかなければ、どうしようも無いんだ!」
俺はふと、モーターマスターがコンボイをライバル視していたと言う話を思い出す。だがあの、俺がメガトロンからルナクローバーを救い出した時の事件は、その感情を抑え込んでしまうほどの影響をこいつに与えていたのか……。俺はモーターマスターに向かい、言葉を紡ぐ。
「いいぜ。ただし、殺し殺されるまではやらん。勝負がついた、そう思ったらその時点で終わりだ。いいな?」
「それで構わん」
「よし。それとな? 俺はあの時よりも強いぜ?」
「分かってるさ。審判は、もしよければだが……。コンボイ、頼めるか?」
モーターマスターの言葉に黙って頷き、コンボイが前に歩み出る。
「それでは両者、準備を」
「応。……フォースチップ! イグニッション! ヴァーテックス……キャノン! ブゥレイドオオオォォォ!!」
「スタントロン部隊!
「「「「おおーーー!!」」」」
ガン!! ゴン!! ガゴゴン!!
轟音と共に、合体兵士メナゾールが誕生する。そしてコンボイが叫んだ。
「始めえええぇぇぇっ!!」
「おおおぉぉぉ!!」
メナゾールが俺に殴りかかる。だが俺はそれをスピードで
(それは無粋だな)
俺は口の中だけで呟く。スタントロン連中の望む、心の決着をつけるためには、そう言った小細工ではなく真正面からの力技で打倒せねばなるまい。となると、アレしか無えだろう。俺は、今まで仲間内だけの秘密にしていた物を、この場の連中、コンボイたちやオクトーンたちに明かす事を覚悟する。俺は叫んだ。
「いいか、お前ら! 俺が暴走したら、全力で取り押さえろ! ぐおおおあああぁぁぁ!!」
そして俺の身体は、メナゾールと同等のサイズにまで巨大化した。
「「「「「「な!?」」」」」」
「リーダー……。やっちゃいますか……」
「熱いよなあ、ボスは」
「まったくだよ」
「きゃー! スタースクリーム様、すてきー!」
俺はせっかく起動したヴァーテックスキャノンとヴァーテックスブレイドだったが、使わずに殴りかかる。ま、頭悪いしな、今の俺は。メナゾールもまた、驚きはしたものの素直に殴りかかって来る。双方の拳が、双方の顔面に叩き込まれた。
そして俺は、身体を通常サイズにまで縮めてファーストエイドの
「いてて。ファーストエイド、俺が終わったらスタントロン連中の
「了解です、リーダー」
いや、試合はちゃんと勝ったよ?最後の決まり手は、『帰○て来たウルト○マン』のウルト○ハリケーンと言うか、『仮面ラ○ダー』のライ○ーきりもみシュ○トと言うか。あんな感じの投げ技だった。大回転して演習場の端に落着したメナゾールは、5人に分離して叩きつけられて、目を回してノックアウト。
それで俺は、しばし大空に向かって吠えてたんだけどな。スカイファイアーの、『そろそろ大きさ戻したらどうだい?』って言葉で我に返ってな。うーん、巨大化した時は、誰かの指示を受けて戦った方いいかも知れねえなあ。
そこへ、アストロトレインがモーターマスターに肩を貸しつつやって来る。奴は溜息交じりに言った。
「やれやれ。なんなんだよさっきのは」
「必殺技の巨大化能力だが? スタントロン連中の
「まあいいか。NAILリーダー、スタースクリーム殿。サイバトロン、コンボイ司令官殿。そしてデストロン主流派のオクトーン総帥閣下。俺たちはデストロン主流派のお誘いに乗らせていただき、デストロン主流派に帰順させていただく。
ちなみに、これは手土産だ。なんかアニマトロンのプレダキングの野郎が、クインテッサ星人と取り合いをしてもぎ取って来た物なんだがな。正体がさっぱりわからねえ。あれだけクインテッサが欲しがってた物だしよ。そっちなら何か分かるんじゃねえか?」
俺はアストロトレインが差し出したその物体、何やらカプセルらしい物に目を奪われる。それはクインテッサ星人のデータ記録カプセルだった。そう、アニメで登場した、クインテッサがあちこちの惑星に武器を流したり、陰謀を企んで支配下に置いたりした証拠のデータが入ったカプセルだったんだ。
そして、エタクシス星とラナーク星の惑星政府首班同士の会談の日、当然ながら俺たちは例のカプセルのデータを開示した。両惑星の代表たちは、自分たちの戦争がクインテッサに
「……ラナーク星代表。俺たちは貴様らが大嫌いだ。だが、クインテッサ星人に陥れられて戦争を続け、そちらはともかく、こちらまで滅ぶのは馬鹿馬鹿しいにも程がある」
「その通りだな。完全に同意する。我々が貴様らを大嫌いだと言うところまで含めてな、エタクシス星代表」
「これからは、互いの星域の間に緩衝領域を設け、関係を断ってそれぞれ独自に暮らしを営む事でどうか?」
「了承しよう。ただし何か罠があったなら、今度こそ容赦はせんぞ」
「それはこちらも同じだ。では……」
「「双方の文官に、この内容を休戦条約としてまとめさせ、調印を行おうではないか」」
俺は思った。こいつら、実は仲がいいんじゃねえの? と。何はともあれ、これでNAILの顔も潰れずに済んだ。何千年もの戦いを繰り広げて来たこいつらの惑星は、ようやくの事で一応の平和? いや、平和か? まあ、そんな感じの物を取り戻したのだった。
だけど、天災科学者プリマクロンだの、クインテッサ星人の更なる陰謀だの、他にも色々……。特に大急ぎなのは、プリマクロンが創ってるだろうエネルギー生命体トルネドロンの対策だ。どうにかする方法は、無えかなあ本当に。
スタントロンとアストロトレイン、ガルバトロン派を離脱して主流派(オクトーン派閥)に帰順しました。ガルバトロンは怒り狂ってるでしょうねー。