我が名はスタースクリーム   作:雑草弁士

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第6話:新たな仲間たち

 俺とスカイファイアーは、ジジイ(アルファートリン)にジト目を送る。ジジイ(アルファートリン)はなんか、信じられんものを見たかの様な感じを(ただよ)わせつつ、こちらを眺めていた。

 

「……スタースクリーム。頼むよ。あんな場合には、わたしを(かば)ったりしないでくれないか。(かば)うのは機体(ボディ)も耐久力も大きい、わたしの役目だ。」

「済まんスカイファイアー……。だけどな、俺はたぶん似たような場面になったら、きっとお前をまた(かば)うと思う。理屈じゃねえんだ。」

「スタースクリーム……。」

「だからよ、お互いそう言う場面には、なるだけ陥らない様にしようぜ。」

「……ああ。」

 

 そして俺たちは、再度ジト目をジジイ(アルファートリン)に送る。このジジイ(アルファートリン)は俺が5体のまだスパーク(たましい)の無いロボットたちを紹介したとたん、「ふむ……。あれはどこじゃったかの……。」とか言いつつ、手を天井に伸ばしたんだ。

 俺はスカイファイアーに、「気を付けろ!」と叫んだ。このジジイ(アルファートリン)がアニメの中で、メガトロンがベクターシグマの(サーキットキー)を奪いに来たときに、同じような事をやったのを覚えていたからだ。

 なのにスカイファイアーは、避けたり躱したりせずに、自分の身体を盾にして俺を守ろうとしたんだ。俺がもしかしたら、攻撃されるかも知らんと、あらかじめ言っておいたのに。俺は泡食って、スカイファイアーの前に出ようとした。そしてこのジジイ(アルファートリン)が天井からひっぱり出したビーム砲に、諸共に撃たれたんだ。

 うん、今は俺たち2人とも、ジジイ(アルファートリン)の家の整備ベッドに横たわって治療(リペア)されてる最中なんだ。不幸中の幸いと言ってはなんだが、このクソジジイ(アルファートリン)は俺たちが(かば)い合うのを見て、考えを変えた模様だ。話を聞いてみるだけでも、してみる気になったらしい。あまりにデストロンらしくない、ってな。

 

「……お主らが、部下を増やそうとしておる目的はなんじゃ?部下を増やすのは目的ではなく手段であろう。その目的が、賛同できるものでなければベクターシグマの(サーキットキー)は貸す事はできん。」

「……はぁ。わかったよ、いえ、わかりました。部下を増やしたい目的は、2つあります。

 1つ目は、研究員が足りないって事ですよ。俺たち……わたしたちは、ある目的のために危険な研究をしなければなりません。でも、その研究のためには頭がわたしとスカイファイアーの2つだけじゃ足りないんです。2人だけで研究進めて、事故りでもしたらヤバい。

 2つ目は自衛戦力が必要だからです。わたしたちの進める研究は、非常に価値があります。デストロン軍団にバレたら、確実に狙って来るほどの。いえ、わたしはサイバトロン軍団も完全には信用してません。

 コンボイは信じていいでしょう。ですが、アイアンハイドとかクリフとかインフェルノとか、あのあたりの頭の固い赤組連中は、わたしが元デストロンってだけでどう出るか……。それ以前に、研究機材やそれ用のエネルゴンキューブだけで、莫大な価値です。」

 

 そして俺は一拍置いて言う。

 

「ウーマン・サイバトロンあたりに勘付かれたら、わたしたちのエネルギーを根こそぎ持って行きかねない。正義のための戦いに使おうってね。」

「……お主らの研究とは?そして何を目的に研究をするのだ?」

「サイバトロン連中にも、情報を開示しないと約束をしてください。」

 

 俺はアルファートリンの目を見据えて言う。双方の視線がぶつかり合って、火花でも出そうな雰囲気だった。やがてアルファートリンが言う。

 

「よかろう。わしが殺されても話さんと誓おう。わしの記憶回路(メモリチップ)にもプロテクトを厳重にかけよう。」

「わかりました。」

 

 俺は(おもむろ)に口を開く。スカイファイアーは俺を信頼してくれているのだろう、黙って成り行きを見守っていた。

 

「目的は、セイバートロン星の再生。研究内容はその手段となる、エネルギー源の確保。具体的には2案あり、1案目は衛星軌道上に建設するブラックホール炉発電システムからの、地上へのビーム送電。2案目は1案目よりは若干安全ですが、反物質による対消滅炉発電システムを地上で。」

「2案目のどこが若干安全なんじゃね?」

「炉にくべる反物質の量を絞る事で、調整が効きます。爆発事故が起きても、戦術核弾頭程度の威力で済むでしょう。1案目は、ブラックホールを閉じ込める重力バリアが万が一破れでもしたら、えらい事になるので地上にはとても置けません。」

「ふむ……。」

 

 そしてアルファートリンは言った。

 

「ベクターシグマの(サーキットキー)は、貸す事はできぬ。」

「「……。」」

 

 俺たちは黙りこくる。だがアルファートリンは続ける。

 

「じゃから、わしが一緒に行き、ベクターシグマを起動させよう。」

「ほんとか!?あ、いや失礼、ありがとうございますアルファートリン殿。」

「おお、ありがとうございます。アルファートリン殿。」

「じゃがその前に……。お主らの治療(リペア)を済ませねばの。済まなんだな。」

 

 はい、ごもっとも。

 

 

 

 そして俺たちは今、セイバートロン星の地下深くへ続く道を歩いている。アルファートリンの案内で、だ。

 

「ここを右じゃ。」

「物凄い迷路だね。これじゃ、わたしたちだけじゃあ到底ベクターシグマまでたどり着けなかったよ。」

「そうだな。さて、ベクターシグマの警備(ガード)に、センチュリオン・ドロイドが就いているはずなんだが……。」

 

 そうこう言っているうちに、出やがった。センチュリオン・ドロイドだ。こいつらはセイバートロン星最盛期の科学技術の粋を集めて、戦闘能力にそのポテンシャルを全て傾けて造られている。ただし馬鹿だが。戦闘能力に全てを振り向け過ぎたせいで。

 

「こいつらは……。」

「攻撃はやめとけ、俺たちの武装じゃ撃つだけ無駄だ。ただこいつらは、ベクターシグマの(シモベ)だからな。ベクターシグマの(サーキットキー)を持つ者には逆らえない。」

「よく調べておるのう?」

 

 アルファートリンは、一歩前に進み出るとベクターシグマの(サーキットキー)を掲げる。すると今にも俺たちに襲いかかろうとしていたセンチュリオン・ドロイドどもは、一斉に平伏する。俺はふと、後々のアルファートリンの行く末について思い出した。

 

「あー、アルファートリン殿。ちょっと未来予測じみた事を言ってもいいか?」

「なんじゃ急に?」

「メガトロンの事だ。奴はサイバトロン連中に対抗するために、おそらく陸上戦力、カーロボットの部隊を必要とするはずだ。そして手持ちのプロトフォームも無い奴の事、カーロボットに命を吹き込むためにベクターシグマの(サーキットキー)を奪いに来るだろう。

 その時に、アルファートリン殿だけでは(キー)を守り切れないだろうな。そしておそらくコンボイも、カーロボットに対抗する新戦力を必要とするはず。けど、その時にゃベクターシグマの(サーキットキー)は奪われてしまって存在しないハズ。そん時アンタはどうする?」

 

 俺の台詞に、アルファートリンは考え込む。俺は更に言った。

 

「アンタはベクターシグマが創造した最初期ロボット、1stロットだろ?アルファートリン……A-3とか名乗ってたか?」

「何故それを……。」

「偶然知っただけだ。調べたわけじゃねえ。アンタの回路は、それ故にベクターシグマと共通性がある。つまりベクターシグマの(サーキットキー)の代用ができるわけだ。しかしそれをやれば、アンタは死ぬ。」

「……。」

 

 黙りこくるアルファートリン。

 

「今のうちに、ベクターシグマの(サーキットキー)複製(コピー)を作っておくべきじゃないのか?ベクターシグマを目覚めさせる事はできる、しかし秘められた力(シークレット・パワー)は持っていない物を。」

「シークレット・パワーじゃと?」

「ああ、アンタ知らなかったんだっけな。ベクターシグマの(サーキットキー)には、ありとあらゆる物質を金属化させる能力(パワー)がある。メガトロンの手に渡れば、メガトロンは地球を金属化させようとするだろうさ。地球人の事など考えもせずにな。

 だからこそ、ダミーの複製鍵(コピー・キー)だ。複製鍵(コピー・キー)が、万が一メガトロンに奪われても、最悪の事態だけは防げる様に、な。」

「……ふむ。考えて置こう。」

「いや、たぶん考えてるヒマなんて無いからな?まあ、アンタが死んでも良くて、メガトロンに余計な道具を渡してもいいならば、構わんのだが。どうせ、コンボイが苦労はしてもなんとかするだろうからな、メガトロンの方は。」

 

 俺は肩を竦めて言う。と、アルファートリンが笑った。

 

「ふふふ、お前さんは、随分コンボイの事を買っておるんじゃな。」

「戦場で幾度も、してやられたからな。その能力や(ロボット)柄は、下手なサイバトロン連中よりも身をもって知ってるつもりだぜ。」

 

 そして俺たちは、ベクターシグマが設置されている部屋へとたどり着く。その部屋に入ると、スカイファイアーが驚きの声を上げた。そこには俺たちトランスフォーマーの胴体ぐらいのサイズの、金色に輝く結晶体が集合したかの様な、球体があった。

 

「これがベクターシグマ……。随分と小さいんだね。」

「ま、お前さんからすりゃあな。だが、俺たちトランスフォーマーを創り出したのはこの存在だって事ぁ間違い無い。直接ベクターシグマの前でスパーク(たましい)を吹き込まれたか、直轄工場で吹き込まれたかはわからんがな。」

「では始めるぞ。」

 

 アルファートリンがベクターシグマの(サーキットキー)を本体に差し込むと、金色の輝きはより一層増す。数百万年の眠りから、ベクターシグマが目覚めたのだ。そしてベクターシグマは中空に浮かび上がり、声を発する。

 

「我ハ、ベクターシグマナリ。アラユル命ニ先ダッテ、ワレハ存在シタ。ワレヲ起コシタ者ハ誰ダ。」

「はい、わたしアルファートリンです。貴方に創られた者です。」

何故(ナニユエ)、我ガ眠リヲ妨ゲタ。」

「こちらのスタースクリームに頼まれたからです。どうかスタースクリームの願いを、お聞き届け下さい。」

「答エヨ、スタースクリーム。」

 

 俺はアルファートリンが一歩横にずれてくれたので、前に進み出る。

 

「偉大なるベクターシグマ。このわたしとスカイファイアーの部下として製造した、5体のロボットに、命をお与えください。わたしたちと同じ、超ロボット生命体として。

 そして彼らに、邪悪を避け、しかして正義を盲信せず、中庸に身を置いてその中で最善を目指す正しき心と勇気、そしてその助けとなり、高度な研究を進められる高い知性と知識をお与えください。」

「ヨカロウ。彼ラヲ前ニ。」

「はっ!お前たち、前に出ろ!」

 

 5体のロボットが前に進み出る。そしてベクターシグマから放電にも似た光線が放たれ、5体のロボットに注ぎ込まれて行く。生命が、与えられている……。

 

「パーソナリティ・プログラム完了。」

 

 そう言ったきり、ベクターシグマは沈黙して再び眠りについた。俺は5体……いや5人のロボットに向かい、話しかけた。

 

「俺はスタースクリーム。こっちはスカイファイアー、俺の友だ。お前たちは、俺たちの部下として創られた。1人ずつ名乗ってくれ。」

 

 そして、5人の中でもっともガタイがデカい奴から前に進み出て、自己紹介を始めた。

 

「自分はオンスロート。研究主任です、リーダー・スタースクリーム。忠誠を誓います。」

「忠誠はありがたいんだがな。よせやい。上下関係さえしっかりしてくれれば、そんな堅っ苦しくしなくていいぜ?フランクに行こう。」

「ははは、了解だボス。俺は広範な科学知識を与えられている。専門分野では専門家にはちょっと及ばないがな。」

「頼りにさせてもらうぜ?お前さんにゃ、5人のリーダーを頼む。」

「よろしく、スカイファイアーだ。」

「おう!スカイファイアーさんも、よろしく頼みますよ!」

 

 次に進み出たのは、紫の奴だ。

 

「俺は航宙研究員のブレストオフだ、ボス。航空・宇宙工学が専門だ。宇宙空間での作業なら、まかせてくれ!」

「頼みにしてるぞ!頑張ってくれ!」

「これは助かるね。」

 

 その次は灰色の奴だった。

 

「俺はボルター。航空研究員だぜ。ボス、よろしく頼むぜ。気象学や地学が専門の他、物資輸送とかは任せてくれよ!」

「そいつは助かるぜ。有難(ありがて)え!」

「わたしも物資輸送はできるけれど、大量に運べる代わりに一寸(ちょっと)おおざっぱなんだ。細かい荷運びは全面的に任せるよ。」

 

 更に引き続き、緑色のどっしりした奴。

 

「ボス、俺はブロウルだ!軍事研究員だぜ!金属工学や材料工学のプロだ!それとちょっと不本意だが、軍事研究員って役職の通り、軍事研究でもプロなんだ。」

「まあ、その辺は少し我慢してくれ。戦いが不本意だってのは、逆に良い事だからな。」

「いい仲間が増えたね。」

 

 最後は、カーキ色の身軽そうな奴だった。

 

「俺はスィンドル。経済・経営学者だよ。研究員としては若干他の皆に劣るがね。金勘定は任せてくれ。各研究の予算配分とか、無駄を省くとか、そっちの方面で貢献させてもらいたいね。無論研究助手としても手を抜くつもりは無いが。」

「おお、それは嬉しいな。俺たちに欠けていた部分だ。と言うか、そう言う方面は今まで俺が頑張ってたんだ。だけどそれで本業に差し障りも出てなあ……。」

「スタースクリーム、よかったね……。ああ、涙腺も無いのに涙が出そうだよ。」

 

 ここでオンスロートが、皆を代表して疑問を呈する。

 

「しかしボス、それにスカイファイアーさん。俺たちの頭脳には、本業であるべき科学知識の他に、軍事知識が大量にインプットされている。俺なんかは、まるで作戦参謀でも務まりそうなぐらいだ。

 それに、俺たちの身体(ボディ)だ。明らかに戦闘用と思しき過剰な武装が為されている。顕著(けんちょ)なのがブロウルと俺だ。……想像するに、何かとの戦いを想定しているのでは?」

「いいところに気付いたな、オンスロート……。」

「そうなんだ、実はね。わたしたちが君たちを創造した第2の理由がそれなんだ。第1の理由は、研究のためなんだけど。」

 

 そして俺たちは、5人に今俺たちが置かれている状況、デストロン軍団とサイバトロン軍団の戦いに関する事、セイバートロン星が滅亡の瀬戸際にある事、それを再生させるための研究を始めようとしている事、その研究が危険である事、かつ重要な研究であるため狙われる可能性が高い事等々、全部の事情を話してやった。

 

「そんなわけで、戦いをあまり好かない性格に創っておきながら重武装をさせたのは謝る。だが今は、力がどうしても必要な時代なんだ。」

「君たちには、研究員としての働きを期待しているのは第1なんだけどね。自衛戦力としても大きく期待しているんだよ。」

「……了解だ、ボスたち。そんな事情ならば文句は言わねえよ。だができる事ならば、どこぞの漫画(カートゥーン)の台詞だったが、『抜かずの剣こそ、平和の誇り』と行きたいね。ま、いざと言う時にはこの力を揮う事を躊躇(ためら)うつもりは無いとも。

 なあ、皆!」

「「「「おおーーー!!」」」」

 

 いい奴らだなあ……。ほんと、涙腺も無いのに涙が出そうだ。俺は言った。

 

「よろしい!ではこの部隊(チーム)を、コンバットロ……いや、コンバッティコンと命名する!」

「共にセイバートロン星を再生、復興させるため頑張ろうじゃ無いか!」

「「「「「おおーーー!!」」」」」

 

 アルファートリンが見守る中、俺たちは空に向かい拳を突きあげたんだ。……いや地下深くだから、あるのは天井だったがな。




スタントロンもエアーボットもまだ居ないうちから、コンバットロ……、いやコンバッティコンの誕生です。しかも何気にイィ奴ら。
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