俺は悩んでいた。おそらくはサンダークラッカーの処刑は狂言だろう。俺を
ムービーでの
「……やはり、助けにいこう。」
「そう言うと思っていたよ。」
「!?き、聞いてたのかスカイファイアー!」
「俺たちも聞いてましたよ、ボス。」
「オンスロート!ブレストオフ!ボルター!ブロウル!スィンドル!」
こんな大勢に聞かれてたの気付かないほど、俺は深く考え込んでたのか!?
「さて、ボス。メガトロンのやり口について、教えてくれませんかね?」
「作戦を立てる上で、この中で敵をいちばん知っているのはボスですからな。」
「お前たち、手伝ってくれるのか?」
「当然でしょうが。」
「予算はちょっと持ち出しになりそうですなあ。ですが許容範囲でしょ。」
「ボス、こう言う時は頼ってくれて、構わないんですぜ?」
「……そう言うことだよ、スタースクリーム。君から聞いたメガトロンの行動方針だと、これはたぶん罠だろう。けれど、だからと言って処刑が本当でないとは限らないんだ。」
皆……。俺は、嬉しさのあまり言葉が出なかった。皆は、そのまま俺の号令を待っている。そして俺は叫んだ。
「ようし!それじゃ作戦会議を始めるぞ!」
「「「「「「おおー!!」」」」」」
皆が唱和する。俺たちは、作戦を練り始めるのだった。
そして処刑当日。セイバートロン星のデストロン基地野外に
そしてメガトロンがスカイワープを伴って姿を見せた。顔は楽し気に微笑んでいる。
「ではこれより、裏切り者サンダークラッカーの処刑を開始する!新航空参謀スカイワープ!処刑を始めよ!」
「は!」
スカイワープが広場の中央に設置された大型のビーム砲に着座し、砲塔を回転させてサンダークラッカーに照準を合わせた。今だ!俺は手の中に握り込んだスイッチを押す。
ドガアアアァァァン!!
ドゴオオオォォォン!!
ガゴオオオォォォン!!
最初にビーム砲塔が吹き飛び、スカイワープが投げ出される。そして処刑場のあちこちで、それとは比べ物にならない大爆発が起きた。
「な、何事だ!?」
「メガトロンサマ、危ノウゴザイマス。」
「さ、サウンドウェーブうう!爆発があああ!」
「キシャアアア!」
「グルルル……。」
メガトロンとサウンドウェーブ、カセットロンどもも泡を食っている。満員の観衆のデストロン兵士は、逃げ惑った。チャンス!俺は処刑台のサンダークラッカーに駆け寄り、助け起こす。
「サンダークラッカー、今鎖を切ってやる!」
「う、ああ……。スタースクリーム……。」
俺の右手首が引っ込み、そして回転
「さあ、逃げるぞサンダークラッカー!」
「スター……スクリーム……。」
「どうした、急げ!!……!?」
ビキュウウウゥゥゥン!!
一発の銃声。それはサンダークラッカーの……。武装解除されていた『はず』のサンダークラッカーの右手に隠し持たれていた、小型ビームガンから発せられたものだった。それは狙い
「ぐ、うっ……!!やっぱり……。罠、だったか……。」
これも想定の内ではあった。そうであって欲しく無かったが……。小型だけあって、威力は高く無い。それに万一に備えて急所は増加装甲板で護っていた。しかし、急所以外を撃たれるとは想定外だった。頽れる俺の前で、サンダークラッカーは嫌らしく
「よくやったな、サンダークラッカー。」
「メガト……ロン、様……。」
「お前の忠勤ぶり、素晴らしいぞ?」
「アリ、ガ、ト……ゴザイ……マス。」
たどたどしい返事。やっぱり……。これも想定にはあった。なんてこった……。俺はホログラム塗料を解除して、いつもの俺の姿に戻る。あの今ではもうけったくそ悪いと感じるようになった、デストロンのエンブレムも消えた。
「メガトロン……。貴様、サンダークラッカーを、洗脳しやがったな……。」
「フフフ……。この新開発のコマンド・インストーラー、サンダークラッカーは喜んで実験台になってくれたとも。」
想定にはあったんだ。デストロンだけでなく、サイバトロンですらも敵に対する洗脳行為とかには驚くほど抵抗感が無い。サイバトロンが、デバスターを洗脳して仲間に引き入れようとした事あったからな。でもってメガトロンはそれに備えており、再洗脳でデバスターを取り返したりした。
それ以前に、ビルドロンは元々デストロンでは無かったのを、洗脳してデストロンにしたんだしな。洗脳は、メガトロンのお家芸だ。
「処刑ってのは……。」
「勿論、お前を
そして俺は、手の中のスイッチを押し込む。
ドガアアアァァァン!!
「おわあああぁぁぁ!?貴様、まだ爆弾を!?」
「め、メガトロン様!?」
「フレンジー!救助命令!メガトロンサマヲ、オタスケセヨ!」
メガトロンの足元、
だが俺はその場に
「ええい、サンダークラッカー!撃て撃て撃てーい!その裏切り者を、ハチの巣にしてしまえ!」
「リョウ、カイ……。メガ、トロン……様……。」
サンダークラッカーは、ビームガンで俺を撃った。撃った。撃った。撃った。撃った。ご丁寧に、急所以外のところを。流石に想定してねえんだよ!急所狙うと思ったからな!
「があっ!ぐあっ!がああっ!」
「フフフ、遊ぶのはその辺にせよサンダークラッカー。一撃で急所を撃ち抜いてやれい!」
「う……。あ……。スター……スク……リーム。」
サンダークラッカーは、しかし撃たない。メガトロンが叫ぶ。
「ええい、何をしておるか!撃て、撃て!撃つのだサンダークラッカー!!」
「あ、う……。」
ガチン!
引き金を引いたサンダークラッカーだったが、小型のビームガンだ。エネルギーは切れていた。
「く、この愚か者めが!遊び過ぎだ!」
遊び過ぎ?いや、まさか……。
「ええい、こうなればわしの手で引導を渡してくれるわ!サンダークラッカー!その裏切り者を押さえ付けろ!」
「ああ……。う、うう……。」
そして俺はサンダークラッカーに羽交い絞めにされる。メガトロンは叫んだ。
「トランスフォーム!!撃てい、スカイワープ!!」
「は、はい!メガトロン様!……悪く思うな、スタースクリーム!!」
くそ、予定時刻はまだか!急げ、急いでくれスカイファイアー!
ドギュウウウゥゥゥン!!
銃声が響いた。
トランスフォームしたメガトロンの銃口が火を噴いた。
「サンダークラッカー!!」
「な、ば、馬鹿な!?奴に自由意志はもはや無いはず!!」
俺は痛む身体を必死で起こし、俺を
「サンダークラッカー!何故だ!何故俺を
「ふ……ん、400万……年の……眠り……で、……
それは俺が、サンダークラッカーを
「へ、へ……。か、借り、は……。これ、で……。」
「ああ、返してもらった!返してもらったぞ!」
メガトロンが叫ぶ。
「フン、ならば良いわ!せいぜい、お友達ごっこをして、2人で
「は、はい!」
「くそ!」
俺はサンダークラッカーの身体を抱えて、必死で銃形態のメガトロンによる銃撃を避ける。とても避けきれるはずが無い。だがスカイワープの射撃は何故か精彩を欠く。俺はどんどんボロボロになりながら、それでも致命傷はかろうじて避けていた。
そして待っていた物が……待っていた者が、現れる。レーザーウェーブが、通信でメガトロンに警告した。
『メガトロン様!』
「トランスフォーム!なんだ!?今良いところ……。」
『警戒線を飛行物体に突破されました!ジェットロン2名が撃墜され、重傷です!』
「なんだと!?」
直後、空に大型ジェットが飛翔し、それから5つの影が降って来る。コンバッティコンたちだ。
「ボス!済まん、警戒線の突破に手間取った!」
「無事ですかい!?うわ、ひでぇ!」
「このやろう!よくもボスをやってくれたな!」
「スィンドル!お前はボスを護ってくれ!」
「了解だよ!今回は、予算
助かったかと思った時だ。メガトロンが叫ぶ。
「ええい!なんなのだ、こやつらは!スタントロン!ビルドロン!出撃だ!!」
そうか、地球からセイバートロン星に連れて来ていたのか。メナゾールとデバスターの2体相手は、ちょっとまずい。
「スタントロン!ビルドロン!こうなれば出し惜しみは無しだ!合体せよ!」
「了解、スタントロン部隊トランスフォーメーション!メナゾール!!」
「ビルドロン部隊、トランスフォーム!フェーズ1!!フェーズ……。」
「そうはさせないよ!トランスフォーム!」
「「「「「スカイファイアーさん!!」」」」」
スカイファイアーが、合体直前のデバスターの胴体上下間に割り込んで、そこでトランスフォームした!?いや、俺はデバスター対策として教えてたけどよ!スカイファイアーのでかい身体で、よく合体に割り込めたな!?
「「「「「「な!?ま、またかよーーー!!」」」」」」
「よくもわたしの親友をやってくれたね!」
容赦なく射撃したスカイファイアーの火力で、デバスターは沈む。更にスカイファイアーは叫んだ。
「コンバッティコン!こっちの奴は、君らに頼むしかなさそうだ!容赦なしだ、やってくれ!スタースクリームはわたしが護衛する!」
「了解だ!コンバッティコン部隊、
「「「「応!!」」」」
ゴン!ガゴン!ガギン!!
コンバッティコンたちが、スクランブル合体を敢行する。そしてメナゾールと同格の巨体が姿を現す。これが合体闘士、ブルーティカスだ!メガトロンが
「こここ、こんな馬鹿な!」
「メナゾール、貴様を、破壊する……。」
「ふん、それはこっちの台詞だぞメナゾールとやら!『俺たち』は、ボスをやられて怒り狂っているんだ!」
2体の巨大戦士の戦いを後目に、スカイファイアーが俺とサンダークラッカーの元に来る。その表情が、
「これは……!酷い……。2人とも一刻も早く
「そうはいかんぞ!」
「誰だね!?」
「スカイファイアー、あいつは……。レーザーウェーブだ……。」
レーザーウェーブが、トランスフォームして馬鹿みたいに大口径大出力のレーザーを連射して来る。スカイファイアーは処刑台の陰に俺とサンダークラッカーを隠すと、撃ち合いを始めた。
「く、こんな事してる場合じゃないのに。手遅れになったら……。」
「デストロン兵士、撃て撃て撃てーーー!!」
巨大戦士同士の戦いは、若干有利に戦況が進んでいる。しかしそのケリがつく前に、俺とスカイファイアー、サンダークラッカーはやられてしまいそうだ。最後の一手が、間に合ってくれれば……!
ゴゴーーーッ!!
その時、再度大空を飛び過ぎる存在があった。そしてその物体から飛び出した複数の影。叫ぶ声が聞こえた。
「オメガスプリーム、トランスフォオオオォォォム!!」
「エアーボット部隊、トランスフォーメーション!スペリオン!!」
「借りを返しに来たぞ!スタースクリーム!」
「こ、コンボイ!?貴様なぜここに!?」
慌てるメガトロン。俺は苦痛を噛み殺しつつ、にやりと笑う。そう、アルファートリンを介して、サイバトロンに脱出支援を依頼していたのだ。
「ま、間に合ってくれ、た、か。ぐふっ……。」
「喋らないで、スタースクリーム!貴方がコンボイ司令官ですね。スタースクリームとサンダークラッカー君は重傷、いえ重態です。ここはお願いしても?」
「任せてくれ。サイバトロン戦士、アターーーック!!」
「ブルーティカス!ここは怪我人を助ける方が先だよ!脱出するから敵陣を切り開いてくれ!」
「まかせてくれ!うおおおぉぉぉ!!」
「どうじゃな2人とも?新しい
「ああ……。なんと言うかしっくり来るって感じだな。」
サンダークラッカーがアルファートリンに応えて言う。ここはアルファートリンの家だ。俺とサンダークラッカーの
結果として、俺たちは
ちなみにサンダークラッカーの洗脳は、跡形も無く解除されている。新型のコマンド・インストーラーとか言う洗脳装置は、数百万年前にメガトロンが使っていたロボ・スマッシャーとか言う洗脳装置より効力が低いみたいだな。なんでそんなもん、作ったんだろうな?
「サンダークラッカーの洗脳は、効力が低めじゃが手軽にできる物じゃったよ。おそらく本来はコンボイたちに使うために用意したもんじゃろ。コンボイたちには、洗脳予防プログラムを渡して置いた。お前たちには既に
何、色々あったから、貸し借りの清算じゃと思ってくれ。これで、貸し借り無しじゃぞ?」
うん、それは了解だ。まあ、ありがたいけどな。だが……。
「うん。ありがとうよ、アルファートリン。だけどよ、俺たちの新しい
「うん?いやな、こうピーンと
「そうか……。」
アルファートリンの家の片隅にあった、大きな姿見の前で俺は唸っていた。サンダークラッカーのニューボディを見たときから、そうじゃないかと疑っていたんだが。姿見を見て、やっぱり、と思ったもんだ。
俺の
頭に
そしてアルファートリンが
「そうじゃ。新しくなったんじゃから、名前も新しくしてはどうじゃ?そう、スーパースタースク……。」
「お願いですからスタースクリームのままで。」
ま、とりあえずサンダークラッカーを助けられた事を喜んでおくか。今は奴の身体にも、エンブレムは着いていない。さすがにデストロン軍団には帰れないからな、奴も。俺たちの仲間入りを、了承してくれた。メガトロンの憤り、その激怒っぷりを想像すると、あまりの恐ろし気な様子に、思わず頬が
俺とサンダークラッカーはもう一度アルファートリンに礼を言って、その家を出た。スカイファイアーが、航空機形態で俺たちを乗せるべく待っている。その貨物室からコンバッティコンたちが、手を振っている。さあ、帰ろう『我が家』へ。
ちなみに顔は長いです(笑)。でも顔長くても、二枚目だと思いますけどねー。GF版やSG版スタスク。