俺たちは、呆れていた。と言うか、唖然として呆然としていた。理由は、俺たちの庭先で拾って来たこのウーマン・サイバトロン2名だ。こいつらは、アニメには登場したものの名前の紹介も無く、その後2度とアニメに出てこなかったモブキャラだったので、俺は名前を知らん。
こいつらはどうやら俺たちを怪しんで、エリータ・ワンの指示無しに暇を見つけては俺たちを探りに来ていたらしい。で、ウーマン・サイバトロン連中はぶっちゃけ日常的にデストロンからエネルゴン・キューブ盗まないとやっていけないほどに、かつかつの暮らしをしている。当然無理をすれば、エネルギー切れが起きるわけだ。
そう、こいつら
あっという間に追加を食い尽し、ようやく一息ついたこいつらは、幸せそうに大きく溜息を吐き出す。そしてようやく、我に返ったらしい。
「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~!!」」
「「「「「「??」」」」」」
「わ、わたしたちともあろう者が……!!」
「元デストロンの怪しい奴の施しを甘んじて受けてしまったーーー!!」
「「「「「「あらかた食い尽して、何を言うか!!」」」」」」
ほんとにな。まったくもって。頭痛え。
こいつらの名前は、緑のがグリーンライト、
ちなみにスカイファイアーは、
「何にせよ、お前らこれからアルファートリン殿を介してエリータ・ワンに連絡取って、引き取ってもらう。」
「「ええっ!?」」
「どうやら命令無しに勝手な行動を取ってたと言う自覚はあるみたいだな。その焦った顔からすると。」
「「……。」」
俺の台詞に続いて、経理を担当してるスィンドルが頬をピクピクと引き攣らせながら、言葉を発した。
「それとね。お前さん方が食った分は、きっちり代価をもらうよ?これ請求書。」
「「ええっ!?」」
「何が『ええっ!?』なもんかね。言って置くがね、それはお前さん方を憐れんで、随分と安くしてあるんだよ?まったく。うちのボスが、コンボイ他数名以外のサイバトロンを信用しない理由がわかったよ。
いいかね!何か貰ったら、代価を払うのは理の当然!それが正しい道ってもんだろう!それとも何かね!?正義のためなら、正義を
「「……。」」
ぐうの音も出ない様だ。と言う訳で、俺は通信機の前に陣取って、アルファートリンのコードを入力した。
エリータ・ワンとムーンレーサーが、2人を引き取りにやってきた。
「……と言う訳だ。たしかに俺はお前らから見たら怪しいかもしれん。だがな、俺はメガトロンと敵対している上に、もはやデストロンを抜けた身だ。言わば『敵の敵』だ。こいつらがやった事は、戦力が少ねえお前らからすれば、無駄に敵を増やす事に繋がりかねねえんだぞ?」
「……返す言葉も無いわ。」
「ふぅ……。わかってくれりゃ、いい。こいつら引き取って、さっさと帰ってくれ。ああそれと、こいつらが腹いっぱい食ったエネルゴンキューブの請求書を、ウチの
「……。」
黙って頭を下げたエリータ・ワンだったが、ここで突っ込んで来たのはムーンレーサーだった。
「ええーーー!?何!?この娘たち妙に顔色いいと思ったら、お腹いっぱいエネルゴン食べたの!?ずるいー!!」
「こら、ムーンレーサー!」
「だってエリータ・ワン!クロミアもファイヤースターも、それこそエリータ・ワンだってお腹空かせてるのに!!もちろんあたしもー!!」
頭痛え。俺とスィンドルは顔を見合わせた。スィンドルは、大きく溜息を吐くと、請求書の文字を書き換え始める。スカイファイアーとサンダークラッカーも、げんなりした表情だ。他のコンバッティコン?研究室に逃げたよ。研究活動に逃避してやがる。
「……わかった。少量ではあるが、エネルゴンキューブ都合してやる。そのかわり後払いでいいから、きっちり払ってもらうぞ?こっちだって、エネルゴンキューブは貴重なんだ。」
「いいの?」
「ここで騒がれるよりマシだ。」
エリータ・ワンの表情が引き締まる。
「……前から思っていたのだけれど、貴方がたは何の目的で活動しているの?しかもこんな
よければ教えてもらえないかしら。それを教えてもらえれば、そしてそれが正義に反するのでなければ、部下をきっちり説得して今回の様な騒ぎを二度と起こさせないわ。」
「駄目だ。」
「何故?」
俺は視線に力を込めて語る。
「正直な話、お前らを信用できない。俺が信用できるサイバトロンは、アルファートリン、コンボイ、マイスター、パワーグライド、あと2、3は居るが、まあその辺りだ。しかし俺が俺たちの目的を話したのは、アルファートリンだけだ。
何故か?理由は簡単だ。アルファートリンには部下がいねえ。コンボイは個人の信頼度ならOKなんだ。だがな。コンボイに、部下に対して秘密にしろって言うのは無茶だ。部下たちとの信頼関係を壊しかねない。だからコンボイにも秘密にしている。
エリータ・ワン。悪いがお前は、個人としての信頼度も基準に達してねえんだよ。言っとくが、アルファートリンから聞き出そうなんてするんじゃねえぞ。あの爺さんは、俺との約束を守って自分の
「……わかったわ。でも、アルファートリン様が了承しているのなら、それを信じる。今後、こんな事が無い様にきっちり部下を引き締めるわ。」
「そか。」
そしてエリータ・ワンは部下ども連れて、エネルゴンキューブ幾つか抱えて帰って行った。請求書見て、引き攣ってたけどな。だがそれがまっとうな、しかも良心的な価格だってのは理解しているらしく、文句はつけなかった。
そして50~70メガサイクル……あー、2~3日後か。グリーンライトとランサーの2人が、また現れた。こいつら何しに来たんだ。
「お前ら何しに来たんだ。」
「え、えっと……。」
「デストロンの前進基地を昨日叩いたのよ。」
「それで幾つか機械装置が手に入ったので、こないだの代価の一部にならないかと思って……。」
「え、エリータ・ワンには許可もらったわ!勝手な行動じゃないからね!」
「……ちょっと待て。サンダークラッカー!
俺はサンダークラッカーに持って来てもらった
「レーザーウェーブの奴はともかく、もしかしたらメガトロンだったら、盗まれそうな機械類には盗聴器や発信器を仕込む様に命令してるかも知れん。今回は大丈夫みたいだな。後は、コンピューターや記憶装置、記憶ディスクの類にコンピューターウィルスを仕込んで置くって事も考えられる。」
「い、一応調べたんだけれど……。」
「お前らは基本、戦士だろう。ファイヤースターあたりはレスキューの経験もあったか?だけど、少なくともお前らの中に科学者や技術者は居ねえ。こう言うのはな、通り一遍で調べるだけじゃ駄目なんだ。……あった。」
やっぱりだ。メインのコンピューターから切り離されて、別のコンピューターに繋がれたときに、時間を置いて発動するウィルスが仕込まれてた。こいつはデータの破壊活動はしねえが、通信回線を通じてセイバートロン星のデストロン本部基地に、この装置が存在する場所を通報する仕組みになってやがる。
俺がウィルスを除去しながらその事を教えてやると、この2人の顔は引き攣った。
「大変!うちの秘密基地でも、奪った計算機を据え付けちゃった!」
「急いで戻らないと!」
「……。」
頭痛え。
こいつら2人は、急いで秘密基地にいるエリータ・ワンに連絡した。事情を説明すると、エリータ・ワンは急ぎ計算機を破壊するとか言いやがったから、無駄なばかりか有害だからやめろと言ってやった。まず間違いなく、ウィルスは秘密基地の他の機器に感染してるだろ。どうすりゃいいか、と聞かれたので、仕方ないから俺たちが全員で行って処置してやる事になった。
クロミアが、秘密基地に俺たちを迎え入れる事に難色を示したらしいが、知ったこっちゃねえ。こっちとしても、ウーマン・サイバトロンは信じちゃいねえが、『敵の敵』に潰れられちゃ困るんだ。それにコンボイとの関係は、ある程度良好にして置きたいしな。
「困ったお嬢さん方だね。」
「そう言うな、スカイファイアー。こいつらは戦士であって、科学者技術者じゃねえ。」
「「「「「「……。」」」」」」
ウーマン・サイバトロン連中の秘密基地は、散々にウィルス感染してた。幸いなのは、まだデストロン本部基地へこの場所を通報されてなかった事か。スカイファイアーに乗ってウーマン・サイバトロン秘密基地まで来る間に、オンスロートと俺が必死こいて組み上げたウィルス除去ソフトで、基地のコンピュータ類を全部が全部チェックして綺麗にした。
「エリータ・ワン……。貧乏なお前らに代金払えって言っても無理だろうから、今回のは貸しにしとく。」
「ありがとう……。」
ウーマン・サイバトロンどもは、警戒してた相手である俺たちにピンチを救われ、意気消沈している。まったく……。
「おい、お前ら技量は確かなんだよな?戦士としての技量。」
「あ、え、ええ。そのつもりではあるけれど。」
「ちょっとアルバイトする気はあるか?報酬はエネルゴンキューブ。」
「「「「「「!?」」」」」」
唖然としてやがる。まったくもって……。頭痛え。
そして俺たちは、地球と太陽の間でできるラグランジュポイント、トロヤ点L4へとやって来た。俺の新しい
そして俺が超空間の
まあ、それは置いといて。ここでの実験で作られたエネルゴンキューブとか、重要物資がけっこうこの場に置いてあるって事だけ解ってればいい。
「……と言う訳で、研究内容についてはお前らには教えない。だけど、メガトロンの奴にこの場所が知られたら、何か悪だくみとかするのは間違いないと思ってくれ。だからお前らには、常に交代でここに2人の人員を置いて、万が一に備えて欲しい。送り迎えは俺がやるから。報酬は、ここの実験施設で作られたエネルゴンキューブのうち一部。」
「凄いわ。エネルギー供給が満足に行く様になれば……!!」
「デストロン連中に、もっと対抗できるわ!」
あー、結局ブラックホール炉については、細かい研究内容までは教えなかったが、宇宙で何かやってるって事だけは話しちまったな……。やれやれ。頭痛え。
何にせよ、はっきり言っちまえばこいつらのレジスタンス活動は、小規模過ぎるんだよな。困った事に。レーザーウェーブ配下も、超ロボット生命体の数は少ねえけどよ。でもある程度の自己判断が出来る程度のロボットなら、けっこう大量に居やがるんだ。
こいつらの事実上の指揮官である、あの
何にせよ、頭が痛え。もの凄く、痛かった。
半オリキャラ、出て来ました。いや、モブのウーマンサイバトロンに名前つけてやっただけなんですがね。しかし本当に、あのキャピキャピした連中に、レーザーウェーブが手を焼いてたんでしょうか。いや、キャピルンな連中だからこそ、手を焼いてたのかな?
-追記-
ご指摘をいただいたので、モブのウーマンサイバトロンの名前を修正したしました。ちゃんと名前、あったんですね……。色々と調べたり、手持ちの資料には無かったので、てっきり名前設定されてないものと思ってました。