魔法少女リリカルなのはー1人の天才   作:ヌムラ

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けっこーマジで、キレてます

その日が来たのは本当に唐突だった

まぁ魔法なんて物に関わりだしてからは唐突じゃない事の方が珍しいのだが

 

「ア、イナ、さん…………」

 

「フェイトッ!!」

 

フェイトが突然、アルフに担がれた状態で帰って来た。全身を鞭の様な物で叩かれた痕があり、激しく疲労した状態でだ

 

「藍!!」

 

「わかってます。アルフさん、こちらに運んでください。場合によっては緊急手術の可能性があります

アイナ。処置室を使いますね」

 

「いちいち確認とんな。さっさと運べ!!」

 

処置室とは、生体部品やバイオテクノロジーの研究に使ってる研究室のひとつである。そして当然のことだが無菌室であり、その気になれば手術やその他医療行為をする事も可能にな一室になっている

 

「フェイト…………フェイトォ………。ごめん、ごめんよ。」

 

「アルフ……………」

 

「話は後だぜ。藍、フェイトにとりま睡眠薬を飲ませといて。暴れられてもめんどいし

んで、システムスキャンとメディカルスキャン。ついでにブレインスキャンもかけといて」

 

「わかりました。10分程度で終わらせます」

 

「うんにゃ。‘5時間くらいかけてじっくりやったって’」

 

それを聞いた藍が非難する様な目をこっちに向けてくる。当然無視

だってここまでアタシの事をないがしろにされたらむかつくじゃん。家主の権利でプライバシーなど知った事か

つまるところ、人の記憶を覗き見る装置ぐらいあるので、藍にそれを使ってフェイトの記憶を覗けと言った訳だ。何? 最低だって? 自覚はある。反省も改善もする気はない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

処置室に藍とフェイトを放置してリビング。せっかく入れてやったコーヒーには口を全くつけずに

 

「フェイト…………」

 

とうわごとの様に呟くアルフ。メディカルチェックの方は終わって、見た目程ひどい怪我じゃないとわかって一安心と言った所か

さて、いい加減アタシもバカじゃない。‘システムスキャン’の結論で、この子にはなのは並の魔力がある事がわかり、さらにあのジュエルシードの出現とほぼ同時期にこの海鳴に来た事。もはや一片の迷いもなくこの子は魔法の関係者だと言いきれる。そして、なのはの邪魔をしてる噂のライバル魔法少女だとも

 

 

「……………………アルフさんよ。アンタの目的も信念も理念も、アタシは何も知らないぜ。でも、フェイトがとてもいい子で、あんな傷だらけになっていい子じゃないってのは…………アタシは知ってるつもりだぜ」

 

アルフの目の色が変わる。まるで狼の様だ、おおこわ

 

「知らないね。アンタは何にも知らない。あたしの事もフェイトの事も、何にも知りはしないはずだ!!」

 

「あぁ知ってる訳がない。当たり前じゃないか。何も話してくれない水臭い同居人の事なんか知らないよ!!」

 

なにも言ってくれない。何も伝えてくれない。それなのに自分の事をわかってくれないなんて悲痛な声で叫んでないて。アタシは確かにどっかの頭のネジはとんでるよ。まだ知り合って間もないよ

あぁそうさ、アタシはムカついてるんだ。こんなボロボロになっても平然としてるフェイトに、俯くだけで何も言ってくれないアルフに

そして何より、‘ブレインスキャン’なんて方法でしか大好きな人の事をわかってやれないアタシに!!

 

「もう、いい加減に話てくれないか? アタシじゃテメェらの力になれないか」

 

「………………………無理だよ、アイナ

あんたはあたし達にとってただの情報源で、ただの寝床を与えてくれる都合のいい同居人で、そして…………………………」

 

その先は、言わせなかった

 

「斬城刀」

 

『パスワード要求』

 

「13686407201018736408701478361857806478104765701836574674610408201008437656647892762017640856871764875061741876456765018746576741087465716458016571862803754754657801687263517283580176481723048812764081263416108746518459816508156187465015ー省略ー10874650871635164085160485610847657810364570861384756108764578165874608164876581064。きみしにたもうことなかれ」

 

認証コードを口頭で入力し終わると、アタシの身体は機械に包まれていた

これはアタシが作った最高傑作の一つ。名を残城刀と言う

昔、城をぶった斬るなんてシーンがある映画を見たとき、実際にやってみたいと思ってこれを作った。城を斬る為の衝撃吸収とアタシの趣味でこんなトゲトゲした顔だしアイアンマンみたいになっている

 

「あ、あんた」

 

「アタシってさ、結構温厚な方だと思うし、アンタも色々溜まってんでしょうけど…………」

 

手に持った、2メートルを超える日本刀をアルフに向ける

 

「こっちもいい加減、堪忍袋の緒がキレるよ。タタッ斬るぞオラ!!」

 

「いい加減にしやがれ」

 

刹那、耳元で凄まじい音が響き渡った

残城刀の効果で強化された聴覚に黒板の引っ掻く音はキツすぎる!!

 

「アイナ〜。そんな物まで持ち出して喧嘩のつもりですか? ご主人、怒るよ」

 

いつのまにか後ろに立ってた藍が死ぬ程怖かった。そして藍はぐるんと首をアルフの方に向ける

 

「アルフさんも、さっさと吐かないと‘いろいろ削りますよ’」

 

「「ひぃっ!!!」」

 

ヤバい。これ藍がマジで怒った時のやつだ。藍の背中から般若は見える

 

「主様、アルフさん。覚悟はいいですか?」

 

右手をバキバキ鳴らしながらこっちに近付いてくる。いや、やめて。こわい、たすけてーーーーーーーーー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ごめんなさいでした」」

 

「よし、許す」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、アルフはポツリポツリと語り始めた

フェイトの母親にジュエルシードを集めてこいと言われた事、その過程でなのはとぶつかった事、そして報告に帰ったらフェイトへの酷い暴行

 

「あのばばぁ、どっかおかしいんだよ。あんなに頑張ってたフェイトにあんな仕打ち…………………。許せないよ……………………」

 

「………ま、やっぱ魔法関係者だったのかーとか無駄なやり取りは省くとして…………………どう思う?」

 

そう言って、藍に振る

 

「どうもこうも………………、魔法世界に警察があるのかどうか知りませんが、そう言う機関に連絡するのが普通の反応でしょう。明らかな児童虐待ですし」

 

「いつかこいつが口走ってた管理局だな………………。そう言うのを取り締まる法律が有るか無いか知らないが、アタシ達に連絡手段がない。仮にあったとしても…………」

 

「フェイトが絶対に納得しないよ…………」

 

アルフは三角座りで、顔を埋めてしまった

小さくブツブツ呟いてるアルフを見ていると、後ろの扉が急に開く。フェイトが起きて来たのだ

 

「フェイトッ!! もう身体は大丈夫なのかい!!」

 

「うん、むしろ調子がいいみたい」

 

酸素カプセルに特性の治療薬。後、色々危ない薬も使ったので身体はスグに回復するだろう。まぁこんな短時間で動くなとは言いたいが

 

「よかった…………」

 

「それで………アイナさんと藍さんに話ちゃったんだね」

 

「あ、あぁ。ごめんよフェイト。勝手な事して………」

 

「いいよ、アルフは私の事を考えてやってくれたんでしょ?」

 

そんな会話がしばらく続いて、フェイトはこちらを向く

 

「アイナさん。治療、ありがとう」

 

「おう」

 

「でも…………………もうさよならです」

 

そう言ったフェイトの姿は掻き消えて、そこでアタシの意識は途切れた

 

最後に、ごめんと聞こえたのは間違いじゃないだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢は、記憶の整理である

しかし整理する必要もない位、アタシの記憶は普段から整理整頓されていて、そのせいか知らないがアタシはほとんど夢を見ない。見たとしても、それは整理したくもない最悪な記憶だけ。見た事のある夢は悪夢しかないのである

 

 

『消えろ。消えろ!! この出来損ない!!』

 

だから当然、悪夢

夢を見る時は見たくもない最悪な記憶ばかりを見せられる

 

『消えろ壊れろ死ね!! お前なんて産むんじゃなかった!! 全然違う。この出来損ない!!!!!!』

 

最悪の中でもこれは死にたくなる部類のやつだな。ほんと、いつまで引きずってんだか………………

 

『くそぉ。畜生………なんでだよ…………どこに失敗の要素があったったんだよ……』

 

いい加減、目覚めてくれないかな? ‘いつまでも喚き散らす自分’なんか見てたくない

 

『なに? アンタまだいたの? いいから消えてよ。その顔で、その声で、私の名前を呼ばれたら虫酸が走る。いいから私の前から消えろ。消えろおおおおおおおおおお!!!!!!!!』

 

あぁ目覚めるな。そんな妙な予感を感じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………な

 

あい………

 

「さっさと起きろ!!バカ主!!」

 

「ジンチュウ!!!」

 

人中。人の急所の一つ。ふざけて殴る中高生は多いが、マジで死ぬ事もあるのでやめましょう

 

「藍」

 

「はい、あなたのメイドの藍ですよ」

 

「スリーサイズはグボァ!!」

 

そんないつものやり取りをしながら思い出す。………そうか、アタシはフェイトに殴られて…………

 

「ってこんなアホなやり取りしてる場合じゃないじゃん!! フェイトとアルフは………………」

 

「二人ともアイナ様が寝てる間に行ってしまいましたよ、ジュエルシード探しに。ついでになのはさんも今頃捜索中………」

 

そのとき、センサーに反応があった。どうやらジュエルシードが発動したらしい

 

「……………………行く気ですか?」

 

「当たり前」

 

「はい。そう思って対魔法戦型に残城刀をカスタムしときました。フルスペックには届きませんが、とりあえずなんとか成るでしょう」

 

今回はえらく協力的である。いつもこうだと嬉しいんだけどね

 

「さて、残城刀」

 

『パスワード要求』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アタシが空をアンチグラビティで飛んで現地についた時は、まさに木が化け物に変わる瞬間だった

そこにフェイトが魔法弾を打ち込むが、バリヤーだかなんだかに防がれる。普段だったらバリヤーの存在について小一時間は考察を述べてやるが今回はなしだ

 

「重力倍加」

 

そう呟くと、化け物の周囲の重力は倍に成る

 

「アイナさん!!」

 

「アイナ……………」

 

なのはは驚きの声。フェイトは俯いてしまう。とりあえず無視して

 

「残城刀、リミットブレイク」

 

『認証』

 

アタシは日本刀を、縦に薙いだ

この日本刀には仕掛けはない。ただ、有り得ないくらい固いだけ。仕掛けがあるのはこの機械のスーツ、異常な硬度を誇る素材を使用しダメージや衝撃を自分のエネルギーに変換する特殊な機構をしている。それを無限ループさせる事によって発生する膂力は、一撃で城を砕き割る!!

 

「らぁああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーー!!!」

 

昔、ナナカから刀必要ないじゃんと言われた事があるが、気にしたら負けだ

一刀両断、木の化け物は縦に両断された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはとフェイト、そしてアタシの間に気まずい沈黙が流れる。それを破るのも年長者の役目だろう

 

「やいやいこのバカフェイトさん!! よくもまぁ女の子のお腹をおもっくそ殴ってくれましたわね!! つーかどいつもこいつもアタシの事殴り過ぎ!! いい加減泣くよ」

 

言いながら悲しくなって来た。アタシが一体何をしたってんだ!!

 

「アイナ…………ごめん」

 

「いいよ」

 

「軽いよアイナさん!!」

 

まぁぶっちゃけそんな怒ってないし。殴られるの慣れてるし。……………どうしてこんな事に慣れてんだ? アタシ

 

「さってと、今この場を持って宣言させておうか。

 

 

 

アタシは、アタシ個人でジュエルシードを集めさせてもらう。フェイト、なのは。てめえら敵だ!!」

 

 

 

フェイトの事情も、なのはの決意も知った事か!! もう全部に喧嘩売ってアタシの思い通りにしてやる

 

「えっと……………アイナさん?」

 

「悪いが今ここにあるジュエルシードは頂くぜ。異論も文句も言わせません」

 

悪いが今回は冗談のつもりはないぜ。つー訳で

 

「グラビティバインド」

 

指を一つ鳴らして、なのはとフェイトの周りの重力を3倍にする

 

「え!?」

 

「なっバインド!!」

 

本気で攻撃されると思ってなかったなのはは驚きの声を、魔法を使えないと思っていた(実際、使ってないけど)フェイトもやっぱり驚きの声をそれぞれあげる。知った事かと思いながら、封印処理の為のプログラムを立ち上げた

 

「ジュエルシード、シリアルVII。解析開始……………………完了。斬城、封印処理お願い」

 

『了解』

 

キュインっと音がして、ジュエルシードを覆っていた魔力が消え去る。そしてそれを手に取った所で

 

「フォトン、ランサーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

黄色い魔力弾が装甲部に叩き付けられた。格ゲーのHPゲージの様にアタシの前に表示されている画面でダメージは即座に数値化される。ダメージはないに等しい。魔法相手に通じるか不安だったが、問題なくアタシのこの装甲の効果は作動した様だ

ダメージよ衝撃を、自身の膂力に変える機構をしている。それを応用すれば衝撃を受け流す機構に早変わりという訳だ。いやはや、自分の技術力と頭脳には感服するばかりだね(自画自賛)

 

「ア、イナ…………アイナァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーー!!」

 

「はは、なにを愉快に絶叫してんだぜアルフ!!」

 

拳を振り上げて突進してくるアルフを軽くいなしながら、アルフに問いかける

 

「アンタは、アンタは一体何を考えてるんだい!! どうしてこのタイミングなんだ!! どうしてフェイトが一番辛いタイミングで………」

 

「勘違いすんなよ。先に裏切ったのはフェイトだ。そしてアタシは単純にブチギレたってだけだぜ。フェイトの境遇がどうだろうと、もはや知った事か!!」

 

アルフの拳を受け止め、そのまま城を砕く程の膂力で振り回す。そして地面に叩き付けた

 

「アイナさん!!」

 

「おぉ、次はなのは…………」

 

先は言えなかった。なのはに注意を向けてしまった為、フェイト達への注意がそれたのだ

黄色の刃が装甲を叩く。ガリガリとHPゲージは削れた

 

「フェイトォ………」

 

「アイナ。………………アイ、ナ」

 

耳元で鳴り響くアラートを思考から外して、フェイトに向き直った所で緑色の光がアタシを縛り付けた

 

「グッ…………ユーノか」

 

「なのは!! 今のうちにバインドから逃れて!!」

 

「う、うん…………レイジングハート!!」

 

『Yes,master』

 

電子声が響き、なのはの脚の翼が大きく羽撃くと超重力下にある空間から脱出した

 

「……………こんなもので、アタシを縛れると思ったか!!!」

 

危険域覚悟で斬城の出力を全開にする。そして本来なら力で破れるはずのない魔法の力をぶち破った

 

「そんな!! チェーンバインドまであんな簡単に!!」

 

「簡単じゃねぇよ!! マジで壊れるかと思ったわ!!」

 

ぐるんと刀を一回転させる様に持ち、なのはに向ける。今度はフェイトへの注意も忘れない

 

「チッ、さすがに多勢に無勢かよ…………斬城まで持ち出したってのに負けるか普通。これ一つで小国程度の軍事力なら凌駕出来るってのに」

 

しかし………なのはにはレイジングハートを構えられ、フェイトは動いた瞬間即座に斬るって感じで備えてる。アレ、地味に絶体絶命?

硬直状態が地味に続いて、それを破ったのは

 

「アイナァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

 

地面に叩き付けたアルフだった

刹那、なのはとフェイトの斬撃と撲撃(造語)。下からはアルフの拳でもうどうしようもねぇ。はっきり言って諦めかけた瞬間だった

 

「ストップだ!!!」

 

新たな魔法使いの少年が現れた




やっと、ようやく、ついに、あらすじが本当になったーーーーーーーー!!

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