魔法少女リリカルなのはー1人の天才   作:ヌムラ

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アイナさんの裏切り、フェイトちゃんの涙、いろんな事が頭の中をぐちゃぐちゃにしていく。言葉に出来ない私の気持ち。きっと次にフェイトちゃんに会ったら言葉にできると思う。きっと次にアイナさんに会ったら言葉にできると思う

だから私は、思いと魔法をこの手に乗せて、私はきっと強く飛んで見せる!!


激突

ーなのは視点ー

 

ここはアースラ、なんたら時空なんたら艦なんたらって長い名前のお船です。色々あって、色々あって、本当に色々あって、今ここにいます

アイナさんを確保に行ったクロノ君が帰って来て、ジュエルシードを自力で集めようとしていたのを怒られて、フェイトについて聞かれて、そして

 

「これが最後の質問よなのはさん。あのアイナと言う少女……………一体何者?」

 

「アイナさんが何者か………………えっと、すごく頭のいい科学者さんで、お父さんのお友達で、それで………………………。私に大切な事を教えてくれた人です」

 

そう、アイナさんが裏切ってジュエルシードを奪って逃げたのだ。いつも何を考えてるかわからない所が多かったが、今回はいつもに増して意味がわからなかった。アイナさんはと言えば変人も変人、自分の世界に入り込んだと思ったら次は叫びだして藍さんに殴られる。その光景が余りになじみすぎて、あの人を危険人物の超天才と忘れてたのかも知れない

 

「撲の印象では、奇人変人と言った所です。そしてレアスキルと言ってもいい程の凄まじい頭の良さや知識、そして何より手に入れた知識をいとも簡単に応用し、機械を作成する技術力。重力を操り、空を飛び、ジュエルシードを簡単に見つけ出すセンサーを創りだし、魔法じみた事を全て魔法なしでやってのける凄まじい頭脳の持ち主……………。ただ普段の彼女はただのギャグ要因にしか見えないんですがね」

 

「それはレイジングハートさんの記録を見たからわかる気がするわ…………しかしアイナさんか、相当な危険人物みたいね」

 

それはそうだろう。隙を見せれば怪しい機械や注射器を持って『コワクナイヨー。天井ノ染ミデモ数エテタラ終ワルヨー』とか言ってきそう

知り合いになった事を後悔はしないが、ため息をつきたくなる事はよくある

 

「死んで魔力の痕跡を消して逃走するなんて正気の沙汰じゃないですよ艦長!! 彼女は危険です。今すぐに追跡を」

 

「うーんそうしたいのはやまやまなんだけどねぇ、未だ仮死状態を解いてないのか、解かなくても行動する方法があるのかわからないけど、未だに痕跡すら見つからないのよ。彼女本当に優秀だわ」

 

「か、艦長!! そんなのんきな…………」

 

 

クロノ君とリンディ提督はとんでもなく甘そうなお茶を飲みながら大声で話し合っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

管理局に手伝いを申し出て、一端地上に降りて家族と友達に挨拶して来る様に言われた。

母さん、アリサちゃん、すずかちゃん。大切な人に魔法の事を内緒にしながら説明するのは少し骨が折れた。そして最後にユーノ君と一緒に訪れたのは

 

「ここに来るのは、久しぶりだね」

 

「うん……………」

 

アイナさんの研究所だった

もちろんいるとは思ってない。いたとしても管理局にいの一番に捜索される場所だろう、でももしかしたらなんて思いがあった、もしかしたらいつもの様に『おや? 実験台にでも成りに来たのかい?』と言ってくれるかもしれない。そう思って鍵のかかってない扉を開けた

 

 

「オラァ フェイト様!! どこほっつき歩いてやがったんだ!! どうせジュエルシード探しの拠点なんてここしかないんだから迷わず帰って来いや!!」

 

「口調がおかしくなったランが怖い!!」

 

そこにいたのはフェイトちゃんにアルフさん、そしてアイナさんのツッコミ役の藍さんでした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入るのをためらっていた私は藍さんに引きずりこもれる形で研究所の中に、そしてなぜかお茶を啜りながら藍さんの話に耳を傾けていた

 

「さて、取り乱しました。皆さんには家の大バカ糞バカ弩バカアイナ様が本当にご迷惑をおかけしたみたいで申し訳ありません。今回のお詫びはあの真バカの腹をかっ捌いた上で首を斬りますのでご容赦ください」

 

「えっと、なにもそこまでしなくても………………」

 

「ううん。アイナは一度、本気で酷い目に合った方がいいと思う」

 

「ええ!! フェイトちゃんまでバイオレンス!?」

 

そんなこんなで、本当になぜか知らないけど藍さんがいた。………………………………なんで?

 

「ちなみに私がなんでここにいるかと言うと、あの絶バカに置いて行かれたからです。その後連絡でボコスかに文句言っておいたけど絶対に懲りてないから99/100殺しとかなきゃいけないね? 具体的には死ぬ寸前まで飯抜きとか」

 

ふふふふふふふふふふふ………とか怪しい笑みを浮かべる藍さんは置いといて、あの悲しそうな目をして泣いていた女の子が目の前にいる。何か言わなきゃいけない事がいろいろあったはずなのに、この場に立ってしまったらもう言葉なんか出なかった

 

「フェイトちゃん…………」

 

「え、えと…………」

 

なんだろ、この小動物みたいな子。凄く可愛いんだけど、凄く可愛いんだけど!!

 

「フェイトちゃん………」

 

この衝動、どうしたらいいのかわからない!! いっそどこかにぶちまけようか!? うん、なんか私も壊れて来た。こんなの私のキャラじゃない!!

 

「………………………………なるほど、そう言う事ですか。あなた達のやり取りを見て、アイナ様の狙いも見えました」

 

「バカの頭につける言葉のネタが無くなった?」

 

フェイトちゃんの酷いツッコミが入る………フェイトちゃんってこんな子だったかなぁ?

 

「さてと、私としてはフェイト様の味方ですし、なのは様の味方でもいたいとも思っています。だからフェイト様は今すぐ管理局に出頭しやがれと言いたい所ですが、そう言う訳にはいかないでしょう。だからなのは様はフェイト様を見逃して管理局にも報告しない」

 

「なっ!!」

 

「…………………」

 

ユーノ君が頭の上で声を上げるが、私はどうしたらいいか解らなかった。この寂しそうな目をした女の子をどうしたいのか、いつも辛そうな目をしたこの子になんて言ったらいいのか、どうしたいのか、どうなりたいのか、今この子の前に立っても解らない

 

「その代わり、私が管理局に出頭して次にバカ主人が現れた時に殺します。ミンチにします。分子レベルで消し炭にします。焼きます、搾ります、轢きます、マジでぶち殺します。つー訳でなのは様、フェイト様はほっといて今すぐ管理局に行きましょう」

 

「え、えと、管理局っていうかアースラって言う戦艦っていうか………ちょ、ちょっと引っ張らないで!! 藍さーーーーん!!」

 

そんな思考に陥ってると、なぜかいきなり暴走した藍さんに引きずられる形でアースラに帰って行く事に言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言う訳で、今日からこのアースラにお世話になります藍と言います。一応、メイドの真似事をしておりますので最低限の仕事はさせていただくつもりなのでよろしくお願いします」

 

そしてと言うかなんと言うか…………なんか大量の機材を部屋にぶちこんで居着いてしまった。謎の多い人だとは思っていたけど、ここまで行動力の溢れる人だとは思わなかったなぁ。しかしと言うかなんと言うか、この人もいろいろおかしな所が多いです。例えば………

 

「おら、そこの武装局員ー。あと1分くらいでご飯できるから台所に入ってくんじゃない。ここは女の戦場…………なに? 私も女だって? んじゃメイドの戦場です」

 

とか

 

「掃除くらいまともに出来ないんですか? あ、ホコリ。私ハウスダストに凄く弱いんです。ったく、結構配線がごちゃっとしてて掃除に時間がかかって仕方ないですね〜。くそ、裏技使って10分で終わらせる!!」

 

さらに

 

「リンディ様、緑茶に砂糖とミルク入れるんですね。………………入れ過ぎです。別に入れるななんて言いません、入れ過ぎはお茶を入れるメイドに喧嘩売ってると思われますからインスタントだけにしてください。……………………よし、喧嘩売ってんですね。こうなったらクソ甘い緑茶作ってくるから待ってやがれ」

 

などなど

たった1週間で携帯食料が主流だったアースラの食事を改善し、アースラの船内がどこに行ってもホテル並みの掃除の行き届かし、リンディ提督の緑茶をスペシャル緑茶(健康にいい甘党の人も大満足緑茶)に変更させるなど、アースラ内で陰の支配者的な地位になりつつあった。そしてアイナさんの陰に隠れて解らなかったけど、あの人も変人である。無駄に高いスペックに、すずかちゃんの家のメイドさんを知ってる私としては信じられないおかしい口調。そして世話焼きスキルに面倒事にはなぜか必ず首をツッコミ出歯亀精神………………………この人いったい何者なのか凄く気になるなのはです

 

「なのは様、紅茶のお代わりはどうですか? 桃子様にはかないませんけど、それなりの味は出せてると自負してます」

 

「え、えっと…………じゃあお願いします」

 

「かしこまりましたっと、しかしこの次元空間航行艦船と言いましたか………マスターには見せられないですね。あのバカ様がこんなの見たらどんな反応するか考えただけでも怖気がします。さらに言うとその後に作ると思われる無駄発明品も」

 

「えっと、藍さんってアイナさんのメイドなんですよね。今更ですけどバカとか言っていいんですか?」

 

「では、ヴァカと言い直しましょう」

 

もう何も言うまい

持って来たティーポットで私のカップに紅茶を注ぎながらのこの言い様。すずかちゃんの家のメイドさんって凄くまともだったんだなぁ。メイドがいる時点でまともじゃないとかツッコミは置いといて

 

「さてと、ジュエルシード集めが順調な様で何よりです」

 

「私達が手に入れたのが3つ、フェイトちゃんが1つ。それで残りは6つらしいんだけど………………全然見つからないらしいんだよね。藍さんがくれた海鳴の精巧すぎる地図とジュエルシードセンサーのおかげで思ったより早く回収が進んでるらしいけど」

 

「しかしセンサーに反応がないとなると、やっぱり海に落ちたと考えるのが妥当ですねぇ。一応サルベージの機械も運んで来た方がいいんでしょうか?」

 

そんな物まであるんだと、若干あきれつつ手しまう

しかし、こうしているとアイナさんの事とフェイトちゃんの事を考えてしまう。藍さんにアイナさんが裏切った理由について聞いてもあのバカ殺すしか言わないので話にならなくなり、フェイトちゃんに至っては実はちゃんと話せた事がない。一体どうしてジュエルシードを集めているのか、なぜあんな悲しい目をしてるのか、私には知る術はないのだ

 

「………………………………藍さん、アイナさんの居場所について本当に心当たりはないんですか?」

 

「ありますよ、868056784849件程。まぁ主人の持つ研究所の数なんですけどね」

 

そんな調子でかんじんな事は結局なにも喋ろうとしない藍さん。見つからないジュエルシード。私たちにやれる事は今は何もないのだ

 

「まぁ、バカ主人の狙いなんかは見当付いてるからそんなに心配しなくても大丈夫ですよ。次に現れたら私が殺すから問題ナッシングです」

 

「にゃはは…………」

 

もう失笑しか出ない

 

 

そんな話に花を咲かせていたときだった。耳をつんざく様な警告音、モニターのemergencyの文字。それが聞こえたとき私たちはブリッジに向かって駆け出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リンディさん!!」

 

「来たのね、なのはさん…………………」

 

モニターを見ると、巨大な魔法陣の上で呪文を呟き続けるフェイトちゃんの姿があった

 

「全く……………なんて無茶をする子かしら。いえ、無茶を通り越して無謀ね」

 

フェイトちゃんは残りのジュエルシードが海にあると思って、魔力溜を叩き込み無理矢理発動。その後、封印回収するつもりらしいのだが…………それは余りに

 

「無理ですね。発動状況にもよりますが、消耗した状態で最大6つもジュエルシードを封印出来る可能性はほぼ零です」

 

藍さんの台詞は、その場にいた人間の心を代弁していた

 

「わ、私すぐに現場に…………」

 

「その必要はない、放っておいてもすぐに自滅する。しなくてもその後を叩けばいい」

 

「そんな!!」

 

それはきっと大人の判断なのだろう、事実リンディさんも肯定する様な事を言った。でも、そんなの許せる訳が無い。そんな事を許していい訳がない!!

 

『なのは!!』

 

突然、テレパシーでユーノ君の声が届く

 

『なのは、行って。撲もなのはと同じ気持ちだから』

 

『でも………………』

 

『大丈夫だよ、転送は撲がやる。だから行って!!』

 

それ以上の言葉は必要なかった。私は転送装置に向かって駆け出して、中に入る

 

「なっ!!」

 

「なのはさん!!」

 

「すいません!! 高町なのは、指示を無視してして勝手な行動を取ります!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海鳴上空。レイジングハートを手に、空を飛ぶ。下に見えるのは魔力溜を海に叩き込もうとしているフェイトちゃん。声を張り上げて止めようとした

本当にその瞬間だった

 

 

「変なもん発動なんかさせんじゃねぇぜ。めんどくせぇ」

 

 

すっかり聞き慣れてしまったその声が、聞こえて来た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーアイナ視点ー

 

とりあえず、魔法に詳しくないアタシですら解る無茶をしようとしている金髪居候にドロップキックをぶちかました

 

「ったく役者が揃うのが遅すぎるぜ。っとこんな事言ってる場合じゃなかった。斬城、やって」

 

『ジュエルシード捜索…………………完了。座標表示』

 

「OK、重力反転。ジュエルシードを我が手に」

 

海の底のジュエルシードを確認した時点で、ピンポイントで重力反転。さらに多少の操作を加えてアタシの掌にジュエルシードを修める事に成功した

 

「フェイトちゃん!!」

 

「………………くっ」

 

弾き飛ばしたフェイトになのはが駆け寄る。おーおー、微笑ましい光景だねぇ。この時点で目的の8割は終了してんだけど、ここまでお膳立てしてなにもしないってのは違うよねぇ

 

「さてさて、我が家の居候ちゃんとどっかネジのトンだ主人公ちゃん。アタシの手にはアンタ達の求めるジュエルシード。もうこの時点でアタシ達は戦うしかないぜ? ユーノもアルフももちろんかかって来な、どうせなら管理局の皆様方も巻き込んでの大乱闘と行こうじゃないか。なぁ、皆様方」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー視点なしー

 

最初に動いたのはアルフだった

叫び声を上げながら魔力を充電させた拳をアイナに向かって叩き付ける。しかし、そんな物でアイナの斬城が微動だにするはずもなかった。衝撃を自身のエネルギーに変える事の出来る特殊な機構、この1週間でさらに強化したそれは魔力を込めた拳をいとも簡単に受け流す程のものだった

 

「ははっ!!」

 

アイナは軽く笑い飛ばすと、アルフの拳によって生じたエネルギーを拳に乗せてアルフに叩き付ける。その衝撃はたった一撃でアルフを戦闘不能にする程だった

 

「アルフ!!」

 

「さぁ!! 惚けてる場合じゃねぇぜフェイト!! こないならこっちから行くぜ」

 

アイナは背中に背負った身の丈程もある巨大な日本刀を抜き放つ。そして縦に振り下ろした。

 

「ッ!!!」

 

「フェイトちゃん!!」

 

飛ぶ斬撃…………ではなく音速を超えて振り下ろした事によるソニックウェーブ。なのはが横から吹き飛ばしたことでなんとかフェイトは無事だった

 

「フェイトちゃん!! しっかりして。アイナさんが何を考えてるかなんて解らないけど、お話すれば話し合えればきっと!!」

 

「……………な、のは?」

 

「っ!! 初めて名前、呼んでくれたね。うん、なのはだよ。高町なのは。私はあなたに伝えたい事が…………」

 

「チャラチャラ喋ってんじゃねぇ!! ぶちまけるぞオラァ!!」

 

何かを喋る暇なんて与えない。そんな事を言いたげに腰に装備したレールガンをぶちかます。それは緑色のバリアーによって防がれた

 

「ユーノか………………。はっ!!来んのが遅ぇよ!!」

 

「アイナ…………もう撲は、あなたの事を敵とみなします」

 

「遅ぇ遅ぇ!! ズレてんだよテメーらは!! 敵?味方? そんなのを一体どんな根拠で確認するつもりだよ。だがまぁそんなに言って欲しいなら言ってやるぜ。今のアタシはテメーらの敵だ!!」

 

アイナは右手を突き出す。重力操作、自重の数十倍の重さがこの辺り一帯の全ての物質にかかりだす。もしもここが海の上空でなかったら大震災でも起きたかの様な惨状になっていただろう

 

「ディバイン…………バスターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

とんでもない重さを無理矢理支えながら、なのははレイジングハートを構え砲撃をぶちかます

 

「ちっ!!」

 

アイナは小さく悪態を付いたかと思ったら、桜色の砲撃を右手で受け止める

 

「ってぇ……。斬城でも受けきれないとかどんなバカ威力だぜ。トラックの直撃くらいだったら軽く受け流せるんだぞこれ」

 

「そんな事を呟いてる場合か?」

 

アイナがハッとした時にはもう遅かった。青白い魔力弾が斬城の間接部を正確に貫く

 

『出力の30%ダウン。戦闘行為に支障ありません』

 

アイナの耳に斬城の報告が届くが彼女には聞こえない。ハンマーで殴られた様な衝撃に晒されていたからだ

彼女は研究者であってプレイヤーではない。彼女の人生の中で2番目に相当する痛みだった

アイナはすぐさま首筋に注射針を突き刺す。そして動脈に何の躊躇もなく薬品を流し込んだ

 

「…………………………君は、本当に正気なのか?」

 

「ただの痛み止めを打っただけでそんな目で見てんじゃねぇっての。臨床実験も完了してる薬だから問題ねぇ。……………効き過ぎで、しばらく不感症になるけどな」

 

それでも首から注射しなくてもいいじゃないかとアイナ以外の全員が思った

 

「さてと、フルキャストになった所で……………アタシも奥の手と行こうか!!」

 

アイナは左手を突き出す。右手には重力を操る装置が内蔵されていたが、それとは違う形をしていた

バチバチと音を鳴らしながら、それは帯電していく

 

「さぁて!! 泣いても笑ってもこれが最後だぜ!! ディバインバスターをアタシなりに再現した反粒子法!! マスターーーーーーーースパーーーーーーク(笑)!!!」

 

「こういう場面でネタをぶち込んでんじゃねぇえええ!!!」

 

突如聞こえた叫び声にアイナは振り返って砲撃を止める。その声に聞き覚えがありすぎたからだ

 

「あ、藍だ」

 

「めんどいから全部のツッコミ放棄して、死ねやボケェエエエエエエ!!」

 

兜をかぶった頭に踵落とし。本来ならそんな物は斬城には効きもしないはずだが、今回は違った

 

「ぎっ………ギャグ補正ってこんな時にまで適用されるのかよ……」

 

「んなわけねーです。私なら斬城の予測計算を狂わす程度わけない事知ってるはずですよね」

 

斬城の衝撃を受け流す機構は、攻撃の受けるタイミングや勢い、その他色々な要素を衝撃を受ける直前の計算して起動する。ならばその計算を狂わせればいい

 

「ひ、ひどい!! なんでアンタ勝手にアタシの研究資料見たでしょ!! エッチ!変態!信じらんない!! あぁでも悔しい感じちゃうビクンビクンー」

 

「………………………本当に死んでくれないかなぁ、この人」

 

「あ、ヤバい。マジで怒ってる」

 

藍は手を挙げて、指向性の音波をアイナ以外の全員に向けてメッセージを送った

 

『………………………………皆さん。私の合図で本気の一撃をアイナに向かってかましちゃってください』

 

その声はアイナ以外の全員に届けられ、その怒気に圧倒されたその場の皆は杖をアイナに向けて構える

 

「ア、アレ? もしかして許容量をオーバーした攻撃は受け流せないってばれた? つーか藍が教えた? そしてアタシの発明品を勝手に使うな!!」

 

「死ね。スタングレネード」

 

藍は無造作に取り出した銃をアイナに向けて撃つ。3ミリ程の弾はアイナの前でとんでもない光と音を撒き散らしてアイナの視力と聴力を奪った

斬城には致命的な弱点がもう1つある。それは機械によって知覚を強化してるため、強烈な音や光に弱いのだ。ちょうど虫眼鏡で太陽を見た時の様に

 

「のぎゃあああああああああああああーーーーーー!!」

 

「今です!!」

 

藍は叫ぶと同時に銃弾をもう一つ放つ。それは速度が早いだけの軽い弾。しかし斬城の計算を狂わせるシルバーバレッド

 

「んまっ」

 

それがアイナの脇腹に叩き込まれる

 

「つぁ ちょぎ!」

 

「マヨネーズなんていりません」

 

藍のそんな台詞と同時に

 

「ディバインバスターーーーーーーーーー!!」「サンダースマッシャーーーーー」「ブレイズキャノンッ!!」

 

「ネタに走ってる場合じゃねって計算狂って間に合わなーーー」

 

空気を震わす程の衝撃をその身に受けて、アイナは海の底に沈んでいった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海の底に沈んでいったアイナを見ながらフェイトは呟く

 

「なんだかいつも通りの展開になっちゃったけど……………いいのかな」

 

「いいんです。あのバカにシリアスなんて担当させません」

 

「ってアイナさん沈んで行って浮いてこないよ!! いいの!?」

 

「え? いいに決まってるじゃないですか。これであのバカも無事にあの世に行けたでしょう。これで世界は救われました、比喩なしで」

 

「本当にアイナさんを殺す気だったんですか!!」

 

なのはの叫び声と藍の飄々とした態度。そこにフェイトの馴れた様子でいなす。ここにアイナが居ればさぞかし面白い事になっただろう

 

「さて、なのはさん。フェイト様と共闘して、アイナのバカ様をぶっ飛ばして、それでどうですか?」

 

「…………………………………………うん、解ってってる。違うね、解ってた、だね」

 

なのははそう言うとフェイトの方を向いて言った

 

 

「フェイトちゃん。あなたと友達になりたいんだ」

 

 

その言葉を、やっとの思いでなのははフェイトに伝えたのでした

 

(アイナ様も本当に回りくどいですね。この2人を友達にしようとしてわざわざ共通の敵になるなんて。今回の件でアイナ様が必要かどうかと聞かれたら答えられませんが、まぁお仕置きはこの程度にしておきましょう)

 

アイナの目的。今回わざわざ敵に回ってまでこんな事をした理由はフェイトとなのはを仲良くさせる為だった。その為だけに敵に回ってこんな事をしでかして周りを引っ掻き回して、今に至る。存外、相坂 アイナの思考回路は簡単に出来ているのかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その会話が繰り広げられてるその瞬間、アースラは蜂の巣を突いた様になっていた

 

「次元干渉!? 本艦に向けて魔力攻撃、来ます!!」

 

「な!!」

 

紫色の雷がアースラに直撃する。次元レベルでの魔法の運用、それは個人レベルでの魔法を大きく超えた力だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かあ………さん?」

 

フェイトがそう呟くと同時に紫電が空から降ってくる。その雷は寸分違わずフェイトを狙っていた

 

「フェイトちゃん!!」

 

なのはが声をかけた時に見た光景は、いつの間にか現れたアイナがフェイトの盾になって雷の直撃を受けた所。直撃を受けたアイナは血を吐いてフェイトに支えられる様に飛んでいた

 

「ア、イナ? え?」

 

「ちくせう。海に叩き付けられた時に、胃に血でも溜まってやがったみたいだぜ」

 

「なんで、私をかばって…………」

 

その問いに答える暇はなかった、アイナが今度こそ気絶したからだ

 

「フェイト!! アイナからジュエルシードを!!」

 

回復したアルフはフェイトに向かって叫ぶ。その声に反応したフェイトはアイナのポケットをまさぐってジュエルシードを手にした。

そして彼女はアイナを抱えたまま、空に向かって飛ぶ

 

「行かせるか!!」

 

クロノの叫び。しかし高速型のフェイトに追いつけるはずもなく、彼女らを逃がしてしまった




約一万文字…………しかも結構な難産でした。そして視点変更してすいません、途中でアイナ気絶するし戦闘描写は他視点のほうがやりやすいので

そして安定のシリアスブレイカー。私ってシリアスなのは長々書けないみたいです

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