魔法少女リリカルなのはー1人の天才   作:ヌムラ

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いつもいつもナナカの事ばかり考えていた。‘私’はあの子に救われて、あの子の為にここにいる

でもあの子は簡単に死んでしまって、殺してしまって

幸せになって

最後にナナカはそう言った

‘私’はあの子に救われて、あの子の為に生きている

ナナカを殺してどうやって幸せになれって言うんだろう

その答えは、まだ見つからない


親子

ーアイナ視点ー

 

夢を見ていた気がする。最近多いなぁ

ナナカがいて、藍がいて、フェイトがいてアルフがいて、なのはがいてユーノがいて。皆で仲良くアタシが創ったゲームをする夢

生まれて初めてだ、こんな幸せな夢を見たのは。あぁ、こんな絶対ありえない夢を見るなんて、アタシも焼きが回ったか

 

「ん、ぁ」

 

なんか色っぽい声が出て自分でドン引きだ。天井のシミを見つめて大きくため息をついて

 

「で? どこだよここ」

 

なんか紫である。どこ見ても紫である。一体誰の趣味だよ、悪すぎだろ

 

「起きたかい?」

 

「赤発見」

 

「起きて第一声はそれかい!!」

 

最近ツッコミ役が定着して来たアルフがベッドの横に座っていた

 

「………………で? どうなった」

 

「…………………」

 

アルフはこちらを値踏みする様な目で見つめてくる。いやん、アタシには視姦されて喜ぶ趣味なんて、趣味なんてぇ!!

 

「あぁダメだー。なんか頭がエロい方に飛んで行きそうだぜー。寝起きってなんかいろいろ頭バグるよね」

 

「はぁ。本当は裏切った事についていろいろ言ってやるつもりだったけどなんかどうでも良くなったよ」

 

それは何より

 

「アンタが気絶した後はフェイトがアンタを抱えてここまで転移したんだ。ここは時の庭園、あたし達の……………うん、実家みたいなもんよ」

 

なるほど、噂のドメスティックマザーがいる場所か。そしていつのもまにか次元転移経験してしまっていたらしい。くそう、いろいろ調べたかったのに

 

 

「アタシの斬城………………鎧は?」

 

「あぁ、あのごつい鎧ならそこにおいてあるよ、脱がすのに苦労したさ」

 

「だろうね」

 

一応、外部から強制パージ出来る様にしてあるが、発見困難な場所に小さな赤いボタンがあるだけ。むしろよく脱がせれたなと感心した。そう思ってアルフに指された方を見たら、鉄くずが置いてあった

 

「……………………………………………おい、アルフさんや。これやったの誰?」

 

「え? アタシとフェイトだけど………」

 

「そうか、死ぬのと生きたまま解剖されるのと劇薬の実験台になるの。好きなのから選ばせてやる」

 

「へ?」

 

アタシの、アタシの最高傑作に

 

「なにすんじゃボケェえええええええええええええええええええええええええええええええええーーーーーーーー!!!!!」

 

ベッドから飛び出して、アルフの頭にドロップキックをぶちかました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果、返り討ちにあった

まぁ身体スペックで勝てるはずもなし、当然の事と言えば当然の事だが、マジ切れを軽くいなされてあげくに心配されたせいでアタシの心は今、凄まじくナーバスです。別に斬城の修復くらい1日もあれば出来るが、それなりの愛着もあったからのマジ切れだったんだけどなぁ。そしていたたまれなくなって部屋を飛び出して

 

「迷子か…………………何気に初めての経験かもしれない」

 

人生と言う迷路にはいつも迷ってるけどな!! うん、うまくともなんともねぇ

 

「しかし本当に悪趣味な家だなぁ。魔王城じゃねか」

 

いや、逆にセンスにあふれてるのか? ファッションや家の調度のセンスには疎いからわかんねぇ。服なんて寒くなくて恥ずかしくなけりゃそれでいいと思ってる人間だからなぁアタシは

 

「随分と失礼なお客様ね」

 

「にゃうっ!!!」

 

突然後ろから声をかけられた。ビクックリした。ビックリし過ぎで凄く可愛い声が出た。自分でドン引き(二回目)

 

「だ、誰だぜ!?」

 

「…………………本当に失礼な奴ね。まぁ、いいわ。ついてらっしゃい」

 

「生憎、知らないおばさんについて行っちゃダメってママから言われた覚えがない。うん、一回もないな。むしろついて行って帰ってくんなみたいな目で見られてたな」

 

アタシの台詞は完全無視で冷ややかな目でこちらを見てくる。あ、違う、面倒くさい子を見る目だ。つーか自虐ネタのスルーってマジで酷くね?

 

「来なさい」

 

もう一度低めの声で言われて観念した。どのみち今の武装じゃ逆らえっこ無いしね。右手の充電にはまだまだ時間かかるし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連れてこられたのは玉座…………つーか完全に魔王城じゃねぇか

 

「さて、あなたは一体何者なのか、そこから聞こうかしら?」

 

「フェイトから聞いてねぇのかよ……。悪の天才科学者、相坂アイナさんですよ」

 

「そんなふざけたのはいらないの。ジュエルシードを魔法なしで封印する規格外の技術力、そのバックには管理局の陰はない………………

単刀直入に聞くわ。ジェイル スカリエッティがあなたの背後にいるんじゃないの?」

 

おーと? また新キャラかよ。交友関係の狭さに定評のあるアイナさんにはしんどいですよこれ

まぁいいとして、問題は正直に答えるべきか否かである。そのジェイルさんとやらには全く覚えなんかない。しかしそれを言った所で信じてくれるかも解らないし、第一目の前にいるこの女は噂のフェイト母と思われる危険人物である。政府機関である管理局に喧嘩だって売る危険人物なのだ。善良で無垢なアタシには恐怖の対象以外の何物でもない

 

「はぁ、そのジェイルさんが何者かなんて知りもしないけどさ。アンタは誰かいい加減に自己紹介してくんないか? フェイトのお母様でドメスティックバイオレンスの鬼畜って事以外知らないんだけど」

 

あ、ちょっとこめかみが動いた。イラついてるな

 

「…………………………プレシア テスタロッサよ。ジェイル スカリエッティについて何も知らないのね?」

 

「知らねーぜ。アンタが信じるかどうかも知らねーけどな」

 

「そう………………では本題に入りましょう」

 

そう言ったプレシアは、杖を構えてこちらに向ける

 

「あなたが持っていたジュエルシード6つ。それにかけたプロテクトを解除しなさい」

 

彼女の周りにいくつもの魔力球。あぁ、こんだけ食らったら死ぬな

 

「何の事だぜ?」

 

「とぼけるつもり? あのジュエルシードにはプロテクトがかけられていたわ。フェイトに話を聞く限りあなたは魔法にアクセスする能力はない。しかしあのレベルのプロテクトは初めて見る、そんなレベルよ」

 

だろうねぇ。魔法使いには解けない様に作ったパズルだし

 

「そうだね。アタシが仕掛けたよ

でも解き方なんて簡単だぜ? スパコン並みの処理力があれば数分で解ける代物だ」

 

「インテリジェンスデバイスの並列操作で今処理中よ」

 

じゃあ無理だ。所々に機械では対処出来ないファイアーウォール仕掛けてあるから

 

「まぁ交換条件と行こうじゃないか、ジュエルシードの封印を解除する代わりに………」

 

「あなたを殺さないでおいてあげるわ」

 

「………………………そんな悪質な交換条件聞いた事ねぇよ」

 

取引じゃなくて脅迫と言うんだよそれは。つかひでえな

 

「………………………あなたは今、この状況を予期していた節があるわ。だから交換条件を相当前に用意していたのでしょう? そんなヤバそうな条件を飲める訳ないでしょう」

 

「そりゃ買いかぶり過ぎじゃね? そしてそこまでヤバい事言う訳っ!!」

 

耳を紫色の弾が通過して行きました。冷や汗、そしてすこし耳が切れた。こあいっす

 

「聞く耳持たないわ。死ぬか解除するか選びなさい」

 

もうどうしたらいいんでしょう。もういいや

 

「とりあえずジュエルシード貸して」

 

「………………」

 

ジュエルシードがプレシアの杖から出現してアタシの手に収まる

 

「さてと、えい!!」

 

で、ジュエルシードの偽物を右手の握力でぶっ壊した

 

「なっ!!」

 

「いやフツーに偽物だから。中調べたら完全に歯車で作ってるぜ? ぶっちゃけ玩具。歯車で星を作った物語を読んで適当に作った奴だぜ?」

 

「あ、なた……………」

 

「ちなみに今持ってないぜ、こうなる事が予想出来てたのにどうして持ってくんだよ? さて、今度はこっちが脅迫する番だぜ。ジュエルシードが欲しけりゃアタシの要求を飲んで貰おうか?」

 

「っっっっっっっっっっ!!」

 

さて、こちらに流れが来た所で……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、プレシアがキレた

具体的にはアタシを連れて来たフェイトに当たり散らしてた。そしてそれを目撃したアルフがキレてプレシアに喧嘩を売り、ボコられ逃げ出した

 

「…………………………………あれ? これアタシのせい?」

 

藍がこの場に居たら『解ってんならやんなぼけぇええええええええええ!!!!』とか言って心臓突き喰らわせてきそう。いなくて良かったよ、ほんと

さて、プレシア改め糞BBAを蹴り飛ばさなきゃいけねぇぜ。アタシのフェイトになんて事をしてくれたんだ。あの子すっげぇいい子なんだぜ、この対人恐怖症のアタシが言うぐらいなんだから本当にいい子なんだよ!! アタシが藍に自業自得でボコられてたら、『大丈、夫?』って控えめにタオル差し出してくんのよ? しかも藍のご飯の準備も手伝うし、アタシが寝落ちしたら毛布かけてくれるし

 

「だからテメェにはもう少しフェイトと家族として接してやれって言ったじゃねえか。この温厚で定評のあるアイナさんもキレるぞ? つーかキレてるわ」

 

「………………………あの子は私の娘よ。あなたにとやかく言われる筋合いはないわ」

 

「いや、あの子はアタシの嫁だ。今度結婚する」

 

あ、青筋たってる。やりぃ

 

「……………………ジュエルシード、渡す気ないのね」

 

そしてマジ切れ、やばい。つってアタシもそこそこキレてるから引く気はないけど

 

「ねぇよ」

 

その言葉が引き金となった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前には紫色の大剣。あの紫が速攻で距離を詰めて振り下ろして来たのだ

アタシの動体視力は通常時はそこまででも無い。というか雑魚である。だから今この場に至るまでに薬を打っておいた

 

「っ」

 

軽く息を吐いて、剣を半身でかわす

打った薬は動体視力、思考速度、痛覚麻痺と言った効果をもたらす物。3週間前に作ったばっかりの新薬だけども問題なく効いている

キュイッっと音をさせ、右手を紫BBAにカウンターであわせようとしたが、いとも簡単にすり抜けられてしまう。やっぱ戦闘は苦手

 

「あぁああああ!!」

 

紫BBAは声を出して大剣を切り返してくる。反応は出来るが返し技が思いつかない。しょうがないから右手で大剣を殴りつけて、その場を逃れた

 

「…………………」

 

「あーくそ。やっぱ戦力差がありすぎるぜ」

 

つーか後衛みたいな格好してるのに、おもっくそフロントアタッカーなのな。そんな事を思ってると、数十の紫の球体にいつの間に囲まれている!! やべえ!!!

 

「沈みなさい」

 

ポケットから取り出した自作注射器を自分の首に突き立て、躊躇してる暇がないので中の薬品をとっとと身体に流し込む。ドーピング薬は1秒以下の時間で脳に届き、脳にかかったリミッターを解除する。身体強化、薬は後々のケアが面倒いからあんまり使いたくないけど、どうしようもないのでもう使う

紫の弾をドーピングで強化した知覚と肉体で無理矢理回避、しかしすぐに大剣による薙ぎ払いが来ていた

 

 

ギンッ

 

 

そんな鈍い音がして、アタシの右腕は切り落とされる。あ、やべぇ。詰んだ

 

「終わりよ」

 

「間違いない。だったらイタチの最後っぺ位くらえ」

 

右腕をパージして自爆(煙と音)を発動。目をつむって片耳塞いだ瞬間に爆発して周囲を片栗粉まみれにさせた

 

「さて、逃げるか」

 

まぁどこに逃げるんだって話だけどね。次元移動の理論自体は完成してるけど、機材がないから再現不可。さて、八方ふさがりとはこの事だ

 

「逃がすなんて思ってるの?」

 

逃げると呟いた瞬間、そんな声が聞こえて来て首と頭に衝撃。どうやら首を掴まれて壁に叩き付けられた様だ

 

「ってぇな」

 

「ジュエルシードを渡しなさい。殺すわよ」

 

「……………………」

 

死。はっきりいってそこまでの恐怖は感じない。と言うか、ナナカを殺した日から何度も自殺を計っている

死にたい、とまでは行かないものの生きたいとも思えなかった。ナナカの『幸せになって』と言う遺言に従って何となく幸せそうなフリをして今まで生きて来ただけなのだから。しかし今は昔と違って、少しだけ守りたいものが出来てしまっている。なら、今ここで死ぬ訳にいかない

 

「一つだけ教えやがれ。テメェはジュエルシードで何をしようとしてやがる? たった一つで世界を終わらしかねない物をいくつも集めて、何をしようとしてやがる」

 

「…………………………取り戻すのよ。本当に大切なものを」

 

紫BBA………もといプレシアがそう言った。その目を見たとき、なんだか知らないが理解してしまった。あぁ、こいつにも何かあるんだって

協力しようとは思わない。でも少しだけ、安っぽい気まぐれで、いいかな何て思ってしまった

 

「………………093080179419876501764016」

 

アタシの声に反応して、切り落とされた右手が開く。そこには6つのジュエルシードが入れてあった

 

「持って来てないってのも嘘だったのね」

 

「はっはー。あの状況で偽装出来る時間なんかねぇよー」

 

海の中に落ちていた間に右手の収納スペースに突っ込んどいたのだ

 

「…………………フン」

 

それを回収して、アタシから手を離す

 

「あなたは次にフェイトが地球に行く時に一緒に送って行ってあげるわ。それまでおとなしくしてなさい」

 

「はいはい。わかりましたよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、後日。アタシとフェイトは大広間にいた

プレシアはフェイトにジュエルシードを持たせ、最後の賭けに出るつもりの様だ。

 

「アタシは………どうしよっかなぁ」

 

なのはの味方をする。フェイトの味方をする、プレシアの味方をする。それら全てはアタシにとって、守りたい事になっていた

なのはとフェイトを仲良くする為に敵対した。プレシアを救いたいからジュエルシードを渡した。それだけ矛盾した事をし続けたいま、アタシは自分が何をすればいいのか解らなくなっていた。思考に没頭する、没入する。言葉なんかに意味は無い、自分の最初の目的も今はどうでもいい

あぁそうさ、あの癪に触るくらいまっすぐだったバカやろうみたいに臆面もなく言ってやりたいんだ

 

 

『‘私’は全部を救いたいんだって』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー地球ー

 

賭けよう。全てのジュエルシードを

 

なのはのそんな言葉に導かれ、フェイトは公園にやって来た




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