魔法少女リリカルなのはー1人の天才   作:ヌムラ

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月光の桜色

眠い

眠いのだ

と言うか寝ているのだ

窓際一番後ろの席をイカサマで射止め、ポカポカ陽気を浴びながらする昼寝は最高だと思います

 

「相坂………貴様はいつも寝てるな」

 

そう声をかけて来たのは数学の授業をしている東大卒とか自慢してるゴリマッチョ

いい加減にアタシに授業なんて受けさせるの諦めたらいいのに……

 

「そうはいかん、何度でも言うぞ。学校に来い、授業で寝るな」

 

……………何故だ

アタシは今寝てるはずだ。何故このゴリは私の考えがわかるんだ!!

 

「起きてるだろうが……」

 

「ん、どうせ夢の中でも思考なんて止まらないんだから寝ててもいいじゃない。リアル睡眠学習だぜ」

 

アタシは常に何かを考えてる。何も考えてないつもりでも夢の中でも、気がついたら数式や理論が勝手に再生されるのだ

ほら、音楽が頭で流れる事ってあるじゃない? あんな感じ

私の死ぬまでに叶えたい夢のひとつは気絶である

今だにそんな機会一度もないけど

 

「全く………どうせテストでは現国と古典以外は満点を取るのだから文句は無いがな。せめて授業中は起きて学んでるふりでもしてろ」

 

これだ。だからアタシはこのゴリラに頭が上がらないんだ

藍の次くらいにお世話になってるぜ。ゴリには

 

「全く………」

 

ゴリはもう一度深々と溜息をついて教卓に戻っていった

 

 

 

ではゴリの言う通り、勉学してるフリをしよう

ポケットから取り出すのはコンパクト……型のホログラム発生装置

多角照射を必要としない上でこのサイズにするのは骨が折れた……しかし私のアタシは不可能も不可逆も理屈も理論も知った事かと笑い捨てる

それこそアタシ、史上最強の天才!!

 

「おーほっほっほっほー」

 

「うっさい!!」

 

テンションあがって高笑いしたらデコにチョークぶつけられた。解せぬ

というか天才の頭に何をする

閑話休題

 

さて、今のアタシはさぞかし真面目に勉強してるように見える事だろう

ぶっちゃけゴリはこのホログラム発生装置の事を知ってるから機嫌が悪ければ文句を言われる。しかし今日は溜息一つで無視する事に決めた様だ。あざっす

懐から例のポーチを取り出し、中から青いひし形の宝石を取り出す

 

(ふむ。やっぱり何で出来ているかわからない……。アタシは一度見たもの聞いた事を忘れた事は無いから多分未知の物質だろう

…………突拍子もない考察で隕石と言う可能性もあるが、加工したとしか思えない形からその可能性は削除

いや、いっそ宇宙人とのコンタクトと言う可能性はどうだろうか

…………うん無いな)

 

あったら面白いとは思うが現実味の無い妄想だ。しかし可能性は無限である

だからアタシはオカルトの存在を否定しない。可能性の存在を否定しない

 

思考を遊ばせてると、右手からピーと音がした。研究室のデータベースで検索が終了したのだろう

アタシの右手の義手はアタシの作ったプログラムで制御されていて、家のの研究室のスパコンと繋がっている

触覚を再現するためのセンサーを利用して、何で構成されているか調べていたのだ

アタシの記憶に存在しない物質だからと言って、地球に存在しないと決めつけるのは早計。だから調べ直したが……

 

(該当なし………アタシが作った検索エンジンで3時間以上かけて捜索しても、この物質はインターネットのどこにも存在していない)

 

ますます興味深くなってきた

成分解析の結果も出ているが、出るのはエラーの文字ばかり

久しく感じなかったわからない。少し……いやかなり楽しい

アタシの知的好奇心はウズウズ動きながら学校が終わるのを今か今かと待っていた

 

 

 

 

 

 

 

訂正。待ちきれなかった

ホログラム発生装置を起動したままにして、昼休憩と同時に学校を飛びたした

なんせ本当に久しぶりなのだ。いや、取っ掛かりすら掴めない‘わからない’は、もしかしたら初めてかもしれない

そう考えると、本当に幸せな気持ちになって来た

8歳の頃にはこの世界に置いて解明されている科学は全て頭に入っていた

10を数える頃には人の心のメカニズムを科学で解析した

そして12歳。今に至ると‘わからない’が存在しなくなった

そういえば昔、匿名でとある大学に心理学の論文を送り付けた時、博士号なんかも貰った事もあったか

きっとアタシは天才なのだろう

それこそ、頭がイカれてる程

1度見たこと聞いた事は2度と忘れない完全記憶能力

そしてそれを武器に手当たり次第に知識を吸収して行った

そして今のアタシがいる

もはやこの世の全てを解明するのは時間の問題かなんて考えていた

いや、今のペースで研究を進めて行けば、きっと20を越える頃には全ての真理を解明していた自信がある

だから

だからこそ。本当にワクワクしていた

アタシが研究を初めた最初の気持ち。‘わからない’事への渇望

あぁ我望む。願わくばアタシが死ぬまで、この世界がアタシに解明されません用に

 

「………………………あ」

 

そんな事を考えていたせいだろう。気付けばアタシは知らない場所にいた

訂正。一応は知ってる

昔、通っていた私立聖祥大学付属小学校。もっとも殆ど家に引きこもって数える程しか言ってないが

 

「遅いよなのは!!」

 

「待ってよアリサちゃん!! すずかちゃんも」

 

「あはは、なのはちゃん早く早くー」

 

ドンッと後ろを向きながら走っていた金髪の女の子とぶつかった

 

「あ、すいません」

 

「ん、前を向いて走らないと危ないぜ」

 

金髪の女の子は元気良く返事をして再び走り出す。その後ろに茶髪と紫の紙の女の子が続いた

 

「って、あの茶髪の子。翠屋んとこの娘さんじゃなかったっけ」

 

うん、確かそうだ。いつかあそこに言った時にお手伝いをしてた覚えがある

 

「ふーん。小学3年って所か………。」

 

少女達三人は姦しく騒ぎながらもう見えないところまで行ってしまった

そして自分があれくらいの年だった頃を考えて、死にたくなって来た

なんせ研究研究また研究と言った生活の1番酷かった時期だ。今でも思い出すと軽く鬱になる

 

「あぁやめやめ。また思考が泥沼にハマる」

 

小学校はもう下校時間なのだろう。一斉に出てくる年下の子供たちの邪魔になる

そう思って、家の方に歩き出す。本当に、そんな瞬間だった

 

 

…す…て

 

 

それが、聞こえた

聞こえたと認識した認識できた

アタシの記憶に間違いがあったことは一度も無い。聞こえたとアタシが認識したならば、それは聞こえたのだ

聞こえなかった部分はどうしようもない。だが聞こえたのだ

前後の文字から助けを求めてる言葉に聞こえる。しかし

 

(問題はアタシの耳ではなく頭に直接響いたという点だ。どうやって? アタシの体で機械化してるのは右手だけ。アタシの作ったセキュリティを抜けて右手にバックドアを仕掛けた?

あり得ない。第一、右手に音を脳まで伝える仕組みなんて組み込んでない。振動を利用した音? それを頭蓋骨迄届かした?)

 

思考は続く

 

(しかも、今の声が何処から届いたのか解る。どこにいるのかまで理解できる。どうやって? 無理だ

アタシの作ったセキュリティを抜けたと認めて、音を伝える事は確かに可能だ。ほぼ不可能だけど、可能だ

だが今のはマップデータ迄頭に送信されてきた。あり得るか? そんな事が

こんなものはまるでーーー)

 

 

 

ーまるで、魔法じゃないかー

 

 

 

「は、……はは」

 

自分の声が寒々しく響く

 

「ちょっと、君」

 

声をかけられて我に返る

 

「こんな所で突然笑い出して、どうしたんだい?」

 

この人は小学校の警備員か用務員か……。しかし今、アタシは……

 

「今、アタシは笑ってる………?」

 

その事に、自分の頬に手を当てて始めて気づいた

そしてそれを自覚して、もう一度笑う

 

「すいません。すぐに行きます」

 

「ち、ちょっと君!!」

 

後ろから声を掛けられるがそんな事は知ったことじゃない

助けてと、誰かが言った

そんな声が聞こえた

そしてそいつは、アタシの知らない何かを持っている

笑わずにいられない。手元に新しいオモチャが二つも転がり込んできた

青い宝石も、謎の声も、どちらも必ず解き明かしてやる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果だけを見ると惨敗だった

いや別に負けた訳では無いのだが、凄まじく負けた気分にさせられたから負けだ

なんせその場には何もなかったからだ

これはもしかしたら、人生初の聞き間違いかもしれない。そんな不名誉な思いをさせられたのだから負けだろう

勿論、指定された公園はくまなく探した

ちょっと裏技使って、何かの捜査にきていた警察官を動員して探した

それで見つけたのは空き缶と、乗り捨てられた自転車と、公園の外に走って行くさっきの翠屋の娘さん一同だけだった

 

「はぁ」

 

結局、夜が暗くなるまで探しても見つからないので諦めて帰宅に向かってる次第だ

 

「今日の晩御飯に癒されよう……」

 

そう言いながら自分家の扉を開ける。開けた

 

「このおバカ様ぁああああああ!!」

 

「ごほぁあ!!」

 

そして開けた瞬間、鳩尾に鉄拳が直撃した

 

「おバカおバカだと思ってましたけどもはやただのおバカでは足りないおバカですね!! ヘルおバカとでも呼んで欲しいですかおバカ様!!」

 

「いや…無理、死ぬ……」

 

内臓破裂という言葉が頭に浮かぶ。それくらいに強力な打撃だった

 

「授業くらい普通に受けれないんですかヘブンおバカ。学校から電話が掛かって来ましたよ

人を小馬鹿にしたホログラムだけ残して学校から消えたって」

 

「いやだって……」

 

「だってもクソも無いですよヘルアンドヘブンおバカ」

 

「それもはや技の名前だよね!?」

 

ツッコミを入れれる位には回復したのでとりあえず叫んでおく

 

「言い訳無用ですよハンマーヘルアンドヘブンおバカ

せめて中学位は出てもらわないとお母様に申し訳が立ちません

授業を真面目に受けろとはもう言いませんから最低限の出席日数くらいは真面目にしやがりましょう光になれおバカ様」

 

「……………………はい」

 

この子の母親を持ち出されたらもう何も言えない。当然、最後のはもはや掛け声だとかも言えない

悲しい習性だなぁ……

 

「で、今度はいったい何を思いついたんですか? 人に迷惑かけたりロボに迷惑かけたりは禁止ですよ」

 

「何気に保身に走んなよ……。とりあえずこれを見てくれ」

 

そう言って、ポーチから例の青い宝石を取り出した

 

「……? これは

宝石の様ですが、この様な発光のしかたをする物質はデータベースには存在しませんね」

 

「だよね。てことは一体何で構成されてるか調べるところからだぜ」

 

「成る程。そういうわけですか

では、今日中に成分位は調べてしまいましょう」

 

さすがは我がメイド。話が早い

 

「だから学校サボるなんて考えないように。次サボったら頭蓋骨をトマトみたいに潰します」

 

「………………はい。肝に銘じておきます」

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宝石の構成解析は藍に任せ、アタシは昼間の謎の声について考察する事にした

まず大前提としてアタシが聞き間違いをしていない、とうとう頭が完全にイカれて幻聴が聞こえた。その可能性を排除するとしよう

ぶっちゃけその可能性が1番高い気がするがそんな事を言い出したら前に全く進めないので無視である

第一、考察なんてのは可能性を確定情報に出来ないからする為のものなのだから、仮定が沢山あって当然なのだ

彼、もしくは彼女が求めたのは救出依頼。そこから読み取れる情報として、声の主は不特定多数の人間に声を届けようとしたのではないか?ということだ。助けを求める声は届けることに意味があり、本当に切羽詰まっているならできるだけ多くの人間に向かって叫ぶ事だろう

しかしそこで謎が生じる

それは、アタシ以外の人間は誰も声の主を探していないと言うことだ

私にしか聞こえない声、そんなものがあり得る可能性として右手が特殊な義手である点を上げることが出来るが、右手を操ってマップデータまで送るのは不可能と言う結論に達している

 

「…………………………やっぱ聞き間違いか? 幻聴が聞こえる様に成ったとかだったら嫌だなーっと」

 

しかし現状では1番高い可能性であるのは確かだ

そこで他の可能性を考察してる時

 

 

た……て

 

 

声がもう1度、聞こえた

 

そして頭の中には同じ様にマップデータ。一度なら聞き間違いの可能性もあろうが2度目は幻聴か真実だ

そして幻聴か真実を確かめる術はひとつ

 

「ダッシュだ!!」

 

窓を開けて外に出る

そして声が聞こえた方へ走る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは………」

 

着いたところは動物病院だった。利用したことはない

しかし今そんな事はどうでもいい

重要なのはこの状況だ

 

「ここ、日本だよな………車でも突っ込んだのか」

 

動物病院の塀と思わしき場所は、無残に崩れ落ちている。崩れ方を見るについさっきあったことだろう

そして思い出す

 

(公園で声が聞こえた時も、何かが壊れていなかったっけ?)

 

 

1度なら偶然。2度なら奇跡。しかしそれは必然まであと一歩

声が聞こえたら、物が壊れている

声の主が戦車に襲われている

 

「自分で言うのもうんざりするくらい現実味がねぇぜ」

 

そう呟いた瞬間

 

「リリカルマジカル!!」

 

そんな声と、桜色の光が見えた

反対側かよと呟きながらそこに光があった場所に向かうと

 

「……………いや、これはないだろ」

 

そこには重火器でも使わないと作れないだろう破壊の後

しかし右手のセンサーで火薬の反応は無し

 

「本当に、どうなってんのよ。これ」

 

「あぁ。詳しくは交番で聞かせてもらおうか」

 

独り言のつもりが、返事をもらってしまった

振り返ると警察官

 

「……………………もしかしなくっても補導っすか?」

 

「君は見たところ中学生位だろう。こんな時間にウロウロしてれば当然だし、この状況の事情聴取もしなければならん

悪いが付き合ってもらうぞ」

 

この時アタシの頭の中にあった考えは、どうやって藍に言い訳しようかという事だった




なのはさんはとっととジュエルシードを封印して家にお帰りになりました
アイナが警官と藍に絞られてる間に【比喩にあらず】なのはさんは家族の皆に怒られてるのでしょう
この二人の邂逅は暫く後になりそうです
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