魔法少女リリカルなのはー1人の天才   作:ヌムラ

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神社の狛犬

朝、留置所の天井を見上げながら起き上がる

 

「あーまだ全身いてぇぜ

あの暴力メイドめ、流石に死ぬぞ」

 

あの後、交番連行、警察官によるお説教タイム。そして身柄引き受けに来た藍による鉄拳制裁。さらに一晩反省しろと放置プレイ

前半二つは問題ないが、鉄拳は死ぬかと思った。生きてるのが不思議なくらいだ。放置プレイ? 心が痛いよ。アタシ死ぬんじゃね?

いや、むしろ今って死後の世界?

 

「いや生きてるし、普通に朝だし」

 

自分で自分にツッコミを入れて立ち上がった

それと同時に表に立っていた警官に連れ出される

そして解放。シャバの空気は美味いぞー

まぁ裏技を使って出た訳ですが……警視総監には何かと貸しがあるのよ

 

「しかしまさか本当に留置所で一晩明かすことになろうとは………。藍までアタシがやったって決めつけてくるし」

 

物を壊すような実験をする時は街中でなんでやらないって言っても信じては貰えない。説得力ゼロとまで言われた

………………………アタシってそんなに信用ないかなぁ?

若干落ち込みながら、家に向かわず反対側へ。今家に帰ったって学校に行かなくちゃならない。なんでこんなテンション低い時までさらにテンションの下がる場所に行かなければならないのか

つーわけでサボりますサボタージュです

 

「だけどどこに行こうか………喫茶店でも探すか」

 

と言ってもアタシが知ってる喫茶店なんてひとつしかない。そのひとつに向かってアタシの足は向かって行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「またサボりかい?」

 

店に入って開口一番にそう言われた

 

「またってなんですかまたって。まるでアタシがサボりの常習犯みたいじゃないですか」

 

喫茶翠屋。アタシが懇意にしてる………と言うか唯一知ってる喫茶店である

藍がいなかった頃は唯一、携帯食料以外を食べれる場所と重宝してた

 

「そういうつもりで言ってるんだけどね、珈琲とオムライスでいいかい?」

 

「ん、泥みたいに濃いのね」

 

「はいはい」

 

そう言うとマスターは裏に行ってしまった。って

 

「シュークリーム言うの忘れてた……」

 

桃子さんのスイーツとても美味しい………藍が作るお菓子よりだ

あの子より美味しい物って作れるはずないんだけどな……だってあの子は…

 

「はい、ご要望通り少し濃いめにしといたよ」

 

「ん、ありがと士郎さん」

 

珈琲が来たので思考を止め、一口啜る

 

「あ、そだ。後でナナカんとこ行くからシュークリーム包んでください。」

 

「ん、菜々華ちゃんの所に行くのかい? 菜々華ちゃんも学校をサボってまで来て欲しくないと思うけどね」

 

「う、それを言いますか……。研究が忙しくて最近行けてないんですもん。だから……」

 

「はいはい……シュークリームは今切らしてるから桃子に焼くように言ってくるよ。オムライスももう出来るはずだしね」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュークリームを三つ、袋に入れてもらって、神社を目指す

子犬の散歩をしてる女性を追い抜いて、神社の前に辿り着いた

 

「……………………」

 

そこで両手を合わせて祈る

ここは、ナナカが………アタシの親友が死んだ場所だ

お墓はあの子の両親の実家にあって、おいそれと行くことができない。だからせめてあの子が死んだ場所で両手をあわせるのだ

 

「……………………、アタシは色々間違ったりした

けど、今は藍と二人で元気にやってるよ。だから心配しないで見ててね」

 

いつもここに来るとあの子に声を掛けてしまう。何も言うつもりは無いのにだ

 

「あ、そだシュークリーム………」

 

袋からシュークリームとナプキンを取り出す

ナプキンを境内に敷いて、その上にシュークリームを乗っけた

この翠屋のシュークリームは、あの子が1番好きだったお菓子だ。だからここに来る時はいつも持ってくる

そして境内に自分も腰掛けて、別のシュークリームを食べ始めた

 

「……………………ん、美味しい。でもアタシには少し甘すぎるかな?」

 

アタシは甘い物が苦手だ

甘い甘いシュークリーム。あの子に付き合わされてよく食べてた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの子と会ったのは5年前

アタシがまだ7歳だった頃だ

その頃には、この世界の粗方の知識は吸収し、独自の理論を作り出そうとしていた頃だろう

 

「ねぇ。これって何を書いてるんですか?」

 

教室で、重力制御のシュミレーションをしてたら声を掛けられた

 

「……………」

 

アタシは当時、生まれてから一度も切ったことのない髪をガムテープで束ね、殆ど寝ずに過ごしていたせいで目の下に真っ黒な隈をつけていた

そんなアタシに好き好んで話しかける奴なんかおらず、教師にすらいないものと扱われる

しかしそれで幸せで、自由に研究が出来ることに感謝すらして日々を過ごしていた

 

「ねぇって、これなぁに」

 

だから、物珍しかったのだろう。好き好んでアタシなんかに話しかけてくるこの子が

だから‘追い返す’為に今の研究について説明をしてやった

 

「ニュートン力学における重力を確定情報と仮定して、重力を制御するためのシュミレーションをしてるところ

アンチグラビテイを起動させるために必要な反重力を計算してるの」

 

アタシはこのこのから自分が異常だと理解していた

両親のからはうとまれ気持ち悪いと、大学の教授以上の知識量を誇り、狂った様に研究を続ける

それが異常だと気付いていたから、こんな事を言った

人は、自分と違うものに関わりたくない生き物だ

だから当然の様にこの子も自分から離れて行くだろう。そう思っていた

 

「ん………なに言ってるかわからないよぉ。授業でこんな事やった覚えなんてないです」

 

当たり前だ。アタシが作ったアタシの研究だ。この世界のどこにも存在しないし、学校の教師ごときが教えれてたまるか

 

「だから、教えて下さい!?」

 

 

 

 

 

………………………………え?

 

 

 

 

 

「………なん、て。言ったの」

 

「わからないから教えて欲しいって言ったの。わからない事があったら、わかる人に聞く。当たり前でしょ?」

 

それはアタシにとって始めての経験だった

アタシの研究は、認められる所には認められていた。しかし、向こうから教えてなんて言われたのは初めてのことだ

 

向こうから、歩み寄って来たのが始めてだった

 

「………わかった。いいよ、教えてあげる」

 

「えへへ、ありがと。よろしくね」

 

そしてその子はアタシに向かって手を差し伸べた

そんな事は、生まれてから一度もなかった

そんな経験、始めてだった

握手なんで、したことなかったんだ

 

「う、ん………よろ、しく……」

 

その子の笑みは、眩しかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………っ。あ、寝ちゃってたか」

 

境内で目を覚ます

また懐かしい夢を見てた。昨日に引き続き二度目だ

しかも1番幸せだった頃の記憶。ヤバイ泣きたい

 

「もうお昼………オムライス食べたばっかりだからお腹減らないなぁ……」

 

ナプキンの上のシュークリームは溶けてしまっていた

それを胃に収め、軽くお腹を摩りながら境内から飛び降りる

 

「じゃ、また来るよ。ナナカ」

 

アタシは最愛の友人の名を呼びながら境内を後にしようとした

 

 

ド、クンッ

 

 

一瞬、世界の色が変わった気がした

 

「な、に?」

 

似てる。全然違う現象だけど、根本が似てる

あの謎の声や青い宝石に…………!!

 

『ォオオオオオオオオオオオオオオオォォオン』

 

それが聞こえたのは、その直後だった

声がした方に首を向けると、そこには女の人と……

 

「でかくて黒光りしてる犬!!」

 

そう表現する以外できなさそうな生物がいた

いや、あれって生物なのか? 何故か全く生気を感じないんだけど……

 

『ォォオオオン』

 

犬はひと鳴きすると、その巨体からは考えられない大ジャンプでこちらに飛びかかってきた

 

「っいい!?」

 

転がるように避けながら犬の観察を続ける

グルルなんて喉を鳴らす姿は生き物のようだが、やはりどこか現実味がない

つーかあんなサイズの犬がいたら有名になるはずだ

突然現れた? ふざけろ虚空から物が現れてたまるか。そんな事を認めてしまえばなにを根拠に研究を続けて行けばいいかわからなくなる

 

『ォォオオオン!!』

 

犬はまた吠えると、ギョロリと複眼を開く。キモい

 

「いやもうなんなのこの状況……」

 

女の人を見るといとも簡単に気絶している。うん出来るならアタシも気絶したい

 

「つって今気絶したら間違いなくこの犬に食い殺されるぜ。ナナカが死んだ場所でくたばったら完全に呪いよ」

 

だったら殺されてもいいかしらなんて考えが一瞬浮かぶが当然却下。第一あの子が望む訳がない

となると選択肢は二つ。逃げるか、戦うか

逃げるだとあの女の人も連れて行かなければならないため難易度がバカ上がる。なら……

 

「覚悟してもらうしかないわね。犬っころ」

 

そう言って、携帯電話を操作した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アタシの右手は、とある研究の失敗で根元からなくなった

そこで義手の制作に着手したのだが、人間の手というのは余りにも精密に出来ている。そのため普段使っている義手は、人間の手以上の機能は殆どつけれていないのだ

掴む、離す、摘まむ、なぞる。それを高いレベルで再現する為には、アタシの技術でも腕のサイズに収めるので限界だった

つまり何が言いたいかというと

 

「この右手は喧嘩では役に立たない」

 

いや人間同士の喧嘩なら役に立つか、カーボンナノチューブで出来てるから硬いし

しかしいま目の前の巨大な犬を倒す術はアタシのの手元には無い

 

「手元には、ね」

 

そう呟いた瞬間、空から飛来した何かがアタシの足元に突き刺さった

それは誰がどう見た所で完全無欠に腕だった

今付けてる戦うことに関しては意味を持たない右手の付け根にある赤色のボタンを押す

ガチッと音がして簡単に外れた

触覚が消滅する感覚に辟易しながら家から飛んで来た腕を装着する

この海鳴市の中ならアタシがどこにいようとも、この戦闘用義手を飛ばすことができるのだ

ちなみに使ったのは今が始めて。ちゃんと動いてよかったよかった

 

 

右手を犬に向かって構え、アタシ自身は衝撃に備える

ズガンッなんて音がして、握り拳程の大きさの砲弾………もとい握り拳を発射する

犬は反応すら出来ずに直撃する。ふらついているところに距離を詰めて右拳を叩き込んだ

 

『ぉぉおぉ……』

 

犬は弱々しく鳴いて、こちらを見る

 

「沈め!!」

 

アタシはそう叫ぶとコードを射出。高圧電流を流して沈黙させた

この右手、ロケットパンチがしたいが為に作ったけどそれ行こう使ってなかったので、正常に起動してよかった。結構マジで

そんな事を考えてると、何処かできいたことのある声が聞こえてきた

 

「リリカルマジカル!! ジュエルシード封印!!」

 

刹那、犬の体は光り輝いて子犬の姿に変わった

そしてその子犬からは例の青い宝石が出現する

 

「…………………………What?」

 

いや待て、ちょっと待て、マジでタンマ

リリカルマジカル? なんで光った? つーかなんでちっこくなった? 質量保存の法則完全無視?

声がした方に顔を向けると、少しカスタムした聖小の制服を着た女の子が肩にフェレット?を乗せて杖を構えていた

あぁ、昔見たことがあるぜこういうの。魔法少女っていうんだろ? わっはっはー

 

「ってふざけんな!!」

 

突然大声を出したアタシに驚いたのか、女の子はビクッと肩を震わせる

 

「え、えっと……あの……ごめんなさい?」

 

「疑問形で謝んな。別に謝られる必要もないし」

 

理解不能な事が多すぎて叫んだだけなのだ。謝られても困る

その女の子は少し困ったような顔をしてコッチを見ていた

 

「えっとあなたは誰なの?」

 

「アタシは悪の天才科学者、相坂愛奈。気軽にアイアイて呼んでも他人行儀に相坂さんって呼んでも構わない」

 

「あ、悪の天才科学者さん!?」

 

「あぁ食い付く所そっちなんだ……」

 

でも自己紹介する時に天才科学者って言うと、頭に悪ってつけたくならない? ならないか、そうですか

 

「え、えっと………相坂さんは一体何をしてるんですか?」

 

女の子が喋ってないのに声が聞こえてきた

 

「ユ、ユーノくん。いきなり喋ったら驚かれるよ!!」

 

そしてあろうことか女の子は肩のフェレットに向かって話しかけている

これはあれか? アタシの理解力に喧嘩を売ってるのか? もうノックアウト寸前ですよ?

 

「でもなのは、ここにいてジュエルシード暴走体を倒してるってことは魔法の関係者の可能性が高いよ。なら僕が喋ったって驚かな……」

 

「でもこの人固まちゃってるよー!!」

 

ちょうど神社の前でよかった。普段は神なん信じてないアタシだけど、懺悔したい気分だから

 

「わからない事がこのよにないなんて調子に乗ってすいませんでしたー!!」




なのはとユーノペアと出会いました。やっと魔法少女リリカルなのはのSSって名乗れる……

アイナはなのはの事はちゃんとは知りません。翠屋でたまにお手伝いしてる子としては知っていますが、現在テンパり中で思い出せずにいます
天才(笑)状態です
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