研究室。ただただキーボードを叩く音だけが辺りに響く
高町なのはの情報を入力して、アタシが戦闘で勝てる可能性をシュミレーションしていた
【勝率0,000000000000000032%]
思ってたよりましな数字が出て来てビックリだ。ぶっちぎりで0%と思っていたからな
さて、なんでこんな事をしているかというとひとえに魔導士への対抗策を考えているからだ。そしてサンプルというのがなのはしかいないので仕方なくユーノに規格外と言われた少女をシュミレーションの原点規格に使ってるのだが、やっぱりと言うかなんと言うか……………歯がたたない
ひとたび離されてしまえばどうしようもなく、
プラズマレーザーの照射はいとも簡単に打ち負ける。打からといって近づけば、空を思い通りに飛べる向こうが当然有利だ。もうあれだ、魔導士汚い。ずるいや
「だめだ、煮詰まって来た」
そう言いながら外に出る。空はいつの間にか赤く染まっていた
「十時間ぶっ通しでパソコンいじってたらさすがに疲れる………………少し休憩にするか」
散歩でもしながら考えを纏めとこう
魔法はプラズマの一種である。それがアタシの考察である、それが物質に見えようとどうだろうと
なのはが出す桃色の光は当然の事ながら、かつてジュエルシードが引き起こした樹木を海鳴中にはびこらしたあの事件。アレさえもプラズマであると言う仮説だ
もちろんアタシは何でもかんでもプラズマで結論付けしたがる科学者とは違う。まぁ根拠がある訳でもないのだが…………
しかし
はぁ、ダメだ。やっぱり考えがうまく纏まらない
これだけ頭の中がこんがらがってるのは久しぶりかもしれない。公園にでも行って一休みしよう
公園を歩いてると、ナナカの事を思い出して仕方がない。公園に来たのは失敗だったか………………
いっその事、しばらく魔法の事を忘れるのもいいかもしれない。もちろん、研究も続けるつもりだが…………………少し疲れた
「ナナカ…………………………」
死んでしまった友人の名前を呼んでみる。悲しくなって来た
「ナナカ…………………なんだか少し疲れたぜ」
一番始めにアタシに近づいて来たバカの名前を呼びながら、歩く
「………………………………………………………………会いたいよぉ…………ナナカぁ」
もう一度呼んで、堪えきれなくなった
すこし歩いた頃、なのはがベンチに座って俯いていた
「ひでぇ顔」
そう言うと、涙の後を拭ってこちらを向く
「ほんとうに神出鬼没だよね、アイナさんって」
「まぁアタシの数多い特技だからな」
「この前の温泉のジュエルシードの時はおもっきり寝てたくせに…………」
あぁ、なんかライバルちゃんが出て来てジュエルシード取られたってあれか。アレは寝てたっていうか気絶させられてたんだけどな
「座るぜ」
多分落ち込んでいるであろうなのはが座っているベンチに腰掛ける。アタシとしては人を元気づける余裕なんかないんだが、まぁこの子が落ち込んでるのを見るのは面白い。うん最低だね
「で? そんな顔をしてるなんて珍しいじゃん。なんかあったのかよ」
「にゃはは………………そんなひどい顔してるかなぁ」
そう言いながら、なのはは学校であの金髪と喧嘩した事を教えてくれた
「随分といい友達を持ったもんだなぁ」
「うん…………本当に」
本当にいい友達だ。相談してくれないから、水臭い、そんな理由でそばにいて心地いい友達に怒りを向けるなんて、この世界に一体何人の人が出来るのだろう。本当にこの子は友達に恵まれている
「…………………………………………………………そうだな、面白い話をしてやろう」
「え?」
きっとそんな事を言いだすと思わなかったんだろう。驚いた声をあげた
しかしきっとすぐに面白い話の意味を理解するだろう。この子は何のかんの言って賢いし
「アタシが普通に人と色々違う事は解るよね?」
「…………………………」
「一度見た事聞いた事。知った味嗅いだ匂いその感触。アタシは絶対に忘れない。それこそ、母親の子宮にいた頃の記憶もあるくらいだからな……………………
ーアイナ語りー
アタシが言葉を覚えたのは生まれて3ヶ月もした頃だったらしい。もちろんその頃はまだ物心なんてついてなかったたから、そういうことがあったと映画でも見るみたいな感じだけど
物心つく頃には、大人程度の一般常識と知識を持っていて、そしてすぐに両親の知識量を越えた
アタシの両親は良くも悪くも普通の人でねぇ、異常なアタシを愛してくれたけど……………まぁ限界はあったんだろね。心理学を修めてアタシがどれだけ疎まれているか理解した。
3歳の時に弟が出来て、その子が普通の子で、それを見た両親の心を心理学の観点で理解した時、アタシは家を出る決意をした
10億円。それを両親に渡してアタシの事を忘れて欲しいと言った時の両親の顔はそれはそれは愉快な物だったよ。欲とか良心の呵責とかがぐちゃぐちゃになった様な顔、最っ低な気持ちと引き換えにアタシは自由を手に入れた
さて、ここまでがアタシがあの研究所を手に入れるまでのヒストリー。まぁその頃にはこの世界でアタシに出来ない事は無くなっていたと言っても過言ではないね。なんせお小遣いの300円をバーチャルな土地を転がしたりして無限に金を作れたし。この世は金だぜ、金があれば死ぬ事はない
そしてこの海鳴に一軒研究所をおっ立てて、趣味程度の研究を始めた訳だ。その頃はたしかお前よりひとと下の小2、学校にも行かずに様々な知識を吸収して行っていた。そして現在解明されてる世界のルールを記憶し終わって、新しくルールの解析を始めていた頃
「ねぇ、これ何を書いてるんですか?」
その言葉は、アタシの唯一の友人になる少女の言葉だった
その子は、少しおかしかった。どんな事にでも首を突っ込んで、どんな困難でもぶっ壊してしまう様なやつだった。はっきり言って最初はいけ好かない馬鹿野郎だと思ってたね
その子はアタシに狂った知識を教えてくれと言った。それは重力を操る物だったり、物質をテレポートさせる物だったり、人間を創りだす物だったり色々だ。当然その全てが現役の大学教授でも手に余る物で、その研究を認めてくれる者などどこにもいなかった
そして当然、その子にその全てを理解する事は出来なくて、アタシは寂しさを覚えながらその子に背を向けた。そしてその子に肩を掴まれた訳だ
その子はそれからもアタシに声をかけ続けて来た。その度に拒絶した。めげる事なく構って来た
「いい加減にして、これ以上アタシに構うつもりなら本気で叩き潰すよ」
アタシは9歳で、この世界で1人きりだと思っていた。アタシの世界はたった1人で、誰もアタシを理解してくれない。‘私’は1人なんだって幼心に理解していた
友なんていらない。たった1人である絶望を解ってもらおうとも思わない。研究だってやる事がないから進めてるだけ。なんなら今すぐに死んだっていい。だからこれ以上‘私’にかまうな。うざいんだよ。これ以上‘私’1人でいるって決意を鈍らせるな!!!!!!!!!
「やだね」
ふざけた話だと思わないか? アタシはこの子が嫌いだからこんな風に言ってるんじゃない。本当に嫌いなら無視するなり忠告なんてしないで潰してる。そう、アタシはこの子が大好きだったのさ。アタシの事を自分から進んで理解しようとしてくれなんて、両親ですらしてくれなかった
たぶんアタシは認めて貰いたかった。笑っちゃうよね、どこの漫画のラスボスだっての。つまるところ、アタシはこの子に認めて貰った瞬間、やっと自分が人として生きていいんだと教えてもらったわけだ
きっとこの子がいなかったらアタシは今頃、全世界相手にテロリズムでもやってただろうね。アタシを理解してくれない世界なんかいらないって。しかもその心に気付きもしないで、きっとこの世界を終わらしてた。比喩じゃなくね
いや、きっとその場合はあの子が勇者になって、
まぁ何が言いたいかというと、この『やだ』なんて知性の欠片もない一言にアタシは救われたんだ。理解してもらおうと思わないよ。理解してほしいのは、この『ナナカ』って子がアタシに取って希望であり救いであり、そしてこの世で一番大事な人になったって事
「まぁそれで色々あって、ナナカとアタシは親友って呼べるような間柄になったんだ。ここまでで質問は」
「この長々とした話のオチが友達を大事にしろって事なら、アイナさんと少し話し合わなくてはいけないね」
おぉうなのはの目が怖い、結構マジで。長い話が嫌いなのはどの小学生も同じだなぁ…………………なのは、校長先生のお話中に砲撃撃たねえよな?
「安心しろ。もう少し重いぜ
ここからの話は藍とお前のお父さん、後はアタシの担任教師と知り合いのおっちゃん位しか知らない。ナナカは翠屋の常連でよく付き合わされてたっけ…………………
まぁ先に結論から入ろうか。ぶちゃけた話、アタシはナナカを殺したんだ
この前ジュエルシードを封印した神社あるだろ? あそこで重力操作の実験をしたとき、計算が狂ってるのを気付かないまま実験開始のスイッチを入れて、アタシが巻き込まれた
重力、反重力の暴走。その結果が行き着く先はブラックホールだ。それでアタシの右手は粉々になって消滅した
アタシの右手はどうだっていい。というか本当はアタシは今頃ここにはいないはずだからね。アタシの身代わりになって死んだナナカがいなければ
ナナカもブラックホールに吸い込まれてた。でも角度的にギリギリ安全装置が働いて緊急停止が間に合う場所にいたから大丈夫、それで安心してアタシは死ねるはずだったんだ。
でも何を思ったか自分からブラックホールに飛び込んで、自分の身体をミンチにされながらアタシの身体を押し上げて来たんだ。しかもそれ、ブラックホールが発生して刹那の出来事だぜ、どうしろってんだ
その時聞いたんだ。走馬灯だかなんだか知らないけど、ナナカの声を聞いたんだ
「幸せになって」
ふざけるなって叫んだ頃には装置は停止して、残ったのはナナカの頭部だけ。無くなった右手の痛みも感じず異変に気づいた神主が救急車を呼んで病院に運び込まれるまで左手でナナカの頭を握りしめていた
「あの子は最後に、『幸せになれ』だと言いやがった。どうしても守りたいものって聞かれたらナナカって答えるアタシに向かってだぜ?」
「……………………………きっと、ナナカさんも同じだったんだろね」
きっとそうなのだろう、アタシがナナカの立場ならきっとそうして、ニュアンスこそ違えど同じ事を言っていてだろう
「さて、アタシがお前に何を伝えたいかと言うと………」
そう言いながらなのはの頭に手を置いた。そして口を開いた瞬間に、なのはが言った
「解ってるよ。アイナさんが言いたい事」
「…………………………そか」
どうにも何かを決意した顔をしてらしゃる。ならばちゃんと理解したか聞き出すのは野暮だな。軽く伸びをして、ベンチから降りる
「じゃ、アタシは行くぜ」
「うん、私も帰るね。それと今夜のジュエルシード探しは私に任せてもらえないかな?」
「…………………………………OKだぜ。なんか知らんがうまくやれよ〜」
そう言いながら、手をヒラヒラ振ってなのはと別れた
ーなのは視点ー
死んでしまったアイナさんの友達、どれだけの苦悩か私に知る術はない
でも、きっとアイナさんが言いたかった事はそんな事じゃないはずだ。だから
「アリサちゃん!!」
『な、のは』
私はアリサちゃんに電話をかけた。今を後悔しない為に、絶対しとかなきゃいけない事があるから
『で、何の用よ。今は休憩時間だからいいけどすぐにお稽古に戻らなくちゃ………」
「あのねアリサちゃん!!」
少し不機嫌なアリサちゃんの声を遮って、言う
「今はまだアリサちゃんには言えない事をしてる。相談してもきっとアリサちゃんを困らせちゃうだけだから」
『っ!! …………だから、そう言うのがイラつくのよ!! 悩んでる事があるなら相談してよ!! 辛いなら打ち明けてよ!! 例え力になってあげられなくても、一緒に悩んであげる事は出来るじゃん………。それすらさせてもらえないなら………わたし友達失格じゃない』
「アリサちゃん………」
後半に行けば行くほど弱々しくなって行くアリサちゃんの声
「ごめんね」
『謝んないでよ。よけい惨めになるわ
…………きっとすずかも同じ気持ち。だから、…………………早くその悩みごと解決しなさい!! 解ったわね』
「うん……………ありがと、アリサちゃん」
『フンッ』
最後にアリサちゃんのそっぽ向く声を聞いて電話は切れてしまった
「………………よし」
そう呟いて、ユーノ君を呼び出した。今日は意地でもジュエルシードを探し出して、フェイトちゃんに会わないと
「この前は変な事になちゃったから、改めて自己紹介するね。私はなのは 私立聖祥大学付属小学校三年生 高町なのは」
「っ…………………」
私はもう迷わない。なにがどうなってるのかも解らない状況だけど、きっとこの子と笑い合ってみせる!!
そしてこの後は原作通り、ジュエルシードが大爆発して管理居に気付かれます
やっと出せた最後のオリキャラナナカちゃん。でも多分出番ほとんど終わりです
そろそろ終わりが見えて来たなぁこの作品
感想、ご指摘お待ちしております