ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
カスミーナ(かすみ)の新たな力を一部、お披露目いたします。


第100話「覚悟」

 

ヒエールと彼の出したメガビョーゲンと交戦中のプリキュアたち。しかし、ラテが再度くしゃみをし出したことで、不利な状況の中、メガビョーゲンがもう一体現れたことを察してしまうのであった。

 

「クゥ〜ン・・・・・・」

 

「急いで診察ラビ・・・!!」

 

「うん・・・!」

 

ラテが何かを訴えるように弱々しく鳴く中、ラビリンはそう指示を出すとグレースは頷いてラテに駆け寄る。

 

そして、聴診器を取り出すとラテを診察し、彼女の心の中の声を聞く。

 

(あっちの山のほうで、火の空気さんが泣いてるラテ・・・・・・)

 

「火の空気・・・・・・?」

 

ラテがグレースたちが先ほど歩いてきた方向に目をやりながら伝えるが、グレースは火の空気が何か分からずにいた。

 

「火の空気・・・ガス・・・ガスボンベ!?」

 

「嘘・・・あたしたちのキャンプの場所じゃん!!」

 

フォンテーヌは火へとつながるものを思い浮かべ、ハッとしたような表情でガスボンベが狙われたと推測する。それを聞いたスパークルも、持ってきていた覚えのあるものを思い出して動揺する。

 

どうやらメガビョーゲンが現れた場所は、自分たちのキャンプをしている場所のようだった。

 

グレースは想像してしまった。ちゆたちが自分のために設営したキャンプ場が、バーベキューの場所が・・・・・・メガビョーゲンによって赤く染め上げられてしまう光景を・・・。

 

「っ・・・ダメ・・・! 早く止めにいかないと・・・!!」

 

グレースはそれを恐れて、来た場所を戻ろうとする。

 

「待ってグレース!! ここのメガビョーゲンはどうすんの!?」

 

「一人じゃ危険よ!!」

 

スパークルとフォンテーヌが呼び止めようとするも、グレースは走って行ってしまう。

 

「っ・・・!!」

 

それに気づいたアースがなんとか立ち上がり、グレースの方へと駆け出す。

 

「私が追います!! 二人はメガビョーゲンを!!」

 

グレースを一人行かせるのが心配なアースは二人にそう言うと、グレースを追って行った。

 

「おやおや、仲間割れかな? 美しくないねぇ」

 

「「っ・・・」」

 

ボソリとそう呟くように言うヒエールに、フォンテーヌとスパークルは険しい表情でステッキを構える。

 

「まあ、いいか。美しいキミたちは美しい僕の相手にふさわしい」

 

「だから、何言ってんの!?」

 

ヒエールは笑みを浮かべながらそう言うと、気持ち悪さからスパークルが嫌悪感を露わにする。

 

「ふっ!!」

 

ヒエールが持っているステッキに赤いオーラを纏わせて空へと掲げる。すると、フォンテーヌとスパークルの頭上に黒い雲が立ち込める。

 

「「っ、きゃあぁぁぁ!!!!」」

 

そして、その黒い雲から赤い雷が降り注ぎ、プリキュアの二人へと落ちる。

 

「チャンスだ! メガビョーゲン!!」

 

「メッガァ!!」

 

ヒエールがそう指示すると、メガビョーゲンは腹の下の部分から出ている赤い球を体を振り回して飛ばす。

 

赤い球はプリキュアへと目掛けて飛び、黒い煙の中へと入っていく。

 

「「ぷにシールド!!」」

 

叫び声が聞こえてくると、煙の中からフォンテーヌとスパークルがぷにシールドを張ったまま駆け出してくる。

 

「っ!! ふっ!!!」

 

ヒエールはその光景に目を見開くと、ステッキをXの字に振るって斬撃を飛ばす。

 

フォンテーヌとスパークルは二手に分かれて斬撃をかわし、真っ先にフォンテーヌが飛び出していく。

 

「はぁっ!! ふっ!!」

 

「っ・・・!!」

 

フォンテーヌとヒエールのステッキがぶつかり合い、お互いに牽制し合う。

 

「はぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

そこを横からスパークルが飛び出して拳を繰り出そうとするが、その直前でヒエールは自分のステッキを押し返して飛び退く。

 

「メガァ!!」

 

ヒエールと入れ替わりに、メガビョーゲンが赤い光線を吐き出してくる。

 

「っ!!」

 

スパークルはすぐさまぷにシールドを展開し、赤い光線を防いだ。

 

「メッガァ!!!!」

 

そこへメガビョーゲンが泳ぎながら、こちらに体当たりを仕掛けてくる。

 

「はぁっ!!」

 

「メガァ!?」

 

「ふっ!!」

 

「ビョーゲン!?」

 

フォンテーヌはスパークルの前へと飛び出し向かってくるメガビョーゲンの顎を蹴り上げて怯ませる。さらに回し蹴りを食らわせてメガビョーゲンを吹き飛ばし、近くの木へと叩きつけた。

 

「ヒエール!! 俺たちは絶対にお前なんかに負けねぇぞ!!!!」

 

「パートナーを得た僕たちの力を見せてやるペエ!!」

 

ニャトランとペギタンはヒエールに向かって強気な口調で言い返した。

 

「無粋なヒーリングアニマルの力など、僕の前では無意味だよ・・・!!」

 

ヒエールはそんな彼らを見下すように見ていた。

 

プリキュアとヒエールが牽制しあっている中、クルシーナはメガビョーゲンへと近づく。

 

「とりあえず、取っておくか・・・・・・」

 

クルシーナは地面に倒れ込んでいるメガビョーゲンの尾びれの部分を掴むと毟り始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、自分たちのキャンプ場に引き返したグレースと彼女を追ったアースは、森の中を突き進んでいた。

 

「急いで・・・急がないと・・・!!」

 

グレースは山道で疲れる体を必死に言い聞かせながら走っていた。

 

「グレース、待ってください!!」

 

アースはどんどん前へと走っていくグレースを呼び止めようとするが、必死になっているグレースは止まろうとしない。

 

アースはそれを見て走るスピードを上げ、グレースの横へと並ぶ。

 

「グレース」

 

「っ・・・!!」

 

「忘れましたか? 一人で焦ってはダメと、前にも言いましたよね」

 

「!!」

 

横から声をかけたアースはそう言うと、グレースはハッとしたような表情をした後、顔を俯かせる。

 

「ごめんなさい・・・また、焦っちゃった・・・・・・せっかく、ちゆちゃんやひなたちゃん、アスミちゃんが私のために用意してくれたことなのに、それが病気になるのが耐えられなかったの・・・・・・」

 

「・・・・・・それは私も同じです。私も、みんなの場所を汚されてしまったら悲しいです。でも、一人で突っ走っていては何も解決しません。だから、私も行きます!!」

 

グレースは行動を反省していると、アースは一緒に行くと断言し、お互いに頷く。

 

そんな会話をしているうちに、キャンプをしている場所へと戻ってきた。そこでは・・・・・・。

 

「っ、いました!!」

 

「メガ!」

 

ガスボンベのような体をしたメガビョーゲンが、顔の上にあるバーナーのような部分から火のようなものを噴射して病気で蝕んでいた。

 

「っ? ようやく来たか」

 

そして、その側にはフードを被った人物ーーーーかすみの姿があった。

 

「かすみちゃん・・・・・・」

 

「カスミーナだ。今日は二人だけか? いや、あっちにいるのか」

 

グレースは辛そうな表情をしながら名前を呟く。かすみが悪いことをしない子だというのは仲間にいた時からわかっている。しかし、この惨状をかすみが作り出したかとも思うと、心が痛くなる。

 

かすみは顔を顰めながらそう訂正すると何かを察したようにそう呟いた。

 

「かすみさん!! あなたたちは一体何を企んでいるのですか!?」

 

アースはかすみに向かって問いかける。彼女は仲間なのは確かだが、今はビョーゲンズの一員だ。敵である以上はこちらも油断するわけにはいかない。

 

「カスミーナだと言っているだろ。私の作戦じゃない、ヒエールの作戦だ。彼の強力なメガビョーゲンでお前らを引き付けておいて、私の単純なメガビョーゲンで蝕もうという作戦さ」

 

かすみは名前を訂正した後、険しい表情のまま平然と答える。

 

「そんな作戦が・・・・・・!!」

 

「他のビョーゲンズも思いつきそうな作戦だろ? でも、お前たちが来たことでもう失敗に近いけどな」

 

かすみは険しい表情を崩さないまま、そう吐き捨てた。

 

「まあ、私はいつも通り、ここ一帯を蝕んでやるだけさ」

 

「っ、そんなの許しません!! あなたの凶行を、私たちが止めてみせます!!」

 

かすみは平然とした声でそう言うと、アースは強い口調でそう言った。

 

「行きますよ、グレース!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

「グレース!?」

 

「あ・・・ご、ごめんね・・・行くよ!!」

 

アースがグレースに呼びかけるも、彼女は俯いたままだった。かすみがビョーゲンズとして活動をしていることに心を痛めているのか、その表情は辛そうだった。

 

反応しないアースが呼ぶように声をかけると、グレースは我に返ってステッキを構える。

 

「調子が悪いのなら、お手当てをしないほうがいいんじゃないのか? お互いに傷つかずに済むぞ」

 

かすみがグレースの反応を見てそう言った。願わくば戦いたくない。そこにずっと立ったまま、この惨状が終わるのを見ていてほしい。かすみの心もズキズキと痛んでいた。

 

「そうは行かないよ!! 私は戦えるもん!!」

 

「そうか・・・・・・なら、もう話は無用だな。メガビョーゲン!! プリキュアを倒せ!!」

 

しかし、グレースは強い口調でそう言い返し、それを聞いたかすみは覚悟を決めたようにメガビョーゲンに指示を出した。

 

「メガ!」

 

メガビョーゲンは右手のバーナーから禍々しい炎を噴射する。二人はそれを飛んでかわす。

 

「「はぁっ!!」」

 

そして同時に蹴りを繰り出すが、メガビョーゲンの体は頑丈なのか攻撃に耐えた。

 

「メガ!」

 

「きゃあぁ!!」

 

「ビョーゲン!」

 

「あぁ!!」

 

メガビョーゲンは左腕の拳と、右腕のバーナーを振るって吹き飛ばす。二人は倒れないように、すぐに態勢を立て直す。

 

「音のエレメント!!」

 

アースはハープに音のエレメントボトルをセットする。

 

「ふっ!!!」

 

ハープを奏でて、メガビョーゲンに向かって音波を放つ。

 

「メ、メガ・・・メガ、ガ・・・??」

 

音波を浴びたことでメガビョーゲンの動きが少し鈍くなった。

 

「実りのエレメント!!」

 

グレースはステッキに実りのエレメントボトルをセットする。

 

「はぁっ!!」

 

ピンク色の光弾をステッキからメガビョーゲンに目掛けて放つ。

 

「メガ・・・ガ・・・????」

 

光弾はメガビョーゲンの顔に直撃しダメージを与える。

 

「これでは前と一緒だな・・・・・・」

 

かすみは険しい表情をしながらそう言うとあるものを取り出した。

 

キュン!

 

「「キュアスキャン!!」」

 

グレースはステッキの肉球に一回タッチして、メガビョーゲンに向ける。ラビリンの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを見つける。

 

「火のエレメントさんラビ!!」

 

エレメントさんは右腕のバーナーの部分にいる模様。

 

アースが浄化の準備に入ろうとした、その時だった・・・・・・。

 

「っ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

どこからともなく雷を纏った黒い光線がアースを直撃し、感電させられた彼女は悲鳴をあげてそのまま地面へと崩れ落ちた。

 

「アース!!」

 

グレースは黒い光線が飛んで来た先をみると、黒いステッキを構えているかすみの姿があった。それにステッキをよくみると赤黒いオレンジ色のボトルのようなものがセットされている。

 

「エレメントボトル!?」

 

「なんでかすみが持っているラビ!?」

 

「・・・私のビョーゲンズの仲間入り祝いにもらった」

 

驚いているグレースとラビリンにかすみは平然と答えると、ボトルを外して別のボトルをセットする。今度は暗いピンク色のボトルだった。

 

「・・・はぁっ!!!」

 

かすみはステッキを構えると、そこから黒い光弾をグレースに目掛けて放った。

 

「っ・・・」

 

グレースは飛んで回避すると、止まっている暇もなく飛ばしてくる光弾を走ってかわしていく。

 

すると、グレースの距離と近くなったかすみは光弾を放つのを止めると、ステッキから黒い刀身を伸ばしてグレースへと飛び出して来た。

 

「っ!?」

 

グレースは実りのエレメントボトルをセットしていたこともあって、とっさにピンク色の刀身を伸ばしてかすみの刀身を受け止める。

 

「うっ・・・!!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

カキン!! カキンカキン!!! カキン!!!

 

グレースは顔を顰めて辛そうにしているのに対し、かすみは険しい表情で平然と押し返している。ぶつかり合う刀身と刀身、再び二つは鍔迫り合いになる。

 

「くっ・・・!!!」

 

「メガビョーゲン!! 今のうちにここ一帯を蝕め!!」

 

「メガ!」

 

かすみはメガビョーゲンの方に振り向いて指示を出すと、メガビョーゲンは再び右腕のバーナーから炎を噴射して病気に蝕み始めた。

 

「っ・・・ダメ・・・!!!」

 

グレースはメガビョーゲンがまだ蝕まれてない場所へと向かっているのを見てそうつぶやくと、かすみのステッキを押し退けて駆け出していく。

 

「ふっ!!!」

 

「メガ・・・??」

 

グレースはステッキを振るって斬撃を飛ばし、メガビョーゲンの足元に直撃すると前のめりに転んで倒れる。

 

「っ!?」

 

グレースはメガビョーゲンが倒れる方向を見て目を見開いた。そこにはちゆやひなたちゃんが準備してくれたテント、バーベキューの場所があったからだ。

 

「ダメー!!!!」

 

絶叫したグレースはとっさに飛び出してその場所の前に立ち、メガビョーゲンが倒れてぶつからないように下から受け止める。

 

「うぅ・・・うぅぅぅ・・・!!!」

 

固い体のせいか、あまりの重さに顔を苦しそうに歪ませながらも必死で支えるグレース。

 

「メ、メガ・・・?」

 

「っ、あぁぁ!!!」

 

起き上がったメガビョーゲンはグレースを視認すると、その仇を返すかのようにグレースを右腕のバーナーを振るって殴り飛ばす。

 

「グ・・・グレース・・・!」

 

その様子を見ていたアースは立ち上がろうとするが、かすみの攻撃で痺れているせいか立ち上がることができない。

 

「うっ・・・!!」

 

「・・・そんなにその場所が大事か?」

 

かすみがグレースが吹き飛んだ先に姿を現す。グレースは背後に気づくも、その行動はもう遅かった。

 

「はぁっ!!!!」

 

「っ、きゃあぁ!!!」

 

かすみはステッキの刀身を振るって黒い斬撃を飛ばし、直撃したグレースは吹き飛ばされる。

 

「っ・・・!!」

 

グレースは自分の体がバーベキューのところへと落ちると察して、その場で体を横に動かして衝突を回避したが、そこへかすみが迫る。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「きゃあぁぁぁぁ!!!!」

 

かすみは空中で体を回転させて蹴りを食らわせ、グレースを地面へと吹き飛ばす。勢いよくぶつかったグレースはそのまま転がり、木へと激突した。

 

「・・・・・・・・・」

 

「うっ・・・!!」

 

「っ・・・・・・」

 

かすみは倒れているグレースと感電して動けないアースのそばに近づく。

 

「泣いても悲しんでも、私は止まらないぞ。何を迷っているのか知らないが、私程度をどうにかできないのであれば、お前がお手当てをする資格なんかない」

 

「っ!!」

 

かすみは険しい表情でそれだけ言って踵を返すと、自分のメガビョーゲンのところへと戻っていく。アースはその言葉に目を見開くと、何かを察したように言うことをきかない体を這いながら、グレースのそばへといく。

 

「グレース!! グレース!!! 起きてください!!!」

 

「うぅぅぅぅ・・・・・・ア、アース・・・・・・」

 

アースが呼びかけると、グレースは落ちそうになる意識を必死で紡ぎながらアースの方を向く。

 

「グレース!!」

 

「アース、私・・・前に進まなきゃって思ってたけど・・・本当は、全然吹っ切れてなかった・・・かすみちゃんがビョーゲンズだってこと・・・まだ、認めたくなかったんだ・・・・・・だって、かすみちゃんは友達だもん・・・一緒に戦った、仲間だもん・・・・・・ビョーゲンズだってわかってても・・・戦うなんて・・・私には、できないよ・・・・・・!」

 

グレースは涙を流しながらそう吐露した。かすみが敵になったのはわかっている。でも、友人のかすみを敵と思うなんて、これまでの思い出から彼女と戦うなど、傷つけることなどできなかったのだ。

 

「・・・グレース、気持ちはわかります。私だって本当はかすみさんとは戦いたくないです。でも、今戦わなければ地球は蝕まれてしまいます。ここ一帯がビョーゲンズのものになってしまいます。それでもいいのですか?」

 

「っ・・・嫌だ・・・そんなの嫌だよ・・・!!止めなきゃ・・・でも、かすみちゃんとどう向き合えば・・・・・・」

 

アースがそう叱咤するも、グレースはかすみとの対面の仕方に迷いが生じていた。

 

「・・・友達が悪いことをしたら、グレースはどうするんですか?」

 

「え・・・?」

 

「友達が悪いことをしたら、グレースはやりたいようにやらせるのですか? やらせて黙って見ているだけなのですか? 私は違うと思います。友達だったら悪いことをしたら止めるべきだと思います。やめさせるべきだと思います。例えその思いがわがままであっても、押し売りであっても、友達の曲げた道は止めるべきではないですか?」

 

「っ!!!!」

 

グレースはアースの言葉に目を見開いた。友達だと思っているなら、仲間だと思っているなら、その人がやっているいけないことは止めるべきだと、アースは諭したのだ。

 

「グレースは、かすみさんとは友達ではないのですか?」

 

「っ・・・かすみちゃんは友達だよ!! 最初に出会って、一緒にお手当てした頃からそうだよ!!」

 

アースの言葉に、グレースは首を振りながら答える。そして、グレースは軋む身体を動かしながらゆっくりと立ち上がる。

 

「止めなきゃ・・・友達が悪いことしたなら止めないと・・・・・・!!」

 

「・・・私も、一緒に止めます。止めて見せます!!」

 

アースも関電から回復して立ち上がり、グレースのそばに並ぶ。そして、二人はかすみとメガビョーゲンを止めるために動き出す。

 

一方、そのかすみは・・・・・・。

 

「メガ!」

 

「・・・・・・・・・」

 

メガビョーゲンは変わらず右腕のバーナーから炎を噴射して病気に蝕んでいた。かすみはそれを喜ぶわけでもなく、悲しむわけでもなく険しい表情で見つめ続けていた。

 

「・・・・・・何しに戻ってきた?」

 

かすみは振り向くまでもなく、背後に気配を感じてそう呼びかける。

 

「お手当てをしにきたに決まっているラビ!!」

 

「お前には無理だ。私と戦うことに迷いのあるやつに、私を止められるものか」

 

ラビリンがそう主張すると、かすみは冷淡に吐き捨てる。

 

「止めるよ、私は。かすみちゃんも、メガビョーゲンも、止めてみせる!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

グレースが強気な口調でそう言うと、かすみは後ろを振り向いた。その表情は覚悟を決めたものの顔であると察した。

 

かすみは険しい表情を崩さないまま、こちらに体を向けた。

 

「・・・そうか。なら私を制して止めてみせろ!!」

 

かすみはそう叫びながらグレースにステッキを向ける。

 

「メガビョーゲン!! 続けろ!!」

 

「メガ!」

 

背後にいるメガビョーゲンに指示を出しながら、グレースと睨み合う。

 

「メガビョーゲンは私が・・・!!」

 

「っ・・・ふっ!!」

 

「っ!?」

 

アースは睨み合っている隙にメガビョーゲンの元に行こうとしたが、それに気づいたかすみはステッキを振るって黒い光線を放つ。アースはそれによって動きを止められてしまう。

 

「行かせると思うか・・・?」

 

「っ・・・・・・」

 

かすみはアースを睨みつける。アースもこちらを険しい表情で見つめる。

 

お互いに睨み合う二人と一人。その間にかすみは暗いピンク色のボトルをステッキにセットする。さらにメガビョーゲンも徐々に病気で蝕んでいく。

 

周囲に風が吹き、周辺の草木や草原を揺らしていく。三人の間に緊張感が走る。

 

そして・・・・・・風が吹く音が収まった・・・・・・その瞬間・・・・・・。

 

「ふっ!!」

 

「はぁっ!!」

 

カキン!!!!

 

かすみとグレースが同時に飛び出し、ステッキと刀身がぶつかり合う。

 

「っ・・・・・・」

 

「くっ・・・・・・」

 

二人はお互いにステッキを押し合い、つばぜり合う。

 

「はぁっ!!」

 

「っ・・・ふっ!!!」

 

「うっ・・・!!」

 

そこへアースがかすみに拳を振るおうとするが、かすみはそれに気づくとグレースの腹を蹴って吹き飛ばし、飛び出してくるアースにステッキの斬撃を飛ばした。

 

「!! はぁっ!!」

 

アースは間一髪で避けると拳を振るう。かすみは当たる直前にその場から飛び退いて避ける。

 

そして、後ろに一回転して着地すると、かすみは猛スピードでアースへと突っ込む。

 

「っ・・・うぅぅ!!」

 

「はぁっ!!」

 

「あぁぁっ!!」

 

そのまま拳を振るい、アースは受け止めるも勢いよく飛んできたパンチに押され、さらにかすみはその場で蹴り上げてアースを上空へ吹き飛ばす。

 

「実りのエレメント!!」

 

グレースはその間に実りのエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「はぁっ!!」

 

ステッキからピンク色の光弾をかすみに目掛けて放つ。

 

「ふん!!」

 

かすみは回し蹴りで光弾を蹴り飛ばすと、お返しにステッキから黒い光線を放つ。

 

「ぷにシールド!!」

 

グレースはステッキから肉球型のシールドを展開し、黒い光線を防いだ。

 

かすみはステッキから再び刀身を生やすとグレースへと飛び出す。

 

「っ・・・うっ・・・!!」

 

グレースもとっさにステッキから刀身を放つと、かすみの攻撃を受け止める。

 

「・・・・・・・・・」

 

「うっ・・・はぁっ!!」

 

かすみは表情を全く変えずにグレースを押しやろうとし、グレースは苦しい表情をしながらもかすみを逆に押し返す。かすみは同時に後ろへと飛び退いて距離を取る。

 

「・・・・・・・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

かすみは平然としていたが、グレースは息があがってきていて、もう体力が限界のようだった。

 

「・・・どうした? かかってこい。私を止めるんだろう?」

 

かすみはステッキを向けながら、グレースを挑発する。

 

「グレース!! こうなったらあれをやるラビ!!」

 

「えっと・・・あれだよね!!」

 

グレースは変身アイテムでもある花のエレメントボトルを取り出し、ステッキにセットする。

 

「エレメントチャージ!!」

 

キュン!キュン!キュン!

 

グレースはステッキでハート型の模様を空中に描き、肉球に3回タッチする。

 

「「ヒーリングゲージ上昇!!」」

 

ステッキの先のハートマークに光が集まっていく。

 

「プリキュア!ヒーリングフラワー!!」

 

グレースはそう叫びながらステッキからピンク色の光線を放つ。光線は螺旋状になりながら、一直線に向かっていく。

 

「・・・・・・・・・」

 

それを見たかすみは黒色の花のマーク描かれたボトルを取り出すと、それをステッキにセットする。

 

「エレメントチャージ・・・・・・」

 

パン!パン!パン!

 

かすみはステッキで逆さハートの模様を空中に描き、肉球に3回タッチする。

 

「イルネスゲージ上昇・・・・・・」

 

ステッキのハートに黒い光が集まっていく。

 

「ビョーゲンズ! イルネスフラワー!」

 

かすみそう叫びながらステッキを向けると黒い花のエフェクトが出現し、そこから黒い光線が放たれた。光線は螺旋状になりながら一直線に向かっていく。

 

グレースの放ったピンク色の光線、かすみの放った黒い光線、二つの光線がぶつかり合う。

 

「うぅぅぅ・・・・・・!!」

 

「っ・・・・・・!!」

 

グレースは苦しい顔をしながら、かすみは顔を少し顰めながら、お互いの光線を押しやっていく。

 

「ぐっ・・・うぅぅぅ・・・・・・!!」

 

「っ・・・っ!!!」

 

体力的な問題なのか、徐々にグレースの方が押され始め、かすみはどんどん押しやっていく。

 

「やっぱり限界じゃないのか? 無理しないで休んでたほうがお前の身のためだぞ」

 

「っ!!」

 

かすみは光線がぶつかり合う中、グレースを挑発するが、彼女は諦める様子を見せない。

 

「わ、私は・・・止めるんだ・・・かすみちゃんを・・・しんらちゃんを止めて・・・!! みんな・・・みんな・・・助けるんだぁー!!!!」

 

グレースがそう叫ぶとピンク色の光線が大きくなって、逆に黒い光線を押し始める。

 

「っ!? 私だって、譲れないものがあるんだ!! こんな・・・こんなところで・・・やられてたまるかぁーッ!!!!」

 

かすみもそう叫ぶと黒い光線が太くなり、ピンク色の光線を止め、両者の光線は互角の押し合いになる。

 

ぶつかり合うピンクと黒の光線・・・・・・そして・・・・・・。

 

チュドォォォォォォォン!!!!

 

「あぁぁぁぁっ!!!!」

 

「うわあぁぁぁぁっ!!!!」

 

光線は押し合いの末に大爆発を起こし、グレースとかすみはお互いに吹き飛ばされ地面へと転がる。

 

「うっ・・・うぅぅ・・・・・・!!」

 

「ぐっ・・・ぅぅぅぅ!!!!」

 

グレースとかすみは呻きながらも立ち上がってステッキを構え、戦う闘志を崩さない。

 

「はぁっ!!」

 

「メガ・・・??」

 

その間にメガビョーゲンは、アースによって地面に倒されていた。

 

「っ、しまった・・・!!」

 

かすみはグレースとの戦いに夢中になるあまり、アースを見逃すという失態を冒してしまったことに気づいた。

 

アースは両手を合わせるように祈ると、一枚の紫色の羽が舞い降り、ハープのような武器へと姿を変える。

 

「アースウィンディハープ!!」

 

そう呼ばれたハープに、風のエレメントボトルがセットされる。

 

「エレメントチャージ!!」

 

アースはハープを手に取って、そう叫ぶとハープの弦を鳴らして音を奏でる。

 

「舞い上がれ! 癒しの風!!」

 

手を上に掲げると彼女の周りに紫色の風が集まり始め、ハープへとその力が集まっていく。

 

「プリキュア! ヒーリング・ハリケーン!!!」

 

アースはハープを上に掲げてから、それを振り下ろすとハープから無数の白い羽を纏った薄紫色の竜巻のようなエネルギーが放たれる。

 

そのエネルギーは一直線にメガビョーゲンへと向かい、直撃する。

 

竜巻のようなエネルギーはメガビョーゲンの中で二つの手へと変化し、火のエレメントさんを優しく包み込む。

 

メガビョーゲンをハート状に貫きながら、光線はエレメントさんを外に出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていく。

 

「お大事に」

 

火のエレメントさんが宿っていたガスボンベの中へと戻っていくと、蝕まれた場所は元に戻っていく。

 

「・・・・・・・・・」

 

かすみはそれを見つめると悔しがる様子を見せることなく、黒いステッキをしまうと何も言わずに踵を返して歩き出す。

 

「かすみさん!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

アースはそんなかすみの背中を呼び止める。かすみは立ち止まってプリキュア二人の方を振り返る。

 

「・・・・・・また会おう、プリキュア」

 

かすみは淡々とした声でそれだけ呟くと、その場から姿を消していった。

 

「グレース・・・!」

 

「・・・大丈夫だよ、アース」

 

アースはグレースに駆け寄り、彼女の伸ばした手を取ってグレースを立たせる。

 

「私はかすみちゃんとも戦う。もう・・・覚悟はできてるから・・・」

 

「・・・はい!」

 

グレースの意を決したような表情に、アースは微笑みながら返事をした。

 

「行こう!!」

 

二人はもう一体のメガビョーゲンを浄化すべく、すこやか山の反対側へと向かうのであった。

 

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