ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

102 / 144
前回の続きです。
ヒエールとの激闘の行方は??

オリストは一回、これで終わります。


第101話「不要」

 

「プリキュア!ヒーリングストリーム!」

 

「プリキュア!ヒーリングフラッシュ!」

 

フォンテーヌとスパークルはそう叫びながら、ステッキをメガビョーゲンに向けて、青色の光線と黄色の光線を同時に放つ。光線は螺旋状になって混ざり合い、一直線に向かっていく。

 

「ふっ・・・・・・♪」

 

ヒエールは不敵に笑うと、持っていたステッキに手をかざして黒い水色のオーラを溜める。

 

「ヒエールショット!!」

 

ヒエールはステッキを横に振るい、水色の三日月状の斬撃を飛ばした。

 

螺旋状に混ざり合った光線と三日月状の斬撃はぶつかるも、斬撃は光線を呆気なく突破し、そのまま二人へと向かっていく。

 

「「あぁぁぁぁ!!!!」」

 

斬撃は二人へと着弾し、爆発を起こしてダメージを与えた。

 

「うっ・・・!!」

 

「うぅぅ・・・!!!」

 

攻撃を受けて倒れ伏すプリキュアの二人。ここまでグレースとアースの二人が来るまでに耐え抜いてきたが、メガビョーゲンやヒエールの攻撃を受けてすでにボロボロで、体力の限界もあって立ち上がることができない。

 

「無様だねぇ! キミたちが美しくても、それ以上に美しい僕には敵わなかったか」

 

ヒエールはプリキュア二人を見下ろしながら笑いそう呟く。

 

「うる、さい・・・気持ち悪い・・・!」

 

「まだ、負けてない、わよ・・・!!」

 

スパークルとフォンテーヌはなんとか口を開いて反論し、まだ心は負けていないようだった。

 

「諦めないというその闘志、本当に美しい。キミたちのそれに免じて、苦しまないように美しくトドメをさしてあげよう!」

 

ヒエールはそういうと、ステッキをXの字を描くように振るい斬撃を飛ばす。

 

一直線に倒れ伏すフォンテーヌとスパークルへと向かう・・・・・・その時だった・・・。

 

「ぷにシールド!!」

 

二人の前に肉球型のシールドが展開され、斬撃を防いだ。

 

「何!?」

 

ヒエールは目の前で技を防がれたことに驚きを隠せない。目の前にいる二人はダメージが蓄積して動けないはず、どうやってやったのか?

 

「フォンテーヌ!! スパークル!!」

 

「遅れてごめん!!」

 

そこへグレースとアースが駆けつける。すこやか山の反対側にいるメガビョーゲンを対処して、戻ってきたのだ。

 

「おやおや、誰かと思ったら二人を捨ててどこかへ行った美しくないキミかい?」

 

ヒエールはグレースの姿を視認すると、見下したような笑みを浮かべながら言う。

 

「グレースはメガビョーゲンを対処するために離れたのです。フォンテーヌとスパークルを信じているから、できたことなのです!」

 

「・・・・・・そうか、カスミーナがやられたのか」

 

アースの言葉から、ヒエールは遠いところでメガビョーゲンを発生させていたであろうカスミーナが失敗したと察した。

 

「でも離れたのは事実だろう? 僕には逃げたように見えたけどね」

 

「・・・・・・逃げないよ」

 

ヒエールが精神的に追い詰めようと侮蔑の言葉を発するも、グレースはそう呟く。

 

「私はもう逃げない。かすみちゃんからも、しんらちゃんからも。私はビョーゲンズで苦しんでいる友達を、道を曲げた友達を救うって決めたの。それが例えわがままと言われてもいい、鬱陶しいと言われてもいい。私は私が信じる道を進むだけだから!!」

 

グレースは強い口調で言い返した。アースが勇気をくれた、敵となった友達に向き合う勇気を。そして、自分には自分を助け、支えてくれる友達がいる。その思いや力を持って、自分は戦うのだと。

 

「その美しさ・・・またよし! でも、僕の美しさには勝てるかな?」

 

ヒエールはグレースの勇気を賞賛すると、メガビョーゲンの方を振り向く。

 

「メガビョーゲン!! 僕らも美しく行くよ!!」

 

「メガァ!!」

 

「「ふっ!!」」

 

ヒエールにそう言われたメガビョーゲンは口から赤い光線を吐きつける。二人はそれを飛び上がってかわす。

 

「「はぁっ!!」」

 

「メガァ!!」

 

グレースとアースが同時に蹴りを繰り出し、メガビョーゲンは尾びれを振るい、蹴りと尾びれがぶつかり合う。

 

「僕も美しくーーーー」

 

「氷のエレメント!!」

 

「っ!」

 

ヒエールもステッキを構えて飛び出そうとしたが、そこへ叫び声がしたかと思うと氷を纏った光線が飛んでくる。ヒエールは光線を片なく避ける。

 

「行かせないわよ・・・!!」

 

「おや? まだ動けたのかい? 罪な美しさだねぇ」

 

「意味わかんないし!! っていうか、グレースとアースが頑張ってんのに倒れてらんないっての!!」

 

立ち上がったフォンテーヌとスパークルがこちらを険しい表情で見ており、ヒエールの言葉にスパークルが強気に言い返す。

 

「そうか・・・ならば、美しく清めてあげよう!」

 

ヒエールは尊大な態度でそう叫ぶと赤いオーラを纏ってステッキを上に掲げる。すると、フォンテーヌとスパークルの上空が黒い雲に覆われ、そこから赤色の雷が降り注ぐ。

 

「来るわ!!」

 

「ぷにシールド!!」

 

フォンテーヌが叫ぶと同時に、スパークルが肉球型のシールドを展開し雷を凌ぐ。

 

「ぐっ・・・うぅぅぅ・・・フォンテーヌ!!」

 

「ええ!!」

 

スパークルは激しい攻撃に苦しそうにしながらも防ぎ、それを合図にフォンテーヌが駆け出す。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「っ!?」

 

そんなフォンテーヌは降り注ぐ雷の中を駆け出していき、ヒエールはその光景に驚く。

 

「やぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「っ!!!」

 

フォンテーヌはジャンプして蹴りを繰り出し、ヒエールはステッキで防ぐもよろつかせる。

 

「っ、ヒエールスラッシュ!!」

 

「うぅぅっ・・・あぁぁぁ!!!」

 

ヒエールは斜め右、斜め左、縦とステッキを振るい、フォンテーヌは両腕で防ぐも耐えきれずに吹き飛ばされる。

 

「フォンテーヌ!!」

 

スパークルは駆け出して飛び上がると、一回転して両足を突き出すように構える。

 

「っ!!」

 

「やぁぁぁぁ!!!」

 

フォンテーヌはそれに気づくと体勢を立て直して、スパークルの両足を合わせ、それを彼女が蹴ってヒエールへと飛ばす。

 

「っ!!!!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「ぐぅぅぅぅっ!!」

 

フォンテーヌは上空で回転して勢いをつけると、ヒエールに目掛けて上空から蹴りを振るう。ヒエールは腕で防いだが、勢いに負けて後ろへと数メートル押される。

 

「やあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「っ、うぁぁぁぁ!!」

 

そこへスパークルも飛び出して勢いのつけたパンチを振るう。ヒエールは防御体勢も取れずにそのまま吹き飛ぶも、倒れないように踏ん張った。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」

 

「ぐぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

さらに着地したフォンテーヌとスパークルは同時に飛び出すと二人でパンチを繰り出した。怒涛の攻撃にヒエールは吹き飛ばされて地面に転がる。

 

それでも立ち上がるヒエールだが、ダメージが響いたのか膝をついてしまう。

 

「っ、バカな・・・!! 僕はキングビョーゲン様に認められ、ヒーリングガーデンを征服するほどの力を持っているはず・・・それなのになぜ・・・美しくないヒーリングアニマルたちなどに・・・!!!」

 

ヒエールは理解ができなかった。キングビョーゲンに見出され、強いはずの自分。なぜ自分たちに抵抗することのできないヒーリングアニマルたちが、人間のパートナーを得ただけで自分を押しているのか・・・?

 

「人間のパートナーに出会ったことで、これまでの俺たちになかったものができたんだよ!!」

 

「僕たちは人間に出会って、いろんなことを学んだペエ!! 地球のこと、フォンテーヌのこと、お手当てのこと、そして何よりも一人では何もできなくても、みんなでやればできるんだってことを知ったんだペエ!!」

 

「人間とヒーリングアニマル、あたしたちの友情があって・・・!!!!」

 

「私たちにしかない力を生み出したの!!」

 

「僕たちと人間の絆と・・・!!」

「俺たちと人間の絆と・・・!!」

 

「「美しい乙女の力を」」

 

「甘く見るなニャ!!」

「甘く見るなペエ!!」

「「甘く見ないで!!」」

 

ニャトランとペギタンの主張、そしてフォンテーヌとスパークルは強い口調でヒエールに言い返した。

 

それを見ていたヒエールは彼女たちに輝いている何かを感じ取った。

 

「おぉ・・・絆の力か・・・美しい・・・!!」

 

ヒエールは見とれているのだ。フォンテーヌとスパークル、そしてヒーリングアニマルたちの生き生きとした友情と絆の輝きを。

 

「そうラビ!!」

 

「私たちの絆は誰にも打ち破れないよ!!」

 

「お二人の言う通りです!!」

 

それを聞いていたラビリン、グレースとアースもそう主張する。

 

「メガァ!!!!」

 

対するメガビョーゲンは猛スピードで宙を泳ぎ、グレースとアースに突っ込む。二人はそれを飛び上がってかわす。

 

「メガァァァ!!!」

 

しかし、メガビョーゲンはUターンをして、再度こちらへと突っ込んでくる。

 

「っ・・・はぁっ!!!」

 

「メ、ガァ・・・!?」

 

それを見たアースは構えの姿勢を取り、メガビョーゲンとの距離が縮まる中、タイミングを見計らって蹴り上げた。顎に直撃したメガビョーゲンは仰け反るように体を曲げさせる。

 

「やぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「ビョー・・・ゲン・・・!?」

 

そこへグレースが飛び出して腹部に蹴りを入れ、そのままメガビョーゲンを地面にひっくり返すように蹴り倒した。

 

キュン!

 

「「キュアスキャン!!」」

 

メガビョーゲンから距離を取ったグレースは、ステッキの肉球を一回タッチしてメガビョーゲンに向ける。ラビリンの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを発見する。

 

「水のエレメントさん、発見したラビ!!」

 

エレメントさんはメガビョーゲンの腹部にいるのを発見した。

 

「その美しさ・・・僕のものにしたい・・・! こうなれば・・・メガビョーゲン!!」

 

「メガァ!!!」

 

ヒエールがそう叫ぶと倒れていたメガビョーゲンが宙に浮かび上がる。そして、ヒエールはそのメガビョーゲンの背中へと飛び乗る。

 

「僕とお前の力で、その美しさを我が物に・・・!!!!」

 

「メガビョーゲン!!!」

 

ヒエールは赤いオーラを纏わせながらステッキを前方に掲げ、メガビョーゲンは口から赤い禍々し

オーラを溜め込み始めた。

 

「私たちの絆、見せてあげる!!!!」

 

その言葉を合図にグレースたち3人はミラクルヒーリングボトルを取り出し、ステッキにセットする。

 

「「「トリプルハートチャージ!!」」」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの順で肉球にタッチしていき、ステッキを上に掲げる。すると、花畑が広がっていき、背後には自然豊かな森が広がっていく。

 

「「「プリキュア! ヒーリング・オアシス!!」」」

 

3人は一斉にメガビョーゲンへとステッキを構え、ピンク・青・黄色の3色の光線が螺旋状になって放たれる。

 

さらにアースは両手を合わせるように祈ると、一枚の紫色の羽が舞い降り、ハープのような武器へと姿を変える。

 

「アースウィンディハープ!!」

 

そう呼ばれたハープに、風のエレメントボトルがセットされる。

 

「エレメントチャージ!!」

 

アースはハープを手に取って、そう叫ぶとハープの弦を鳴らして音を奏でる。

 

「舞い上がれ! 癒しの風!!」

 

手を上に掲げると彼女の周りに紫色の風が集まり始め、ハープへとその力が集まっていく。

 

「プリキュア! ヒーリング・ハリケーン!!!」

 

アースはハープを上に掲げてから、それを振り下ろすとハープから無数の白い羽を纏った薄紫色の竜巻のようなエネルギーが放たれる。

 

グレースたち3人とアースによって放たれた技、その二つの力は混ざり合い、4つの螺旋状の光線がヒエールとメガビョーゲンヘと向かう。

 

「ふっ!!!!」

 

ヒエールがステッキを突き出すように向けると、黒い雷が放たれる。

 

「メェェェェェガァ!!!!」

 

メガビョーゲンは口から赤く禍々しい太めの光線を放った。

 

プリキュアの光線と、ビョーゲンズの攻撃・・・・・・両者の力がぶつかり合う。

 

そして、プリキュアの光線はビョーゲンズの攻撃を突破し、ヒエールとメガビョーゲンに直撃する。

 

螺旋状の光線はメガビョーゲンの中で4つの手へと変化し、水のエレメントさんを優しく包み込む。

 

ハート状にメガビョーゲンを貫きながら、光線はエレメントさんを外に出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていく。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!! 美しい、絆の力には・・・勝てませぇぇぇぇぇぇぇん!!!!」

 

癒しの光に包まれたヒエールは絶叫を上げながら、遥か彼方へと吹き飛んでいった。

 

「「「「「「「お大事に」」」」」」」

 

水のエレメントさんが宿っていた川の中へと戻っていくと、蝕まれた場所は元の色を取り戻していく。

 

「ワフ~ン♪」

 

体調不良だったラテも額のハートマークが黄色から水色に戻り、元気になったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プリキュアの変身を解いた後、のどかたちは水のエレメントさんの様子を見るためにすこやか山の川へと来ていた。

 

「エレメントさん、お加減はいかがですか?」

 

『みなさんのおかげで助かりました! ありがとうございます!』

 

のどかが尋ねると、エレメントさんは元気な声で答えた。

 

「「「「ふふっ♪」」」」

 

それを聞いたのどかたちは互いに笑みを浮かべるのであった。

 

そして、一行はキャンプ場へと戻り、バーベキューの準備を進めた。そして日も暮れる頃、楽しいバーベキューが始まる。

 

「じゃあ、焼いてくよ〜♪」

 

ひなたが合図をして、トレーの中に入っている仕込まれた具材を火を入れたコンロで焼いていく。

 

ジュウ〜という具材が焼かれている音が鳴り、湯気が立っていく。

 

「ふわぁ〜、美味しそ〜♪」

 

「早く食べたいラビ!!」

 

のどかとラビリンは美味しそうな具材に瞳をキラキラとさせていた。

 

「食べるのはまずのどかからだろ?」

 

「わかってるラビ!!!」

 

ニャトランが指摘すると、ムキになったラビリンがそう言う。

 

お肉が焼き上がったところで、のどかが箸を持って自分の取り皿に取る。そして、タレを付けて口の中へと持っていく。

 

「ん〜!! 美味しい〜!!」

 

お肉を食べたのどかは瞳をキラキラとさせながら喜んだ。

 

「タマネギも全然バラバラになってないね!」

 

「人間の知恵の賜物ね♪」

 

それを機にひなたとちゆも話しながら食べ始める。

 

「これは・・・何なのでしょうか・・・?」

 

アスミもお肉などを食べていく中、アルミホイルに包まれているものを見て不思議そうに呟く。

 

「ああ、もう焼けてると思うわ。それ、一つ取って、その包みを開けてみて」

 

「??」

 

ちゆがそう言うと、アスミはアルミホイルに包まれているものを取り皿に取ると包みを開けようとする。

 

「あぁ〜!? アスミン、ストップ!!」

 

「そのまま触っちゃダメよ!!」

 

「?? そうなのですか?」

 

アスミが素手で開けようとしていたため、ひなたとちゆは慌てて静止させる。

 

「手で触ったら火傷しちゃうわ。こういう場合は鉄箸を使って開けるのよ」

 

「こう・・・ですか・・・?」

 

ちゆは説明しながら鉄箸を渡すと、アスミは少しずつアルミホイルを開けていく。すると・・・・・・。

 

「あぁ・・・・・・」

 

アルミホイルの中には、アスミが先ほど釣ってきた鮭の切り身が入っていた。

 

「鮭のバターホイル焼きよ。バターがあったから、作ってみたの」

 

「美味しそうですね・・・・・・」

 

アスミはそれをキラキラとしたような様子で見つめる。アスミは箸を手に取ると、鮭の切り身を崩し口へと運ぶ。

 

よく噛みながらゴクリと飲みこむ。

 

「どう・・・?」

 

それを緊張した様子で見つめていたちゆが尋ねる。

 

「・・・はい、美味しいです!」

 

「!! よかった♪」

 

アスミは笑顔でそう答えると、ちゆも安心したように笑顔になる。

 

「普通に食べているだけなのに不思議な気分です。なんだか満たされていくような・・・・・・」

 

「それはアスミが苦労して釣ってきたからよ。達成感もあった分、普通よりも美味しく感じたの」

 

「そうそう!! アスミンが頑張って釣ってきたんだから、まずいわけないもん!!」

 

アスミは感じたことのない不思議な感覚を味わっていると、ちゆやひなたが説明してあげる。

 

「達成感・・・ですか・・・・・・。これが達成感というんですね・・・!!」

 

アスミはまた一つ感情を学んだことに笑みを浮かべた。

 

「うぉ!? うまそうだな〜!! なあなあ!! 俺も俺も!!」

 

「ラビリンも食べてみたいラビ!!」

 

「はいはい! あたしが取り皿によそってあげるね♪」

 

ニャトランとラビリンが早く食べたいとゴネると、ひなたは二人の取り皿にホイル焼きを取ってあげる。

 

「僕も、少しだけ・・・・・・」

 

「ペギタンは私が取ってあげる」

 

「ありがとうペエ・・・・・・」

 

ペギタンも恥ずかしがりながらそう言うと、ちゆが取り皿を持ってそう言った。

 

「はい、ラテ」

 

「ワンワン♪」

 

ひなたたちが盛り上がる中、のどかはヒーリングルームバッグからラテのご飯を出してあげていた。

 

「のどか」

 

そこへアスミが背後から声をかける。

 

「ひなたが考えたキャンプ、楽しめてますか?」

 

「うん! 楽しいよ! 本当はかすみちゃんやしんらちゃんがいてくれれば、もっと楽しかったんだけど・・・・・・」

 

のどかは笑顔でそう言うと、ここにいない友達の姿を思い浮かべながら眉をハの字にした。

 

「のどか・・・絶対に取り戻しましょう。そのためには私たちが心身ともに強くなるべきです」

 

「・・・そうだね。私、もっと強くならなきゃ・・・!!」

 

のどかはゆっくりと立ち上がると、アスミの方へと向き直る。

 

「アスミちゃん、私、もう迷わないよ。かすみちゃんも止めて見せるし、しんらちゃんも取り戻して見せる。そのためなら、私は・・・・・・戦うよ」

 

のどかは決意を口にすると、アスミはゆっくりと頷いた。

 

「のどかっち〜!! アスミ〜ン!! 何やってんの〜?!」

 

「早くしないと、お肉なくなっちゃうぜ〜!!」

 

そこへひなたとニャトランの呼び声が聞こえる。そこにはひなたとニャトラン、ちゆ、ペギタン、そしてパートナーのラビリンも一緒にいる。

 

「行きましょう、キャンプはまだ始まったばかりですよ」

 

「うん!!」

 

のどかとアスミは互いに笑顔を向けながら、ちゆたちの元へと駆け寄っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃・・・・・・遥か彼方に吹き飛ばされたヒエールは、すこやか山の端にある草原の上で倒れ伏していた。

 

「うぅぅ・・・・・・!」

 

ヒエールは意識はあるようだが、立ち上がれずにいた。すでにボロボロで、しかもその体から赤い粒子のようなものが放出されながら溶けるように消えていくのが見える。

 

そこへヒエールに近づく足音があった。

 

「うっ・・・!! 姫!!」

 

キングビョーゲンの娘、クルシーナだった。クルシーナは微笑みながらヒエールの前まで歩くと、片手から何かを取り出す。それは先ほどヒエールのメガビョーゲンから毟り取ったメガパーツだった。

 

「っ!? それは!? 噂に聞く、メガパーツ・・・!!」

 

ヒエールは瞳をキラキラとさせると、体を起こし膝立ちになりながらもメガパーツを見つめる。

 

「お願いです、姫。それを僕に・・・!!」

 

ヒエールはクルシーナにそう懇願する。メガパーツさえあれば、先ほど美しい自分を打ちのめしたプリキュアにも対抗できる。これを使えばもっと美しい自分になって、プリキュアに仕返しをする・・・・・・そう考えたのだ。

 

しかし、そんな浅はかな考えを見透かしているようにクルシーナはメガパーツを掲げたまま渡そうとしない。そして、微笑んだような表情から一転して、顔を顰め不機嫌そうな表情へと変えた。

 

「ヒエール・・・・・・アンタはここに来るべきじゃなかったのよ。お父様に招集されて来るべきじゃなかった。ヒーリングガーデンで弱っているテアティーヌを潰してたほうが楽だったんじゃない?」

 

パリン!!

 

「あぁ・・・!?」

 

クルシーナは淡々とそう告げると、メガパーツを持った手を逆さにするとその手を開く。そして、地面に落ちたメガパーツをそのまま履いているブーツで踏み砕いた。

 

それだけで唖然とした哀れなヒエールをもう一度見つめると、クルシーナは踵を返して彼に背を向ける。

 

「・・・・・・ビョーゲンズに美しさなんか不要よ」

 

クルシーナは髪を掻き分けながらそれだけ言い放つと、そのまま彼から離れるように歩いていく。

 

「あっ・・・姫・・・!!」

 

クルシーナに突き放されたヒエールはボロボロの体で寄ろうとするが、体が前に出るだけで膝をつき、赤い粒子のようなものの放出が増える。その間にクルシーナはどんどんヒエールから離れていく。

 

「そ・・・それでもあなたは・・・美しい・・・・・・!!」

 

ヒエールは再度立ち上がりながらそう言うと、再び地面へと倒れ伏す。体から赤い粒子の放出が加速すると、そのまま彼の体は赤い粒子となって消えていった。

 

クルシーナに恋をし、美しいものを愛したビョーゲンズは、最後まで彼女を美しいと評しながら果てた。

 

「・・・・・・お大事に」

 

歩みを止めて振り返り、ヒエールが消滅したのを見届けたクルシーナはそう呟くと前を向いてその場から姿を消していったのであった。

 

その頃、キングビョーゲンの娘たちのアジトでは、一足先に戻ってきたかすみが病院内のキッチンで何かをしているようだった。

 

土鍋を火にかけ、何かを煮ているようだった。そして、煮立ったのか火を止めると土鍋の中のものをしゃもじで皿に盛る。

 

そして、それを水で濡らした手で触ろうとする。

 

「熱!!」

 

白いものを触ろうとして熱かったのか反射的に手を離し、息を吹きかけたり手で仰ぐようにして冷ますような行動を取った後、手に取って何かをかけるとそれを握っていく。

 

そして、握ってできたものを皿の上に9つほど載せる。

 

「よし・・・・・・!!」

 

「何が、『よし』なの?」

 

「っ!!??」

 

かすみがそう呟くと背後から声が聞こえ、びっくりしたかすみは慌てて振り向く。

 

「ク、クルシーナ!? 戻ってたのか!?」

 

「アタシたちのアジトなんだから、当たり前でしょ」

 

「そ、そうか・・・・・・!」

 

テンパっているかすみに対し、クルシーナは淡々と答える。

 

「で、アンタは何してんのよ?」

 

「・・・・・・お、おにぎりを作ってたんだ」

 

クルシーナが怪しみながら尋ねると、かすみは顔を赤らめながらそう答える。

 

「何のために?」

 

「あ、えっと・・・その・・・ビョーゲンズのみんなと・・・クルシーナに・・・食べて欲しくてな・・・」

 

「・・・ふーん」

 

クルシーナがさらに聞くと、かすみはもじもじとさせながらそう答える。

 

「アタシにこんなお粗末なものを食べろと?」

 

「い、いいだろ!! 別に!! 私だって少しは気を遣いたいんだ・・・!!」

 

クルシーナがお皿の上のおにぎりを見つめながら冷淡に言い放つと、かすみがムキになってそう反論する。

 

「あっそ・・・・・・」

 

「嫌なら食べるな!!」

 

あいもかわらず淡々とした声のクルシーナに、かすみは憤慨してお皿を持ち去ろうとするが、その前にクルシーナが彼女の腕を掴む。

 

「待てよ。嫌なんて言ってないし、食べないなんて言ってないでしょ?」

 

「言い方がそう聞こえるんだ!!」

 

クルシーナは顔を顰めながらそう言うと、かすみも負けじと言い返す。

 

「・・・・・・・・・」

 

クルシーナはかすみの腕を離すと、おにぎりを一つ乱暴に掴み上げると口へと運ぶ。

 

「お、おい!!??」

 

かすみが咎めるように叫ぶも、クルシーナはそのままおにぎりを咀嚼する。

 

かすみは全く訳がわからなかった。あんなにおにぎりに嫌なことを言っておいて、おにぎりを食べるなんて・・・・・・胸の中にはモヤモヤしたような不快感しかなかった。

 

クルシーナはごっくんとおにぎりを飲み込む。すると・・・・・・。

 

「・・・・・・しょっぱすぎ」

 

「え?」

 

クルシーナは表情を変えるわけでもなく、そう評価した。

 

「アンタ、塩をどのぐらい入れたの?」

 

「20回ぐらい塩を振って入れたんだが・・・・・・?」

 

「・・・・・・バカじゃないの?」

 

かすみがかなり塩を入れたという趣旨の発言を聞くと、クルシーナはそう淡々と呟く。

 

「塩はそんなに入れなくていいっつーの。大量に入れたら、食えなくなっちゃうでしょ」

 

クルシーナはかすみにアドバイス的なことを言いながらも、手に残っているおにぎりを全部口の中に入れる。

 

「そ、そうなのか!? 私、これが美味しいと思っていたから・・・!!」

 

「アタシ以外の奴らもそう言うと思うわよ?」

 

「あぁ・・・そんなぁ・・・」

 

驚いているかすみにクルシーナはそう告げると、かすみは膝をついて落ち込み始めた。手料理を振る舞おうと思っていたが、クルシーナに現実を突きつけられ、料理は失敗していたようだ。想像以上に悲しいという感情が胸の中に溢れてくる。

 

そんなクルシーナはかすみの様子を見つめると、歩み寄って同じ目線になる。

 

「落ち込むことないじゃない。アンタの頭で学んで、また作ればいいでしょ?」

 

「!! そ、そう、だな・・・また作ればいいか・・・・・・」

 

クルシーナが笑みを浮かべながらそう言うと、かすみはあっさりと元気を取り戻した。

 

「?? カスミーナ」

 

ふとクルシーナはかすみを見て気になる部分があって、そこを見つめながら呼ぶ。

 

「なんだ?」

 

「アンタ、アタシがあげた髪飾りは?」

 

「あ・・・・・・まだ、つけてないな・・・」

 

クルシーナに問い詰められると、かすみは思い出したようにそう答えた。

 

「なんですって!?」

 

「ひっ・・・!?」

 

クルシーナの憤慨する声と共に腕を掴まれ、かすみが二重の意味で小さな悲鳴をあげる。

 

「ちょっと、アタシの部屋に来て」

 

「う、うわぁ!? ちょ、ちょっと待ってくれ!!!!」

 

クルシーナに無理やり腕を引っ張られ、かすみはバランスを崩してこけそうになりながらも、クルシーナに連れられていく。

 

部屋に連れてこられたかすみは大鏡の前の椅子に座らされる。その後ろにはクルシーナが立っている。

 

「さっきあげた髪飾りを出せ」

 

「っ・・・・・・」

 

クルシーナに命令されるとかすみは懐から髪飾りを出して、クルシーナに手渡す。

 

そして、クルシーナは髪飾りを手に持ってかすみの金髪の髪を触り出す。

 

「な、何を・・・!?」

 

「つけてあげようとしてんの。ほら、動くな」

 

かすみが戸惑っているとクルシーナが制するように言い、かすみは渋々大人しくなる。

 

クルシーナは優しく、かすみの髪に髪飾りを通すとパチンとしっかりと閉じる。そして、ちゃんと傾かないように綺麗に調節してあげる。

 

「ほら。可愛くなったでしょ?」

 

「ふわぁ・・・・・・」

 

クルシーナに言われて鏡を見ると、かすみは写っている自分の姿を見て瞳をキラキラとさせ始める。

 

「もうちょっと髪をいじらせて」

 

「今度は何をするんだ?」

 

「・・・・・・ふふっ♪」

 

クルシーナはその間に引き出しの中から櫛を取り出すと、かすみに向かって笑みをこぼす。そして、彼女の髪を優しく梳かし始める。

 

「女の子は可愛くなくっちゃね。髪型一つでも、印象は変わるもんよ」

 

「あぁ・・・・・・」

 

クルシーナは先ほどとは一転して優しく声をかけながら髪を梳かし、綺麗に整えていく。

 

先ほどとは全く態度の違うクルシーナ・・・・・・意地悪な発言とは違い、優しく気遣ってくれる様子・・・・・・ビョーゲンズは悪い奴、特にクルシーナには散々殴られ、蹴られ、吹き飛ばされた。それなのに今はまるで、姉のように・・・いや、のどかと同じように優しくしてくれている。

 

かすみは何やらほっこりとしたようなものを感じ始めていた。それはまるで、この前、孤独にはさせないと言ってくれたドクルンと同じような感覚だ。

 

(私は・・・・・・何か、勘違いしてる・・・のか・・・・・・?)

 

かすみは頭の中でそういう考えが芽生え始めていた。

 

「ああ、そうそう。アンタのおにぎり、また食べさせなさいよ。今度はちゃんと食べれるものにしてよね」

 

「あ、ああ・・・・・・」

 

かすみは複雑な心境を抱きながらも、クルシーナにはそう答えたのであった。

 

「クルシーナ」

 

「何? つーか、ノックしろっての」

 

そこへドクルンが扉を開けて呼ぶ。クルシーナは文句を交えながらも聞き返す。

 

「お父さんが呼んでますよ」

 

「・・・・・・今、行く」

 

クルシーナは思い当たるような節があるなと感じながら答えると、櫛を机の上に置いて部屋の外へと出ようとする。

 

「クルシーナ・・・・・・!」

 

「・・・また、今度ね」

 

クルシーナは笑みを浮かべながらそう答えると扉をぴしゃりと閉めた。

 

「・・・・・・・・・」

 

かすみは頬を赤く染めながらも、なんとも言えないような様子で扉を見つめていたのであった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。