ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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今回もオリストを挟みます。
また新たなビョーゲンズが登場します。


第102話「暗殺者」

 

ビョーゲンキングダムーーーーそこでは、クルシーナ、ドクルン、イタイノンのビョーゲン三人娘がキングビョーゲンに招集されていた。クルシーナの後ろにはかすみの姿もある。

 

「何用ですか? お父さん」

 

「また呼び出してきたかと思ったら・・・何なの?」

 

「・・・・・・・・・」

 

ドクルンはいつもの調子で、クルシーナは不機嫌そうな様子で自らの父親に問う。すると、数分の沈黙の後、キングビョーゲンが口を開いた。

 

「・・・また我が呼び出したやつが来ている」

 

「またなの・・・?」

 

「今度はどういうやつですか?」

 

キングビョーゲンの告白に、クルシーナは呆れた様子で返し、ドクルンは一応聞いておこうと問いかける。ヒエールは期待外れだったし、少しも期待できないと思っている。

 

そう考えていた、その時・・・・・・。

 

パスンッ、パシュッ!!

 

「っ・・・!?」

 

空気が発射されたような音が耳元に付くとイタイノンの顔の横、髪スレスレを何かが当たって髪が舞い上がる。目を見開いたイタイノンは背後を振り向いて、相手の姿を探ろうとするも、その姿はどこにもない。

 

「??」

 

「どうしたんですか? イタイノン」

 

状況をわかっていないクルシーナとドクルンが声をかけていると・・・・・・。

 

パスン、パスン!! パシュッ!! パシュッ!!

 

「っ・・・っ!!」

 

空気の発射音を察するようにイタイノンが最小限の動きを見せると、地面が小さく欠けて岩が飛び散る。どうやら遠距離から狙われている模様。

 

「っ!! ふん!!」

 

何かが見えたイタイノンは電気を全身に帯電させると一気に飛び出す。

 

「・・・ふふっ」

 

その反対側からも何か飛び出して、イタイノンに迫っていく。

 

飛び出し合う一人と一人、それは一気に両者は距離を詰めていき・・・・・・。

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・ふっ」

 

お互いに手と足を顔に近づけたような状態で、動きを止めた。なぜならお互いは、同じ種族で見知った両者だったからだ。

 

無表情のイタイノンに対して、不敵に笑う薄い水色の肌の少女。

 

「・・・・・・カユイザ」

 

「久しぶりですね、イタイノン」

 

イタイノンにカユイザと呼ばれた少女は、不敵な笑みを浮かべていた。

 

「何よ、アンタも来たの?」

 

「わざわざヒーリングガーデンからご苦労様です」

 

「ええ、そうです。プリキュアがヒエールを倒したっていう噂を聞きましてね」

 

クルシーナとドクルンが二人の元に集うと、カユイザはそう告げた。

 

そして、三人娘とカユイザはキングビョーゲンと一緒に対面する。

 

「よくぞ来た、カユイザ」

 

「カユイザ、今ここに参りました」

 

キングビョーゲンの前で、カユイザは片膝をつきながらその忠誠心を見せる。

 

「お父様、こいつも呼び出したのはどういう経緯?」

 

「あんな地球のために、わざわざヒーリングガーデンから招集をかけるのは得策ではないと思いますが・・・・・・」

 

クルシーナやドクルンは主人の行動に疑問を持ちつつも、気の進まなさそうな感じで尋ねた。

 

「・・・・・・プリキュアの抹殺だ」

 

「プリキュアの抹殺・・・・・・?」

 

「地球を蝕むのが最優先じゃないの?」

 

キングビョーゲンがそう告げると、クルシーナとイタイノンはその言動に疑問を持つ。今まではプリキュアよりも、地球を蝕んで父親を復活させることを優先事項としていたはず。なのに何故今頃になって、プリキュア打倒のためにカユイザを呼び出したのか。

 

「ヒエールがプリキュアに倒されたことで少し考えたのだ。地球を蝕むためには、プリキュアの存在が邪魔だと」

 

「そんなの今更じゃない。バテテモーダがやられたり、プリキュアが4人に増えた時点で判断できたことでしょ?」

 

そんなことは最初からわかりきっていることだ。プリキュアという邪魔な存在のせいで、地球を蝕むことそのものはうまく言っていないことを。でも、それだったら古のプリキュアにそっくりな紫のあのプリキュアが現れた時点で、その考えは最初からあったはず。

 

それなのに何故今頃になって、プリキュアが目障りだと認識し始めたのか。クルシーナにとっては理解し難いことだった。

 

「そうではない。ヒエールがやられたことによって、少しは考えを改めないといけないということを認識せざるを得ない状況だと思い当たったのだ。考えなければならんと我の復活も遅れざるを得ない。そのためには新たな作戦が必要だと思ってな」

 

「それでカユイザを呼び出したの・・・・・・?」

 

キングビョーゲンが告げた内容に、イタイノンは不愉快そうな顔をしていた。

 

そんな中、ため息をついていたのはドクルンだった。

 

「・・・お父さん、忘れたんですか? カユイザはヒーリングガーデンを襲撃した時も、メガビョーゲンを出せる癖に、ロクに蝕みもせずにただヒーリングアニマルを痛めつけて、苦しむのを楽しんでいるだけのビョーゲンズだったんですよ。お父さんがテアティーヌと相打ちになった時も、こいつは援護すら来なかった。そんなのを新たな戦力に加えるとか・・・・・・本気なんですか?」

 

カユイザの性質を知っていたドクルンが難色を示す。ヒーリングガーデンを襲った時も、この女はヒーリングアニマルを襲ってばかりで、ロクに仕事をしなかったのだ。そんな女を頭数に加えることで戦力になるとはとても思えない。

 

「構わん。私は少しでも地球を我が物にするための戦力を持っておきたい」

 

「ああ・・・そうですか・・・・・・」

 

キングビョーゲンがあっさりと肯定すると、ドクルンはもう何も言わないと引き下がった。

 

「ヒエールは私の相棒でしてねぇ。そいつをやられて黙ってるわけにはいかねーんですよ」

 

「アンタ自身の私怨もあるわけね・・・・・・」

 

カユイザがそう告白すると、クルシーナはそれをなんとも言えない表情で見ている。

 

「まあ、私だけが出撃してもいいんですが・・・・・・」

 

カユイザは気取ったような態度でそう言うと、突然イタイノンを指差す。

 

「どうせなら私と勝負しましょう、イタイノン」

 

「な、なんで・・・私が?なの」

 

いきなり勝負を挑まれ、戸惑うイタイノン。

 

「協力なんかするよりは、勝負にしてしまったほうが効率が良いではないですか。お互いに相手を蹴落とそうと張り合って、蝕む場所もどんどん増えていく。画期的だと思いませんか?」

 

「別に思わないの・・・・・・」

 

イタイノンが淡々とそのように返すと、カユイザはため息をつく。

 

「・・・これだから引きこもりのお子様は。戦いから逃げて楽になれば、自分の居場所が手に入るとでも思っているわけですからね。キングビョーゲンの娘だからといって、なんでも守ってくれると思っているわけで」

 

「っ・・・聞き捨てならないの」

 

カユイザは首を振りながら見下した調子で言うと、イタイノンは顔をムッとさせて不快感を露わにする。

 

「そこまで言うなら受けてやるの。お前のその気取った態度を、すぐにへし折ってやるの・・・!!」

 

「無理なら無理で、受ける必要はないんですよ? だってひきこもり如きが、暗殺者の私に叶うわけないんですから」

 

イタイノンはそう攻撃的にはなるが、カユイザの態度は依然として変わらないままだ。

 

「イタイノン・・・どうせだったらカスミーナも連れていったら?」

 

「っ!? ク、クルシーナ!! 勝手に何を言うんだ!?」

 

「っ!!!!」

 

クルシーナがそう言うと、かすみは不意を突かれて叫び出し、イタイノンは不機嫌そうな表情になる。

 

「そんな怪しいやつ、誰が引き連れて歩くか、なの・・・!!」

 

「っ!?」

 

イタイノンはそう吐き捨てるとその場から歩き去っていく。拒否されたかすみはショックを受けたようで、膝と両手をついたポーズになる。

 

「あ、怪しい・・・わ、私は・・・・・・怪しいのか・・・・・・??」

 

かすみはそう言いながら落ち込み出す。赤いオーラが全身から放出され、彼女の中に『悲しい』という感情が湧き上がっているようだ。

 

「誰です? こいつ。見慣れないビョーゲンズですね」

 

その様子を見ていたカユイザがかすみに近づいて尋ねる。

 

「そいつはアタシたちの部下、カスミーナよ」

 

「ふーん・・・・・・」

 

カユイザは興味ありげな声を漏らしながら、かすみを見つめる。

 

「なんだか、強そうな感じがしますね・・・・・・ああ! そうです!!」

 

カユイザはそう呟きながら何かを考え始める。そして、何かを思いつくと口元に笑みを浮かべるとかすみの腕を掴む。

 

「っ!? な、なんだ・・・!?」

 

「あなた、根暗なイタイノンに変わって使ってあげます」

 

「えぇぇっ!?」

 

とことん落ち込んでいて周りが見えていなかったかすみは腕を掴まれて戸惑う。そして、カユイザはそんな彼女を連れ回すことを告げ、驚きの声をあげる。

 

「ちょっと!! そいつはアタシたちのしょゆーーーむぐっ!!」

 

「ん? 何か言いました?」

 

クルシーナは勝手にかすみを連れて行こうとすることに抗議の声をあげようとして、ドクルンに口を塞がれる。

 

「なんでもありませんよ」

 

「むぐぅ!! むぐぐ!! むぐぐぐんぐ!! むぐぐ〜!!!(ちょっ、ドクルン!! 何すんだ、離せー!!!!)」

 

ドクルンに抗議の声をあげようとするクルシーナはくぐもった叫びにしかならなかったのであった。

 

「むぅ・・・あの女、イタイノンお姉様に向かって、生意気ですぅ・・・!!」

 

一方、その様子を岩場の陰から覗いていたフーミンが不満そうな表情を浮かべていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間界で言うところの休日の日、のどかたち4人は図書館へとやってきていた。

 

「ここが図書館・・・というところですか?」

 

「そうよ。いろんな種類の本が置いてあるの」

 

興味津々で見つめるアスミに、ちゆが説明してあげる。

 

「ふわぁ〜、大きい〜!」

 

「すごいラビ・・・!!」

 

のどかとラビリンは図書館の大きさに驚きの声をあげる。ゆめポートほどの広さではないが、その建物と同じくらい大きい。

 

「ごめんね〜、みんなぁ・・・せっかくの学校のお休みに、あたしの宿題に付きあわせちゃって・・・・・・」

 

「いいのよ。ひなたがこうなるってことはわかってたから、友達として手伝いたかっただけ。私もちょっと煮詰まっていたところだったの」

 

「私もこの町の図書館に興味があって、行こうと思ってたし・・・ついでにひなたちゃんと一緒に本も読みたかったしね」

 

「友達を気遣うのは当然のことですよ、ひなた」

 

「ありがとう・・・みんな、優しいなぁ〜・・・」

 

ひなたは申し訳なさそうに手をもじもじとさせると、他の3人は口々に彼女を気遣いながら言い、ひなたはその心遣いに感謝した。

 

のどかたちのクラスには宿題が出されていた。それは読書の秋ということで、学校では文学に向き合う『秋の読書週間』なるものがイベントとして行われていた。そこでクラスに出されたのは文学小説を一冊読んで、感じたことや興味を覚えたことを感想文にして提出するというものであった。

 

しかし、ひなたは自分の部屋には漫画しか置いておらず、兄に本を借りたものの、難しくて眠くなってしまい、結局落ちてしまって宿題を全くすることができなかった。

 

そこでちゆたちに助けを求め、せっかくなのでのどかたちも誘って一緒に日曜日に宿題をやることになったのだ。

 

「じゃあ、早速中に入って、ひなたにもわかりやすい本から探しましょう」

 

ちゆの先導により、早速のどかたちは図書館の中へと入っていく。

 

自分たちが読書をするための場所を確保し、のどかたちはそれぞれ読書をするための本を探すために図書館の中を探っていく。

 

「中はこうなっているのですね。とても静かで、落ち着きます」

 

「そうね。それと図書館の中では、静かにしないとダメなのよ」

 

「そうなのですね。図書館では騒いではいけないと」

 

図書館が初めてのアスミは雰囲気を気に入りながら、ちゆと一緒に本を探していた。

 

「この本は、何と言うのですか?」

 

アスミは表紙に写真のようなもの写っている本を見つける。

 

「それは、図鑑って言うの」

 

「図鑑・・・・・・?」

 

「こんな感じで生き物の生態や特徴とかが載っている本なの」

 

ちゆはアスミから本を手に取ると、ページを開きながら説明してあげる。

 

「まあ、これは読書の感想文には向かないんだけどね・・・」

 

ちゆはそう言いながら、図鑑を元の棚へと戻した。

 

「まあ・・・では、別の本を探してみますね」

 

アスミはそう言うとちゆと別れて、他の本を探し始めた。

 

「ふふっ♪」

 

「ちゆ・・・・・・」

 

「どうしたの? ペギタン」

 

ちゆは笑みを浮かべながら彼女と別れて探そうとすると、ペギタンが肩からひょっこりと顔を出して声をかけてくる。

 

「僕も何か本を選びたいペエ。地球のいろんなことを知りたいんだペエ」

 

「ええ。一緒に読みたい本を探しましょう♪」

 

ちゆは笑みをこぼしながら、本を探ろうとすると・・・・・・。

 

「ちゆ!!」

 

「ペエ!?」

 

「うぁ!? 早い!!」

 

その間も無くアスミは本を持って戻ってきた。ちゆとペギタンはその速さにびっくりする。

 

「これなんかはどうですか?」

 

「・・・・・・それも感想文で書く本ではないわね」

 

アスミが持ってきた料理の本に、ちゆは苦笑いをしながら答えたのであった。

 

「ラビリン、何か読みたい本ある?」

 

「うーんと、えーと、どれが一番面白いラビ?」

 

のどかはラビリンに読みたい本を聞いていたが、ラビリンはどの本がいいのかを決めかねていた。

 

「そうだな〜・・・どれも面白そうだけどね」

 

のどかは本の棚を眺めながらそう言った。正直、幼少期の頃から病院生活でほとんど読んだことのないものばかりだ。でも、本の側面のタイトルを見ていると、どれも面白そうに見えてくる。

 

「じゃあ、これにするラビ!!」

 

ラビリンはどの本にするか決めたようで、のどかの背丈よりも高い位置にある棚から本を抜こうとするが・・・・・・。

 

「う〜ん!! ふぅ〜ん!! 抜けないラビ・・・!!!」

 

どうやらパンパンに本が入っているようで、小さなラビリンの力では抜けなくなっているようだ。

 

「あぁ〜、私も手伝うよ・・・!! えーっと・・・・・・」

 

のどかは辺りを見渡して脚立を見つけるとそれを持ってきて、ラビリンの抜こうとしている本の棚と同じ高さへと上がると、一緒に本を引っ張り始める。

 

「うーん!! ふーん!! ホントに、固くて抜けない・・・!!」

 

「ふにゅう〜!! ラビリンは、これが読みたいラビ〜・・・!!!」

 

のどかとラビリンが本を引っ張っていくと、徐々に本は抜けていき、やがて本棚から取ることができた。

 

「取れた〜!!!!・・・・・・あれ?」

 

「あ、のどか!!!」

 

のどかは喜びの声を上げるも、何か違和感を覚え、それを見たラビリンが慌て出す。なぜなら、のどかの体は背中から下へと向かっていたからだ。

 

「ふ、ふわぁぁぁ〜!!??」

 

「あ、危ないラビ・・・!!!!」

 

のどかが背中から落ちそうになり、ラビリンは急いで彼女の下へと周り、倒れないように支えようとする。

 

「ふ、ふにゅぅ〜〜〜・・・!!!!!」

 

「ラ、ラビリン・・・!?」

 

のどかが心配する中、ラビリンは下から力を入れようとするが、段々と下へと下がっていき・・・・・・。

 

ドシン!!!!

 

結局、落下するのどかを支える力を失い、二人揃って床へと落ちてしまった。

 

「いったぁ〜・・・・・・」

 

「きゅぅ〜・・・・・・」

 

「あ、ラビリン!! ごめんね!! 大丈夫!?」

 

ラビリンのおかげで頭から落ちずに、尻もちをつく程度で済んだのどか。しかし、肝心のラビリンはのどかのお尻に潰されて目を回していたのであった。

 

そして、課題が一番進んでいない問題のひなたは・・・・・・。

 

「うーん、どれがいいのかな・・・・・・?」

 

児童文学のコーナーで、どの本がいいのか困っていた。

 

「心にキュンと来たやつがいいんじゃないか? ひなたの心によぉ」

 

「それがなかなか来ないから、困ってるんじゃん・・・・・・」

 

ニャトランのまるで他人事のような発言に、ひなたは顔を膨らませながら言う。正直、漫画しか読まないので、文学小説に関しては一度も触れたことがない。前に一冊触って見たことがあるが、頭が痛くなってほとんど手がつけられなかったことがある。

 

でも、今回は漫画などではダメだと言うことがわかっている。どうせ提出するんだったら、間違ってもいいから書いて怒られようと、そう考えているのだ。

 

ひなたはとりあえず、本棚の本のうちの一冊を開いて、本をパラパラとめくってみる。

 

「うわっ、文字がいっぱい・・・・・・!!!!」

 

しかし、文字が多い上に、字が細かいのを見て、嫌そうな顔になる。しかも、この本には挿絵すら入っていない。

 

ひなたは辟易して本をすぐに棚へと戻した。そして、隣にある本を出してめくるが・・・・・・。

 

「これも文字がいっぱい・・・・・・!!!」

 

ひなたはすぐに本を閉じて、棚へと戻してしまった。

 

その後も本をいくつか取って広げるも、文字の多さに嫌になって閉じてしまい、自分がピンと来るような本はいつまで経っても見つからない。

 

「うわ〜ん、全然読めるような本が見つからないよ〜・・・!!」

 

ついにひなたはその場にしゃがみ込んで頭を抱えてしまう。

 

「元々、漫画しか読んでねぇしな・・・・・・」

 

ニャトランは部屋にいるひなたが漫画以外で本を読んだことがないことを思い返しながら言った。

 

「あぁ〜ん、どうしよぉ〜・・・・・・」

 

「だったらここじゃなくて、別の場所行って本を見つけようぜ!! きっとひなたにも読める本はあるはずニャ!!」

 

すっかりヘコんでいるひなたに、ニャトランは助け舟を出し、ここの小説以外の本を探そうと提案した。

 

「でも・・・そこでも見つかんなかったら・・・・・・」

 

「まだ見てないのに決めつけんニャ!! 行ってみなきゃわかんねぇだろ!?」

 

後先に悪い結果を考えてしまうひなた。ニャトランは励ますようにそう言った。

 

「・・・そうだね。行ってみよう」

 

ひなたは不安になりつつも、立ち上がって気を取り直し、自分が読める本を探そうとする。

 

別のジャンルが置いてあるコーナーの本棚に移動しようとしていると・・・・・・。

 

「??」

 

「どうした? ひなた」

 

ひなたは移動している最中に、足を止めて本棚を見つめていた。そこは子供が読むような絵本のコーナーであった。

 

「あっ・・・!」

 

ひなたは何かに気づくとその本の中から一冊を出して表紙を見る。

 

「これ懐かしい・・・!!」

 

「これがどうしたんだ?」

 

ひなたは顔を綻ばせながら見つめる本。その本のタイトルは『弱虫おばけと少女』という絵本であった。

 

「これ、昔大好きでね〜。小さい頃、パパに買ってもらって〜、飽きるくらいに読んでたんだ〜!」

 

ひなたは思入れのあるという絵本について語り始める。この絵本は、おばけが苦手な少女と人間が怖い弱虫おばけが友達になっていくという物語だ。ひなたは小さい頃、この絵本が大好きで夢中になるくらい読んでいたというのだ。

 

「へぇー、そうなんだな〜。面白いのか? これ」

 

「面白かったよ。お互いに勇気を出して、おばけと女の子が一緒に遊ぶところとか! もう友達と一緒に・・・・・・」

 

ひなたはさらに語ろうとして、その言葉を途中で止めてしまう。なぜなら、その友達との思い出が一切頭の中に浮かんで来なかったからだ。

 

「ひなた?」

 

「あれ? あたし、友達と・・・これ、読んだっけ・・・?」

 

不審に思ったニャトランが声をかける。ひなたは何かが引っかかっているようで、しかし、何かノイズが発生しているかのようにその友達の顔が思い浮かばない。

 

ひなたはもう一度、絵本をじっと見つめる。

 

ズキン!! ズキン!!

 

「うっ・・・・・・!!」

 

「ひなた! おい、ひなた!!」

 

なぜか頭痛を感じていて、表情を痛みに顰めていた。

 

ザザ・・・・・・ザザザ・・・・・・。

 

頭の中にひなたの小さい頃の映像が蘇るが、確かに友達と絵本を一緒に見ている。しかし、隣にいる子はノイズが走っていて、誰なのかを認識することができない。

 

やがて頭痛が治まって落ち着いた頃、ひなたは抑えていた頭を離すともう一度絵本を見つめる。

 

「ひなた!!!!」

 

「っ!! あ、ごめん・・・!!」

 

「どうしたんだよ・・・? 急に黙っちまって・・・」

 

「ううん、なんでもない。これちょっと持ってって、読んでみようかな・・・・・・」

 

ぼーっとしているひなたにニャトランが声をかけると、我に返ったひなたが言葉を返す。そしてもう一度本を見つめ、気になることができたひなたは持っていくことにした。

 

「そりゃいいんだけどさ・・・肝心な感想を書くための本はどうするんだ・・・?」

 

「あぁぁ!! それも選ばないと〜!!」

 

ひなたは急いで別のコーナーへと移動し、読書感想文のための本を何冊か選びに動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、図書館の外では・・・・・・。

 

「地球にはこんなデカい建物があるんですね。人間ってセンスないんでしょうかね?」

 

カユイザは大きな図書館の建物を見ながらそう酷評する。

 

「それでカスミーナ、プリキュアたちは確かにこの建物に入ったんですね?」

 

「・・・ああ、間違いない。ピンク色のウサギが入っていくのを見た」

 

カユイザは一緒に連れてきていたかすみに問うと、彼女はそう答えた。

 

「それは、ヒーリングアニマルですね。なるほど、ヒーリングガーデンから生き残ってたやつがいたんですね・・・・・・」

 

「・・・・・・ああ」

 

カユイザは顎に手を当てながら言うと、かすみは肯定する。ヒーリングガーデンのヒーリングアニマルどもはほとんど私が再起不能にしたはず、それでも逃れていたヒーリングアニマルたちがプリキュアのパートナーになった・・・・・・カユイザはそう考えていた。

 

「まあ、いいでしょう。カスミーナ、あなたには図書館の外で、メガビョーゲンを生み出しておいて、暴れさせてもらいます。それで外に出てきて、地球を蝕んでいることに気を取られているプリキュアを私が倒します、痛めつけて苦しめてね。うまくいけばすぐに終わります。すごい完璧な作戦だと思いませんか?」

 

「・・・・・・私にはわからないが、プリキュアだったらメガビョーゲンを発生したら外に出てくるはずだから、そいつらがプリキュアだってこともわかるはずだ」

 

嬉々した表情で語るカユイザに、かすみはさらなるアドバイスをする。

 

「・・・・・・人間にそんな力などあるのですか? メガビョーゲンの発生など、騒ぎがなければ気づかないのでは?」

 

「あいつらにはヒーリングガーデンの女王の娘がついている。地球を蝕もうとすれば、そいつが察して私たちの活動がバレバレになるということだ。つまりはプリキュアに気づかれるということ」

 

「・・・テアティーヌの娘、ですか。そのヒーリングアニマルも逃げ果せてたんですね」

 

カユイザは下等な人間にそんなことができることに疑問を抱いていたが、かすみがそう説明すると納得したように呟くも、その表情は不機嫌そうだった。

 

「まあ、でも、作戦は予定通り遂行します。私は図書館の建物、もしくは他の場所で自分のポジションにつきます。カスミーナも予定通り、囮になってくださいね」

 

「・・・・・・了解した」

 

不機嫌そうな表情を戻したカユイザは自分の能力なら問題はないと告げ、かすみにそう指示すると了解を取った彼女と別れる。

 

「さてと、どこで待ち構えていましょうかね?」

 

カユイザは不敵な笑みを浮かべながら、作戦遂行に最適な場所を探しにいく。

 

一方、かすみはメガビョーゲンにするための素体を探そうとしていた。

 

「・・・・・・なかなか素体にできそうなものがないな」

 

かすみはキョロキョロと辺りを見渡すものの、周りは図書館の建物以外には道や森しかなく、素体にできそうなうまいものが見当たらない。

 

そんな時だった・・・・・・。

 

「これでも食らえ〜!!」

 

「やったなぁ〜!!」

 

「??」

 

かすみの耳に子供の声が聞こえてくる。何やら争っているようだが、声は妙に明るかった。

 

「何か、戦いが起こっているのか・・・・・・? 物騒だな・・・・・・」

 

戦いを起こしていると勝手に自己解釈をしつつも、かすみはその声を辿ってみる。やがて姿見えてくるとそこは図書館の外に併設された遊び場で、子供たちが水鉄砲を使って遊んでいるところであった。

 

「水を飛ばして・・・何をしているんだ・・・・・・?」

 

かすみは子供が銃から水を飛ばして掛け合っているようにしか見えない。本来ならこれは遊びなのだが、かすみはいまいち遊びだということをわかっていない。

 

ふとベンチの上を見ると、水を入れたままであろうウォーターガンが置いてあった。

 

「これも、水を発射するのか・・・?」

 

見たことのないウォーターガンに興味津々のかすみだったが、背後を向いてカユイザのことも気にし始める。

 

「・・・とりあえず、こいつで行ってみるか」

 

かすみは再度ウォーターガンを見つめた後、手のひらに息を吹きかけて黒い塊を出現させ、漂うそれを掴んで込めるように握ると、その手を突き出すように開く。

 

「進化しろ、ナノビョーゲン!」

 

「ナノー・・・・・・!」

 

生み出されたナノビョーゲンは鳴き声を上げながら、ウォーターガンに取り憑いていくのであった。

 

一方、図書館から数メートル離れた場所にはイタイノンの姿があった。

 

「はぁ・・・あいつの勝負に付き合わないといけないなんて面倒臭いの」

 

ため息と愚痴を吐きながらも、イタイノンは目の前にある建物を見つめている。そこには『すこやか発電所』と書かれている。

 

「はぁ・・・・・・」

 

イタイノンはもう一度ため息を吐くと、ゆっくりと歩きながら発電所に入ろうとする。

 

バチバチバチバチ!!! ドシャン!!!

 

発電所の扉を電気で浴びせて壊し、蹴り飛ばして倒す。建物の中へと侵入すると、よくわからない機械の類がたくさんあり、どれも機械音を立てて動いている。

 

そんな中、イタイノンが目をつけたのはいろんな菅が複雑に絡むように繋がっている大きなタンクのような機械、発電機であった。

 

「・・・キヒヒ♪ これなら広範囲を蝕めそうなの」

 

発電機を見た途端に、何やら今までに見たことのない生き生きした感じを感じ取ると、イタイノンは不敵な笑みを浮かべた。

 

「・・・・・・まあ、あいつとの勝負はついでぐらいに思っておけばいいの」

 

カユイザが喧嘩を売ってきたわけだが、勝負ではなく仕事として割り切ってやろうと考える。

 

イタイノンは両袖を払うかのような動作をして黒い塊のようなものを出現させ、右手を突き出すように構える。

 

「進化するの、ナノビョーゲン」

 

「ナノナノ~」

 

生み出されたナノビョーゲンは鳴き声を上げながら、電気がたっぷり溜められているであろう発電機に取り憑いていくのであった。

 

一方、図書館にいるカユイザは・・・・・・。

 

「さてさて・・・・・・私のポジション取りはOKです」

 

カユイザは図書館の屋上へとやってきていて、辺りの景色を見渡していた。そして、入口から出てくるであろうプリキュアをここで痛めつけて、苦しめてやろうと位置情報の確認をする。

 

「まあ、あの正面の入り口から出たところを狙えばいいですね」

 

カユイザは正面の入り口から出てくるであろうプリキュアを待ち構えることにする。

 

「それにしても・・・・・・地球ってこんなに不愉快な場所だったんですね。ヒーリングガーデンにいすぎた弊害でしょうか」

 

カユイザはヒーリングガーデンで自身が行っていた仕事を思い出す。地球を蝕むことに興味のないカユイザはキングビョーゲンの襲撃に乗じて、ただ単にヒーリングアニマルを襲って痛めつけ、苦しむのを眺めていた。

 

わざと急所は当たらないように正確に攻撃を当て、逃げ惑うのを楽しむ。しかし、そんな矢先にキングビョーゲンはテアティーヌと相打ちになって力を失ってしまった。カユイザはそんなテアティーヌを痛めつけてやろうとヒエールと共に任務をしていたわけだが・・・・・・。

 

「テアティーヌ・・・・・・どこに逃げたんでしょうかね?」

 

カユイザは憎っくきヒーリングガーデンの女王を思い出しながら、その表情は不機嫌そうに顰められていた。

 

そんな時だった・・・・・・。

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「うわあぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

そこへ悲鳴が上がったのが聞こえ、カユイザが見下ろしてみると人間たちが逃げ惑っているのが見えた。

 

「カスミーナ、おっ始めましたか。意外と早いですね」

 

カユイザはかすみが予想よりも早く動き始めたことに、感嘆を持って呟く。

 

「じゃあ、私もーーーー」

 

カユイザはそう呟くと図書館の正面入り口方面へと歩み、右手を開いて突き出すようにして構え始める。

 

「楽しい狩猟(かり)を始めましょうかね・・・・・・!」

 

プリキュアを狙う暗殺者は獲物を待ち構えながら、一人不敵な笑みを浮かべているのであった。

 

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