ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
プリキュアとかすみが再び激突します。そして、一人離れているひなたは・・・?


第103話「水弾」

 

ビョーゲンズが活動を開始する、数分前・・・・・・。

 

「もぉ〜! のどかは危なっかしいラビ!!」

 

「ごめんってば・・・!」

 

ラビリンは先ほどののどかの無茶振りを憤慨していて、のどかは謝りをしていた。

 

「でも、読む本はなんとか決められたよね」

 

「ラビリンも読みたい本がいっぱい見つかったラビ!!」

 

そう言うのどかの手元には持てるぐらいの数冊の本が抱えられている。その中には自分が読む本もそうだが、ラビリンの読みたい本も入っている。

 

「あれ? まだみんな来てないのかな?」

 

「きっとまだ決めてるラビ」

 

「じゃあ、待ってよっか」

 

のどかがみんなで確保した席へと戻ると、そこにはまだ誰もいなかった。まだみんなは本を探していると思った二人は座って待っていることにした。

 

そんな頃、ちゆとアスミは小説のジャンルのところで本を探していた。

 

「文字が多いですね・・・・・・」

 

「小説ってそういうものよ」

 

「それだけで読み手に伝わるものなのでしょうか?」

 

「じっくり読んでいけば、この小説を書いた人の思いを感じ取ることができるはずよ。文字だけで物語を表現するのはかなり難しいものなの」

 

小説を興味深そうに見ているアスミに、ちゆが説明してあげる。

 

「書き手の気持ち、知りたいですね。私もこれを読みたいと思います!」

 

「じゃあ、これにしましょうか。のどかたちも待っているでしょうから、そろそろ戻りましょう」

 

「読む前から熱い何かが、ジンジンと伝わって来ます・・・!!」

 

アスミが小説を選ぶと、すでに本を選び終えていたちゆが提案し戻ることにした。その間、アスミは早く読みたくてワクワクしていた。

 

「ひなた・・・ちゃんと決めてるのかしら・・・?」

 

ちゆはその一方で、本を一人で決めようとしているひなたを不安そうな表情をしていた。

 

そんな時だった・・・・・・。

 

「クチュン!! クチュン!!」

 

「「っ・・・ラテ!!」」

 

アスミが連れていたラテが2回くしゃみをして体調を崩し始めた。これは言わずもがな、ビョーゲンズが現れた証だ。

 

二人はラテの異変に気付き、お互いに顔を合わせて頷くと確保した席へと戻る。

 

「あ、ちゆちゃんとアスミちゃんだ・・・??」

 

先に席で待っていたのどかは二人が戻って来たことに気づくが、二人の険しい表情に疑問を抱く。

 

「ビョーゲンズが現れました!!」

 

「「っ!!」」

 

のどかとラビリンはアスミの言葉にハッと目を見開くと険しい表情になる。三人は人目の付かない場所へと移動する。

 

ヒーリングルームバッグから聴診器を取り出してラテを診察、彼女の心の声を聞く。

 

(あっちの方で水が出るおもちゃが泣いてるラテ・・・あっちの方でビリビリな機械が泣いてるラテ・・・・・・)

 

「メガビョーゲンが2体現れたみたい・・・!!」

 

「水が出るおもちゃ・・・・・・水鉄砲ですか?」

 

「そしてもう一つは、この近くに発電所があったはず・・・そこが狙われたんじゃないかしら・・・!!」

 

ラテの声からのどかがそう考えると、アスミはそう推測し、この周辺をよく知っているちゆは狙われた場所を推測した。

 

「どうする・・・?」

 

「とりあえず、発電所だってわかっているところからーーーー」

 

2体メガビョーゲンが現れた以上、どうするのか。ちゆは発電所というわかっている場所から浄化しに行こうと提案しようとした、その直後だった・・・・・・。

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「「「!!」」」

 

図書館の外で悲鳴が響き渡る。三人はそれに気付き、中でものどかは駆け出そうとするが・・・・・・。

 

「待って!! ひなたは一緒じゃないの・・・?」

 

「まだ本を探してると思う・・・ちゆちゃんたちとは一緒じゃなかったんだ・・・・・・」

 

ちゆが呼び止めてひなたが一緒にいないことを問うも、のどかは心配そうな表情で話した。

 

「ここで迷っていても仕方ありません!! ひなたもこの騒ぎでは気づいているでしょう! 行きましょう!!」

 

ひなたがいないことに迷うのどかとちゆをアスミは叱咤し、二人はそれに頷くと図書館の外へと駆け出す。

 

一方、図書館の外では・・・・・・。

 

「メガガガガガァ!!!!」

 

銃のような外見のメガビョーゲンが頭の上のガトリング砲のような先端を回しながら水の弾を発射し、辺りの草木や地面を濡らして病気に蝕んでいた。

 

「・・・・・・・・・」

 

かすみはその様子を険しい表情のまま黙って見つめていた。ふとクルシーナが付けてくれた髪飾りに触ってみる。

 

何かが仕掛けてあるのではないかと触って確かめてみるも、普通の髪飾りであること以外は特に変わったような感じはない。普通に両端を押すようにすると、取ることもできた。本当に普通の髪飾りのようだった。

 

(あいつ、私を制限するために渡したんじゃない・・・? じゃあ、普通にプレゼントのつもりで・・・? でも、一体どうしてなんだ・・・??)

 

かすみは嫌いであるはずのクルシーナのことを考え、その行動に内心戸惑っていた。何やらよくわからない感情が自分の中に渦巻く。

 

「っ、かすみちゃん!!」

 

「っ・・・・・・!」

 

と、そこへのどかたち三人が駆けつけ、メガビョーゲンと彼女の前に立ちはだかる。

 

「また来たか・・・プリキュア・・・・・・」

 

かすみは険しい表情を崩さないまま、プリキュアの方を振り返る。

 

「?? 今日は3人だけか?」

 

しかし、1人いないことに気づいてそれを指摘する。

 

「私たちだけでも、かすみさんを止めます!!」

 

「ええ!!」

 

「みんな、行くよ!!」

 

アスミはそれに強気な口調で返すと、のどかたちは変身アイテムを取り出す。

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア、オペレーション!!」」」

 

「エレメントレベル、上昇ラビ!!」

「エレメントレベル、上昇ペエ!!」

「エレメントレベル、上昇ラテ!!」

 

「「「キュアタッチ!!」」」

 

ラビリン、ペギタンがステッキの中に入ると、のどか、ちゆはそれぞれ花のエレメントボトル、水のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

アスミは風のエレメントボトルをラテの首輪にはめ込む。すると、オレンジ色になっているラテの額のハートマークが神々しく光る。

 

のどかとちゆは、肉球にタッチすると、花、水をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、水色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ちゆは水色へと変化する。

 

ラテとアスミは手を取り合うと、白い翼が舞い、ラテが舞ったかと思うとハートの中から白い白衣のようなものが飛び出す。

 

その白衣を身に纏い、ラテが降りてきたかと思うとハープが飛び出し、さらにアスミは紫色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

衣装にチェンジした後、ハープを手に取り、その音色を奏でる。

 

キュン!

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。

 

キュン!

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身。

 

「「時を経て繋がる、二つの風!」」

 

「キュアアース!!」

 

「ワン!」

 

アスミは風のプリキュア、キュアアースへと変身した。

 

「・・・・・・やれ、メガビョーゲン」

 

「メガァ!! メガガガガガガァ!!!!」

 

かすみは瞑目しながら指示を出すと、メガビョーゲンは頭の上の先端部分から赤い水の弾を発射する。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「メガァ・・・!!!!」

 

3人は飛び上がって避けると、アースは上空から蹴りを繰り出し、メガビョーゲンは頭の先端部分で受け止める。

 

「「やあぁぁぁぁぁ!!!」」

 

「ビョーゲン!?」

 

その隙をついてグレースとフォンテーヌが同時にスライディングを繰り出して、メガビョーゲンを前のめりに転倒させる。

 

「・・・・・・あいつに雇われている以上は仕事をしないとな」

 

かすみはその戦いの様子を見てそう呟くと、懐から暗い朱色のエレメントボトルを取り出して黒いステッキにはめ込み、その場から姿を消す。

 

キュン!

 

「「キュアスキャン!!」」

 

フォンテーヌはメガビョーゲンが倒れている間に、ステッキの肉球を一回タッチしてメガビョーゲンに向ける。ペギタンの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを発見する。

 

「水のエレメントさんは、頭の上の先端部分にいるペエ!!」

 

フォンテーヌは今のうちに浄化の準備に入ろうとするが、その横からかすみが姿を現す。

 

パン!! パン!!

 

「ふっ!!!!」

 

かすみは二つの肉球を交互にタッチして、ステッキの後ろを手刀で叩き、黒い音の波動を放った。

 

「う、うぁぁぁぁ・・・・・・!!」

 

「うっ・・・こ、これは・・・!?」

 

「音のエレメントの・・・力・・・・・・!?」

 

プリキュア3人は音波攻撃に動きが止まってしまい、その不快音に表情を苦痛に歪ませる。

 

「メガァ〜!!!!」

 

その間にメガビョーゲンは起き上がってしまい、両腕の銃を機関銃のように照射する。

 

「「「あぁぁぁ!!」」」

 

高速で打ち出された水の弾が直撃して、3人は吹き飛ばされる。

 

「っ・・・・・・!!」

 

グレースは転がされるも、なんとか体勢を立て直すが、そこへかすみが目の前に現れる。

 

「はぁっ!!」

 

「ぐっ・・・!!」

 

かすみは空中で回し蹴りを繰り出し、グレースは苦しそうな表情をしながらも両腕でなんとか防ぎ、弾き飛ばす。

 

かすみは空中で翻して地面に着地すると、高速移動で一気にグレースへと迫る。

 

「ふっ!!!!」

 

「くっ・・・!!」

 

かすみはグレースに目掛けてパンチを繰り出し、グレースは間一髪で拳を手で受け止めた。

 

かすみは拳を押して後ろへと下がると、赤黒いオレンジ色のボトルをステッキにセットする。

 

「はぁっ!!!!」

 

ステッキを振るって雷を纏った黒い光線をグレースに目掛けて放つ。

 

「ぷにシールド!!」

 

グレースは肉球型のシールドを展開し、黒い光線を防いだ。

 

「っ・・・!!」

 

「はぁっ!!」

 

「やぁっ!!」

 

シールドを閉じるとそこにステッキに黒い刀身を生やしたかすみが突っ込んでくる。グレースはとっさに実りのエレメントボトルをセットしてステッキから刀身を生やして受け止めた。

 

「メガガガガガガガ!!!」

 

メガビョーゲンは頭部の先端部分から水の弾を高速で放つ。

 

「はぁっ!!」

 

フォンテーヌはぷにシールドを展開しながらメガビョーゲンへと駆け出していく。

 

その後ろからアースが飛び出し、地面を高速で動いて水の弾を掻い潜りながらメガビョーゲンへと迫る。

 

「メガァ!!」

 

「はぁっ!!」

 

「ビョーゲン!?」

 

メガビョーゲンは腕の銃を振るうも、抑止力にはならず呆気なくアースに蹴り上げられる。

 

「やぁぁぁぁっ!!」

 

「メガァ!?」

 

そして、アースが横へと逸れるとフォンテーヌがメガビョーゲンの腹部に蹴りを入れて数メートル吹き飛ばした。

 

「メガァ・・・メガァァァァ!!!!」

 

しかし、メガビョーゲンは倒れずに踏ん張り、とてつもない形相で頭部の先端部分を回転させて、6つの穴全てを光らせるとそこから強力な赤い水のようなビームを放った。

 

「ぷにシールド!!」

 

「ぐっ・・・うぅぅぅ・・・!!!」

 

フォンテーヌはとっさにぷにシールドを展開して防ぐも、ビームの勢いは強くフォンテーヌが押され始める。

 

「フォンテーヌ!!」

 

アースが押されそうになっているフォンテーヌの背後から体を支える。

 

「メェェェェェェェェェガァァァァァァァァァ!!!!!」

 

しかし、メガビョーゲンは叫び声と共に、さらにビームの放つ勢いを強くした。

 

「うっ、うぅぅぅぅぅ、きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

フォンテーヌは耐えしのごうとするも、ビームは徐々に推していき、最終的にぷにシールドを敢え無く突破し、フォンテーヌとアースに直撃した。

 

カキン!! カキン!! カキン!!

 

グレースとかすみの刀身がぶつかり合い、再びつばぜり合いになる。

 

「・・・・・・少しはいい動きをするようになったな」

 

「当然、だよ・・・かすみちゃんは、私たちが、止めるんだもん・・・!!」

 

かすみは余裕を持って淡々と呟き、対してグレースは少し苦しそうにしながらも強い口調で主張する。

 

「・・・・・・でも、あいつらはピンチみたいだけどな」

 

「え・・・・・・?」

 

かすみにその呟きに、グレースはふとフォンテーヌとアースの方をみる。

 

「メガガガガガガ!!!!」

 

メガビョーゲンは再び頭部の先端部分から水の弾を発射する。

 

「うっ・・・きゃあぁぁ!!!!」

 

「くっ・・・あぁぁぁ!!!!」

 

ダメージで動きが鈍ったのか、フォンテーヌとアースはかわそうとしても高速で打ち出される水の弾でダメージを受けてしまう。

 

「メガァァァァァ〜!!」

 

「「あぁぁぁぁぁっ!!!!」」

 

さらにメガビョーゲンは頭部の先端部分から水のビームを発射して攻撃を放ち、ダメージを与える。

 

「フォンテーヌ!! アース!!」

 

「・・・・・・よそ見してる場合か?」

 

「っ・・・・・・」

 

グレースが二人の戦いを心配するが、かすみがその間に徐々に押していく。

 

「っ、ふっ!!!!」

 

「あぁっ!!!!」

 

かすみが刀身を押し飛ばすと、袈裟懸けに一閃してグレースにダメージを与える。

 

「ふっ、はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「うっ、きゃあぁぁぁぁ!!!!」

 

かすみは一歩下がって勢いをつけると、グレースの懐に飛び込んで腹部に蹴りを加え、彼女を建物に叩きつけた。

 

「まともにはなったが、まだ弱いな・・・・・・」

 

「うっ・・・・・・」

 

かすみが険しい表情でそう呟き、グレースは腹部に痛みを感じながらも少しずつ立ち上がる。

 

「あ、諦めないよ・・・絶対にかすみちゃんを、止めるんだもん・・・!!!」

 

グレースはそう言うともう一つのエレメントボトルを取り出す。

 

「そうよ・・・・・・地球を、蝕ませたりしない・・・!!!!」

 

「友達の悪行を・・・許すわけにはいきませんからね・・・!!!!」

 

倒れ伏していたフォンテーヌとアースはなんとか立ち上がって、メガビョーゲンにステッキを構える。

 

「そんなことをして、傷つくのはお前たちだけだぞ・・・・・・?」

 

かすみも黒いステッキを構え、冷徹にそう告げる。

 

「かすみちゃんだって、こんなことしたくないんだよね・・・?」

 

「っ!!」

 

グレースが悲痛な思いで叫ぶと、かすみは驚きに目を見開く。

 

「ビョーゲンズの一員になってるのだって、きっと何か理由があるんだよね? だって、私たちと一緒にいたかすみちゃんが、人のためを思って行動していたかすみちゃんが、何の事情もなくこんな酷いことするわけないもん!! そうなんでしょ!? かすみちゃん!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

グレースの言葉に、かすみは顔を俯かせる。グレースの言う通り、自分はこんなことを望んでいるわけではない。しかし、自分はビョーゲンズである以上、クルシーナやダルイゼンたちを裏切ることはできない。さらに事情を話せば、のどかを危険に晒すことになる。

 

だから、彼女を苦しませるくらいなら・・・・・・クルシーナの期待を裏切るくらいなら・・・・・・!!

 

「・・・・・・だとしてもーーーー」

 

苦しむのは自分だけでいいと・・・・・・!!

 

「お前たちには、関係ない・・・!!!!」

 

かすみは怒りを混ぜながら叫ぶと、黒色の花のマークが描かれたボトルを取り出すとステッキにセットする。

 

「エレメントチャージ・・・!!!!」

 

パン!パン!パン!

 

かすみはステッキで逆さのハートの模様を空中に描き、肉球部分に3回タッチする。

 

「イルネスゲージ上昇・・・・・・!!!!」

 

ステッキのハートに黒い光が集まっていく。

 

「っ・・・!!」

 

「避けたら図書館に当たるラビ・・・!!」

 

「だったら、私も・・・!!!」

 

避ければ周り、いわば後ろに当たると考えたグレースは意を決して、花のエレメントボトルを取り出す。

 

「ビョーゲンズ! イルネスフラワー!!!!」

 

かすみはそう叫ぶながらステッキを向けると黒い花のエフェクトが出現し、そこから黒い光線が放たれた。光線は螺旋状になりながら一直線に向かっていく。

 

「エレメントチャージ!!」

 

キュン!キュン!キュン!

 

グレースは花のエレメントボトルをステッキにセットし、ハート型の模様を空中に描き、肉球に3回タッチする。

 

「「ヒーリングゲージ上昇!!」」

 

ステッキの先のハートマークに光が集まっていく。

 

「プリキュア!ヒーリングフラワー!!」

 

グレースはそう叫びながらステッキからピンク色の光線を放つ。光線は螺旋状になりながら、一直線に向かっていく。

 

かすみの放った黒い光線、グレースの放ったピンク色の光線、二つの光線がぶつかり押し合う。

 

「うぅぅぅぅ・・・・・・!!」

 

「っっっっ・・・!!!!」

 

お互いは苦しそうにしながら、光線を押しやろうとする。

 

「っ、ふぅぅぅぅぅ!!!!」

 

かすみはステッキをさらに前に出し、黒い光線の勢いを強くしていく。

 

「ぐっ、うぅぅぅぅぅ・・・!!!!」

 

「グレース!!」

 

「うっ・・・・・・!!!」

 

ピンク色の光線が押され始め、グレースは苦しい表情をし始め、ラビリンが心配して叫ぶ。

 

「私は、負けない・・・かすみちゃんを、しんらちゃんを・・・取り戻すまで、絶対に負けない・・・!!!!!!」

 

グレースは両手でしっかりとステッキを持って、思いの丈を叫ぶ。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

そして咆哮のような叫びをあげて、体に力を入れるとピンク色の光線が、黒い光線のそれ以上に大きくなる。

 

「っ!!??」

 

かすみがそれを見て驚愕に包まれる。彼女の黒い光線はグレースのピンク色の光線に飲み込まれていく。

 

「ぐっ、うぅぅ・・・うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

そして、ピンク色の光線は黒色の光線を完全に打ち消し、かすみに直撃して土煙を巻き上げた。そのまま土煙の中からかすみは吹き飛び、地面へと叩きつけられる。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「うっ・・・・・・」

 

グレースは荒い呼吸をしながら、倒れ伏すかすみを見つめる。かすみはダメージが大きかったのか、立ち上がることができなかった。

 

「グレース!! 早くメガビョーゲンを!!」

 

「はぁ・・・はぁ・・・うん・・・!!」

 

ラビリンに諭され、グレースは頷くともう一度かすみを見る。

 

「かすみちゃん、ごめんね・・・!!」

 

グレースは謝罪の言葉を残すと、倒れ伏すかすみを後にしてフォンテーヌとアースの援護へと向かう。

 

「くっ・・・・・・!!」

 

(そうだ・・・それでいいんだ・・・・・・)

 

かすみは顔を上げてグレースの背後を悔しそうに見ていたが、心の中ではグレースのその覚悟に安堵していた。

 

「はぁっ!!」

 

「ふっ!!」

 

フォンテーヌは雨のエレメントボトルをセットした水を纏った青い光線、アースは右手を振るって風をメガビョーゲンに向かって放つ。

 

「メ、ガ・・・!? メガァ!!! メッガァ!!!」

 

二つの攻撃は直撃するも、意外とタフなメガビョーゲンは耐え抜いて頭部の先端部分と両腕の銃のような先端部分から一斉に赤い水のような光線を放つ。

 

「「っ・・・!!」」

 

「ぷにシールド!!」

 

二人へと迫る光線を前に、グレースが前に出てぷにシールドを張って光線を防ぐ。

 

「うっ・・・・・・!!」

 

黒い煙が上がって威力を相殺しきれなかったのか、グレースが少し吹き飛ばされる。しかし、グレースは倒れないように踏ん張る。

 

「「グレース!!」」

 

「二人とも、行くよ!!」

 

グレースの言葉に、二人は頷くとメガビョーゲンを見据える。

 

「メガァ〜・・・・・・」

 

メガビョーゲンは再び先端部分から光線を放とうとしていた。

 

「氷のエレメント!!」

 

それをさせまいとフォンテーヌが氷のエレメントボトルをセットする。

 

「はぁっ!!!!」

 

「メガビョ・・・!?」

 

氷を纏った光線が頭部の先端部分に命中して氷漬けになり、メガビョーゲンはそこから光線を放つことができなくなった。

 

そこへアースが高速で飛び出していく。

 

「メガ!? メガガガガ!!」

 

それでも抵抗を続けるメガビョーゲンは両腕の銃のような部分から赤い水の弾を高速で放つ。

 

アースは高速で水の弾を避けつつ駆け出して行き、メガビョーゲンの懐に入る。

 

「メガ!? メガァ!!??」

 

近づかれたことで遠距離攻撃が不可能になったメガビョーゲンは焦ったかのように両腕を振り下ろすも、アースにあっさりと受け止められる。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

 

「ビョーゲン!?」

 

そこへグレースとフォンテーヌが同時に飛び出して無防備になった体に飛び蹴りをお見舞いし、メガビョーゲンは背後へと倒された。

 

「よし!!」

 

「今のうちに浄化をーーーー」

 

グレースとフォンテーヌがそれぞれそう言った。その直後だった・・・・・・。

 

スパンッ!!!!

 

「がはぁっ・・・!?」

 

突然、フォンテーヌの体が胸を突き出るようにして少し吹き飛ぶ。フォンテーヌの口から空気を吐くような声が鳴ると同時に、彼女の体は地面に倒れ伏した。

 

「「フォンテーヌ!!」」

 

「うっ・・・・・・!」

 

突然倒れたフォンテーヌに二人は駆け寄るが、フォンテーヌは倒れ伏したまま動かず、痛みに呻き声を上げている。

 

「フォンテーヌ!! どうしたの!?」

 

「今のはもう一体のメガビョーゲンの仕業ラビ・・・!?」

 

グレースはフォンテーヌの体を起こそうと揺さぶり、ラビリンは何かがわかっていないまま、メガビョーゲンがやったのではないかと推測する。

 

「わかりません。でも、目の前のメガビョーゲンではなく、別の方向から何かが来たようにも感じました」

 

「い、一体、何が起こったペエ・・・?」

 

アースもよくわかっていないまでも、冷静にメガビョーゲンがやった攻撃ではないと考え、ペギタンは突然の出来事に戸惑いを隠せない。

 

「メガ・・・メガァ・・・!!」

 

動揺している間にメガビョーゲンは再び起き上がろうとしていた。

 

「っ、今は目の前の敵を浄化しましょう!」

 

アースはそう言うと両手を祈るように合わせる。一枚の紫色の羽が舞い降り、ハープのような武器へと姿を変える。

 

「アースウィンディハープ!!」

 

そう呼ばれたハープに、風のエレメントボトルがセットされる。

 

「エレメントチャージ!!」

 

アースはハープを手に取って、そう叫ぶとハープの弦を鳴らして音を奏でる。

 

「舞い上がれ! 癒しの風!!」

 

手を上に掲げると彼女の周りに紫色の風が集まり始め、ハープへとその力が集まっていく。

 

「プリキュア! ヒーリング・ハリケーン!!!」

 

アースはハープを上に掲げてから、それを振り下ろすとハープから無数の白い羽を纏った薄紫色の竜巻のようなエネルギーが放たれる。

 

そのエネルギーは一直線にメガビョーゲンへと向かい、直撃する。

 

竜巻のようなエネルギーはメガビョーゲンの中で二つの手へと変化し、水のエレメントさんを優しく包み込む。

 

メガビョーゲンをハート状に貫きながら、光線はエレメントさんを外に出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていく。

 

「お大事に」

 

水のエレメントさんが宿っていたウォーターガンの中へと戻っていくと、蝕まれた場所は元に戻っていく。

 

「・・・・・・それでいい、それでこそプリキュアだ」

 

ダメージが回復して立ち上がったかすみは、メガビョーゲンを浄化したプリキュアを見てそう評した。

 

「カユイザのやつ、動くのが遅いぞ・・・!!」

 

かすみはフォンテーヌへと攻撃が飛んできた方向へ険しい表情を向けてそう言うと、その場から姿を消した。

 

「フォンテーヌ!!」

 

アースはメガビョーゲンの消滅を確認した後、二人に駆け寄る。フォンテーヌはグレースに肩を貸してもらい、一緒に立ち上がった。

 

「うっ・・・・・・!!」

 

「フォンテーヌ、大丈夫ペエ・・・!?」

 

「だ、大、丈夫・・・・・・」

 

ペギタンが心配の声をかけると、フォンテーヌは激痛に顰めながらも、なんとか言葉を紡ぐ。

 

「フォンテーヌを襲った攻撃・・・どこから来たラビ・・・?」

 

「わからない・・・でも・・・近くじゃないのは確かだよね?」

 

ラビリンは疑問を抱く中、グレースは話しながらフォンテーヌを木へと寄りかからせた。

 

その時だった・・・・・・。

 

スパンッ!!!!

 

「っ!? うぁぁぁぁ!!!!」

 

空気がぶつかったような音が聞こえるとグレースはなぜか悲鳴を上げ、左腕を抑え始める。

 

「グレース!?」

 

「グレース!! どうしたのですか!?」

 

ラビリンとアースが突然の声に動揺の声をあげる。アースが駆け寄って、グレースの抑えている左腕をみると痣ができていた。

 

「うっ・・・な、何か・・・何かが当たって・・・!!」

 

「何かが当たった・・・?」

 

苦痛に顰めながら言うグレースに、アースが引っかかるような言葉を呟くように言う。

 

スパンッ!!!!

 

「っ!? あぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

また空気がぶつかったような音が鳴ると、今度はフォンテーヌから絶叫が上がった。

 

「フォンテーヌ!!」

 

「あぁっ・・・あ、足が・・・・・・!!」

 

フォンテーヌは苦痛に表情を歪ませながら、太ももを両手で抑えていた。

 

「一体、どこから・・・・・・っ!?」

 

アースは周囲を見渡しながら犯人を探そうとするが、わずかに空気が鳴った音を耳に入れるとフォンテーヌの前に出る。

 

「はぁっ!!!!」

 

アースはその場で回し蹴りを繰り出す。

 

「アース! どうしたラビ!?」

 

「誰かが攻撃を仕掛けてきているようです。何かを蹴り飛ばしました」

 

異変に思うラビリンがそう言うとアースは話しながら周囲を警戒し、攻撃の構えを取る。

 

「っ!! はぁっ!!!!」

 

アースはわずかな空気の音を聞き取ると蹴りを繰り出す。やはり何かが足にあたり、それを蹴り飛ばした。

 

スパンッ!!!!

 

「あぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「「アース!!!」」

 

しかし、回し蹴りの後の隙を狙ったかのように見えない何かがアースの肩に直撃し、後ろへと少し吹き飛んで地面へと倒れる。

 

その様子を見たグレースとフォンテーヌが叫び声を上げた。

 

一方、そのプリキュアたちを狙った犯人は・・・・・・。

 

「ふむ・・・・・・あの紫のプリキュア、私の攻撃に感づいてますね。っていうか、古のプリキュアにそっくりですね。まあ、抹殺対象には変わりありません」

 

カユイザは今、誰もいない図書館の中で右手を突き出すように構え、こちらから見えているプリキュアを狙う。

 

「私の攻撃は空気を圧縮したものを銃の弾のように高速で打ち出します。弾は小さい上に、音はほとんど無音です。なので、相手にも気取られずに敵を仕留められるわけです」

 

一人説明しながらプリキュアたちに狙いを定めるカユイザ。すでにメガビョーゲンの戦いに気を取られている間にフォンテーヌを撃ち抜いて倒しており、浄化された後もグレースにダメージを与え、フォンテーヌを痛めつけるために撃ち抜いている。

 

「・・・それなのに、あの古のプリキュアは何かに気づいています。見るからして、風の力を使うプリキュアで、わずかな小さな音で見極めていますね。しかし、こちらの場所もわからないようでは、私の敵ではありません」

 

アースはどうやら空気の弾を気づいているようだが、こちらの撃つ間隔を狭めた発砲には気づいておらず、三発目でようやくアースを撃ち抜くことに成功している。

 

「イタイノン・・・勝負は貰いましたよぉ〜・・・??」

 

敵を痛めつけることに悦びを覚える暗殺者は嬉々した表情で、プリキュアに目掛けて弾を撃ち放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のどかたちがビョーゲンズに気づいて向かった数分前・・・・・・図書館の中にいたひなたは・・・・・・。

 

「うぇ!? な、何!?」

 

「なんだなんだ!?」

 

図書館の外から騒がしい音が響き、何事かと驚くひなたとニャトラン。

 

「も、もしかしてビョーゲンズが!?」

 

「そうかもしれないニャ!!」

 

ひなたはこれまでの経験からしてビョーゲンズが暴れているのだろうと推測する。しかし・・・・・・。

 

「えっと・・・・・・出口、どこだっけ・・・?」

 

「ニャニャ!? あっちじゃねぇのか!?」

 

「わかんな〜い!! この図書館、広いんだも〜ん!! 同じとこばっかでどこから出たのかわかんないよ〜!!!!」

 

ひなたは図書館のあまりの広さに自分が戻ってきた場所がわからない。というよりも、ひなたが忘れっぽさが原因で、彼女は元来た道を忘れてしまったということもあったのだ。

 

「どっち〜!?」

 

「俺が先導してやるから、ついてくるニャ!!」

 

不安になりつつあるひなたを、ニャトランが先に行くことで出口へと向かうことに。

 

「お〜い・・・・・・これマジでわかんねぇぞ・・・!」

 

「うぇぇぇ〜!? ニャトラン、何とかしてよ〜!!!!」

 

「わかってるって!! 今、どうにか探してるニャ!!」

 

ニャトランが愚痴を漏らすと、弱気なひなたはすぐに訴え始めたため、ニャトランは若干苛立ちながらもそう制した。

 

「おぉ!? 出入り口、あったぞ!!」

 

「本当!?」

 

なんとか出入り口を見つけたニャトランとひなたはそこから建物の外に出るのだが・・・・・・。

 

「・・・ここ、どこだ?」

 

「こんなところから入ったことないよ・・・・・・?」

 

しかし、そこは別の出入口だったようで、森ばかりの全く違う風景が広がっていた。

 

「もぉ〜!! ニャトラン、ちゃんと探してよ〜!!!!」

 

「ったく、文句ばっかりだなぁ〜!!」

 

ひなたが涙目になりながら文句を言って来たため、ニャトランは少し呆れ気味になって来ていた。

 

建物の中に戻ろうと思った、その時だった・・・・・・。

 

ズキン!! ズキン!!

 

「・・・っ!?」

 

森を見つめていたひなたは突然、頭痛がし始めた。頭を抑えるほどではないが、少し顔を顰めるくらいにズキズキと痛んだ。

 

「ひなた・・・・・・?」

 

「なんだろう・・・ここっぽい場所に、来たことある・・・・・・?」

 

不審に思うニャトランに対し、ひなたは森を見つめながらそう呟く。

 

ズキン!! ズキン!! ズキン!!

 

「うっ・・・!!」

 

「お、おい!! どうしたんだよ!? ひなた!!」

 

今度は我慢ができないぐらいの頭痛がひなたを襲う。ニャトランが心配そうにする中、ひなたの頭の中にある映像が甦る。

 

『私が見てくるから、お前はここで待ってるの』

 

『で、でも、こんな中入ったら危ないよぉ・・・危険だよぉ・・・・・・』

 

『怖いならここにいるの。大丈夫なの。必ず、お前の落としたリボンを探してくるの』

 

幼少期だった頃の自分・・・・・・姿はノイズがかかっていたが、その人物が森に向かおうとしてひなたが引き止めるも、心配するなと言わんばかりにそう言うと人物は森の中へと入っていく。

 

『うっ・・・うっ・・・!』

 

『ーーーー!! 大丈夫!? しっかりしてよぉ・・・!!!』

 

『うっ・・・お前の、大事な・・・うっ・・・!!』

 

『あぁ・・・どうしよう!! どうしよう!!!!』

 

『落ち着くの・・・バカ!! 冷静に、なって・・・ママも・・・呼べ、なの・・・・・・!』

 

『そ、そうだよ・・・お姉やお兄、パパを呼ばないと・・・・・・!!』

 

いつまで経っても戻って来ず、ひなたが中に入ってみるとそこには倒れているその人物の姿が。探し物は見つかったようだが、その人物は調子を悪くし、ひなたが泣きそうになると、冷静に諭してひなたを向かわせたのだった。

 

やはりここでも、人物にはノイズがかかっていて見ることはできなかった。

 

頭痛が治るとひなたは頭を抑えていた手を離すと、再び森の奥を見つめる。

 

「ダ・・・ダメだ・・・! 中に行って、助けに行かないと・・・!!」

 

「助けるって誰をだよ・・・!?」

 

ひなたが朧げに突然わからないことを言い出して、ニャトランは問いかける。しかし、ひなたはニャトランの問いかけには答えず、森の奥へと走っていく。

 

「あ、おい!! 待てよ、ひなた!!!!」

 

ニャトランは叫びながら、何かに導かれるように走っていくひなたの後をついていくのであった。

 

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