ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter 作:早乙女
イタイノンとひなた、そしてプリキュアとカユイザの戦いの行方は??
「ん・・・うん・・・・・・」
暗い闇の中、倒れていたイタイノンは目を覚ます。目を開くとそこには暗い闇が広がっていた。
「ここは・・・・・・?」
イタイノンが周りを見渡すと、その近くに茶髪の少女ーーーーひなたが倒れているのが見えた。
「こいつ・・・・・・!」
イタイノンは顔を顰めていた。この女は確かキュアスパークルに変身前の姿だったはず。今は変身が解けていて、意識を失っているようだ。それと彼女の辺りにあるはずの変身アイテムがどこにもない。
自身の計略を度々邪魔されたことを思い出し、今ここでやってしまおうかとイタイノンは体を起こして立ち上がると彼女に手を構えるように突き出す。
「っ??」
しかし、帯電して出るはずの電気が出てこないことに気づく。能力は全く発動せず、頭の中でどうして?と考える。
・・・・・・もしかしたら、頭痛で苦しんだ際、スパークルに放電しすぎたせいで電池切れみたいなことを引き起こしているのかもしれない。
本当にこいつは、いっつも自分の邪魔ばかりしてくれる・・・・・・!!
「まあ、電気を使わなくともこいつは倒せるの」
イタイノンは能力ではなく、倒れているひなたに近づいて手を掛けようとする。
「・・・・・・・・・」
しかし、イタイノンは途中で足を止めてしまう。思い出したのは頭痛を引き起こした際に、流れてきた映像のことだ。こいつは自分のことを絶対何か知っている。映像の中にはっきりとこいつの姿が映っていたのだ。それを知れずに、ここで始末するのは惜しい。
「はぁ・・・・・・」
イタイノンはため息をつくと手を下ろし、とりあえずはどういう状況に陥っているのかを確かめようする。
周りの景色をよく見てみると地面には濡れた土が広がっていて、上を見上げれば何かの管が遠くまで伸びていた。どうやらここは発電所の近くの地面の下だろうと推測する。
そして、落ちた先を見上げると大穴の上は闇のように暗く、地上が全く見えない。
「・・・・・・・・・」
イタイノンは倒れているひなたを無表情に見下げる。このぐらいであれば、自分一人でも上がれないこともない。自身には浮いて飛ぶこともできるし、瞬間移動してビョーゲンキングダムやアジトに戻ることも可能だ。地上に戻って、メガビョーゲンの様子を伺うことも可能だ。正直こいつは、ここに置き去りにしてやってもいい。
しかし、そうしてしまえば、こいつがいなくなってしまえば、また頭痛が起きることになる。それだけは防がなければ、避けなければ今後の仕事にも影響する。
とりあえず、こいつが起きるのを待つとしよう・・・・・・。
イタイノンは倒れているひなたの隣に座って、彼女が目を覚ますのを待つことにした。
ひなたの姿をじっと見ているイタイノン。先ほどの記憶は甦ったようで、その映像を思い返す。私はこいつの何で、こいつは私の何なのか? 何かがわからなければ、またあの時のことが起こる気がする。
だから、じっくりと待つのだ。元々自分は人と関わるのが苦手だし・・・・・・。
しかし数分後、ひなたはまだ起きる気配がなかった。
(よく眠るやつなの・・・・・・)
イタイノンはひなたを呆れたように見つめていた。そろそろ起きている頃だとは思うが、まさか頭を強打して致命傷を負っていたりしている??
そう思い込んでしびれを切らしたイタイノンは立ち上がってひなたへと近づく。
「おいお前・・・・・・いつまで寝てーーーー」
「ぅ・・・・・・ぅぅ・・・・・・」
ひなたをたたき起こそうとした時、わずかだが、何やら呻き声が聞こえたような気がした。
首を傾げたイタイノンは顔を見ようとひなたの正面に回ると・・・・・・。
「うっ・・・・・・うぅっ・・・・・・」
なんとひなたの表情は苦痛に歪んでいて、苦しそうにしていたのだ。
「・・・・・・どういうことなの?」
イタイノンは無表情で見つめながらも疑問に思い、ひなたの体をよく見てみる。すると・・・・・・。
「っ! 私のテラパーツが赤黒い靄を生み出してるの」
ひなたの体内は赤い靄で覆われていた。そういえば、気球大会という行きたくもないイベントでメガビョーゲンを生み出した際に、こいつにテラパーツを埋め込んだやったのを思い出す。
なぜだかわからないが、普段は息を潜めるようにキュアスパークルの中にあるテラパーツが今は彼女の体を蝕んでいる。そういえば、クルシーナがキュアグレースに埋め込んだテラパーツも活性化して苦しめたと聞いたことがある。
これはこれで好都合だが、これではこの女から自分が本当は誰なのかを聞き出すことができない。状態をみるからに、すでに喋れなくなっているほどの苦痛を味わっているだろうと考える。
「うっ・・・うぅ・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
イタイノンは苦しんでいるひなたを黙って見つめていると、唐突にひなたを持ち上げると平らなところへと移動し、どういうわけかその場に座り込んで膝枕をさせ始めた。
顔を見つめると顔色は悪くて元気がない。それに額には汗が滲んでいて、相当苦しいのだろうということがわかる。
そして、なぜかひなたの頭を無表情でゆっくりと撫で始める。
「くっ・・・うぅ・・・・・・」
しかし、撫でたところで容態が変わるわけではなく、ひなたは苦しむ声をあげるだけだ。顔色も悪い状態で全く変わっていない。それでもイタイノンはまるで様子を見るかのように撫で続けた。
(私・・・何をやってるの・・・・・・?)
憎っくき敵のはずなのに、その女を始末することをせずに寝かせて頭を撫でてるだけ。自分の行いに疑問を問いたくなる。
そんな意味のある行動かもわからないことを続けていると・・・・・・。
「うぅ・・・・・・う、あ・・・?」
何か違和感を感じたのか、苦しんでいたひなたが目を開けてこちらを見た。
「あ、起きたの・・・・・・」
「ひっ・・・イ、イタイ・・・ノン・・・・・・?」
イタイノンは撫でるのをやめてボソリとそう呟くと、ひなたは怯えた表情を浮かべると小さく悲鳴を上げ、言うことを聞かない体を動かして彼女の膝枕から逃げるように降りる。
「どこへ行くの・・・・・・?」
「いや、だ・・・い、やだ・・・ニャトラン・・・ニャト、ラン・・・・・・!!」
ひなたは地面を這うようにしか動けず、その状態でイタイノンから逃れようとし、パートナーの名前を呟く。イタイノンは余裕で追い付き、彼女に合わせるよう歩いていた。
「お前のパートナーなんかここにはいないし、どこにも逃場なんかないの」
「ニャトラン・・・ニャト、ラン・・・・・・っ!!」
イタイノンの言葉も聞かずに、うわごとのように呟きながら助けを求めるかのように地面を這い回る。しかし、そこでひなたは記憶を思い出す。
(あ・・・そうだ。途中でニャトランを庇って、ステッキ投げ捨てちゃったんだ・・・・・・)
放電でダメージを受けたショックで忘れていたが、ひなたはニャトランを巻き込まないためにステッキを投げ捨て自分だけあの爆発に巻き込まれたのであった。
そう思い返していると・・・・・・。
「ぐっ・・・・・・ひっ・・・!?」
イタイノンがひなたに馬乗りになり、彼女の顔の頬を背後から両手で触ってきた。
「や、やめて・・・やめて・・・やめてぇ・・・!!!」
ひなたは無防備な自分に何かをされるのではと恐怖が湧き上がって振りほどこうとするも、その力は弱々しくイタイノンを払いのけることができない。
「落ち着くの・・・!!!!」
「い、いやだ・・・いやだ・・・いやだぁ・・・・・・!!!!」
イタイノンはひなたを落ち着かせようとするも、パニックを起こしているひなたの耳には通らない。
「ちっ・・・・・・!!」
パンッ!!!!
顔を顰めて舌打ちをすると、馬乗りから降りるとひなたの正面に出て両手を広げ、思いっきり頬を挟むように叩いた。
「・・・・・・落ち着けなの」
「ぁぁ・・・・・・」
「お前なんか痛めつけたって面白くもなんともないの。それに、今私はなぜか能力が使えないの、ほら・・・・・・」
イタイノンは無表情ながらそう言い聞かせると、何もない場所に手を突き出して電気を放とうとするが、今は何が原因か出てこない。
「ぁ・・・・・・」
ひなたはそれを見ると気絶するかのように倒れ伏してしまう。
「はぁ・・・・・・」
イタイノンはため息を吐くと、ひなたを再び持ち上げる。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
イタイノンにお姫様抱っこされているひなたは壁のあるところにもたれかかるように置かれるも、苦しそうに呼吸をしている。
「おいお前、起きてるの?・・・しっかりするの・・・・・・!!」
ペチペチペチ・・・・・・。
「はぁ・・・はぁ・・・うっ・・・・・・?」
イタイノンは苦しそうにしているひなたの顔を手で叩く。すると、ひなたは顔を少し顰めるとゆっくりと瞼を開けてこちらを見る。
「お前、本当に筋金入りのバカなの。私の放電を止めようとして抱きつくなんて自殺行為にもほどがあるの」
「はぁ・・・はぁ・・・だって・・・とっさにこういう行為しか・・・思いつかなかったんだし・・・はぁ・・・」
イタイノンが先ほどの無謀な行為を指摘するも、ひなたは苦しそうにしながらそう答える。
「はぁ・・・・・・・・・」
改めて考えるとこんな考えなしのバカが私の怨敵だったとは・・・・・・イタイノンは心の底からため息を吐くのであった。
この数分前・・・・・・。
パシュ!! パシュ!! パシュ!! パシュ!!
カユイザは両腕を構えると、プリキュアに目掛けて空気の弾を放つ。3人は各々散りながら、空気の弾を走って避けていく。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ふっ・・・・・・」
「がはっ!! きゃあぁ!!!」
フォンテーヌはパンチで反撃しようとすると、カユイザは瞬時に避けて懐に入って肘打ちのカウンターをお見舞いすると、さらに回し蹴りを放って吹き飛ばす。
「やあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そこへカユイザの背後からグレースが攻撃しようとするが、カユイザはその場から姿を消す。
「!? あぁぁ!!!」
グレースが着地したその瞬間、横から空気の弾が命中してグレースは吹き飛ばされる。
「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」
アースはそこへ駆け出してパンチを繰り出す。カユイザは両腕を交差させてパンチを防ぐも、背後へと押される。
「ふふ・・・・・・」
「っ!?」
しかし、カユイザは不敵に笑いながら両腕で勢いよく押し返して弾くと、その一瞬で彼女の眼前に来る。
「うっ!! あぁぁぁ!!!」
胸に掌底を食らわせて怯ませた後、ミドルキックを繰り出して地面へと転がる。
「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」
グレースとフォンテーヌは両サイドから同時にパンチを繰り出そうとする。
「ふっ・・・・・・」
「っ!! うわぁっ!!」
「きゃあぁ!!」
カユイザは特に動じることなく、その場から飛び上がって避けると二人の肩を踏みつけるように同時に蹴って転がす。
「はぁっ!!」
アースは片腕から風を放って攻撃する。カユイザは左腕の手首の部分からまるで弓矢を引くようにもう片方の腕を引くと、それを放つように手を離した。
「あぁぁぁ!!!」
すると、普通に撃つよりも圧縮された空気の弾が高速で放たれ、アースの放った風を貫いてアースに直撃した。
「ふふふっ・・・・・・」
他人に致命傷を与えることなく痛めつける、その快感にカユイザは不敵な笑いを浮かべた。
「うっ・・・・・・!!」
「早いです・・・!!!!」
「それだけじゃないわ・・・あいつ、強い・・・!!!」
カユイザがかなりの手練れであることを痛感させられるプリキュアの3人。
「どうしたのですか? 伝説の戦士というのはこんなにも弱いのですか?」
カユイザは髪を掻き分けながら、グレースたちを挑発する。
「まだ負けてないわよ・・・・・・!!」
フォンテーヌは強気に言い返すと、懐からエレメントボトルを取り出す。
「雨のエレメント!! はぁっ!!」
雨のエレメントボトルをステッキにセットし、雨粒を纏った青い光線を放つ。カユイザは体を捻るようにして避け、光線の上に腕を突き出す。
「っ!? かはっ!!」
空気の弾が発射されると、フォンテーヌの胸の真ん中に直撃し、空気を吐きながらフォンテーヌが吹き飛ぶ。
「「フォンテーヌ!!」」
「げほげほっ!!」
地面へと倒れるフォンテーヌを心配する二人。フォンテーヌは肺にまでダメージが到達したのか、激しく咳き込む。
「許せない・・・・・・!!」
グレースは怒りの表情をしながらカユイザを見据える。
「実りのエレメント!! はぁっ!!」
実りのエレメントボトルをセットし、ピンク色の光弾を放つ。
「ふっ!!」
「っ!? そんな!!」
「弾き飛ばしたラビ!!」
カユイザは余裕で回し蹴りで光弾を蹴り飛ばし、グレースとラビリンは驚く。
「じゃあ、お返しに」
カユイザはお返しと言わんばかりに、右手から水色の禍々しい光弾を放つ。
「ぷにシールド!!」
「っ、きゃあぁぁ!!」
グレースはすぐさまぷにシールドを貼るも、光弾は防御を突破してグレースに直撃し吹き飛ばされる。
「空気のエレメント!!」
「っ・・・・・・」
アースの叫ぶ声が聞こえ、カユイザがその方向を向くとアースはハープに空気のエレメントボトルをセットしていた。
「はぁぁぁぁっ!!!!」
ハープから空気の弾が連続してカユイザに目掛けて放たれる。
「ふん・・・・・・」
パシュパシュ!! パシュパシュパシュ!! パシュパシュ!!
カユイザは両手を突き出すように構えると、襲い来る空気の弾を次々と割っていく。動作が追いつかないものに関しては飛んで避けていき、回避が間に合わないものは空気を圧縮した弾で破壊していく。
「はぁぁぁぁぁぁ!!」
「!! っ・・・!!」
その隙をついてアースが蹴りを繰り出し、カユイザはとっさに両腕でガードするも吹き飛ばされる。しかし、倒れないようにうまく着地して踏ん張った。
「そちらのプリキュアの方は、なかなかやりますね。私も少し本気を出しましょうか・・・!!!」
カユイザはそう言うと高速移動をして、アースの眼前へと一瞬で迫る。
「ふっ・・・!!」
「うっ・・・!」
アースが動揺している隙を狙ってパンチを繰り出し、アースはとっさに腕で防ぐ。
「あっ・・・!!」
「はぁっ・・・!!!」
「あぁぁぁ!!!!」
カユイザは前足を振り上げてハープを弾き飛ばすと、アースの腹部に両手を当てて空気の弾をゼロ距離で撃ち放つ。体をくの字に曲げたアースは吹き飛ばされて、木に叩きつけられる。
「ふふふ・・・!!」
「っ・・・・・・!」
カユイザはさらにそこへ飛び蹴りを放つが、アースはとっさに避ける。
「はぁっ!!」
飛び退いたアースは片手から風を放って、自身も同じ速度でカユイザへと駆け出していく。
「っ!!」
カユイザは風とアースを交互に見て、その場から飛び上がるとアースの背後へと着地する。
「やぁっ!!!!」
「っ!? ぐっ・・・!!!」
アースは振り向きざまにパンチを繰り出し、カユイザは対応しきれずにパンチを受けて吹き飛ばされる。しかし、それでも倒れはせずに地面に着地して踏ん張る。
「ふふっ・・・・・・」
カユイザは両腕を解いて不敵な笑いを浮かべると、その場から姿を消す。
「っ!! あっ・・・!?」
その瞬間、懐に姿を現していたカユイザが腹部に掌底をお見舞いして、真っ直ぐに吹っ飛ばす。
「はぁっ!!」
「あぁぁぁ!!!!」
カユイザは飛んできた方向に瞬間移動して、アースを蹴り上げて打ち上げる。
「ふっ!!!」
「きゃあぁ!!!!」
打ち上げた方向へと瞬間移動したカユイザが両手を振り下ろして背中を打ち据え、吹き飛ばされたアースは地面へと叩きつけられて思いっきり転がる。
パシュ!! パシュ!! パシュ!! パシュ!!
カユイザはさらに地面へと素早く移動して、片手を突き出すと空気の弾を連続で発射して追撃し、アースに当たると土煙を巻き上げた。
土煙が晴れると仰向けで倒れるアースの姿があった。
「ふふっ、少しはやるみたいですが、まあこの程度でしょうね」
カユイザがアースを見つめながらそう答える。
「「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」
グレースとフォンテーヌは同時に飛び出して蹴りをお見舞いしようとするが、カユイザは二人を見つめもせずにその場から姿を消す。
「っ!?」
「こっちですよ」
「っ!! きゃあぁ!!!」
グレースが消えたことに動揺していると、声をかけた方向から腕を捕まれ、引いた勢いそのままに蹴りを食らって吹き飛ぶ。
「っ、きゃあぁぁぁぁ!!!!」
吹き飛ばされたグレースはフォンテーヌも巻き込み、二人揃って地面へと叩きつけられた。
カユイザは地面へと着地すると倒れている三人へと近づく。
「プリキュアの力はこの程度ですか。恐るるに足らないですね」
首をポキポキと鳴らしながら、つまらなそうな様子で三人を見下す。
「全く攻撃が効いてない・・・・・・!」
「どうするラビ・・・!?」
「バラバラに攻撃するのはダメね・・・・・・!」
「ここは三人で力を合わせるペエ・・・・・・!!」
「息を合わせれば勝機は見えるはずです・・・!!」
グレースたち三人はそう会話を交わすとお互いに頷き、体を起こして立ち上がると再びカユイザに対して構える。
「まだ立てるんですね。でも、それだけで私に勝てるなら甘いですよ・・・!!」
カユイザは片手を突き出して、空気を圧縮した少し大きめの弾を放った。
「「ぷにシールド!!」」
「うっ・・・・・・!!」
「くっ・・・・・・!!」
グレースとフォンテーヌは前に出て肉球型のシールドを展開して空気の弾を防ぐ。顔を顰めるほどの痛みが腕に走ったが、なんとか持ち堪えた。
「音のエレメント!! ふっ!!!!」
アースがグレースとフォンテーヌの後ろから飛び上がって、音のエレメントボトルをセットしたハープを奏でて音波を放つ。
「っ・・・うっ・・・!」
カユイザは音波を受けると顔を顰めて動きが止まる。
「今です!!」
「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「っ!! うっ・・・!!!!」
アースの言葉を合図に、グレースが飛び出してパンチを繰り出す。カユイザは両腕で防ぐも、勢いに負けて数メートル飛ばされる。
「やあぁぁぁぁぁ!!!!」
「ぐっ・・・・・・!!!!」
次にフォンテーヌが蹴りを繰り出して、両腕を弾き飛ばしてカユイザのガードを崩す。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・!!!!!!」
フォンテーヌが横へ避けるように飛ぶと、アースが低く飛びながら体を回転させて飛び蹴りのモーションで突っ込む。カユイザの腹部に直撃し、彼女をさらに大きく退かせた。
「な・・・なんですか、これは。こいつらのどこにそんな力が・・・!!??」
カユイザは動揺していた。先ほどまでこちらが余裕だったはずなのに、プリキュアどもが結託した瞬間にこっちが押されているのだ。
「いつも一人でいたお前にはわからないことラビ!!!」
「お手当てと同じだよ!! 私には病気に寄り添ってくれる人がいた、一緒に戦ってくれる仲間がいた、その思いだけで私は、もっと強くなれる!!!」
「僕たちは人間界に来て、のどかやみんなと出会って、ちゆというパートナーにも出会っていろんなことも学んだペエ!! 一人で出せない勇気も、みんなといれば一歩踏み出せるペエ!!」
「私たちは一人で戦っているんじゃない、みんなと共に戦っているの!! その思いが一つになれば、私たちはどんなに困難だって乗り越えられる!!!」
グレースやラビリンたちは強い口調でそう主張する。
「その絆の力、今ここで受けていただきます!!!!」
アースはそう叫ぶと、風のエレメントボトルを取り出す。
「アースウィンディハープ!!」
風のエレメントボトルをハープにセットする。
「エレメントチャージ!!」
アースはハープを手に取って、そう叫ぶとハープの弦を鳴らして音を奏でる。
「舞い上がれ! 癒しの風!!」
手を上に掲げると彼女の周りに紫色の風が集まり始め、ハープへとその力が集まっていく。
「プリキュア! ヒーリング・ハリケーン!!!」
アースはハープを上に掲げてから、それを振り下ろすとハープから無数の白い羽を纏った薄紫色の竜巻のようなエネルギーが放たれる。
「この!!」
カユイザは表情を怒りに染めつつも、大きな風の弾を放つが、エネルギーはあっさりと打ち消し、そのままカユイザに直撃する。
「ク・・・ク、ソ・・・!! い、いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
カユイザは悲鳴のような絶叫を上げると、光のエネルギーに包まれて消えていった。
「お大事に」
「「やった!!」」
グレースとフォンテーヌはアースがカユイザを打ち倒したことに喜ぶ。
「さあ、急ぎましょう!! あともう一体のメガビョーゲンを!!」
「ええ、そうね!!」
「メガビョーゲンとカユイザを浄化するのに時間がかかったから、だいぶ成長しているはずペエ・・・!! 油断はせずに浄化するペエ・・・!!」
三人はお互いに頷いていると・・・・・・。
「「「!!」」」
何やら突然光が立ち、三人が見やると電気の柱が立ち上っていくのが見えた。そして・・・・・・。
ドカァァァァァァァァァァァァン!!!!!!
「「「!?」」」
地に響くような大爆発が起こり、三人が見やると何やら遠くの方で黒い煙が巻き上がっているのが見えた。
「な、何・・・・・・!?」
「なんかピカって光って・・・!!」
「爆発したペエ・・・・・・!!」
グレースとラビリン、ペギタンは突然起きた出来事に驚いていた。
「っ!! あっちは発電所の方向よ!!」
「ひなたのことも心配です・・・!!!」
フォンテーヌとアースがそう言うと、三人は目を合わせた後、行く先に顔を向ける。
「行こう・・・!!!!」
グレースたち三人は意を決して、発電所の方角へと駆け出していくのであった。
「ク、ソ・・・クソ・・・・・・!!」
その頃、光線を受けながらも辛うじて逃げ果せたカユイザは悔しそうな表情をしながら、足を引きずっていた。
「あのプリキュアどもめ・・・許しません・・・!! 次に会ったときは必ず・・・!!!!」
カユイザは怒りの声を漏らしながら歩いていると・・・・・・。
「果たしてあなたに次があるんでしょうかねぇ・・・??」
「っ!!」
そこへ背後から掛けられる声が聞こえ、驚いて振り向くとそこには貼り付けたような笑顔のドクルンの姿があった。
「・・・なんだ、ドクルンですか。びっくりさせないでください」
「そんなつもりはなかったんですけどねぇ」
カユイザが不愉快そうに言うと、ドクルンはそう返す。
「それよりも、見てましたよ。あなたの活動っぷり、優勢だったのが劣勢になっていく姿、見ていて無様なものですねぇ」
「うるさいですね・・・ちょっと油断しただけです・・・!! 次はこうは・・・」
ドクルンが笑顔を貼りつけながら痛いところを突くと、カユイザは不快感を露わにしながら反論しようとして口を止める。
何か違和感を感じた。出し抜けに言われた言葉に。
「ドクルン、さっきのはどういう・・・っ!!??」
ドスッ!!!!
カユイザが振り向いて問いかけようとすると、目の前に迫っていたドクルンが片手を変化させた氷の刃で貫いた。
驚いた表情をしていたカユイザが顔を上げて表情を見ると、そのドクルンの顔は氷のように冷たくなっていた。
「あなた・・・キュアフォンテーヌを傷つけましたよね? 私の獲物を」
「あ、が・・・ぁ・・・・・・」
「困るんですよね・・・そんなことを勝手にされちゃ。プリキュアを抹殺するとか言っていて、心配だったので様子を見にきましたが、はっきり言って不愉快でした。私はあなたがこうなるのを待っていたんですよ」
ドクルンはいつもよりも冷たい声でそう発するも、カユイザは腹部への激痛に呻いていた。そんな彼女の体はゆっくりと赤い粒子のようなものを放出しながら溶けるように消えていく。
「このまま消すのも惜しいですね。どうせだったら私のために消えてください」
ドクルンは眼鏡を上にあげながら、そう言い放つ。
「あな、た・・・後悔、しますよ・・・! こんな、ことを・・・して・・・・・・!!!!」
「なんとでも言ってください」
カユイザは怒りの形相で苦痛に呻きながらそう言うと、ドクルンはそれを一蹴して返した後、氷の刃を引き抜く。すると、カユイザの足元から凍りついていく。
「っ・・・・・・!!」
パシュ!!!
カユイザは抵抗と言わんばかりに手を突き出すと、圧縮された空気の弾を放つ。しかし、ドクルンは首を傾けるだけでそれを避けた。
「ドクルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッッッッ!!!!!!!!」
カユイザは怨嗟の叫び声を上げ、そのまま全身が氷漬けになって動かなくなった。
ピキ、ピキピキピキ、パキーン!!!!!
そして、氷漬けになったカユイザにヒビが入っていき、粉々に砕け散った。
ドクルンは振り向くと粉々になったかけらを冷たい目で見つめる。そのかけらは中で赤い靄のようなものが蠢くと赤い色の禍々しい色へと染まった。
「ちゆは、私のものよ・・・誰にもやるつもりはないわ・・・!!!」
そう呟くように言った後、ドクルンは禍々しいかけらを集め始める。その数、なんと7個ぐらいあり、メガパーツのようになっているものもあれば、細かくなっているものもある。
「さてと・・・さっき爆発音がありましたが、イタイノンは大丈夫なのかしら」
ドクルンは手に抱えるだけのかけらを手に持ちながら、発電所のあろう方向を向きながらそう呟いた。
「イタイノンお姉様ぁ・・・・・・」
ドクルンがカユイザを抹殺する瞬間を陰で見ていたフーミンは、爆発がある方向を見て心配しながらそう呟くと天使のような翼を生やしながら飛んでいくのであった。