ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
一触即発な雰囲気になりそうな前回、その行方は??


第107話「信念」

 

発電所の近くの大穴の中で、見据えあうかすみとイタイノン、そしてニャトラン。ニャトランはひなたに触れているイタイノンに怒りの形相で睨んでいた。

 

「ひなたに何してんだ、お前ら!!!!」

 

ニャトランはイタイノンに向かって怒りの叫びをあげる。

 

「・・・見ればわかるの。倒れたこいつの中にあるものを取り出そうとしているの」

 

「うぅぅぅぅ・・・うぁぁぁぁ、あ゛ぁぁぁぁ・・・・・・」

 

イタイノンは開き直ったようにひなたから赤い靄を引っ張り出し、ひなたは苦しそうな声をあげる。

 

「それってメガパーツか!? お前、いつの間にそれを!!!」

 

「気づかないお前が悪いの」

 

ニャトランが非難の声をあげると、イタイノンは淡々と返しながらも赤い靄を引っ張り出そうとする。

 

「うぁぁぁぁ・・・あぁぁぁぁ・・・!!!」

 

「っ・・・・・・!!!」

 

引きずり出される度に、ひなたは苦しみの声をあげる。かすみは同じようになった愛しののどかのことを思い出して、辛そうな表情をしていた。

 

「っ、やめろよ!!! っ!?」

 

ニャトランはひなたが苦しんでいるのを見て飛びつこうとしたが、かすみがとっさに彼を抑え込む。

 

「かすみ!? 何すんだよ!?」

 

「大人しくしていろ・・・・・・!!」

 

「離せ!! 離せよぉっ!!!!」

 

ニャトランは阻止しようと抱きしめるかすみを見て驚き、その手から逃れようとジタバタする。かすみはそれを見て険しい表情をしながらも、内心では心を痛めていた。

 

「・・・・・・・・・」

 

「うっ・・・うぅぅぅぅ・・・うぁぁ、ぁぁ・・・!!」

 

イタイノンは二人の方をチラチラと見つめながら、ひなたの赤い靄に電気を浴びせる。ひなたは赤い靄が掴まれているせいで抵抗され、そのために絶え間ない激痛が走っており、首を左右に振りながら苦しんでいる。

 

「かすみ、なんでだよ!? なんでだよぉ!!??」

 

「っ・・・! 頼むから・・・大人しくしててくれ・・・・・・!!!!」

 

ニャトランは足掻くのをやめてかすみに問いかける。その悲痛な叫びにかすみは心を抉られるような感覚に陥って辛そうにしながらも、そう訴える。反らしたその表情からは懇願が入り混じったような辛そうな顔をしていた。

 

「うっ、うぅぅぅぅ・・・・・・ニャ・・・ニャト・・・ラン・・・・・・」

 

「っ、ひなたぁ!!」

 

「大・・・丈夫・・・・・・だいじょう・・・ぶ・・・・・・だか・・・ら・・・・・・」

 

ひなたが激痛を堪えながら紡いだ言葉に、ニャトランが反応する。ひなたは苦痛に歪めながらも、ニャトランにぎこちない微笑みを見せている。

 

「ひなた・・・・・・」

 

ニャトランはそんなパートナーの姿を見て、心配そうな表情を浮かべていた。

 

「大丈夫だ、ニャトラン」

 

「っ!!」

 

「ひなたは、助かるから・・・・・・」

 

周囲に聞こえないような囁く声でニャトランに伝えるかすみ。ニャトランはかすみの顔を見て、イタイノンの姿を見てなんとも言えないような表情だった。

 

「っ・・・・・・!!」

 

バリバリバリ・・・バリバリバリ・・・・・・!!!

 

「ぐっ、うぅぅぅぅ・・・うぁぁぁ、ぐぁぁぁぁぁ・・・・・・!!!!」

 

イタイノンは電気を浴びせながら少しずつ赤い靄を取り出していく。ひなたは苦痛に呻きながら、苦痛の声を上げながらも、なんとか意識を保って耐えようとしていた。

 

「っ・・・いい加減出てくるの!!!!」

 

バリバリバリバリバリバリバリ!!!!!

 

「ぐっ・・・ぐぁぁぁぁぁ、がぁ・・・がぁぁぁぁぁ・・・あぁぁぁぁぁ・・・!!!!」

 

苛立ったイタイノンは電気の威力を強くしながら、赤い靄をさらに引っ張る。ひなたからスムーズに赤い靄が抜けていき、ひなたの苦痛の声がさらに大きくなった。

 

「うぁぁぁぁぁぁ・・・ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・!!!!」

 

「っ!! くっ!!!!」

 

「あぁぁぁぁぁぁ・・・うぅぅぅ、うぁぁぁぁぁぁ・・・・・・!!!!」

 

「くっ・・・うぅぅぅ!!!!!」

 

「ぐぁぁぁぁぁ、ぐぁぁぁぁぁ!!!! うぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・!!!!!!」

 

少しずつ取り出される赤い靄、その度に苦しみの声を上げていくひなた。顔は苦痛に歪み、痙攣するように体をプルプルと震わせる。

 

「っ・・・!!」

 

パートナーの苦しむ姿を見ていることしかできないニャトランは辛そうに見つめる。でも、かすみも一緒に辛そうに見ているのを見て、ひなたを痛めつけてはいないということを察する。

 

心の中では、ひなたには助かって欲しいと願う。ニャトランにできるのはそのくらいだった。

 

そんな時だった・・・・・・。

 

ドォォォォォォォォォォン・・・・・・!!

 

「っ!? な、なんだ・・・!?」

 

突然轟音が響いて、穴の中の地面が揺れ始める。

 

「地上でメガビョーゲンが暴れてて、それで揺れてんのか・・・!?」

 

「ここも少し・・・崩れるんじゃないのか・・・・・・!?」

 

ニャトランとかすみの心に焦りが生まれ始める。発電所の近くの地面であるこの場所は、崩れてしまうのではないかと・・・・・・。

 

そんな二人の悪い予感は的中してしまう・・・・・・。

 

ガラガラガラガラ、ドシャーン!!!

 

「っ!!??」

 

「っ、危ない!!!!」

 

イタイノンの上から崩れる音が響き、彼女が気づいたときには落盤が迫っていた。とっさにかすみはニャトランから手を離して、走り出すとステッキから大きなシールドを展開する。

 

ズシャーン!!!!!

 

落盤が激突して穴の中に土煙が舞う。穴の中全体に土の臭いが充満して中が見えなくなる。

 

土煙が晴れた頃、イタイノンは片手で顔を覆うようにして目をギュッとつむっていたが、自身の体には服が土で汚れた以外は何も怪我は起きていない。

 

「ぐっ、うぅぅぅ・・・・・・!!」

 

「カスミーナ、お前・・・!!!!」

 

「やっと・・・名前を呼んで、くれたな・・・!!」

 

呻くような声がしたかと思うとイタイノンがそこに視線を向けると、かすみがシールドで落盤を受け止めていた。

 

「お前、どうして・・・・・・!!??」

 

イタイノンは理解ができない状況に驚いていた。散々ひどい目に合わせて、ひどいことも言ったのに、どうしてこいつは私を助けようとするのか・・・・・・??

 

「何を言ってるんだ・・・私たちは、仲間だろう・・・・・・?? 同じビョーゲンズの」

 

「っ!!!!」

 

「ひなたも仲間だけど、イタイノン・・・お前も私にとっては大切な仲間なんだ。仲間を助けるのに、これ以上の理由なんかいるか・・・?」

 

かすみは落盤を抑えながらも、なんとか言葉を伝える。ひなたも大切だが、イタイノンも数少ない大事な存在なのだ。仲間を助けない理由なんかあるのだろうかと。

 

「ぐっ・・・早く、その場から移動を・・・・・・!!」

 

かすみは思ったよりも重い落盤に押されそうになっていた。シールドにもヒビが入り始めており、これが壊れてしまえば、かすみとイタイノンは落盤の下敷きだ。

 

「っ・・・!!!!」

 

イタイノンはカスミーナを呆然と見ていたが、プリキュア側についていたときに痛めつけ、仲間入りをしたときも素っ気なく無視していたことを思い出し、キリッと顔を顰める。

 

「っ・・・くっ・・・!!」

 

イタイノンはその場から逃げずにかすみへともう片方の手を伸ばす。ひなたを抱きながらやっているため、スムーズには動かなかったが、なんとか手を伸ばしていく。

 

「ぐっ・・・うぅぅ・・・・・・!!」

 

かすみがさらに落盤に押され、シールドにもさらにヒビが入り始める。同時にイタイノンが手を伸ばしていく。

 

そして・・・・・・。

 

ズシャーン!!!!!!

 

かすみが支えていた落盤は地面へと落ち、土煙が再び舞う。

 

「っ、ひなた!! かすみ!!!! イタイノン!!!」

 

ニャトランは落盤に巻き込まれた三人の名前を呼ぶ。土煙が晴れていくと、そこに映っていたのは崩れた瓦礫と落盤の跡であった。

 

「お、おい・・・嘘だろ・・・!? ひなた!!! かすみ!!!! イタイノン!!!! 誰か返事しろよ!!!!!!」

 

ニャトランは落盤の跡へと飛んで、三人の名前を叫ぶ。しかし、彼らから返事が一切帰ってこない。もしかして、落盤に押しつぶされてしまったのか・・・・・・?

 

「そんなぁ・・・・・・嘘だよ!!! こんなの嘘だ!!!!! お前ら生きてるんだろ!!?? 返事してくれよぉ!!!!」

 

ニャトランは落盤の山をどかそうと瓦礫を引っ張るも、ビクともしない。

 

「あ・・・あぁ・・・うっ・・・うぅぅ・・・・・・みんなぁ・・・・・・!!」

 

瓦礫を動かせないニャトランは絶望の声をあげると、地面に膝をついてむせび泣く。まさか、こんなことでパートナーや仲間とお別れだなんて・・・・・・。

 

ニャトランが泣いていた、その時だった・・・・・・。

 

「穴の中で騒いでうるさいの・・・!!!!」

 

「っ!!!!」

 

そこへ荒げたような声が聞こえ、ニャトランが涙目で振り返るとそこには、ひなたを肩に担ぐイタイノンと尻餅をついて荒い息をつくかすみの姿があった。

 

「ひなた!! みんな無事だったのか!!??」

 

「見ればわかるの、そんなの・・・!!」

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

ニャトランが安堵の表情を浮かべてそう言うに対し、イタイノンは顔を顰めながらそう言った。

 

「はぁ・・・す、すまない・・・イタイノン・・・・・・」

 

「別に謝らなくていいの」

 

かすみは息をつきながらそう言うと、イタイノンはそっぽを向いて赤らめながらボソリと言う。

 

ドゴォォォォォォォォォォォン!!!!

 

「っ、ここも時間がなさそうなの・・・!!」

 

「早くひなたを・・・!!!!」

 

「わかってるの・・・!!」

 

しかし、またさらに揺れて天井が崩れそうだった。かすみは早くひなたの赤い靄を取り除くように促し、イタイノンはひなたから出ている赤い靄を掴んで引っ張る。

 

「イ・・・イタイ・・・ノン・・・・・・」

 

「黙ってるの・・・・・・!!」

 

「うっ・・・うぁぁぁ・・・ぐぁぁぁぁぁぁ・・・!!!!」

 

自分の名前を呼ぶひなたの赤い靄を引っ張るのを再開すると、ひなたは再び苦痛の声を上げ始めた。

 

「私も手伝う・・・!!!!」

 

かすみはそう言ってイタイノンの持つ赤い靄を一緒に掴んで引っ張る。

 

「あぁぁぁ・・・あぁぁぁぁ・・・ぐ、ぁぁぁ・・・あぁぁぁぁ・・・!!!!」

 

ひなたの表情は再び苦痛に歪み、体をプルプルと震わせる。時折、首を左右に動かしてもがく。

 

「ひなた、頑張れよ・・・!!!!」

 

「うぁぁぁぁ・・・ぐぁぁぁ・・・あぁぁぁ・・・・・・!!!!」

 

そこへニャトランも駆けつけて彼女の手を握る。今の自分にできることはこれしかないが、少しでもひなたの力になれると感じていた。

 

「テラパーツ・・・ひなたの体から出ていけ・・・!!!!」

 

「これ以上ひなたを・・・苦しめるなぁ・・・!!!!」

 

「っ・・・! ふんっ!!!!」

 

かすみ、ニャトラン、イタイノンはそれぞれの思いを持ちながら、赤い靄が出ていくように願う。

 

「うぅぅぅぅ、うぁぁ・・・あぁぁぁ、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

ひなたから一際大きい絶叫が上がると、赤い靄がひなたの体から引き摺り出される。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・と、取れたの・・・!!」

 

イタイノンは息を荒くしながらも、自分の手の中にある紫がかった赤い靄を見つめる。

 

「ひなた!!!!」

 

ニャトランはひなたの顔を見つめる。すると、彼女の顔から苦痛の表情が抜けて、スヤスヤと安らかな寝息を立てていた。

 

「大丈夫みたいだな。よかった・・・!!」

 

ひなたの容態がなんともないことを、かすみとニャトランは安堵した。

 

ドゴォォォォォォォォォン!!!!

 

「っ!!」

 

そんなのもつかの間、揺れが大きくなって天井がガラガラと崩れ始めているようだった。

 

「安心している暇じゃないの!! とっととここから出るの!!」

 

イタイノンはひなたをお姫様抱っこのように持つと、二人にそう呼びかける。かすみが頷くと、イタイノンは宙に浮いて元々落ちた穴から飛び上がっていく。

 

「はぁっ!!!!」

 

かすみはダークグリーン色のエレメントボトルを取り出して黒いステッキにセットすると、ステッキの先から球体のような空気の塊を作り出す。そして、その上に乗ろうとするが・・・・・・。

 

「っ・・・・・・」

 

ふと彼女の横をニャトランが通り過ぎる。かすみは俯いてなんとも言えない表情を浮かべると、目をギュッと瞑る。そして・・・・・・!!

 

「ニャトラン・・・!!!!」

 

「っ!! わぁっ!! か、かすみ!?」

 

かすみは駆け出して叫びながらニャトランを抱きしめると、その勢いのまま空気の塊の上に乗り、もと来た穴へと飛んでいく。

 

「っ・・・すまない・・・すまない・・・・・・」

 

「かすみ・・・・・・?」

 

ニャトランをギュッと抱きしめながら体を震わせて呟くかすみに、ニャトランは疑問を抱いていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃、地上では・・・・・・。

 

「メッガメガァ!!!」

 

メガビョーゲンはアンテナから上空へと電気を飛ばし、雷を降り注がせる。

 

「くっ・・・ふっ・・・・・・!!」

 

「っ・・・はっ・・・・・・!!」

 

グレースとフォンテーヌは雷の弾幕を避けながら、メガビョーゲンへと駆け出す。

 

「ふっ・・・はぁぁぁぁっ!!」

 

「メガメガァ!!」

 

その後ろからアースが高く飛んで回し蹴りを繰り出す。メガビョーゲンはロボットアームのような手で蹴りを防ぐ。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

「メッガァ!? メガメガメガァ!!??」

 

その隙をついてグレースとフォンテーヌが同時に腹部に蹴りを入れ、メガビョーゲンを背後によろつかせる。

 

「ふっ!!!!」

 

「メガメェ・・・!!??」

 

アースは腕の上に登ると、そこから飛んでメガビョーゲンの顔面に飛び蹴りを食らわせ、背後へと倒す。

 

「よし!!」

 

「今のうちに浄化を!!!」

 

グレースとフォンテーヌの言葉にアースは頷くと、浄化の構えに入ろうとするが・・・・・・。

 

ビュンッ!!!!

 

「っ、あぁぁぁぁ!!!!」

 

突然、そこへ白い何かが飛んでくるとアースへと直撃する。

 

「「アース!!」」

 

グレースとフォンテーヌが心配してみる中、地面を転がるアースはなんとか体勢を立て直して着地する。

 

「っ! フーミン!!」

 

アースが飛んで来た方向を見据えると、そこには6枚の翼を生やしたフーミンが上空へ飛んでいた。

 

フーミンは地上へと降りて翼を畳むと、プリキュアの三人を見据える。その表情は怒りで満ち溢れていた。

 

「イタイノンお姉様をどこにやったですぅ・・・??」

 

「イタイノン・・・・・・?」

 

「じゃあ、あの穴はイタイノンが・・・!?」

 

グレースは疑問を持つが、フォンテーヌは光っていたのを見ているため、あれはイタイノンの電気の仕業ではないかと推測する。

 

「お姉様を返すですぅ・・・・・・!!!!」

 

フーミンは怒りの声を上げながら、翼を広げて赤い光の禍々しい球体を展開すると、それを光線状にしてアースに目掛けて放つ。

 

「ふっ・・・・・・!」

 

アースは低く飛びながらフーミンへと迫っていく。

 

「んぅ!!」

 

フーミンは翼を広げて6枚の翼を一気に、アースへと投下する。

 

「ふっ!! はぁっ!!!!」

 

アースは体を翻して攻撃を避け、さらに迫ってくる翼を掴んで上へと飛ぶ。

 

「はぁぁぁ!!!!」

 

「っ・・・!!」

 

アースはフーミンに目掛けて蹴りを繰り出す。フーミンは翼を瞬時に自分の元に戻すと、自分を覆うようにして包み、アースの蹴りを防ぐ。

 

フーミンは翼を広げてアースを押し返し、口から不快音波をアースに向けて放つ。

 

「っ!!!!」

 

アースは着地をして、瞬時に音波を飛んで避ける。

 

「音のエレメント!!」

 

アースはハープを取り出すと、音のエレメントボトルをセットする。

 

「ふっ!!」

 

ハープの弦を弾いて音を奏でると、心地よい音波が放たれる。

 

「んぅ・・・!!! っ・・・!!!!」

 

バサバサ!! バサバサ!!

 

フーミンは翼を思いっきり羽ばたかせると、羽音で生じる衝撃波でアースの音波が相殺される。

 

「お姉様をどこにやったですかぁ・・・? さっさと出すですぅ・・・!!!!」

 

フーミンはふわふわとした口調ながらも、怒りのような声をあげて要求する。

 

「・・・イタイノンは恐らく穴の中です」

 

「穴ぁ・・・・・・?」

 

アースの言葉に首を傾げるフーミン。正直、愛しのイタイノンの姿が見えないのはメガビョーゲンと戦っていたプリキュアたちの仕業だと知って怒りに震えていたため、穴に関しては眼中になかった。

 

「私たちの仲間とイタイノンに何かがあって、あのような大穴ができたのでしょう。あの穴の中にいると私は見ています」

 

「・・・・・・・・・」

 

アースにそう説明されると、フーミンはぼーっと彼女の顔を見つめる。そして、何かを思考したように口を開く。

 

「つまりは、そのプリキュアが関わっているってことですかぁ・・・・・・?」

 

「確かに関わってはいますが・・・・・・」

 

「なら、お前たちも同罪ですぅ・・・!!!!」

 

フーミンはそのプリキュアがイタイノンの姿が見えなくなったことをアースから聞くと、再び翼を広げると前方へと振って無数の羽を飛ばした。

 

「っ!!」

 

アースは突然の攻撃にジャンプして避ける。羽は地面に着弾すると爆発を起こした。

 

「っ・・・!!!!」

 

「んぅぅぅぅぅぅ・・・!!!!」

 

「くっ・・・!!!!」

 

空中へと逃げたアースを追撃しようと、フーミンが翼を広げると一瞬でアースの目の前に現れる。フーミンはそのまま横薙ぎに翼を振り下ろす。アースはとっさに腕で防いだ。

 

「んぅ・・・!!!!」

 

「うっ、うぅぅぅぅぅぅぅ・・・!!!!」

 

フーミンはその隙をつくように不快音波を近距離で浴びせる。まともに直撃したアースは頭の中に不快な音波が響き、その痛みに頭を抑える。

 

「っ・・・・・・!?」

 

「にはさないえふぅ・・・!!」

 

「ぐっ・・・うぅぅぅぅぅ・・・・・・!!!!」

 

フーミンは逃れようとするアースの体を拘束し、不快な音波を浴びせ続ける。アースは固定させられたまま音波を直に浴びせ続けていることになり、表情を苦痛に歪ませながら苦しむ。

 

「っ・・・んぅ!!!!」

 

「あぁぁぁぁ!!!!」

 

フーミンは音波を浴びせるのを止めると、とっさに翼を伸ばしてアースを放り、戻した後に2枚の翼を投下してアースにぶつける。アースは吹き飛ばされて地面に叩きつけられる。

 

フーミンは地面へと降りて翼を仕舞うと、倒れ伏しているアースへと歩み寄り、彼女の胸ぐらをつかんで持ち上げる。

 

「うっ・・・・・・!!」

 

「お姉様を汚した罪は思いですぅ・・・このまま消してやるですぅ・・・・・・!!!」

 

胸を絞めあげられて苦しむアースに、フーミンは再び6枚の翼を生やすとアースに目掛けて構えた。

 

一方、メガビョーゲンと対峙するグレースとフォンテーヌは・・・・・・。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「メッガメガァ!!!」

 

フォンテーヌは蹴りを繰り出すも、メガビョーゲンはロボットアームのような腕で攻撃を受け止める。

 

「はぁっ!!!」

 

そこへグレースが隙を突こうとメガビョーゲンに蹴りを繰り出すが・・・・・・。

 

「メガメガ、メガァ!!!!」

 

「っ、きゃあぁぁぁぁ!!!!」

 

「あぁぁぁぁ!!!!」

 

メガビョーゲンは頭のアンテナから電気を放って、フォンテーヌを感電させて吹き飛ばし、グレースも巻き添いになって二人は地面へと叩きつけられる。

 

「メッガメガァ!!!!」

 

メガビョーゲンはさらに上空に電気を放って、二人に雷が降り注いだ。

 

「っ!!」

 

「ぷにシールド!!」

 

それに気づいたフォンテーヌはとっさに立ち上がってぷにシールドを上空に向けて展開する。

 

「うっ・・・!!!!」

 

フォンテーヌは降り注ぐ雷をなんとか防ぎ、その間にグレースが起き上がる。

 

「実りのエレメント!!」

 

ステッキに実りのエレメントボトルをセットし、メガビョーゲンに構える。

 

「ふっ!!」

 

「メガァ!?」

 

グレースはピンク色の光弾を放ち、メガビョーゲンに直撃させた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・これ以上長引くと・・・きついわね・・・」

 

二人は疲れからか息を荒くしており、フォンテーヌはこれ以上の戦闘は危険と判断する。

 

「メガメガァ!!!」

 

メガビョーゲンは黒い煙を振り払うと、二人に頭のアンテナに電気を溜めて放つ準備を始めていた。

 

「っ、させないわ!!」

 

フォンテーヌはメガビョーゲンが再び攻撃しようとしていることに気づくと、そうはさせまいと氷のエレメントボトルを取り出す。

 

「氷のエレメント!! はぁっ!!」

 

「メ・・・メガメガ!?」

 

エレメントボトルをステッキにセットすると、冷気を纏った青色の光線を放ち、メガビョーゲンのアンテナを氷漬けにする。

 

「よし!!」

 

「今のうちに浄化を・・・!!!」

 

グレースとフォンテーヌはメガビョーゲンが攻撃できない隙に、浄化技を放つためのエレメントボトルを取り出そうとする。

 

ドガッ!!!

 

「あぁぁぁぁ!!!!」

 

しかし、そこへアースが吹き飛ばされてくる。

 

「「アース!!」」

 

グレースとフォンテーヌが目の前に飛ばされて来たアースに気を取られていると・・・・・・。

 

ビュンッ!!!!

 

「きゃあぁぁ!!!!」

 

「あぁぁぁ!!!!」

 

グレースとフォンテーヌにそれぞれ翼が迫り、直撃を受けた二人は吹き飛ばされた。

 

「フフフ・・・疲れてるですかぁ・・・? あの時のような覇気がないですぅ・・・・・・」

 

アースの飛んで来た方向から不敵な笑みを浮かべながら、フーミンが姿を現した。

 

「フ、フーミン・・・・・・」

 

「んぅ・・・・・・!!」

 

顔を顰めてこちらを見るグレースをよそに、フーミンは不快な音波をメガビョーゲンに向かって放つ。

 

ピキピキ、パリーン!!!!

 

「あっ・・・そんな!!」

 

「氷のエレメントの力が・・・!?」

 

メガビョーゲンの氷漬けになっていたアンテナは音を立てて砕け解放される。フォンテーヌは信じられないといったような表情をする。

 

「そんなものでは私たちは縛れないですぅ・・・・・・」

 

「メガメガァ!!」

 

「さあ、往生するですぅ・・・・・・!!」

 

フーミンは不敵な笑みを浮かべてそう言うと、攻撃ができるようになったメガビョーゲンは再びアンテナに電気を溜め始める。

 

「諦め、ないよ・・・・・・!!」

 

「??」

 

グレースは言葉を紡ぐと、ゆっくりと立ち上がる。

 

「だって、ひなたちゃんが頑張ってるかもしれない・・・あの穴の中で戦っているかもしれない・・・・・・だから、私たちも、お手当てを諦めちゃいけないんだ・・・!!!!」

 

グレースは強い口調で、フーミンにそう言い返す。その言葉を始めとして、フォンテーヌとアースも起き上がっていく。

 

「そうね・・・・・・ひなたは調子がいいけど、誰よりも元気が取り柄な子だもの。私たちが立ち向かわなくちゃ、ひなたも浮かばれないわよね・・・!!!!」

 

「私も、本当はひなたが心配です。グレースにあんなことを言っても、本当は心配です。でも、それと同じくらい・・・ひなたを信じているんです・・・!!!!」

 

フォンテーヌとアースも次々と主張し、自身を奮い立たせていく。

 

「だから、私たちはーーーー」

 

「「「絶対に諦めない!!!!!!」」」

 

三人はフーミンを睨みつけながら、きっぱりとそう言い放った。ひなたのために、地球のために、自分たちはどんなに追い込まれても諦める気持ちは到底なかった。

 

「んむぅ・・・・・・うるさくて耳障りですぅ・・・私の目の前から消えるですぅ!!!」

 

「メガメガァ・・・・・・!!」

 

フーミンは三人の言葉に不快感を露わにして叫ぶと、メガビョーゲンが呼応するかのように電気をさらに溜めていく。

 

「っ・・・・・・!!」

 

グレースたちはメガビョーゲンの攻撃のタイミングを伺う。ここで失敗したら三人まとめてやられることになる。

 

「メガァ・・・メガメガァ!!!!」

 

メガビョーゲンはアンテナにチャージした電気を一気に放電した。

 

「「ぷにシールド!!」」

 

グレースとフォンテーヌは大きめのぷにシールドを展開して、雷の波状攻撃に立ち向かう。

 

「くっ・・・・・・!!」

 

「うっ・・・・・・!!」

 

シールドに雷が当たり、そのあまりの勢いに押されそうになる。

 

「音のエレメント!!」

 

アースはハープに音のエレメントボトルをセットする。

 

「ふっ!!」

 

グレースとフォンテーヌのシールドの隙間から、ハープを奏でて音波を放つ。

 

「メェ・・・メガ・・・!? メガガ・・・!?」

 

メガビョーゲンが音波を浴びて苦しみ始め、電気の放出が悪くなる。

 

「今よ!!」

 

フォンテーヌの言葉を合図に、グレースとフォンテーヌがシールドを張りながら飛び出していく。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

「メガメガァ!? メガァッハ・・・!?」

 

そのまま飛び上がってアンテナにシールドを同時にぶつける。

 

バチバチバチバチ・・・・・・ドカァァァァァン!!!!

 

「メガァ・・・・・・!?」

 

シールドによって押さえつけられた電気がアンテナの中で過充電となり、メガビョーゲンのアンテナは爆発を起こした。

 

「今だよ!!」

 

二人は地面に着地し、グレースはみんなへと呼びかける。

 

グレースは花のエレメントボトル、フォンテーヌは水のエレメントボトルをステッキにセットする。

 

そう言いながら光るステッキの先をハート型の模様を空中に描き、肉球に3回タッチする。

 

「「ヒーリングゲージ上昇!!」」

 

ステッキの先のハートマークに光が集まっていく。

 

「プリキュア!ヒーリングフラワー!!」

 

「プリキュア!ヒーリングストリーム!!」

 

グレースとフォンテーヌはそう叫びながら、ステッキをメガビョーゲンに向けて、ピンク色の光線と青色の光線を同時に放つ。

 

「アースウィンディハープ!!」

 

アースは風のエレメントボトルをハープにセットする。

 

「エレメントチャージ!!」

 

アースはハープを手に取って、そう叫ぶとハープの弦を鳴らして音を奏でる。

 

「舞い上がれ! 癒しの風!!」

 

手を上に掲げると彼女の周りに紫色の風が集まり始め、ハープへとその力が集まっていく。

 

「プリキュア! ヒーリング・ハリケーン!!!」

 

アースはハープを上に掲げてから、それを振り下ろすとハープから無数の白い羽を纏った薄紫色の竜巻のようなエネルギーが放たれる。

 

ピンク、青、竜巻のようなエネルギー、3種類のエネルギーが混ざり合い、メガビョーゲンに直撃する。

 

光線はメガビョーゲンの中で腕へと変化すると、6つの腕が雷のエレメントさんを優しく包み込む。

 

メガビョーゲンをハート状に貫きながら、光線はエレメントさんを外に出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていく。

 

「「「「「お大事に」」」」」

 

雷のエレメントさんが発電所の発電機の中に戻っていくと、蝕まれた場所は元に戻り、本来の色を取り戻していく。

 

「ワフ〜ン♪」

 

ラテの額のハートマークが水色に戻り、ラテは元気になった。

 

「んむぅぅぅぅぅぅ・・・・・・こうなったら、私の手でやるですぅ・・・!!!!」

 

フーミンは翼を広げるとプリキュアに向かって構える。

 

「「「っ・・・・・・!!」」」

 

プリキュア三人もフーミンに向かって構え、両者は再び戦闘状態に。

 

すると・・・・・・・・・。

 

ビュンッ!!

 

「「「っ!!!!」」」

 

突然、風を切ったような音が聞こえてくると、まだ消えていない大穴の中から何かが飛び出してきた。

 

「・・・・・・??」

 

フーミンも何なのかと思い、その正体を見上げてみる。それはゴスロリの服を着た・・・・・・。

 

「っ・・・・・・!!」

 

パァァァァ・・・・・・!!!!

 

彼女はその姿を見て、その表情が喜びへと変わっていく。

 

「お前ら、何を騒いでるの・・・??」

 

その者は両者の間にゆっくりと降り立つと、きょろきょろと見ながら言う。

 

「っ、イタイノン!!」

 

大穴の中から飛んで脱出したイタイノン、そして彼女の手の中にはスヤスヤと眠っているひなたの姿があったのであった。

 

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