ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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原作第6話がベースです!
前後編に分けます!今回は前編になります!


第10話「安息」

 

「うぅ・・・んぅ・・・んん・・・」

 

ドクン、ドクン、ドクン

 

のどかはベッドの上で胸を抑えながら、顔は苦痛の表情を浮かべていた。額には脂汗が滲んでいる。

 

他の人から見れば、悪夢にうなされているように見える。苦しそうな声をあげ、時折「見たくない」と言いたげな感じで首を振ってもがく。

 

しかし、外から見てはわからないが、のどかの心臓で赤く小さく何か蠢いている。まるで、のどかの体を蝕ませていくかのように・・・。

 

「うぅぅ・・・んんぅ・・・んん・・・!」

 

ドクン、ドクン、ドクン

 

「うぅぅ・・・うんぅ・・・!!」

 

ドクン、ドクン、ドクン

 

「んんぅ・・・うぅんん・・・!!」

 

・・・どか・・・のどかぁ・・・!!

 

「うぅぅ・・・ん・・・!!」

 

ーーーーのどか、目を覚ますラビ!!!!

 

「あっ・・・!?」

 

ラビリンの声がどこかで聞こえてきて、のどかは目を見開く。視界には心配そうな顔で見るラビリンの姿があった。

 

「のどか、大丈夫ラビ? 随分とうなされてたラビ」

 

自分のパートナーが心配そうに見つめている中、のどかは体を起こす。顔や体が汗でびっしょりと濡れている。

 

そういえば、眠っている間も何だか胸も苦しくなっていた気がするが・・・。

 

「あれ・・・?」

 

いつの間にか胸の苦しさがなくなっていた。それもまるで、体から胸のつっかえがなくなったかのように。

 

一体、何だったのか・・・? 前までは悪夢を見ていても、胸が苦しいなんてことはなかった。こういうことが起き始めたのは、水族館でクルシーナに何かされて病気で侵されて苦しみ、そこから解放されてからだ。

 

普段は、苦しいと感じることなんて何もない。苦しみを感じるのは、いつも限って眠っている時だけ・・・。まだ、あの時の後遺症が残っているのだろうか?

 

「のどか? どうしたラビ?」

 

「・・・ううん。なんでもない」

 

ラビリンに心配をかけまいと笑顔を見せるのどか。

 

「クゥ~ン・・・」

 

ラテも心配そうにのどかのことを見つめている。鳴き声も悲しそうだ。

 

「大丈夫だよラテ。今日も私は元気元気」

 

ラテにも心配をかけたくないのどかは撫でながら笑顔を見せる。ベッドから立ち上がるとのどかはパジャマから私服へと着替えようとクローゼットへ。

 

確か、今日は日曜日。ちゆちゃんとひなたちゃんが家に来るはず。あの時ははぐらかしちゃったけど、ちゃんと家族にもお友達を紹介しないと。

 

のどかは今日も生きてるって感じを抱きながら、両親の待つ食卓へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マグマが満たされたビョーゲンズの住む世界、ビョーゲンキングダム。そこでは、シンドイーネがぶつくさと不満を漏らしていた。

 

「全く何なのよ、もう!! プリキュアってホント目障り!!」

 

この前、出撃したシンドイーネは水族館でプリキュアからあからさまな妨害を受けて、イライラしていた。特に栗色の髪の女、あいつはいきなりリュックサックを投げつけた挙句、ヒーリングアニマルのペンギンを取り返そうと掴みかかってきた。それも自分の顔を手で押しのけるかのように。

 

あんな頭の悪そうな行動に作戦を妨害された挙句、メガビョーゲンもあっさりと浄化された。ビョーゲンキングダムに逃げ帰った後も、彼女の怒りは今日に至るまで治まらなかったのだ。

 

「キーキー、キーキーうるさいぞ、シンドイーネ。お前の声こそ耳障りだ」

 

グアイワルがすぐ感情的になるシンドイーネに辟易しつつも、たしなめる。

 

「なんですって!? あんたはムカつかないの!? グアイワル!!」

 

グアイワルの言い方が癇に障り、突っかかっていくシンドイーネ。

 

「腹を立てても仕方あるまい。今は気にせず、地球を蝕めというのが、お前の大好きなキングビョーゲン様の命令だろ?」

 

後半、嫌味ったらしく口調を変えるグアイワル。

 

確かに、怒った仕方がないこともある。プリキュアを倒すことは特に命令には含まれていない。そんなことはシンドイーネでもわかっているのだが・・・。

 

「そうよ! そうだけど、あんたに言われるとますますムカつく!!」

 

小馬鹿にされて気分を害したシンドイーネの怒りは収まることを知らない。まるで、惨めったらしく恥をかかされた気分だ。

 

「ダルイゼン! クルシーナ! ドクルン! イタイノン! あんたらはどうなのよ!?」

 

この場にいる他の4人に八つ当たりのごとく、突っかかろうとするシンドイーネ。

 

「別に・・・俺は最終的に、この星が暮らしやすくなれば、なんでも・・・」

 

寝そべっているダルイゼンは面倒臭そうに答えながら横になる。

 

「アタシも地球や人間が病気で苦しんでればそれでいいわよ。っていうか、そんなことでいちいち怒ってたってしょうがないでしょ」

 

同じく寝そべっているクルシーナは手を追い払うかのように振りながら、そっけなく答える。

 

「怒りなど論理的ではないかと。すぐに冷めやすいものですし」

 

ドクルンは本を片手に読みながら、シンドイーネの怒りを否定。

 

「おばさんは少し頭を冷やしたほうがいいと思うの。しわが増えて余計に老けるだけなの」

 

イタイノンは携帯ゲームをピコピコしながら毒付く。

 

「キーッ!! ホントに何なのよ!? どいつもこいつも!! っていうか、イタイノン!! またあんた、おばさんって言ったわね!!」

 

メンバーから酷薄な発言しかされず、ますます苛立つシンドイーネ。特にイタイノンの言葉には聞き捨てならず、怒りを隠さず突っかかる。

 

「・・・ふん」

 

イタイノンは鼻を鳴らすと、ゲームをやる手を止めてポケットにしまうとシンドイーネから離れるように歩いていく。

 

「ちょっと! どこ行くのよ!?」

 

「うるさいから、他の場所行ってるの」

 

シンドイーネの言葉に意を介さず、そのまま歩き去っていく。

 

「・・・全く、付き合ってらんないね」

 

ダルイゼンも起き上がると歩き始める。

 

「ダルイゼン? 行ってくるの?」

 

「・・・ああ」

 

「ん・・・いってらっしゃ~い!」

 

「ダルイゼン! あんたまで!!」

 

クルシーナのだるそうな言葉に答えるダルイゼン。シンドイーネと本当に関わりたくないと言わんばかりの顔をしながら、答えようともせずに歩き去っていく。

 

「何よーもぉー!!!!!!」

 

「うるさ・・・」

 

ビョーゲンキングダムにはシンドイーネの怒りの声が響き渡り、クルシーナが嫌そうに声を漏らしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・ビョーゲンキングダムにいても不快、地球にいても不快・・・私の安息たる地はどこにもないの・・・」

 

イタイノンはすこやか市のとある木の木陰でため息を吐いていた。

 

ビョーゲンキングダムでは、シンドイーネがパパに向かって媚を売るし、今日だってプリキュアごときの愚痴を吐いてやかましい。ゲームをしていれば、クルシーナに邪魔される。

 

かといって、地球に来たところでここの健康的な環境は極めて不快だ。太陽なんか正直浴びたくないし、元気そうな人間がちらほらと歩いている。この木陰にいる間も不快感をふつふつと感じているのだ。

 

ーーーーやはり、安息の地を得るためには、地球を蝕んで自分の場所を作っていくしかない。

 

面倒臭くて辛いけど、やるしかない・・・。

 

「イタイノン? 大丈夫ネム?」

 

ネムレンが心配しているが、どこを心配しているのだろうか。ビョーゲンズにはいたわる相手など誰一人いやしない。皆、自分の目的を、パパのために働いているにすぎない。

 

イタイノンはため息を吐くと、ネムレンを優しく撫でる。

 

「大丈夫なの。ここの健康的な環境に、少し当てられただけなの」

 

イタイノンは立ち上がると、歩こうとしたが・・・。

 

ブウォン!!!!

 

「ひっ・・・!?」

 

イタイノンの前を突然、赤い車が通った。思わず悲鳴を上げ、硬直する。

 

どうやらイタイノンの歩く先は車道だったらしい。少し間違えていたら、跳ね飛ばされていたところだ。しかも、チャラそうな男が2人乗っていた気がする。

 

「・・・言わんこっちゃないネム」

 

「だ、大丈夫、なの・・・たまたま、たまたまなの」

 

イタイノンは緊張を解くと、ネムレンに言い訳をするかのように言葉を並べ、横に向かって歩こうとする。

 

ーーーー人間の住むところは、やっぱり怖いの・・・。

 

人間に若干恐怖を覚えながら、横に向かって歩こうとすると、彼女の横を銀色の大きな車が走ってきた。先ほどの赤い車よりも、ゆっくりと車を走らせている。

 

どうやらトラックというものらしく、銀色の四角い箱みたいなものには『す』という文字が吹き出しと木の葉が書かれていた。

 

「四角い箱・・・?」

 

「一体、何ネム・・・?」

 

二人揃って、あまり見たことのないロゴ。とはいえ、そんなことはどうでもいい。

 

そもそも、あの四角い銀色の箱はなんなのであろう。もしかして、何か中に詰めているのか?

 

あの箱は見た目としては、そんなに大きなものではなかった。そうするとなると、人一人が入れるぐらいの狭いスペース・・・。

 

ということは・・・その、すこやか運送に行ってみれば、私の安住の地が手に入る・・・?

 

「行ってみたいの・・・」

 

「え、どこに?」

 

「あの箱の中・・・」

 

イタイノンは空へと飛び上がると、その四角い銀色の箱の後を追う。

 

林を抜けていくと、ある一軒家の前に止まった。前の運転席から一人の人間が出てきて、後ろの四角い銀色の箱を開けて何かを取り出すと、家の前へと向かっていく。

 

イタイノンは下へと降りて、開けっ放しの箱の中を見ると、何やらいろんな四角い箱が入っていた。

 

「・・・何なの? これ」

 

「重そうな荷物ネム」

 

イタイノンはそれを見ながら嫌そうに、呆れたような顔をして辟易する。確かに一人に慣れるスペースとしては申し分ないが、いくら何でもこんな狭い場所に入りたいとは思わない。

 

「!・・・戻ってきたネム」

 

「!?」

 

ネムレンの言葉を聞くと、四角い銀色の箱の横に隠れる。バタンと、箱が閉まるような音が聞こえた。

 

そして、何かのエンジン音が聞こえると、トラックは再び走り出した。

 

イタイノンは空に飛び上がると、トラックを見失わないように追跡する。

 

「・・・辛いけど、我慢我慢なの」

 

「本当に無理しないでネム」

 

イタイノンの顔が若干歪んでいることに気づいたネムレンが心配そうな声を上げる。

 

しばらくトラックをつけていくと、結構な距離を走っていき、最終的に「すこやか運送 配送センター」と書かれた建物の中に入っていく。

 

だが、イタイノンは走ったわけでも、体に負担をかけたわけでもないのに、なぜか息を荒くしていた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

「大丈夫ネム?」

 

「はぁ・・・地球の太陽は居心地が悪いの・・・」

 

どうやら太陽の日差しのせいで、体力を削られた模様。顔からも汗が出ている。

 

人間にとって居心地のいい場所はビョーゲンズにとって不快な場所。とても地球の環境は肉体的にも、生理的にも受け付けない。

 

それ以前に、イタイノンは基本的に引きこもってばかりなので、体力があまりないのだが・・・。

 

イタイノンは門の前へと降りると、中の様子を見やる。

 

別のトラックが走り出し、右へと曲がっていく。建物の中は人がいて、何やら別のトラックに荷物を積もうとしている模様。

 

「・・・何をしている?なの」

 

「荷物を運んでいるようネム」

 

何をするための行為なのかはよくわからないが、四角い銀色の箱に荷物を入れ込んでいる様子。

 

でも、あの建物は、何だか狭そうで、暗そう・・・光が届かなそうで、最高の引きこもり場所・・・。

 

「キヒヒ・・・・・・」

 

イタイノンはいい場所を見つけたと言わんばかりの不敵な笑みを浮かべる。中に入って、確かめようとするが・・・。.

 

「ワン!ワン!」

 

「ひぃ!!」

 

背後から犬の吠える声が響き、イタイノンは思わずビクッとすると瞬間移動をして、すこやか運送の建物の上へと隠れる。

 

建物から下を覗いてみると、門の前に小さな子犬がお座りして何かを待っているのが見えた。

 

よく見てみるとその子犬の額にはハートマークがあり、イタイノンも見たことがある動物だった。

 

「な、なんだ・・・あいつらと一緒にいるヒーリングアニマルか、脅かすな、なの」

 

「イタイノンは本当にビビりネム」

 

「うるさいの・・・!」

 

正直、つねってやろうと思ったが、声がして再び下を見るとマゼンダ色の髪の少女、藍色の髪の少女、栗色の髪の少女が子犬の元へとやってきた。

 

「あいつらは・・・?」

 

どこかで見たことがある少女たち。確か、人の多い商業施設で見たことがあるはず・・・。

 

さらに彼女たちのそばには、ピンクのウサギ、水色のペンギン、黄色のネコがいるのが見えた。あいつらは間違えるはずもない、紛れもなくヒーリングアニマルたちだ。

 

ということは、あいつらはプリキュア。パートナーを見つけたヒーリングアニマルたちが、人間の少女たちと一緒にいる。間違いない・・・。

 

「ちっ・・・面倒なヤツらがきたの・・・」

 

イタイノンは顔を顰めながら言う。プリキュアのヤツらがいたんじゃ、ここ一帯を病気で蝕めないどころか、すぐに策を破られることになる。それはさすがに本意ではない。

 

ここは落ち着いて、あいつらの様子を伺う。なにやら、子犬に聴診器を当てているようだった。

 

「そっか・・・のどかもラビリンもいつも学校に行っちゃうから・・・」

 

「ラテのこと、お母さんがずっと見ててくれたんだもんね」

 

どうやらあの子犬はプリキュアの一人である、あのマゼンダ色の髪の小娘のお母さんとやらに面倒を見てもらっているらしい。

 

お母さんに面倒を見てもらう・・・。

 

イタイノンはそれを聞いて表情でわかりやすいくらい、歯ぎしりをする。頭の中に映像がフラッシュバックしているのだ。

 

ーーーー自分の右手を取り、どこかへ連れて行こうとする女性。

 

「イタイノン・・・?」

 

ネムレンが心配そうに彼女のことを見ている。何やら辛いことでもあったのだろうか。

 

プリキュアたちの会話はまだ続いていた。

 

「私もね・・・病気で心細かった時、ちょっとお母さんが見えなくなると、すぐに探して、後を追っちゃったんだ。ラテも寂しかったよね・・・ラテはあの頃の私たちよりも、もっとちっちゃいんだもんね」

 

「ラビリンも、ごめんなさいラビ・・・。ただでさえ、テアティーヌ様と離れて、ラテ様は寂しかったラビ・・・。もっと一緒にいてあげなきゃいけなかったラビ・・・」

 

「僕たちもペエ・・・」

 

「ごめんな、ラテ様・・・」

 

「クゥ〜ン」

 

イタイノンは体をプルプルと震わせていた。また、頭の中に映像がフラッシュバックする。

 

ーーーー右腕を押さえつけられ、針のようなものを近づけてくる老年の男性。

 

「イタイノン? 本当にどうしたネム・・・?」

 

「・・・なの」

 

ネムレンが先ほどよりも聞こえるように声をかけると、イタイノンからブツブツ言っている声が聞こえてくる。

 

その声は段々とはっきりと聞こえてきた。

 

「大嫌いなの・・・! 人間なんか大嫌いなの・・・!!!」

 

イタイノンの表情から怒りとも、辛さとも取れるような感情が芽生えていた。

 

・・・お母さんが面倒を見ているから、お母さんが恋しくなる?

 

・・・お母さんが恋しいから、寂しい?

 

・・・寂しいから、一緒にいてあげないといけない?

 

イタイノンはあの子犬の行動も、マゼンダ色の髪の小娘も、あのピンク色のウサギの、どの言葉にも共感できなかった。人と付き合ったところで、そんな感情抱けるわけがない・・・。憎いとしか思えない・・・!

 

その時だった・・・。

 

「クチュン!!」

 

子犬がくしゃみをしたかと思うと、ぐったりして具合が悪くなった。

 

「これって・・・?」

 

「ビョーゲンズじゃない!?」

 

藍色の髪の少女と栗色の髪の少女が何やら騒いでいる。それに何やらメガビョーゲンの反応が。

 

おそらく、ビョーゲンズの誰かがメガビョーゲンを発生させている。そして、どこかで暴れているのであろう。

 

プリキュアたちは、何やら焦ったようにこの建物から離れていく。どうやら、私のことには気づかなかった模様。

 

それを見送ったイタイノンはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

 

「しめしめなの・・・あいつらが離れている間に・・・」

 

バカなやつらなの・・・私がここにいることも知らずに・・・。

 

イタイノンは建物から飛び降りると、辺りを見渡す。何か病気で蝕めそうなものを探している。

 

車庫らしきものへと近づいていくと、イタイノンは何かに気づいたのか、ハッとするとそのものに駆け寄る。

 

それは三箱重ねて置いてある段ボール。そのうちの一番上を開けてみると、入っているのは緑色の大きな玉のような野菜ーーーーカボチャだった。

 

余程、大事にされて育てられていたのだろうか・・・しっかりと実が詰まっていて、生きてるって感じがする・・・。

 

「キヒヒ・・・」

 

イタイノンは不敵な笑みを浮かべると、両腕の袖をまるで埃を払うかのような動作をする。そして、右手を開きながら突き出すように構える。

 

「進化するの、ナノビョーゲン」

 

「ナノナノ~」

 

イタイノンの生み出したナノビョーゲンが鳴き声を上げながら、ダンボールの中のカボチャへと取り憑く。中のカボチャが丸々と徐々に病気へと蝕まれていく。

 

「ああ・・・あぁ・・・」

 

カボチャの中にいる妖精、エレメントさんが病気へと蝕まれていく。

 

そのエレメントさんを主体として、巨大な怪物がその姿をかたどっていく。凶悪そうな目つき、不健康そうな姿、そしてそれを模倣する様々な自然のものが姿として現れていき・・・。

 

「メガビョーゲン!」

 

カボチャが巨大化したような感じで、蕾が生えた蔓のような触手、渦を巻いているような4本の蔦の足を持つメガビョーゲンが誕生した。

 

メガビョーゲンは頭をブルブルと震わせると、黄色いカボチャの玉を4つずつばらまく。カボチャの玉は爆発を起こすと、その場所を病気へと蝕む。何と黄色いカボチャは爆弾だった。

 

「何だ・・・騒がしいな・・・う、うわあぁ!?」

 

爆発音が聞こえて気になった中年の男が様子を見に来るも、メガビョーゲンの姿を見て驚愕した。

 

「きゃあぁぁぁ!!」

 

「化け物だー!!」

 

部長の声に気付いた社員たちは悲鳴を上げて逃げ惑う。メガビョーゲンは更に逃げる人たちに爆弾をばらまいて、爆発させ病気へと蝕む。

 

「きゃあぁぁ!!」

 

イタイノンはその姿を見て、笑みが止まらない。

 

「キヒヒ・・・いいのいいの・・・この調子でどんどん蝕むの、人間たちを震え上がらせるの」

 

「メガー!!」

 

イタイノンは逃げ惑う人間の快楽を得ようと、メガビョーゲンに指示。メガビョーゲンは飛び跳ねながら移動する。着地をしたところに衝撃波が発生し、コンクリートの地面が赤く蝕まれる。

 

更に近くの植物へと爆弾をばらまいて爆発させ、更に病気へと蝕んでいく。

 

「メガー!!」

 

更に口からも病気を吐き出し、建物の中の荷物にまで病気へと蝕んでいく。

 

「ここは蝕む場所が少ないの。もっと別の場所に行くの」

 

「その方がいいネム」

 

「メガビョーゲン、あっち」

 

「メガー!!」

 

メガビョーゲンは飛び跳ねながら、イタイノンに着いていく。地面を赤い衝撃波で蝕んでいきながら、先ほどのトラックが走った方向へ逆走していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のどかたちはメガビョーゲンが発生したと思われる、母・やすこが運送を請け負う先、いちご農園へと向かっていた。

 

「いちご農園はまだラビ!?」

 

「もう少しよ!」

 

急いでいちご農園へと走る3人だが、元々運動が苦手で体力があまり無いのどかのペースが落ちてきていた。

 

「あっ、あああ!?」

 

「のどか! 危なかったラビ!」

 

のどかが足を絡ませて転びそうになり、ラビリンがそれに気づいて駆け寄る。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「のどかっち、大丈夫!?」

 

ひなたとちゆも息を切らす彼女に駆け寄る。元々体力が無い上に、虚弱体質なために無理が祟ったのか。

 

「うん・・・だいじょうーーーーあ」

 

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン

 

体から急に力が抜け、膝をついてしまうのどか。眠っているときと同じように、心臓の鼓動が警鐘を鳴らす。

 

「のどかっち!!」

 

「のどか!!」

 

「あ、あれ・・・?」

 

のどかは立ち上がろうとするが、立てない。まるで、体に鉛でも背負わされたかのような感覚。

 

おかしいな・・・今まではこんなことなんかなかったのに・・・。心臓の音はまだ早い。

 

やっぱりあの水族館の頃から、体が変になっている・・・。

 

「のどか、大丈夫なの!?」

 

ちゆも心配そうに声を上げる。

 

さらに追い討ちをかけるような事態が・・・。

 

「クチュン!!」

 

「!!??」

 

のどかに抱かれていたラテがくしゃみを起こしたのだ。メガビョーゲンが発生すると、ラテはくしゃみをして具合が悪くなる。

 

「もしかして・・・?」

 

「また、別の場所にペエ・・・?」

 

ちゆは聴診器をして、ラテの心の声を聴いてみる。

 

(あっちでかぼちゃさんが泣いてるラテ・・・)

 

「カボチャ・・・?」

 

「え、あっちの方向って、のどかっちのママの働き場所だよね!?」

 

なんということだ。先ほどのどかたちがいたすこやか運送にメガビョーゲンが現れたらしい。しかも、さほど走っていないと見るとついさっきだ。

 

メガビョーゲンが二体現れた上に、のどかの謎の不調・・・。状況はさらに悪化していた・・・。

 

のどかを見ていたラビリンは、意を決して二人の方を見る。

 

「ここはラビリンに任せるラビ!! 二人はメガビョーゲンのところに!!」

 

「で、でも・・・!」

 

ひなたは不安そうだ。水族館の出来事で下手をしたら友人を失っていたかもしれないのに、またのどかっちに異変が起きている。置いていくなんて、後ろめたい気持ちだった。

 

「早く行くラビ!! 取り返しのつかないことになる前に!!」

 

ちゆは不安そうな顔をしていたが、ラビリンの言葉を聞くと意を決する。

 

「わかったわ・・・」

 

「ラビリン、のどかっちをお願い・・・!」

 

ちゆとひなたはラビリンに任せて、メガビョーゲンのところに向かうことにした。分かれてメガビョーゲンが現れたとしたら、二手に分かれて処理するしかない。

 

「私はいちご農園に行くから、ひなたはすこやか運送に向かって!!」

 

「うん!!」

 

ちゆとひなたは二手に分かれた。それぞれのメガビョーゲンを浄化し、地球をお手当てするために。

 

のどかはその様子を不安そうに見つめると、なんとか足に力を入れようとする。

 

「行かないと・・・行かなきゃ・・・うぅ・・・!!」

 

「のどか! 無茶はダメラビ!!」

 

意地でも力を入れようとするのどかに、ラビリンは声をかける。

 

「だって・・・いちごが・・・お母さんが・・・! 私が辛い時に、ずっとそばにいてくれたのはお母さんなの・・・だから、今度は私たちが助ける番なの・・・!!」

 

のどかは母親への思いを口にしながら、少しずつ足を起こしていき・・・。

 

「うっ・・・くぅぅ・・・!!!」

 

足をプルプル震わせながらも立ち上がったのどか。その時、体から苦しさがすっきり消滅したかのように軽くなった。

 

「あ、あれ・・・? 楽になった・・・?」

 

一体、私の体に何が起こっているのか? 目を覚ましたと思ったら胸の苦しさがなくなり、こうやって何とか立ち上がると体の重さがなくなった。自分の体に異変が起きているとしか思えない・・・。

 

「のどか!! 大丈夫ラビ!?」

 

「!! う、うん・・・早く、向かおう・・・!!」

 

それを考えるのは後回しだ。とにかくメガビョーゲンを浄化しないと・・・!!

 

のどかは再びいちご農園に向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ビョーゲンキングダムで寝そべっているクルシーナ。今、ここには、自分の周囲には誰かがいるわけでもない。一人での時間を満喫していた。

 

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。

 

「・・・ん?」

 

何かの反応に気づき、右目を開けて首だけを振り向く。

 

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン

 

心臓の音が聞こえてきて、自分の体が疼くような感覚。でも、心地よい感覚・・・。

 

クルシーナはそれを感じると、不敵な笑みを浮かべた。

 

「ふーん、ちゃんと蝕んでるじゃん」

 

水族館でのどかを病気へと蝕もうとした張本人は、再び横になろうとする。

 

「クルシーナ、あの小娘に何をしていたウツ?」

 

彼女の帽子になっているウツバットが問いかける。

 

「別に、ちょっと種を蒔いてやっただけよ」

 

「種?」

 

「フフフ・・・そう。あのプリキュアの小娘のね・・・」

 

クルシーナは妖艶に笑いながら、その種の快楽を味わっていたのであった。

 




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