ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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原作第30話がベースです。
今回は動物園のお話です。そして、いろんな動きがあるかと・・・・・・。


第109話「趣向」

 

ビョーゲンキングダムーーーービョーゲンズたちの楽園で、幹部たちがキングビョーゲンに召集されていた。

 

「グアイワル、ダルイゼン、クルシーナ・・・メガパーツを使った試みはどうだ?」

 

今回はメガパーツの実験による、幹部たちの報告のため。キングビョーゲンはそれを行なっている三人の幹部の進捗を話すように命じる。

 

「少しずつ、結果が出ているところです・・・・・・」

 

「こっちもそんな感じかなぁ・・・・・・」

 

「まあ、上々ってところね。なかなか種が増やせないのが腹立つけど」

 

グアイワル、ダルイゼン、クルシーナはそれぞれの成果を報告する。侵略作戦は上手くは行っていないが、メガパーツの応用を効かせることはできているので、実験に関してはうまくいっていると言ってもいいだろう。

 

「ふっ・・・・・・お前たちもなかなか知恵をつけ始めたようだな・・・・・・」

 

キングビョーゲンは三人の報告を受けて、ほくそ笑んでいるかのような話し方をする一方で、気になることも指摘する。

 

「? ドクルンはどうした??」

 

そう。幹部は全員召集されているはずなのに、ドクルンの姿だけが見えなかったのだ。

 

「そういえば、あいつ、どこ行ったの?」

 

「さあね。少なくとも自分の部屋にはこもってたはずだけどね」

 

ダルイゼンはクルシーナに尋ねると、彼女はあっけらかんとした態度で答える。

 

「私が呼びに行ったときも部屋にはいなかったぞ。それどころか部屋の中が散乱していて、完全にもぬけの殻だった」

 

「それってぇ〜、どっかに行っちゃったってことぉ〜??」

 

かすみがドクルンに招集をかけようとした時のことを説明すると、ヘバリーヌがそれに反応するように首を傾げる。

 

「ぬぅ・・・奴もメガパーツの実験を行なっていたから報告を聞きたかったのだが・・・・・・」

 

「まあ、いないんじゃ仕方ないんじゃない?」

 

キングビョーゲンは神妙な様子で言うと、クルシーナはそう答える。

 

「はぁ〜い♪ キングビョーゲン様ぁ♪ ドクルンなんかよりも、私もメガパーツを使ってーーーー」

 

シンドイーネも報告をしようと声をあげるが・・・・・・。

 

「まあよい・・・・・・お前たちの活発な活動には期待している。特にダルイゼンとクルシーナ、お前たちのテラビョーゲンを増やすという試みは実に興味深い・・・・・・」

 

キングビョーゲンはシンドイーネには眼中がなく、ダルイゼンとクルシーナに話を続ける。

 

「はいは〜い!! このシンドイーネも、キングビョーゲン様のために・・・!!!!」

 

「期待しているぞ・・・ダルイゼン、クルシーナ・・・・・・」

 

「りょうか〜い・・・・・・」

 

「はーい」

 

シンドイーネの言葉には耳を傾けずに、ダルイゼンとクルシーナの淡々とした返事を聞くとキングビョーゲンは霧のように姿を消していった。

 

「お、お待ちください!! キングビョーゲン様ぁ!! 私とのお話がまだぁ〜・・・・・・!!!」

 

叫ぶシンドイーネだが、すでにキングビョーゲンは消えた後であった。

 

「はぁ、そんなぁ・・・・・・」

 

「お前、うるさいから相手にされなかっただけなんじゃない? なの」

 

「すぅ・・・すぅ・・・シンドイーネ、うるさいですぅ・・・・・・」

 

落ち込むシンドイーネに、イタイノンは冷淡に毒のような言葉を吐き、眠っているフーミンも同調するように反応する。

 

「何よ!! アンタも大したことやってないでしょ!?」

 

「別に私はどっちでもいいの。この地球を病気に蝕みさえすればそれで十分なの」

 

シンドイーネのムキになったような発言に、イタイノンは素っ気なく返す。

 

「ふっ・・・・・・役に立たない者の姿は、キングビョーゲン様には見えないようだな、シンドイーネ」

 

「そういえば、シンドイーネだけ何もやってないわねぇ」

 

「くっ・・・・・・」

 

グアイワルとクルシーナは嫌味を言い、シンドイーネは悔しそうな顔をする。

 

「さてと・・・・・・期待はさておき、またメガパーツを取りに行くか」

 

「アタシも付き合うわよ、カスミーナも」

 

「私もか・・・・・・」

 

ダルイゼン、クルシーナ、かすみの三人は地球に向かうべく、その場から姿を消した。

 

「キィィィ〜ッ!!! 悔しい〜!!!! こうなったら私もとんでもない発見をして、あいつらを見返してやるんだからぁ!!!!」

 

シンドイーネは地団駄を踏みながらそう言い放つと、その場から姿を消す。

 

「ふぅ・・・・・・やっとうるさい奴が消えたの」

 

イタイノンはその場に座り込むと、携帯ゲーム機を取り出してピコピコし始める。ようやく誰にも騒がれずに、一人だけの時間を過ごせるからだ。

 

「んぅ・・・イタイノンお姉様ぁ・・・・・・」

 

「っ・・・くっつくな、なの・・・・・・」

 

しかし、眠っていたフーミンが寄りかかり始め、イタイノンは不快な表情をしつつも退かそうとはしなかった。

 

「おい、イタイノン」

 

「・・・何?なの」

 

「お前は実験をしなくていいのか? もっとキングビョーゲン様に貢献すべきだろ」

 

そこへグアイワルが話しかけると、イタイノンは顔を顰めながら振り向く。

 

「別に、私はどうだっていいの。私は一人になれるところがあれば、それで十分なの」

 

「ふん・・・引きこもりは向上心も上達もないということか・・・・・・」

 

「お前だって本当にそう思ってるの? パパのために貢献するとか・・・・・・」

 

イタイノンはそれに淡々と返して、グアイワルが嫌味を言うと彼女は反論する。

 

「ふん・・・・・・!」

 

グアイワルはその問いには何も答えずに、その場から姿を消す。

 

「はぁ・・・・・・」

 

イタイノンはその行動にため息をつくと、目の前のゲーム機の操作を再開する。

 

トントントン。

 

「っ・・・今度は何なの・・・っ!?」

 

「こんにちは、イタイノン」

 

不意に肩を叩かれて苛立ったイタイノンが振り返るとそこにはドクルンがいたが、その姿に目を見開くイタイノン。

 

「お前、その姿は・・・!?」

 

「ふふふ・・・♪」

 

イタイノンが驚いている中、ドクルンは満面の笑みを浮かべる。

 

「これのおかげですよ。さあ、あなたも♪」

 

ドクルンはそう言いながら、持っていたテラパーツを一つ、イタイノンの手に渡す。

 

「これは・・・・・・」

 

イタイノンはドクルンから渡された赤い禍々しいかけらを不思議そうに見つめているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある週末・・・・・・・・・。

 

ガルアァァァァァァァァァァ!!!!

 

「「「「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」」」

 

のどかたち4人は目の前で吠える虎の迫力に驚いていた。

 

「すごい迫力です・・・・・・!」

 

「うん! やっぱり動物園って楽しいね〜♪ ありがとう、ひなたちゃん♪」

 

「もぉ〜、いいっていいってぇ! あたしもお兄からチケットもらっただけだし!」

 

「うふふ♪ 今日はめいいっぱい楽しみましょう♪」

 

のどかたち4人とヒーリングアニマルたちは週末の休みで、すこやか動物園へと遊びにきていた。ひなたの兄・ようたがもらったもので4人分あったため、せっかくなのでみんなで一緒に行こうと計画したのだ。

 

現在はみんなで虎のいるエリアをみんなで来ている。

 

「俺の仲間は最高にワイルドだぜ♪」

 

「え? 虎と猫って仲間なわけ??」

 

「っていうか、そもそもニャトランは猫じゃ・・・・・・」

 

ニャトランが虎の迫力に興奮していると、そもそもニャトランは猫か虎なのかという議論になろうとしていたが・・・・・・。

 

「お姉さん、全然知らないんだな」

 

「「「っ!!」」」

 

そこへ小学生位の男の子が現れ、ラビリンたちヒーリングアニマルは急いで、パートナーが持っているそれぞれのカバンに隠れた。

 

「虎と猫は同じネコ科の動物だって」

 

「へぇ〜、そうなんだ〜」

 

「ちなみにそいつは、アムールトラのオス。トラの中では一番でかい種類なんだ」

 

「ふわぁ〜、よく知ってるね♪」

 

男の子の説明に、ひなたとのどかが興味を抱く。

 

「あのアムールトラは体重が250キロにもなるのね」

 

ちゆはガイドブックのアムールトラの説明を見ながらそう言った。

 

「虎がお好きなのですか?」

 

「猫と一緒ってなると、虎も可愛いよね〜♪」

 

アスミとひなたも男の子の情報を興味深そうにしていた。

 

「ははっ・・・なんかバラバラでウケる」

 

「ふぇ?」

 

「あっ・・・ううん」

 

男の子がそう呟きに、のどかが首を傾げると彼は何でもないという風に首を振る。

 

「もしかしてお姉さんたち、ここに来るの初めて?」

 

「うん。この動物園、すっごく広いよね♪」

 

「広すぎて、どこから見たらいいのかめっちゃ迷う〜」

 

男の子がそう尋ねると、のどかとひなたがそう言う。

 

「しょうがねぇな〜・・・だったら俺が案内してやるよ!!」

 

男の子は自分に任せてと言わんばかりの元気な声でそう言った。

 

「この動物園は、世界の地域別にいろんなゾーンに別れていて、今いるのはこの真ん中あたり」

 

「「「「うんうん」」」」

 

「で、次はどの動物が見たいの?」

 

「「「「う〜ん・・・・・・」」」」

 

男の子に尋ねられるも、のどかたちはどの動物を見たいのか迷う。

 

「そういえば、あなたは一人で来てるの?」

 

「いや、お父さんとーーーー」

 

ちゆが気になったことを尋ね、男の子が答えようとしていると・・・・・・。

 

「こうたー!!!!」

 

「あっ、こっちこっち!!」

 

そこへ男の子を呼ぶ声が聞こえてきた。みんながそれに振り向くと、のどか、ちゆ、ひなたには見覚えのある人物だった。

 

「ま、丸山先生・・・!?」

 

のどかたちの通う中学校の先生である担任の丸山先生であった。

 

「「「こんにちは!」」」

 

「こんにちは。君たちも来てたのか」

 

のどか、ちゆ、ひなたは先生に挨拶をする。そして、ひなたには気づいたことが・・・・・・。

 

「ふぇ? もしかして二人、親子っていうこと!? 全然似てな〜い」

 

「ひなた!!!」

 

ストレートな物言いのひなたに、咎めるような声を出すちゆ。実はこの男の子は丸山こうたと言って、丸山先生の息子だったのだ。

 

「初めまして。私、風鈴アスミと申します」

 

「あっ、私たちのお友達です」

 

「初めまして、彼女たちの担任の丸山です」

 

挨拶をしたアスミをのどかが紹介すると、丸山先生も自己紹介をする。

 

「お姉さんたち、お父さんの生徒なんだ」

 

男の子は不思議な縁もあるものだと思っていた。

 

「すまんねぇ、うちのこうたが何か迷惑かけてなかったかなぁ?」

 

「「「い、いえ!!」」」

 

「その反対で、動物園を案内してくれて!!」

 

丸山先生がそう言うと、のどかたち3人は何やら慌てたように言う。

 

「そういうこと! 次はどこ行きたいの?」

 

「「「「う〜ん・・・・・・」」」」

 

男の子に尋ねられても、のどかたちはどこに行こうかまだ迷っていた。そこでそれぞれの行きたいところを言ってみる。

 

「キリン!! 絶対キリン!!」

 

「私はハシビロコウが見たいわ!!」

 

「動物と触れ合えるところに行ってみたいなぁ〜」

 

「私はどこでも構いません」

 

「・・・って、行きたいとこバラバラじゃん・・・」

 

ひなたはキリン、ちゆはハシビロコウ、のどかは動物の触れ合いの場所、アスミは行けるならどこでもいいと意見はバラバラであった。

 

「だったら、端から順番に見ていくか」

 

「う〜ん・・・じゃあ、とりあえずこっち!!」

 

「「「わーい♪」」」

 

丸山先生の提案で、とりあえず近いところから見ることにし、こうたの案内でそこに向かうことにしたのであった。

 

目的の場所に向かう中、こうたがこんなことを話した。

 

「それにしてもお姉さんたち、本当にキャラがバラバラじゃない?」

 

「キャラ?」

 

「うん。話し方とか雰囲気とか。なのに、よく仲良くできるよね。俺だったら絶対無理」

 

「こら、こうた!! この子たちはバラバラなのがいいんだよ」

 

キャラの異なる人の仲を軽視するこうたに、丸山先生が咎める。

 

「そんなの意味わかんないし・・・!」

 

丸山先生の言葉に、こうたはなぜか不機嫌な様子だった。

 

「実はあいつ、友達喧嘩してね。今日も本当はその子の家族と一緒に来るはずだったんだが・・・・・・」

 

「別にいいよ!! あんなやつ!!」

 

丸山先生がその理由を話すと、こうたはその友人を思い出したかのように不機嫌そうに言った。

 

「あんなやつというのは、つまり嫌いなのですか?」

 

「・・・っていうか、面倒臭い。喧嘩とかも面倒臭いから、俺もう友達いらねぇ」

 

気になったアスミが尋ねると、こうたは不機嫌そうに答える。その様子をのどかたちは顔を見合わせながら、心配そうにしていた。

 

そうこうしているうちに、一行はひなたの要望であるキリンのところにたどり着いた。キリンは食事中のようで、草を食している。

 

「長っ!! やっぱ長っ!!」

 

ひなたは興奮しながら、自身のスマホでキリンを撮影していた。

 

「本当♪ キリンって首が長いよね♪」

 

「首じゃなくて、まつ毛♪ めちゃめちゃ長くて羨ましい〜♪」

 

「ひなたらしいですね」

 

ひなたは首の長さよりもまつ毛の長さが気になっているようで、アスミはひなたの好みらしい独特な感性を感じていた。

 

「キリンはあのまつ毛で、光や埃から目を守ってんだぜ?」

 

「長いだけじゃないのね」

 

のどかたちはそうしてキリンについて話していると、視線に気づいたのかこちらの方を見る。

 

「あっ、こっち見た!」

 

「「「「可愛い〜♪」」」」

 

キリンの無垢な視線に、のどかたち女性たちは興奮する。

 

「あっ・・・・・・!?」

 

ちゆがハッと何かを思い出したかのように記憶が甦る。

 

『キリンは首やまつげだけじゃなくて、舌も長いのよ』

 

『へぇー、そうなんだ〜』

 

『そこの筒から食べ物を与えてればわかるわよ』

 

『本当・・・!?』

 

幼馴染のりょうと一緒に動物園に行った際に、キリンについての知識を教わったのを思い出す。

 

「そういえばキリンって、噂によると舌も長いのよね?」

 

「ああ・・・そうだぜ。より高いところの葉っぱを食べるために舌が長くなったんだよ」

 

「へぇー、それ見てみたいなぁ〜」

 

「あそこに餌を与えるところがあるから、ニンジンとかでやってみなよ」

 

こうたが指す先にはキリンに外部の一般客が餌を与えてもいいような筒が設置されている。

 

のどかは持っていたニンジンを筒の中に入れながら差し出す。すると、そこへキリンが筒へと近づいていき、筒の中のニンジンに舌を伸ばしていく。

 

「ふわぁ〜、本当に舌が長いね〜♪」

 

「ああやって舌を伸ばして、口では届かないところの草を食べるんだぜ」

 

「めっちゃ可愛いね!!」

 

キリンの舌を伸ばして餌を食べる様子に、のどかたちは恍惚とした表情になった。

 

続いては、ちゆの要望であるハシビロコウのところへとやってきた。そこで鋭い目付きのハシビロコウを目の当たりにする。

 

「カッコいい〜♪」

 

「わかる!」

 

ちゆは瞳をキラキラとさせながら、こうたもうんうんと頷いていた。

 

「なんか、話そうな顔をしてるね」

 

「うん♪ 例えば・・・・・・コホン」

 

のどかがハシビロコウの顔を見ながらそう言うと、ひなたは想像し始める。

 

「『はじめまして、お嬢さん。私はおまんじゅうが食べたいんですよ』」

 

「いやだ、ひなたったら♪」

 

ひなたはハシビロコウの言いたげな言葉を代弁するかのようにアテレコをすると、ちゆが微笑む。

 

「まぁ・・・おまんじゅうが好きなのですか?」

 

「マジレスウケる」

 

「「「あははは〜!!」」」

 

ハシビロコウが本当にそんなことを考えていると思ったアスミに、こうたが突っ込むとみんなは笑いに包まれた。

 

続いて向かったのは、のどかの要望である動物と触れ合えるコーナー。のどかはウサギにニンジンを与えていた。

 

「ふわぁ〜、食べた〜♪」

 

「やっぱりウサギはキュートラビ♪」

 

のどかとラビリンはウサギたちを眺めながら笑みを浮かべる。

 

「メェェェェェ〜!!!!」

 

「ヤギって随分大きな鳴き声なのね・・・・・・」

 

「びっくりしたペエ・・・・・・」

 

ちゆとペギタンはヤギの大きな鳴き声に驚いていた。

 

「モコモコだよ〜♪ モッコモコ〜♪」

 

「やっべぇ〜な。可愛すぎるだろ〜♪」

 

ひなたは小さなモルモットたちを撫でながら恍惚とした表情を浮かべていた。

 

ピヨピヨピヨピヨ♪

 

「なんて愛くるしいのでしょう♪ もちろんラテには及びませんが」

 

「ワン♪」

 

アスミは小屋の中のひよこを手のひらに乗せながら眺めている。

 

「こんな大きな動物園にも、ふれあいコーナーなんてあるのね〜」

 

「ここ最高〜♪」

 

のどかたちはとにかく動物とのふれあいを楽しんでいた。

 

「っ・・・・・・」

 

そんな中、のどかは犬とふれあっていたかすみの楽しそうだった表情を思い出す。

 

「・・・・・・かすみちゃんと一緒に来れたらよかったなぁ」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

のどかがボソリと呟いた言葉に、ちゆとひなたも反応して振り向いた。

 

「結局、4人とも全部行くところ楽しんでんじゃん・・・・・・」

 

「だろう? こうたの言う通り、あの子たちは雰囲気がバラバラに見えて、でもなぜだかとても仲が良くてね」

 

「・・・・・・変なの」

 

こうたと丸山先生はゾウガメを愛でる中、先生の言葉にこうたは暗い表情をしながらそう呟いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふれあいコーナーを離れたのどかたちは、こうたの案内で別の場所へと来ていた。

 

「こいつはケープハイラックス、ウサギでもネズミでもない、ちょっと珍しい動物なんだ」

 

「全然動かないね〜。お昼寝かな〜?」

 

「置物みたい・・・・・・」

 

仲間と密集したまま動かないケープハイラックスを、のどかとちゆは不思議そうに眺める。

 

「めっちゃキュート♪」

 

「本当にとっても可愛いです♪」

 

ひなたは携帯で写真を撮りながらそう言い、アスミも笑みを浮かべながらそう答えた。

 

「えへへ♪ あいつら、餌のときは動くんだけどな」

 

こうたが嬉々とした表情で説明していると・・・・・・。

 

「こうた・・・・・・」

 

「??」

 

自分の名前を呼ぶ声に振り向くと、そこにはこうたと同じくらいの少年と父親らしき男性の姿があった。

 

「やあ、こんにちは」

 

「・・・・・・・・・」

 

男性は挨拶をするが、少年の方は顔を顰めたままだった。

 

「きっと、あれが喧嘩したお友達ね」

 

「仲直りのチャンスじゃん」

 

ちゆはこうたの喧嘩した少年であると察し、ひなたはこの状況を楽観的に見ていた。

 

「どうも、丸山さん」

 

「どうもどうも、いつもこうたが仲良くしてもらってーーーー」

 

こうたと少年の父親は気さくに話していたが、こうたと少年は睨み合っていた。

 

「別に仲良くしてねぇし!!」

 

「おい、こうた!」

 

「そうですよ! 僕はもう友達やめたんです!」

 

「こら、修一!」

 

こうたと少年ーーーーしゅういちは言い合いになり、お互いの父親が咎めるが、二人は目を逸らし合ったままだ。

 

「だって!! こうたが絶対トラとか言って!!」

 

「「トラ?」」

 

「お前こそ!! ライオンライオンって!!」

 

「「ライオン?」」

 

こうたとしゅういちがお互いに何やら主張し始めると、首をかしげるのどかたち。

 

「絶対ライオンの方が強い!!」

 

「トラの方が強いに決まってる!!」

 

「ライオンの牙はすごいんだぞ!!」

 

「トラの爪の方がすごい!!」

 

「ライオンは頭がいい!!」

 

「トラは力が強い!!」

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

こうたとしゅういちの言い争いに困惑するのどかたち。

 

「やれやれ、ですね・・・・・・」

 

「はい・・・・・・」

 

丸山先生としゅういちの父親もお互いの主張のやり合いを見て、困ったように頭を掻いている。

 

「あっ・・・・・・!」

 

二人の光景を見ていたひなたにある記憶が蘇った。

 

『こっちのほうが可愛いよ〜』

 

『いいや、こっちのほうが可愛いの・・・!』

 

『子犬のこういう尻尾を振る姿がいいんだって!!』

 

『子猫のゴロゴロしている姿の方がキュートなの!!』

 

『子犬だってば!!』

 

『子猫なの!!』

 

昔、らむと子犬と子猫のことで言い争いをしたこともあった。

 

(そういえば、らむっちとあんな喧嘩したことあったっけ・・・今思うと恥ずかしいな・・・)

 

ひなたは頬を指でぽりぽりとかきながら、心の中でそう思った。

 

「「〜〜〜〜っ・・・!!!!」」

 

お互いに一歩も譲らず、睨み合う二人の少年。

 

「・・・はぁ、やめたやめた!! あぁ、めんどくせぇ!!」

 

「僕だって!!」

 

「さあ! 次行こうぜ!! 次!!」

 

こうたとしゅういちは言い争いを止めるとすれ違うように離れようとする。

 

「・・・・・・・・・」

 

しかし、こうたは父親と一緒に歩き去っていくしゅういちの後ろ姿を振り向いて気にしていた。それもすぐにやめて暗い表情で次の場所へと向かおうとする。

 

「っ!!」

 

「そろそろご飯にしない? 私、お腹すいちゃった」

 

「う、うん・・・・・・」

 

そんなこうたの肩にのどかは手を置くとお昼を食べようと提案した。そんな中でも、こうたはしゅういちのことが気になっていたのであった。

 

そして、のどかたちはそこから近くにある食堂へとやってきた。

 

「「「「「いただきまーす!!」」」」」

 

それぞれの料理が運ばれてきたところで全員は挨拶をして、食べ始める。

 

のどかが注文したのはハンバーグランチ。ハンバーグをナイフとフォークを使って切り分け、口に運ぶ。

 

「ふわぁ〜♪ 美味しい〜♪」

 

のどかはハンバーグの美味しさに目を輝かせるほどであった。

 

「ん〜♪ 幸せ〜♪」

 

ちゆが選んだのはエビやイカなどが乗っているピザだ。その味に舌鼓をしている。

 

「めっちゃ卵ふわふわぁ〜♪」

 

ひなたはオムレツを選び、ふわふわ卵の味に目をキラキラとさせていた。

 

「みなさん、美味しそうですね」

 

アスミはそんなのどかたちの美味しそうに食べている様子を見ているよそで、顔が隠れるほどの大きなハンバーガーにかぶりついた。

 

「「「大きい〜!!!」」」

 

のどかたちはそのハンバーガーの大きさに驚いた。

 

そのテーブルの下の足元ではヒーリングアニマルたちがのどかたちから分けてもらったものを食べていた。

 

「おぉ〜、飲んでる飲んでる〜」

 

「ワン♪」

 

丸山先生はラテに哺乳瓶でミルクを与えていて、ラテは喜んでいた。

 

「って、やっぱりお姉さんたちはメニューもバラバラだし・・・」

 

「言われてみれば・・・・・・」

 

「バラバラね・・・・・・」

 

こうたに指摘されると、のどかたちは改めて自身の選んだ料理を見ながら言った。

 

「ねっ、ねっ、のどかっちの一口ちょ〜だい!!」

 

「うん♪ 私、ちゆちゃんのピザ食べてみたい♪」

 

「ええ、どうぞ♪」

 

「私のポテトもたくさんあるので、召し上がってください♪」

 

ひなたの言葉をきっかけに、のどかたちはお互いの食べ物をシェアし始めた。

 

「・・・・・・・・・」

 

こうたはその様子が気になるようで、のどかたちを見つめていた。

 

「美味しい〜♪」

 

「ンフフ♪」

 

「バラバラだといいね♪」

 

「そうね♪ いろんな料理が楽しめるもの♪」

 

のどかたちはお互いの分け合った料理を美味しそうに食べ始めた。

 

「あっ・・・・・・」

 

そんな中、のどかの頭の中にある記憶が蘇る。

 

『しんらちゃん、ニンジン嫌だ・・・食べてぇ・・・』

 

『そのぐらい自分で食べなさいよ。病気がよくならないわよ?』

 

『だって、甘くて嫌なんだもん・・・・・・』

 

『もぉ・・・しょうがないわね・・・あっ・・・・・・』

 

『どうしたの?』

 

『ナスなんてどこがいいのよ。じゃあ、のんちゃんこれ食べて』

 

『ナス美味しいのに・・・・・・』

 

『私は粘土を食べてる気分だけどね・・・!』

 

病院時代、病院で出された食事を嫌いなものではあるが、シェアしたことを思い出す。

 

(しんらちゃんと自分の嫌いなものを分け合って食べたこともあったな〜・・・・・・)

 

のどかは小さい頃の思い出を懐かしく思う。

 

「バラバラ、だと・・・・・・?」

 

「キャラが違うからこそ、楽しいってこともある。興味のなかった動物を見たり、いつもなら注文しない料理を美味しいって感じたり。相手がいるから自分の世界が広がる、友達はいいもんだ」

 

こうたがのどかたちを見つめていると、丸山先生は友達の良さを説く。

 

「・・・・・・俺は別に」

 

素直になれないこうたはその気持ちを誤魔化すかのようにカレーを食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

一方その頃、動物園から遠く離れたビルの上では、イタイノンがドクルンから受け取ったテラパーツを見つめていた。

 

「あいつ・・・・・・」

 

ドクルンは恐らく、自分に進化して欲しいからこのテラパーツを与えたのだろうと思う。あの姿になっているということは、自身にパーツを使って進化したということだ。

 

『まさか・・・自分にメガパーツを使ったの・・・!?』

 

『それは少し違いますね。正確に言うのであれば、テラパーツです』

 

『テラパーツ・・・??』

 

イタイノンはドクルンがパーツを使ったことに驚いていたが、何よりも唖然としたのが自分からはそんなに無尽蔵に生み出せるわけがないテラパーツを使ったということだ。

 

『一体、どうやってテラパーツを・・・!?』

 

『簡単ですよ。カユイザを抹殺したんです』

 

『!! あいつがやられたのはそういうことだったの・・・』

 

『当然の報いですよ。私のちゆを傷つけるようなことをして・・・傷つけていいのは私だけなんですから』

 

ドクルンはカユイザを抹殺して、彼女からテラパーツを手に入れたという。

 

『クルシーナたちにも後で渡しますが、まずはあなたに。さあ、それを使って進化して、新たな力を手に入れてください。もう悠長なことを言っている事態ではないのですよ?』

 

ドクルンは自分に進化するように促した後、アジトで実験があると言って帰っていった。

 

「・・・・・・・・・」

 

イタイノンは手に持っているテラパーツをじっと見つめる。

 

「進化・・・・・・」

 

悠長なことを言っている場合ではない・・・・・・それはどういうことなのか? それが進化とどう関係があるのか??

 

イタイノンがそう考えていると・・・・・・。

 

「・・・・・・私だって、キングビョーゲン様に褒められたいのに・・・!!」

 

「っ??」

 

どこからかシンドイーネの声が聞こえてくる。辺りを見渡すとビルの縁の上に腰をおろしているのが見えた。

 

「どうしたら、もっとキングビョーゲン様のお役に立てるのかしら・・・・・・?」

 

シンドイーネは少し俯いて考え事をしているようだった。

 

「役に立ちたいんだったら、今までにない力を見せてやればいいの」

 

「っ!!」

 

イタイノンはそんなシンドイーネに声をかける。

 

「イタイノン!! あんた、何でここに!?」

 

「仕事に決まってるの」

 

「・・・・・・アンタも自主的にやることがあるのね」

 

「ビョーゲンズなんだから当たり前なの」

 

シンドイーネとイタイノンは顔をあわせるなり、嫌味の応酬を繰り返す。

 

「アンタは貢献しないわけ?? キングビョーゲン様に」

 

「・・・・・・別に。私は一人になれればそれでいいの。人間も生き物も誰もいない場所を作れればそれでいいの」

 

「あっそ・・・いっつもそうよね、アンタって。向上心もないし、誰かに尽くそうっていう気もない・・・・・・そういうのなんかイライラしてくるのよね・・・!」

 

このシンドイーネの言葉に、イタイノンも表情を顰める。

 

「そう言うお前はどうしてそこまでしてパパに褒められたいの? どうせパパは自分のことしか考えてないし、それは人間や医者どもと一緒なの。支えるしかない駒のくせにどうしてそこまで・・・?」

 

「決まってんでしょ。私は、キングビョーゲン様を心から愛してるの。初めて会った時だって、その美しさに惚れたんだから。だから、私は振り向いてもらうためならなんだってするわよ・・・!!」

 

シンドイーネの言う自分の父親を愛するという行為に、イマイチ理解できないイタイノン。

 

そんな頃、動物園の食堂の中では・・・・・・。

 

「はむ、はむ、はむ・・・!!」

 

「ふん・・・生きてるって感じばかりで不愉快ね、ここの動物園」

 

かすみがスタミナ丼を口の中にかっ込む中、クルシーナは窓を覗きながら不快そうに見つめる。

 

「そういう活気のいい場所なら、いいメガビョーゲンが生まれるんじゃないか?」

 

「・・・そうね。アンタにしては、まともなことを言うじゃない?」

 

「思ったことを言っただけだ。はむ、はむ、はむ・・・」

 

かすみは口に食べ物を入れながら話すと、クルシーナは珍しく彼女を褒める。

 

「・・・で、アンタはいつまでそれ食ってるのよ? さっさと行くわよ」

 

「もぐもぐ・・・すまない。もうすぐ食べ終わるから」

 

「はぁ・・・・・・・・・」

 

一刻も早くこの場所を蝕みたいのに、かすみが悠長にご飯を食べている姿を見てため息をつく。

 

「もぐもぐ・・・ふぅ、ごちそうさま。待たせたな」

 

「遅いのよ・・・! 行くわよ」

 

「ああ・・・・・・」

 

クルシーナはイライラしながらそう言うと、かすみと一緒に食堂を出る。

 

「アンタがお腹空いたって言うから食わしてるんだから、アタシに合わせて食べなさいよ、全く!!」

 

「だから、謝っているじゃないか・・・!」

 

クルシーナとかすみは言い合いながら、素体となるものを探している。すると・・・・・・。

 

「っ・・・・・・!!」

 

かすみが突然、その場で足を止める。そして、自身の胸のあたりに手を添え始める。

 

「?? どうしたのよ?」

 

かすみが足を止めたことに気づいたクルシーナが問いかけるも、かすみはその場に静止したまま何も答えない。そして・・・・・・。

 

「・・・すまない、クルシーナ。先に行っててくれ」

 

「はぁ? 何言ってんのよ??」

 

「いいから行ってくれ!!」

 

「あっ! ちょっと!!」

 

訳がわからない様子のクルシーナだが、かすみは強引に押し通すとそのまま走り去ってしまう。

 

「ったく何なのよ、あいつ・・・」

 

クルシーナは不機嫌そうにかすみの後ろ姿を見つめると、素体を探そうときょろきょろと辺りを見渡す。

 

すると、その近くにパンダの檻があるのを見つける。

 

「・・・・・・・・・」

 

クルシーナは黙ったままパンダの檻へと近づいていく。その中ではパンダが食事中のようで、中に生えている笹を自分で取って食べていた。

 

そんなパンダの食べている笹をクルシーナは目につける。

 

「動物なのに生き生きしちゃって、生きてるって感じね。まぁ、あれでいいか」

 

クルシーナはそう言うと、パンダの檻の塀へと飛び上がる。そして、手のひらに息を吹きかけると黒い塊を出現させる。

 

「進化しろ、ナノビョーゲン」

 

「ナーノー」

 

ナノビョーゲンが鳴き声をあげると、パンダの檻の中の笹へと取り憑く。笹が病気へと蝕まれていく。

 

「・・・!?・・・!!」

 

笹の中に宿るエレメントさんが病気に蝕まれていく。

 

そのエレメントさんを主体として、巨大な怪物がその姿をかたどっていく。凶悪そうな目つき、不健康そうな姿、そしてそれを模倣する様々な自然のものが姿として現れていき・・・。

 

「メガビョーゲン・・・・・・!!」

 

細い竹のようなボディに、鋭い刃のような笹の葉を持った複数の腕、枝のような4本足を持ったメガビョーゲンが誕生した。

 

そして、ビルの上のイタイノンとシンドイーネは・・・・・・。

 

「っ・・・あれは、ダルイゼンとクルシーナ!?」

 

「あいつら・・・始めたみたいなの」

 

動物園の二ヶ所でメガビョーゲンが誕生したのを見ていた。

 

「またキングビョーゲン様に褒められようと思って・・・!!」

 

「多分、違うと思うの・・・・・・」

 

シンドイーネは二人が株を上げようと勘違いしているようだが、ビョーゲンキングダムで話を聞いていたイタイノンはわかっていた。あの二人はメガパーツを手に入れるためにやっていると。

 

「とりあえず、近くまで行ってみるの」

 

「あっ・・・ちょっと!!」

 

イタイノンは二人の近くまで行ってみようとビルから飛んでいく。

 

「あぁ〜ん、もう!!!!」

 

シンドイーネもイライラしながら、イタイノンを追うように走っていくのであった。

 

一方、そんなことが起きている頃、クルシーナと別れたかすみは・・・・・・。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

林の中で息を整えており、同時に自身の胸に手を当てていた。

 

「っ・・・うっ・・・!!」

 

かすみは一瞬目を見開くと、痛みに顔を顰め始める。

 

「まだだ・・・まだ目覚めるな・・・・・・!」

 

何かを我慢するかのようにそう呟く。目覚めるな・・・まだ早い・・・まだ早いんだと・・・・・・。

 

「うっ・・・ぁ・・・・・・」

 

しかし、かすみは再び襲ってきた痛みに顔を顰め、それも先ほどより強くなった。すると、かすみは近くにある一本の木に近づくとそれに手を触れる。

 

「すまない・・・少しもらうぞ・・・・・・」

 

断りを入れながら、その木から元気を吸い取っていくと彼女の体が赤い光に包まれ、たちまちかすみから痛みが引いていく。

 

「よし・・・クルシーナのところに戻らないとな・・・・・・」

 

落ち着いたかすみは一本の木から離れ、歩いて元来た道を戻って行こうとする。

 

しかし、クルシーナの元へ歩いて向かおうとする彼女の瞳は、緑色の碧眼から赤い色、赤い色から緑色の碧眼と点滅を繰り返しているのであった。

 

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