ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
原作第30話はここまでですが、まだまだ戦いは続きます。
そして、遂にかすみが・・・さらにイタイノンが・・・・・・。


第110話「覚醒」

 

ビョーゲンズが動き出していることを知る由もないのどかたちは・・・・・・。

 

「ふふっ♪ お腹いっぱ~い♪」

 

「次はどこ行こっか~? ねっ、オススメないの~?」

 

のどかたちが次のエリアに向かおうとしていた、その時だった・・・・・・。

 

「クチュン!! クチュン!!」

 

ラテが2回くしゃみを起こし、体調を崩し始めた。

 

「これは・・・・・・?」

 

ラテのこの反応は間違いない・・・ビョーゲンズが現れたという証拠だ。のどかたちはお互いに顔を見合わせて頷く。

 

「先生すみません!! 今日はここで失礼します!!」

 

ちゆは丸山先生にそう伝えると、のどかたちは彼らから離れて駆け出していく。

 

「・・・・・・え?」

 

「こうたくん、今日はありがとう!! 先生さようなら!!」

 

のどかがごまかすように挨拶をすると、足早に4人は駆け出していく。

 

「・・・急にどうしたんだろう?」

 

こうた親子はその様子を見て、呆気にとられていた様子だった。

 

一方、のどかたちは人目のつかないところでヒーリングルームバッグから聴診器を取り出し、ぐったりするラテを診察して心の声を聞く。

 

(あっちで葉っぱさんが泣いてるラテ・・・・・・あっちの方で尖った葉っぱさんも泣いてるラテ・・・・・・)

 

「やっぱり!!」

 

「すぐ行くラビ!!」

 

やはりビョーゲンズの仕業であることを確認したのどかたちは、ラテの心の声をヒントにビョーゲンズの元へと駆け出していく。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「怪物だぁ〜!!!!」

 

その頃、鋭い葉に包まれたメガビョーゲンが暴れていて、多くの人々が逃げ回っていた。

 

「まずい!! こうた、帰るぞ!!」

 

怪物が暴れていることに気づいた丸山先生とこうたもその場から離れていく。

 

「メェ〜ガ、メガメガ、メガビョーゲン!!!」

 

「ふっ・・・・・・」

 

メガビョーゲンの近くには、動物の形をした植物の上にダルイゼンが座っていた。

 

「あら、ダルイゼン」

 

「・・・クルシーナか」

 

そこへクルシーナが自分のメガビョーゲンを引き連れて、こちらへとやってきた。

 

「そっちは順調?」

 

「まあね」

 

クルシーナは同じようにダルイゼンの隣に座り込み、メガビョーゲンの様子を眺め始めた。

 

「メガビョー、ゲン!!」

 

クルシーナの笹型のメガビョーゲンは口から赤い光線を吐き出しながら、辺りを病気に蝕んでいく。

 

「? カスミーナがいないじゃん」

 

「ああ。なんか知らないけど、アタシから離れてっちゃったのよね」

 

(もしかして・・・・・・もしかするのかしら・・・・・・?)

 

ダルイゼンがいつも引き連れているかすみがいないことを問いかける。クルシーナは不機嫌そうな様子でそう答えるも、心の中ではかすみに何かが起こっていることを考えていた。

 

そこへラテの示した方向から駆けつけてきたのどかたちが現れる。

 

「あら? 随分と早いわねぇ。呑気に遊んでたとか?」

 

「っ、ダルイゼン!! しんらちゃん!!」

 

クルシーナが不敵な笑みで声をかけると、のどかたちが振り向いてこちらを睨みつける。

 

「行きましょう!!」

 

ちゆの言葉を合図にのどかたちは頷き、変身アイテムを取り出す。

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア、オペレーション!!」」」」

 

「エレメントレベル、上昇ラビ!!」

「エレメントレベル、上昇ペエ!!」

「エレメントレベル、上昇ニャ!!」

「エレメントレベル、上昇ラテ!!」

 

「「「「キュアタッチ!!」」」」

 

ラビリン、ペギタン、ニャトランがステッキの中に入ると、のどか、ちゆ、ひなたはそれぞれ花のエレメントボトル、水のエレメントボトル、光のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

アスミは風のエレメントボトルをラテの首輪にはめ込む。すると、オレンジ色になっているラテの額のハートマークが神々しく光る。

 

のどかたち3人は、肉球にタッチすると、花、水、星をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、水色、黄色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ちゆは水色、ひなたは黄色へと変化する。

 

ラテとアスミは手を取り合うと、白い翼が舞い、ラテが舞ったかと思うとハートの中から白い白衣のようなものが飛び出す。

 

その白衣を身に纏い、ラテが降りてきたかと思うとハープが飛び出し、さらにアスミは紫色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

衣装にチェンジした後、ハープを手に取り、その音色を奏でる。

 

キュン!

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。

 

キュン!

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身。

 

キュン!

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

ひなたは光のプリキュア、キュアスパークルに変身した。

 

「「時を経て繋がる、二つの風!」」

 

「キュアアース!!」

 

「ワン!」

 

アスミは風のプリキュア、キュアアースへと変身した。

 

「「「「地球をお手当て!!」」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!!」」」」

 

4人はプリキュアへの変身を完了した。対するメガビョーゲンは二体だ。

 

「来たね、プリキュア・・・!」

 

「ふふっ♪ 遊んでやんな!! メガビョーゲン!!」

 

「メガメガメガ!!」

 

「メガビョーゲン!!」

 

ビョーゲンズの二人は不敵な笑みを浮かべると、メガビョーゲンに命令を下す。

 

その頃、動物園の入り口では人々が逃げていく中、丸山先生とこうたは・・・・・・。

 

「よし、真っ直ぐ行けば出口だ。お父さんは残っている人を助けてくる。お前は先に行って待ってろ」

 

「わかった・・・!!」

 

丸山先生はこうたに避難するように言い、自分は来た道を引き返して園内を駆けていく。

 

「お父さん、気をつけて!!」

 

こうたは円山先生の背中を見送り、避難をしようとする。

 

「??」

 

「っ・・・!」

 

そんな時、自分の目の前にしゅういちが転んでいるのを見つけた。

 

「しゅういち!!」

 

「こうた・・・・・・」

 

「しゅういち、一緒に行くぞ!!」

 

「いや・・・僕、足遅いから・・・・・・お前は先に・・・・・・」

 

こうたが駆け寄ってそう言うも、しゅういちは先ほどのこともあって気が引けている様子だった。

 

「いいから!! 行くぞ!!」

 

「う・・・うん・・・・・・」

 

「立てるか・・・・・・?」

 

しかし、こうたは週一の持ち物を拾うとしゅういちに肩を貸して一緒に立ち上がり、出口へと駆け出す。

 

「あのさぁ・・・俺たちってさ、全然キャラ違うじゃん。お前はすげぇ勉強できるし、俺は勉強イマイチだけど、スポーツ得意だし・・・」

 

「まあな・・・・・・」

 

「でもさ・・・キャラが違うと、いいってのもあるのかも・・・今日見たお姉さんたちはさ、キャラがバラバラだけど、すげぇ楽しそうで・・・・・・だから、そういうのもありかなぁって」

 

こうたは自分と性格や趣向の違うことが面倒で嫌だと思っていた。しかし、のどかたちが性格も趣向もバラバラなのに仲良く、動物園を楽しんでいる様子を見て、そういうのもいいと思えるようになったのだ。

 

「・・・そっか」

 

こうたの話を聞いたしゅういちは笑みを浮かべた。

 

「あっ、でもライオンよりトラの方が絶対強いけどな!」

 

「いいや、ライオンの方が絶対強い!!」

 

「「ふふふ・・・あははははは!!!!」」

 

トラとライオンで再び張り合うこうたとしゅういち。しかし、先ほどの険悪さはなく、むしろ楽しそうに笑っていたのだった。

 

「・・・・・・・・・」

 

そして、そんな二人を通り過ぎて、逆方向へとフラフラと歩くかすみ。その口元には二人とは異なり、笑みはなかった・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「キュアスキャン!!」」」」

 

グレースとフォンテーヌはステッキをそれぞれのメガビョーゲンに向ける。ラビリン、ペギタンの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを探す。

 

「葉っぱの根元のところに、エレメントさんがいるペエ!!」

 

ダルイゼンが生み出したメガビョーゲンの中にいる葉っぱのエレメントさんを見つけるペギタン。

 

「こっちも体のど真ん中にエレメントさんを見つけたラビ!!」

 

同じくラビリンも、クルシーナが生み出したメガビョーゲンの中に葉っぱのエレメントさんを発見した。

 

「オーケー!!」

 

「わかりました!!」

 

それを聞いたスパークルとアースはメガビョーゲンと駆け出す。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

スパークルは鋭い葉に包まれたメガビョーゲンへと駆け出す。

 

「メェメェメェメガァ!!」

 

「あぁぁっ!!」

 

メガビョーゲンは葉っぱを伸ばし、鞭のようにしならせる攻撃にスパークルは吹き飛ばされる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「はぁっ!!」

 

「メガッ!?」

 

フォンテーヌとグレースは前後から駆け出していき、まずフォンテーヌがパンチを繰り出すとメガビョーゲンは避け、その背後をすかさずグレースが蹴りを浴びせて怯ませる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「メガァ!?」

 

そこへスパークルが飛びかかって、踵を落としてダメージを与える。

 

「メガメガァ!!」

 

一方、笹型のメガビョーゲンは自分の両腕部分の笹を振るって、無数のカッター状のエネルギーとして飛ばす。

 

「ふっ・・・はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「メガァ!?」

 

「はぁっ!!」

 

アースはそれを体を翻しながら交わして、メガビョーゲンの胴体に膝蹴りを食らわせてよろつかせ、さらに回し蹴りを放って怯ませる。

 

「はぁっ!!」

 

「ふっ!!」

 

「やぁっ!!」

 

「メガガガッ・・・ガッ・・・!?」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルはメガビョーゲンに攻撃を繰り出していき、着実にダメージを与えていく。

 

「ふっ!!!」

 

「メガァ・・・!?」

 

アースも攻撃を繰り出して、メガビョーゲンを着実に追い詰める。

 

「やれやれ・・・あれじゃ、メガビョーゲンが育たない・・・」

 

「はぁ・・・全くしょうがないわね・・・・・・」

 

メガビョーゲンが追い詰められているその様子を見ていたダルイゼンとクルシーナはそう言うと、その場から姿を消す。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! っ!?」

 

「ふっ・・・・・・!」

 

アースはメガビョーゲンさらに追撃をしようとするが、その目の前にダルイゼンとクルシーナが現れる。バク転をして後ろへと下がるアースだが、クルシーナは右手から禍々しいオーラを溜め込み、それをピンク色のビームにして放った。

 

「っ!! ふっ!!」

 

アースはそれを横に転がるようにして、なんとかかわす。

 

「相手になるよ・・・!!」

 

「遊びましょう・・・プリキュア」

 

ダルイゼンとクルシーナはそう言うと、ダルイゼンは再びその場から姿を消し、クルシーナはアースへと飛びかかる。

 

「「きゃあぁぁぁっ!!!!」」

 

フォンテーヌとスパークルの間に現れると、両腕を広げ衝撃波を放って吹き飛ばす。

 

「フォンテーヌ!! スパークル!!」

 

グレースが叫ぶと、ダルイゼンはそれに反応するようにこっちをみる。

 

バサッ!!

 

「っ!! うっ!!」

 

飛び上がったクルシーナは背中からコウモリのような翼を生やすと、滑空しながらアースにパンチを繰り出す。アースは両腕を交差して防御するが、勢いが強いのか腕を弾き飛ばされる。

 

「かぁっ・・・・・・」

 

「うっ・・・くっ・・・あぁぁ!!」

 

防御を弾いたその隙をついてクルシーナは口から無数のコウモリの妖精のようなものを吐き出し、アースは体当たりに耐えようとするも、吹き飛ばされて転がる。

 

「アース!!」

 

グレースは再び叫ぶと、その声に反応したクルシーナがこちらを見て不敵に笑い、ダルイゼンとクルシーナは再びその場から姿を消す。

 

グレースはジャンプして距離を取って身構える。

 

「・・・・・・・・・っ」

 

どこからか攻撃がやってくるわからない状況。グレースは隙を見せないようにゆっくりと身構える。

 

「っ!! はぁぁぁっ!!!」

 

後ろに気配を感じたグレースは自分の後ろに肘打ちを放つ。すると、クルシーナが現れてそれを拳で受け止めた。

 

「ふふふっ・・・のんちゃん、元気にしてた?」

 

「しんらちゃん・・・・・・」

 

「少しは反応がよくなったね♪ でも、まだ甘いよ?」

 

クルシーナは不敵に笑いながらそう言い、グレースは険しい表情をする。プリキュアとビョーゲンズによる肘と拳の押し合い・・・・・・。

 

「ふっ・・・・・・」

 

「っ!! きゃあぁ!!」

 

そこへダルイゼンがグレースの目の前に現れ、紫色の光弾を放った。クルシーナは飛び上がった瞬間に、グレースに直撃して吹き飛ばされる。

 

その時、やられていた二体のメガビョーゲンが、それぞれダルイゼンとクルシーナへ轟音を立てながらと近づく。

 

「メガァ、ビョーゲン!!」

 

「メガビョーゲン・・・・・・」

 

「オーケー。いい感じに育ったね」

 

「こっちもいい感じね♪」

 

だいぶ成長した様子のメガビョーゲンに、二人はそれぞれそう言うと、ダルイゼンは腕から斬撃を、クルシーナはビームサーベルのようなものを出して三日月型の斬撃を飛ばして、メガビョーゲンの葉っぱの先を切り落とす。

 

それは地面に落ちると緑色のメガパーツへと変化した。

 

「これでよしと・・・・・・」

 

「まあ、こんなもんでしょ」

 

二人はメガパーツを拾い上げながらそう言った。

 

そんな戦いの様子を影から見ているものが二人いた。

 

「ダルイゼン、クルシーナ・・・作戦は順調みたいなの」

 

イタイノンは二人の様子を見ながらそう呟く。

 

「でも、カスミーナがいないの・・・あいつ、どこに・・・・・・?」

 

いつもクルシーナに付き添っているかすみがいないことに気づき、きょろきょろと見渡す。

 

そんな仲間のことよりも、人一倍闘志を燃やしているもう一人がいた。

 

「ダルイゼンとクルシーナなんかに・・・負けてたまるもんですか!!」

 

その様子を悔しそうに見ているのはシンドイーネだ。彼女は二人が愛しのキングビョーゲンに褒められたいと勘違いしており、全く相手にされていない彼女は嫉妬心を燃やしていたのだ。

 

「何かあるはずよ・・・あいつらを出し抜けるようなメガパーツの使い方が・・・!!!」

 

シンドイーネはその焦りから、二人を出し抜くための考えを巡らせる。

 

「シンドイーネ・・・・・・キヒ♪」

 

その様子を見ていたイタイノンは途端に口元に邪悪な笑みを浮かばせた。

 

「キヒヒヒヒ・・・お前、そんなにあの二人を出し抜きたいの?」

 

「当たり前よ!! キングビョーゲン様は私にだけ振り向いて欲しいの!! 誰にも渡してやるつもりはないわよ!!!!」

 

イタイノンがそう問いかけると、シンドイーネは思いの丈を叫ぶ。

 

「お前は分かっているはずなの。あいつらを出し抜ける方法を・・・・・・」

 

「?? どう言う意味よ・・・?」

 

イタイノンのその意味深な言葉に、シンドイーネは問いかける。それをよそにイタイノンは先ほどのテラパーツを懐から取り出す。

 

「っ、アンタのそのメガパーツ・・・!!」

 

イタイノンが出したテラパーツを見て、自分が持っているメガパーツと色が違うことに驚く。

 

「私だったら、こうする、の!!!」

 

イタイノンはそう言いながら手に持っているテラパーツを自身の手に躊躇なく押し当てる。

 

ズズズズズズ・・・・・・。

 

イタイノンの中にテラパーツが飲み込まれていく。そして・・・・・・。

 

ドックン!!!!!!

 

「っ!? ふっ、うぅぅぅぅぅぅ・・・・・・」

 

イタイノンの体に激痛が走るも、彼女は息を吐きながらその痛みに耐える。そして、彼女の体の中から禍々しいオーラが溢れ出す。

 

「うぅぅぅぅぅぅ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

イタイノンは空に向かって咆哮を上げると、禍々しいオーラが大量に溢れ出し、イタイノンの体を包んでいく。

 

それを見ていたシンドイーネは自身の持っているメガパーツを見つめ、口元に笑みを浮かべる。

 

「・・・そうね。その手があったわね・・・!!! 何が起こるかわからないけど、私はキングビョーゲン様の一番になれるのなら・・・どうなったって構わない・・・!!!!」

 

シンドイーネは一人想いを叫んだ。キングビョーゲン様のためなら、キングビョーゲン様に褒められるためなら、振り向いてもらえるためなら、どんな姿になっても構わないと。

 

「私がなるのよ!!! キングビョーゲン様の一番に・・・!!!!!」

 

シンドイーネはそう叫んで、躊躇なく自身の体にメガパーツを押し当てた。

 

「っ!!!! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

その瞬間、シンドイーネの咆哮と共に体から禍々しいオーラが溢れ、そのまま彼女の体を包み込んでいったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、メガビョーゲンと戦っているプリキュアたちは・・・・・・。

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

フォンテーヌはメガビョーゲンによる葉っぱ攻撃を避けながら、キックを放つ。

 

「メガ?」

 

「えっ・・・きゃあぁぁぁっ!!」

 

しかし、当たったはずの攻撃は聞いておらず、逆にメガビョーゲンから攻撃を受けて吹き飛ばされた。

 

「っ・・・くっ・・・うぅっ!!」

 

「メガメガァ!!」

 

「あぁぁぁ!!!」

 

次にスパークルも葉っぱによる攻撃を避けていくも、素早く伸ばされた葉っぱに拘束され、そのまま地面に叩きつけられて吹き飛ばされる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「メガ、メガメガメガ・・・!!!」

 

グレースは低く飛びながら、笹型のメガビョーゲンへと迫る。メガビョーゲンも両腕の笹を振るって斬撃を次々と飛ばす。

 

「っ・・・うっ・・・くっ・・・きゃあぁぁぁぁ!!!」

 

グレースも避けながら迫っていくも、避けきれずに斬撃の一つに当たってしまう。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「メガァ!!」

 

入れ替わりにアースがメガビョーゲンへと飛び出し、キックを繰り出す。メガビョーゲンは体についている笹のような腕で自分の顔が見えなくなるくらいに覆ってキックを防ぐ。

 

「はぁ・・・はぁ・・・さっきよりもパワーアップしちゃってるし・・・・・・」

 

グレースたちは戦いが長引いてるせいで、息を切らして体力も消耗し始めていた。

 

「ここは、私が・・・・・・」

 

アースが状況を打開しようとまず厄介な鋭い葉で覆われているメガビョーゲンへと駆け出す。

 

「メェ〜ガ、メガメガァ!!!!」

 

メガビョーゲンは再び葉っぱを伸ばして攻撃を繰り出す。

 

「はぁっ!! はぁっ!!!!」

 

アースは飛んで避け、メガビョーゲンの葉っぱの上に乗るとそこへ飛んできた葉っぱも片なく交わしていく。

 

「音のエレメント!!」

 

再び飛び上がるとハープを取り出し、音のエレメントボトルをセットする。ハープを手で奏でて、紫色の音波を放つ。

 

「メェ!? ガ、ガガガ・・・!?」

 

音波を浴びたメガビョーゲンは動きを止めて苦しみ始める。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「メガァ!!??」

 

その隙をついてアースが勢いを乗せたドロップキックを繰り出して、メガビョーゲンを数メートル吹き飛ばす。

 

「メェ・・・ガァ・・・!!」

 

「いける!!」

 

「「うん!!」」

 

この攻撃に怯んだメガビョーゲンの様子を見て、グレースたち三人はミラクルヒーリングボトルを取り出し、ステッキにセットする。

 

「「「トリプルハートチャージ!!」」」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの順で肉球にタッチしていき、ステッキを上に掲げる。すると、花畑が広がっていき、背後には自然豊かな森が広がっていく。

 

「「「プリキュア! ヒーリング・オアシス!!」」」

 

3人は一斉にメガビョーゲンへとステッキを構え、ピンク・青・黄色の3色の光線が螺旋状になって放たれる。螺旋状の光線は混ざり合いながら一直線にメガビョーゲンに直撃する。

 

螺旋状になった光線はそれぞれの色の手へと変化して、3本の手が葉っぱのエレメントさんを優しく包み込んでいく。

 

3色に光るハート状にメガビョーゲンを貫きながら、光線はエレメントさんをメガビョーゲンから外へと出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンたちは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていった。

 

「「「「「「お大事に」」」」」」

 

葉っぱのエレメントさんが宿っていた植物へと戻っていくと、このメガビョーゲンによって蝕まれた場所は元に戻っていく。

 

「ふっ・・・じゃあ、俺はお先に」

 

「ええ・・・お疲れ様」

 

ダルイゼンは大量のメガパーツを持ちながらクルシーナにそう声をかけると、互いに挨拶を交わしてダルイゼンはその場から姿を消した。

 

「あともう一体だよ!!」

 

グレースの言葉に、みんなは頷くと身構えるが・・・・・・。

 

「っ!!?」

 

そこへ黒色の光線が放たれ、グレースたちはとっさに避ける。

 

「っ、かすみちゃん・・・!」

 

飛んできた方向を見てみると、そこには険しい表情を浮かべたかすみがこちらにステッキを向けながら歩いてきていた。

 

「・・・またビョーゲンズの邪魔をしたな? プリキュア」

 

「当たり前だよ!! 地球をビョーゲンズに蝕ませないためだもん!!」

 

かすみは低い声でそう言うと、グレースが反論する。

 

「遅いのよ、アンタ!!! どこ行ってた!!??」

 

「・・・すまないな。ちょっと野暮用だった」

 

「っ・・・!」

 

クルシーナはかすみに向かって怒鳴るも、かすみは淡々と謝罪をしてそう返した。そんなクルシーナはかすみの顔を見て、あることに気づいた。

 

(目が緑? 赤? あいつにやっぱり何か起こってる・・・もしかするのかしらね)

 

かすみの目をよく見ていると、瞳が緑から赤に点滅を繰り返している。もしかしたら、かすみの中に何かが起きつつあるのだろうか・・・・・・?

 

「これ以上邪魔をするのなら、容赦はしない!!!!」

 

かすみはステッキに暗いピンク色のボトルをセットして、ステッキから黒い刀身を伸ばすとプリキュアに向かって斬りかかってきた。

 

「っ!! 実りのエレメント!!」

 

グレースは実りのエレメントボトルをステッキにセットして、ピンク色の刀身を伸ばして前に出てかすみの攻撃を受け止める。

 

「っ・・・・・・!!」

 

「ここは私が・・・みんなは早くメガビョーゲンを・・・!!」

 

「わかったわ・・・!!!!」

 

グレースはフォンテーヌたちにメガビョーゲンの相手をするように言い、三人はメガビョーゲンの元へと飛んでいく。

 

ガキン!! ガキンガキン!!!!

 

「っ・・・!!」

 

「うっ・・・!!!!」

 

ガキンッ!!!!

 

グレースとかすみの剣がぶつかり合い、押し合いをしながらもかすみは剣を弾いて距離を取ると、ダークグリーン色のエレメントボトルをステッキにセットする。

 

すると、かすみの刀身がさらに伸びて紐のようにしなる。

 

スパンッ!!!

 

「っ・・・??」

 

「ふっ!!!!」

 

「っ!! ぐっ・・・うっ・・・!!!!」

 

かすみは刀身を鞭のようにしならせると、それをグレースに向かって数回に分けて振るう。グレースはそれを刀身で防ごうとするが、一撃一撃が重く、グレースはその度に体をよろつかせ、時には体に当たってダメージを受ける。

 

「はぁっ!!!」

 

「あっ!?」

 

かすみはさらに振るうと、伸ばされた刀身はグレースの持っていたステッキの先を絡め取り、引っ張られそうになる。

 

「っ・・・!!」

 

「うぅぅ・・・!!!」

 

かすみはステッキを引き寄せるように引っ張り、グレースは抵抗するも徐々に引き寄せられていく。二人は拮抗した状態が続いていたが・・・・・・。

 

「っ・・・!!!!」

 

「っ!? かすみちゃん・・・!?」

 

その時、かすみの体から黒いオーラが溢れ出し、グレースはその光景に驚く。

 

「ふっ!!!!」

 

「っ、きゃあぁ!!??」

 

その瞬間、急に力の上がったかすみは力を入れて引っ張り、グレースは空中へと投げ出されてしまう。

 

「っ、はぁっ!!!!」

 

「ぐっ・・・!? あぁぁぁぁ!!!!!!」

 

かすみは右足に黒いオーラを纏わせると、回し蹴りを繰り出す。グレースの腹部に蹴りが命中し、彼女は吹き飛ばされる。

 

「っ、はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「うっ・・・っ!!!」

 

そこへかすみがさらに追撃しようと飛び上がって飛び蹴りを繰り出し、グレースはよろけながらもとっさに避ける。

 

「っ・・・あっ・・・!?」

 

グレースは転がって立ち上がろうとするが、その直後に膝をついてしまう。

 

「あ、あれ・・・??」

 

「グレース!? どうしたラビ!?」

 

「な、なんか力が抜けて・・・?」

 

グレースは自身の体に違和感を覚える。かすみから受けたダメージとは違うと思うが、急に体がガクンとふらついたのだ。

 

「っ・・・はぁぁっ!!!!」

 

「うっ・・・あっ・・・あぁぁぁぁ!!!!」

 

そんなことなど知る由もないかすみは、グレースに容赦なく刀身を鞭のように振るい、防御する暇もなかった彼女は吹き飛ばされてしまう。

 

倒れ伏すグレースに、かすみがゆっくりと近づいていく。

 

「あいつ・・・・・・なんか様子がおかしいわね。急に強くなったし、それに急にのんちゃんが弱くなってる」

 

その様子を見たクルシーナは違和感を覚える。グレースとほぼ対等の力を持っているはずのかすみの力が急に上がり、逆にグレースから力が消失していっているのだ。

 

「もしかして、あいつの中のビョーゲンズが・・・?」

 

クルシーナはかすみの体の中にある変化が起きていることを感じざるを得ないのであった。

 

一方、メガビョーゲンと交戦するフォンテーヌたちは・・・・・・。

 

「メッガ、メメメメェ!!!!」

 

笹型のメガビョーゲンは両腕の笹を振るって、斬撃を次々と飛ばす。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

フォンテーヌは斬撃を掻い潜って、メガビョーゲンにキックを繰り出す。

 

「メガァ・・・・・・」

 

「っ、きゃあぁぁぁ!!!」

 

メガビョーゲンは無数の腕についている笹で自分の顔が隠れるほどに覆い、フォンテーヌの攻撃を緩和させると、逆に彼女を残っている笹を振るって吹き飛ばす。

 

「やぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「メガメメメメ!!!!」

 

「っ・・・くっ・・・あぁぁぁ!!!!」

 

続いてスパークルが向かっていくも、縦横無尽に襲い来る笹に避けきれず攻撃を受けてしまう。

 

「ふっ!!!」

 

「メェ〜ガァ!!!」

 

アースも駆け出していくと、メガビョーゲンは無数の笹をアースに目掛けて振り下ろす。アースはそれをジャンプでかわす。

 

「はぁっ!!!!」

 

「メガ!?」

 

アースは飛び蹴りを繰り出し、メガビョーゲンの胴体に直撃するも、怪物はまだ倒れる様子がない。

 

「はぁ・・・はぁ・・・結構キツイよ、これ・・・」

 

「はぁ・・・次で決めましょう・・・!!!!」

 

「私も、行きます・・・!!」

 

フォンテーヌとスパークルは連戦で体力も尽きかけていた。次の攻撃で決めることを宣告し、フォンテーヌは氷のエレメントボトルを取り出す。その間にアースは再びメガビョーゲンへ駆け出していく。

 

「メガメメェ!!!」

 

メガビョーゲンは自分の体についている笹の腕を一斉に投下していく。アースは片なくそれをジャンプで避ける。

 

「氷のエレメント!! はぁっ!!!!」

 

フォンテーヌはステッキに氷のエレメントボトルをセットし、その隙を狙って胴体に目掛けて氷を纏った青い光線を放つ。

 

「メ!? ガガガ・・・!?」

 

直撃を受けたメガビョーゲンはその場で氷漬けになった。

 

「今がチャンス!!」

 

それを見たスパークルはそう叫ぶとジャンプして飛び上がる。

 

「やぁぁぁぁっ!!」

 

「メェ!?」

 

「はぁっ!!」

 

「ガァ!?」

 

スパークルが蹴りを放って顔面に直撃し、さらにアースの蹴りが胴体に直撃する。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「メガガ!?」

 

そこへフォンテーヌが体を回転させて勢いをつけた蹴りをお見舞いし、メガビョーゲンは吹き飛ばされた。

 

「アース、今よ!!」

 

フォンテーヌの言葉を合図に、アースは祈りを捧げるように手を合わせる。

 

「アースウィンディハープ!!」

 

そう呼ばれたハープに風のエレメントボトルをセットする。

 

「エレメントチャージ!!」

 

アースはハープを手に取って、そう叫ぶとハープの弦を鳴らして音を奏でる。

 

「舞い上がれ! 癒しの風!!」

 

手を上に掲げると彼女の周りに紫色の風が集まり始め、ハープへとその力が集まっていく。

 

「プリキュア! ヒーリング・ハリケーン!!!」

 

アースはハープを上に掲げてから、それを振り下ろすとハープから無数の白い羽を纏った薄紫色の竜巻のようなエネルギーが放たれる。

 

そのエネルギーは一直線にメガビョーゲンへと向かい、直撃する。

 

竜巻のようなエネルギーはメガビョーゲンの中で二つの手へと変化し、葉っぱのエレメントさんを優しく包み込む。

 

メガビョーゲンをハート状に貫きながら、光線はエレメントさんを外に出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていく。

 

「お大事に」

 

葉っぱのエレメントさんが宿っていた笹の中へと戻っていくと、蝕まれた場所は元に戻っていく。

 

「・・・まあ、こんなもんか」

 

メガビョーゲンが浄化される様子をつまらなそうに見たクルシーナは、グレースとかすみの方に目を向ける。

 

「うぅぅ・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

かすみはグレースの体を踏みつけると、彼女にステッキを向ける。

 

「「「グレース!!」」」

 

「っ・・・!!」

 

そこへフォンテーヌたち三人の叫びが聞こえ、かすみは表情を顰める。

 

「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

フォンテーヌたち三人は同時に蹴りを繰り出すも、かすみはその場から飛び上がって距離を取る。

 

「グレース、大丈夫!?」

 

「う・・・うん、なんとか・・・・・・」

 

フォンテーヌはグレースの体を起こして心配するも、グレースはなんともないと答える。

 

「・・・メガビョーゲンがやられたか」

 

かすみは悟ったように言うと黒いステッキをしまい、踵を返す。

 

「待ってよ、かすみっち!! なんでこんなひどいことすんの!?」

 

そんな彼女の背後からスパークルの怒った声が聞こえてくる。かすみは足を止めると、冷たい表情で彼女たちに振り向く。

 

「私はビョーゲンズなんだから、その敵を阻むのは当然のことだろう?」

 

「でも、かすみさんは・・・!! 私たちと仲良くしたり、一緒にひなたのジュースを飲んだり、犬たちと遊んだりして、楽しい日々を過ごしていたではないですか!! ビョーゲンズの侵略からも一緒に戦ってくださったのに・・・どうして、こんなことを・・・・・・!?」

 

かすみが冷たい声で切り捨てると、アースが悲痛な声で訴える。

 

「・・・私がプリキュアと仲良くした? 一緒にジュースを飲んだ? 犬と遊んだ?」

 

かすみはアースから聞いた言葉を呟くと、口元に笑みを浮かばせる。

 

「ふ、ふふふ・・・ふふふふふ!!! あははははははははは!!!!!」

 

かすみにはその言葉が滑稽に見えた。自分たちが敵と仲良くした? 敵と一緒にジュースを飲んだ? 敵と一緒に犬と遊んだ? どれも聞いて滑稽でしょうがない・・・!!!!

 

「何で、笑ってるの・・・!?」

 

突然笑い出すかすみに、グレースたちは戸惑いを隠せなかった。

 

「あははは・・・ふぅ・・・すまないな。『前の私』のやっていたことがあまりにも面白くてなぁ・・・」

 

かすみは笑いを止めると笑みを浮かべながらそう言い、プリキュア三人に向き直る。

 

「・・・・・・一応聞くが、それは目覚める前の、偽りの私がやっていたことか?」

 

「偽りの、私・・・・・・?」

 

「何、言ってんの・・・・・・?」

 

かすみの言っていることが理解できず、思わず聞き返すスパークル。

 

「あなた・・・かすみじゃないわね・・・!! 一体、誰なの!?」

 

フォンテーヌは明らかに口調はかすみだが、かすみらしくない言動をする彼女に険しい表情をして問いかける。

 

「ん? 私か? 私はなぁ・・・・・・」

 

かすみが能面のような表情に笑みを浮かべる。それと同時に黒いリボンが赤く染まっていき、金髪の髪型が銀髪へと変化を遂げていく。

 

緑色だった瞳は赤色に染まり、赤い手袋やスカートは漆黒へと染まっていく。

 

そして彼女は邪悪な笑みを浮かべながら、その名前を呟いた・・・・・・。

 

「私は、真なるビョーゲンズの『カスミーナ』だ・・・・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、こうたとしゅういちは無事避難でき、入り口でしゅういちの父親と合流していた。

 

「転んだところ、まだ痛いか?」

 

「もう平気」

 

こうたは転んだしゅういちを心配していたが、しゅういちはなんともない様子だった。

 

「こうたくん、家まで送って行こうか?」

 

「いや。お父さん、後から来るし、大丈夫です」

 

しゅういちのお父さんは気を遣ってこうたを送ろうとしていたが、こうたは丸山先生を置いていくわけにもいかないので、断った。

 

「・・・じゃあ、先に行くな」

 

「じゃあな〜!! バイバ〜イ!! バイバ〜イ!!!!」

 

しゅういちは心配そうな表情をしつつも、父親と一緒に動物園を去っていき、こうたはそれに手を振って見送った。

 

「っていうか、まだかな・・・お父さん」

 

こうたは丸山先生の戻りが遅いことを心配しつつも、待つことにした。

 

そんな少年に迫る影が二つあった。その一つは入り口の壁付近に降り、去っていくしゅういちたちを見つめる。

 

「キヒヒヒヒ・・・・・・」

 

その影は笑みを浮かべると、その場から姿を消す。

 

そして、動物園から離れたしゅういちとその父親は・・・・・・。

 

「・・・・・・・・・」

 

「どうした?」

 

「こうた・・・大丈夫かな?」

 

「あの子にはお父さんもいるし、大丈夫だろ」

 

しゅういちは後ろ髪を引かれるかのように背後を振り向きこうたを心配していた。父親はそんな彼を安心させるように諭す。

 

キュイーン!!

 

「・・・こんにちは、なの」

 

「「っ!?」」

 

そんな親子の目の前に、イタイノンが現れる。しかし、その外見は以前より大きく変わっていた。

 

悪魔のツノは山羊のような長いものと羊のような反り返ったものに変わって4本になっており、頭のヘアバンドは網掛けのついた派手なものに変わり、顔の装飾に額に雷のようなマークがある。堕天使のような2対4枚の翼を生やし、ゴシックロリータの服は紫と白を基調としたものに変化しており、両腕やスカートのようなフリルの部分には無数のリボンがついている。足は網掛けのタイツを身につけ、紫色のヒールの靴を履いている。

 

「誰だい、キミは・・・・・・?」

 

「・・・・・・キヒヒ」

 

しゅういちの父親が警戒しながら問いかけるも、イタイノンはその質問には答えずに笑うだけでその場から姿を消すと、一瞬でしゅういちの父親の前に姿を現す。

 

「ぐあぁぁぁ!!」

 

父親はそのままなすすべなく、右手の雷撃でイタイノンに吹き飛ばされてしまった。

 

「お父さん!!」

 

気絶をしてしまったのか、動かなくなったしゅういちが心配して叫ぶも、その声に反応したイタイノンがそちらを振り向き、しゅういちへと近づいて行く。

 

「ひっ・・・あ、あぁ・・・・・・」

 

「進化した力がどんなものなのか、お前で試してやるの」

 

しゅういちは怯えた表情を見せながら後ずさるも、イタイノンはゆっくりとこちらに近づく。

 

「うわぁっ!!」

 

しゅういちは距離を取ろうとしたが、足の怪我で躓いて尻餅をついてしまう。

 

「キヒヒヒヒ、どうせ逃げられやしないの・・・!!」

 

「あぁ・・・ああ・・・・・・た、助けて・・・お父さん・・・こうた・・・・・・」

 

不敵な笑みを浮かべるイタイノンに、しゅういちは父親と動物園で別れた友人に助けを求める。しかし、父親は転がされて気絶しており、こうたとはすでに距離も離れており、声は届かなかった。

 

そんなことをよそに、イタイノンは両腕の袖を払うかのような動作をして黒い塊のようなもの出現させ、右手を突き出すように構える。

 

「進化するの、ナノビョーゲン」

 

「ナノナノ〜」

 

生み出された禍々しいオーラを纏ったナノビョーゲンは鳴き声を上げながら、しゅういちへ向かって飛んでいく。

 

そして・・・・・・・・・。

 

「う、うぁぁぁ!! うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「キヒヒヒヒ・・・・・・!!!!」

 

ナノビョーゲンはしゅういちに取り憑き、絶叫を上げた彼を蝕みながら取り込んで行くのであった・・・・・・。

 

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