ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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原作第31話がベースです。
遂に覚醒したかすみ、そしてあの怪物も登場です。

そんな中ですが、新キャラも登場します。


第111話「強敵」

 

プリキュアたちの前に再び現れたかすみ。しかし、以前とは違って不敵な笑みを浮かべながらこちらを見ている。外見も変わっていて、一層の不気味さを感じさせる。

 

そして、彼女は改めて名前を名乗った・・・・・・。

 

「カス、ミーナ・・・・・・?」

 

「そうだ。私は『カスミーナ』だ・・・!!」

 

なんだかよくわかっていないアースはボソリと呟くも、対するかすみは邪悪な笑みを浮かべている。

 

「そうか、アンタが『カスミーナ』ってわけね」

 

「そうです。クルシーナ様」

 

そこへクルシーナが近づいて声をかけ、かすみは彼女を様付けで呼びながら肯定する。

 

「どういう、こと・・・?」

 

「かすみちゃんじゃなくて、カスミーナ・・・?」

 

スパークルとグレースもイマイチ状況が掴めていない様子で、呆然と見ている。

 

「・・・あなた、かすみをどこにやったの!?」

 

フォンテーヌも頭が追いついていないが、目の前にいる人物がかすみじゃないことは確かで、なりすましているのだろうと思い込み、彼女に問いかけた。

 

「かすみ? 偽りの私の姿はそう呼ばれていたのか・・・」

 

「どういうことなの!?」

 

「簡単なことだ。プリキュアと仲良くしている『前の私』など、偽りの存在に過ぎない。私は目覚めたのだ。この体で・・・! 偽りの私が使っていた、この体でな!!」

 

フォンテーヌの問いかけに、かすみは大きく体を広げながら答えた。

 

「かすみっち・・・身も心も悪いヤツになっちゃったってこと・・・!?」

 

「そんな・・・・・・かすみちゃん!! 嘘だよね!?」

 

かすみの言っていることが信じられず、グレースが悲痛な声で訴える。

 

「言っただろ? 私は目覚めたと!! そして、これからは・・・クルシーナ様、ビョーゲンズの姫様・・・そして、キングビョーゲン様のために地球を病気で蝕み、我らのものにするのだ!!」

 

そんな言葉を意に介さず、かすみは能面のような表情に笑みを浮かべて答える。

 

「かすみ!! 冗談で言ってるなら許さないわよ!!」

 

「目覚めたってどういうことなんですか!? かすみは今、目の前で起きているではありませんか!!」

 

フォンテーヌとアースは険しい表情で問いかける。今の言葉はかすみが思っていることとは真逆のことだ。そんなことを友人であるかすみが思うはずがないと。

 

「まだ気づかないわけ? 今、お前らと話しているこいつが、本物のカスミーナなのよ」

 

「っ!?」

 

「おかしいと思ったのよねぇ。ビョーゲンズのくせにプリキュアの味方をするとか、お父様の意思に反することをしてるんだもの。アタシ、こいつと取引をした時に思ったのよ、こいつの中の本当のビョーゲンズは、まだ目覚めてないってね」

 

「「「っ!!??」」」

 

目の前にいるのが本当のかすみ・・・・・・?? クルシーナの言葉にフォンテーヌは驚きを隠せないが、みんなはかすみがクルシーナと取引していたことにはそれ以上の衝撃を受けていた。

 

「取引・・・? かすみが・・・!?」

 

「どうして・・・そんなことを・・・!?」

 

フォンテーヌとグレースは信じられない様子だった。かすみがビョーゲンズと取引をしていた? 一体、何のために・・・・・・??

 

すると、クルシーナはグレースを指差した。

 

「あいつはお前を守ろうとしてたんだよ。のんちゃん・・・お前をね」

 

「っ、かすみちゃんが・・・!?」

 

「そう。お前、ダルイゼンにメガパーツを埋め込まれたことがあったでしょ? その時だよ、かすみがアタシと取引をしたのは。のんちゃんを助ける代わりに、ビョーゲンズの仲間にしてくれと言ったのさ、アタシの前で土下座をしてね」

 

「そんな・・・・・・じゃあ、かすみは最初からのどかを助けるために・・・!?」

 

クルシーナの告白に、グレースとフォンテーヌは衝撃を受けた。かすみはのどかを守るために、ビョーゲンズに入ったのだと。

 

「ええ。でも、意味わかんないわよねぇ。のんちゃんを守るためにビョーゲンズに入って、結局はお前らを傷つけてるんだから変わんないのにねぇ」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべながらそう言った。

 

「あなたがかすみにそうやらせるように指示したんでしょ!? それをさもかすみがやったかのように言うのはやめて!!」

 

「事実でしょ。それに、アタシが命令しようが、あいつが意図してやろうが、やってることは変わんないじゃん」

 

フォンテーヌの非難するような言葉に、クルシーナは全く悪びれることなく答える。

 

「お喋りが過ぎたな。さてと、このままこの辺一帯を再び病気にーーーー」

 

かすみーーーーカスミーナはナノビョーゲンを取り憑かせる素体を探し始める。

 

「待ちな、カスミーナ」

 

「??」

 

「アンタには調整が必要だ、プリキュアに対抗するためのね。一回戻るよ、アジトに」

 

「・・・・・・かしこまりました」

 

しかしクルシーナがその活動を制止し、退却するように促す。それを聞いたカスミーナは思考すると素直に命令に従った。

 

「かすみちゃん、待って!!!!」

 

その場から立ち去ろうとする二人に、グレースが叫ぶ。

 

「・・・・・・またな、キュアグレース」

 

カスミーナは顔だけ振り向いて不敵な笑みを浮かべると、二人はその場から姿を消した。

 

「かすみー!!!!」

 

フォンテーヌは悔しさを滲ませながら叫び、地面に膝をついてステッキを持っていない拳を握りしめながら叩きつける。

 

「ああ・・・あぁ・・・・・・」

 

グレースは絶望の表情を浮かべながら、去っていったのを見届けるしかなかった。

 

「かすみさん・・・・・・」

 

「かすみっち、どうして・・・・・・??」

 

アースとスパークルはその様子を呆然と見つめ、力なく項垂れたのであった。

 

その後、植物へと戻っていった葉っぱのエレメントさんの体調を確認するプリキュアの4人。

 

「葉っぱのエレメントさん、体調はいかがですか?」

 

『ありがとう。皆さんのお陰ですっかり元通りです』

 

「・・・・・・・・・」

 

葉っぱのエレメントさんは元気に答えたが、プリキュア4人の表情は暗いままだった。

 

『皆さんは、元気がないですね・・・・・・』

 

「っ、そんなことないです! ただ一度にいろんなことが起こって・・・・・・」

 

エレメントさんの指摘に、フォンテーヌは否定するもその表情は何かを考えるかのように不安そうだった。

 

『私たちにできることは少ないですが、決して負けないでください! そして、自分を信じて!! その想いさえいつまでも持っていれば、奇跡は起こるはずです!』

 

「・・・・・・ありがとう、エレメントさん」

 

エレメントさんの励ますような言葉に、スパークルは力なく答えるとエレメントさんは植物の中に戻っていった。

 

「かすみっち、本当に悪い奴になっちゃったのかな・・・・・・?」

 

スパークルは不安そうな表情でみんなに問いかける。

 

「わからないわ・・・・・・でも、かすみに何か大変なことが起こっているのは事実よ・・・・・・」

 

フォンテーヌは辛そうな顔をしながら答えた。

 

「あっ・・・・・・!?」

 

『すまない・・・すまない・・・・・・』

 

『かすみ・・・・・・?』

 

ーーーー今までウソをついて、すまない・・・・・・。

 

ニャトランはかすみが謝っていたことを思い出す。そして、その言葉の意味をここで知った。

 

「思い出したぜ!!」

 

「ニャトラン、どうしたの?」

 

「かすみ、俺に謝ってたんだよ!! ウソをついてすまないって・・・・・・もしかしたら、このことだったんじゃねぇかって・・・!!」

 

「「「「っ!!」」」」

 

ニャトランの告白に、プリキュアたちは驚く。かすみがそんなことを言っていたとは知らず、それにそれを話していたということはかすみがこうなることがわかっていたのであろうと察した。

 

「え? ってことは、あれはかすみっちのーーーー」

 

スパークルが何かを言いかけた、その時だった・・・・・・。

 

「クチュン!! クチュン!!」

 

「っ、ラテ?」

 

治ったはずのラテが再びくしゃみをして、体調が悪くなってしまった。

 

「さっきお手当て終わったのに・・・また・・・??」

 

不審に思ったグレースは聴診器をラテに当てる。すると・・・・・・。

 

(あっちで先生が泣いてるラテ・・・あっちで子供が泣いてるラテ・・・・・・)

 

「先生・・・と、子供ですか・・・??」

 

「もしかして、円山先生と、こうたくんのこと・・・??」

 

アースが不思議そうに言い、フォンテーヌが尋ねるとラテは苦しそうにしながらも頷いてみせる。

 

「先生とあの子が泣いてるの?」

 

「どういうこと?」

 

「転んだんじゃないか?」

 

「先生と子供が転んだからって、ラテ様は反応しないラビ」

 

グレースとスパークルはよくわからず、ニャトランが勝手な推測を話すも、詳細は全くわからなかった。今までにラテの反応にはない言葉だったため、プリキュアたちは戸惑いを隠せなかった。

 

「とにかく行ってみるペエ」

 

詳しいことはよくわからないが、苦しんでいれば放っておけないとプリキュアたちはその場所へと向かうことにしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラテが示した場所へと向かったプリキュアたちは、そこであるものを目撃する。

 

「っ、いたラビ!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

その視線の先には、二体の怪物がいた。頭部には3つの形の違うメガネ、上半身には白い半袖シャツ、下半身にも半ズボンとメガネのようなバックル、背中には2つの大きな丸型フラスコを持ったメガビョーゲン。

 

そして、上半身には青いシャツ、下半身にはジーパン、背中にはランドセルのようなものを持ち、両腕に図鑑のようなものを持っているメガビョーゲンがいた。

 

「なーんだ、普通にメガビョーゲンじゃん」

 

「いつも通り二体いるわね」

 

スパークルとフォンテーヌは二体のメガビョーゲンを見ながら話した、その時だった・・・・・・。

 

「ギガ、ビョーゲン!!!!」

 

メガビョーゲンは低く唸ると、丸型フラスコを持ったメガビョーゲンは頭部、両腕、バックルにあるメガネから禍々しい赤い光線を照射する。

 

「ギガギガギガ!!!!」

 

そして、ランドセルを背負ったもう一体のメガビョーゲンは両腕、頭のてっぺん、両足についている図鑑を開くとそこからトラやライオンといった動物の形をした禍々しいエネルギーを放った。

 

「「「「!?」」」」

 

その凄まじい力に、プリキュアたちは目を覆う。そして、二体のメガビョーゲンの放った光線とエネルギーは広大な動物園の敷地、そして園の外の街や自然にまで及び、広範囲を病気で蝕んだ。

 

「一気にあんなに蝕めるペエ!?」

 

「しかも二体ともかなり広範囲を蝕んだわよ!? お手当てを急がないと!!」

 

「ラテはここでお待ちください」

 

フォンテーヌたちは底知れない力に警戒し、アースは木陰の安全なところに避難させた。

 

「ラビリン!!」

 

「ラビ!!」

 

「ニャトラン!!」

 

「OK!!」

 

キュン!!

 

「「「「キュアスキャン!!」」」」

 

グレースとスパークルはステッキを構え、肉球をタッチしてそれぞれのメガビョーゲンに向ける。ラビリンとニャトランの目が光り、メガビョーゲンの体内を見る。

 

すると・・・・・・。

 

「っ、先生!?」

 

「こっちは、こうたくんのお友達だよね!?」

 

「えぇ!?」

 

なんとメガネをかけているメガビョーゲンの中には円山先生が、そしてランドセルを背負っているメガビョーゲンの中にはこうたと喧嘩をしていた少年ーーーーしゅういちの姿があったのだ。

 

「メガビョーゲンの中に先生と、こうたくんのお友達が!?」

 

「なんで!? エレメントさんじゃないの!?」

 

「ラビリン、ペギタン、ニャトラン、今までこんなことがあったのですか・・・!?」

 

「いや・・・・・・」

 

「ラビリンたちも初めてラビ!!」

 

メガビョーゲンの中にいるのはエレメントさんじゃなくて、先生と子供・・・・・・いつもとは違うこのメガビョーゲンに驚きと戸惑いを隠せない一行。

 

「ギガ、ビョーゲン!!」

 

そうしている間に、メガネをかけているメガビョーゲンは頭部のメガネから禍々しい赤い光線を放つ。

 

「「「っ!! ぷにシールド!!」」」

 

グレースたちはとっさに前に肉球型のシールドを張って、防御体制になる。

 

「ギガギガギガァ!!!!」

 

そこへランドセル型のメガビョーゲンが両腕の図鑑を開いて、禍々しいライオン型のオーラを放った。

 

ドカァァァァァァン!!!!!

 

二つのメガビョーゲンの攻撃は直撃し、大爆発を起こした。

 

黒い煙が晴れると、そこには倒れ伏しているプリキュアの姿があった。

 

「アーッハハハハハハハ!!!!」

 

「キヒヒヒヒヒヒヒ・・・愉快愉快なの!!!!」

 

そこへ聞こえてくる二つの笑い声。倒れているプリキュアたちが聞こえてくる方向に視線を向けると、食堂の屋根の上にシンドイーネとイタイノンの姿があった。

 

「うっふふふ・・・」

 

「キヒヒ・・・・・・」

 

「シンドイーネ・・・!?」

 

「らむっち・・・!?」

 

「その姿は!?」

 

プリキュアたちは明らかに以前とは二人の姿が変わっていることに気づく。

 

「どぉ? プリキュア。新種の私とイタイノンが生み出した力、ギガビョーゲンの力は?」

 

「ギガビョーゲン!?」

 

「メガビョーゲンじゃないペエ!?」

 

目の前に立っている怪物はメガビョーゲンではなく、その上を行く怪物・ギガビョーゲンだったのだ。それを知ったラビリンたちは驚きを隠せない。

 

「そうなの。私たちは進化したの。この地球を蝕めるような新たな力を求めて、なの」

 

「この体に、メガパーツを取り込むことによってね!!」

 

シンドイーネとイタイノンは、メガパーツとテラパーツ、それぞれを自分の体に取り込んだ上で進化をすることに成功し、以前とは変わった姿となり、上位種の怪物を生み出すことに成功したのである。

 

「そんな・・・メガパーツを自分に!?」

 

グレースたちは二人がしたことに信じられないような様子だった。

 

「私たちは地球上の生き物を使って、ギガビョーゲンを生み出せるようになったのよ!!」

 

「「「「っ!?」」」」

 

「ニャンだとぉ!?」

 

「クゥ〜ン・・・・・・」

 

グレースたちはシンドイーネのこの発言に戦慄する。ただでさえお手当てが大変になってきているというのに、彼女たちによってこのような怪物が生み出されると思うと、恐怖でしかない。

 

「あんたらとは違うのよ。この体もキングビョーゲン様への愛も・・・!!!」

 

シンドイーネは恍惚とした表情を浮かべながらそう主張する。

 

「キヒヒ・・・人間が自分たちの住む星を自分で病気にするなんて笑えるの。しかも、こいつが学校の先生と非力な子供だと思うと、ますますおかしいの・・・!!!!」

 

一方の、イタイノンは不敵に笑いながらそう言った。

 

「らむっち!! あたしにあんなに優しくしてくれてたじゃん!! なのに、なんでこんなひどいことすんの!? もう地球を苦しめるのはやめてよ!!」

 

「やかましいの!! お前に指図される筋合いはないの。それはそれ、これはこれ、なの。私がビョーゲンズとして活動することはこれからも変わらないの・・・!!!」

 

スパークルの悲痛な訴えを、イタイノンは一蹴する。

 

「安心しろ、なの。この地球上の生き物が死んだら、私としては面白くないの。お前らも、この地球の奴らも等しく苦しめて生かしておいてやるから、感謝するの・・・!!!!」

 

「らむっち・・・・・・!」

 

イタイノンの嬉々したような言葉に、スパークルは泣きそうな表情になる。

 

「さあやるの!! ギガビョーゲン!!」

 

「お前の力を見せてやりなさい!!」

 

「ギガァァァァァァァァ!!!!」

 

メガネのギガビョーゲンはプリキュアへと駆け出すと、腕を振り上げて攻撃を仕掛ける。4人はその場から飛びのいて攻撃をかわす。

 

「っ・・・」

 

「ギガギガ!!!」

 

「!? あぁぁぁっ!!」

 

グレースはステッキから光線を放とうとしたが、死角から現れたランドセルのメガビョーゲンが体を振り回してランドセルをぶつけ、グレースは地面に叩きつけられる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「ギガァ!!!!」

 

「っ・・・くっ!!」

 

そこへフォンテーヌが攻撃を仕掛けるも、割り込んできたメガネのメガビョーゲンが拳で反撃し、フォンテーヌはなんとか着地するも、その一撃は自分よりもかなり重かった。

 

「やあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

フォンテーヌと入れ替わるように、スパークルが空中で体を回転させて勢いをつけた回し蹴りを仕掛け、命中させる。

 

「ギガァ!!!!」

 

「あぁぁぁっ!!!!」

 

しかし、ギガビョーゲンには通用しておらず、逆に攻撃を受けてしまう。

 

「ヤバい!!!!」

 

「なんて攻撃力!!!!」

 

「これまでのメガビョーゲンとは段違いです・・・!!!! 簡単には近づけません!!!!」

 

「しかも二体いるから、タチがわりぃぞ!!!!」

 

ギガビョーゲンから繰り出される一撃一撃の力がとてつもない。これまでにない怪物と対峙して、改めてギガビョーゲンの恐ろしさを思い知らされるプリキュアたち。

 

そんな中、グレースは一人飛び出して、攻撃を仕掛けようとする。

 

「先生を、返して・・・!!!!」

 

「ギガァ!!!!」

 

ギガビョーゲンの拳をジャンプでかわして、ギガビョーゲンに迫るグレース。

 

「ギガギガァ!!!!」

 

「きゃあぁぁぁ!!!!」

 

そこへランドセルのギガビョーゲンが放ったトラ型のオーラを受けて吹き飛ばされてしまう。

 

「あぁぁ!!!」

 

「ギガァ!!!!」

 

「っ・・・!!!」

 

そこへメガネ型のギガビョーゲンが拳で追撃し、グレースは地面に叩きつけられながらもなんとかかわし、バク転をしながら距離を取ろうとする。

 

「っ・・・うぁっ!?」

 

しかし、グレースは地面に着地した瞬間、体がよろけて倒れそうになり、膝をついてしまう。

 

「グレース!? どうしたラビ!?」

 

「な、なんか・・・体の力が抜けて・・・・・・??」

 

ラビリンが心配して声をかけるも、グレースは息を荒くしていて額の汗がすごかった。

 

「ギガ、ギガァ!!!」

 

「っ・・・うっ・・・あぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

そこへギガビョーゲンが光線を放つ。グレースはそれでも避けながら迫ろうとするも、赤い光線の直撃を受けてしまい、地面を転がりながら森の中へと消えていく。

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

立ち向かうフォンテーヌも、ランドセル型のメガビョーゲンの拳で吹き飛ばされ、森の中へ落下していく。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

スパークルも空中から突っ込んでいったが、逆にメガネ型のギガビョーゲンの張り手を受けて、同じように森の中へと落下していった。

 

三人はそれぞれバラバラの方向へと吹き飛ばされてしまったのだ。

 

「グレース!! フォンテーヌ!! スパークル!!」

 

「あとはお前だけなの!!」

 

「っ・・・!!」

 

アースは吹き飛ばされた仲間を心配して方向を見ていると、そこへランドセル型のギガビョーゲンがライオン型のオーラを放つ。

 

アースはそれをジャンプしてかわすが・・・・・・。

 

「ギガァ!!!!」

 

「あぁぁぁっ!!!!」

 

そこへランドセルを振り回したギガビョーゲンの攻撃が直撃し、同じように転がりながら森の中へと消えていったのであった。

 

「アーッハハハハハハハ!!!! やった!! やったわ!!!! 遂に手に入れたのよ!!! 私たちは、プリキュアさえ凌駕するほどの力を!!! アーッハハハハハハハ!!!!」

 

自分が生み出したギガビョーゲンがプリキュアに勝利し、高笑いをするシンドイーネ。

 

「・・・何か不完全燃焼で面白くないの。まあ、死んでないから別にいいの」

 

イタイノンは何やら面白くなさそうな顔をしていた。プリキュアに勝ったのは嬉しいが、あまりにも実力の差が大きすぎて全く面白くない。それに、人間たちが逃げ出していってしまっているため、肝心の悲鳴や恐怖も聞けていない。

 

これならクルシーナたちと組み手をしてた方がマシだとさえ思った。

 

「あっ、そうだ!! 新しい私を、早くキングビョーゲン様に見ていただかなきゃ・・・!!!」

 

シンドイーネはイタイノンの偶然とはいえ、自身が進化した姿を見てもらおうとしていた。

 

「お前、結構派手な格好なの。まるで、女王様みたいなの」

 

そこへイタイノンがシンドイーネの姿を見ながら言う。

 

「そういうアンタはちょっと変わりすぎじゃないの?? ちょっと変よ・・・!!」

 

シンドイーネもイタイノンの姿を見て返す。肌の色は変わりないが、他があまりにも変わりすぎていて、本当にイタイノンなのか疑いたくなるぐらいの変貌ぶりだ。

 

「変でもいいの。この地球を私のものにできる力さえあれば、どんな外見だろうと構わないの」

 

「・・・まあ、とりあえず一旦帰りましょうか。ギガビョーゲン、ついてらっしゃい」

 

「ギガァ・・・・・・」

 

「ギガギガ・・・・・・」

 

シンドイーネがそう命じると、イタイノンとシンドイーネはギガビョーゲンを連れてその場から姿を消した。

 

ビョーゲンズとギガビョーゲンたちが去った後、森の中では・・・・・・。

 

「クゥン、クゥ〜ン・・・・・・」

 

ラテは弱っている体を動かし、吹き飛ばされたアスミの元にやってきていた。

 

「・・・うっ・・・ラテ、私は大丈夫です。ですが・・・・・・」

 

アスミは傷つきながらもラテを安心させるために撫で、そして周りが蝕まれている現状に目を向けて表情を曇らせる。

 

また、別の場所では・・・・・・。

 

「ペギタン・・・大丈夫・・・?」

 

「ぼ、僕は、大丈夫ペエ・・・ちゆは・・・?」

 

「私も、なんとかね・・・・・・」

 

合流したちゆとペギタンは傷つきながらも、お互いを心配しあっていた。

 

「ひなた・・・無事か!?」

 

「うん・・・大丈夫・・・・・・」

 

ひなたとニャトランも傷ついてはいたが、お互いの無事を確認していた。

 

「うっ・・・・・・!」

 

「のどか、大丈夫ラビ!? のどかぁ!!」

 

「だ、大丈夫・・・だよ・・・・・・」

 

突っ伏して呻いていたのどかはラビリンの心配する声を受けて、微笑んでみせた。体がなぜかだるさを感じるが、立てないというわけではない。

 

のどかは合流すべく、なんとか立ち上がって仲間の捜索を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ビョーゲンキングダムへと戻ってきていたシンドイーネとイタイノンは、早速キングビョーゲンに報告を行っていた。

 

「ほぅ・・・ギガビョーゲン」

 

「はいっ♪ このシンドイーネが、自ら進化を遂げてこの怪物を生み出す力を得たんです。いかがですかぁ? キングビョーゲン様ぁ〜♪」

 

「この進化した力を使えば確実なの。このギガビョーゲンさえ生み出しておけば、プリキュアたちは足元にも及ばないの」

 

シンドイーネとイタイノンは自分かメガパーツを使用して進化したこと、そしてギガビョーゲンを生み出してプリキュアを打ち負かし、地球を確実に蝕んでいることを話す。

 

「進化? ふっ、面白い・・・! 素晴らしい成果だ、シンドイーネ、イタイノン」

 

「っ!・・・はい!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

キングビョーゲンに褒め言葉をもらったシンドイーネは嬉しそうだったが、イタイノンは特に表情も変わらなかった。自分勝手な他人に言われても、嬉しいと感じないからだ。

 

「お前たちの忠誠心は必ず、我の助けとなろう・・・・・・」

 

「っ! いや〜ん♪ 愛してるなんてそんなぁ〜♪」

 

「・・・そんなこと一言も言ってないの」

 

キングビョーゲンの言葉を都合のいいように解釈するシンドイーネに、イタイノンが淡々としたツッコミを入れる。

 

「しかし、まさかメガパーツを自分の体内に取り込むとはな・・・・・・」

 

「よくやったよね? 自分が無事で済むかどうかわからなかったのに・・・・・・」

 

「正直掛けだったの。これまで通りにやっても何も変わらないし、何も進展しない。だから、もうこの方法しかなかったの。自分が進化するしかないって」

 

グアイワルとダルイゼンが淡々と問うと、イタイノンも同じように返す。

 

「でも、滑稽よねぇ。地球に住んでいる生き物が、自分たちの住んでいる地球を苦しめようとするなんて。これはこれで面白いと思うわ」

 

「・・・・・・キヒヒ」

 

クルシーナはギガビョーゲンを見ながら、笑みを浮かべてそう言い、目が合ったイタイノンも不敵な笑みを浮かべた。

 

「シンド姉、イタイノンお姉ちゃんカッコいいよ〜! その姿で私をもぉ〜っと気持ちよくしてほしいなぁ〜♪」

 

「すぅ・・・すぅ・・・イタイノンお姉様・・・素敵ですぅ・・・・・・」

 

「・・・・・・ふん」

 

ヘバリーヌとフーミンが二人を囃し立て、イタイノンも満更でもない様子だった。

 

「ふふっ・・・ギガビョーゲンさえいれば、もう何もいりません。一気に蝕んで、キングビョーゲン様のお身体を取り戻して見せます」

 

「・・・行ってくるの、パパ」

 

「ふむ・・・・・・では、任せるとしよう。期待しているぞ・・・」

 

キングビョーゲンの言葉を受けたシンドイーネとイタイノンは、ギガビョーゲンたちと共に再び出撃すべく姿を消した。ダルイゼンとグアイワルもそれぞれ別の場所へと歩いていく。

 

「ところでクルシーナよ。ドクルンの所在はわかったか?」

 

「ああ〜そうそう。あいつなら・・・・・・」

 

娘たちだけが残ったところで、キングビョーゲンに問われたクルシーナはそれに答えようとすると・・・・・・。

 

「私ならここにいますよ」

 

「っ!!」

 

ドクルンがその場に現れ、その姿を見たクルシーナは驚いたような表情をした。

 

ドクルンは頭には従来の悪魔のツノはそり返っていて、狼の耳のようなツノと4本生やしており、髪の色は黒から雪のような白へと変わり、顔の装飾は頬に氷のような青色のメイクがある。服装も研究員のような服装とは大幅に変わり、青いポンチョを身につけて黒いベルトをして、水色のズボンを履いたカウボーイを思わせる外見となっている。

 

「何よ、アンタも進化してたの・・・?」

 

「ええ、自分にビョーゲンズの力を取り入れるとどうなるかと思いましてね」

 

クルシーナが顔を不機嫌そうに顰めながら言うと、ドクルンは不敵な笑いを崩さずに言った。

 

「ほぅ・・・お前も進化を遂げていたか、ドクルン・・・・・・」

 

「先日はすみませんでした、お父さん。この進化した体の調整に手こずっておりまして、会合には参加できなかったのです」

 

「まあよい・・・・・・お前とイタイノンのその姿も我にとってはいい成果だ」

 

ドクルンがこの前の会合に参加できなかったことを謝罪するも、キングビョーゲンは責め立てはせずに逆にドクルンのあまりにも変わりすぎな外見を評価した。

 

「・・・ドクルンの所在もわかったんだからいいでしょ。今日はもうお開きで」

 

「冷たいですねぇ。せっかく進化した私をもっと見せたいのに・・・」

 

「はいはい、わかったわよ。アジトで好きなだけ見てやるっての」

 

クルシーナとドクルンはそう話しながら、踵を返して帰ろうとする。

 

「ちょっと待つがいい・・・クルシーナ、ドクルン・・・・・・」

 

「・・・・・・何よ?」

 

「どうしましたか?」

 

「少し話がある。ヘバリーヌとフーミンも聞くがよい・・・・・・」

 

「何々〜??」

 

「んぅ・・・??」

 

クルシーナとドクルンは足を止めると、キングビョーゲンの話を聞き始める。それは自身の父親の復活のための、重要な話だった。

 

それを聞いたキングビョーゲンの娘たちは、不敵な笑みを浮かべる。

 

「なるほど・・・そっちの方が容易いですけどねぇ」

 

「まあ、その手もアタシは考えてたけどね」

 

「ヘバリーヌちゃんたちでもぉ〜、パパのためになるんだったらねぇ〜♪」

 

「すぅ・・・フフフ・・・」

 

「そこでお前たちにも協力してもらいたい。ダルイゼンたちには、次の会合で話す。その準備をしておいてもらいたいのだ」

 

娘たちはそれぞれの反応を示し、キングビョーゲンはそんな彼女たちに命じる。

 

「はーい」

 

「かしこまりました」

 

「りょ〜か〜い♪」

 

「すぅすぅ・・・・・・」

 

一人眠っている人を除いて、キングビョーゲンの娘たちは返事を返した。

 

「・・・・・・??」

 

「? どうしたの、ドクルン」

 

すると、ドクルンが突然あらぬ方向へと向き、気になったクルシーナが声をかける。ドクルンは何かを察すると、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

「ふむ・・・どうやらあいつがいるみたいですねぇ」

 

ドクルンは不敵な笑みを浮かべると、地球に向かうべくその場から姿を消したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メェェェェェェ・・・・・・

 

のどかとラビリンはみんなを捜索する中、ふれあいブースに差し掛かるとそこには蝕まれたブースト怯えている小動物たちの姿があった。

 

「ひどい・・・動物園中が被害に・・・・・・」

 

「とにかく、ちゆたちと合流するラビ・・・」

 

動物園の惨状は心配になるが、ラビリンはとりあえずみんなと合流するように話した。

 

グワワワワワワワワワワ!!!!

 

「みんな怯えてる・・・・・・」

 

「動物は自然の変化に敏感ペエ・・・きっと、余計に怖いペエ・・・・・・」

 

ちゆとペギタンが差し掛かったハシビロコウも、鳴き声を上げて怯えていた。

 

「そんな・・・可哀想だよ・・・・・・」

 

(らむっち・・・こんなことがしたかったことなの・・・・・・?)

 

ひなたはキリンたちを見ながらそう言い、内心では助けてくれたのにも関わらず、こんな惨状を作り出したイタイノンのことが気になっていた。

 

ガルルルルルル・・・・・・!!!

 

「殺気立ってますね・・・急ぎましょう」

 

「クゥ〜ン・・・・・・」

 

アスミは怯えたように警戒しているトラたちを見てそう言い、その場を後にする。

 

そして・・・・・・。

 

「あっ、みんな!!」

 

「あっ、のどかっち!!」

 

のどかたちはみんな、動物園内の広場で無事に合流することができた。

 

「ラテはどう?」

 

「今は落ち着いています・・・・・・」

 

ラテはぐったりしていたが、今は容態的にも落ち着いていた。

 

「でも、またギガビョーゲンが現れて活動を再開したら危ないペエ・・・・・・」

 

「この短い時間で、動物園中がこのザマだからな・・・・・・」

 

「こんなところまで蝕まれてるなんて・・・・・・!!」

 

のどかたちは改めてギガビョーゲンの脅威を感じざるを得なかった。

 

そんな時だった・・・・・・。

 

ガサガサ・・・・・・。

 

「っ!!」

 

「うぅ・・・・・・」

 

近くで物音が聞こえ、子供の怯えるような声が聞こえてきた。気づいたのどかがその方向に駆け寄ってみる。

 

「こうたくん!!」

 

「「!?」」

 

動物の形をした植物のアートの影の中に、こうたがうずくまっていたのが見えた。

 

「あっ、お姉さん」

 

「大丈夫? 怪我はない??」

 

ちゆが心配する中、こうたが立ち上がってのどかたちに近づく。

 

「うわぁ、擦りむいてるじゃん・・・!!」

 

両膝をよく見ると怪我をした後があった。

 

「手当てしなくちゃ・・・!!」

 

「まずは綺麗な水で洗わないと・・・!!」

 

「でも、この辺りの水は・・・・・・」

 

のどかたちは傷を治そうと辺りを見渡すが、ここ一帯はすでに蝕まれており、綺麗な水はどこにもない。

 

「こんなのなんでもないよ・・・・・・」

 

そういうこうたは目に涙を浮かべていて、体をプルプルと震わせていた。

 

「お父さんが・・・・・・」

 

「っ?」

 

「お父さんが・・・怪物に食べられて・・・・・・うっ、うぅぅぅぅ・・・・・・!!」

 

こうたは涙をポロポロと零す。変な女性が現れて小さな化け物を飛ばしてきて、それを自分の父親が庇って小さな怪物に取り込まれてしまったのを見てしまったのだ。

 

そんな時だった・・・・・・。

 

「おーい!!!!」

 

「っ、しゅういちの、お父さん・・・??」

 

そこへ帰っていったはずのしゅういちの父親がこちらに駆け寄ってきた。こうたは恥ずかしいところを見せられないと涙を拭う。

 

「こうたくんはいたのか。よかった、なんともなくて・・・・・・」

 

「お父さん、どうしてここに・・・??」

 

父親はこうたを心配して駆け寄ってきたようだが、こうたは帰っているはずの彼がなぜここにいるのかが理解できなかった。

 

「あ、そうだ。しゅういちを見なかったか・・・??」

 

「え、一緒にいたんじゃないんですか?」

 

「それが・・・帰る途中に仮装したようなおかしな少女に襲われて、気がついたらいなくなってたんだよ・・・!!」

 

しゅういちの父親とこうたの会話を聞いて、何かに気がつくようにハッとするアスミ。それは先ほどラテが聴診器で伝えていた言葉だった。

 

あっちで子供が泣いている・・・・・・。

 

「え・・・もしかして、そいつに誘拐されたとか・・・??」

 

「わからないんだ・・・・・・でも、その可能性が高いかもな・・・・・・」

 

しゅういちの父親は心配そうな顔をしていた。

 

こうたも悲しそうな顔をしていて、しゅういちの父親は暗そうな顔をしている。

 

「お父さん・・・しゅういち・・・・・・俺、嫌だよ・・・!!! みんな・・・みんな、あんなままだなんて、いなくなったままなんて・・・俺は嫌だ!!!」

 

こうたは涙をポロポロとこぼしながら、泣き叫ぶ。

 

「うっ・・・うぅぅぅぅ・・・・・・」

 

「っ・・・・・・こうたくん、泣かないで・・・きっとお父さんも、しゅういちくんも助かるよ・・・ねっ?」

 

「そうよ・・・今まで、何度も怪物は現れたけど・・・いつも最後は元通りだったでしょ?」

 

のどかとちゆは内心は辛そうにしていたが、泣いているこうたを微笑みながら励まそうとしていた。きっと、プリキュアがこの惨状をどうにかしてくれると・・・苦しんでいる人を助けてくれると・・・・・・。

 

「・・・それって、プリキュア?」

 

「うん、そう! って、なんで知ってるの?」

 

「お父さんがくれたすこ中ジャーナルを読んで・・・・・・」

 

「あぁ・・・・・・」

 

こうたの話を聞いたひなたはそれを作った益子道男のことを思い出して苦笑いをしていた。

 

「お父さんのことも、しゅういちさんのことも、きっとそのプリキュアが助けます」

 

「この動物園もね!」

 

「本当に・・・?」

 

「うん・・・お父さんも、しゅういちくんも、まだ怪物の中で戦ってるはずだよ・・・だから、希望を捨てないで・・・・・・ねっ?」

 

アスミやひなた、のどかは悲しい表情をしているこうたを励ましの言葉をかけ続ける。

 

「うん・・・わかった・・・・・・」

 

こうたは涙を拭うと、のどかたちのおかげで少し元気を取り戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、動物園近くの街では・・・・・・。

 

「はぁ・・・この地球は空気が澄んでいるな、気持ち悪い・・・・・・」

 

そこには髪型をボブカットのショートヘアにした少年のような人物が辺りを見渡しながら、不快感を露わにしていた。

 

歩いていくと、ギガビョーゲンによって蝕まれた場所が見えてきた。

 

「それに比べて・・・この辺りは心地がいい・・・・・・素敵だ・・・・・・」

 

蝕まれていなかった場所と比べ、恍惚とした表情を浮かべていた。

 

「あそこも・・・この光景のようになればいいんだけどな・・・・・・」

 

少年のような顔の人物は、先ほどの気持ち悪い場所も、このような居心地のいい場所になればいいとそう考えた。

 

シュイーン!!

 

「ここにいましたか」

 

「っ!!」

 

背後から風の切るような音が聞こえたと共に、こちらを呼びかける声が聞こえた。少年のような人物は振り返ると、そこにはドクルンの姿があった。

 

少年のような人物は笑みを浮かべると、指を鳴らして人間だった体を変化させながら、こちらに体を向ける。

 

「やぁ、ドクルン姉さん」

 

「ハキケイラ、あなた何故ビョーゲンキングダムに来ないのですか?」

 

悪魔のツノ、サソリのような尻尾を生やし、薄い青色の肌へと変化させ、服装も袖口の長い白いブラウスに青いケープ、ニッカーぼっカーのような半ズボン、シルクハットを被った少年のような顔の人物ーーーーハキケイラは気さくに挨拶をかわすが、ドクルンはその悪びれもしない態度に問いかける。

 

「地球を観察していたのさ。ビョーゲンズである僕の体に、この地球環境は適しているのかをね」

 

「・・・・・・確かめなくても一目瞭然でしょうに」

 

「そうだね。でも、そう気を悪くしないでくれ、姉さん。そんな中で地球に住む生き物たちに着目しているんだよ」

 

ビョーゲンズに適正かどうか、地球を観察していた? そんな観察しなくても出るような答えに、ドクルンは白々しいと言わんばかりに顔を顰める。ハキケイラは意にも介さずに、王子みたいな話し方を崩さない。

 

「地球に住む生き物、ですか・・・・・・」

 

「そうさ。どういう地球の生き物がより良い病気に変えていくのか、僕は知りたかっただけ」

 

ハキケイラはその口調を崩さすにそう答えると、ドクルンはため息をつく。

 

「・・・まあ、いいでしょう。それよりもーーーー」

 

ドクルンはハキケイラに歩み寄って、肩に手を置く。

 

「それを調べていたあなたにぜひ見て欲しいものがあるんですよぉ」

 

「??」

 

ニヤリとした笑みを浮かべながら答えるドクルンに、ハキケイラは首を傾げた。

 

その頃、動物園近くの港町では・・・・・・。

 

「さーて、今度はこの辺りなんてどぉ〜?」

 

「・・・人間が全然いないの。面白くもなんともないの」

 

倉庫の建物の上にシンドイーネとイタイノンがおり、シンドイーネは嬉々していたが、イタイノンはあまり気が乗っていない様子。

 

「面白さなんかどうだっていいでしょ!! 私はキングビョーゲン様のために、早く体を取り戻してあげたいの!!」

 

「あっそう、なの・・・・・・」

 

シンドイーネが叱る大人のように言っても、イタイノンは気怠そうな態度だった。

 

「はぁ・・・・・・まあ、いいの。ここだったら、効率よく蝕めそうなの」

 

「でしょ〜?」

 

「でも、お前の観点だから怪しさ千倍なの」

 

「ふん、言ってなさいな。私はここをやるから。ギガビョーゲン!!」

 

シンドイーネはイタイノンの嫌味を受け流し、手で合図を出して掲げる。

 

ビィィィィィィィィィィィ!!!! ザッパァァァァァァァン!!!!

 

「ギーガー、ビョー、ゲン・・・・・・」

 

海の中から赤く禍々しい一本のビームが照射されると、そこからメガネをかけたようなギガビョーゲンが姿を表した。

 

「・・・・・・お前もやるの、ギガビョーゲン」

 

イタイノンも自身のギガビョーゲンに指示を出す。

 

ドカァァァァァァァァァン!!!!

 

「ギガギーガ・・・・・・」

 

倉庫の一つが爆発したかと思うと、そこに隠れていたギガビョーゲンが姿を表したのであった。

 

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