ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
とうじの目の前に現れた、りょうは何者なのか?


第114話「りょう」

 

ビョーゲンズが活動を開始する数分前、何年か振りの再会を果たしたとうじとりょうは浴場のベンチに一緒に腰を下ろしていた。

 

とうじは浴場で落ち込んでいたわけをりょうに話していた。

 

「そう・・・・・・ちゆに叱られたのね」

 

「うん・・・・・・僕も、頑張ってはいるんだけどね。でも、なかなかうまくいかなくて・・・・・・」

 

とうじはりょうに力なく答えた。ちゆと同じように頑張っているのだが、張り切りすぎて空回りして失敗ばかりしているのだ。

 

「私もいろいろと失敗したわ。とうじくんにも話してたわよね? 私がモノ作りをしてるって」

 

「うん・・・・・・」

 

「モノを作るってなると、いろいろと失敗して、また一から作って、作り直して、ようやく完成するものよ」

 

「そうなんだ・・・・・・」

 

「だからとうじくん、失敗してもいいのよ。失敗は成功の元って言うでしょ?」

 

りょうはとうじにそう言い聞かせるも、とうじの表情は暗いままだ。

 

「でも、僕は何も持ってないや・・・・・・お姉ちゃんは持ってるのに、りょうお姉ちゃんも・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

りょうは昔の頃の記憶から、思い出しているある記憶の映像を引っ張り出す。そして、再びとうじに声をかける。

 

「昔、ちゆが言ってたわ。とうじくんにもいいところがあるって」

 

「え・・・?」

 

「例えばねーーーー」

 

『とうじはね・・・不器用なところもあるけど、とても一生懸命で優しいのよ』

 

「・・・って言ってたわよ」

 

りょうはちゆが言っていた言葉を、とうじに話した。

 

「僕が一生懸命で、優しい・・・??」

 

「そう。ちゆがそう言ってたの。頑張ってる姿を見ている人はいるのよ、あなたを」

 

りょうはとうじの方に向き直ると、彼の肩を掴む。

 

「自分を他の誰かなんかと比べる必要はないのよ。とうじくんが頑張っている姿を見ている人はちゃんといるはず。あなたには良いところもあるし、できることもあるの。それは必ず周りの誰かを助けることに繋がるはずよ。だから、まずは自分にできることを見つけましょう。頑張るのはそれからでも、遅くないわ」

 

(ちゆだって・・・とうじくんだって・・・良いところはたくさんあるもの・・・可愛くて、かっこいい・・・・・・だから、必ず私のものにしたい・・・・・・)

 

りょうはとうじに諭しながらも、心の中では口に出せない何かを考えていた。

 

「りょうお姉ちゃん・・・・・・ありがとう」

 

とうじはりょうからそういった話を聞いて、少しずつ元気を取り戻していったのであった。

 

そんな、とうじやりょうを浴場の様子を見に行っていたちゆは隠れながら見つめていたが・・・・・・。

 

「嘘・・・・・・!?」

 

(ど、どういうこと・・・?? なんでりょうがここに!? 彼女はここにはいないはず・・・!!!!)

 

ちゆは二人の様子、特にとうじと一緒にいたりょうの姿に驚愕していた。りょうは思い出した記憶なら、数ヶ月前に行方が分からなくなっているはず。なのにどうしてりょうがこの場にいるのか・・・??

 

それに加えて、ちゆはあることが気になっていた。

 

(そういえば、ペギタンはどこに行ったの・・・??)

 

とうじを見守っていたはずのペギタンの姿がどこにもない。ペギタンがとうじを見ていたことはちゆ自身も気づいている。しかし、そのペギタンの姿がない。一体、どこに行ったのだろうか?

 

「ペギタン? ペギタ〜ン!!!!」

 

ちゆはみんなに気づかれないように叫ぶも、当然ペギタンの声は聞こえてこない。

 

「っ・・・!!」

 

「あれ? お姉ちゃんの声だ・・・どうしたんだろう・・・??」

 

りょうは聞こえてきたちゆの声に顔を顰め、とうじはなぜちゆが叫んでいるのか疑問に思っていた。

 

りょうはそんなとうじの肩を掴んで、顔を近づける。

 

「ところでとうじくん、ちょっと行きたいところがあるの。一緒に来てくれる?」

 

「うん・・・いいけど・・・・・・?」

 

りょうのお願いに、とうじはどうしたんだろうと疑問に思いながらも、二人はどこかへと歩いていく。

 

そして、りょうはなぜかとうじの見えないところで何かを取り出すと、それを温泉へと捨てるように放った。2人は一緒に歩き去っていく。

 

「っ・・・・・・!!」

 

二人の姿が見えなくなった頃、ちゆは飛び出して温泉の中に手を突っ込んで掴み、取り出してみると・・・・・・。

 

「っ、ペギタン!!!!」

 

それは、少し体に氷がついたペギタンだった。

 

「うぅぅ・・・ち、ちゆ・・・・・・?」

 

「大丈夫!? ペギタン!! 何があったの!?」

 

少し体を動かせるようになったペギタンが弱々しく呻くと、ちゆはペギタンに問いかける。どうして、りょうの投げ捨てたものがペギタンだったのか、ちゆは甚だしく疑問だった。

 

「み・・・見たことがない人が襲って来て・・・僕を切りつけてきたペエ・・・! そしたら、体が氷ついて動かなくなって・・・・・・!」

 

「見たことがない人・・・? でも、あなたはりょうの体の中にいて・・・!?」

 

ちゆはペギタンにそう言われて何かに気づいてハッとする。もしかしたら、あのりょうは誰かがなりすましているのではないかと、ビョーゲンズがなりすましているのかもしれないと・・・・・・。

 

「と、とうじを追わないと・・・!!!!」

 

「ペエ・・・!!」

 

ちゆとペギタンは共に、りょうに連れて行かれたとうじを探すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、アスミとペギタン以外のヒーリングアニマルたちは・・・・・・。

 

「確か、ペギタンの叫び声が聞こえたのはこの辺ですね・・・・・・」

 

「でも、誰もいないラビ・・・・・・」

 

「あいつ、どこ行っちまったんだ・・・?」

 

ペギタンの叫び声を遠くから聞いて、聞こえてきたところまでやってきていたのであるが、彼の姿はない。どこかに行ってしまったのか、何かあったのか・・・・・・。

 

1人と3匹が周囲を探そうとした、その時だった・・・・・・。

 

「クチュン!! クチュン!!」

 

「っ、ラテ!?」

 

突然、バッグの中に連れて歩いていたラテの具合が悪くなる。アスミは聴診器を取り出して、ラテに当てる。

 

(近くで黄色い服のお兄さんが泣いてるラテ・・・・・・近くで茶色の子犬さんが泣いてるラテ・・・・・・)

 

この反応・・・・・・ギガビョーゲンが二体暴れている模様。

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

その時、旅館の近くから人々の悲鳴が聞こえ始めた。

 

「まずい!!」

 

「のどかやひなたたちを連れてこないとラビ!!」

 

ラビリンとニャトランは急いでのどかとひなた、ちゆを呼びに向かい、アスミはその後に続いて浴場を飛び出していく。

 

「お客様、すぐに裏手へ・・・!!!」

 

「こちらです!!!!」

 

その頃、なおや従業員たちが協力してお客を避難させていた。

 

一方その頃・・・・・・ちゆは・・・・・・。

 

「とうじー!!! とうじー!!! どこなのー!?」

 

「どこにもいないペエ・・・・・・!!」

 

ちゆはペギタンと一緒に、りょうについていったとうじのことを探していた。

 

「ちゆー!!!!」

 

「っ!!」

 

そこへちゆを呼ぶ声が聞こえてきて、そちらを振り向く。

 

「ビョーゲンズが現れたラビ!!」

 

「っ・・・・・・!?」

 

ちゆはラビリンの報告を受けて驚く。とうじの行方が分からないこんな時に限って、ビョーゲンズが現れるなんて・・・・・・!!

 

「ちゆ、行くペエ!!」

 

「っ・・・・・・」

 

ペギタンがビョーゲンズの元へと向かおうと促すも、ちゆはとうじが見つかっていないことを気にしており、行くのに戸惑っていた。

 

「ちゆ・・・・・・」

 

「わかってる・・・わかってるのよ・・・でも・・・!!!」

 

ちゆはプリキュアとしてビョーゲンズを止めなくてはならないことはわかっている。でも、りょうになりすましているであろう人物に連れて行かれた弟のことも気になっている。

 

ちゆはそれが原因で、ビョーゲンズの元へと向かうことに躊躇していた。

 

「ちゆ、急ぐラビ!! 先に行ってるラビ!!」

 

ラビリンはそう言うと他の仲間も呼ぶべく、その場から飛んでいった。

 

「ちゆ・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

ペギタンがちゆの様子を心配そうに見るも、ちゆはその場から動けずにいた。ちゆは拳をギュッと握りしめた後、再び力なく開いた。

 

「・・・ごめんなさい、行きましょう」

 

「大丈夫ペエ・・・??」

 

「大丈夫よ・・・・・・」

 

ちゆは少し辛そうな顔をしつつも、ペギタンにそう言い聞かせ、少し不安そうな表情を覗かせながらも一緒にビョーゲンズの元へと向かった。

 

のどかとひなた、アスミ、ちゆはお互いに合流し、旅館の外を出る。すると、入口付近からこちらへと向かってくる黄色いシャツを着たガタイのいい怪物の姿を視認する。

 

「あれは・・・ギガビョーゲン!!」

 

こちらへと向かってくる一体のギガビョーゲンをとりあえずどうにかしようとする4人。すると・・・・・・。

 

「グウォォォォォォォ〜!!!!!!」

 

「「「「っ!?」」」」

 

別方向から遠吠えのような叫び声が聞こえてきたかと思うと、そちらを振り向くともう一体の犬のようなギガビョーゲンがこちらへと向かってくるのが見えた。

 

「もう一体もこっち来てるよ!!」

 

黄色いシャツのような人型のギガビョーゲンと、犬のような姿のギガビョーゲン、合計で二体のギガビョーゲンが旅館に向かっているのを確認する。

 

「・・・・・・行きましょう!」

 

ちゆの言葉を合図に、他の3人は頷くと変身アイテムを取り出す。

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア、オペレーション!!」」」」

 

「エレメントレベル、上昇ラビ!!」

「エレメントレベル、上昇ペエ!!」

「エレメントレベル、上昇ニャ!!」

「エレメントレベル、上昇ラテ!!」

 

「「「「キュアタッチ!!」」」」

 

ラビリン、ペギタン、ニャトランがステッキの中に入ると、のどか、ちゆ、ひなたはそれぞれ花のエレメントボトル、水のエレメントボトル、光のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

アスミは風のエレメントボトルをラテの首輪にはめ込む。すると、オレンジ色になっているラテの額のハートマークが神々しく光る。

 

のどかたち3人は、肉球にタッチすると、花、水、星をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、水色、黄色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ちゆは水色、ひなたは黄色へと変化する。

 

ラテとアスミは手を取り合うと、白い翼が舞い、ラテが舞ったかと思うとハートの中から白い白衣のようなものが飛び出す。

 

その白衣を身に纏い、ラテが降りてきたかと思うとハープが飛び出し、さらにアスミは紫色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

衣装にチェンジした後、ハープを手に取り、その音色を奏でる。

 

キュン!

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。

 

キュン!

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身。

 

キュン!

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

ひなたは光のプリキュア、キュアスパークルに変身した。

 

「「時を経て繋がる、二つの風!」」

 

「キュアアース!!」

 

「ワン!」

 

アスミは風のプリキュア、キュアアースへと変身した。

 

「「「「地球をお手当て!!」」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!!」」」」

 

4人は変身後、まず近くにいる黄色いシャツのギガビョーゲンの前に立ちはだかった。

 

「来たな、プリキュア!」

 

そのギガビョーゲンの脇からグアイワルが姿を現す。

 

「っ、グアイワルじゃん!」

 

プリキュアたちはグアイワルが現れたことによって身構える。

 

「面白そうじゃん。僕も混ぜてくれ」

 

「グウォォォォォォォォ!!!!」

 

そこへ美少年のような声が聞こえてきたかと思うと、犬の姿のギガビョーゲンが飛んできて、黄色いシャツのギガビョーゲンの横へと立ちはだかる。

 

「っ! 誰か乗ってるぞ!!」

 

「「「「っ!!」」」」

 

ニャトランの言葉に、みんなが犬の姿のギガビョーゲンの背中に注目する。そこには貴族風の衣装を着て、シルクハットを被った中性的な顔立ちの人物が座り込んでいた。

 

「誰・・・!?」

 

「まさか、新しいテラビョーゲンですか・・・!?」

 

「その通りさ」

 

グレースとアースがそう呟くと、その人物は肯定してギガビョーゲンから降りて来た。

 

「僕はハキケイラ、お父さんの娘さ」

 

「お父さんの娘って・・・!?」

 

「キングビョーゲンラビ!?」

 

「他に誰がいるというんだい?」

 

ハキケイラが丁寧にお辞儀をしながら自己紹介をすると、グレースとラビリンはキングビョーゲンの娘だということを知り驚く。

 

「ハキケイラ、お前もか・・・・・・」

 

「そうだけど?」

 

「進化してないお前がどうしてギガビョーゲンを作れる!?」

 

「僕はもう進化を済ませているんだよ。とっくの昔にね」

 

グアイワルは、ハキケイラにギガビョーゲンを作れたことを指摘する。彼女にはメガパーツを入れた描写もなければ、そういう進化を遂げた気配もない。そんな彼女が何故ギガビョーゲンを作れるのか。

 

ハキケイラはグアイワルの問いに当然のように答えた。

 

「ふっ・・・まあいい、とにかく俺の生み出したギガビョーゲンのパワーをお前らで試してやる!!」

 

「ギガビョーゲンって!! あいつもシンドイーネやイタイノンみたいな力をつけちまったのかよ!?」

 

グアイワルも、シンドイーネやイタイノンと同じように進化して新たな力を見せている。しかも、今回はそれだけではない。

 

「あの娘も、進化している様子もないのにギガビョーゲンを生み出してるわ!!」

 

「あんなに、見た感じ普通なのに・・・?」

 

「その分、何か底知れない力があるのかもしれません・・・!!」

 

スパークルはギガビョーゲンを作れる割には普通の格好をしていると思っているのに対し、アースはその普通な分、未知の力があるのではないかと警戒する。

 

「ペギタン」

 

「ペエ!」

 

キュン!

 

「ニャトラン!」

 

「わかった!」

 

キュン!

 

「「キュアスキャン!!」」

 

フォンテーヌとスパークルはそれぞれステッキの肉球に一回タッチして、二体のギガビョーゲンにそれぞれ向ける。ペギタンとニャトランの目が光り、ギガビョーゲンの中にあるものを見つける。

 

フォンテーヌがキュアスキャンをした黄色いシャツ型のギガビョーゲンの、中心部分に黄色いシャツを来た筋肉質の男性の姿があった。

 

「あれは・・・力様!?」

 

落ち込んでいたとうじに話しかけた旅館の男性客の一人であった。

 

そして、スパークルがキュアスキャンした犬型のギガビョーゲンは、胴体のお尻の部分に赤いスカーフをした茶色の子犬の姿。

 

「あれって・・・子犬?」

 

「人間じゃなくて・・・?」

 

スパークルとグレースは、犬型のギガビョーゲンの中に人間ではなく、子犬がいたことに意外そうな表情をする。

 

「ギガビョーゲンを生み出せるのは人間だけじゃないよ。生き物だったら、なんだって生み出せるのさ」

 

ハキケイラは不敵な笑みを浮かべながら、片手を広げる。

 

「やれ、ギガビョーゲン!! この辺りを蝕め!!」

 

「ウガァァァァァァ!!!!」

 

ハキケイラが指示を出すと、犬型のギガビョーゲンは口から禍々しい光線を吐き出す。

 

「っ、させないわ!!」

 

フォンテーヌがそう言うと、前に出てきたグレースとスパークルと共に前に出てぷにシールドを張ってその攻撃を防ぐ。

 

「こちらもだ、ギガビョーゲン!! そのパワーでここ一帯を蝕みまくってやれ!!」

 

「ギガッハァ!!!」

 

グアイワルの指示を受け、黄色いシャツのギガビョーゲンも口から禍々しい光線を吐き出す。

 

しかし、ギガビョーゲン二体の放たれた赤い光線の威力は凄まじく、攻撃の余波で周囲の木々が病気に蝕まれていく。

 

「っ、やはりギガビョーゲン、パワーが桁違いですね・・・!!!!」

 

改めてギガビョーゲンのパワーを思い知らされるプリキュアたち。

 

「でも・・・負けない!!!!」

 

「「はぁっ!!!」」

 

「ギガァ!?」

 

グレースはそう言い、光線を防いだままのシールドを出したまま飛んでいき、それと同時にフォンテーヌとスパークルは黄色いシャツのギガビョーゲンの両肩に蹴りを入れて、押し倒した。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「ウガァ!!」

 

一方、アースは犬型のギガビョーゲンに蹴りを繰り出し、対するギガビョーゲンは前足の爪を繰り出して攻撃がぶつかり合う。

 

4人はそのまま木へと着地する。

 

「ウガァァァァァ!!!!」

 

倒れていない犬型のギガビョーゲンは再び口から禍々しい光線を吐き出す。

 

「やらせないっての!!」

 

グレースとスパークルはシールドを木で覆うほどに大きくし、ギガビョーゲンの光線を再び防ぐ。

 

すると・・・・・・。

 

「うわぁっ!? か、怪物・・・!?」

 

「っ!?」

 

そこへ聞こえてくる男の子の悲鳴。フォンテーヌが思わず振り向くとそこには、りょうに連れられるとうじの姿があった。

 

「こっちよ・・・!!!」

 

りょうはそう言うととうじの手を引っ張って、ギガビョーゲン二体とは反対の方向へと走って行く。

 

「あ、待って!! とうじ!!!!」

 

フォンテーヌはりょうに連れられるとうじに手を伸ばして叫ぶ。

 

「フォンテーヌ、どうしたのですか!?」

 

「とうじが・・・とうじが・・・!!!!」

 

只ならぬ様子のフォンテーヌにアースが問いかけると、フォンテーヌが連れられるとうじの方を見ながら言う。

 

「とうじさんがどうしたのですか・・・? 安全なところに避難をしようとしているだけのようですが・・・」

 

「っ・・・・・・」

 

アースは避難しているだけで特に危険はないだろうと判断するも、フォンテーヌはりょうの正体を知っているために気が気でない。

 

「よそ見とは余裕だな!!」

 

「ギガッハァ・・・」

 

グアイワルの叫びに呼応するように、黄色いシャツのギガビョーゲンが再び口から赤い光線を吐き出そうとする。

 

「フォンテーヌ!!」

 

「っ・・・!!」

 

アースの叫ぶような言葉に、フォンテーヌは後ろ髪を引かれつつも共に飛び出す。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

「ギガァァァァ!?」

 

口から赤い禍々しい光線を吐き出す寸前で、フォンテーヌとアースは同時に両肩を蹴って暴発させ、再びギガビョーゲンを地面へと倒した。

 

「ウガァァァァァァァ!!!!」

 

「くっ・・・うぅ・・・・・・」

 

一方、犬型のギガビョーゲンは赤い光線を勢いをさらに強め、グレースとスパークルは押され始める。

 

「ふっ、はぁっ!!!!」

 

「ウガァ!!」

 

そこへ地面へと着地したアースが低く飛んで蹴りを食らわせようとするが、ギガビョーゲンは光線を吐き出すのを止め、飛んで避ける。

 

「っ・・・はぁぁぁぁぁ!!!!」

 

フォンテーヌが木の上に飛び移って、追撃をしようと蹴りを繰り出す。

 

「ウガァ!!!」

 

「うっ・・・きゃあぁぁぁ!!!!」

 

ギガビョーゲンはその場から前足を振り上げて、爪をフォンテーヌに向かって振り下ろし、力負けしたフォンテーヌは地面をバウンドして吹き飛ばされる。

 

「「フォンテーヌ!!」」

 

「ギガ!!」

 

「っ、あぁぁぁ!!!!」

 

「ギガァ!!!!」

 

「うあぁぁぁぁ!!!!」

 

グレースとスパークルは心配して叫ぶが、そこへ倒れていた黄色いシャツのギガビョーゲンが起き上がって左右の腕を振るって、二人を吹き飛ばす。

 

バシッ!!!!

 

「っ!?」

 

さらにギガビョーゲンが振るったパンチが木に当たって吹き飛び、それは倒れているフォンテーヌに直撃しそうになる。

 

それに気づいたアースはフォンテーヌの前に飛び出して、彼女を庇うように抱き止める。

 

ドガァッ!!!

 

「うっ・・・う、ぁ・・・・・・!」

 

アースの背中に木が直撃し、そのダメージによりアースは膝をついて倒れ伏してしまう。

 

「アース!!!!」

 

「だ、大丈夫、です・・・・・・早く、ギガビョーゲンを・・・・・・!」

 

ダメージを負ったアースを心配するフォンテーヌだが、アースは痛みに顔を顰めつつも立ち上がる。

 

「全く・・・攻撃を庇うなんてらしくないね」

 

ハキケイラはその様子を呆れつつも、不敵な笑みを浮かべていた。

 

「ウガァァァァァ!!!!」

 

そんな二人に犬型のギガビョーゲンが再び赤い禍々しい光線を吐き出す。

 

「っ・・・!!!」

 

フォンテーヌは前に出て、再びシールドを張って赤い光線を防ぐ。

 

「うっ・・・っ・・・!!!!」

 

アースは体をよろつかせながらも空中へと飛び上がり、アースウィンディハープを取り出す。

 

「音のエレメント!! ふっ!!」

 

ハープに音のエレメントボトルをセットすると、弦を奏でて音波を放つ。

 

「ウガァ・・・ガガァ・・・!?」

 

音波攻撃を受けたギガビョーゲンは赤い光線を吐くのを止めて、動きが鈍くなる。

 

「ふっ!! はぁっ!!!!」

 

「ウガァ!?」

 

その隙を見逃さず、フォンテーヌはシールドを解除して飛び出し、ギガビョーゲンの顎に蹴りを食らわせてよろつかせる。

 

「っ、はぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「ウガァァァ!?」

 

さらにアースが横からギガビョーゲンの頬に蹴りを食らわせて倒した。

 

「アース、ごめんなさい・・・!! 私が油断して・・・!!」

 

「話はあとで聞きましょう。まずはギガビョーゲンを・・・!!」

 

フォンテーヌは先ほどの攻撃を庇ってもらったことを謝罪するも、アースはまず目の前の怪物を浄化することを先決するべきだと諭す。

 

「ギガァ!!」

 

「「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

一方、グレースとスパークルは黄色いシャツのギガビョーゲンを阻止しようと腕を掴んでいたが、その場ですぐに振り払われてしまう。

 

グレースとスパークルは地面に着地し、フォンテーヌとアースと合流する。そこへ黄色いシャツのギガビョーゲンが迫る。

 

「フォンテーヌ!! 氷のボトルを使うペエ!!」

 

「ええ!!」

 

ペギタンのアドバイスを受け、フォンテーヌは氷のエレメントボトルを取り出す。

 

「氷のエレメント!! はぁっ!!!!」

 

ステッキに氷のエレメントボトルをセットして、冷気を纏った青い光線を放つ。

 

「ギガッハァ!!!!」

 

対するギガビョーゲンも口から赤く禍々しい光線を吐きつけ、二つの光線がぶつかり合う。

 

「ウガァァァァ!!!!」

 

そこへ起き上がった犬型のギガビョーゲンが飛び上がって、前足の爪による攻撃を繰り出し、3人は飛んで避ける。

 

「はぁっ!!!!」

 

「ふっ!!!!」

 

「ウガガァ!!!!」

 

空中でグレースとスパークルはステッキからそれぞれの色の光弾を連続で放ち、ギガビョーゲンの動きを鈍らせる。

 

「私は、こんなところでぐずぐずなんかしてられないのよ!!!!」

 

フォンテーヌが強く叫ぶと、冷気を纏った光線の勢いが強くなり、黄色いシャツのギガビョーゲンの赤い光線を押し返していく。

 

「私も参ります!!」

 

ハープを持ったアースがフォンテーヌの横へと出ると、空気のエレメントボトルを取り出す。

 

「空気のエレメント!! ふっ!!」

 

「ギ!? ギガァ・・・!?」

 

ハープに空気のエレメントボトルをセットし、空気の塊を放つ。赤い光線を吐いているギガビョーゲンの口に直撃し、空中へと浮いて遠くへと投げ出されたかと思うと爆発を起こし、ギガビョーゲンは地面へと落下した。

 

「何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 

自分の生み出したギガビョーゲンが劣勢になっているのを見ていたグアイワルは驚愕する。

 

「ウガァァァァァァ!!!!」

 

「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

一方、犬型のギガビョーゲンは赤い光線を吐きつけて、グレースとスパークルの二人を吹き飛ばす。

 

「グレース!!」

 

「スパークル!!」

 

吹き飛ばされた二人を、フォンテーヌとアースがそれぞれ受け止める。

 

「ウガァ!!!」

 

「っ・・・うっ・・・!!」

 

「くっ・・・・・・!!」

 

そこへ間髪入れずに、犬型のギガビョーゲンがグレースとフォンテーヌに飛びかかる。爪攻撃をシールドで防ぐ二人だが、あまりの力に押し負けそうになる。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

その隙をついて、スパークルとアースが同時にギガビョーゲンへと飛び出す。

 

「ウガァァァァァァ!!!!」

 

ギガビョーゲンは首だけ振り向くと、二人に目掛けて赤い光線を吐き出す。

 

「っ・・・!!」

 

スパークルとアースはとっさに体を翻して光線を避け、ギガビョーゲンへと迫っていく。

 

「雷のエレメント!!」

 

スパークルは雷のエレメントボトルを取り出し、ステッキにセットする。

 

「はぁっ!!!!」

 

「ウガガ、ガァ・・・!!!」

 

電撃を纏った光線を顔面に放ち、ギガビョーゲンを怯ませる。

 

「今だよ!!」

 

「せーのっ!!!」

 

「「やあぁっ!!!!」」

 

「ウガァ・・・!?」

 

その隙にグレースとフォンテーヌが同時にシールドを押し返して、ギガビョーゲンをフラつかせる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「ガァァァァァァァ!?」

 

そこへアースの強烈なドロップキックが直撃し、ギガビョーゲンを遠くへと大きく吹き飛ばした。

 

「ふーん、やるじゃないか」

 

ハキケイラは逆に自身のギガビョーゲンを追い込んでいることに感心を持っていた。

 

「みんな!!」

 

「はい!!」

 

「ええ!!」

 

「うん!!」

 

今がチャンスとプリキュアの4人はギガビョーゲン二体の頭上へと飛ぶ。

 

「ラテ、お願いします!!」

 

「ワウ〜ン!!」

 

アースの言葉に、ラテが大きく鳴き声を上げる。

 

「「「「ヒーリングっどアロー!!!!」」」」

 

4人がそう叫ぶとラテがステッキとハープ、エレメントボトルの力を一つにまとめた注射器型のアイテム、ヒーリングっどアローが出現する。

 

その注射器型のアイテムに、ハートの模様が描かれたエレメントボトルをセットする。

 

「「「「ヒーリングアニマルパワー!! 全開!!」」」」

 

ヒーリングアニマルたちのダイヤルが回転し、その注射器型のアイテムが4つに別れるとグレースにはラビリン、フォンテーヌにはペギタン、スパークルにはニャトラン、アースにはラテの部分で止まり、グレースたち4人の服装や髪型などが変化し始める。

 

そして、4人の背中に翼が生え、いわゆるヒーリングっどスタイルへと変化を遂げる。

 

「「「「アメイジングお手当て、準備OK!!!!」」」」

 

4人は手に持っている注射器のレバーを引くと、虹色のエレメントパワーがチャージされる。

 

「「「「OK!!!!」」」」

 

そして、パートナーのヒーリングアニマルたちがダイヤルから光となって飛び出し、思念体の状態になって現れ、パートナーに寄り添った。

 

「「「「プリキュア!ファイナル!! ヒーリングっど♡シャワー!!!!」」」」

 

プリキュアたちがそう叫ぶと、レバーを押して4色の螺旋状の強力なビームを放った。4色のビームは螺旋状になって混ざり合いながら、ギガビョーゲンへと向かっていき光へと包み込んだ。

 

ギガビョーゲンの中で4色の光は、それぞれの手になって中に取り込まれていた力を優しく包み込む。

 

ギガビョーゲンをハート状に貫きながら、4色の光線は力を外に出した。

 

さらにもう一体のギガビョーゲンにも向かっていき、光へと包み込む。4色の光は、再度それぞれの手になって中に取り込まれていた子犬を優しく包み込み、同じように貫きながら外に出した。

 

「ヒーリン、グッバイ・・・・・・」

 

「ヒーウォン、グッヴァイ・・・・・・」

 

二体のギガビョーゲンたちは、安らかな表情を浮かべながら消えていった。

 

「「「「「「「お大事に」」」」」」」

 

「ワフ~ン♪」

 

ギガビョーゲンが消えたと同時に、広範囲に渡って蝕まれていた木々が元の色を取り戻していく。

 

「ふんっ・・・今度はもっと強いギガビョーゲンを出してやる!!」

 

「本当に、もっと面白くなりそうだねぇ・・・・・・」

 

グアイワルは悔しそうにそう言い、ハキケイラは不敵な笑みを浮かべながら言う。

 

「ハキケイラ、帰るぞ!!」

 

「・・・・・・僕に指図しないでほしいな」

 

グアイワルは先に撤退し、ハキケイラも彼の態度に不快感を露わにしながら、その場から続くように姿を消していった。

 

「はっ・・・! とうじ!!」

 

フォンテーヌはふと連れて行ったとうじのことを心配し、去っていった方向を振り向く。しかし、二人は姿は当然ながらすでに消えていた。

 

「とうじ・・・っ・・・・・・」

 

「フォンテーヌ、どうしたのですか?」

 

突然取り乱したフォンテーヌを不審に思ったアースが声をかける。

 

「とうじが・・・連れて行かれたの・・・!!」

 

「?? とうじさんは一緒に避難していたではないですか?」

 

アースはギガビョーゲンとの戦闘中に一瞬ではあったが、とうじの姿を見ている。しかし、二人がどう見ても避難しているようにしか見えていないアースはそう答えるも、フォンテーヌは首を振る。

 

「違う・・・違うの! とうじと一緒にいたのは・・・!!」

 

「フォンテーヌ、どうしたの・・・?」

 

「え、全部解決したんじゃないの・・・??」

 

フォンテーヌが瞳を潤ませながら答えようとすると、グレースとスパークルも不審に思って声をかけた。

 

「とうじが大変なの!! とうじが・・・・・・!!」

 

「フォンテーヌ、落ち着いて!!」

 

フォンテーヌは焦っているせいかうまく話せず、グレースがなだめようとする。

 

「何があったのか、落ち着いて話して・・・!」

 

グレースはフォンテーヌの両肩に手を置いて、まっすぐ彼女の目と合わせながら言う。

 

その真剣な眼差しと言葉に、フォンテーヌは焦る気持ちを落ち着かせようと深呼吸をすると、ゆっくりと口を開いた。

 

「3人ともよく聞いてくれる? とうじがねーーーー」

 

フォンテーヌは落ち着いてゆっくりと話そうとした、その直後だった・・・・・・。

 

「クチュン!!」

 

「「「「っ!?」」」」

 

元気になっていたラテが再び体調を崩して、ぐったりとさせ始めたのだ。

 

「ラテ!!」

 

「また・・・どこかでビョーゲンズが・・・!?」

 

「あの二人で終わりじゃないの!?」

 

ビョーゲンズを撃退した直後に、再びビョーゲンズが現れた・・・・・・ここまではいつものことだったが・・・・・・。

 

「まさか・・・・・・!?」

 

察しの良いフォンテーヌだけが、声を震わせる。頭の中に最悪のシナリオを描いていて、表情を青ざめさせたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その少し前、りょうに連れられたとうじは・・・・・・。

 

「りょうお姉ちゃん、どこまで行くの?」

 

「・・・・・・・・・」

 

とうじは手を引っ張って連れていくりょうに問いかける。それもそのはず、りょうが来た場所は人気のない山の森の中だったからだ。

 

りょうは何も言わずに、森の奥へと入っていく。

 

と、りょうは開けたところで足を止め、とうじから手を離す。

 

「りょうお姉ちゃん・・・・・・?」

 

「・・・・・・・・・」

 

りょうはその場で立ち止まり、とうじは戸惑いながらも声をかける。

 

「ねえ、とうじくん・・・・・・」

 

「何?」

 

りょうは神妙な様子で口を開き、とうじは返事を返した。

 

「・・・・・・何で私がここにいるのか、疑問に思わないの?」

 

「え・・・・・・?」

 

りょうは逆にとうじへと問いかけた。首を傾げるとうじをよそに、りょうの口元は薄く笑みが浮かんでいた。

 

「ちゆから聞いてない? 私は病院にいたって」

 

「聞いてない、けど・・・・・・」

 

「あ、そうなんだ・・・・・・」

 

ちゆはどうやらとうじには話していないそうで、りょうは口元の笑みを消す。

 

「私、数ヶ月前に病院から行方不明になっているのよ。ここにいるっておかしいって思わない?」

 

「だって、りょうお姉ちゃんでしょ? 僕は思わないけど・・・・・・」

 

「そう・・・・・・」

 

りょうは改めて自分の詳細について説明して質問を促すが、とうじは戸惑いながらもおかしさを否定する。

 

「・・・・・・なんで私がここにいるかわかる?」

 

「りょうお姉ちゃん・・・どうしたの・・・?」

 

りょうはとうじの方を向いて問いかける。その表情は不敵に笑みが浮かべられていた。さすがに不審に思ったとうじが逆に問いかける。

 

「質問に質問で答えるのはなしよ。私の質問に答えてからね」

 

「えっと・・・わからない、けど・・・・・・」

 

とうじの戸惑ったような問いに、りょうが更に笑みを深くする。

 

「・・・・・・それはね」

 

パチン!!

 

りょうはその場で指を鳴らすと、彼女の姿が変化していく。

 

人間だった肌が薄い黄緑色の肌へと変わり、髪の色が雪のような白へと変わり、狼の耳のようなツノと反り返った悪魔のツノが4本生えてくる。顔の装飾は頬に氷のような青色のメイクがつき、服装が青いポンチョを身につけて黒いベルトをして、水色のズボンを履いたカウボーイを思わせる外見へと変貌した。

 

「ふふふ・・・・・・♪」

 

「りょうお姉、ちゃん・・・・・・?」

 

とうじはりょうが変貌を遂げていくことに、瞳に若干怯えの表情をのぞかせた。

 

「私が、こういう姿だからよ・・・!」

 

りょうはドクルンとしての姿、ビョーゲンとしての本来の姿を見せたのだ。

 

「あぁ・・・ぁぁ・・・・・・!!」

 

「とうじくんって本当に可愛い♪ ちゆ共々、私のものにしちゃおうかしら?」

 

とうじはこちらに歩み寄ってくるドクルンに、後ずさって距離を取ろうとする。

 

「っ・・・!!」

 

とうじはドクルンに背を向けて逃げようとするが・・・・・・。

 

「うわぁっ・・・!!」

 

いつの間にか足元に生えていた氷に躓いて転んでしまう。

 

「・・・ふーん、私から逃げるのね」

 

ドクルンは口元に浮かべていた笑みが嘘のように、無表情となりとうじを見つめた。

 

「ぁぁ・・・お姉ちゃん、助、けて・・・・・・」

 

「だったら、逃がさないようにこうするしかないわ」

 

とうじは恐怖で震えて大きい声が出せない。そんなとうじに、ドクルンは片手の指をパチンと鳴らして、黒い塊を出現させる。

 

「進化してください、ナノビョーゲン」

 

「ナノデス〜」

 

生み出されたナノビョーゲンは鳴き声を上げながら、とうじへと飛んでいく。

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

その瞬間、とうじの絶叫が森の中に響いたのであった・・・・・・。

 

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