ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
今回で原作第32話は終わります。

そして、次回の原作話はキーエピソードになります。お楽しみに。


第115話「姉弟」

 

その頃のプリキュアたち。フォンテーヌは体調不良になったラテに聴診器を当てていた。

 

(あっちの方でちゆの弟さんが泣いてるラテ・・・・・・)

 

「っ・・・嘘・・・とうじ・・・!!」

 

「とうじが・・・・・・ギガビョーゲンペエ・・・!?」

 

「そんな・・・!!」

 

フォンテーヌが察した通り、ギガビョーゲンにされたのは弟のとうじだった。

 

「とうじー!!!!」

 

「あ、待って・・・フォンテーヌ!!」

 

フォンテーヌは居ても立っても居られず、とうじが行った先へと駆け出していく。

 

「とうじ・・・とうじ・・・!!」

 

「落ち着いてください!! フォンテーヌ!!」

 

アースはフォンテーヌを引きとめようとするが、フォンテーヌはすっかり冷静さを欠いていて、駆け出す足を止めようとしない。

 

仕方なくグレース、スパークル、アースも先へと駆けていくフォンテーヌへと着いていく。

 

「さっき一瞬見えたけど、とうじくんを連れて行ったのはビョーゲンズだったのかな・・・・・・?」

 

「あたしには普通の女性に見えたけど・・・・・・」

 

「そのフォンテーヌの言うりょうという女性が、ビョーゲンズになりすましていたと考えられますね」

 

グレースたち3人はフォンテーヌを追う中、ほんのわずかだけ見ていたとうじと彼と一緒にいた女性について考えていた。

 

とうじの方向へと走っていくと・・・・・・。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「グレース?」

 

「ちょ・・・ちょっと待って・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

グレースが少し走っただけで息を切らし始め、それを不思議に思ったラビリンが声をかけると、グレースは3人を静止して足を止めてしまう。

 

「え? グレース、まだ少ししか走ってないよ?」

 

「はぁ・・・はぁ・・・お、おかしいな・・・毎日、走って・・・体力つけてるのに・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

スパークルが疑問に思ったことを、グレースは疑問に思っていた。毎日欠かさず、朝はランニングしているのに、少し走っただけで疲れを見せている。

 

ギガビョーゲンとの戦闘のせいなのか、それとも旅館で張り切りすぎただけなのか、そのどちらかはわからなかった。

 

「グレース、フォンテーヌが行ってしまいます・・・!!」

 

弟のことで頭がいっぱいのフォンテーヌは、グレースの静止も聞かずにどんどん先に行ってしまう。

 

「はぁ・・・後からついていくから・・・フォンテーヌを追って・・・はぁ・・・」

 

「・・・・・・わかりました」

 

「ちゃんと着いてきてよ!」

 

グレースがそう言うと、スパークルとアースはそれぞれそう言いながらフォンテーヌを追って行った。

 

「グレース・・・どうしたラビ?」

 

「わかんない・・・わかんないけど・・・追わなきゃ・・・!」

 

グレースは少しずつ息を整えつつも、3人の後を追っていく。

 

一方、一人走って行ったフォンテーヌは・・・・・・。

 

「っ・・・!?」

 

森の近くへと差し掛かっており、その森が赤く染まっているのが見えた。この近く、もしくは森の中にビョーゲンズととうじがいると、フォンテーヌは焦る頭でそう踏んだ。

 

フォンテーヌは止まらずに森の中へと突き進んでいく。

 

「フォンテーヌ、大丈夫ペエ・・・・・・?」

 

「っ・・・・・・・・・」

 

「ペエ・・・・・・」

 

ペギタンは焦っている様子のフォンテーヌに声をかけるも、彼女は耳を傾けているのかわからないほどに必死で駆けていた。

 

その様子を見ると、ペギタンはなんだか心配になってくる。

 

そんなことをしている間に、開けた場所へとたどり着く。そこには・・・・・・。

 

「っ!?」

 

「ギガァ!!!!」

 

フォンテーヌの目の前には、半纏を羽織った従業員のような姿のギガビョーゲンが口から禍々しい光線を吐きながら、周囲の自然を病気に蝕んでいる光景だった。

 

「とうじー!!!!」

 

フォンテーヌは居ても立っても居られずに、ギガビョーゲンへと駆け出していく。

 

「フォンテーヌ!! 一人じゃ無茶ペエ!!」

 

ペギタンは一人で突っ込むのは無謀だと静止を掛けようとするが、フォンテーヌはその場でジャンプをして飛び出してしまう。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「ギガァ・・・?」

 

「うっ・・・!!」

 

蹴りを繰り出そうとするフォンテーヌの背後に気がついたギガビョーゲンは振り向きざまにパンチを繰り出し、フォンテーヌを吹き飛ばして叩きつける。

 

フォンテーヌは傷つきながらも、立ち上がってステッキを構える。

 

「おやおや? あなたですか」

 

「っ!!」

 

そんなギガビョーゲンの脇から、進化態の姿をしたドクルンが姿を現した。

 

「ドクルン!!」

 

フォンテーヌは弟をギガビョーゲンにした張本人を睨みつける。

 

「フォンテーヌ!!」

 

「あれってドクルン!?」

 

「やっぱりあいつも進化してたのか!!」

 

そこへアースとスパークルも駆けつけ、スパークルとニャトランはドクルンの姿を見て、彼女が進化をしたと察する。

 

「ちっ・・・余計な奴が来ましたね。まあ、いいでしょう」

 

ドクルンは顔を顰めながら言いつつも、すぐに不敵な笑いに戻す。

 

「許せない!! よくも私の弟をギガビョーゲンに!!!!」

 

「私から離れようとするのが悪いんですよ。私を一人にしようとしたから」

 

フォンテーヌは怒りに任せて叫ぶも、ドクルンは笑みを消して悪びれもせずに言う。

 

「大体あなたも、そんなに大切ならどうして一人にしたんですかぁ?」

 

「っ、そ・・・それは・・・・・・」

 

ドクルンは怒っているような、無表情になっているような顔でそう指摘すると、フォンテーヌは動揺する。

 

「大切な存在なら、側にいるべきでしょ? いないってことはどうでもいいと思っていることですよ」

 

「違うわ・・・!! どうでもいいなんて思っているわけがない!! とうじは大切な弟よ!!」

 

ドクルンの煽るような言葉に、フォンテーヌは否定して反論する。

 

「そんなこと口ではいくらでも言えます。重要なのはあなたの行動でしょう。あなたが大切な存在と一緒にいたかどうか。本当は弟のことなんか好きでもないくせに」

 

ドクルンはフォンテーヌの言葉を逆に否定してそう言う。

 

「あなたはいつもそうです。そうやって本当のことを話さないで、自分を隠してばっかり。その癖他人のことばかりは気にしていて、ある一定の人の顔は見えなくなる、本当にムカつく・・・!!」

 

「何を、言っているの・・・・・・?」

 

ドクルンはそこまで話すと顔を俯かせ、フォンテーヌは彼女の言葉に戸惑う。

 

「言ったらどうなんです? 本当はとうじくんのことなんか、なんとも思ってないって」

 

「本当に何を言ってるのよ!? 私はとうじのことを大切に思ってるわ!! あなたに何がわかるって言うの!?」

 

ドクルンが再び煽るように言うと、フォンテーヌは反論して怒りの声をあげる。

 

「ふん・・・まあいいです。彼に証明してもらいますよ。ギガビョーゲン!! プリキュアを倒して、ここ一帯を蝕んでやりなさい!!」

 

ドクルンは不機嫌そうに鼻を鳴らすと、ギガビョーゲンに指示を出す。

 

「ギガ・・・ビョーゲン!!」

 

ギガビョーゲンは4本の腕についている布団のシーツのようなものを伸ばして攻撃を繰り出す。プリキュア3人は飛んで回避し、フォンテーヌはシーツの上を駆け上がってギガビョーゲンの顔に迫る。

 

「とうじ、やめて!!」

 

フォンテーヌは悲痛な叫びを上げながら、ギガビョーゲンへと飛ぶ。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

フォンテーヌはギガビョーゲンの顔面に蹴りを繰り出す。

 

「ギガァ・・・!!」

 

「っ、あっ!?」

 

「ギガァ!!!」

 

「あぁぁぁぁぁ!!!!」

 

しかし、ギガビョーゲンはとっさにシーツを顔の前に持ってきて蹴りを防ぐと、そのままフォンテーヌをシーツで包み込んで地面へと叩きつけた。

 

「やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

一方、スパークルもシーツの上を駆け出して、ギガビョーゲンに迫っていくが・・・・・・。

 

「ギガァ!!」

 

「っ、うっ!!」

 

「ギガギガ!!」

 

「きゃあぁぁ!!」

 

ギガビョーゲンのシーツ攻撃に、スパークルは避けていくも、避けきれずに拘束されてしまい、ギガビョーゲンはそのまま遠くへと投げ飛ばした。

 

「はっ!! ふっ!! はぁぁ!!!!」

 

アースはシーツ攻撃を掻い潜りながら避けていき、空中へと飛び上がる。

 

「音のエレメント!! ふっ!!」

 

アースウィンディハープを取り出し、音のエレメントボトルをセットすると弦を奏でて音波を放つ。

 

「ギガ・・・・・・!!」

 

ギガビョーゲンはとっさに全てのシーツを自分の前に持ってくると、音波攻撃を相殺して無効化する。

 

「そんな・・・!!」

 

「ギガビョー・・・ゲン!!」

 

アースが呆然とする中、ギガビョーゲンはシーツのような触手を引っ込めると、周囲に雑巾のような形をした赤く禍々しいものを生み出すと、それを一斉に放った。

 

「っ・・・くっ・・・あぁぁぁぁ!!!」

 

アースは空中に飛び出して避けようとするが、雑巾はブーメランのようにクルクルと回りながら飛んでいき、その変則的な動きに避けきれずに当たってしまう。

 

「ギガァ!!!」

 

「うっ・・・!!!!」

 

さらにギガビョーゲンはシーツを伸ばしてアースをグルグル巻きにして切り離し、そのまま地面へと転がせた。アースは首から下をシーツに包まれて、身動きが取れなくなってしまった。

 

「アース!!」

 

「ギーガァ!!!!」

 

フォンテーヌが心配して見るも、ギガビョーゲンはさらに追撃をすべく雑巾のようなものを飛ばす。

 

「っ、はぁっ!!!!」

 

フォンテーヌはとっさにアースの前に出て、ぷにシールドを張って防ぐ。

 

「っ・・・くっ・・・っ・・・!!」

 

ブーメランのように舞う雑巾攻撃は思いの外、威力が高くシールドに当たる度にフォンテーヌの手がジンジンと痺れ、フォンテーヌが顔を顰める。

 

「っ・・・!!」

 

その雑巾の一つがフォンテーヌの後ろへと迫っていく。

 

「フォンテーヌ!!」

 

そこへスパークルが飛び出して背後に立ち、同じようにシールドを張って防ぐ。

 

しかし、雑巾のブーメランは止む気配がなく、容赦無く二人を攻め立てる。

 

「ちょっと、これ・・・キツくない・・・??」

 

「あのギガビョーゲン、結構強いぞ・・・!!!!」

 

スパークルもニャトランもとうじが変貌させられたギガビョーゲンの強さを感じざるを得ない。

 

「ギガァ・・・・・・!!」

 

ギガビョーゲンは両肩についているバケツのようなものを向けるとそこから赤く禍々しい強力なビームを発射し、フォンテーヌの張ったシールドを撃ち抜いて直撃させた。

 

「うっ・・・強い・・・・・・!」

 

「攻撃をしても、あの触手で全て防がれちゃうペエ・・・・・・」

 

フォンテーヌとスパークルはダメージを負いながらも立ち上がる。

 

「ギガァ!!!!」

 

そこへギガビョーゲンは再びシーツの様な触手を伸ばしてくる。二人は散開して避けるが、触手は蛇のように襲い来る。

 

「うっ・・・っ・・・きゃあぁっ!!!」

 

フォンテーヌはシーツをかわしていくが、唐突にギガビョーゲンの拳を受けて吹き飛ばされる。

 

「フォンテーヌ!! くっ・・・うっ・・・うぁぁ!?」

 

スパークルは心配してフォンテーヌの方を見るも、彼女にもシーツが襲っており、避けきれずに上空へと吹き飛ばされてしまう。

 

「ギガァ!!!!」

 

「うっ!!!」

 

ギガビョーゲンはシーツを伸ばして、スパークルをアース同様にグルグル巻きにして、地面に転がせた。

 

「うーん・・・動けないぃ〜・・・!!!!」

 

アースと同じように首から下をシーツに包まれたスパークルは体に力を入れるも拘束は抜け出せず、身動きが取れなくなってしまった。

 

「スパークル!!」

 

こうして動けるのはこの場では、フォンテーヌしかいなくなってしまった。グレースは今だに到着していない。

 

「いいですね! あとはあなただけですねぇ」

 

「くっ・・・・・・!!」

 

「でも、一人いないみたいですねぇ。どこに行ってしまったんでしょうか?」

 

ドクルンが木の上で足をブラブラさせながらそう言い、一方のフォンテーヌは表情が強張って緊張感が走っている。

 

「「キュアスキャン!!」」

 

フォンテーヌは肉球を一回タッチして、ギガビョーゲンに向ける。ペギタンの目が光り、胴体の腹の部分に、膝を抱えて意識を失っているとうじの姿が見えた。

 

「とうじ・・・・・・!!」

 

フォンテーヌは焦りの心は生まれていても、弟を助けようとする意思は失われていなかった。自分の詰めの甘さが原因で、ビョーゲンズにつけ入れる隙を与えてしまい、ギガビョーゲンにされてしまった大事な弟。

 

そんな彼が怪物となって、地球を病気で蝕んでいるなんて聞いただけで、フォンテーヌは頭がどうにかなりそうだった。

 

「ギガァ!!!!」

 

「っ・・・・・・!!」

 

しかし、そんな意思とは裏腹にギガビョーゲンは躊躇なく両肩のバケツから赤い光線を放つ。フォンテーヌはそれを避けて、空中へと飛ぶ。

 

「はぁっ!!!」

 

フォンテーヌは空中で、ステッキから青い光弾をギガビョーゲンに目掛けて連続で放つ。

 

「ギガァ!!!」

 

ギガビョーゲンはシーツのような触手を自分の前に持ってくると光線を防ぐ。

 

「っ・・・・・・!!」

 

「ギガ・・・ビョーゲン!!」

 

「うっ・・・ふっ・・・!!」

 

顔を顰めるフォンテーヌを他所に、ギガビョーゲンは防御に使った触手をそのままフォンテーヌへと伸ばしていく。フォンテーヌは必死にそのシーツを避けていく。

 

「っ・・・くっ・・・うっ・・・!? きゃあぁ!!!!」

 

その後もシーツはしつこくフォンテーヌに襲いかかり、その度に避けていたが、ふとシーツがフォンテーヌの足に巻きつき、地面へと落とされてしまう。

 

「ギガァ!!!!」

 

ギガビョーゲンはそこへ両肩のバケツから赤い光線を放つ。

 

「っ・・・・・・!!!!」

 

フォンテーヌは対抗しようととっさにエレメントボトルを取り出す。

 

「雨のエレメント!! はぁっ!!」

 

ステッキに雨のエレメントボトルをセットし、雨粒を纏った青い光線を放ち、ギガビョーゲンの光線とぶつかり合う。

 

しかし、青い光線は赤い光線に呆気なく突破されてしまう。赤い光線は着弾して爆発し、黒い煙が舞う。

 

「「フォンテーヌ!!」」

 

スパークルとアースは叫びながら心配するも、フォンテーヌからの返事はない。しかし、黒い煙が晴れると、そこにはボロボロになりながらも立ち上がっているフォンテーヌの姿があった。

 

「くっ・・・・・・!!」

 

しかし受けたダメージが蓄積しているのか、少し体がフラついており、立っているのが辛そうな状態であった。

 

「もう限界じゃないですか? 諦めたらどうです?」

 

ドクルンが不敵な笑みを浮かべながら、小馬鹿にしたように言う。

 

「いいえ・・・私は諦めないわ!! 絶対にとうじを助けて見せるんだから!!」

 

「っ・・・・・・」

 

フォンテーヌの救う意思をなくさないことに、ドクルンは顔を顰める。彼女の頭の中にあることを思い出していたからだ。

 

『場所が離れても、私はあなたに会いに行くわ。約束よ』

 

『うん。約束・・・』

 

そう言ったはずのちゆ、しかし彼女は会いに来なかった。会いに来るって約束したのに・・・・・・!!

 

「勝負はついているくせに・・・・・・私は・・・・・・あなたのそういう煮え切らないところが大嫌いなのよ!! ちゆ!!」

 

「っ!?」

 

ドクルンはプリキュアの前で、滅多に見せない感情をあらわにする。その発言にフォンテーヌは驚いていた。

 

「ギガビョーゲン!! 潰してしまいなさい!!」

 

「ギガァ!!」

 

「っ・・・・・・!!」

 

ドクルンの怒りが篭った指示を受け、シーツの触手を再び伸ばしてきた。

 

「っ・・・ふっ・・・っ・・・!!」

 

フォンテーヌは迫り来るシーツを後退しながら避けていた。しかし、シーツはまるで生き物のように動きながら、フォンテーヌへと迫っていく。

 

「ふっ・・・くっ・・・!!!」

 

フォンテーヌは避けきれないシーツを蹴りで弾き返し、避けれるものは避けていくも、シーツの勢いは止むことがなく、フォンテーヌは追い詰められていく。

 

「っ・・・うっ・・・あぁぁ!?」

 

そして、シーツはフォンテーヌの背後を囲むように覆って逃げ場をなくした後、正面からのシーツでフォンテーヌの首から下をぐるぐる巻きにして拘束した。そして、そのまま地面へと叩きつけた。

 

「ギガビョーゲン・・・・・・」

 

ギガビョーゲンは拘束したフォンテーヌを持ち上げる。

 

「っ・・・うっ・・・!」

 

捕まってしまったフォンテーヌは苦痛に呻く。どんなに体を動かしても、全く身動きが取れない状態だ。

 

「「フォンテーヌ!!」」

 

「ふふふふふふ・・・!! とうとう捕まえたわよ!!」

 

ドクルンはプリキュア2人の表情とは逆に、満面の笑みを浮かべている。

 

「くっ・・・・・・!!」

 

「もう動けないでしょう? 頼みの二人も地面に転がってるし、もう一人はもう来ないみたいですし、私にとっては好都合ですねぇ・・・!!」

 

ドクルンはフォンテーヌを見下すように、見下ろすように言った。

 

「っ・・・!!!!」

 

「・・・あら、随分と反抗的な目ですね。痛めつけたら大人しくなりますかねぇ」

 

フォンテーヌは悔しそうな表情でドクルンを睨みつけると、ドクルンは小馬鹿にするような笑みを浮かべながら、ギガビョーゲンに片手で指示を出す。

 

キリキリキリ・・・!!!!

 

「ぐっ・・・うぅぅぅぅ・・・!!!!」

 

ギガビョーゲンはフォンテーヌを拘束しているシーツを締め上げ、フォンテーヌの顔が苦痛に歪み、さらなるうめき声をあげる。

 

「ふふふ・・・クルシーナの気持ちも少しはわかるわねぇ♪」

 

「うっ・・・くっ・・・っ・・・!!!」

 

ドクルンが笑みを浮かべながらぼそりと呟いている間にも、フォンテーヌはシーツで締め付けられて苦痛に呻いている。

 

「フォンテーヌ!! やめてください!!!!」

 

「フォンテーヌにひどいことしないでよ!!!!」

 

「・・・うるさいですね。負けた奴は黙ってなさい・・・!!」

 

スパークルとアースが非難の声をあげるも、ドクルンは不愉快そうな顔をして一蹴する。

 

「さてと、ギガビョーゲン。ここ一帯もそろそろ全部蝕んでやりなさい」

 

「ギガァ!!!!」

 

ドクルンに指示されたギガビョーゲンは、額のブラシのような部分から赤く禍々しい光線を放って、山一帯の木々をあっという間に病気に蝕んでいく。

 

「ふふふ・・・やっぱり病気に染まったところは眺めがいいですねぇ♪ さすがはとうじくん、生き生きとしてます♪」

 

恍惚としたような表情を浮かべるドクルン。しかも、ギガビョーゲンをとうじと重ねていて、一緒に病気を蝕んでいる感じがして、心地よかった。

 

「な・・・なん、で・・・・・・」

 

「ん?」

 

「なんで・・・とうじを、ギガビョーゲンに・・・したの・・・? りょう・・・!!」

 

「っ・・・・・・!!」

 

フォンテーヌは締め付けに苦しみながらも、弟を怪物にした理由を問いかける。その時に名前を言われたドクルンは顔を顰める。

 

「「「えっ・・・!?」」」

 

「ドクルンが、りょうペエ?」

 

スパークルとアースも驚いていたが、一番驚いていたのはペギタンだった。ちゆはいつの日か、自分に幼馴染のことを話してくれた。その彼女がまさか、ビョーゲンズになっているとは思わなかったのだ。

 

「・・・・・・気づくのが遅いのよ」

 

ドクルンは先ほどとは打って変わって、冷淡な口調になっていた。

 

「ちなみに聞くけど、いつ気づいてたの・・・・・・?」

 

「あなたが・・・とうじと、話してた、時よ・・・・・・。りょうが、いるわけがないと思って・・・見てたの・・・・・・とうじが連れて行かれて・・・ギガビョーゲンになってから、確信したの・・・ドクルンはりょうだって・・・・・・!」

 

フォンテーヌはギガビョーゲンがもう一体現れたことから、とうじを連れて行ったりょう、すなわちドクルンがりょうであると確信したのだ。

 

「本当に気づくのが遅いわ・・・・・・!!」

 

ドクルンはそれを聞くと、さらに不快そうに顔を顰めた。

 

「ねえ、ちゆ・・・最初に会ったとき、一緒にペットボトルのロケットを打ち上げたよね? 覚えてる??」

 

「っ・・・・・・!」

 

「一緒にお揃いのミサンガを買ったり、永遠の大樹で友情を誓ったりしたよね? それも忘れてない??」

 

「っ・・・・・・」

 

ドクルンはりょうのときの思い出を次々と話すも、フォンテーヌは目をそらして答えようとしない。後ろめたい気持ちがあるのか、今の彼女の顔を見たくないのか。

 

「っ、なんとか言いなさいよ!!!!」

 

キリキリキリキリキリ・・・・・・!!!!

 

「ぐっ、うぅぅぅぅ!!! うっ・・・くっ、うぅぅぅぅぅ・・・!!!!!」

 

ドクルンが睨みつけながら叫ぶと、その怒りに呼応するかのようにギガビョーゲンが先ほどよりも強く締め付け、フォンテーヌが苦痛の声を大きくする。

 

「ふん・・・まあ、いいわ。とうじくんをギガビョーゲンにした理由だっけ? 私から逃げようとしたからよ」

 

ドクルンが先ほどのフォンテーヌの質問に答え始める。

 

「逃げて離れたりしたら寂しいじゃない。だから、こうやって怪物にしたほうが、離れていかないでしょ?」

 

「まさか・・・それだけのためにとうじくんを・・・!?」

 

「そんな・・・信じられません・・・!!!!」

 

ドクルンがとうじをギガビョーゲンに変えた動機を、スパークルとアースは信じられないという反応を見せる。

 

「ゆる・・・さない・・・許さない、わよ・・・りょう・・・!!! 私の大事な家族に・・・手を、出すなんて・・・!!!!」

 

「許さない・・・・・・?」

 

フォンテーヌはドクルンを睨みつけながらそう言うも、ドクルンはある言葉に反応して再び顔を顰める。

 

「許さないのは私の方よ!!! あなたみたいな裏切り者に・・・!!!!」

 

「っ・・・!」

 

「大体、そんな格好で何ができるっていうわけ? 身動き一つ取れないじゃない。強がるんだったら、バカにだってできるのよ!!!」

 

ドクルンは思いの丈を叫ぶと、フォンテーヌが辛そうな表情をする。自分はりょうに何かひどいことをしてしまったのか、それを思い出せないのが余計に心を痛めていた。

 

そんなドクルンは静かになった途端、口元に笑みを浮かべる。

 

「でも私は寛容だから、あなたのそんな態度にしつこく怒ったりしないわ。許してあげる。あなたのその身一つでね」

 

ドクルンはそう言うと指をパチンと鳴らす。

 

「ギガァ・・・!!!!」

 

キリキリキリキリキリ・・・・・・!!!!

 

「くっ・・・うっ・・・ぅっ・・・ぁ・・・・・・!!」

 

するとギガビョーゲンは絞め殺さんばかりの強い力で締め上げ、フォンテーヌの表情は再び苦痛に歪み、呻き始めた。

 

「ふふふ・・・♪」

 

「うぁ・・・ぐっ・・・くっ・・・うっ・・・ぁ・・・ぁ・・・!!」

 

キリキリキリキリキリキリキリ・・・・・・!!!!

 

「ぁ・・・あぁ・・・くっ・・・ぅぁ・・・ぁ・・・ぁっ・・・」

 

ドクルンが不敵に微笑む中、ギガビョーゲンは容赦無くフォンテーヌを締め付ける。フォンテーヌは苦痛に耐えていたが、あまりの苦しさに表情から力が抜け始めた。

 

「っ、やめてください!!!!」

 

「フォンテーヌが死んじゃうよ!!!!」

 

スパークルとアースがギガビョーゲンを止めるように叫ぶも、ドクルンは冷たい目で二人を見下ろした。

 

「あなたたちは地面に這いつくばってなさい。ちゆはもうすぐで私のものになるんだから・・・・・・」

 

ドクルンは二人の言葉を払いのけると、再びフォンテーヌに視線を向ける。

 

「ちゆ・・・苦しいでしょうけど、すぐ楽になるわよ」

 

「うぅぅ・・・ぁっ・・・ぁ・・・ん・・・んぅっ・・・くっ・・・」

 

ドクルンにそう声をかけられるフォンテーヌはすでに顔に力がなくなっていて、弱々しい呻き声しかあげていない。意識も朦朧としている模様。

 

(とう・・・・・・じ・・・・・・)

 

フォンテーヌは薄めを開けながらも、視界のピントが合わずにギガビョーゲンがはっきりと見えない。それでも弟のことを思い続ける。

 

このまま絞め落とされるのも時間の問題かと思われた。その時だった・・・・・・。

 

「実りのエレメント!! ふっ!!」

 

「「っ!!」」

 

グレースの叫びが聞こえてきたかと思うと、スパークルとアースの拘束されていたシーツが破られて、拘束から解放される。

 

「「グレース!!」」

 

「はぁっ!!」

 

さらにグレースはピンク色の刃を飛ばして、フォンテーヌが拘束しているシーツが切り、解放されたフォンテーヌが力なく落ちていく。

 

そんなフォンテーヌを拘束から解放されたアースが受け止める。

 

「フォンテーヌ!! 大丈夫ですか!?」

 

「うっ・・・ケホケホッ・・・だ、大丈夫、よ・・・!!」

 

アースが心配して声をかけると、フォンテーヌは咳き込みながらも微笑みながらそう言った。

 

「っ・・・随分と遅かったじゃないですか・・・!!!!」

 

ドクルンはその様子に睨みつけつつも、口調は冷静を保っていた。

 

「っ・・・うぅ・・・!」

 

グレースは三人を助け出した後、その場に膝をついてしまった。

 

「グレース、大丈夫!? ちょっ、すごい汗なんだけど・・・!?」

 

「はぁ・・・はぁ・・・だ、大丈夫だよ・・・私は・・・まだ、戦える・・・・・・」

 

スパークルが近寄って気遣うも、グレースは手で静止してなんとか立ち上がる。その額には玉のような汗がポツポツと出ていた。

 

「グレース、ありがとう・・・少し休んでて、あとは私たちが・・・!!」

 

フォンテーヌはゆっくりと起き上がって立ち上がり、ステッキを構えながらそう言うが、グレースもフォンテーヌの隣に立つ。

 

「大丈夫・・・一緒に、とうじくんを助けよう・・・?」

 

「グレース・・・・・・」

 

グレースは強い意志を持ってそう言う。フォンテーヌはグレースの方をみると、彼女はお手当てをする意志を無くしていない表情だった。

 

フォンテーヌはその意志を感じ取ると、目の前のギガビョーゲンを見据える。

 

「・・・わかったわ。でも、無理はしないでね」

 

「うん・・・・・・」

 

二人はお互いの意思を確かめ合うと、改めてギガビョーゲンを見据える。

 

「そうやって他の女性にうつつをぬかして!! 私はそう言うあなたが大嫌いなのよ!! ちゆ!!」

 

ドクルンはグレースと絡んでいたことが気に入らなかったのか、怒りに任せてそう言うと手を広げる。

 

「ギガビョーゲン!! 余計なやつを潰してしまいなさい!!」

 

「ギガァ!!!」

 

ドクルンに指示されたギガビョーゲンは、両肩のバケツから赤い光線を放ってくる。

 

「葉っぱのエレメント!!」

 

グレースは葉っぱのエレメントボトルをステッキにセットすると、エレメントの力を纏ったピンク色の光線を放った。

 

ピンク色の光線と赤い光線がぶつかり合い、互いの光線を押し合う。しかし、明らかにギガビョーゲンの光線が強く、すぐに押し返されていく。

 

「ぐっ、うぅぅぅぅぅ・・・!!!!」

 

「押し返されるラビ・・・!!!」

 

グレースは謎のだるさが原因で光線を押し返すことができず、苦しそうな表情をする。

 

「火のエレメント!! はぁっ!!!」

 

スパークルが火のエレメントボトルをセットし、ステッキから火を纏った光弾を連続で放つ。

 

「ギ・・・ギガ・・・??」

 

ギガビョーゲンの顔面に光弾が当たり、怪物は嫌そうに顔を顰める。

 

「今ラビ!!」

 

「っ・・・はぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「ギ・・・ギガァ・・・!?」

 

ラビリンの言葉を合図に、グレースは残る力を振り絞って光線の勢いを強くし、赤い光線を押し返していく。

 

「空気のエレメント!! はぁっ!!!!」

 

「ギガァ!?」

 

アースはその隙間に入って、空気のエレメントボトルをハープにセットし、空気の弾を放ってギガビョーゲンを空中に吹き飛ばす。

 

「氷のエレメント!! はぁっ!!」

 

フォンテーヌは氷のエレメントボトルをセットして、氷を纏った光線を放った。空中にいたギガビョーゲンに命中し、氷漬けになって地面へと落下した。

 

「っ〜〜〜・・・!!」

 

ドクルンは珍しく悔しそうな表情を見せていた。

 

「ギガァ!!!!」

 

しかし、ギガビョーゲンは氷漬けから解かれるとすぐに起き上がって、こちらへと再び向かってきた。

 

「沢泉は・・・家族は・・・私が守る!!!! ラテ、お願い!!」

 

「ワウ〜ン!!」

 

フォンテーヌの言葉を合図に、ラテが大きく鳴き声を上げる。

 

「「「「ヒーリングっどアロー!!!!」」」」

 

4人がそう叫ぶとラテがステッキとハープ、エレメントボトルの力を一つにまとめた注射器型のアイテム、ヒーリングっどアローが出現する。

 

その注射器型のアイテムに、ハートの模様が描かれたエレメントボトルをセットする。

 

「「「「ヒーリングアニマルパワー!! 全開!!」」」」

 

ヒーリングアニマルたちのダイヤルが回転し、その注射器型のアイテムが4つに別れるとグレースにはラビリン、フォンテーヌにはペギタン、スパークルにはニャトラン、アースにはラテの部分で止まり、グレースたち4人の服装や髪型などが変化し始める。

 

そして、4人の背中に翼が生え、いわゆるヒーリングっどスタイルへと変化を遂げる。

 

「「「「アメイジングお手当て、準備OK!!!!」」」」

 

4人は手に持っている注射器のレバーを引くと、虹色のエレメントパワーがチャージされる。

 

「「「「OK!!!!」」」」

 

そして、パートナーのヒーリングアニマルたちがダイヤルから光となって飛び出し、思念体の状態になって現れ、パートナーに寄り添った。

 

「「「「プリキュア!ファイナル!! ヒーリングっど♡シャワー!!!!」」」」

 

プリキュアたちがそう叫ぶと、レバーを押して4色の螺旋状の強力なビームを放った。4色のビームは螺旋状になって混ざり合いながら、ギガビョーゲンへと向かっていき光へと包み込んだ。

 

ギガビョーゲンの中で4色の光は、それぞれの手になって中に取り込まれていたとうじを優しく包み込む。

 

ギガビョーゲンをハート状に貫きながら、4色の光線は力を外に出した。

 

「ヒーリン、グッバイ・・・・・・」

 

「「「「「「「お大事に」」」」」」」

 

「ワフ~ン♪」

 

ギガビョーゲンが消えたと同時に、広範囲に渡って蝕まれていた山の木々が元の色を取り戻していく。

 

「ふん・・・・・・」

 

ドクルンはその様子を見届けたあと、不機嫌そうに鼻を鳴らすと踵を返す。

 

「りょう!!」

 

「っ・・・・・・」

 

そこへ聞こえてくるフォンテーヌの声、ドクルンは足を止めて振り向いた。

 

「私は、あなたには負けないわ!! 私が必ず!! 元の優しいあなたに戻して見せるから!!」

 

「私を・・・元に戻す・・・? ふふふふふふ・・・あはははは!!!!」

 

フォンテーヌの決意を込めた叫びに、ドクルンは笑い声を上げる。

 

「やれるもんならやってみなさいよ。ちゆ・・・・・・私は諦めないからね・・・・・・」

 

ドクルンは淡々とそう言い放つと、その場から姿を消した。

 

浄化を終えて、変身を解いたのどかたち。ちゆは意識を失って倒れていたとうじを見守っていた。

 

「とうじ!! とうじ!!!!」

 

「っ・・・うっ・・・」

 

ちゆはとうじの体を揺らして声をかける。すると、とうじが顔を顰めてゆっくりと目を開ける。

 

「あれ、お姉ちゃん・・・?」

 

「・・・!!!!」

 

とうじは目を覚ますと、ちゆはとうじを抱きしめた。

 

「よかった・・・!! 本当に、よかった・・・!!!!」

 

「お・・・お姉ちゃん・・・苦しいよ・・・・・・!」

 

ちゆは涙を流しながら、とうじを助けることができたことを喜んだ。

 

「「「ふふふっ♪」」」

 

その様子をのどかたち3人はお互いに微笑んだ。

 

「帰りましょう・・・」

 

「・・・うん」

 

ちゆは優しく微笑みながら、とうじも少し頬を赤く染めていた。

 

旅館への帰路、とうじがこんなことを話していた。

 

「りょうお姉ちゃん・・・どこに行っちゃったのかな・・・?」

 

「っ・・・・・・!」

 

ふと呟かれた言葉に、ちゆは辛そうな表情をする。どうやらとうじはギガビョーゲンにされる数分前の記憶がないようだ。

 

しかし、りょうが実はビョーゲンズになっているだなんて、彼に言えるわけがない。だからと言って、このままとうじを心配させるのも酷だ。

 

「・・・・・・とうじ」

 

「??」

 

ちゆは少し考えた後、足を止めてとうじに声をかける。

 

「りょうは病院に戻ったわ。私、りょうと話をしたの。まだ治療の最中で、体調が好転したからここに戻ってきたんだって。今度はもっと元気になって、このすこやか市に戻ってくるって」

 

「りょうお姉ちゃんがそんなことを・・・?」

 

ちゆはそんなことを言いつつも、内心では心を痛めていた。今、言っているのはとうじを安心させるための嘘だ。こんな純粋なとうじに嘘をつかなければならないとなると、心が痛くなる。

 

そして、ちゆはとうじの肩に手を置く。

 

「だから、心配しなくていいわ。りょうは病気と必死で戦っているのよ。私たちが信じてあげないと、りょうも浮かばれないわ」

 

「・・・うん。そうだね。りょうお姉ちゃんも頑張ってるんだもんね」

 

ちゆのその言葉を聞いたとうじは笑みを浮かべる。どうやら彼女の言葉で心配が薄れてきたようだ。

 

「よ〜し!! 僕も、お客様のために、自分にできることを精一杯やって・・・いつかお姉ちゃんみたいになって、りょうお姉ちゃんに自慢できるようになって見せる!!」

 

とうじはそう話すと一目散に旅館へと駆け出していく。

 

(りょう・・・私は、あなたを絶対に元に戻す・・・!! とうじのためにも・・・)

 

そんな中、ちゆはりょうをビョーゲンズから解放することを誓ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、廃病院のアジトでは、クルシーナが地下で眠っているクラリエットの様子を見に来ていた。

 

クラリエットを包む赤い靄は、うねうねと生きているように激しく動いていた。

 

「・・・・・・・・・」

 

そんなクラリエットの異常がないことよりも、クルシーナが気になっているのはドクルンから受け取ったテラパーツだった。

 

「お父様も無茶苦茶なのよね・・・計画とはいえ」

 

クルシーナはキングビョーゲンが発した命令を思い返しながらそう呟いていた。進化を遂げろという命令、シンドイーネやイタイノン、ドクルンが進化したことから思いついた計画。

 

今までのダルイゼンや自分、グアイワルの成果を無視したかのように言い放ち、正直手柄を取られたような気分で面白くない・・・・・・。

 

「別にアタシは、こんなもの使う必要ないんだけどなぁ・・・・・・」

 

それに自分はこんなものを体に入れなくても、特に問題はない。私は姿を変化させなくても、ギガビョーゲンを生み出すことができるのだから。

 

「・・・・・・・・・」

 

でも、お父様も最近はうるさいし、他にだしぬける方法が思いつかない以上はこのテラパーツを中に入れるしかない。逆にいえば、人間を怪物にして地球を病気で蝕むのも面白そうだ。

 

クルシーナは再びクラリエットの方を見る。

 

「・・・クラリエットお姉様、アタシは正直いらないけど、進化するわ。別にアンタのためじゃなければ、お父様の為でもない。アタシ自身の目的のためよ」

 

クラリエットから返事は相変わらず返ってこないが、クルシーナはそう呼びかけた。

 

「まあ、いい加減お父様を痺れを切らしているみたいだしね」

 

クルシーナはそう言いながら、テラパーツを躊躇なく体の中に入れた。

 

ドックン!!!!

 

「っ!!!!」

 

その瞬間、クルシーナの体に激痛が走り、彼女の体から禍々しいオーラが溢れ出す。

 

「なるほどね・・・!! あいつらもこんな痛みを・・・でも、アタシはそんなのに屈しないわよ・・・!!!! アタシはビョーゲンズの、お父様の娘のクルシーナなんだから・・・!!!!」

 

クルシーナは顔を顰めつつも、強気にそう言い放った。

 

「ぐぅぅぅぅぅぅぅ・・・うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

そのまま口から咆哮をあげると、クルシーナの体は禍々しいオーラに包まれていき、その変化を遂げていく。

 

「っ・・・はぁぁぁあぁ!!」

 

そして、自らオーラを振り払うとクルシーナは進化した姿を晒した。

 

「ふふ・・・ふふふふふふ・・・!!!!」

 

自分の変化した姿を見ながら、クルシーナは含んだ笑いをこぼす。

 

「じゃあ、また来るわ・・・クラリエットお姉様」

 

クルシーナはそう挨拶を交わすと、部屋を後にしていく。

 

「フッ・・・・・・」

 

そして、眠っているはずのクラリエットの口元には笑みが浮かんでいたのであった。

 

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