ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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原作第33話がベースです。
物語のキーとなる、オリジナルの新キャラが登場します。

今回は話の導入部分を書いたので、いつもよりは短いです。
次回から、いろんなことが明らかになります。


第116話「先生」

 

ビョーキングダムーーーーそこでは、ダルイゼンが呼び出しを受けていた。

 

「どうした? ダルイゼン・・・我はお前にも進化しろと命じたはずだ」

 

「・・・・・・・・・」

 

ダルイゼンが問われていたのは、いまだにメガパーツを自分の中に入れて進化をしていないことだ。以前、キングビョーゲンはメガパーツを入れて進化するように幹部や娘たちに命じた。グアイワル、ヘバリーヌ、フーミンは進化を遂げたが、ダルイゼンだけは様子を見ようとしていなかったのだ。

 

今回、ダルイゼンが呼び出しを受けたのはそのことだ。なぜまだ進化を遂げていないのか? それをキングビョーゲンに詰め寄られているのだ。

 

「クルシーナはとうに終わらせているぞ? もしや、怖気ついたか?」

 

「そういうわけじゃ・・・・・・」

 

詰め寄るキングビョーゲンに対し、ダルイゼンがそう言うと・・・・・・。

 

「ならばわかっているな!!??」

 

「っ・・・・・・」

 

今まで見たことがない気迫のキングビョーゲンに押されて、思わずダルイゼンも黙って頷く。

 

「進化をして更なる力を得るのだ、ダルイゼン・・・!! 期待しているぞ・・・!!」

 

キングビョーゲンはそう言い放つと、霧のようにすっと消えていった。

 

キュイーン!

 

そこへ風の切るような音が聞こえてくると、背後からクルシーナとカスミーナが現れた。

 

「ダルイゼン、お父様に命令されてるでしょ? メガパーツを入れて、進化しろって」

 

「・・・それがどうかしたの?」

 

「早く入れなさいよ。お父様もいい加減アタシたちの活発な活動の進まなさに、痺れを切らしてるのよ」

 

「・・・・・・・・・」

 

クルシーナとダルイゼンが淡々と会話をすると、ダルイゼンはメガパーツを見つめる。そして、クルシーナの進化した新たな格好も見る。

 

髪型はワインレッドになっていて、頭には牛の形のようなツノと悪魔のツノの4本生えている。服装はマジシャンのような衣装から肩が露出した黒いフリルがついているドレス姿で、足には黒いタイツを履いており、背中にはコウモリのような羽が4枚生えている。顔の右頬部分には逆さまのハートマークがあり、両目はピンク色のアイシャドウがついている。

 

「・・・・・・お前のその格好にはなりたくないな」

 

「なんとでも言ったらぁ? 早く進化しろ」

 

「・・・・・・・・・」

 

クルシーナは嫌味を受け流して詰め寄ると、ダルイゼンは再度メガパーツを見つめる。

 

「・・・・・・カスミーナ」

 

「はい」

 

痺れを切らしたクルシーナがカスミーナに命じると、彼女はダルイゼンに近づいていく。

 

「やめろ!!!!」

 

ダルイゼンが珍しく怒鳴り声を上げる。カスミーナはそれに歩みを静止させた。

 

「何よ? アンタが躊躇してるから、手伝ってやろうと思ったのにさ」

 

「・・・いや、大丈夫だ。自分でいける」

 

クルシーナは不機嫌そうな表情を向けながら言うと、ダルイゼンは手を貸さなくてもできると主張する。

 

「でも、別にこれはキングビョーゲンのためじゃない。これは・・・俺のためだ」

 

「だったらさっさと入れな」

 

ダルイゼンはメガパーツを見ながら、そう言うと静かにメガパーツを自分の体の中に入れた。

 

ドックン!!!!

 

「・・・っ、ぐっ!? うぅ・・・うあぁぁぁぁぁ!!!! あぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

その瞬間、ダルイゼンから禍々しいオーラが溢れ出して苦しみ出し、やがて彼の口から絶叫が上がった。

 

「ふふふ♪ まあ、ダルイゼンの進化は楽しみにしておきましょうかね」

 

「そうですね・・・・・・」

 

クルシーナとカスミーナはそう言いながら、その場を後にしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン・・・♪

 

「それじゃあ、今日はこれまで。気をつけて帰れよ?」

 

ある日、いつものように学校の授業が終わり、担任の円山先生がそう言うと、生徒たちは下校をしたり、部活動に行ったりと散らばり始めた。

 

「ねぇねぇ、ちゆちー。今日部活?」

 

「ううん。朝練だけよ」

 

「じゃあ、夢ポート行かない? セール始まったんだよね・・・50%オフ。のどかっちも行こっ?」

 

ひなたは夢ポートに行くために、ちゆやのどかを誘い始めた。

 

「ごめんね。私、今日は約束があるんだ・・・・・・」

 

のどかが他の用事があると知り、ゆめポートに行くのを取りやめて下校し始めた。

 

「それで一日、ソワソワしてたのね」

 

「うん・・・・・・」

 

「何々〜? 家族でどこか行くの〜??」

 

「あのね・・・大好きな人に会えるの♪」

 

「大好きな人?」

 

「何それ〜? 恋バナ!?」

 

のどかたちが楽しげに会話をしながら歩き、正門付近までやってくる。すると・・・・・・。

 

「お〜い! のどかちゃ〜ん!!」

 

「「「っ??」」」

 

正門の外で、のどかを呼ぶ声が聞こえてその方向をみると、そこには1人の男性と女性が立っていた。

 

「蜂須賀先生!!」

 

「「?・・・えっ!?」」

 

のどかは目の前に立つ男性を見て喜んだが、ちゆとひなたは逆に驚いていた。

 

「誰??」

 

「先生と言っていたけど・・・?」

 

ちゆとひなたはお互いに顔を見合わせながら、もしやと思いながら男性を見ていた。

 

「? 先生・・・この人は?」

 

のどかは隣にいるポニーテールの若い女性を、蜂須賀先生に尋ねてみた。

 

「ああ、この人はね・・・・・・」

 

蜂須賀先生が説明をしようとすると、若い女性は自ら前に出る。

 

「そう言えば・・・のどかちゃんは私と話すのは初めてだったかしら?」

 

「あれ? なんで私の名前を知ってて・・・・・・?」

 

微笑みながらそう言う若い女性に、のどかは疑問を抱く。自分を病院時代にお世話をしてくれた先生はたくさんいたが、こんな綺麗な若い女性は見たことがない。

 

「私も、あなたが入院していた病院で、蜂須賀先生と勤務していました。中島と言います。よろしくね、のどかちゃん」

 

中島と名乗った若い女性は、のどかにそう微笑みながら見つめていた。

 

のどかたちは蜂須賀先生、中島先生と話す前に一旦帰宅。アスミを連れてハート型の展望台へと行き、そこに来ていたワゴンカフェに集まった。

 

そこでちゆとひなた、アスミはのどかから蜂須賀先生の話を聞く。

 

「へぇ♪ のどかっちのお医者さん!!」

 

「うん。入院してたとき、診てくれた先生なの♪ えっと、中島先生は・・・・・・」

 

のどかが中島先生のことを話そうとしたとき、中島先生は笑みを浮かべるとコートのポケットから一枚の写真を取り出してテーブルに置き、のどかたちに見せる。

 

「「「「??」」」」

 

のどかたちはその写真を見ると、そこには中島先生とその中に一人の少女が写っていた。少女は口元に微笑んでいたが・・・・・・。

 

「「「っ!?」」」

 

アスミ以外の3人はそれを見た途端に、驚いてお互いに顔を見合わせ始めた。この少女・・・・・・忘れるはずもないあの娘にそっくりだったのだ。

 

「「「えっ・・・!?」」」

 

「こ、この娘って・・・!?」

 

「?? この娘を知ってるの?」

 

のどかたちが思わず声を出したことに、中島先生は首を傾げる。

 

「ん? この少女はクルーーーーんっ??」

 

「そ、その・・・この娘は大昔の友達に似ていたから、びっくりしちゃったんです!!」

 

一人驚いていないアスミがその名前を出しそうになったとき、ちゆが慌てて口を塞いで静止しそう言うと、のどかとひなたもうんうんと頷く。

 

「あらそうなの? 私ね・・・この娘の主治医をやってたの」

 

中島先生はそう納得すると、写真に写っている少女について話した。

 

(中島先生って・・・・・・!?)

 

(しんらちゃんの主治医だったんだ・・・!?)

 

(なんか、話しづらいなぁ・・・・・・)

 

のどかたちは心の中で中島先生が来栖しんらの主治医であることに驚いていた。三人はしんらがクルシーナというビョーゲンズの一員になっていることを知っている。だから、思わず本当のことを口走ってしまいそうで、話しづらかった。

 

「お二人はどうして、こちらに来られたのですか?」

 

「纏ったお休みが取れることになってね。元気になったのどかちゃんの顔が見たくなったんだ。そしたら、中島先生ものどかちゃんのことを聞いて、その町に行くと言ってね・・・・・・」

 

「ええ。私ものどかちゃんが元気に過ごしているか見たかったの。私、この娘ーーーーしんらちゃんの主治医をやってたけど、病院で二人が仲良くしているのをよく見てたのよ」

 

「そ・・・そうだったんですか・・・・・・」

 

アスミが尋ねると、蜂須賀先生と中島先生はそう話し、聞いていたのどかは表情を暗くしながら答えた。

 

「お二人は、どういう関係なんですか?」

 

「病院の同僚さ。中島先生は素晴らしい先生でね。お互いに患者を対応して、一緒に病気を直していた中だよ」

 

「やめてください、蜂須賀先生。私は先生なんかより全然経験なんかないですよ。まだ主治医を勤められるようになったばかりの、駆け出しの医者です」

 

今度はちゆが尋ねると、蜂須賀先生が話し始め、中島先生は照れ臭そうに謙遜しながら言った。

 

「のどかはあの人とずっと手紙のやり取り続けてたんだろ?」

 

「ラビ。それで今晩、のどかの家族と一緒に食事をすると言ってたラビ」

 

その様子をハート型の展望台の上からラビリンたち、ヒーリングアニマルが見守っていた。

 

「早く着いたから、のどかちゃんが学校生活を送っているところを見たかったんだ」

 

「制服、似合ってたわよ、のどかちゃん」

 

「ふふふっ♪」

 

「仲良しの友達もたくさんできたんだって?」

 

「そうなの!!」

 

のどかと蜂須賀先生、中島先生が楽しく話している。

 

「初めまして。私、風鈴アスミと申します」

 

「ああ、君が!」

 

「こちらはラテです♪」

 

「ワン♪」

 

「こんにちは〜♪」

 

のどかが紹介するよりも先に、アスミが自ら先生たちに自己紹介を行った。

 

「同じクラスの沢泉ちゆです」

 

「あなたが沢泉のお嬢さんね♪」

 

「僕たちの宿は、沢泉にしたんだよ」

 

「そうだったんですね! ありがとうございます!」

 

ちゆは先生たちが止まることを知り、笑みを浮かべながら例を言った。

 

「ってことは、君が平光ひなたさんだ」

 

「うぇっ!? なんで知ってるの?」

 

「ははは。のどかちゃんの手紙に書いてあったからね」

 

「蜂須賀先生の手紙で、私たちはのどかちゃんが元気だってことを知ったのよ。元気でやっているみたいで、先生と一緒に安心していたわ」

 

ひなたが驚くと、蜂須賀先生と中島先生はそう話す。

 

「あっ!?」

 

「ワンワン!ワン!」

 

すると、ラテが蜂須賀先生の腕から離れて辺りを走り出した。

 

「ラテ!?」

 

「どうしたの〜!?」

 

そのラテをのどかとアスミが追いかけて行く。

 

「あははは♪ 先生抱き方下手なんだも〜ん!」

 

「いやぁ〜。ははは・・・・・・」

 

「先生は人の扱いは慣れていても、動物の扱いは慣れていませんもんね♪」

 

蜂須賀先生は苦笑しながら、ラテやのどかたちの方を見つめる。

 

「ラテ、お待ちください!!」

 

「ワンワン♪」

 

「もぉ〜、追いかけっこしたいの〜?」

 

辺りを駆け回るラテを見て、のどかたちはラテと一緒に追いかけっこを始めた。

 

「あははは♪ 待て待てー♪」

 

「待てー♪」

 

そこへひなたも参戦して、みんなで一緒に追いかけっこで遊んだ。

 

「のどかちゃんは元気そうね・・・・・・しんらちゃんもあんな風に元気だったらいいんだけど・・・・・・」

 

中島先生はのどかたちの方を見ながら、その表情はどこか寂しそうだった。

 

「・・・・・・・・・」

 

ふと中島先生の方に視線を向けた蜂須賀先生は、そんな彼女を静かに見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、沢泉の旅館では、のどかの両親と、家で世話になっているアスミ、蜂須賀先生、中島先生が客間で会食を行なっていた。

 

「ふふふっ、みんな美味しい〜♪」

 

「あーむ、モグモグ、ふわぁ、これも美味しい〜♪」

 

「本当、さすが沢泉ね!」

 

「素晴らしく上品で、繊細な味ですね」

 

のどかたちは旅館の料理に舌鼓をしていた。

 

「ちゆちゃんのおじいさんが板前なの!」

 

「おっ? 自分が褒められたみたいに〜」

 

「だってぇ〜」

 

「「「あはははは!!!!」」」

 

「・・・・・・・・・」

 

のどかたちが楽しく会話している中、中島先生だけは浮かない顔をしていた。

 

「あの・・・私がこんなところにいていいんでしょうか? せっかくの家族とお世話になった医者との水入らずなのに・・・・・・」

 

「気にする必要はないよ。僕の病院仲間だしね」

 

「そうですか・・・・・・」

 

中島先生は明らかな場違いにいることを話すも、蜂須賀先生は特に気にしていない様子だった。

 

そんな頃、ちゆの部屋ではちゆがラテにご飯を与えていた。

 

「ラテ、美味しい?」

 

「ワン♪」

 

ラテはちゆが与えてくれたご飯を食べて、満足げであった。

 

「ラビリンものどかと一緒にご馳走食べたかったラビ・・・・・・」

 

「今日は仕方ないペエ」

 

ラビリンは家族がいるために、沢泉の料理を食べることはできず、羨ましそうにしていた。

 

「お客様と同じものは無理だけど、みんなにも後で何か用意するわ」

 

「っ! やったぁ〜!! ラビ♪」

 

「ご飯が目的だったペエ・・・??」

 

ちゆがそう言うと、ラビリンはご飯が食べれると喜び、ペギタンは苦笑いしながら見ていた。

 

「それにしても・・・中島先生がしんらさんの主治医なのは驚いたわ・・・・・・」

 

「クルシーナにも、あんなに優しそうな先生がいたラビ・・・・・・」

 

「でも、なんでクルシーナになってしまったペエ・・・?」

 

ちゆたちは中島先生の話をし出し、あんなに優しい先生からどうしてしんらがクルシーナになってしまったのかと考えていた。

 

それからしばらく経ち、のどかたちは・・・・・・。

 

「モグモグ・・・ん〜♪ お腹いっぱいなのに食べらちゃう。どうしよ〜♪」

 

「すごい食欲ね。まだ食べれるくらいなんじゃないの♪」

 

のどかは料理をお腹いっぱいに食べた後、食後のデザートを美味しそうに食べている。中島先生はそう言いながら驚き、それ以外のみんなはそんな彼女を微笑ましげに見つめていた。

 

「? なぁ〜に?」

 

「うん。元気になったんだなって思ってね」

 

「うん!私ね、今と〜っても、生きてるって感じ♪」

 

のどかは蜂須賀先生の言葉に対して、生き生きしたような笑顔で元気に答え、のどかの両親はそれに微笑みながら見ていた。

 

「蜂須賀先生」

 

「??」

 

「改めて、本当にありがとうございました」

 

のどかの両親は蜂須賀先生に頭を下げながらお礼を言った。

 

「あっ・・・いいえ!僕は何も!!」

 

「先生が・・・根気よく見てくださったから、のどかは今、笑顔でいられるんです」

 

「こちら側からお礼に行かなきゃいけないところ、わざわざお越しいただいてーーーー」

 

「っ・・・・・・」

 

のどかの両親がそう言うと、蜂須賀先生は何やら少し顔を俯かせて、浮かない顔をしていた。

 

「実は・・・今日は休暇じゃないんです・・・・・・」

 

「と、いうと・・・・・・?」

 

「僕、病院を辞めました・・・・・・」

 

「「えっ・・・!?」」

 

「っ!?」

 

蜂須賀先生の告白に、みんなは驚き、特にのどかは動揺を隠せずにいた。

 

「・・・私も・・・・・・一緒に辞めました。数ヶ月前に・・・・・・」

 

中島先生も辛そうな表情で、言いづらそうにそう告白した。

 

「それはまた、どうして・・・・・・?」

 

「なんというか・・・・・・のどかちゃんの病気については、最後まで何一つわからずじまいで・・・・・・僕は医者でありながら、結局何もできませんでした・・・・・・」

 

「っ・・・それは・・・・・・!?」

 

蜂須賀先生の言葉に、のどかは先生のせいじゃない、病気は別の原因があるということを説明しようとしたが、あれがビョーゲンズの仕業であると言うことができず、口をつぐんだ。

 

「・・・・・・??」

 

中島先生はその様子を不思議そうに見つめている。

 

「それで、あまりの自分の無力さを痛感しまして・・・・・・」

 

「違うよ!!」

 

「えっ?」

 

「私、先生がいたから!! 先生が励ましてくれたから頑張れたのに!!」

 

蜂須賀先生のその言葉に、のどかはそんなことないと言う。

 

「ありがとう・・・・・・でも、励ますだけなら、医者じゃなくてもできると思うんだ」

 

「っ・・・・・・!!」

 

「だからねーーーー」

 

「違う・・・違うの!! 待って!! 私、聞いてくる!!」

 

のどかはそう言って勢いよく立ち上がると、客間を飛び出していく。

 

「のどかちゃん!?」

 

「えっ・・・?」

 

「のどか・・・・・・?」

 

「聞いてくるって、誰に・・・・・・?」

 

「・・・・・・・・・」

 

みんなが不思議そうな反応をする中、中島先生はのどかのことが気になっていた。

 

「っ・・・・・・・・・」

 

きっと・・・彼女は何かを知っている。自分が病気になった原因を・・・・・・。

 

そう考えた中島先生は瞑目すると、その場から立ち上がる。

 

「蜂須賀先生」

 

「??」

 

「私が・・・のどかちゃんのことを見てきます」

 

「あ、あぁ・・・・・・」

 

中島先生は蜂須賀先生にそう断りを入れると、客間の外へと出ていった。

 

「うぅぅ・・・・・・げっぷ」

 

「ごちそうさまペエ・・・・・・ぎっぷ・・・ニャトランにも食べさせてあげたかったペエ・・・・・・」

 

「そうね。また今度ーーーー」

 

その頃、ラビリンとペギタンはちゆの出してくれた料理を食べて、お腹が膨れるほどにいっぱい食べていて、床に転がっていた。

 

「ちゆちゃん、私だよ・・・!!」

 

そんな時、部屋の外からのどかの声が聞こえてきた。

 

「のどかラビ・・・!!!!」

 

「どうぞ」

 

ちゆの言葉に、のどかが勢いよく襖を開けて入ってきた。

 

「ラビリン!! ビョーゲンズのこと、蜂須賀先生に話しちゃダメかな?」

 

「「「えっ・・・!?」」」

 

「どういうこと・・・!?」

 

「先生、何もできなかったって思ってるの・・・ビョーゲンズの生でどうしようもなかったのに。それで先生がお医者さんを辞めちゃうなんて・・・そんなの、そんなのダメだよっ・・・!!」

 

「のどか・・・・・・」

 

のどかがラビリンに向かって、必死にそう訴える。しかし、そんなラビリンたちの表情はあまりいいものではなかった・・・・・・。

 

のどかが瞳を潤ませる中、ラビリンとペギタンはお互いに顔を見合わせた。

 

「お願い・・・ラビリン・・・!! 先生は何も悪くないって、私、伝えたいっ・・・・・・!!」

 

「・・・・・・事情はわかったラビ。でも・・・・・・」

 

「今すぐは無理ペエ・・・・・・」

 

「っ・・・・・・」

 

「テアティーヌ様に相談しないと、ラビリンたちだけでは決められないラビ・・・・・・」

 

「そんなっ・・・・・・」

 

ラビリンたちの答えを聞いたのどかは顔を俯かせて、悲しげな表情を浮かべていた。

 

そんな時だった・・・・・・。

 

「のどかちゃん、そこにいるの?」

 

「「「「っ・・・・・・!?」」」」

 

部屋の外から声が聞こえてくる。それは、のどかを追ってきた中島先生の声だった。

 

ラビリンたちは見られたらまずいため、慌てて部屋のどこかに隠れる。

 

「どうぞ・・・!!」

 

ちゆがそう言うとゆっくりと襖が開かれ、中島先生が部屋の中に入ってくる。

 

「中島先生、どうしてここに・・・・・・!?」

 

「あなたの様子がおかしいから、心配になって追いかけてきたのよ」

 

のどかが驚いていると、中島先生はのどかへと近づく。

 

「のどかちゃん」

 

そのままのどかの視線と一緒になるように座り込むと、彼女の肩に手を置く。その表情は真剣そのものだった。

 

「自分の病気について、何か知ってるの・・・・・・?」

 

「っ!?」

 

「知ってるなら、私に話してくれないかしら?」

 

「・・・・・・・・・」

 

中島先生が聞いてきたのはのどかの病気のことだった。のどかは驚いて目を見開くも、先生に話して困惑させるわけには行かず、先生から辛そうに目をそらした。

 

中島先生はそれを見ると、自分から口を開いた。

 

「・・・・・・私ね、自分の担当の娘、しんらちゃんの面倒を見ていたんだけど、あなたと同じで原因がわからなかったの」

 

「!!!!」

 

「しんらさんが、ですか・・・・・・!?」

 

中島先生がそう告白すると、のどかは驚いて先生の方を見る。ちゆもそう返すと、中島先生は彼女の方を見る。

 

「あなたも、何か知ってるのね・・・・・・」

 

「っ・・・・・・はい・・・・・・のどかから聞いてます・・・・・・」

 

中島先生がそう言うと、ちゆは観念したように肯定する。中島先生はそう聞くと、再びのどかの方を見る。

 

「私が病院を辞めた日はね、しんらちゃんが別の病院に移動した日なの・・・・・・」

 

「えっ・・・・・・?」

 

中島先生が俯きながらそう告白すると、のどかは再び驚く。しんらちゃんの病院が移動になった・・・・・・? そんなことは、設楽先生からも聞いていない情報だ。

 

「のどかちゃん・・・・・・あなたには、私を責める権利があるわ・・・・・・」

 

中島先生は寂しく微笑みながらそう呟いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなちゆの部屋の窓から一匹の小さなコウモリの妖精が夜空に向かって飛んでいく。

 

そのコウモリは旅館からハート型の灯台の方へと戻っていくと、その上に登っている一人の人物の肩へと止まった。

 

それは、進化を遂げていたクルシーナだった。プリキュアどもがいるコウモリの妖精を飛ばして、その様子を偵察させていたのだ。

 

コウモリはクルシーナに耳打ちするように近づける。

 

「・・・・・・あの先生、来てたんだ」

 

クルシーナは特に感情を変えることなく、淡々とそう呟く。あのプリキュアの青いやつが住んでいる旅館、その部屋の中にのどかと一緒にいた一人の女性ーーーー中島先生のことであった。

 

「ふん・・・今更何よ。のんちゃんのヤブ医者なんかと一緒にいてさ」

 

クルシーナは不機嫌そうにそう呟くと、コウモリの妖精の方を見る。

 

「引き続き、偵察を続けろ。何かあったら、また報告しろ」

 

クルシーナの命令に、コウモリの妖精は頷くように体を動かすと、再び旅館の方へと飛んで行った。

 

手下が飛んでいくのを見届けた後、クルシーナは灯台の上で寝そべり始めた。

 

「クルシーナ・・・・・・」

 

「・・・・・・何よ?」

 

「中島先生に、会わなくていいウツ・・・・・・? ビョーゲンズになってるけど・・・・・・」

 

帽子になっているウツバットが、クルシーナにそう問いかける。

 

「はぁ? 会いにいくわけないでしょ。向こうもどうせアタシのことなんか忘れてるわよ」

 

「そうとは限らないウツ・・・・・・中島先生は、クルシーナーーーーしんらのことを大切に面倒を見ていたウツ。そんな彼女が忘れるとは思えないウツ・・・・・・」

 

ウツバットの言葉に、クルシーナが不機嫌になり始める。

 

「お前はあいつのなんなわけ?」

 

「ウ、ウツ・・・・・・」

 

「大体・・・大切に思ってるなら、なんであんなことをしたんだって話よ。治す気なんかなかったってことでしょ? 医者なんか信用できるか」

 

クルシーナの気迫に、ウツバットは言葉を詰まらせる。言いたい放題言うと、そのままクルシーナは眠ろうと体を横向きにし始めた。

 

「・・・・・・・・・」

 

そんな時、何かを思いついたように目を見開くと、クルシーナは口元に笑みを浮かべる。

 

「まあ、でも・・・・・・会ってみるのもいいかもねぇ・・・・・・」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべながら、そう言ったのであった。

 

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