ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
中島先生にあった、しんらとの出来事とは・・・・・・??


第117話「罪と罰」

 

沢泉の旅館の廊下で、中島先生はのどかとちゆを連れて話をしていた。

 

「のどかちゃん、ちゆちゃん、ごめんね・・・いろいろと心配させちゃったみたいで・・・・・・」

 

「いえ! 私は特に気にしてないですよ!」

 

「・・・・・・・・・」

 

中島先生がそう言いながら謝罪をすると、ちゆは気にしないでという様子で話す。そんな中、のどかは顔を俯かせていた。

 

「中島先生・・・・・・」

 

「どうしたの?」

 

「『あなたには責める権利がある』って、どういうことですか?」

 

のどかが意を決したように、中島先生に問いかけた。すると、中島先生は寂しげな表情を浮かべながら、旅館の窓を見上げる。

 

「のどかちゃん・・・しんらちゃんはあなたの親友よね?」

 

「はい。しんらちゃんは一緒に治そうと誓った友達です」

 

「っ・・・・・・・・・」

 

中島先生が逆に聞くと、のどかは迷いなくしっかりと肯定する。それを聞いた中島先生は言葉を詰まらせながらも、口を開いた。

 

「・・・・・・私では、しんらちゃんの病気は治せなかったの。さっきも言ったけど、のどかちゃんとおんなじで、しんらちゃんの病気も原因がわからなかったの。いくら調べても、検査を行っても、病気がわからないままで、ずっと彼女を治せずにいたの」

 

「っ・・・・・・・・・」

 

中島先生がそう話すと、のどかも悲しそうに彼女を見つめる。

 

「そんな時ね・・・一本の電話があったの。それはね、私が助手だった頃に、世話になった先生ーーーー」

 

「っ・・・それって・・・!!」

 

中島先生の話に、ちゆは思い当たることがあって話を遮る。

 

「それって・・・設楽先生、ですか・・・・・・?」

 

「っ! 設楽先生を知ってるの・・・!?」

 

「会ったことがあります。ある街で危なくなったところを、彼に助けられました」

 

「そう、なの・・・・・・」

 

ちゆがその名前を出したことに、中島先生は驚く。ビョーゲンズによって奪われた街、そこで一人で戦っていた医者だ。

 

中島先生はちゆから会っていたという話を聞くと、何やら安堵したような表情を浮かべていた。

 

「・・・・・・設楽先生はね、私が助手時代にお世話になっていた先生なの。医者のノウハウや心得とかは、彼にいろいろと教わったわ」

 

「そうだったんですね・・・・・・!」

 

「話を戻すとね・・・・・・その設楽先生から電話があったの。しんらちゃんを最新鋭のあるそっちの病院を移すって。私はどうにかして移すことなく、病気をどうにかしたかったけど・・・・・・設楽先生からはお前にはまだ無理だ、って、言われたの・・・・・・」

 

中島先生は辛そうにそのことを話していた。初めての担当医としてしんらちゃんという患者を診察していた決意。しかし、病気を治せると確信したわけでもなく、設楽先生を説得することはできなかったのだ。

 

「私は・・・そのことで、自分に一人の患者を治せなかったって、今でも後悔してて・・・・・・それで、私は・・・・・・医者を辞める決意をしたの・・・・・・」

 

「・・・それほどに責任感が強かったってことですよね」

 

ちゆがそう言うと、中島先生は静かに頷く。

 

「私はその後も、しんらちゃんの身を心配して、設楽先生には何度も電話をかけたわ。でも、しんらちゃんを送ってから1ヶ月後に、連絡は取れなくなったの・・・・・・」

 

「そう・・・なんですか・・・・・・」

 

のどかは力なく呟いた。その連絡が取れなくなったということは、その時に彼女がビョーゲンズとなってしまったのだろうと考えていた。

 

「でも・・・・・・設楽先生は生きているのね!! 先生は、どこに・・・?」

 

「「っ・・・・・・」」

 

中島先生は表情を明るくしながら問いかけるが、逆にのどかとちゆの表情は暗かった。

 

「・・・のどかちゃん? ちゆちゃん?」

 

「・・・・・・設楽、先生は」

 

「・・・・・・私たちの前から姿を消しました。会ったと思ったら、いつの間にかいなくなっていたんです」

 

中島先生がなかなか答えようとしない二人に疑問に思うと、二人は辛そうな声で話した。本当は、設楽先生はビョーゲンズ、三人娘によって消滅させられてしまったのだが、彼女の前でそんなことは言えなかった。中島先生を心配させたくなかったのだ。

 

「そう、なの・・・・・・先生は、いなくなってしまったのね・・・・・・でも、先生がいるということがわかって、安心したわ・・・・・・」

 

「「っ・・・・・・・・・」」

 

中島先生に本当のことを言うことができず、肩身の狭い思いをする二人。

 

「しんらちゃんは、いた・・・・・・?」

 

「・・・・・・見て、ないです」

 

「っ・・・・・・・・・」

 

中島先生はその街で入院しているはずのしんらについても尋ねたが、のどかは言いづらそうな表情でそう答えた。その答えに中島先生は泣きそうな表情になる。

 

「・・・・・・しんらちゃん、まだ治って、ないのね」

 

中島先生の呟いた言葉に、二人は何も言うことができなかった。

 

「のどかちゃん・・・・・・私はね、しんらちゃんを治すことができなかったの・・・・・・そのまま、彼女を他の病院に引き渡してしまった・・・・・・だから、あなたには・・・私を責める権利があるわ・・・・・・」

 

中島先生は寂しそうな表情をしながら、のどかに呼びかける。

 

「私は、あなたの友達を・・・・・・あなたが治そうと誓っていた友達の、あなたを裏切ったの・・・・・・私は、罰を受けるべきだと思ってるの・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

中島先生の言葉に、のどかは少し考えるように黙った後、口を開いた。

 

「・・・・・・私は、責めません」

 

「っ?」

 

「私は、何があっても中島先生のことを責めたりなんかしません。私が病院に入院していたとき、しんらちゃんは笑顔だった・・・・・・しんらちゃんは楽しそうだった・・・・・・そんなしんらちゃんを笑顔にした中島先生が、責められるようなことをしたとは思えない・・・!!!」

 

「でも・・・・・・それはのどかちゃんと出会ったからかもしれないし・・・私は、しんらちゃんにはいつも逃げられてたわ・・・・・・結果的に、他の病院に送ってしまったから、私が悪いのは変わらないわ・・・・・・」

 

のどかは中島先生の責めることに否定し、逆に自分の言葉を主張する。しかし、中島先生の表情は変わらなかった。

 

「しんらちゃん・・・・・・私に話してたんです・・・・・・」

 

『私ね・・・・・・病院なんか嫌いだし、先生も好きじゃないの』

 

『え・・・・・・?』

 

『でもね、今私を見てくれている先生はね、嫌いなはずなのに、暖かくて、ほっこりとしていて、安心するの・・・・・・だから、なんか・・・・・・突き放せないんだ・・・・・・』

 

のどかはしんらが吐露していたことを話す。元々しんらは病院嫌いで、医者も毛嫌いしていた。中島先生も例に漏れず毛嫌いしていたが、他の先生とは違って逃げ出すばかりで避ける程度だったという。

 

「しんらちゃんが・・・・・・そんなことを・・・・・・」

 

「はい・・・・・・しんらちゃんは中島先生のことは信頼していたと思います。医者が嫌いって言ってたしんらちゃんが、そんなことを話していたから・・・・・・だから、先生のやっていることは決して、間違ってない・・・!!! 誰にも責任なんてないんです・・・!!!!」

 

のどかは中島先生は悪くないと、そう主張する。

 

「設楽先生がそう言って、中島先生が送ったのは仕方ないことだったんだと思います。先生は、病気で苦しむ人を見捨てない人でした。しんらさんのことも見捨てなかったと思います。中島先生が、精一杯やっていたことは、病院にいなかった私にも伝わります・・・責められることなんか何もないと思います・・・!!!!」

 

ちゆも中島先生にそう訴えかける。設楽先生は中島先生を信頼していないわけではなく、苦渋の決断だったと彼女は信じたかったのだ。中島先生はしんらのために頑張った、それだけで十分だと。

 

「・・・ありがとう、のどかちゃん、ちゆちゃん・・・二人のおかげで、少しは元気が出たわ・・・・・・」

 

中島先生は二人に微笑みながらそう答えた。

 

「のどか・・・ここにいたのですね」

 

「アスミちゃん・・・・・・」

 

「先生が呼んでいますよ」

 

そこへアスミがやってきて、蜂須賀先生の呼び出しがあると聞くとのどかは先生の元へと戻っていく。

 

のどかと蜂須賀先生の2人は沢泉の外に出て、近くの川沿いの道を歩いていた。

 

「ごめんね。なんだかすごく心配させちゃったみたいだね。のどかちゃん、僕はのどかちゃんにお礼を言いたくて来たんだよ」

 

「えっ・・・・・・?」

 

「僕が病院を辞めたのはね・・・実は、外国の研究機関に転職を決めたからなんだ」

 

「転職・・・・・・?」

 

「そう。病院で患者さんを治療することだけが、医者じゃないからね」

 

蜂須賀先生の言葉に顔を上げるのどか。

 

「それと、中島先生は、僕には着いていかない。このすこやか市の病院に勤めることになってる。僕が推薦状を出してね」

 

「中島先生が・・・ですか・・・・・・?」

 

蜂須賀先生のその告白に、のどかが驚いたような表情をした。

 

「先生、この街の病院に勤めるんですか・・・?」

 

「そうなの。蜂須賀先生からこのすこやか市の病院に推薦を出したって聞いてね。私、しんらちゃんを治せなかったあの日から医者を辞めようと思ってたの。でも、そこの病院に推薦して、選ばれたってことは、私が何かできることがあるんじゃないかって思ったの。こんな私でも、患者のために何かを・・・・・・」

 

中島先生は、一人になったちゆにそんなことを話していた。

 

「私・・・・・・しんらちゃんが他の病院に行ったことを、ずっと後悔してた。でも、二人がそういうことを言ってくれたから、私も少しは自信が持てそうなの」

 

中島先生はそう言うと、懐から一枚の紙を取り出す。

 

「これは・・・・・・?」

 

「しんらちゃんが、私に書いていた手紙よ」

 

ちゆがその手紙を取って、開いてみるとそこにはこんなことが書かれていた。

 

ーーーー中島先生へ

 

いつも、私のことを見てくれてありがとう。

 

病院生活は辛いし、食事もそんなに美味しくないけど、先生の笑顔だけは暖かいわ。

 

私、それを見ていると安心するの。

 

これからも、よろしくね。

 

来栖しんらーーーーー

 

そこには、しんらから中島先生への純粋な感謝の気持ちが書いてあった。

 

「私ね、少し励みになったの。医者をやってよかったって・・・・・・」

 

「先生・・・・・・しんらさんが、こんな感謝の気持ちを持っているなら、先生は全然酷い先生じゃありませんよ。しんらさんの病気が治っていなくても、しんらさんは笑顔だった。それだけで十分だと思います」

 

「ありがとう、ちゆちゃん・・・・・・私、もう少し頑張れそうよ」

 

中島先生は、微笑みながらちゆに感謝の言葉を述べたのであった。

 

その後、ちゆと中島先生はのどかと蜂須賀先生の様子を見に外へ出た。すると、橋の上で話している二人の姿が見えた。

 

「私・・・私ね・・・・・・ずっと助けてもらってばっかりで・・・グスッ・・・何も、できなくて・・・・・・グスッグスッ・・・そのせいで、先生がお医者さんを辞めちゃうなんて・・・酷いことしちゃったって・・・思って・・・・・・」

 

「僕に、前に進む決意をさせてくれたのはのどかちゃん、君だよ。ありがとう」

 

のどかは蜂須賀先生の話を聞き、涙を流しながら答えていた。蜂須賀先生はのどかにお礼を言いながら、右手をそっと差し出した。

 

「私・・・ちょっとだけ、先生の役に立ててたのかな?」

 

「ちょっとじゃないよ。すっごくだ!!」

 

蜂須賀先生にそう言われたのどかは明るい表情を見せる。

 

「ありがとう、先生・・・・・・」

 

「こちらこそ・・・・・・」

 

のどかと蜂須賀先生はお互いに握手を交わして、微笑み合う。

 

「のどかちゃん・・・よかった・・・・・・」

 

「ワン♪」

 

そんな様子を、ちゆとアスミ、そして中島先生が離れたところから見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、沢泉を出ようと準備を進める蜂須賀先生を、のどかは両親や中島先生と共に見送りに来ていた。

 

「それじゃあ、行きます」

 

「新しいお仕事、頑張ってください」

 

「忙しくなるでしょうけど、よかったらまた遊びに来てください」

 

「はい、ぜひ」

 

「先生、またお手紙書きます!」

 

「うん」

 

「そして、もう少し大人になったら・・・私が先生に会いに行きます!」

 

「ありがとう。楽しみにしているよ」

 

のどかは微笑みながら、蜂須賀先生と挨拶をかわす。

 

「蜂須賀先生、私・・・もう少し頑張りますね。このすこやか市で、少しでもみんなが笑顔になれるように・・・・・・」

 

「ああ。先生も頑張って・・・! すこやか病院の方には僕から連絡しておいたから」

 

「ありがとうございます・・・先生もお気をつけて。また、連絡しますね・・・!!」

 

中島先生と蜂須賀先生はそう挨拶をかわす。そして、蜂須賀先生は車に乗って、沢泉を去っていった。

 

「では、私もすこやか病院に挨拶に行ってきます」

 

「中島先生も頑張ってください」

 

「よかったら、のどかのことも見に来てください」

 

「はい!」

 

中島先生もそう言いながら、沢泉を離れて街の方へと向かっていった。

 

そんな中、すこやか市の街を出るトンネルに差し掛かった頃・・・・・・。

 

「・・・・・・ん?」

 

目の前に人影が見え、蜂須賀先生がクラクションを鳴らすも、その人影は道脇に退くことなく歩き続ける。

 

「あんまり実感ないけど・・・・・・」

 

蜂須賀先生の目の前を歩く、その人はそう呟きながら自身の手を見つめながら歩き続ける。

 

人物はその場に立ち止まると、その後ろを蜂須賀先生が車を止めると外へ出る。

 

「おい君! 真ん中歩いてちゃ危ないよ・・・!」

 

蜂須賀先生はその人物に注意をするが、人物は獲物を見つけたとでも言わんばかりに口元に笑みを浮かべる。

 

「試してみるか・・・・・・?」

 

「えっ・・・・・・?」

 

蜂須賀先生は不気味に笑うその人物に、不審感を抱いたのだった。

 

一方、その頃、のどかは・・・・・・。

 

「ナカッチ先生も、ハッチ先生も帰っちゃったんだぁ・・・・・・」

 

「ナカッチ先生・・・・・・?」

 

「ハッチ先生・・・・・・?」

 

「中島先生は、このすこやか市の病院に勤務する予定なんだよ」

 

ちゆやアスミと一緒に、ひなたの家の前のワゴンカフェで話をしていた。ひなたの年下らしくない名前の呼び方が気になりつつも、のどかは中島先生のことを話した。

 

「それマジ!? じゃあ、ナカッチ先生とはいつでも会えるね!!」

 

「ひなた・・・・・・その呼び方・・・・・・」

 

ひなたが驚いていると、ちゆは先生に対する呼び方に対して突っ込む。

 

「でもさぁ・・・のどかっち、ハッチ先生と別れて寂しい・・・・・・?」

 

「ちょっとね・・・でも、たくさん元気もらったから」

 

先生のことを思い出しながら、話すのどかを、ひなたたちは微笑みながら見つめる。

 

そんな時だった・・・・・・。

 

「クチュン!!」

 

「「「「「「!!??」」」」」」

 

「ラテ様!!」

 

「ビョーゲンズですね・・・・・・」

 

突然ラテがくしゃみをして、体調が悪くなるのを見たアスミは聴診器を取り出して、ラテに当てた。

 

(あっちで、のどかのお医者さんが泣いてるラテ・・・・・・)

 

「「「「「「えっ!!??」」」」」」

 

なんと、ビョーゲンズの被害を受けているのは蜂須賀先生だった。それを聞いたのどかたちは驚きを隠せなかった。

 

「みんな、急ぐラビ!!」

 

「「うんっ!!」」

 

ラビリンの言葉を合図に、皆は変身アイテムを取り出す。

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア、オペレーション!!」」」」

 

「エレメントレベル、上昇ラビ!!」

「エレメントレベル、上昇ペエ!!」

「エレメントレベル、上昇ニャ!!」

「エレメントレベル、上昇ラテ!!」

 

「「「「キュアタッチ!!」」」」

 

ラビリン、ペギタン、ニャトランがステッキの中に入ると、のどか、ちゆ、ひなたはそれぞれ花のエレメントボトル、水のエレメントボトル、光のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

アスミは風のエレメントボトルをラテの首輪にはめ込む。すると、オレンジ色になっているラテの額のハートマークが神々しく光る。

 

のどかたち3人は、肉球にタッチすると、花、水、星をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、水色、黄色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ちゆは水色、ひなたは黄色へと変化する。

 

ラテとアスミは手を取り合うと、白い翼が舞い、ラテが舞ったかと思うとハートの中から白い白衣のようなものが飛び出す。

 

その白衣を身に纏い、ラテが降りてきたかと思うとハープが飛び出し、さらにアスミは紫色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

衣装にチェンジした後、ハープを手に取り、その音色を奏でる。

 

キュン!

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。

 

キュン!

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身。

 

キュン!

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

ひなたは光のプリキュア、キュアスパークルに変身した。

 

「「時を経て繋がる、二つの風!」」

 

「キュアアース!!」

 

「ワン!」

 

アスミは風のプリキュア、キュアアースへと変身した。

 

「「「「地球をお手当て!!」」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!!」」」」

 

4人は変身後、蜂須賀先生の元へと向かったのであった。

 

その頃、中島先生はすこやか市の病院に向かって歩いていた。

 

新しい病院で、少しでも皆の笑顔になれるような医者を目指したい。中島先生は再出発の気持ちで、病院へと赴いていた。

 

そんな彼女は道の道中で、ある人影が歩いて行くのが見えた。

 

「っ!! あれは・・・あの娘は・・・??」

 

その姿は忘れもしない・・・・・・自分が主治医として、初めて担当した患者の女の子だ。

 

「しんらちゃん・・・・・・!!」

 

その女の子ーーーーしんらの名前を呼んだ中島先生は駆け出して行くが、女の子は気付かずに歩いていく。

 

中島先生は見失わないように懸命に駆け出し、しんらのその背中を捉えた。

 

「しんらちゃん、待って!!!!」

 

中島先生は叫ぶように呼び、彼女の背中を追う。ゆっくりと歩いて行くしんらとの距離が縮まって行く。

 

そして・・・・・・しんらがようやく気づいて背後を振り返った。

 

「っ・・・・・・!?」

 

しかし、中島先生が我に帰ると、それは人間ではない姿のしんらーーーークルシーナであった。

 

「久しぶりね、中島先生」

 

クルシーナは口元に笑みを浮かべながらそう言った。

 

「しんらちゃん・・・姿は違うけど、しんらちゃんよね・・・??」

 

「・・・そうよ。私がしんらよ」

 

「久しぶりね・・・しんらちゃん・・・!!!!」

 

中島先生は瞳を潤ませながらも、その表情は明るかった。自分が担当していた大切な患者が、目の前に現れたからだ。その一方で、クルシーナは不機嫌そうな表情で目を逸らした。

 

中島先生とクルシーナは、近くの公園へと場所を移動した。

 

「元気でよかった・・・・・・私、あの時・・・あなたにしてしまったことで、後悔ばかりが募ってて・・・・・・!!」

 

「・・・・・・別にそれはいいわよ。もう過ぎたことだし」

 

中島先生が申し訳なさそうに言うと、クルシーナは不機嫌そうな表情を崩さないまま素っ気なく言う。のどかたちに励まされたものの、中島先生は完全に吹っ切れてはいなかったのだ。

 

「それよりもさぁ、申し訳ないって本当に思ってるの? 私をあんな地獄へと送り込んでおいてさぁ?」

 

「っ・・・・・・思ってるわ。私の力不足が原因で、あなたを他の病院に送ってしまったんだもの。私は・・・あなたに裁かれてもいいと思ってる・・・・・・」

 

クルシーナは顔を顰めながらそう言うと、中島先生が申し訳なさそうに言い、クルシーナがさらに顔を顰める。

 

すると、クルシーナは中島先生に背を向け始める。

 

「ねぇ、先生・・・・・・私が別の病院に送られた後、どんな地獄を見たか知ってる? 病気は治らないって言われたのよ。それを先生に突きつけられた私が、どんな思いをしたかわかる?」

 

「っ・・・あぁ・・・ぁぁ・・・・・・!!」

 

中島先生はクルシーナの言ったその言葉にショックを受ける。しんらはその病院に送られても、病気が改善していなかったのだ。やはり、あの病院に送ったことは間違いだったのだ。

 

(あぁ・・・やっぱり、私は・・・・・・)

 

中島先生は、そんなことを言ったクルシーナがどうしてこの街に来ているのか疑問に思うこともできないぐらい、精神的にダメージを受けていた。

 

「ねぇ先生、申し訳ないと思ってるなら、態度で示してくれない? 言葉だけだったらいくらでも言えんのよ、そんなこと・・・!!!!」

 

「っ・・・・・・・・・」

 

そうすると中島先生はクルシーナに近づくと、彼女の手に触れる。

 

「・・・!!!!」

 

クルシーナはそれに顔を顰めるも、中島先生はそれを自分の首の方に持ってきた。

 

「さあ、しんらちゃん・・・私を・・・・・・」

 

「っ・・・!!!!!!」

 

「あっ・・・!?」

 

自分に首を絞めてくれと言われたクルシーナは目を見開くと、その手を弾き飛ばす。勢い余って、中島先生は地面へと倒れてしまう。

 

「バカなんじゃないの!!?? 本当に相手に首を絞めさせるようなヤツがいるかっての!!!!」

 

クルシーナは中島先生を見下ろしながら、珍しく激昂する。何か情が残っていたのか、気持ち悪くなったクルシーナは思わず彼女を突き飛ばしたのだ。

 

「でも・・・・・・治らなかったなんて聞いて、私はどうしたら・・・・・・」

 

中島先生は悲しそうな声でそう言いながら、再び立ち上がるとクルシーナの手に肩を置く。

 

「しんらちゃん・・・・・・私、自分のしてきたことが重くのしかかって、苦しいの・・・・・・ねえ、私に罰を与えて・・・・・・」

 

「ちょっと、先生・・・・・・!!」

 

「早く、私に罰を与えて!! あなたを治すって約束も守れなかったんだから、嘘つきって言って!!!」

 

「っ・・・・・・!!!!」

 

「早くしてよ!!!! 私は・・・自分の罪を背負ったまま・・・生きれるほど・・・・・・強い女性じゃないの・・・・・・!!!!」

 

中島先生はクルシーナに詰め寄っていき、クルシーナは戸惑いの声をあげる。クルシーナが珍しく躊躇していると、中島先生は激しくすがりついて声も大きくなり、最後には嗚咽を漏らし始めた。

 

「っ・・・・・・・・・!!」

 

「きゃっ!?」

 

クルシーナは困ったような表情をしながら俯かせるも、両手を震わせると中島先生を突き飛ばした。

 

「ああ、そうかい・・・そんなに罰を与えて欲しいんだったら、望み通りにしてやるよ!!!!」

 

「っ・・・あぁ・・・これで、私も・・・・・・」

 

「っ・・・・・・・・・」

 

クルシーナは真面目に怒りの声をあげると、中島先生は安堵の表情を浮かべて立ち上がり、目を瞑りながら受け入れるかのように腕を大きく広げる。

 

どこに情があったのか、躊躇して顔を俯かせるクルシーナ。やがて、目をギュッと瞑って体を震わせると、もう覚悟を決めたように目を見開いた。

 

手のひらに息を吹きかけて黒い塊を出現させる。

 

「進化しろ、ナノビョーゲン」

 

「ナーノー」

 

生み出されたナノビョーゲンが鳴き声を上げると、中島先生へと飛んでいく。

 

「・・・・・・・・・」

 

中島先生は何も悲鳴を上げず、受け入れるような体勢のままナノビョーゲンに取り込まれていく。

 

その取り込んだ中島先生を主体として、巨大な怪物がかたどっていく。凶悪そうな目つき、不健康そうな姿、そしてその素体を模倣する様々なものが姿として現れていき・・・。

 

「ギガビョーゲン!!」

 

聴診器を首から下げた看護師のような姿のギガビョーゲンが誕生した。

 

「っ・・・・・・・・・」

 

中島先生がギガビョーゲンになったのを見た、クルシーナはスッキリしたような様子がなく、何とも言えない表情を浮かべているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その数分前、すこやか市の外れにある岬・・・・・・その周辺では・・・・・・。

 

「ギィ・・・ギィ・・・!!!」

 

額には額帯鏡、両手にはゴム手袋、腹部には無影灯のようなものを身につけ、白衣を纏った医者のような姿をしたギガビョーゲンが額からビームを放ち、辺りを蝕んでいた。

 

「へぇ・・・凄いじゃん。確かに・・・進化したみたいだね・・・・・・」

 

その様子を見つめる人物は、笑みを浮かべていた。

 

「ダルイゼン様」

 

「っ? カスミーナじゃん。何しに来たの?」

 

そこへ現れたカスミーナが声をかけ、人物ーーーーダルイゼンは背後を振り向く。

 

「クルシーナ様に援護をしてこいと言われました。一人で行動したいからと・・・・・・」

 

「・・・・・・あいつ、余計なことして。まあいいけど・・・・・・」

 

カスミーナから事情を聞くとダルイゼンは顔を顰めつつも、特に気にしないことにした。

 

すると、そこへ・・・・・・。

 

「「「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」」」

 

「ギガ・・・?」

 

上空から現れたプリキュアたちが同時にギガビョーゲンの背中にキックをは放ち、そのまま地面に着地する。

 

「・・・来たね、プリキュア」

 

「また、邪魔をしに来たのか・・・・・・!!!!」

 

「はっ・・・ダルイゼン!!」

 

「かすみっち!!」

 

ダルイゼンとカスミーナが後方から声をかけ、グレースたちが振り向く。

 

「っ・・・ダルイゼン、あなた!!!」

 

その中の一人、ダルイゼンの姿が変わっていることに気づいたグレースが驚きの声をあげる。

 

進化前よりも赤黒くなったコート、背中に生えた黒い翼、左目付近にはピンク色の模様といったように、進化したシンドイーネやグアイワルのような姿になっていた。

 

「嘘っ・・・ダルイゼンまで進化しちゃったの!?」

 

「邪悪な力が増しているのを感じます・・・・・・!!」

 

「とにかく、ギガビョーゲンを止めないと・・・・・・!!!!」

 

グレースたちはダルイゼンからギガビョーゲンの方へと向き直ると・・・・・・。

 

「「「「っ・・・・・・!!!」」」」

 

彼女たちの前に黒い光弾が連続して放たれ、発生する土埃に彼女たちが思わず顔を覆う。そして、カスミーナが4人の前に姿を現し、こちらを睨みつける。

 

「・・・させると思うか?」

 

「かすみちゃん・・・・・・!」

 

「ビョーゲンズに仇なす者に、私が引導を渡してやる・・・・・・!!!!」

 

カスミーナはそう言うと、手のひらに息を吹いて黒い塊を作り出す。

 

「ナノ・・・・・・」

 

生み出されたナノビョーゲンは素体ではなく、カスミーナが持っているステッキに取り憑く。

 

「えっ・・・・・・?」

 

「ナノビョーゲンが、かすみのステッキに入ったラビ・・・!?」

 

グレースとラビリンが戸惑う中、カスミーナは次に懐からボトルのようなものを取り出す。それは以前、ドクルンにもらった丸い円の中に噴水のように分かれた3枚のプロペラのようなマークが描かれた病気のような赤色のボトルであった。

 

「っ・・・あのボトルは!?」

 

「今まで見たことがないボトルペエ・・・!!!」

 

「何やら、とてつもない邪悪な力を感じます・・・!!!!」

 

プリキュアたちはカスミーナが持っているエレメントボトルに警戒心を強める。

 

そして・・・・・・。

 

「プリキュア、インフェクション・・・・・・」

 

カスミーナはナノビョーゲンが取り憑いたステッキに持っているエレメントボトルをかざす。すると、かすみのステッキのエネルギーが上昇していく。

 

「イルネスレベル、上昇・・・・・・」

 

ステッキのエネルギーが上昇して、赤黒く光っていく。

 

「キュアタッチ・・・・・・」

 

ナーノー!!

 

カスミーナは肉球にタッチすると、紫色がかった赤い靄が放出され、カスミーナの体を包み込む。

 

すると、髪型は大きくのびてロングヘアーとなり、ダークパープルのような色へと変わり、リボンの色は銀色になり、前髪に黒色の楕円のようなカチューシャが付けられ、赤黒いバラのようなイヤリングが付けられる。

 

服装も赤い靄に包まれたところから変化していき、胸に逆さハートの飾りをあしらったパフスリーブのダークパープルのワンピースへと変わり、手袋は黒色になり、足元は赤黒いショートブーツへと変わった。

 

ナーノー!!

 

「淀み合う二つの災厄!! キュアハザード!!」

 

カスミーナは病気のプリキュア、キュアハザードへと変身を遂げたのであった。

 

「嘘・・・・・・!?」

 

「かすみが、プリキュアになった、だと・・・!?」

 

「そんな・・・・・・!!」

 

「プリキュアは、心にキュンと来るパートナーがいないと変身できないはずラビ!!」

 

スパークルとニャトラン、グレースとラビリンが信じられない様子でプリキュアになったカスミーナを見る。

 

「・・・ふん、プリキュアがお前たちだけの専売特許だと思うなよ」

 

カスミーナは口元に笑みを浮かべながらそう言った。

 

「きっと・・・りょうの仕業ね・・・!! りょうはいろんなものを作るのが趣味だったから、きっとビョーゲンズの力でエレメントボトルを作り出して、かすみに与えているに違いないわ・・・・・・!!!」

 

フォンテーヌはかすみがビョーゲンズに入って力を得たのは、友人であるりょうーーーードクルンが生み出したものだと推測するも、その表情は緊張感に溢れていた。

 

「いくぞ・・・・・・!!!」

 

カスミーナはこちらを睨みながら、ゆっくりと禍々しいオーラを放つ黒いステッキをこちらに構えたのであった。

 

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