ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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第11話、後編になります。


第11話「怨恨」

 

のどかの母、やすこが働くすこやか運送の建物へと走るひなた。いちご農園とは別に発生したメガビョーゲンを浄化するためだ。

 

しかし、ひなたは向かいつつも、後ろめたいことがあった。

 

「のどかっち、大丈夫かなぁ?」

 

「のどかにはラビリンがついてるんだぜ! 大丈夫ニャ!」

 

のどかの病気で寂しい思いをしたという話を聞いた時、彼女をできるだけ寂しい目には会わせたくないと思った。だから、一刻も早くのどかの元には戻りたい。

 

だが、彼女には心強いパートナーがいる。だから、負けない。彼女は病気に侵されようとも。

 

親友のことが気がかりなひなただが、でもメガビョーゲンは放っておけない。

 

ひなたとニャトランは、そう思いながら走っていくが・・・。

 

「うぇぇ!?」

 

「ニャ!?」

 

ひなたは驚いて思わず足を止めた。なんと、すこやか運送へと向かう道が、家も、草木も真っ赤に侵されていたのだ。

 

「う、ウソ・・・もうこんなに広がってんの!?」

 

「早く行くニャ!!」

 

動揺するひなたに、ニャトランが発破をかける。

 

ここからまだ少しすこやか運送へは距離がある。ここまで侵されているということは、難しいことはわからないけど、メガビョーゲンの蝕む速度がむっちゃ速くて、強くなっているという・・・。

 

とにかく急いで走っていくひなたと、ニャトラン。地面も赤く病気に蝕まれていて、駆けるたびにピチャピチャと音がする。正直言って、気持ちが悪い。

 

でも、そんなことを言ってはいられない。早くメガビョーゲンを浄化して、のどかっちの元へ。

 

ようやく建物にたどり着くと、そこは凄惨な光景があった。

 

「ああ!?」

 

建物から地面、草木、トラック、そして看板までもが病気に侵されていた。

 

「のどかっちのママの仕事場が・・・!」

 

光景に絶句するひなた。もう見ているのが嫌になるくらいの、真っ赤な景色・・・。

 

周りを見渡すもメガビョーゲンの姿は見当たらない。まさか、この場所から移動したのか・・・?

 

「! ひなた、あっちニャ!!」

 

ニャトランが指をさすと、山の方へと向かう道が病気が蝕まれているのが伸びているのが見えた。

 

「あっちへと向かったってこと?」

 

「たどれば間違いないニャ! 早く行って浄化を!」

 

「うん!」

 

ひなたはニャトランに頷くと山へ向かう道へと走っていく。

 

ドドン! ドドン! ドドォーン!!

 

「な、何の音!?」

 

聞こえてくる爆発音。そして、山の向こうから煙が上がっているのが見えた。

 

「山の方からニャ!」

 

「!!」

 

ひなたは爆発音が起こっている山を睨みながら走っていく。

 

一方、山の中では・・・・・・。

 

ドドン! ドドン! ドドン! ドドン!

 

「メガー!!」

 

ドドン! ドドン! ドドン! ドドン!

 

メガビョーゲンがカボチャ爆弾をばら撒き、山の草木を病気へと蝕んでいた。

 

「キヒヒ・・・いい感じに蝕んできたの」

 

木陰からメガビョーゲンの様子を覗くイタイノンは順調に蝕むを続けているのを見て、笑みを浮かべる。

 

「結構良質なメガビョーゲンの素体だったネム」

 

ネムレンも作戦が順調にいっているのを見て、安堵の声を漏らす。

 

その時だった・・・・・・。

 

「こらぁー!!!」

 

「??」

 

どこからか怒鳴るような声が聞こえ、その方向を見ていると栗色の髪の少女ーーーーひなたと黄色いの小さなネコーーーーニャトランがこちらに近づいてくるのが見える。

 

あれは、商業施設にいた騒がしい女、そしてあの黄色いネコ、もといヒーリングアニマルをパートナーに持つプリキュアだ。

 

「ちっ・・・やかましい女が来たの」

 

イタイノンはひなたたちの姿を見て、顔を顰める。今、順調にいっているのにここで邪魔されてはかなわない。

 

「ひなた、行くぜ!!」

 

「うん!!」

 

「スタート!!」

 

「プリキュア、オペレーション!!」

 

「エレメントレベル、上昇ニャ!!」

 

ニャトランがステッキに変わると、ひなたは菱形のボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。そして、肉球にタッチすると、星のような光線が現れ、白衣が現れ、黄色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

光のプリキュア、キュアスパークルに変身した。

 

「はあぁぁぁぁ!!」

 

気づいていないメガビョーゲンにスパークルが飛び蹴りを食らわせる。

 

「メガ!?」

 

背後から蹴りを受けて、うつ伏せに倒されるメガビョーゲン。

 

「「キュアスキャン!」」

 

ニャトランの目が光り、メガビョーゲンの中にいる、苦しんでいる様子のエレメントさんを見つける。

 

「実りのエレメントさんニャ!!」

 

そのエレメントさんはどうやら顔のような部分の左下にいる模様。

 

「メガビョーゲン!!」

 

メガビョーゲンは立ち上がって振り向くと、口から種のようなものを発射する。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

スパークルは飛び上がって交わすと、ステッキを構えて黄色の光線を放つ。

 

「メガ!? ビョーゲン・・・」

 

光線を食らったメガビョーゲンは後ろへと吹き飛ばされる。

 

「よし!!」

 

「このまま浄化を!!」

 

このままの流れで菱形のヒーリングボトルをステッキにかざして必殺技を放とうとするのだが・・・。

 

バリバリバリ!!!!

 

「スパークル、横!!」

 

「え、うわぁ!?」

 

突然、地面から黒い電撃がスパークルに向かって放たれた。咄嗟に避けたスパークルが、地面を見ると一直線に焼き焦げた跡があり、さらに放った先を見てみると・・・。

 

「イタイノン!!」

 

「邪魔はさせないの」

 

イタイノンがこちらを睨みながら、右手をバチバチとさせている。

 

「マ、マジ!? あの娘にあんな力、あったっけ!?」

 

スパークルが驚いている間もなく、イタイノンは右手を広げて黒い電撃を放つ。

 

「スパークル!!」

 

「あっ!?」

 

ニャトランの声で我に返ったスパークルはステッキを構える。

 

「ぷにシールド!!」

 

ステッキから肉球型のシールドを展開させ、イタイノンの電撃を防ぐ。

 

「メガー!!」

 

「え、あぁぁぁ!!」

 

いつの間にか戻ってきていたメガビョーゲンが蔦をスパークルに向かって振るい、背中から直撃したスパークルは吹き飛ばされる。

 

「メガビョーゲン!!」

 

さらに追い討ちをかけるように口から病気を吐きつける。

 

「うっ・・・!!」

 

倒れながらも何とか起き上がって病気を避けるも、その先にはイタイノンの姿が・・・。

 

「あっ・・・!」

 

「ふん!!」

 

「きゃあぁぁぁぁ!!」

 

長い髪を鞭のように振るい、直撃を受けてしまったスパークルは地面を転げ回る。

 

「一人で出しゃばるからそういうことになるの」

 

イタイノンはスパークルを嘲笑しながら近寄る。

 

「うぅ・・・・・・」

 

「スパークル、大丈夫か!?」

 

「だ、だいじょーーーーえっ」

 

スパークルは傷つきつつも立ち上がろうとするのだが、そこへ紫色の髪が伸ばされて引っ張られる。

 

「うわあぁぁ!!」

 

イタイノンの目の前まで引っ張られると、スパークルは体を拘束され・・・。

 

ギリギリギリギリ・・・・・・。

 

「ぐっ・・・が、あ・・・ああぁぁぁぁ!!」

 

体を髪の毛に締め付けられ、悲鳴をあげるスパークル。

 

「キヒヒヒ・・・・・・」

 

イタイノンはそれを見て、笑い声をあげていた。

 

「もっともっと絞られて、痛い声をあげるがいいの・・・」

 

ギリギリギリギリギリギリギリ・・・・・・・・・。

 

「か、は、あ・・・く・・・あ、あ・・・」

 

「スパークル! スパークル!!」

 

髪の毛をさらに絞られて声もあげられないほどの弱々しい苦痛の声をあげるスパークル。拘束されて手に持つステッキを振れず、両足をバタバタさせてもがいてはいるが、大した抵抗にはなっておらず、締め上げられる苦痛だけが増していく。

 

「痛い? 苦しい? 私の邪魔をした罰なの」

 

イタイノンはスパークルの表情を見て、笑いながら告げる。

 

ーーーー人間の恐怖は素敵だが、それがプリキュアとなるとさらに格別、なの。

 

「メガビョーゲン、もっともっと蝕むの」

 

「メガビョーゲン!!」

 

イタイノンに指示をされたメガビョーゲンは周囲をもっと蝕むべく、二人から離れていく。

 

「あ・・・ダ、メ・・・」

 

離れゆくメガビョーゲンに弱々しい声をあげるスパークル。しかし、拘束されて動けないばかりか、イタイノンに絞られそうになっている。

 

「何、で・・・こん、な・・・のどかっ、ちの・・・おかあ、さん、の・・・会社に、酷いこと、を・・・?」

 

視界がぼやけつつも、イタイノンに問うスパークル。

 

「ふん・・・決まってるの、私はそのほうが居心地がいいの」

 

笑みを浮かべていたスパークルが無表情に戻り、顰めた顔で答えた。

 

「病気にしたほうが私にとっては居心地がいいの。快適な場所なの。太陽の光もいらない、人もいない、それが私にとっての楽園だからなの」

 

イタイノンが持論を展開する。病気は私たちビョーゲンズにとっても素敵なもの。でも、自分にとっては誰も邪魔されない場所が一番素敵なもの。だから、病気で蝕んで、人がいない場所を作ったほうがいい。

 

ーーーーそれが私にとっての、生き甲斐なのだ。

 

スパークルは締め上げられながらも声を絞り出す。

 

「それ、じゃ・・・一人、ぼっち・・・じゃん」

 

「・・・は?」

 

「一人なんて・・・寂しい・・・じゃん。みんなの・・・ぬく、もりがない・・・し」

 

「それがどうした、なの」

 

スパークルの言葉に徐々に不快感を覚えるイタイノン。一人が一番いい、一人が素敵に決まっている。こいつはなぜ、否定するのか?

 

「みんな、が・・・ともだ、ちが、いる、から・・・あたし、は・・・まい、にちが、たのしい、し・・・おにい、も、おねえ、も・・・いっしょに暮らしてる、から・・・あたし、として、い、られる、の・・・一人、は・・・楽しくない、じゃん」

 

スパークルが懸命に絞り出した声を聞いて、イタイノンは俯向く。彼女の頭の中にある映像がフラッシュバックしていた。

 

ーーーー頬を叩いてくる、大人の女性

 

ーーーーベッドの上で手足も動かせない、自分。

 

イタイノンは体をプルプルと震わせて、歯ぎしりをするとブツブツとつぶやく。

 

「・・・なの」

 

「・・・??」

 

突然、顔を上げるイタイノンはその表情は怒りに満ち溢れていた。

 

「誰かと一緒にいて楽しいわけがないのッ!!!!」

 

ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ・・・・・・。

 

「がっ!? あぁぁ、あっ・・・」

 

イタイノンは先ほどよりも強い力でスパークルを締め上げる。絞め殺さんばかりの強い力に、スパークルは呼吸ができなくなった。

 

「誰かがいたって迷惑になるだけなの、うるさいだけなの。そんな勝手なやつらと一緒にいるくらいなら、病気で侵し尽くしたほうがマシなの!!」

 

「あ・・・あ、あ・・・」

 

イタイノンは珍しく怒りの声を上げると、すぐに冷静に無表情になる。

 

「このまま、静かにさせてやるの・・・」

 

イタイノンは騒がしい女にとどめを刺そうと体から電気を帯電させると、一気に髪の方へと流し込んだ。

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

電気を浴びせられたスパークルは悲鳴を上げる。体が壊れると言わんばかりの強烈な電気だった。

 

「ふん・・・まだまだ騒がしいヤツなの・・・まあ、このまま流しておけば、静かになるの」

 

イタイノンは悲鳴に不快感を抱きつつも、本気でスパークルを殺そうとしていた。

 

「スパークル!! おい、やめろよ! やめてくれよぉ!!」

 

ステッキのニャトランが叫ぶも、イタイノンはまるで聞こえていないと言わんばかりに攻撃の手を緩めようとしない。

 

(あ・・・ごめ、ん、のどかっち・・・ちゆちー・・・)

 

スパークルは心の中で友人に謝罪をするも、彼女の視界は真っ暗になりつつあるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった・・・。

 

「「はぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

どこからか声が聞こえてきたかと思うと、ピンク色のエネルギーと青色のエネルギーがイタイノンに向かって飛んでくる。

 

「!!??」

 

イタイノンはそれに気づくと、髪から締め上げていたスパークルを離して飛び退く。

 

「スパークル!!」

 

「大丈夫!?」

 

駆け寄ってきたのは、キュアグレースとキュアフォンテーヌだった。

 

「ゲホゲホッ・・・あ、グレース・・・フォンテーヌ・・・」

 

「遅れてごめん! ここからは私たちに任せて!!」

 

グレースは遅れたことを謝罪し、早くメガビョーゲンを浄化するために駆け出す。

 

「行かせないの・・・!!」

 

イタイノンはグレースに向かって電撃を放つ。

 

「あっ!?」

 

「ぷにシールド!!」

 

電撃が直撃しそうになったグレースを、フォンテーヌが肉球型のシールドを展開して防ぐ。

 

「ここは私に任せて、グレースはメガビョーゲンを!!」

 

「うん!!」

 

グレースはメガビョーゲンの元へと走っていく。イタイノンはその様子に顔を見ても分かるほどに苛立ちを募らせていた。

 

「どいつもこいつも、鬱陶しいの・・・!!」

 

イタイノンは全身を帯電させて、今にも放電しそうな勢いだ。フォンテーヌはそれを見て臨戦態勢をとる。

 

「スパークルは休んでて! ここは私が!」

 

フォンテーヌは水色のエネルギーを放とうとエネルギーをステッキに集めるが、スパークルはボロボロの体を震わせつつもなんとか立ち上がり、フォンテーヌの隣へと立つ。

 

「スパークル!?」

 

「いや・・・あたしも、やるよ・・・」

 

「でも、そんな傷じゃ・・・!」

 

「あたしが、倒れている間に・・・エレメントさんや地球、のどかっちのお母さんの仕事の人だって苦しんでるかもしれないんだよ・・・それなのに、寝てなんか、いられないよ・・・!!」

 

スパークルはそう言って、ステッキを向けて黄色のエネルギーを集め始める。

 

フォンテーヌはその言葉を汲み取ると、うんと頷くとイタイノンに向き直る。

 

「わかったわ・・・」

 

プリキュアの二人はイタイノンに向き直り、エネルギーを放つ準備をする。

 

「一緒に攻撃するペエ!」

 

「一緒にやればできるはずニャ!!」

 

ペギタンとニャトランの叱咤に、プリキュアの二人は頷く。

 

「ふん・・・大人しく寝ていれば、痛みを感じずに済むものを、なの・・・」

 

イタイノンは先ほど以上に電気を帯電させ、手を開いてプリキュアの二人に向ける。

 

「静かに落ちろ、なのッ!!!!」

 

手のひらから一直線に電気の光線が放たれた。

 

「「はあぁぁぁぁ!!!!」」

 

フォンテーヌは水色のエネルギーを、スパークルは黄色のエネルギーを同時に放った。

 

「・・・!」

 

「くっ・・・!!」

 

「ふっ・・・!!」

 

お互いにぶつかり合い、大きな音を立てる力。互いに押しつ押されつつの拮抗状態。

 

負けるわけがない・・・こんな、他人の気持ちも理解しない人間ごときに・・・!!

 

「はぁぁ・・・!!!」

 

イタイノンはさらに自分を帯電させて、電気の出力を上げた。すると、プリキュアの二人は押し返されそうになる。

 

「うぅぅぅぅ・・・!!!」

 

「ふうぅぅぅぅ・・・!!!」

 

プリキュアの二人も負けじとエネルギーの出力を上げ、逆に押し返そうとする。

 

拮抗し合う強力な力と力、その二つはやがて膨らんでいき・・・!

 

チュドォォォォォォォォォン!!!!

 

大爆発を起こした。

 

一方、メガビョーゲンへと向かったキュアグレースは・・・。

 

「はあぁぁぁぁ!!!」

 

「メガ!?」

 

メガビョーゲンの顔面に蹴りを入れるグレース。吹き飛ばされるメガビョーゲンだが、すぐに態勢を立て直して二本の蔦を交互に振るう。

 

「ふっ! はっ! あっ!?」

 

左右と襲い来る蔦を交わしていくも、再び左から現れた蔦を受けてしまい、さらにメガビョーゲンは飛び上がってコマのように高速回転しながら体当たり攻撃を仕掛ける。

 

「きゃあぁっ!?」

 

グレースは当たって吹き飛ぶも、態勢を立て直して木の幹を踏み台代りにして、ミサイルのようにメガビョーゲンの元へ。

 

「ぷにシールド!!」

 

肉球型のシールドを展開させて、メガビョーゲンの顔へと突っ込もうとするグレース。

 

「メガー!!」

 

ヒュウゥゥゥゥゥゥゥ!!

 

すると、メガビョーゲンは大きく口を開いて吸い込み始めた。

 

「えぇ!?」

 

グレースは突撃を解除して、地面に着地するも足を徐々にメガビョーゲンの方へと引きずられていく。

 

「うわ、うわあぁぁ!?」

 

体がよろけそうになるも、足を踏ん張って倒れそうになるのを防ぐが、体は徐々に吸い込まれようとしていた。

 

「す、吸い込まれるラビ!!」

 

「うっ・・・!」

 

吸い込みのせいでうまく動けず、このままではメガビョーゲンの口の中へ。

 

グレースはメガビョーゲンの口元を見て、ある策を思い付いた。

 

「!! ラビリン!」

 

「ラビ!」

 

「ぷにシールド、もっと大きくできる?」

 

「できる、けど・・・?」

 

「お願い・・・!」

 

「・・・わかったラビ!」

 

グレースの意図を察したラビリンは彼女に応えようとする。

 

一か八かだけど、やってみるしかない・・・!

 

「ぷにシールド!!」

 

グレースはステッキをメガビョーゲンへと向けて、そのまま飛び上がる。吸い込みの勢いをそのままにメガビョーゲンへと突っ込んでいく。

 

「はあぁぁぁぁ!!」

 

「メガ!?」

 

肉球型のシールドは先ほどよりも大きくなり、メガビョーゲンの口へ。動揺するメガビョーゲンだが、時すでに遅し・・・。ぷにシールドが口に直撃して吸い込みを停止させられ、グレースはその勢いで頭上へと飛び上がる。

 

「やあぁぁぁぁ!!」

 

空中で一回転した後、メガビョーゲンへと踵を振り下ろす。

 

一方、イタイノンとプリキュア二人との戦いは・・・。

 

「はぁぁ!!」

 

「くっ・・・!」

 

フォンテーヌはパンチを繰り出し、イタイノンは右腕でガードする。

 

「っ・・・目障りな、の!!」

 

「あぁ!?」

 

イタイノンは自らの髪で拳を作ると、フォンテーヌを吹き飛ばす。

 

「やあぁぁ!!」

 

「っ・・・!!」

 

別の方向からスパークルが肉球型のシールドを展開させながら突っ込んで行き、イタイノンは手から電撃を放って防ぐ。

 

シールドと手の間で、爆発を起こし、イタイノンは踏ん張りつつも背後へと少し吹き飛ぶ。

 

「うっ・・・!!」

 

イタイノンの表情は少し苦痛へと歪んでいて、電撃を放った右手を抑える。

 

「はあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そこへフォンテーヌが踵を振り下ろし、痛みで反応が少し遅れたイタイノンは両腕をクロスさせて受け止める。

 

「ぐっ・・・うぅぅ!!!」

 

両腕を振り払うように解き、フォンテーヌを弾き飛ばす。

 

痛みに顔を顰めたイタイノン。この私がまさか、押されている・・・?

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「!!??」

 

そこへスパークルが木の幹を踏み台代りにして、ミサイルのように飛び出し、拳を叩き込もうとする。

 

考え事をしていたイタイノンは再び両腕をクロスさせるが、防御の動作が遅れて受け止めきれず、空中へと吹き飛ぶ。

 

「あっ・・・!?」

 

数メートル飛ばされたイタイノンは、それでも足を踏ん張って着地する。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・鬱陶しい奴らなの・・・」

 

イタイノンは毒付くも、激しい戦闘でお互いにすでに息が上がっており、おそらく体力はあまり残っていないだろう。

 

「はぁ・・・はぁ・・・仲間が一緒にいるから・・・あたしは戦えるの!」

 

「!!」

 

スパークルの言葉に目を見開くも、すぐに怒りの表情へと変わるイタイノン。

 

「ありえない・・・! ありえないの!!!!」

 

イタイノンは首を振りながら激しく否定する。

 

ドォォォン!!

 

「メガー!!??」

 

そこへグレースと戦っていたメガビョーゲンが吹き飛んできて、ひっくり返った状態のまま倒れたのであった。

 

「・・・!?」

 

イタイノンはその状況に驚きを隠せなかった。まさか、私、押し負けてる・・・?

 

「今、ラビ! グレース!!」

 

「うん!!」

 

グレースは、花の模様が描かれたヒーリングボトルをステッキへとかざす。

 

「エレメントチャージ!!」

 

そう言いながら光るステッキの先をハート型の模様を空中に描き、肉球に3回タッチする。

 

「ヒーリングゲージ上昇!!」

 

ステッキの先のハートマークに光が集まっていく。

 

「プリキュア!ヒーリングフラワー!!」

 

キュアグレースはそう叫びながら、ステッキをメガビョーゲンに向けて、ピンク色の光線を放つ。光線は螺旋状になっていた後、メガビョーゲンに直撃した。

 

その光線はメガビョーゲンの中に入ると、螺旋状のエネルギーは手へと変化して、実りのエレメントさんを優しく包み込む。

 

花状にメガビョーゲンを貫きながら、光線は実りのエレメントさんを外へと出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていった。浄化されたのだ。

 

「「お大事に」」

 

実りのエレメントさんは、カボチャの中へと戻り、蝕んだ箇所も元に戻っていく。

 

「っ〜〜~~~~~!! キュアスパークル、覚えておけ、なの!!!」

 

イタイノンは心底イライラした様子で、撤退していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キュアスパークル・・・キュアスパークル・・・キュアスパークル・・・」

 

廃病院、プリキュアに敗れたイタイノンは憎らしい相手の名前を呟きながら、携帯ゲーム機をピコピコしていた。その操作は、心なしか乱暴にボタンを押しているようにも見える。

 

「イタイノン? 大丈夫ネム?」

 

元の羊に戻ったネムレンは心配そうに声を掛けるも、イタイノンはまるで聞こえていないと言わんばかりにブツブツと名前をつぶやいている。

 

「キュアスパークル・・・キュアスパークル・・・キュアスパークル・・・」

 

イタイノンには、再び映像がフラッシュバックしていたのだ。

 

ーーーーベッドの上で動けない自分、何か鋭いものを突き刺される。

 

「キュアスパークル・・・キュアスパークル・・・キュアスパークル・・・」

 

「イタイノン・・・イタイノン!!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ネムレンが必死に名前を叫ぶと、イタイノンは途端にゲームを操作する手を止め、壊さんばかりに地面へと放り出すと、ネムレンに顔を向ける。

 

その表情は明らかに、怨恨に満ちた表情だった。

 

「ひっ・・・あっ・・・!?」

 

ネムレンは思わず悲鳴を上げ、その瞬間イタイノンの手につかまれる。それも握り潰さんと言わんばかりに・・・。

 

「気安く名前を呼ぶな、なの・・・!! やかましい、やかましいだけなの・・・!!」

 

「ぐっ・・・あっ・・・イタイ、ノン・・・やめ、て・・・」

 

恨みに満ちた言葉を吐きながら、ネムレンを握り潰そうとする。苦痛を訴えるネムレンだが、力は弱まるどころか、体が潰れてしまうのではないかというくらい強くなっていく。

 

「っ・・・・・・!!」

 

「あ・・・あっ・・・」

 

両手でネムレンを掴み、さらに強く握りしめる。ネムレンの意識が徐々に薄れていく。もうすぐ意識を失う・・・。

 

その時だった・・・。背後から影が近づいてきて・・・。

 

ドォン!!!!!!

 

「!!??」

 

イタイノンは医療道具の入っている棚へと吹き飛ばされた。

 

「変なオーラを感じると思ったら、バッカじゃないの・・・? 仲間を殺す気・・・?」

 

現れたのはクルシーナだった。イタイノンの背後から歩み寄って、彼女を蹴り飛ばしたのだ。

 

ガッシャァァァン!!!!

 

医療器具の山が吹き飛び、中から怒りの表情をしたイタイノンの姿があった。

 

「クルシーナ! 邪魔をするな、なの!!!」

 

「だから、お前が握り潰そうとしたのは相棒だっての」

 

「うるさい!! 関係ないの!! 私は、一人になりたいのッ!!」

 

イタイノンはそう叫びながら、クルシーナへと突っ込んでくる。

 

「はぁ・・・」

 

クルシーナはため息を吐きながら、突っ込んでくる彼女へと歩いていく。

 

ーーーーこりゃ、ダメだわ・・・。面倒だけど、一回、大人しくさせないと。

 

イタイノンは拳を突き出してくるも、クルシーナは瞬時にかわすと彼女の背後へと回り・・・。

 

「ふん・・・!」

 

「あっ・・・」

 

イタイノンの首後ろに手刀を打ち据え、彼女の体からそのまま力が抜けた。

 

クルシーナは自分の腕で倒れそうになる体を受け止める。普段のあいつは軽いけど、気を失った彼女は重いと感じた。

 

「全く、何事ですか? 騒々しい・・・」

 

そこへドクルンが部屋の中へと入ってくる。クルシーナはドクルンの顔を視界に写すと、心底嫌そうな顔をする。

 

「・・・このバカが暴れてたから、止めてたのよ。ネムレン、大丈夫なの?」

 

「ケホケホ・・・だ、大丈夫ネム・・・」

 

ネムレンは咳き込みつつ答える。締められて本当に息ができないくらいにやられたのだ。

 

「ほう・・・プリキュアに負けて帰ってきた、その恨みのエネルギーがふつふつと残っていますねぇ・・・」

 

ドクルンは部屋の中に残っている何かを感じているのか、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

「面白がってんじゃないっての・・・しばらく寝かせるしかないわね・・・」

 

ドクルンの反応に不快感をあらわにすると、病室のベッドへと寝かせようと部屋の外を出る。

 

「フフフ・・・」

 

「また何か企んでるのか、ブル?」

 

「企んでるなんて人聞きの悪い・・・プリキュアがどんな実力なのか興味がわいただけよぉ」

 

スタッドチョーカーのブルガルが呆れたように問うと、ドクルンはさらに笑みを深くした。

 

一方、クルシーナはカプセルのようなベッドへとイタイノンを仰向けにしてそっと置くと、下にある機械のスイッチを入れる。するとベッドの蓋が閉じて、赤いモヤモヤがイタイノンに浴びせかけられる。

 

「全く、無茶なんかしちゃって・・・バッカみたい・・・」

 

クルシーナはベッドの中で眠るイタイノンに妖艶な笑みを浮かべる。

 

「イタイノン、大丈夫ウツ?」

 

「大丈夫でしょ? こんなことでやられる奴なら、お父様の娘なんか勤まらないでしょ」

 

帽子のウツバットにそう言うとクルシーナは早々に部屋を出て行く。

 

「んん・・・キュアスパークル・・・許さないの・・・」

 

眠っているイタイノンは怨嗟の相手の名前をつぶやきつつも、その表情はいつものように戻っていくのであった。

 




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