ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。今回で原作第33話は終わります。
プリキュアたちは中島先生を助けられるのか??

そして、カスミーナの方にも動きが・・・・・・。


第120話「大事」

「ギー・・・ガー・・・・・・」

 

ギガビョーゲンは両腕のメスを赤く光らせると、プリキュアたちに赤い斬撃を放つ。プリキュアたちは散開して斬撃を避ける。

 

「先生・・・聞こえてますか? 聞こえてるなら、聞いてください・・・!!!!」

 

「ギガー・・・・・・」

 

グレースは駆け出しながら中島先生に思いを伝えようとすると、ギガビョーゲンは氷の溶けた頭部の2本の注射器から赤い光線を放ち、グレースはそれを避けながら進んでいく。

 

「私たちは、あなたを助けたい・・・!! しんらさんのことを大切に思っていた先生の思いを、守りたい・・・・・・!!!!」

 

フォンテーヌも訴えかけるように叫び、ギガビョーゲンはフォンテーヌの方に視線を向けて赤い光線を放つ。

 

「しんらっちと何があったかは見てないけど・・・先生の悲しいという気持ちや苦しいという気持ち、しんらっちを大事にしてたって気持ち・・・あたしにもわかるよ・・・・・・!!!!」

 

「ギガァ・・・・・・」

 

そこへスパークルもシールドを張りながら、先生に思いの丈を叫び、ステッキから黄色い光弾を次々と放って、ギガビョーゲンを足止めする。

 

「患者の病気が治らないのを悲しんでいても、何もありません。無粋なことは言えませんが、私たちはどんなに辛くても進むべきなのです! それでも苦しいなら・・・・・・せめて、しんらさんの笑顔を思い出してください・・・!!!!」

 

「ギガ・・・??」

 

アースは中島先生に語りかけながら飛び出し、ギガビョーゲンの顔面に蹴りを加えるが、やはりギガビョーゲンには通用していない模様。

 

「ギー・・・・・・」

 

「くっ・・・・・・!」

 

ギガビョーゲンは右腕のメスをカルテに変えると、そのままアースを弾き飛ばす。

 

「アース!!」

 

「っ!! はい!!」

 

アースはそこに飛んできたグレースを視認すると体勢を立て直し、グレースはアースの肩を踏み台にしてギガビョーゲンへと迫る。

 

「先生・・・しんらちゃんは幸せだった・・・・・・先生といれてよかったって思ったんです・・・しんらちゃんは先生のことを恨んでなんかいないんです・・・!! だから・・・自分に自信を持ってください!!!!」

 

「ギー・・・ギガー・・・!?」

 

グレースは足にピンク色の光りを込めた蹴りを繰り出すと、ギガビョーゲンが一瞬だけ怯んだ。

 

「っ・・・・・・しんら・・・ちゃん・・・・・・」

 

ギガビョーゲンの中にいる中島先生は眠っているようだが、瞑っている目元をピクピクとさせるとそこから一筋の涙を流した。

 

「先生・・・・・・・・・」

 

クルシーナはギガビョーゲンを切なそうに見つめていた。

 

「クルシーナ・・・本当は、中島先生が・・・・・・」

 

「・・・・・・黙れ、それ以上言うな」

 

ウツバットはクルシーナの悲しそうな表情を見ながらそう言うと、クルシーナは静かな声でそう言った。

 

「いけるわ!!」

 

「ギガビョーゲンがよろめきました!」

 

フォンテーヌとアースはようやく手応えを掴んだと察する。

 

「よーし!!」

 

それを見て気合が入ったスパークルは空中へと飛んでギガビョーゲンへと接近する。

 

「雷のエレメント!! はぁっ!!」

 

「ギィ・・・ギガァ・・・・・・??」

 

ステッキに雷のエレメントボトルをセットして雷を纏った黄色い光線を放ち、ギガビョーゲンの動きを止めた。

 

「氷のエレメント!! はぁっ!!」

 

「ギ・・・ギガァ・・・・・・」

 

フォンテーヌは氷のエレメントボトルをセットして、冷気を纏った光線を放つとギガビョーゲンはメスのような片腕を使って光線を防ぐも、怪物は完全に防戦一方だった。

 

「音のエレメント!!」

 

アースはハープに音のエレメントボトルをセットして、弦を奏でると円状のゲートがギガビョーゲンの上空に出現し、そこからビームを連続で発射させる。

 

「ギ・・・ガ・・・ビョー・・・・・・」

 

スパークルの雷のエレメント、フォンテーヌの氷のエレメント、アースの音のエレメントの力によってギガビョーゲンは完全に動きを停止させられた。

 

「「「グレース!!!」」」

 

「今です!!」

 

光線やビームを放ち続ける3人はグレースへと同時に呼びかける。

 

「実りのエレメント!! はぁぁぁぁぁっ!!!」

 

グレースは実りのエレメントボトルをセットして、ピンク色のエネルギーをチャージして光弾を放つ。

 

「ギガー・・・ビョーゲン・・・・・・!?」

 

光弾の直撃を受けたギガビョーゲンは背中から地面へと倒れる。プリキュアたちは遂にギガビョーゲンを追い詰めることに成功した。

 

「みんな、ラテ、行くよ!!!!」

 

「ワフ〜ン!!」

 

グレースがみんなに向かって叫び、ラテが大きく鳴き声を上げる。

 

「「「「ヒーリングっどアロー!!!!」」」」

 

4人がそう叫ぶとラテがステッキとハープ、エレメントボトルの力を一つにまとめた注射器型のアイテム、ヒーリングっどアローが出現する。

 

その注射器型のアイテムに、ハートの模様が描かれたエレメントボトルをセットする。

 

「「「「ヒーリングアニマルパワー!! 全開!!」」」」

 

ヒーリングアニマルたちのダイヤルが回転し、その注射器型のアイテムが4つに別れるとグレースにはラビリン、フォンテーヌにはペギタン、スパークルにはニャトラン、アースにはラテの部分で止まり、グレースたち4人の服装や髪型などが変化し始める。

 

そして、4人の背中に翼が生え、いわゆるヒーリングっどスタイルへと変化を遂げる。

 

「「「「アメイジングお手当て、準備OK!!!!」」」」

 

4人は手に持っている注射器のレバーを引くと、虹色のエレメントパワーがチャージされる。

 

「「「「OK!!!!」」」」

 

そして、パートナーのヒーリングアニマルたちがダイヤルから光となって飛び出し、思念体の状態になって現れ、パートナーに寄り添った。

 

「「「「プリキュア!ファイナル!! ヒーリングっど♡シャワー!!!!」」」」

 

プリキュアたちがそう叫ぶと、レバーを押して4色の螺旋状の強力なビームを放った。4色のビームは螺旋状になって混ざり合いながら、ギガビョーゲンへと向かっていき光へと包み込んだ。

 

ギガビョーゲンの中で4色の光は、それぞれの手になって中に取り込まれていた中島先生を優しく包み込む。

 

ギガビョーゲンをハート状に貫きながら、4色の光線は中島先生を外に出した。

 

「ヒーリン、グッバイ・・・・・・」

 

「「「「「「「お大事に」」」」」」」

 

「ワフ~ン♪」

 

ギガビョーゲンが消えたと同時に、街や海辺などに広範囲に渡って蝕まれていたその周辺が元の色を取り戻していく。

 

「クルシーナ・・・先生が戻ってよかったウツね」

 

「・・・・・・ふんっ。??」

 

その様子を見届けていたクルシーナは、ウツバットにそう言われると不機嫌そうに鼻を鳴らした後、ブーツに何かが当たったのを感じ、足元を見ると一枚の紙が落ちているのが見えた。

 

クルシーナはそれを拾い上げ、表にしてみるとそれは人間だった頃の自分が書いた手紙であった。

 

ーーーー中島先生へ

 

いつも、私のことを見てくれてありがとう。

 

病院生活は辛いし、食事もそんなに美味しくないけど、先生の笑顔だけは暖かいわ。

 

私、それを見ていると安心するの。

 

これからも、よろしくね。

 

来栖しんらーーーーー

 

どうやら中島先生から落ちたようで、それを見たクルシーナは何とも言えない表情をしていた。

 

「何よ・・・いつまでも持ってんじゃないわよっ・・・こんなもの・・・!!」

 

クルシーナは手紙を持っている手を震わせながらそう言うと、プリキュアに救出され、側で眠っている中島先生の姿が目に入る。

 

先生のそばに歩み寄って、コートの外ポケットに手紙をそっと差し込む。そして、眠っている先生の顔を見つめた後、その場を後にしようとする。

 

「しんら・・・・・・ちゃん・・・・・・」

 

「っ!!!!」

 

すると弱々しい中島先生の声が耳に入り、クルシーナが振り向くとそこには中島先生が体を起こして、こちらを微笑んでいるのが見えた。

 

「お大事に・・・・・・・・・っ」

 

「っ・・・・・・」

 

中島先生がそう言うとクルシーナは少しの間俯くと、再び顔を上げた。

 

「先生も・・・私みたいにならないでよ・・・・・・」

 

「「「っ・・・!!」」」

 

クルシーナは珍しく切なそうに微笑みながらそう言うと、プリキュアの3人は驚いていた。ビョーゲンズである彼女が、あんな表情を見せたのは初めてだったからだ。

 

「しんらちゃん・・・・・・」

 

グレースはしんらの姿を見て、普段は敵には向けない安堵の表情を浮かべていた。

 

「ふふふ・・・大好き・・・・・・」

 

クルシーナと中島先生は少しの間、目を合わせて微笑み合う。

 

そして、クルシーナは撤退していったのであった。

 

「ふぅ・・・・・・・・・」

 

グレースはここで安心したのか、息を吐くとその場から膝をつき、しまいにはプリキュアの変身が解けてしまった。

 

「のどか!!!!」

 

後ろに倒れそうになったのどかをフォンテーヌが背中から支える。

 

「フォンテーヌ・・・スパークル・・・アース・・・やったね・・・・・・先生を・・・助けられたよ・・・!」

 

「もぉ! 無茶ばっかりして・・・!!」

 

のどかが瞳を潤ませながらも微笑んで言うと、フォンテーヌは安堵の表情をしつつも、のどかの無事を喜ぶ。

 

「のどかは本当に無茶しすぎラビ!! プリキュアに変身して立っていたけど、本当はいつ倒れてもおかしくなかったラビ!!」

 

「のどかっち〜、あたしたちにのどかっちのお手当てまでさせないでよぉ〜」

 

「のどかは一生懸命ですが、少しは休むということを覚えたほうがいいと思います」

 

「ふぇ!? 私のせいなのぉ〜!?」

 

ラビリンがぷりぷり怒ったように言うと、便乗するかのようにスパークルとアースもからかいの言葉を言ったりする。それでも4人は楽しそうに笑っていた。

 

そんな時だった・・・・・・。

 

「のどかちゃん・・・・・・?」

 

「「「「っ!!??」」」」

 

そこに中島先生の言葉が聞こえ、4人は固まる。そういえば、忘れていたのだ。クルシーナに話しかけていた中島先生が、もう目を覚ましていたということに・・・・・・。

 

「な、なんで・・・のどかちゃんが、プリキュアからのどかちゃんに・・・? それにピンクのウサギが宙に浮いて、喋って・・・・・・??」

 

「え、えっと・・・こ、これはですね、せ、先生・・・・・・!!!!」

 

戸惑う中島先生にフォンテーヌはごまかしの言葉を言おうとして、表情が明らかに動揺している。

 

「し・・・しまったラビ〜・・・・・・!!」

 

ラビリンはのどかの背中に隠れていたが、激しく動揺していた。なんとも間の悪いタイミングでグレースの、のどかの変身が解けてしまい、あまつさえそれを中島先生に見られてしまうとは・・・・・・このままでは・・・・・・!!

 

フォンテーヌとスパークル、ラビリンはこの場から逃げることを考えたが、三人が慌て出す中でのどかは一人冷静だった。

 

「ちゆちゃん、ひなたちゃん、アスミちゃん」

 

「のどか!?」

 

「のどかっち!?」

 

「なんでしょうか・・・?」

 

プリキュア名ではなく、実名を呼び出したことにフォンテーヌとスパークルは動揺する。

 

「のどか!! 何を考えているラビ!?」

 

「・・・・・・いいから」

 

激しく動揺するラビリンに、のどかが静かにそう言うともう一度3人を見る。

 

「三人とも、プリキュアの変身を解いて」

 

「何を言っているの!?」

 

「そんなことしたら、あたしたちの正体が・・・!?」

 

「・・・・・・わかりました」

 

「「えぇっ!?」」

 

のどかが出したお願いに、フォンテーヌとスパークルは驚くも、アースが素直に変身を解いて、二人はさらに驚いた。

 

「アスミちゃん・・・・・・?」

 

中島先生は紫色のプリキュアの正体が、アスミであることを知った。

 

「二人ともお願い・・・! もう・・・先生に心配させたくないから・・・・・・」

 

「・・・・・・のどかがそう言うなら」

 

「まあ、もうバレちゃったし、しょうがないよね・・・・・・」

 

のどかがお願いをすると、フォンテーヌとスパークルも観念して変身を解いた。

 

「ちゆちゃん・・・? ひなたちゃんも・・・・・・??」

 

「先生・・・黙っててごめんなさい・・・・・・」

 

「あたしたち・・・地球をお手当てするプリキュアなんだ・・・・・・」

 

驚いた様子の中島先生に、ちゆとひなたは申し訳なさそうな様子で話した。

 

「うっ・・・・・・こんなこと、前代未聞ラビ〜・・・・・・」

 

ラビリンがそう言うとのどかの背中から姿を現し、ペギタンとニャトランも出てきた。

 

「ウサギさんと・・・ペンギンさんとねこさんも宙を飛んでいるのね・・・・・・可愛い♪」

 

中島先生は宙に浮くラビリンたちを不思議そうに見ると、その姿に微笑んだ。

 

そして、のどかたちはプリキュアとしての秘密を中島先生に話すことになるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、蜂須賀先生が推薦を出したすこやか病院に勤務することになった中島先生は診察室にいた。

 

「では、お薬を出しておきますね♪」

 

「ありがとうございます・・・・・・」

 

「いいえ。お大事になさってください♪」

 

すこやか市に住む老婆にそう言うと、老婆は嬉しそうな顔をしながら、診察室の部屋を出た。

 

「ふぅ・・・・・・」

 

中島先生が一仕事を終えて、休憩室でコーヒーを飲んでいると・・・・・・。

 

「中島先生!!」

 

「あ、のどかちゃん」

 

そこへかけられた声に中島先生が振り向くと、のどかたちが会いにやってきた。

 

「先生、元気にやってるんですね!」

 

「ええ。蜂須賀先生が選んでくれた病院だもの。私は医者として、これからも頑張らなきゃね」

 

のどかが憑き物が取れたような中島先生を見て嬉しく思い、中島先生も笑みを浮かべながらそう言った。

 

「それに、ここで負けてたら、しんらちゃんに面目が立たないものね・・・・・・」

 

「そう、ですね・・・・・・」

 

中島先生は少し眉をハの字にしながらそう言うと、ちゆも少し辛そうな表情になる。

 

「先生、しんらちゃんは・・・私たちが絶対に取り戻します!! なので先生も、これからも患者のために頑張ってください!!」

 

「・・・ありがとう。もう大丈夫よ。しんらちゃんを担当したあの日のことを思い出しながら、これからも頑張るわ」

 

のどかの励ましの言葉に、中島先生はそう言うとのどかの手を取る。

 

「だから、あなたたちも・・・負けないで・・・!!」

 

「はい!!」

 

中島先生の激励の言葉に、のどかは元気に返事を返した。

 

「選んでも、後悔しないような道を選んでちょうだい。それが、自分が信じた道だから。後ろを振り返らずに、ゆっくりと前を向くのよ。私も、前を向いて進むから・・・・・・」

 

「私は・・・私たちは、絶対に後悔しません! 自分が信じた道を、突き進んで見せます!!」

 

中島先生がそう話すと、のどかは強い意志を持ってそう答える。中島先生はそれを聞いて、優しい笑みを浮かべたのであった。

 

「ふふふ・・・強いのね。さすがはプリキュアだわ」

 

「先生・・・!!」

 

中島先生が笑みを浮かべながらそう言うと、ドキッとしたラビリンが飛び出してくる。

 

「プリキュアのことは秘密にして欲しいラビ・・・!!!!」

 

「もちろんよ。あなたたちがプリキュアだってことは、誰にも言わないわ。でも、それにしてもーーーー」

 

プリキュアのことを知ってしまった中島先生にラビリンがそう釘を刺しておくと、先生はそう答え、ラビリンをじっと見つめると両手でがしっと掴んだ。

 

「本当に可愛いわね〜♪ スリスリとなでなでをしてあげたいくらい♪」

 

「ちょっ・・・やめるラビ!! く、苦しいラビ・・・!!!!」

 

中島先生はラビリンを頬ずりしたり、なでなでと擦ったりしながら愛で始める。のどかたちはその様子を見ながら、苦笑していた。

 

「あぁ〜・・・・・・なんか俺とひなたみたいだなぁ・・・・・・」

 

「何々?? 何のこと〜??」

 

「な、なんでもないニャ!!」

 

ニャトランがその光景を見ながらそう呟くと、ひなたが聞いてきてそれを誤魔化した。

 

「あ、いけない! 私、そろそろ戻らないと・・・!」

 

中島先生は腕時計を見つめてびっくりしたように言うと、ラビリンを離してあげる。

 

「先生、行っちゃうの〜?」

 

「ええ。もう診察に戻らないとね」

 

ひなたが何やら名残惜しそうな感じで言うと、中島先生は笑みを浮かべながら言う。

 

「先生、頑張ってください!!」

 

「お大事にね、のどかちゃんたち」

 

中島先生はそう言ってその場を離れ、のどかがそう言うと先生は手を振りながら戻っていく。

 

「先生、大丈夫そうね・・・・・・」

 

「うん」

 

「憑き物が取れたような顔をしていました」

 

「元気になってよかったね〜!」

 

のどかたちはみんなでそんなことを話しながら、病院を後にしていく。

 

(先生・・・私たちは先生のためにも、ビョーゲンズに勝ちます。だから、先生もーーーー)

 

のどかは病院を振り返りながら心の中でそう考えたのであった。

 

「ふぅ・・・・・・」

 

のどかたちと別れた中島先生は、診察室へと戻ると席に座って息をつく。そして、机の上に立てかけてある写真立てに入っている、笑顔のしんらと中島先生の写真を手に取って見つめる。

 

そんな中島先生の頭の中には、先日の去る前のクルシーナの笑みが浮かんでくる。

 

「しんらちゃん・・・・・・」

 

しんらは、彼女はビョーゲンズのあんな姿になってしまったが、あの時に見せた笑みは本物だった。それは先生の勘でわかる。嬉しく思った、あの日担当したことは間違いなかったと・・・彼女の笑顔が見れてよかったと・・・・・・!

 

中島先生は写真をそんな風に愛おしそうに少し見つめた後、仕事しないとと言わんばかりに写真立てを元の場所に戻すと机の上に患者のカルテを開いて、ペンで書き始めた。

 

「次の方、どうぞー!」

 

そして、次の患者を呼ぶべく、扉に向かって声を発したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、キングビョーゲンの娘たちのアジトである廃病院前・・・・・・。

 

「うっ・・・・・・くっ・・・・・・」

 

先の戦いでグレースと相打ちになり、ダメージを負っていたカスミーナは足を引きずりながら歩いていた。

 

しかも、このタイミングになって心臓の鼓動が大きくなっており、瞳の色が赤色から緑色へと点滅し始めていた。どうやらまたカスミーナの中のかすみが抵抗をし始めている模様。

 

「こんな・・・・・・時に・・・・・・ぁ・・・・・・」

 

カスミーナは忌々しそうに自分の胸をみるも、ダメージの痛みと胸の痛みが相まって、カスミーナは膝から崩れ落ち・・・・・・地面に床をついた。

 

その瞬間、髪の色が金髪に戻り、瞳の色が緑色へと戻る。かすみが体の主導権を取り戻したのだ。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・くっ・・・・・・!」

 

かすみは息を荒くしつつも、なんとか足を支えて立ち上がる。そして、自身の片方の腕を抑えながら、手のひらを握ったり開いたりする。

 

「体は・・・動くな・・・・・・」

 

かすみは自身の体が、自分の意思で動くことを確認する。久しぶりに動ける体、しかしそれとは別の違和感も抱えていた。

 

かすみは胸に手を当てると、目を瞑り始める。そして、何かに気づいたように辛そうな表情で目を開ける。

 

「っ・・・また、強くなってる・・・・・・のどかの体力と元気が・・・・・・?」

 

自分の体の中にのどかの元気が入っていたことを確認する。もしかしたら、動物園でグレースと戦闘中に入れ替わってしまい、あの時に攻撃したのが原因なのか。

 

かすみは俯きながら暗い表情をする。

 

「やはり、私がこの世界にいる限り・・・のどかは・・・・・・」

 

ーーーーお前がいたって、みんな傷つくし、苦しむだけ

 

「っ・・・・・・」

 

ビョーゲンズの一員になって、のどかたちから離れていても、結局は・・・・・・。クルシーナが言い放った言葉も、痛みとなって心に突き刺さる。

 

泣きそうになったが、グッと堪えて声が出ないように押し殺し、かすみはある決意をしたかのように前を向く。

 

ある人物と話をするために廃病院へと駆け出し、中へ入るとその人物の部屋へと入る。

 

「ドクルン!!」

 

「・・・? おや、カスミ・・・っ!」

 

現れたかすみの方を向くとドクルンはこちらを向いて、名前を呼ぼうとして止めた。かすみの姿が覚醒前と比べて元に戻っていたからだ。

 

それに『様』を付けていない。これらのことを見ると・・・・・・。

 

「・・・・・・あなた、もう一人のカスミーナですか?」

 

「ああ・・・あいつは眠っているから今はな。でも、あいつが起きたら、私はまた体を奪われるだろうな・・・・・・」

 

かすみが真面目な表情でそう言うと、ドクルンはそれを聞いてため息をついた。

 

「・・・名前、どっちもカスミーナで面倒臭いですね。えっと、あなたはプリキュアどもにはかすみって呼ばれてましたっけ。もう、それで呼びます」

 

「それはどうでもいいんだ・・・・・・!!」

 

かすみはそう言いながら、ドクルンに歩み寄ると彼女の手を取る。

 

「っ・・・?」

 

「もう戻るまで時間がないかもしれない・・・・・・お前に、頼みがあるんだ・・・!!」

 

「??」

 

ドクルンは必死な表情のかすみに首をかしげる。しかし、かすみが伝えたある頼みを聞くと・・・・・・。

 

「・・・・・・それはあなたに何のメリットがあるんですか?」

 

「いいんだ・・・・・・私は、自分のやるべきことを・・・のどかを守れれば・・・!!!!」

 

「っていうか、私がそれを行っても、私にメリットはないでしょう。頼みを聞く理由がありません」

 

ドクルンが真面目な顔でそう問いかけると、かすみはそうしてくれるように懇願する。しかし、ドクルンは自分が得しない一蹴しようとする。

 

のどかを守れるなら・・・・・・かすみは地面に膝をついて、両手と頭を床についた。

 

「頼む!! 一回だけでいい!! 頼むよ・・・!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

かすみは土下座をしながら懇願した。ドクルンはその様子を特に面白がることなく見つめると、静かにため息をつく。

 

「・・・・・・どうなっても知りませんよ」

 

「すまない・・・ありがとう・・・・・・!!」

 

「お礼なんて言わなくていいです、こんなことに。あなたには働いて、ちゃんと返してもらいますから」

 

ドクルンはそう話しながら、自身の部屋の棚から瓶に入れて保存していた赤い靄を取り出して、何かを作るための作業を始めた。

 

「・・・・・・・・・のどか、私は・・・決めたよ・・・・・・」

 

かすみは頭を下げながらも、隠れているその表情は決意を秘めたような様子なのであった。

 

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