ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
ちゆのハイジャンプへの思い、そしてビョーゲンズの魔の手が。。。


第122話「跳ぶ」

 

翌日、みんなはのどかたちの家に集まっていた。その中には中島先生の姿もあった。

 

中島先生は医療バッグから聴診器を取り出すと、のどかの体に当てたり、体を触ったりして異常がないか調べたりしていた。

 

「うん、今日も異常なしね♪」

 

「ありがとうございます♪」

 

中島先生は笑みを浮かべながらそう言うと、のどかも笑顔で返した。

 

「ナカッチ先生~、今日は病院お休みなの~?」

 

「ええ。だから、のどかちゃんの様子を見にきたのよ♪」

 

「私、すごく元気だからよかったのになぁ~」

 

「ダメよ。元気だと思って油断しているとすぐに不調が起こるわ。こういうのは定期的に診てあげないとね」

 

ひなたがそう聞くと、中島先生は笑顔で返した。のどかは特に担当ではないのだが、プリキュアだと知ったよしみから診断には休診である日にしてあげているのだ。

 

そんなのどかよりも、声をかけたほうがいい人物が一人いた。

 

「・・・・・・・・・」

 

ズズ・・・ズズズ・・・・・・。

 

先ほどからマグカップの飲み物を啜っているちゆだ。何やら考え事をしている模様で、マグカップの中身が空になっていることに気づいていない。

 

ツンツン。

 

「・・・・・・っ!?」

 

ひなたが指でそんなちゆの頬を数回つつくと、ちゆは驚いたような声を出して我に返った。

 

「ちゆちー??」

 

「えっ、あっ・・・何?」

 

「ちゆちゃん、さっきからボーッとしてるわよ?」

 

「どうしたの?」

 

「何かあったのですか?」

 

のどかたちが心配して、ちゆの方を見ながら問いかける。

 

「う、ううん・・・別に何も・・・・・・あっ・・・・・・」

 

ちゆはなんでもないとごまかして、再びジュースの入っていたコップを口に持っていくが、そこでジュースがないことに気づいた。

 

「ちゆちゃん・・・・・・」

 

「はい・・・・・・」

 

「嘘はよくないわよ。私にはあなたの顔を見ればわかるわ、何かあったって。なんでもないわけないでしょ?」

 

中島先生は少し怒ったような顔をしながらも、優しい声でそう指摘する。先ほどからちゆが浮かない顔をしていたのと、いつも以上に何かを気にしていることに気づいていたのだ。

 

「・・・・・・鋭いんですね、先生」

 

ちゆは図星だったのか、顔を俯かせて少し表情を曇らせた。

 

「先生、すご~い! よくわかったね!」

 

「ふふっ、私一応、心療内科もやっていたから。人が悩んでいるのは顔を見ればわかるのよ」

 

ひなたが中島先生に感嘆の声をあげると、先生は笑顔で答えた。

 

「ちゆ・・・何があったのか答えてくれますか?」

 

「・・・・・・・・・」

 

先生の言葉を受けて、アスミが改めて問うとちゆはマグカップを静かにテーブルに置いた。

 

「・・・高見さんに・・・私のハイジャンはお遊びって言われたの・・・・・・」

 

「えっ・・・・・・?」

 

「あの西中の子? 何それ~!?」

 

「私だって、真剣にやってる!! 負けたら悔しい!! でも、私は・・・・・・海と空が溶け合う青い世界に近づきたい。その思いでやってるの!! それのどこがいけないの!?」

 

ちゆが思いを打ち明ける。自分のハイジャンプへの思いを高美さんに否定された。自分はただその思いを持ってやっていることのどこがいけないというのか・・・・・・。

 

「いけなくない! いけなくない!!!」

 

「「「ウンウンッ・・・・・・」」」

 

「ワン!!」

 

ひなたは首を振りながら否定し、妖精たちも同調するように頷いた。

 

「ちゆちゃん・・・冷静になってみて。自分がどうしてそういうことを言われたのか、思い出してごらん」

 

「どうして言われたか・・・・・・?」

 

中島先生にそう諭されたちゆはツバサにどうしてそんなことを言われたのか考え始める。

 

「っ・・・彼女、海外に行くから・・・日本ではもう私と戦えないって・・・・・・それで私がハイジャンプで世界を考えてないって言ったから・・・・・・」

 

ちゆはツバサが言っていたことを思い出しながら言うと、中島先生は微笑みながら頷く。

 

「私だったら、その高美さんの気持ちはわかるけどね」

 

「そうか・・・高美さん、本当にちゆちゃんとまた戦いたかったんだね。世界で」

 

「っ!!」

 

中島先生はツバサのその気持ちに同調しながら言うと、のどかはわかったようにそう呟く。ちゆはそれらを聞いてハッとしたような表情を浮かべる。

 

「わかった? ちゆちゃん」

 

「先生・・・・・・」

 

「私から言えることは一つよ。ちゆちゃんはちゆちゃんの思いで跳べはいいのよ。ちゆちゃんにはちゆちゃんが考えがあるんだから、誰もあなたを否定なんかできないわ。ちゆちゃんのやりたいようにすればいいの」

 

中島先生がそう言うと、ちゆは何か憑き物が取れたような表情をしていった。

 

「ちゆは思ったように跳べばいいペエ」

 

「そうそう♪」

 

「最初の思いを大切にすればいいラビ」

 

「『初心忘れるべからず』・・・って言うしな!」

 

「まあ、ニャトラン。よく知っているのね。能天気そうだから、何も考えずに生きてると思ったわ♪」

 

「にゃあ!? どういう意味だよ先生ぇ!!」

 

「ふふふ♪」

 

「「あははははっ!!」」

 

妖精たちがそう言い出すと、茶々を入れた中島先生も笑みを浮かべ、パートナーも皆笑みを浮かべた。

 

「ふふっ・・・・・・」

 

ちゆもようやく落ち着いた様子でそれを見守り、天井を見上げる。

 

「私は、私の思いで跳ぶ・・・・・・そうよね・・・・・・」

 

そして、ちゆはもう一度先生の方を見る。

 

「ありがとうございます、先生」

 

「頑張ってね♪ ちゆちゃん」

 

ちゆは中島先生にお礼を言うと、先生はそう言いながらマグカップのジュースを啜ったのであった。

 

そんなことがあった日の夜・・・・・・。

 

「・・・・・・・・・」

 

ちゆは中庭で夜空を見上げながら、ある記憶を思い出していた。

 

『・・・さぁ、ちゆ。跳べるかな』

 

『っ・・・えいっ!!』

 

幼い頃のちゆは父のりゅうじが木に結んで一直線に伸ばした紐を飛び越えた。

 

『はぁ♪ とべたっ♪』

 

『ふふっ。じゃあ、今度はここだ』

 

喜ぶちゆを見ながら、りゅうじは腕を少しあげて先ほどよりも跳ぶ位置を高くした。

 

『えぇ~? むりだよぉ~』

 

『お父さんは飛べるぞ~? ほ~らっ』

 

身長も低かったちゆにとっては明らかに無理な高さであったが、りゅうじはそれを跨ぐようにして紐の上を越えてみせる。

 

『むぅ~・・・私もとぶっ・・・!』

 

それを見ていたちゆは頬を膨らませて、なんだか悔しそうにしていた。

 

『よ~し、頑張れ!!』

 

『はぁ♪・・・っ!!』

 

りゅうじにそう言われたちゆはその高さの走り高跳びに挑戦してみた。

 

「・・・・・・・・・」

 

そのことを思い出していたちゆは、さらに別のことも思い出していた。

 

『・・・・・・っ!!』

 

ちゆが小学生になった頃、陸上の部活で走り高跳びに挑戦していた。コートに設置された棒をちゆは跳び越え、マットの上に着地した。

 

パチパチパチパチ

 

『っ?』

 

『よかったわよ、ちゆ。今日もナイスジャンプね』

 

『ありがとう♪』

 

そこに拍手が聞こえたかと思うとりょうが現れ、彼女にスポーツドリンクとタオルを持ってきた。

 

『ちゆは大会を目指さないの?』

 

『私は・・・・・・』

 

『ちゆのハイジャンプだったら、充分通用すると思うんだけどなぁ』

 

りょうがふとそんなことを聞くと、ちゆは考え始める。

 

『私よりもいい人は・・・・・・いっぱいいるわ』

 

『そんなことないわよ。ちゆもきっとそのすごい人に入ると思うわ』

 

『そんなことは・・・・・・』

 

『そんなことあるのっ。親友の私が言ってるんだから』

 

ちゆがそう謙遜すると、りょうは否定するように主張する。

 

『自信を持ってよ。自分を信じれば、どんな世界の枠でもあなたは跳べるわ』

 

『りょう・・・・・・』

 

『そしたら、私に見せてよ。あなたの誰にも負けないハイジャンプをね♪』

 

りょうはちゆを笑顔で見つめながらそう言ったのであった。

 

「・・・・・・・・・」

 

昔の記憶を懐かしく思ったちゆは笑みを浮かべていた。

 

「りょう、私は跳ぶわ・・・・・・・・・」

 

そして、思い出のその木を見つめていたちゆは何かを決意したように呟いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後、すこやか中学校のグラウンドでは陸上部が練習に励んでいた。

 

「ちゆ~、高さここでいい?」

 

部員のりょうこが棒の高さを尋ねると、ちゆは歩いてその場所へと近づく。

 

「・・・初めて跳んだのは、この高さ」

 

「えっ・・・・・・?」

 

「りょうが見て、跳べた時はこの高さ」

 

膝ぐらいの高さを示しながらそう呟くちゆに、りょうこは首を傾げるとちゆは次に腹の部分に自分の手を持ってくる。そして、自身の身長よりも高い位置にある棒よりも、少し高めのところに持ってきた。

 

「・・・・・・ここ」

 

「えっ・・・この前の大会の記録より5センチ高いよ!?」

 

「ここで・・・行きます・・・!!」

 

それはこの前達成した新記録よりも高い位置、棒はそこに上げられ、りょうこを初めとする部員たちは心配する中、ちゆはそのまま挑んでいく。

 

カシャン・・・カシャン・・・カシャン・・・!!

 

しかし、失敗するばかりで棒が落ちる音が聞こえてくるだけだ。

 

「あぁ・・・また失敗・・・!!」

 

「「あっ!!」」

 

生徒たちが心配する中、人だかりが気になったのどかとひなたが駆けつける。

 

「またって・・・ずっと失敗してるの・・・!?」

 

「うん・・・一回も跳べてない・・・・・・」

 

「・・・行きますっ!!」

 

のどかがりょうこと話している間、ちゆは再び駆け出して、棒を飛び越えようとジャンプをする。

 

カシャン!!

 

しかし、結果は変わっておらず、棒は落ちて失敗してしまった。

 

「どうして? ちゆちー。また前みたいに跳べなくなっちゃったのか?」

 

「この前の新記録よりもさらに高くしてるから、簡単には跳べないだろうけど・・・何か今日のちゆ、すごい気迫で・・・」

 

「何かボロボロだよぉ・・・・・・」

 

何度も失敗しながら、果敢に挑むちゆ。しかし、その様子は見ている者には結構辛いものがあった。

 

そんな中・・・・・・。

 

「・・・でも、ちゆちゃん、すごく楽しそうだよ?」

 

のどかだけは、ちゆの様子を見て微笑んでいた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・」

 

ーーーーちゆちゃんは、ちゆちゃんの思いで飛べばいいのよ

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・」

 

ーーーー自分を信じれば、どんな世界の枠でもあなたは跳べるわ

 

「はぁ・・・・・・ふふっ・・・・・・」

 

ちゆの頭の中に思い出される中島先生とりょうの言葉・・・・・・それが頭に浮かぶとちゆ自身の険しい表情が少し緩んだ。

 

「・・・行きます!!」

 

ちゆはそう言って、再び駆け出しながら目の前を見据える。すると・・・・・・。

 

「・・・・・・っ!!」

 

目の前に自分の新記録を超えて跳んでいるツバサの幻が見えた。それでもちゆは足を止めずに駆け出していき、棒の前へと近づく。そして・・・・・・。

 

「っ・・・・・・」

 

ちゆの体は宙を舞い、棒に引っかかることなく跳び越えるとそのままマットへと落ちた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

跳び越えたちゆは空を見上げ、目の前にある跳び越えた棒とその先にある青空を見つめる。

 

「跳んだっ・・・!!」

 

「跳んだ・・・跳んだよね!?」

 

「ちゆ・・・クリア!!」

 

ちゆが成功した様子を見て、のどかとひなたは手を取り合いながら喜び、りょうこは笑みを浮かべてそう叫んだ。

 

「はぁ・・・はぁ・・・伝えなきゃ・・・!!」

 

ちゆはそう呟くとその場から駆け出して、学校を飛び出していってしまった。

 

「・・・ちゆ?」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

その行動にりょうこや部員たちは戸惑う中、のどかとひなたは頷きあってちゆの後を追いかけ始めた。

 

(私が跳べたのは・・・私がこんなに、熱くなったのは・・・!! 伝えなきゃ・・・伝えなきゃ!!)

 

ちゆはそう思いながら必死に走り、向かった先はすこやか西中であった。

 

「えっ・・・帰った・・・?」

 

「ええ。ツバサなら今日出発するって挨拶にきて・・・ついさっきよ」

 

しかし、ちゆは会おうとしていた翼と入れ違いになってしまい、部員から話を聞いたちゆはすぐに西中を飛び出した。

 

「ちゆちゃん、どうしたの!?」

 

そこへ追いかけてきたのどかが走っていくちゆに声をかけた。

 

「っ、高美さんを、追いかける!!」

 

「どこに行ったかわかるのぉ~!?」

 

ちゆはそう言いながら走っていき、のどかたちも先を行くちゆの後を追いかけていく。

 

「ありがとうございました!!」

 

その頃、陸上競技場に来ていたツバサは、誰もいない競技場の中でお辞儀をしながらそう言い、目の前に広がる競技場の中をしっかりとした眼差しで見つめた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・きっと・・・あそこ・・・!!!」

 

ちゆは赤信号で立ち止まりながらそう呟き、目の前に見えて来た陸上競技場を見ていた。

 

「・・・ちゆ?」

 

「どうしたペエ?」

 

そこへラビリンたちと一緒にラテの散歩をしているアスミが通りかかって、ペギタンがちゆに近寄る。

 

「ま・・・待って~・・・ちゆち~・・・」

 

「ふわぁぁぁ・・・・・・」

 

追いかけてきたのどかとひなたが息を荒くしながらも追いつき、みんなでちゆと一緒に競技場へと向かう。

 

一方、競技場では・・・・・・。

 

「もっと高く・・・跳んで見せる・・・・・・!」

 

去ろうとしていたツバサがそう呟き、再び競技場内を見つめていた。

 

そんな、ツバサを見下ろす影が・・・・・・彼女の真上にいた。

 

「ねえ、フーちゃん」

 

「何ですぅ・・・・・・?」

 

「あの子って、青いプリキュアちゃんと一緒にいた子だよねぇ?」

 

「そうですぅ・・・・・・」

 

「じゃあ、あの子をやればいいよね~? 結構、健康的でパワーもありそうだし」

 

ヘバリーヌとフーミンが、ツバサを見下ろしながらそんなことを話していた。

 

「・・・と、思ったけどさ~、焦ってるなら手柄を譲ってあげるよ~、シンド姉?」

 

「だから、焦ってないって言ってるでしょ!!!!」

 

同じようにツバサを見ていたシンドイーネが、ヘバリーヌに茶化されて憤慨する。

 

「あんたが見つけたんだから、あんたがやればいいじゃない?」

 

「いいよ~。だって、ヘバリーヌちゃん、もう一人いいものを見つけたも~ん!」

 

「いいものって何よ?」

 

「ひ・み・つ♪ フーちゃん行こ~」

 

「はいですぅ・・・・・・」

 

シンドイーネが情けをかけられた気分で気に入らなかったのか、ヘバリーヌに押し返そうとするが、彼女はそんなことを話しながら、フーミンと共にその場から姿を消す。

 

「あっ、ちょっとぉ!? あぁ~ん、もぉ!!!」

 

シンドイーネは勝手に消えた二人に憤慨しながらも、見下ろすツバサを見つめるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クチュン!!」

 

「ラテ!?」

 

「ビョーゲンズです!!」

 

それから少し経った頃、ラテの体調が悪化し、のどかはアスミが抱えるラテに聴診器を当てた。

 

(あっちで、お姉さんが泣いてるラテ・・・・・・)

 

そう話すラテの向いている方向は、ちゆたちが目指していた競技場であった。

 

「あっちは競技場・・・っ、まさか!!」

 

「行こう!!」

 

のどかの言葉を合図に、みんなは変身アイテムを取り出した。

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア、オペレーション!!」」」」

 

「エレメントレベル、上昇ラビ!!」

「エレメントレベル、上昇ペエ!!」

「エレメントレベル、上昇ニャ!!」

「エレメントレベル、上昇ラテ!!」

 

「「「「キュアタッチ!!」」」」

 

ラビリン、ペギタン、ニャトランがステッキの中に入ると、のどか、ちゆ、ひなたはそれぞれ花のエレメントボトル、水のエレメントボトル、光のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

アスミは風のエレメントボトルをラテの首輪にはめ込む。すると、オレンジ色になっているラテの額のハートマークが神々しく光る。

 

のどかたち3人は、肉球にタッチすると、花、水、星をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、水色、黄色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ちゆは水色、ひなたは黄色へと変化する。

 

ラテとアスミは手を取り合うと、白い翼が舞い、ラテが舞ったかと思うとハートの中から白い白衣のようなものが飛び出す。

 

その白衣を身に纏い、ラテが降りてきたかと思うとハープが飛び出し、さらにアスミは紫色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

衣装にチェンジした後、ハープを手に取り、その音色を奏でる。

 

キュン!

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。

 

キュン!

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身。

 

キュン!

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

ひなたは光のプリキュア、キュアスパークルに変身した。

 

「「時を経て繋がる、二つの風!」」

 

「キュアアース!!」

 

「ワン!」

 

アスミは風のプリキュア、キュアアースへと変身した。

 

「「「「地球をお手当て!!」」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!!」」」」

 

4人は変身後、競技場の中へと入っていったのであった。

 

その数分後・・・・・・。

 

「っ・・・情報によると、ここに沢泉ちゆさんがいるはずですが・・・・・・!」

 

ちゆたちがいた場所に、なんと益子道男が現れていた。陸上大会の記録をさらに更新したという話を聞きつけたことで、ちゆに取材をしようと思い、すこやか西中、その生徒にも聞いて陸上競技場に行っただろうと追いかけてきたのだ。

 

「陸上大会の記録をさらに超えたというのはビッグスクープ!! 敏腕ジャーナリストの僕としては、今すぐに取材をしなければ・・・!!!!」

 

益子はいつもよりも気合いが入っていて、ちゆを見つけたら取材をする気満々であった。

 

そんな彼を見下ろす影が二つ、競技場近くの木の上で見つめていた。

 

「あのメガネのお兄さんも結構、気合入ってるよね~」

 

「気合が入りすぎて逆に鬱陶しいぐらいですぅ・・・・・・」

 

「生き生きはしてるし、いいんじゃないかな~。もぉ、決めた!! ヘバリーヌちゃん、あのお兄さんにしよ~っと♪」

 

ヘバリーヌとフーミンはそんなことを話しながら、ヘバリーヌは益子をターゲットにすることにした。

 

早速、バレリーナのようなポーズを2回取りながら、それぞれ手を叩いて黒い塊のようなものを出現させる。そして、バレエのように体をクルクルと回転させる。

 

「進化しちゃってぇ~、ナノビョ~ゲン♪」

 

「ナノォ~♪」

 

生み出されたナノビョーゲンは鳴き声を上げながら、益子へと飛んで行った。

 

「っ・・・・・・!?」

 

益子は鳴き声に気づいてその方向を振り向くも、時すでに遅く直後にナノビョーゲンに取り込まれた。

 

その取り込んだ益子道男を主体として、巨大な怪物がかたどっていく。凶悪そうな目つき、不健康そうな姿、そしてその素体を模倣する様々なものが姿として現れていき・・・。

 

「ギガギガ!! ビョォォォォゲン!!」

 

胸に丸いレンズのようなものを覗かせた新聞記者のような姿のギガビョーゲンが誕生した。

 

「やったぁ~!! ヘバリーヌちゃんにもできたよ~! ギガビョーゲン!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

ヘバリーヌが喜びながらフーミンの方を見るが、彼女はまた首を前に倒していた。

 

「フーちゃん!!」

 

「すぅ・・・すぅ・・・すぅ・・・・・・」

 

ヘバリーヌはその光景に頬を膨らませるが、フーミンは寝息を立てるだけだ。

 

「フーちゃんも何かやってよ~! 焦らしプレイは気持ちいいけどさぁ、ノンお姉ちゃんのためにやるんじゃないの~!?」

 

「・・・・・・っ!?」

 

ヘバリーヌがそう言うと、フーミンはバッと目を見開く。彼女の頭の中にはイライラしている様子のイタイノンが再生された。

 

「そういえば、言ってたですぅ・・・・・・あいつが頭の中に出てきた・・・・・・」

 

「フーちゃん・・・・・・?」

 

フーミンは思い出した、元気のない様子のイタイノンがそんなことを言っていたことを、元気がない理由はもしかしたらそれが原因ではないかと。

 

「あいつ・・・・・・っ!!」

 

フーミンはさらに思い出すと怒ったように顔を顰める。あいつというのは、おそらくフーミンも見ていたが、イタイノンがお姫様抱っこのように持っていた茶色のツインテールの女、あいつは確かプリキュアの一人だった。

 

もしかして、あいつのせいでイタイノンお姉様はおかしくなったのか・・・・・・!?

 

そう考えた瞬間、フーミンの心の中に何かが燃え上がり、彼女の体から黒いオーラを放出させ始めた。

 

「どうしたの? フーちゃん」

 

「許せない・・・許せないですぅ・・・あの女・・・・・・!!」

 

さすがに異変を感じたヘバリーヌが声をかけるが、フーミンは虚空を睨みつけたまま答えようとせず、いつもよりも低い声でそう呟いている。

 

すると、フーミンは黒い翼を背中に広げると・・・・・・。

 

「あの女・・・潰してやるですぅ・・・・・・!!」

 

「あっ、ちょっと待って!! フーちゃん!!」

 

ヘバリーヌの制止も聞かずに、そのまま陸上競技場へと飛んで行ってしまった。

 

「もぉ~!! ギガビョーゲン、行くよ~!!」

 

「ギガギガギガ・・・・・・」

 

ヘバリーヌも彼女を追いかけるべく、ギガビョーゲンに指示を出すと共にフーミンの後を追うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、競技場へと向かったプリキュアたちは・・・・・・。

 

「ギギィ~!! ギギギギィ~!!!!」

 

「うわぁ!? なんか跳んでる!?」

 

競技場内で陸上選手のような格好をしたギガビョーゲンがバネのような足で跳びはねて暴れまわっていた。

 

「来たわね、鬱陶しい奴ら!!」

 

「ギガビョーゲン!!」

 

そして、競技場の屋根の上にはシンドイーネの姿があった。

 

キュン!!

 

「「キュアスキャン!!」」

 

フォンテーヌはすぐさま肉球に一回タッチして、ギガビョーゲンに向ける。ペギタンの目が光り、ギガビョーゲンの体の中心部にツバサの姿を見つけた。

 

「っ、高美さん!!」

 

「あ~ら、あなたのお友達?」

 

「いいえ、ライバルよ!!」

 

「ライバルぅ?」

 

フォンテーヌの発言を聞いて、シンドイーネは小馬鹿にしたような笑みを浮かべると、フォンテーヌはそう主張してシンドイーネに向かって駆け出していく。

 

「高美さんを返しなさい!!」

 

「お断りよ!!」

 

キックを放つフォンテーヌに対し、シンドイーネも自ら飛び出して自身もキックで応戦する。

 

そして、残りのメンバーはギガビョーゲンへと立ち向かっていく。

 

「ギッガァ~!!!!」

 

グレースたちは攻撃を当てようとするが、ギガビョーゲンはその場から素早く飛び上がって攻撃を回避する。

 

「うわぁ!? すっごい、ギガジャンプ・・・!!」

 

スパークルがそう驚いていると・・・・・・。

 

ビュンッ!!!!

 

「っ!? あぁぁぁ!!」

 

そこへ突然黒い翼が猛スピードで横から飛んで来て、スパークルは観客席に叩きつけられた。

 

「「スパークル!!」」

 

「っ・・・ギッガ~!!」

 

グレースとアースはスパークルを心配するも、その隙にギガビョーゲンが飛び上がって両腕をバッと広げると大きなバネのようなものを地面に放つ。グレースとアースは回避しようとするが・・・・・・。

 

ズドドドドドドン!!!

 

「「あぁぁぁ!!!!」」

 

落ちたバネは地面に弾み、不規則な動きでグレースたちへと襲いかかり、直撃を受けてしまう。

 

「みんなっ!!」

 

フォンテーヌはギガビョーゲンに立ち向かった皆を心配しながら叫ぶ。

 

「うっ・・・っ!!」

 

一方、観客席に叩きつけられたスパークルは呻きながらも、翼の正体を確かめようとすると・・・・・・。

 

「もぉ~、フーちゃんったら、勝手に一人で行っちゃうんだからぁ~」

 

「・・・・・・・・・」

 

そこに自身が生み出したもう一体のギガビョーゲンを引き連れたヘバリーヌと、地面に降りてただならぬ雰囲気でスパークルを睨みつけるフーミンの姿があった。

 

「うぇ!? ギガビョーゲンが、もう一体・・・・・・!?」

 

「ヘバリーヌ、あいつも生み出してたのか・・・!!!」

 

スパークルとニャトランは姿を現したもう一体のギガビョーゲンに驚きを隠せない。

 

「嘘・・・・・・」

 

「あらぁ? どこに行ってたのかと思ったら」

 

フォンテーヌはそう呟き、シンドイーネは余裕そうな表情で見る。

 

「フーミンもいます・・・!!!!」

 

「でも、なんだろう・・・なんだか、怖い・・・・・・」

 

アースとグレースはそれぞれ呟くも、フーミンから発せられる凍りつくような黒いオーラに動揺していた。

 

「っ・・・んぅ!!!!」

 

フーミンは自身の黒い翼を再度広げると、音符のマークが入ったような禍々しい赤い弾を複数出現させて、スパークルに目掛けて光線状にして放った。

 

「っ!?」

 

「ぷにシールド!!」

 

「うっ・・・・・・!」

 

スパークルはぷにシールドで光線を防ぐも、あまりにも強力な光線に押されそうになっていた。

 

「? あいつ・・・様子がおかしいわね」

 

シンドイーネはフーミンの様子が明らかにおかしいことに異変を感じていた。

 

「ぐっ、うぅぅぅ・・・これちょっと、ヤバっ・・・・・・!!」

 

スパークルは徐々に光線に押されてきており、ステッキを持つ手が震えていて、表情も苦しさを見せていた。

 

「潰すですぅ・・・・・・!!」

 

「えっ・・・!?」

 

フーミンの口から聞こえる底冷えするような声、スパークルはそれに動揺の声を上げていた。

 

「お前を・・・・・・潰してやるですぅ・・・!!!!」

 

フーミンは怨嗟のように呟きながら、スパークルをまっすぐと睨みつけたのであった。

 

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