ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
クルシーナと対峙したかすみ、そしてドクルンに病気に侵されたちゆは・・・・・・。


第138話「執念」

 

「・・・・・・・・・」

 

森の中で睨み合うかすみとクルシーナ。両者は一歩も動かず、沈黙が辺りを包む。

 

「・・・・・・・・・はぁ。面倒な役回りはいっつもアタシね」

 

先に沈黙を破ったのはクルシーナで、ため息を吐きながら愚痴をこぼしていた。その後、再びかすみを睨みつける。

 

「かすみ、アジトに帰るわよ」

 

「・・・・・・嫌だ」

 

「はぁ?」

 

「私は、アジトには帰らない・・・!!!」

 

クルシーナがそう言うと、かすみはその申し出を拒絶する。

 

「私はもう、ビョーゲンズの思想には賛成できない!! のどかが消えるとわかって、お前たちなんかと一緒にいられるものか!! 私は、私のために生きる・・・!!」

 

「・・・・・・バカじゃないの? アタシたちビョーゲンズから離れて、アンタどうすんのよ?? 行く当てなんかないでしょ?」

 

「私はのどかの元に行く。私は、のどかを守るために生まれてきた。どんなことがあっても・・・!!!!」

 

かすみはそう主張しても、クルシーナはその表情を崩さない。

 

「アタシ、前に言ったわよね。アンタがのんちゃんたちと一緒にいたところで、みんな傷つくだけだって。アンタに守れなんかしないって。忘れたわけじゃないわよねぇ? その意味、理解してる?」

 

「私は構わない!! 例えそうなったとしても、私がその全てからのどかを守ってやるんだ!!」

 

クルシーナが前に言ったことをもう一度告げるも、かすみは頑なに主張して譲らなかった。

 

「勝手なこと言ってんじゃないわよ、どいつもこいつも・・・!! アンタがビョーゲンズから離れて、他の仲間はどうなんのよ? フーミンやヘバリーヌもアンタのことを懐いてて、ハキケイラはアンタのことを気に入ってんのよ。アンタがいなくなったりしたら、あいつらがどんだけ悲しむかわかってんの?」

 

「・・・・・・私なんかに構わない方がいい・・・・・・それがあいつらのためだ・・・・・・」

 

クルシーナは少し苛つきながら言うと、かすみはビョーゲンズの仲間が悲しむという言葉に表情を暗くさせた。

 

「アンタは本当に頭でも湧いてんじゃないの・・・? アンタはビョーゲンズなのよ!! アタシたちと同じで、地球を蝕まなければ快適な環境も得られない・・・・・・そんなアンタが、人間なんかと分かり合えるわけがないのよ・・・!!!!」

 

「のどかにわかってもらわなくてもいい。私は私の目的に向かって進むだけ・・・・・・それでいいんだ・・・・・・」

 

「っ・・・消されんのよ、アンタは!! アタシやお父様が望んで生まれた存在でなくても、お父様の快楽も満たせないような奴は必要なくなるのよっ!?」

 

クルシーナは顔を顰めながらも説得しようとするが、かすみは聞き入れない。

 

ドックン!!!!

 

(っ!? のどか・・・・・・!!)

 

ふとかすみはハッとしたような表情をする。かすみの中で泣いている声が聞こえたからだ。しかも、それはのどかの近くにいる。

 

のどかが危機に陥っていると察したかすみは胸に手を当て始める。

 

(おい、もう一人の私・・・・・・!!)

 

(・・・・・・どうした?)

 

かすみが声をかけたのは、自分の中にいるもう一人の自分だった。

 

(私の体から出れるか? のどかを助けてほしい・・・・・・!!)

 

(なぜ私が人間なんかを・・・・・・?)

 

(頼む!! 一度だけでいい!! これが私の最後の願いであってもいい!! のどかを、助けてくれ!!)

 

(・・・・・・・・・この状況になっても、まだ大切な人を助けようとするとは、面白い。いいだろう・・・今回はお前に従ってやる)

 

もう一人のかすみは、かすみにある指示を出すとかすみは近くにある木へと手を触れる。すると、その木が赤い靄に包まれ始めた。

 

「何する気か知らないけど、させないわよ・・・!!」

 

クルシーナはかすみが不審な行動を取っていると思い、手のひらを広げてピンク色のエネルギーを溜め、ピンク色の光弾を放った。

 

「はぁ!!」

 

かすみは黒いステッキをもう片方の手で出すと、シールドを張って光弾を防いだ。

 

「っ・・・!!」

 

クルシーナはそれに悔しそうな表情を浮かべ、その間に木から赤い靄がスッと消えていく。

 

「頼んだぞ・・・もう一人の私・・・・・・」

 

かすみは小さな声でそう呟くと、クルシーナに向き直ってステッキを構える。

 

「来い、クルシーナ!! 私と勝負だ!!」

 

「・・・・・・アンタがアタシに勝てると思ってんの?」

 

「例え勝てなくて、お前に消されるなら・・・・・・私は、本望だ・・・・・・」

 

「っ!!!!!!」

 

かすみのその言葉を聞いたクルシーナは歯を食いしばる。顔を俯かせて両手を握りしめ、体を震わせ、怒りを抑えようとしていたが・・・・・・。

 

「ふざけんなっ!!!!」

 

怒りを抑えることができなかったクルシーナはかすみに対して激昂した。

 

「アタシがお前を消す? お前の無茶苦茶な持論を聞いて、アタシがそんなことすると思ってんのか。なめてんじゃねーよ、クソったれ!!!!」

 

クルシーナはこれまでの抑えてきた感情を吐き出すかのようにそう言うとその場から姿を消して、かすみの横から蹴りを繰り出した。かすみは応戦するかのように、パンチをぶつける。

 

「アタシは決めたわよ。お前が何度逃げようが、アタシが何度だって連れ戻してやる!!!!」

 

「っ・・・・・・・・・!!」

 

クルシーナは距離を取ってそう宣言すると、周囲にピンク色の球体を出現させて光線を放つ。かすみはシールドを展開して、光線を防ぐ。

 

シールドを解除した後、かすみは手のひらに息を吹きかけて黒い塊を作り出す。

 

「ナノ・・・・・・」

 

生み出されたナノビョーゲンはかすみが持っている黒いステッキに取り憑く。そして、ハザードマークの赤色のボトルを取り出す。

 

「プリキュア、インフェクション・・・・・・」

 

かすみは黒いステッキにエレメントボトルをかざし、ステッキのエネルギーを上昇させる。

 

「イルネスレベル、上昇・・・・・・」

 

ステッキの先のハートマークが赤黒く光っていく。

 

「キュアタッチ・・・・・・」

 

ナーノー!!

 

カスミーナは肉球にタッチすると、紫色がかった赤い靄が放出され、カスミーナの体を包み込む。

 

すると、髪型は大きくのびてロングヘアーとなり、ダークパープルのような色へと変わり、リボンの色は銀色になり、前髪に黒色の楕円のようなカチューシャが付けられ、黒色のバラのようなイヤリングが付けられる。

 

服装も赤い靄に包まれたところから変化していき、胸に逆さハートの飾りをあしらったパフスリーブのダークパープルのワンピースへと変わり、手袋は黒色になり、足元は赤黒いショートブーツへと変わった。

 

ナーノー!!

 

「淀み合う二つの災厄!! キュアハザード!!」

 

カスミーナは病気のプリキュア、キュアハザードへと変身を遂げたのであった。

 

「行くぞ!! クルシーナ!!」

 

「来いよ、死にたがり!! のんちゃんを守りたいなら、争って見せろよ!!」

 

ハザードとクルシーナはお互いにそう叫ぶと同時に飛び出し、拳をぶつけ合う。

 

本心ではかすみを仲間だと思っているクルシーナの言葉にも、かすみはのどかを守るために戦おうとする。

 

ビョーゲンズ同士の戦いが、火蓋を切って落とされたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギガッ、ビョォォォォォ~!!!!」

 

「いいわよ、ギガビョーゲン」

 

一方、海岸ではシンドイーネのギガビョーゲンが順調に辺りを蝕んでいた。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「ギガァ・・・・・・!?」

 

そこへアースが飛び蹴りを放って、ギガビョーゲンをよろつかせる。

 

「あらぁ、アンタ一人なのね。まあ、せいぜい足掻くがいいわ」

 

シンドイーネにしては余裕の笑みを浮かべながら、アースを見る。

 

「これ以上、やらせるわけにはいきません!!」

 

「ふん・・・プリキュアが一人いないところで、私の敵じゃないのよ!! さっ、蝕んじゃって!! ギガビョーゲン!!!!」

 

「ギガビョォォォォォ~!!」

 

シンドイーネが指示を出すと、ギガビョーゲンはサーフボードを使って飛び上がり、アースを押しつぶそうと襲い掛かる。

 

一方、ドクルンの出したギガビョーゲンと戦うグレースとスパークルは・・・・・・。

 

「ギィィィ~、ガァ~!!」

 

ギガビョーゲンは周囲の球体、及び両手から光線を放って攻撃を仕掛け、グレースとスパークルは避けつつ攻撃のチャンスを伺っていた。

 

しかし、ギガビョーゲンは容赦無く光線を放ち、執拗に攻撃しようと迫る。

 

「もぉ~!! 全然近づけないんだけど!!!!」

 

「エレメント技を使うニャ!!」

 

スパークルが不満を垂れていると、ニャトランがアドバイスを出す。

 

「雷のエレメント!! はぁっ!!」

 

それを受けたスパークルは雷のエレメントボトルをセットし、雷を纏った黄色い光線を放つ。

 

「ギィ~ガァァ!!」

 

ギガビョーゲンは頭部の釣り竿を振り回して、その糸の先に付いていたルアーのようなもので光線を防ぎ・・・・・・。

 

「っ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

さらにそのルアーに雷の力が付加されたのか、スパークルに当たって感電し、悲鳴を上げた後に地面へと落ちていく。

 

「スパークル!!」

 

「ギィィィィィ~、ガァ~!!!!」

 

スパークルを心配するグレースに、ギガビョーゲンは片手から赤い光線を放つ。

 

「っ!!」

 

グレースはシールドを張って赤い光線を防ぐ。

 

「ギィィィ~、ガァ!!」

 

そこへギガビョーゲンは頭部を振り回して釣り竿を振るい、ルアーの付いた糸を飛ばす。

 

「えっ・・・・・・あっ!!!!」

 

ルアーはシールドの側を通り抜けて、背後から迫り、グレースをグルグル巻きにする。

 

「ギィィィィィガァァァ!!!!」

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ギガビョーゲンは思いっきり頭部を振るうと、グレースはその糸に引っ張られてスパークルの隣に叩きつけられた。

 

「ふふふっ、やっぱりあの二人のプリキュアはバラバラにしてしまえば、大したことないわね」

 

ドクルンはグレースとスパークルの戦いを見ながらそう言った。

 

「うっ、うぅぅぅぅ・・・あっ、あぁぁぁぁ・・・あっ・・・!!」

 

そんな彼女の下では、ドクルンに中のメガパーツのようなものを活性化させられて苦しんでいるちゆの姿があった。

 

「りょ、う・・・やめ、て・・・・・・苦・・・しぃ・・・・・・!」

 

「ふふふっ♪」

 

ドクルンは苦しみを訴えるちゆに対して、彼女の頭を優しく撫でる。ちゆの顔色は土気色に近づいていき、徐々に悪くなっていった。

 

「っ!!」

 

アースは踏みつぶそうと迫るシンドイーネのギガビョーゲンに対し、左右にギリギリで飛んで回避し、ギガビョーゲンはアースがいた辺りに着地した。

 

「ギッガァ!!」

 

ギガビョーゲンは掌からビームを放ってきたのを、アースは後方に飛んで回避する。

 

「ふふふふ・・・邪魔者はさっさと踏み潰して、地球を蝕みまくるわよ!! でもって、キングビョーゲン様に褒めてもらうんだから~っ♪」

 

シンドイーネがそう話している中、ギガビョーゲンは再びアースを踏みつぶそうとサーフボードで乗って迫っていた。

 

「はぁっ!!!!」

 

「ギガァッ!!??」

 

踏みつぶそうとした一瞬の隙を見たアースが、サーフボードを下から蹴り上げてギガビョーゲンを吹き飛ばした。

 

「ちょっと!! 私の一途な愛を邪魔しないでよ!!」

 

「一途、ですか・・・・・・」

 

「うっ・・・!! 一、途・・・・・・?」

 

怒ったシンドイーネの言葉にアースは反応するが、彼女よりも強く反応をしたのは苦しんでいるちゆだった。

 

「そうよ!! 私はずっとずっと、キングビョーゲン様だけを想ってやってきた・・・・・・この一途な想いがあってこそ、キングビョーゲン様の愛を掴めるのよ!!」

 

「・・・・・・前にもかすみさんが言っていたと思いますが、一途なその想いは悪くはありません。ですが、あなたのその想いのため、他の人を傷つけるようなことは決して褒められたことではないと!!」

 

シンドイーネが自己愛を主張すると、アースはそれに反論するように言った。

 

「っ、うるさいわね!!!! あんたなんかに私の想いがわかってたまるもんですか!!!! ギガビョーゲン、何してるの!? 早くそいつを始末しちゃいなさい!!」

 

アースのその言葉に怒ったシンドイーネはギガビョーゲンに指示を出し、ギガビョーゲンは両手の掌にエネルギーを溜め始める。

 

「ギィィィガァァァァァ!!!!」

 

ギガビョーゲンは掌から強力な赤いビームを放った。アースはそれを飛び上がって回避する。

 

「音のエレメント!!」

 

アースはハープに音のエレメントボトルをセットし、ハープを奏でて音波を放つ。

 

「ギィ・・・ギガァ・・・・・・!?」

 

音波を浴びたギガビョーゲンは動きが鈍くなる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「ギガァ!?」

 

アースはそのままドロップキックをギガビョーゲンに放って吹き飛ばした。

 

「シンドイーネは自分の意思を持っていて素敵ねぇ・・・・・・それに比べてちゆは・・・・・・」

 

「うぅぅ・・・・・・あっ、あぁ・・・・・・!!」

 

ドクルンはシンドイーネをみて笑みを浮かべ、自分の膝の上で苦しんでいるちゆを無表情で見つめる。

 

「ちゆは学校でも優秀で、女将もできて、ハイジャンも世界に到達できるレベル・・・・・・なのに、この中からどれか一つを選ぶこともできない・・・・・・本当に贅沢な悩みよね」

 

「うぅぅぅぅ・・・っ・・・・・・」

 

ドクルンの言葉に、ちゆは目を見開いて反応する。

 

「悩むくらいなら何も考えなきゃいいのよ。どれも大切だと思ってるあなたにはどうせ決められないんだから。私と、一緒にいましょう。いつまでも、ずーっと」

 

「りょうと・・・一緒・・・・・・いつまでも・・・・・・ずっと・・・・・・」

 

「大丈夫。苦しむのはほんの少しだけ、私と一緒に・・・行きましょう・・・・・・」

 

りょうと一緒にいられる・・・・・・りょうに対する罪悪感でいっぱいだったちゆ。病気の苦痛で考える力も失われ、目をゆっくりと閉じてドクルンに身を委ねようとしていた。

 

(りょうやシンドイーネの言う通り、かも・・・・・・何事も一途な想いには敵わない・・・・・・なのに、私は、ハイジャンも、旅館も、どっちつかず、で・・・・・・もう、このまま・・・りょうと、一緒に・・・・・・)

 

ちゆは心の中で諦めに入ってしまっており、このままドクルンと一緒にいようと、そう考え出したのであった。

 

「ダメペエ!! ちゆぅ!!」

 

「っ・・・・・・?」

 

「どっちも選べないんだったら、それでいいペエ!! 両方好きだったら両方ともやっちゃえばいいペエ!! ちゆならできるペエ!!」

 

その言葉に待ったを掛けたのはペギタンだった。ちゆは薄目を開けながら視線をペギタンに向けると、ペギタンはそう主張する。

 

「僕はちゆの頑張る姿を見てきたペエ!! ハイジャンプも、女将としても、どれも手を抜かないで頑張るちゆの姿を!! そんなちゆだったら絶対にできるペエ!!!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

ペギタンが訴えても、ちゆの表情はまだ晴れなかった。

 

「それでも、勇気が足りないなら・・・・・・僕のを分けてあげるペエ」

 

「っ!!!!」

 

ペギタンのその言葉を聞いて、ちゆは目を見開いた。

 

『もし勇気が足りないなら、私のを分けてあげる』

 

ちゆはかつて自分がペギタンに対して同じことを言っていたことを思い出したのだ。

 

「ぐっ・・・あぁっ!!!!」

 

「っ・・・ペギタン・・・!!!!」

 

「本当にうるさいペンギンね・・・今更そんなこと言っても遅いのよ!!!!」

 

ドクルンはペギタンを持っている片手を強く握り、その表情は怒りで顔が顰められていた。

 

「ギィィィィィ~、ガァ~!!!!」

 

「「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」

 

その頃、グレースとスパークルは釣り人のギガビョーゲンに飛びかかるも、ギガビョーゲンはその場で高速回転して二人を吹き飛ばす。

 

「ギッガァァ!!」

 

「あぁぁっ!!??」

 

アースも善戦したが、タフなギガビョーゲンに吹き飛ばされて岩塀に叩きつけられる。

 

「あっはっはっはっは!! やっぱりあんたたちは一人じゃ大したことないのよ!!」

 

シンドイーネが倒れるアースを見下ろしながらそう言った。

 

「ちょうどいいわ。ちゆ・・・あなたのお友達も、パートナーもみんな消してあげる・・・・・・」

 

「うっ・・・あっ・・・・・・!?」

 

ドクルンは不敵な笑みを浮かべると、片手に掴んでいるペギタンを凍らせ始めた。

 

「っ、りょ、う・・・やめ、て・・・うっ・・・がぁっ、ぁぁ・・・・・・!!」

 

「大丈夫よ。もう時期テラパーツも馴染むし、あいつらのことなんか考えられなくなるわ。そしたら、永遠に一緒にいましょう」

 

ちゆはドクルンにそう訴えるも、ドクルンは胸に手を当てたオーラをさらに強くして最後の仕上げに入ろうとしていた。

 

「さぁ、ギガビョーゲン。さっさと潰しちゃいなさい」

 

「ギガビョーゲン、トドメを刺してください」

 

「ギガァ~!!」

 

「ギィィィガァァァ~!!!!」

 

シンドイーネとドクルンが同時にギガビョーゲンに指示を出すと、両手、頭部とそれぞれのギガビョーゲンはエネルギーを溜め始める。

 

「くっ・・・・・・!」

 

「うっ・・・・・・」

 

「あっ・・・・・・」

 

砂浜に倒れ伏すアース、グレース、スパークル。そんな三人にギガビョーゲンの攻撃が迫ろうとしていた。

 

「や、やめ、て・・・やめ、て・・・・・・やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

ちゆの振り絞った絶叫が響く中、ギガビョーゲンから光線が放たれる。

 

その時だった・・・・・・・・・。

 

ドォンドォンドォンドォンドォン!!!

 

突然、どこからかダークパープルの光弾が無数飛んできたかと思うと、ギガビョーゲンの光線を打ち消した。

 

「ギガァ!?」

 

「ギィィィィ~!?」

 

「っ、えぇぇ~!?」

 

「っ!? 今のはどこから!?」

 

これにはギガビョーゲン、シンドイーネ、ドクルンも驚きを隠せず、辺りを見渡して正体を探ろうとする。

 

「えっ・・・・・・?」

 

「どう、なってんの・・・・・・?」

 

「??」

 

この光景にはグレース、スパークル、アースの三人も訳が分からず、呆然と見ているばかりだ。

 

ドォンドォンドォンドォンドォンドォンドォン!!!!

 

「ギガァ~!!??」

 

「ギィィィィィ~!?」

 

さらにダークパープルの光弾が無数飛んでくると、二体のギガビョーゲンに直撃し、大きく吹き飛ばした。

 

「嘘ぉ~!?」

 

「どこから来てるの!? 今の攻撃!!」

 

圧倒的な力を持っているはずのギガビョーゲンが呆気なく吹き飛ばされた・・・・・・そんな事実に二人は信じられない様子で、特にドクルンはあたりを見渡して探っていた。

 

すると・・・・・・。

 

ドォンドォンドォンドォン!!!!

 

「っ、あぁぁぁっ!?」

 

「きゃあぁぁぁ!!!!」

 

シンドイーネとドクルンにも同じような光弾が飛んできて、二人を吹き飛ばした。しかもドクルンはちゆから引き離された上、ペギタンを手から離してしまった。

 

「今のは何ペエ?? でも、チャンスペエ!!」

 

ペギタンは急いでちゆへと駆け寄ると、倒れる彼女の手を握る。

 

「ちゆ、一緒に!!」

 

「っ・・・ペギタン・・・そう、ね・・・・・・」

 

ペギタンがそう呼びかけると、ちゆは彼がやりたいことを察知してギュッと目を瞑る。すると、ちゆとペギタンが互いに握っている手が青く光り輝き、暖かい空気に包まれた。

 

「うっ・・・うぅぅぅぅ・・・・・・!!」

 

「ちゆ、頑張るペエ!!」

 

「くっ・・・うぅぅぅぅ・・・ペギ、タン・・・・・・」

 

すると、ちゆの体の中のテラパーツが暴れ出した影響で身悶えするも、ペギタンの手をしっかりと握って耐えようとする。

 

「テラパーツ・・・・・・」

 

「私の、体から・・・・・・」

 

「ちゆの体から・・・・・・」

 

「出て行って!!!!」

 

「出て行くペエ!!!!」

 

ちゆとペギタンがそう叫ぶと光は一層強くなり、その瞬間ちゆの体から赤黒い靄の塊が飛び出し、遠くへと逃げていく。

 

「出たペエ!! のどかの時と同じペエ!!」

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・」

 

「ちゆ、大丈夫ペエ!?」

 

ペギタンは出てきた靄を見つめるも、まずはちゆの容態を確認する。ちゆは息を荒くしていたが・・・・・・。

 

「はぁ・・・はぁ・・・うん、大丈夫・・・・・・ありがとう、ペギタン・・・・・・」

 

ちゆは顔に汗を滲ませていたものの、ペギタンに対して微笑んでみせた。

 

ビィィィィィィィィィィィィ!!!!

 

「っ、うわぁっ!!??」

 

「ペギタン!!!!」

 

そこへ白い光線のようなものが飛んできて、ペギタンは間一髪で避ける。

 

「変な攻撃に出鼻はくじかれたけど、まぁ、こんなものか・・・・・・」

 

ちゆとペギタンが光線が飛んできた方向に視線を向けると、ドクルンが先ほどの赤黒い靄を掴んで持っていたビンの中に入れる光景があった。

 

「りょう・・・・・・」

 

「ちゆ・・・あくまでもそいつの肩を持つっていうのね・・・・・・」

 

「当然よ・・・・・・!!」

 

ドクルンは顔を顰めながらそう言うと、ちゆはそう言い切る。

 

「それに・・・私はずっとチャレンジをしてきた!! ハイジャンも、旅館の仕事も!! 私はやりたいことを全部やる!! どっちも大切で、大好きなんだもの!!」

 

「ペエ!!」

 

「っ・・・・・・!!」

 

完全に悩みが吹っ切れたちゆはゆっくりと立ち上がり、ペギタンは喜んだ。一方、ドクルンは睨みつけるようにちゆを見ていた。

 

「それにあなたもよ・・・りょう・・・!!」

 

「は・・・・・・?」

 

「私はあなたのことも好き。だって、ずっと友達だったんだもの。だから、私はあなたを浄化して、あなたを絶対に取り戻してみせる!!」

 

ちゆはドクルンに向かってそう言うと、ドクルンは黄緑色の肌である顔を赤らめ始める。

 

「ちゆったら、カッコいいわぁ!! でも、そんなこと言って罪を清算してるつもりなわけ?」

 

「違うわ、りょう!! 私はあなたのことを、いつまでも友達って、約束したから・・・!!!! 永遠の大樹に一緒に誓って!!!!」

 

「っ・・・・・・!!」

 

ドクルンは惚れたような表情を見せると、それとは別に恨みのような言葉も吐く。しかし、ちゆはそう反論するとドクルンは目を見開いた。

 

「そう・・・・・・じゃあ、私も・・・・・・」

 

ドクルンは穏やかな表情を見せながらそう呟くと、再びちゆの方を見る。

 

「じゃあ、あなたの想いと私の想い・・・どっちが強いか決めようじゃないの・・・!!」

 

ドクルンはそう言いながら黒いオーラを身に纏い始めた。

 

「行くわよ、ペギタン!!」

 

「ペエ!!」

 

ちゆはそう言ってステッキを構えると、ペギタンは大きく返事をした。

 

「スタート!」

 

「プリキュア、オペレーション!!」

 

「エレメントレベル、上昇ペエ!!」

 

「キュアタッチ!!」

 

ペギタンがステッキの中に入ると、ちゆは水のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

そして、肉球にタッチすると、水をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまとい水色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、水色へと変化する。

 

キュン!

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身した。

 

「ふっ!!!!」

 

ドクルンは氷塊を手元に生み出すと、それをフォンテーヌに向かってばら撒くように投げつけ、爆発を起こすもフォンテーヌは飛んで回避する。

 

「はぁっ!!!!」

 

「ふん!!」

 

フォンテーヌはステッキから青い光線を放ち、ドクルンは足元を叩きつけて氷の柱を生やして光線を防ぐ。

 

「ふっ! はぁっ!!!!」

 

「やぁっ!!!!」

 

ドクルンはそのまま氷の柱に飛んで登ると、その上から飛び蹴りを放ち、フォンテーヌはパンチを繰り出して、二人の攻撃がぶつかり合う。

 

「ふんっ!! 行けっ!!!!」

 

ドクルンは距離を取って指を鳴らすと、狼のような幽霊の複数出して放つ。

 

「っ!!」

 

「ぷにシールド!!」

 

ドォン!! ドォン!! ドォンドォン!!

 

フォンテーヌはシールドを張るも、狼のような幽霊は次々とシールドに噛み付くと爆発を起こし、粉砕されて吹き飛ばされる。

 

「っ・・・・・・!!」

 

シュイーン!!

 

「ふっ・・・!!!!」

 

「ぐっ・・・あぁぁぁ!!!!」

 

フォンテーヌは体勢を立て直すも、背後へと瞬間移動をしたドクルンが片足を伸ばしてフォンテーヌの腹に当て、そのまま前に出して蹴り飛ばす。

 

「雨のエレメント!! はぁっ!!!!」

 

フォンテーヌは雨のエレメントボトルをセットし、ステッキから雨水を纏った光線を放つ。

 

「ふん!!」

 

ドクルンは指先から白い光線を放つと、二つの光線がぶつかって爆発を起こし、辺りを白い蒸気が包み込んだ。

 

一方その頃、とある上空からは・・・・・・。

 

「ふふふっ・・・まあ、このぐらいでいいだろう・・・・・・」

 

かすみにそっくりな銀髪の少女が悪魔のような翼を羽ばたかせながら、不敵な笑みを浮かべていた。

 

「・・・・・・もう一人の私、私は目的は果たしたからな。見守らせてもらうぞ、お前の生き様を」

 

銀髪の少女はかすみがいるとされる先を見ると、どこかへと飛び去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ビョーゲンキングダムでは・・・・・・。

 

「はぁ・・・・・・やっぱりアンタはアタシには勝てないのよ」

 

クルシーナがそう呟きながら、ボロボロになったかすみを肩に担いで歩いていた。かすみは気を失っているのかピクリとも動かなかった。

 

「お父様に引き渡さないとね・・・・・・どうせお父様からは逃げられやしないんだから・・・・・・」

 

クルシーナはキングビョーゲンにかすみを引き渡すためにビョーゲンキングダムを歩いていたのだ。

 

そして、キングビョーゲンがいると思われる場所へとやってきたクルシーナはかすみを地面へと下ろす。

 

「お父様、連れてきたわよ」

 

「ご苦労だった・・・・・・さて、そろそろカスミーナを完成させねばな・・・・・・」

 

クルシーナの言葉にお礼を言うと、フードを被らされたかすみの体は宙に浮いたかと思うと、彼女の体は赤黒いオーラへと包まれていく。

 

「・・・・・・・・・」

 

クルシーナはかすみがキングビョーゲンによって力が注がれていく様子を、不機嫌そうな表情で黙って見つめていたが・・・・・・。

 

「お父様」

 

「どうした・・・・・・?」

 

「そいつがビョーゲンズとして完成したら、どうするつもり?」

 

クルシーナはふと気になったことをキングビョーゲンに尋ねてみた。

 

「我の戦力になるのはもちろんだが、復活のための糧になってもらおう。様々な手を同時に打ってはあるが、それを失敗したときの予備だ」

 

「アタシらが手を打ってるっていうのに、それじゃあ不満なわけ? あいつらもこの作戦には気づいてないし、クラリエットお姉様さえ復活すれば、予定通りできると思うんだけどね」

 

「テアティーヌの復活も早い。我はテアティーヌよりも先に復活せねばならん。場合によっては時期を早めるという可能性もあるということだ」

 

キングビョーゲンの言葉に、クルシーナは何やら不満を抱いている模様だが、キングビョーゲンがそう言うもクルシーナは何か納得してない様子。

 

「何か不満か? クルシーナ」

 

「・・・・・・別に、お父様がそうしたいんだったら、アタシは何も言わないわ」

 

キングビョーゲンが何かに気にかけるかのように聞くと、クルシーナはそっぽを向きながら淡々と言った。

 

(あぁ~もう!! なんでこんなにモヤモヤすんの・・・・・・!?)

 

クルシーナは心の中になんとも言えない感情を溜め込みながら、かすみの様子を見つめるのであった。

 

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