ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter 作:早乙女
ちゆの決意とは・・・・・・そして、かすみは・・・・・・。
次回はオリジナルストーリー、かすみ編がスタートです。
「ギィィィィ〜ガァァ〜!!!!」
釣り竿型のギガビョーゲンは、頭部の糸を振るって飛ばす。
「はぁっ!!!」
「ふっ!!!」
スパークルは糸に付いているルアーを蹴り飛ばし、グレースはシールドを張ってルアーを防ぐ。
「ふっ!! やあぁっ!!」
「ギ、ガ・・・・・・?」
スパークルはグレースのシールドに乗って飛び上がり、ギガビョーゲンの体に蹴りを入れてよろつかせる。
「実りのエレメント!! はぁっ!!!!」
「ギガァ〜・・・・・・!?」
グレースは実りのエレメントボトルをセットし、ステッキからピンク色の光弾をチャージして放ち、ギガビョーゲンを怯ませる。
「ギッガァ!!!!」
一方、筋肉隆々のギガビョーゲンはサーフボードに乗ってアースに襲い掛かる。
「ふっ、はぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ギガァ!?」
アースは岩塀に飛び移って、蹴りを繰り出そうとする。
「ギガァァァァ!!!!」
「あぁぁぁっ!!!!」
するとギガビョーゲンは体を回転させて竜巻を起こし、アースを吹き飛ばす。
「っ・・・・・・!!!!」
アースは砂浜の上になんとか着地をすると、ハープを取り出す。
「音のエレメント!!」
アースはハープに音のエレメントボトルをセットし、弦を奏でてゲートのようなものをギガビョーゲンの周囲に出現させてビームを連続して放つ。
「ギ、ギガァ・・・・・・!!」
その攻撃にギガビョーゲンの回転が止まって、そのまま動きを止められる。
「っ!!」
と、そこへシンドイーネがアースに向かって襲いかかりパンチを放つ。アースは咄嗟にハープで防ぎ、後方へ数メートル飛ばされる。
「さっきの攻撃は予想外だったけど、あんたに邪魔なんかさせるもんですか!! どうせあんたたちの望みなんか何一つ叶わないんだから!!」
「そんなことはありません!! ビョーゲンズに誰の望みも、邪魔なんかさせません!!」
「やれるもんなら、やってみなさいよぉ!!」
シンドイーネはそう叫びながら、アースへと飛び出してキックを放った。
「ふっ!!」
バシィッ!!!!
「なっ!?」
アースは両腕を交差させて、シンドイーネのキックを受け止めた。
「っ!! はぁぁぁぁっ!!!!」
「っ、あぁぁぁぁっ!?」
アースは動揺していたシンドイーネの足を両腕で弾き飛ばしてよろつかせると、回し蹴りを繰り出してシンドイーネを遠くへと吹き飛ばした。
「ギガガガガガガ・・・!!!!」
「っ・・・・・・!!!!」
そこへギガビョーゲンが両手から連続して光弾を放ち、アースはそれを避けていく。
「ふっ!!!!」
「っ!!」
一方、ドクルンは氷塊を投げつけて爆発させ、フォンテーヌは転がって避ける。
「ふん、はぁっ!!!!」
続けてドクルンは狼のような幽霊を複数出すと、全てをフォンテーヌにけしかける。
「っ、うっ・・・っ!!」
フォンテーヌは噛み付いてこようとする狼の幽霊たちをバックステップしながら避け、大きく飛び上がる。
「水のエレメント!! はぁっ!!!!」
フォンテーヌは水のエレメントボトルをセットし、水を纏った青い光線を放って幽霊を打ち消す。
「気を抜いちゃダメよ、ちゆ〜?」
「っ!!??」
「はぁっ!!!!」
ドクルンは自分の頭上に巨大な氷塊を作り出すと、それを蹴ってフォンテーヌへと飛ばす。
「ペギタン!!!!」
「ぷにシールド!!」
フォンテーヌはステッキを構えてペギタンに呼びかけると、シールドを張って迫ってくる氷塊を受け止める。
「ぐっ・・・・・・!!」
「ふふふっ♪」
フォンテーヌは少し苦しそうな表情をしていると、ドクルンが飛び上がって氷塊を蹴りつけてフォンテーヌに押し込もうとする。
「ぐぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・!!!!」
「ちゆぅ、一緒にいましょうよ〜、プリキュアなんかやめて♪」
表情を苦痛に歪ませるフォンテーヌに対し、甘い声でフォンテーヌにそう呟く。
「うぅぅっ・・・ダ、ダメよ・・・・・・!! 私は、ビョーゲンズを倒して、あなたを救うって決めたんだもの!! 絶対にプリキュアをやめたりなんかしない!!」
「あら、そう。じゃあ、もう一度病気にしてあげるわ!!」
フォンテーヌが反論すると、ドクルンは顔を顰めて氷塊をさらに押し込もうとする。
「くっ、うぅぅぅぅ・・・・・・!!」
「フォンテーヌ!!」
「私は、諦めない・・・!! この町も、みんなも絶対に・・・守ってみせる!!!!」
フォンテーヌがそう叫ぶと突然体が光り、背中から天使の翼が生える。
「っ!? あれは・・・!!」
ドクルンはちゆのその姿を見て驚きに目を見開く。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「っ、きゃあぁ!!!!」
フォンテーヌが声を張りながら押しのけるとシールドも青く光り、氷解を弾き飛ばしてドクルンごと吹き飛ばした。
「フォンテーヌ!! 急いでグレースたちの元に!!」
ドクルンをとりあえず退けたフォンテーヌは、ペギタンの言葉に頷くとすぐにグレースの元へと向かう。
「ギィィィィ〜ガァ〜!!!!」
「「きゃあぁぁぁ!!!!」」
一方、釣り竿型のギガビョーゲンは体を高速回転させてグレースとスパークルを吹き飛ばしていた。
そこへフォンテーヌがグレースの体を受け止めて着地し、スパークルは自力で体勢を立て直して地面に着地した。
「フォンテーヌ!!」
フォンテーヌがこちらに戻ってきたことに、グレースは喜ぶ。
「ギガァァァァ〜!!!」
「っ!!」
そんなグレースたちに、ギガビョーゲンは両手から光線を連続で放つ。グレースやスパークルはシールドを張って光線を防ぐ。
「ギガビョーゲンの動きを止める方法は・・・・・・」
走りながら接近していたフォンテーヌがそう呟くと、ギガビョーゲンの頭に付いている糸に注目する。
「っ、あの釣り竿をどうにかできれば・・・!!」
「次にあの攻撃が来た時にやってみるペエ!!」
「グレース!! スパークル!! あの頭部の釣り竿をどうにかしましょう!!」
「「? うん!!」」
フォンテーヌは釣り竿を利用すればいいと考え、二人に協力を持ちかける。
「ギィィィィ〜ガァ!!」
すると、ギガビョーゲンが頭部を振り回して釣り竿を振るった。
「来たわ!!」
「「ぷにシールド!!」」
フォンテーヌの言葉を合図として、グレースとスパークルはシールドを張ってルアーを弾く。
「はぁっ!!」
そこへフォンテーヌが前へと飛び出し、弾いた大きなルアーを掴む。
「ギガ!?」
「くっ・・・ふっ・・・!!」
ギガビョーゲンがそれに動揺する中、フォンテーヌは掴んだルアーを引っ張ってギガビョーゲンの動きを止める。
「ギガァ〜アァァ〜!!」
「くっ・・・っ・・・!!」
ギガビョーゲンは釣り竿を引き戻そうとするが、フォンテーヌが懸命に引っ張っていて動かず、拮抗した状態が続く。
「今じゃない!?」
「フォンテーヌが抑えてるうちに!!」
グレースとスパークルはその状態を好機に見て飛び出し、別の釣竿に付いているルアーを掴んでフォンテーヌとは別方向に引っ張る。
「ふっ、うぅぅぅぅ!!!!」
「やぁぁぁぁ!!!!」
「ギガ・・・ギガガ・・・!?」
フォンテーヌに加えて、別方向へと引っ張られてギガビョーゲンは完全に動きが鈍くなった。大きなルアーを掴んだ三人はお互いに見合わせて頷く。
「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」
三人はそのままルアーを掴んだまま、ギガビョーゲンの周りを回りはじめた。
「ギガ!?・・・ギガァ〜!?・・・ギギギ!? ギガガガ・・・!?」
ギガビョーゲンは三人の行動に戸惑っていると、釣り竿が徐々に自身の体に絡まっていき、そのまま身動きが取れなくなった。
「「「はぁっ!!」」」
「ギギギギ・・・ギガァ〜!?」
三人はそのまま大きなルアーを同時に投げ返し、ぶち当たったギガビョーゲンは地面へと倒れた。
「ギガァ!?」
そこへ筋肉隆々のギガビョーゲンが、釣り人のギガビョーゲンの横に吹き飛ばされ、フォンテーヌの横にアースが着地して来た。
「アース!!」
「今です!!」
「ええ!!」
キュン!!
「「キュアスキャン!!」」
アースの言葉を合図に、フォンテーヌはステッキの肉球を一回タッチし、ギガビョーゲンに向ける。ペギタンの目が光り、釣り人型のギガビョーゲンの頭部に釣り人の男性の姿、筋肉隆々のギガビョーゲンには右膝辺りにサーファーらしき男性の姿を見つけた。
「頭と・・・右足にいるわ!!」
「ラテ、お願いします!!」
「ワウ〜ン!!」
フォンテーヌがラテに声をかけるとラテは大きく鳴いた。
「「「「ヒーリングっどアロー!!!!」」」」
4人がそう叫ぶとラテがステッキとハープ、エレメントボトルの力を一つにまとめた注射器型のアイテム、ヒーリングっどアローが出現する。
その注射器型のアイテムに、ハートの模様が描かれたエレメントボトルをセットする。
「「「「ヒーリングアニマルパワー!! 全開!!」」」」
ヒーリングアニマルたちのダイヤルが回転し、その注射器型のアイテムが4つに別れるとグレースにはラビリン、フォンテーヌにはペギタン、スパークルにはニャトラン、アースにはラテの部分で止まり、グレースたち4人の服装や髪型などが変化し始める。
そして、4人の背中に翼が生え、いわゆるヒーリングっどスタイルへと変化を遂げる。
「「「「アメイジングお手当て、準備OK!!!!」」」」
4人は手に持っている注射器のレバーを引くと、虹色のエレメントパワーがチャージされる。
「「「「OK!!!!」」」」
そして、パートナーのヒーリングアニマルたちがダイヤルから光となって飛び出し、思念体の状態になって現れ、パートナーに寄り添った。
「「「「プリキュア!ファイナル!! ヒーリングっど♡シャワー!!!!」」」」
プリキュアたちがそう叫ぶと、レバーを押して4色の螺旋状の強力なビームを放った。4色のビームは螺旋状になって混ざり合いながら、ギガビョーゲンへと向かっていき光へと包み込んだ。
ギガビョーゲンの中で4色の光は、それぞれの手になって中に取り込まれていた釣り人の男性を優しく包み込む。
ギガビョーゲンをハート状に貫きながら、4色の光線は釣り人の男性を外に出した。
さらにもう一体のギガビョーゲンにも向かっていき、光へと包み込む。4色の光は、再度それぞれの手になって中に取り込まれていたサーファーの男性を優しく包み込み、同じように貫きながら外に出した。
「「ヒーリン、グッバイ・・・・・・」」
二体のギガビョーゲンたちは、安らかな表情を浮かべながら消えていった。
「「「「「「「お大事に」」」」」」」
「ワフ~ン♪」
ギガビョーゲンが消えたと同時に、海に広範囲に蝕まれていた場所が嘘のように、元の色を取り戻していく。
「くぅぅ・・・・・・絶対に・・・絶対に私の愛が勝つって、証明してやるんだから!!」
シンドイーネは悔しげに呟きながら、その場から姿を消した。
「ちゆ、カッコいい♪ いつか私を助けに来てね」
ドクルンはフォンテーヌの姿を見つめながら、誰にも聞こえない声でそう呟くと撤退していったのであった。
「っ・・・・・・あれ? 俺、寝てたのか?」
ギガビョーゲンに取り込まれていたサーファーは目を覚ましてそう呟くと、不思議に思いながらその場を去っていく。
「?? 私は一体、何をしていたんだ?」
釣り人の男性も目を覚まして首を傾げると、同じようにその場から去っていった。
「よかったぁ・・・・・・」
「ふふっ・・・・・・勇気をありがとう、ペギタンっ」
「前にちゆからたくさんもらっていたのがちょっと余ったペエ」
のどかたちと共に二人を見送っていたちゆは微笑みながらペギタンを撫で、ペギタンも嬉しそうにしながら答える。
「・・・・・・・・・」
「ちゆ・・・・・・?」
「・・・・・・じゃあ、その勇気はりょうのために残さなくちゃね・・・・・・」
ペギタンのその言葉に、ちゆは顔を俯かせる。ペギタンが不思議そうに呟くと、ちゆは再び顔を上げると少し目元に涙を浮かべながらも、笑顔でそう呟いた。
「・・・・・・ふふふ。そうペエ」
ペギタンもちゆのその言葉を聞いて、微笑みながらそう言ったのであった。
そして翌朝・・・・・・ちゆは自身の将来について家族に話した。
「・・・・・・じゃあ、ハイジャンで世界を目指すの?」
「やるわ・・・!!」
「女将の仕事も?」
「やってみせる!! 欲張りだけど、でも私・・・どっちも諦めたくないの!!」
ちゆは、父・りゅうじと母・なおにそう主張した。
「さすがお姉ちゃん!!」
「2つあるのはきっと大変ですよ? でも、それがちゆの出した答えなら・・・・・・全力で頑張りなさい」
「はい!!」
「頑張れちゆ!!」
「応援するわ!!」
「・・・・・・うむ」
ちゆの将来を、家族たちは応援する姿勢を見せていた。
「とうじ、どっちが女将になるか・・・勝負よ!!」
「えへへ、僕だって負けないよ!!」
ちゆはとうじに宣戦布告し、とうじもそう主張する。
「ふふっ・・・楽しみね」
「はい♪」
そんな様子を祖母・はることなおは微笑みながらそう話し、見守っていた。
「ちゆ、ファイトペエ」
部屋の上に隠れていたペギタンはそう呟き、静かにちゆを見守るのであった。
一方、その頃・・・・・・廃病院のアジトでは・・・・・・。
「・・・・・・・・・」
戻ってきたドクルンがちゆから搾取した赤黒い靄を地下室にいるクラリエットに与えていた。クラリエットを包む赤い靄はうねうねと激しく動き出す。
しかし、何故かクラリエットは目覚めない。その様子を見たドクルンは体を震わせる。
「・・・・・・なんで、なんでよ。なんで復活しないの!?」
クラリエットが復活しなければキングビョーゲンを復活できない、ドクルンは少し焦りと苛立ちを募らせていた。
「やっぱり、あの三人の苦しみじゃ足りないの・・・・・・?」
グレース、フォンテーヌ、スパークルの苦しみを搾取した赤黒い靄は与えたが、それでもまだ何か足りないというのか・・・・・・? ドクルンはそう考えていると・・・・・・。
「大丈夫よ、ドクルン・・・・・・」
「っ!!??」
そんな時、ドクルンに声が聞こえてきた。彼女が顔を上げると、赤い靄に包まれていながらもこちらを向いているクラリエットの姿があった。
「何ですか、起きてたんですか? 脅かさないでください」
ドクルンは心の中でホッとした後、いつものように気丈に振舞おうとする。
「別に脅かしたつもりはないけどねぇ。でも、まだちょっと動かないのよ。私の復活までもうちょっと待ってくれるかしらぁ?」
「・・・・・・ふん、そうやって何日も横になっていればいいんじゃないですか?」
「冷たいわねぇ、せっかくあなたのお姉さんが復活するのよぉ・・・?」
「勝手にプリキュアに突っ込んで負けておいて・・・何を言ってるんですかっ」
クラリエットはからかうような言葉でそう言うと、ドクルンは素っ気ない態度を取る。
「ふふふっ、クルシーナとイタイノンは元気ぃ?」
「そうですけど? それがどうかしたんですか」
「いやぁ? 二人の顔も久しぶりに見たいと思ってねぇ・・・・・・」
「二人は嫌がるんじゃないですか? いつも喧嘩してたでしょうに」
クラリエットは不敵な笑みを浮かべながら問いかけると、ドクルンは淡々と答える。
「喧嘩といっても子供みたいなものよぉ。あいつらがムカつくぐらい絡んでくるの。私のせいではないわ」
「ああ、そうですか・・・・・・じゃあ、おとなしく寝ててください」
クラリエットがそんな風に話していると、ドクルンは適当に話して部屋を後にしようとする。
「ふふふふ♪ 可愛い妹たちね。汚してやりたいぐらい♪」
クラリエットは不敵な笑みを浮かべながら、ドクルンが去っていった扉を見つめていたのであった。
一方、その夜・・・・・・のどかの家では・・・・・・。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・」
眠りについていたのどかが苦しそうに呻いていた。顔色は少し悪くなっており、表情も苦痛に歪んでいた。
「? のどか・・・・・・?」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・」
「のどか、どうしたラビ??」
隣で眠っていたラビリンはさすがに異変を感じて、のどかに声をかけるが、彼女から返事が返ってこない。
「のどか? のどかぁ!!」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・」
返事が返ってこないラビリンがベッドから起き上がってのどかを揺さぶるも、のどかはまるでダルイゼンにメガパーツを入れられた時のように目を覚まさない。
「あぁ・・・どうしよう・・・のどかが起きないラビ・・・!! しかも、何か苦しそうラビ・・・!!」
そんなのどかの体に一枚の黒い羽が舞い落ちる。
「っ!? 誰ラビ!?」
「・・・・・・・・・」
それに不審感を抱いたラビリンは振り返ると、そこに黒いフードを深く被っている人物が立っていた。
「っ・・・ま、まさか・・・!?」
「・・・・・・・・・」
プシュー!!
「あっ!? あぁ・・・かすみ・・・なん、で、ラビ・・・?」
目が暗闇に慣れて来て、ラビリンはその正体を察するも、その人物は掌から花を生やして赤い粉をラビリンに向かって噴射する。それを浴びたラビリンは相手をよく見ようとするも、そのまま眠くなって地面へと落ちてしまう。
そんな彼女を赤い手袋が受け止め、ベッドの掛け布団の上にそっと戻していく。
「ラビリン・・・・・・大人しくしててくれ・・・・・・」
黒いフードの人物ーーーーかすみは静かにそう呟くと、苦しそうにしているのどかを見つめる。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・」
「・・・・・・・・・のどか」
かすみは愛しの守るべき相手の名前を呟くと、彼女の頭の上で手をかざした。すると、赤いオーラがその手のひらに集約していき、のどかの頭へと注がれていく。
一方、眠りについているのどかは・・・・・・。
「あれ? ここは・・・・・・?」
のどかは気がつくと家ではない別の建物の中にいた。体は横たわっていて、どうやら白いベッドに寝かせているようだ。
「ここは・・・・・・病院・・・・・・?」
それからこの場所を察したのどかは、自分がどうしてこの場所にいるんだろうと疑問に思い始める。自分の病気は治ったはず、いつの間にかまた体調が悪くなってしまったのか?
「・・・あれ? なんで・・・体が、動かない・・・・・・」
体を起こそうとするが、なぜか体が重く起き上がることができない。体調が悪いわけではない。でも、体はまるで病気の時のように動かないままだ。
のどか・・・・・・・・・。
「っ、誰!?」
その時、頭の中に響く声が聞こえてくる。思わず聞き返すとその声の主は、寝たままののどかの視界に映るように姿を現した。
「っ、かすみちゃん!!」
フードは被っていたが、その中のかすみの顔がちゃんと見えた。のどかは何故ここにかすみがいるのか疑問でしょうがなかった。
のどか・・・・・・私を、探してくれ・・・・・・。
「え・・・どういうこと・・・・・・??」
かすみは口を動かしてはいなかったが、頭の中に声が響いてきた。のどかはそのかすみの言葉に戸惑う。
探してくれ・・・・・・大変なことになる・・・・・・。
「大変なことって、何・・・!? かすみちゃん、どういうこと!?」
さらに意味深なことを言うかすみに、のどかは動揺して思わず問いかける。
「・・・・・・・・・」
「っ・・・・・・!?」
かすみは何も答えようとしなかったが、手を頭の上に当てて撫でる。のどかはその表情を見て驚く。フードからうっすら見えるかすみは能面のような顔をしつつも、口元に微笑を浮かべていたからだ。
かすみはしばらくのどかのことを眺めると、ゆっくりとのどかの元を離れていく。
「あっ・・・待って!! 待ってよ!! かすみちゃん!!」
のどかが体を起こしてかすみに手を伸ばすが、かすみは振り返ることなく消えていった。
「うっ・・・あっ・・・・・・」
するとのどかは胸を抑え始め、その視界はぼやけていき、その意識は闇に落ちていった。
「っ!!??」
のどかはハッとして目を覚ますと、体を起こす。悪夢を見ていたかのように汗がびっしょりだった。
「はぁ・・・はぁ・・・夢・・・・・・?」
のどかは息を荒くしつつも、夢の中に出てきたかすみのことを考える。何故、夢の中にかすみが出てきたのか?
「でも・・・・・・・・・」
のどかは頭に触られたような感覚があり、思わず手を伸ばして触れる。
「もしかして、そばにいた・・・・・・?」
のどかはそう呟いた。それに眠っているときは何故か苦しかったのに、その苦しさもなくなっている。
「かすみちゃん・・・大変なことになるって、どういうことなの・・・・・・?」
のどかは夢の中で覚えている、かすみが呟いていた言葉が気になっていたのであった。