ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きになります。


第26話「困難」

プリキュア3人はイタイノンたちを追って、森の方へと走っていた。

 

「本当にしつこい奴らなの・・・!」

 

イタイノンはこちらを追いかけてくるプリキュアたちに不快感をあらわにする。

 

メガビョーゲンをさらに飛び上がらせるように指示し、森が見えてくるであろう丘を越えていく。

 

「ん? イタイノンじゃん。あいつもメガビョーゲン出してたんだ」

 

それに気づいたのは、森一帯を病気で蝕ませているダルイゼン。プロペラの音でこちらを振り返り、イタイノンとメガビョーゲンの姿を視認した。

 

イタイノンたちはダルイゼンを見ることなく、そのまま奥の森へと飛び去っていく。

 

「「「!?」」」

 

そこへプリキュアたちが丘を登ってやってくるも、そのあまりの光景に絶句した顔になる。

 

「これは・・・・・・!」

 

森が一切なく、大地一帯がすでに病気で赤く染め上げられており、侵食がかなり進んでおり、健康的な地面などどこにも存在しない。そして、その中に佇むもう一人のビョーゲンズーーーーダルイゼンが立っていた。

 

「あれ? いなくなったと思ったら、仲間連れて戻ってきたんだ」

 

ダルイゼンは不敵な笑みを浮かべながら、プリキュアの方を見る。

 

「大丈夫? お手当てできる? メガビョーゲン、結構育っちゃったけど?」

 

ダルイゼンの言葉は気遣いではなく、嘲笑だ。そんな彼の余裕を表すかのように、病気で蝕まれた大地の向こう側に、体の一部が見えてわかるぐらいの大きさに成長したメガビョーゲンの姿があった。

 

「メガビョーゲン!」

 

「ラビッ!?」

「ペエ~!?」

「ニャア!?」

 

それを見たラビリンたちは驚愕した。クルシーナたちのときも大きく成長したことはあったが、今回のそれは遥かに上回るぐらいの大きさだ。今までこんな怪物を見たことがあっただろうか?

 

「ちょっ、ちょっ、ちょっと! 嘘でしょ!? あんなでっかくなっちゃうの!? クルシーナたちのときよりもでかくない!?」

 

「オレたちもこんな大きさを見るのは初めて見たニャ!」

 

スパークルは動揺を隠せない。

 

「ビ、ビビってる場合じゃないラビ!!」

 

「あーそうそう、追ってた俺たちの仲間、奥行っちゃったけど、追わなくていいわけ?」

 

ダルイゼンが言っているのは追っていたイタイノンのことだ。彼女はこのメガビョーゲンの奥に、自分のメガビョーゲンと共に行ったという。

 

「そういえば、イタイノンがどっか消えちゃったけど、どうするの!?」

 

「でも・・・まずはここをどうにかしないと・・・!」

 

「・・・そうだよ。絶対にお手当てするんだから!! みんな、行こう!!」

 

「うん!!」

「ええ!!」

 

どちらにしろメガビョーゲンを倒せないと先には進めないと感じた3人。グレースはラテをその場に置いて、3人で一緒にメガビョーゲンに立ち向かう。

 

「メガー!」

 

メガビョーゲンが花のような形のツメを振るう。3人は肉球型のシールドを展開するも、吹き飛ばされる。

 

「メガー!」

 

メガビョーゲンはさらにもう一方のツメも振るう。

 

「はぁ!!」

 

「メガー!!」

 

「「「きゃあぁ!!」」」

 

3人はそれぞれの色の光線を放つも、メガビョーゲンのツメに弾かれ、地面へと叩き落とされてしまう。

 

「いったぁーい、全然当たんない、っていうか、近づけない・・・!」

 

「全部あの手でガードされちゃうペエ・・・!」

 

いつもの攻撃が通用せず、全くメガビョーゲンには毛ほどのダメージも与えられていない。

 

「くっ・・・あ!? うわあぁぁぁ!?」

 

グレースは立ち上がって再度メガビョーゲンに立ち向かおうとするも、地面に足を取られそうになり、ふらついた。

 

「これって・・・?」

 

「地面も蝕まれて傷んでるラビ!!」

 

「メガッハー!!」

 

そこへメガビョーゲンが自分の首回りについている白い綿毛のようなものを飛ばしてきた。

 

ドカン!! ドカン!!

 

白い毛のようなものは飛んでいくと同時に、空中で爆発を起こした。

 

「「「!?」」」

 

その後も綿毛は徐々に迫りながら爆発していく。3人はなんとか距離を取ろうと走り出し、少し離れたところで肉球型のシールドを展開するも、爆発していくその勢いは凄まじく徐々に押され始める。

 

「お手当てどころか・・・防ぐのも精一杯・・・!!」

 

メガビョーゲンのあまりの戦闘力に、プリキュア3人は手も足もでない。

 

そんな時だった・・・・・・!

 

ドクン!!!!

 

「うぅ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

必死に爆発を防いでいるフォンテーヌの胸が締め付けられ、息が切れ始める。

 

「フォンテーヌ!?」

 

「はぁ・・・はぁ・・・ま、た・・・こんな、時に・・・」

 

辛そうな表情で喉を抑えながらも、必死で体を支えるフォンテーヌ。

 

ドクン!!! バチバチ・・・!!

 

「うぅ・・・ぁ・・・きゃあぁぁ!!」

 

スパークルも胸を締め付けられたような感覚が起きた瞬間、全身から力が抜け、防御が疎かになって爆発を食らってしまう。

 

「スパークル!!」

 

グレースは叫ぶも、爆発の勢いは止まらずスパークルに駆け寄ることができない。

 

「スパークル! 大丈夫か!?」

 

「ぁ・・・ま・・・た、力が抜・・・」

 

倒れたスパークルは力を入れているが、立ち上がることができず全身をピクピクと痙攣させていた。

 

「くっ・・・あっ・・・!?」

 

更に悪いことが起きる。綿毛の一部がプリキュア3人から外れて飛んでいき、その先には震えるラテの姿が。

 

ラテが危ない・・・・・・!!

 

グレースはとっさにラテの元へと走りだす。しかし・・・!!

 

ドクン!! ドクン!! ドクン!! ドクン!!

 

「うぅ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」

 

その最中、グレースの心臓の音がバクバクと鳴り出し、グレースの息が切れ始める。目が突然チカチカとし始めた。

 

(また、目がぼやけてきて・・・でも、ラテが・・・!!)

 

グレースは顔を顰めながら、足がよろつきそうになりながらも気力で走り出す。

 

「うぅ・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」

 

フォンテーヌも辛そうな表情をしながら、ラテの元へと走る。

 

「ぐぅぅぅ! うぅぅぅぅぅ!!」

 

スパークルもなんとか力を振り絞って立ち上がり、よろよろとしながらもラテの元へと走っていく。

 

3人は光線をブースター代わりにして飛び上がり、一気にラテの元へと近寄ると肉球型のシールドを展開する。

 

その瞬間、綿毛の凄まじい爆発が襲った。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、うぅ・・・!」

 

グレースは倒れそうになりながらも、ラテを抱きかかえたまま、体を必死で支え、シールドを展開する。

 

「あ、はぁ、はぁ、はぁ、ひゅぅ、ひゅぅ・・・」

 

フォンテーヌは呼吸が辛くなっていくのを感じつつも、シールドを消さないように展開する。

 

「ぅぅ・・・ぐぅ・・・!!」

 

スパークルの目はチカチカとしていたが、それでも彼女は気を抜かないように防御に集中する。

 

3人はそれぞれ謎の体調不良で辛そうな表情を見せながらも、必死でラテを守ろうとする。

 

しかし、綿毛の爆発は徐々に凄まじくなっていき、ついには・・・・・・。

 

チュドォォォォォォォォォォォン!!!!!!

 

一際、大きな大爆発を起こした。

 

「「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

大地を抉ってしまうような大爆発により、シールドを呆気なく粉砕されたプリキュアの3人は森の東側へと大きく吹き飛ばされていった。

 

「あーあ・・・これでプリキュアともヒーリングッバイかな・・・?」

 

ダルイゼンは吹き飛ばされた場所を見て、不敵な笑みを浮かべる。

 

「メガ・・・ビョーゲン!」

 

「?」

 

すると、突然メガビョーゲンの鳴き方がおかしいことに気づいたダルイゼンが振り向く。

 

「メガ・・・メガ・・・メガー・・・」

 

メガビョーゲンは花弁を閉じると、そこから一つの不気味な種を吐き出した。

 

その地面に落ちた種。それを拾い上げるものがいた。

 

「プリキュア共も無様なの。最初からおとなしく寝てればいいものを、なの」

 

「あれ? イタイノン、いたの?」

 

クスクスと笑いながら種を拾い上げたのは、メガビョーゲンと一緒に奥へと飛んで行ったはずのイタイノンだ。

 

「・・・いたら問題でもあるの? なの」

 

「・・・別にいいけど」

 

イタイノンは顰めた顔で言うも、ダルイゼンは興味がなさそうに返す。

 

「そのメガビョーゲン、珍しく優秀なの。このままもっと成長させれば、ここ一帯を私たちのものにできるはず、なの」

 

イタイノンはダルイゼンのメガビョーゲンに指をさしながら言う。このメガビョーゲンは三人娘が生み出す強力なメガビョーゲンと同じくらい強力になっている。おまけに成長したことで強暴性も増している。

 

今のプリキュアたちがボコボコにされているところを見ると、到底太刀打ちなどできないだろう。ここをビョーゲンズの大地にできるのも時間の問題だ。

 

「その種って、なんなわけ?」

 

「これはメガビョーゲンの種なの。メガビョーゲンは一定まで成長させると、こうやって種を吐き出すの。優秀なメガビョーゲンはそれができるの」

 

突然吐き出した種のことに疑問を持ったダルイゼンが聞いてくると、イタイノンは不敵な笑みを浮かべながら答える。

 

「・・・ふーん、それっていい感じに育ったってことじゃん」

 

ダルイゼンはそれを聞くと笑みを浮かべる。

 

イタイノンは種をポケットにしまうと、無言でダルイゼンへと背を向けて歩いていく。

 

「お前も無理してるわけ?」

 

「・・・・・・?」

 

「キングビョーゲン様がお前も必要としていて、それで無理をしていないのかってこと」

 

不意にダルイゼンにかけられた声に、イタイノンは足を止める。今まで活発じゃなかったこいつが、最近は活発的に活動している。さすがに無理しすぎなのではないかと。

 

だるそうな態度を見せながらもちゃんと人を見ているダルイゼン。基本、他人をなんとも思わない彼なりに彼女のことを心配しているようだが・・・・・・。

 

「・・・私は私のやりたいことをしているだけなの。お前に心配されることなんかないの」

 

「あっそ・・・まあ、別にいいけど」

 

イタイノンは素っ気なく返すと、ダルイゼンも余計な気遣いだったかと言わんばかりに返す。

 

「そろそろと行くとするの。ドクルンが待ちくたびれてるはず、なの。メガビョーゲン」

 

「メガー!」

 

イタイノンはメガビョーゲンを呼び出して飛び乗る。そして、そのまま上空へと飛び上がって、森の奥へと突き進むと白いホールが現れ、イタイノンたちはその中へと消えていった。

 

ーーーーこいつ、渡しておけばよかったか・・・? まあ、いいけど。

 

ダルイゼンはイタイノンたちを見届けた後、クルシーナが落としていった黒いチューリップの髪飾りをポケットから出して見つめているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・どか! のどか! 起きるラビ!!

 

ラビリンの声が聞こえてくる。目を開けるとぼやけていた視界が明るくなっていき、ラビリンの姿が見え始める。

 

「うぅ・・・あ・・・・・・」

 

のどかが目を覚ますと、ラビリンの表情が安堵したような顔になる。そのサイドにはペギタンとニャトランの姿が。

 

「よかったラビ!!」

 

のどかはハッとなって体を起こし、抱きついてくるラビリンを撫でる。

 

「ラテは・・・?」

 

「無事、とは言えないけど・・・」

 

「ケガはしてないペエ。みんなのおかげペエ」

 

ラテはまだぐったりはしているものの、プリキュア3人でメガビョーゲンからケガはしていない。ひとまずは安心だ。

 

「ちゆちゃんとひなたちゃんは・・・?」

 

「それが・・・・・・」

 

「先にのどかが目を覚まして、二人はまだ目を覚ましていないラビ」

 

のどかがよく周囲を見ると、ちゆとひなたも芝生の上で眠らされていた。よく見れば3人はプリキュアへの変身が解除されている。爆発で吹き飛ばされた衝撃で意識を失い、変身が解けてしまったのだろう。

 

「うぅ・・・ゲホゲホッ・・・ひゅぅ・・・ひゅぅ・・・」

 

と、眠っているちゆが喉元を抑え始め、明らかにおかしい呼吸音を発しているのがわかる。

 

「ちゆ!!」

 

「ちゆちゃんーーーうぅ・・・あっ・・・」

 

ペギタンが苦しむちゆへと駆け寄る。のどかも近づこうとしたが、突然胸を抑え始め、膝をついてしまう。

 

「のどか! どこか具合が悪いラビ!?」

 

「うん・・・また、胸が苦しくなって・・・」

 

ラビリンが近寄って気遣うも、のどかの額には汗が滲み出ていた。

 

3人のヒーリングアニマルたちは顔を見合わせていた。のどかたち3人はあのメガビョーゲンの戦闘のとき、明らかに苦しそうな顔をしていた。ちゆは途中で呼吸が乱れており、ひなたは突然体から力が抜けてふらつく一面を見せ、のどかは胸を押さえて苦痛を浮かべながら、歩き方もフラフラになっていた。

 

どうして、3人に原因不明の体調不良が起こるのか。病気に冒されたことはあったが、それはメガビョーゲンを倒して浄化したはず、数日経っているはずなのにそれが尾を引くなんて普通ではありえない状況だ。

 

「ひゅぅ・・・ひゅぅ・・・ゲホゲホッ・・・ペ、ペギ・・・タン・・・」

 

「ちゆ!? 目を覚ましたペエ!?」

 

ちゆが苦しさのあまりに目を覚ました、というよりは意識が覚醒して近寄るペギタンに必死に声を紡ぐ。

 

「ひゅぅ・・・ひゅぐ・・・く、くす、り、を・・・ポケ、ット、に・・・」

 

「ああ! わかったペエ!!」

 

ペギタンはすぐさまポケットの中から白い容器の薬を出し、ちゆに渡す。

 

ちゆは手を震わせながらも、容器を開けて口に近づけると思いっきり吸った。すると、ちゆの呼吸音が落ち着いてくる。

 

「はぁ・・・はぁ・・・ありがとう、ペギタン・・・」

 

「ちゆ!! よかったペエ!!」

 

ちゆは呼吸を楽にしながら、体を起こしてペギタンにお礼を言う。抱きついてくるペギタンも優しく撫でてあげる。

 

「うぅ・・・うーん・・・」

 

「あ! ひなた!」

 

「うぅ・・・あ・・・!!」

 

その直後、ひなたも目を覚ました。視界をぼやけさせながらも、徐々にクリアになっていき、ハッとしたように体を起こす。

 

「ひなたちゃん! 大丈夫!?」

 

「う、うん・・・なんともないし・・・」

 

のどかが近寄って、声をかけるとひなたは戸惑いながらも、いつもの口調で返す。でも、少し顔色は悪そうだ。

 

「ラテは!?」

 

「無事・・・とは言えないけど・・・」

 

「怪我はしてないペエ・・・みんなのおかげペエ・・・」

 

ラテは今まで以上にぐったりとしていたが、プリキュアたちが爆撃から守ってくれたので怪我はしていなかった。

 

「よかった・・・早くメガビョーゲンを、うぅ・・・浄化・・・し、に、いか、ない、と・・・ああ・・・!!」

 

のどかは再び起き上がろうとするが、顔を顰めていき、倒れてしまう。

 

「のどか!?」

 

「のどかっち!!」

 

「ぐぅ・・・うぅ・・・!!」

 

ちゆとひなたが駆け寄るも、のどかは苦痛の表情で胸を抑えていた。

 

「のどか! しっかりするラビ!!」

 

「だ・・・だい、じょう、ぶ・・・す、すこし・・・横に・・・なれば・・・平気・・・だから・・・」

 

「全然大丈夫じゃないラビ!!」

 

のどかは倒れてもなお立ち上がろうとしていたが、額には汗が浮かんでおり、顔色は悪くなっていた。明らかに大丈夫じゃない。

 

「本当にお手当てできるのかな・・・?」

 

「ひなた・・・ちゃん」

 

そんな中、ひなたは不安な表情を浮かべていた。

 

「まさかメガビョーゲンがあんなに強くなってるとはニャ・・・」

 

「ラビリンもあんなに成長したメガビョーゲンを見たのは初めてラビ・・・」

 

「正直、怖かったペエ・・・」

 

「浄化するにしても、まだまだ時間がかかる・・・つまり、もっと強くなってるってことよね・・・」

 

「そんなのもっと無理じゃん!!」

 

すると、ニャトラン、ラビリン、ペギタン、ちゆと次々と不安を口にする。クルシーナ、ドクルン、イタイノンのメガビョーゲンは成長して強くなったこともあって、攻撃もそれなりに強力だったが、今回はそれらの倍の大きさだ。3人がかりでかかっても、手も足も出なかった。

 

「それにさあ、あたしたちの体、なんかおかしくない・・・? あたし、メガビョーゲンと戦ってるとき、突然体の中が痛みを感じて、力が抜けて、目がすこし霞んだし・・・」

 

「私も、急に呼吸が苦しくなって・・・正直、立ってるのもやっとだった・・・」

 

ひなたは自分の体に起こっている謎の不調を口にすると、ちゆも自分に起こっていることを吐露した。おそらく、ドクルンやイタイノンが何かをしたかと推測できるが、もはやよくわからなかった。

 

二人は、今は大丈夫だが、この後も起こるのではないかと思うと怖くなった。

 

「ラビリンも、のどかが心配ラビ・・・のどかもまた前みたいに具合が悪くなるのが起こってたラビ・・・」

 

ラビリンものどかの様子がまたおかしくなるのに気づいていた。おそらくクルシーナが彼女の体に何かをしたせいで、のどかもラテを守るために引き返した後、体がふらついて呼吸が乱れていたのだ。このまま彼女を戦わせるのも不安だったが・・・。

 

のどかは少し苦しさが引いたのか、体を起こすと先ほどの話を問う。

 

「ねえ、ラビリン・・・このままメガビョーゲンの成長が続いたらどうなるの・・・?」

 

「・・・今、病気にされているところは二度と戻らなくなるラビ」

 

「「!? そんな・・・!」」

 

「それって・・・!?」

 

ラビリンが目を潤ませながら言った言葉に、3人は驚愕する。

 

二度と戻らなくなる・・・それはつまり、そこの自然は本当の意味での死を迎えるということ。

 

それを聞いて、動揺したのはのどかだった。

 

「ダメ、そんなの・・・絶対、浄化しなきゃ・・・!!」

 

「わかってるラビ!! でも、どうすればいいラビ・・・?」

 

「力の差が圧倒的すぎるニャ・・・」

 

「それに、今の3人を戦わせたら・・・危険な気がするペエ・・・」

 

浄化しなきゃいけない、そんなことはヒーリングアニマルの3人にもわかっている。ただ、あの強力になっているメガビョーゲンに対して、打開する案が思いつかない。それに3人が謎の不調を起こしていることもあって、またあんなことが起こってしまったら今度こそ取り返しがつかなくなるかもしれない。

 

「あたしたち・・・やり方、間違ったかな・・・」

 

「ひなた・・・」

 

「だって、めちゃめちゃ強かったよ? あたしたちがみんなビビんないで、手分けしたまま自分の担当を浄化できてたら、あんな強くなんなかったってことでしょ?」

 

ひなたはすでに発言が弱気になっていた。その言葉に他のみんなも体を俯かせ始める。

 

「ごめんペエ・・・僕たちの判断がよくなかったペエ・・・」

 

「ペギタンのせいじゃないわ・・・私も賛成したもの・・・」

 

「俺もニャ・・・」

 

すでにみんなは弱気になっていた。もはやメガビョーゲンをどうにもできず、このまま地球は蝕まれるしかないのか?

 

「そんなこと、ないよ・・・!!」

 

そんな中、のどかは諦めようとはしなかった。起こした体を立ち上がらせる。

 

「だって、ラビリンたちの判断があったから、光のエレメントさんを助けられた。作品だって守れたし、長良さんの思いも守れた。水のエレメントさんも助けることができた! それは本当のことだよ!」

 

「でも、長良さんは病気に侵されているし、結局、あのメガビョーゲンを浄化できなかったら、花のエレメントさんは・・・それに3人もそんな体調じゃ・・・」

 

ラビリンは発言が弱気だったが、それでものどかは揺らがなかった。

 

「諦めなきゃいいんだよ! みんな、見捨てるつもりで花のエレメントさんを最後にしたわけじゃないでしょ? それに私たちの体調だって、助けたいという思いがあればきっと乗り越えられる!! 全部のエレメントさんを助けたいという気持ちは変わらないでしょ!? だったら、どんなに難しくてもお手当てを続ける、それしかないんだよ・・・!!」

 

「でも、解決策がわからないんじゃ、どうにも・・・!!」

 

ちゆはまだ弱気だった。だからと言って、気持ちだけではどうにもなるわけでもない。無作為で突っ込んだところで、さっきと同じことだ。

 

「・・・それでも」

 

のどかには昔の映像が蘇っていた。

 

『ごめんね。今すぐ君を治してあげることができなくて。でも、僕たちは諦めない。だから、のどかちゃんにも、諦めずに戦ってほしい』

 

小さい頃、病気は治るのだろうかと不安に駆られていた頃、病院の先生がかけてくれた言葉。のどかはその言葉のおかげで少し不安を取り除かれ、病気と闘う決心がついたのだ。

 

「それでも闘うことを諦めちゃったら、終わりだから・・・」

 

のどかはそのことを思い返しながら、みんなに言った。すると・・・・・・。

 

「・・・そうラビ。まだまだラビリンたちも諦めないラビ!!」

 

「ラテ様も頑張ってるペエ!!」

 

「俺たちが絶対元気にしてやんないとな!!」

 

「そのためにまずは、早くこの森から出ましょう!」

 

「そうだよ! レッツゴー! ゴー! ゴー!」

 

みんなが気力を取り戻していく。そうだ、私たちは最初から諦めずに戦ってきたじゃないか。3人がそれぞれ病気に侵されたって助けようとし、どんなに強いメガビョーゲンが現れても臆せずに立ち向かってきた。

 

策はないけど、3人でどうにかすればきっと助けられるはずだ・・・。みんなはのどかのおかげで気づくことができたのだ。

 

ひなたは元気に歩き出そうとしていたが、あることに気づいて立ち止まる。

 

「で、どっち行ったらいいの?」

 

「!? そうだったニャーーー!!!」

 

「メガビョーゲンにぶっ飛ばされてきたから、どうやってきたかわかんないラビーーー!!!」

 

「森ばっかりで目印もないペエーーー!!!」

 

そう。みんなはメガビョーゲンの攻撃で吹き飛ばされて、気づいたら森の中だったのだ。結構、深いところにいるようで方角となるものやどこから落ちてきたのかもわからない。

 

ヒーリングアニマルたちはすでに心が少し折れそうになっていた。

 

「ラテに聞いてみようか」

 

のどかが提案する。ラテだったらメガビョーゲンの位置がわかるから、その方向に走れば見つかるはず。

 

のどかは抱いているラテに聴診器を当てる。

 

「ラテ、辛いときにごめんね。メガビョーゲンのいる方向、わかるかな?」

 

(・・・・・・・・・)

 

ラテからは何も返ってこず、辛そうな呼吸音しか聞こえてこなかった。

 

「症状が重すぎて、心の声が聞こえないラビ!!」

 

「うわーん!! ガチのガチでどっちに行ったらいいのーーー!!?? 教えて森さんーーー!!!」

 

ひなたがそう叫び声をあげると、森から白い光が舞い上がってくる。

 

「「!?」」

 

「ええ!? 何々!?」

 

驚く3人。白い光をよく見てみると・・・・・・。

 

「エレメントさんニャ!!」

 

「もしかして、道を教えてくれてるの・・・!?」

 

エレメントさんはどうやら森の西側の方向へと向かっているように見える。エレメントさんたちが、私たちを助けようとしてくれている・・・?

 

そこへ一つのエレメントさんがのどかたちに近寄る。

 

「?」

 

のどかは持っている聴診器で声を聞いてみると・・・・・・。

 

『お願いします! どうか私たちの仲間を助けてください!!』

 

エレメントさんがそう声を発していた。エレメントさんも助けたいという気持ちは一緒なのだ。3人はそう感じ取った。

 

「うん! 必ず助ける!!」

 

「ありがとう! エレメントさん!!」

 

「行きましょう!!」

 

3人とヒーリングアニマルたちは意を決して、エレメントさんが行く方向へと走っていく。すると、木が赤くなっているのが見えた。

 

「このあたりも、蝕まれてるペエ!」

 

「ってことは、メガビョーゲンはこの先ラビ!!」

 

メガビョーゲンがいることさえわかれば、あとは浄化するだけだ。大した策はないけど、私たちは諦めずにお手当てをするだけだ。

 

3人はそう思いながら、赤い森の中を走っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、ここも大方蝕んできたわね・・・」

 

クルシーナはメガビョーゲンに川を襲わせていた。ここでお手当てしたはずの場所をもう一度、病気に蝕ませたらあいつらはどんな顔をするのだろうか。

 

怒り? 悲しみ? 絶望? 焦燥感? どの表情が楽しみで仕方なかった。

 

メガビョーゲンもかなり育った気がする。さっき誕生させた時よりも、明らかに数倍大きくなっている。お父様もびっくりするだろう。

 

クルシーナはそう思いながら、メガビョーゲンが終わるまで昼寝を決め込もうとしたが、ふと頭に違和感があるのを感じた。

 

「あ・・・・・・」

 

体を起こして頭も両手で弄ってみるが、そこにあるはずのものがない・・・・・・。

 

「あいつから、もらった髪飾り・・・」

 

クルシーナがビョーゲンズのあいつからもらって、身につけていた黒いチューリップの髪飾りがなくなっていたのだ。

 

ーーーー何、これ?

 

ーーーーお前、花が好きなんだろ? 気にいるかなって思っただけ。

 

ーーーーだからって、なんで病気の花じゃないわけ?

 

ーーーー黒いのだって立派な病気の色だと思うけど。いらないなら返せよ。

 

ーーーーふん、仕方ないからもらってあげるわよ。

 

「・・・・・・・・・」

 

ダルイゼンがなぜかくれた髪飾り。アタシがビョーゲンズとして迎えられた、そのすぐあとの話だったっけ。花や植物が好きだからと言ったから、持ってきたのだろう。

 

クルシーナは自分の右手をぼーっと見つめていた。

 

「・・・・・・別に、あいつからもらったものなんか・・・」

 

別にあいつとは特に仲がいいというわけでもない。あいつは他人に興味がない性格なのだ。アタシのことを気にかけてくれているわけがない。あの髪飾りだって、いらないゴミとしてアタシに押し付けたに決まってる。

 

そう思いつつも、クルシーナの顔にはどこか寂しげなものが写っていた。気のせいか瞳が少し潤んでいるようにも見える。

 

「・・・・・・・・・」

 

両手を握りながら、表情はどこか辛そうな表情をし、顔を手の中に埋める。

 

「メーガー・・・・・・」

 

鳴き声を発しながら病気を吐き出すメガビョーゲンの方を向くと、そろそろここの川全体を病気で蝕めばそうだった。

 

クルシーナは首を振ると立ち上がり、先ほど自分がいた森がある方へと向く。

 

「あいつ、まだいんのかな・・・」

 

そういえば、アタシはダルイゼンと一緒にいたはず。森の中へと行けば、髪飾りがあるのかな。それとも、あいつが拾っているか・・・・・・。

 

「メガビョーゲン、あっちに行くよ」

 

「メーガー・・・・・・」

 

クルシーナはメガビョーゲンに指示を出し、怪物と一緒に森の方角へ飛んでいく。

 

すると、自分のメガビョーゲンと同じくらいの大きさの、彼のメガビョーゲンが遠くからでも見えるくらい暴れているのが見えた。

 

森はかなり赤く染まっていて、相当病気に蝕まれているのがわかる。

 

段々と近づいていくと彼の大きなメガビョーゲン、その下にはダルイゼンと・・・。

 

「へぇ、プリキュアもいるんだ・・・あんなにボロボロになっちゃって・・・」

 

クルシーナはプリキュアの無様な姿を見て、嘲笑を表す笑みを浮かべるのであった。

 

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