ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
次回からは後編になりますね。
オリジナルストーリーになりますが、ちゃんと書けるのか正直心配です…。


第27話「足掻」

遥かに大きいメガビョーゲンを止めるべく、プリキュアに変身した3人。

 

「メガッハー!」

 

メガビョーゲンはそんな3人に向かって綿毛を飛ばしてくる。

 

「はぁっ!」

 

3人は光線を放って綿毛を吹き飛ばし、爆発させる。

 

「すげえ作戦はないけどニャ!!」

 

「諦めなければ、少しずつ体力を削ることができるペエ!」

 

3人はぷにシールドを張って、爆発の中へと進んでいく。

 

「そしたらいつか・・・チャンスは来るラビ!!」

 

グレースは走ってメガビョーゲンへと近付いていく。

 

「メー!!」

 

グレースに気づいたメガビョーゲンが叩き潰そうと花の形をした両手を構える。

 

そこへ爆発の煙からフォンテーヌとスパークルが飛び出す。

 

「一人じゃ無理でも・・・!!」

 

「私たちが力を合わせれば・・・!!」

 

フォンテーヌとスパークルは両手を押さえつける。そして、そこへグレースが飛び上がってメガビョーゲンの眼前へと近づいた。

 

「きっとできる!!」

 

グレースはメガビョーゲンの渾身の蹴りを加える。メガビョーゲンが顔を後ろへと仰け反らせたのだ。手応えはあった。

 

「おい、みたか!!」

 

「メガビョーゲンがふらついたペエ!!」

 

「やったラビ!! 作戦が効いてるラビ!!」

 

少しは浄化への道が見えた。3人で力を合わせれば、浄化はできる。

 

・・・しかし、そんな気がしただけだったと思い知らされるのは、この後だった。

 

「メー!!」

 

仰け反ったメガビョーゲンがすぐに態勢を整え、緑のサソリの尻尾をグレースへと伸ばした。

 

「あっ!!」

 

油断していたグレースはその攻撃に当たってしまい、地面へと叩き落とされた。

 

「グレース!」

 

「メーガー!!」

 

グレースに気を取られた二人を、メガビョーゲンは二つの両手を合掌するかのように叩きつけた。お互いにぶつけられて地面へと落ちる二人。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

「ガー!? メガー!!」

 

グレースが再びメガビョーゲンの顔に飛び蹴りを食らわせるも、すぐに態勢を立て直したメガビョーゲンは緑のサソリの尻尾を振るった。

 

「ああっ!!」

 

グレースは再び直撃を食らってしまい、地面へと落ちていく。

 

「体力削れてんのはそっちもみたいだけど? それにそっちの二人なんか具合悪そうじゃん?」

 

ダルイゼンは余裕の表情を見せている。よく見れば、先ほどのメガビョーゲンの攻撃を喰らい、落ち着いていた謎の不調が再発してしまっていた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

フォンテーヌはまた喉を抑えながら息を切らし始めている。

 

「ぅぅ・・・ぐぅぅ・・・うぅぅ・・・!!」

 

スパークルはメガビョーゲンにぶつけられた衝撃なのか、再度胸に痛みが走り、力が抜けていくような感覚に陥っていた。体がふらつくような感覚し、目がまたチカチカとしてきた。

 

しかし、二人はそれでも意識を失いまいと必死で起きようとする。

 

そして、その様子を上空から見ていたクルシーナは・・・・・・。

 

「あーあ、あんなに頑張っちゃって・・・無駄だってわかってるくせに」

 

3人を完全に見下していた。あのメガビョーゲンはプリキュアの蹴りなど、ピンポン球をぶつけられた程度にしか思っていないだろう。完全に弄ばれているのは火を見るよりも明らかだ。

 

それにグレースの方を見てみれば、彼女の中の蠢く病気の種がすでに収穫できるぐらいに育っているような感じだ。

 

「フフフ・・・・・・」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべると、右手の指を鳴らした。

 

諦めずに再度立ち上がるグレースだが・・・・・・。

 

「うぅぅ・・・あぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

また胸が締め付けられるような感覚に陥り、息が切れ始める。目も少しチカチカとし始めた。

 

「はぁ・・・うぅぅ・・・!!」

 

「うぅぅぅ・・・ぐぅぅぅぅ・・・!!」

 

フォンテーヌとスパークルも、不調に苦しめられながらも立ち上がろうとする。

 

「メガー!!」

 

「「きゃあ!!」」

 

「きゃあ!!」

 

メガビョーゲンはそんな努力を嘲笑うかのように、フォンテーヌとスパークルに花のような手を叩きつけ、グレースを緑のサソリの尻尾で吹き飛ばした。

 

「うぅ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「うぅぅ・・・ぐぅぅぅ・・・!!」

 

「うぅぅぅ・・・ぅぅぅぅぅ・・・!!」

 

お手当てを諦めたくない3人。再度立ち上がり、メガビョーゲンへと飛び込んでいくが・・・。

 

「メーガー!!」

 

「「「きゃあぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

メガビョーゲンはその場で高速回転し、3人を三方向へと吹き飛ばした。

 

「うぅぅ・・・・・・」

 

「ひゅぅ・・・ひゅぅ・・・ひゅぅ・・・」

 

「ぅぅぅ・・・ぁぁぁ・・・」

 

赤く蝕まれた地面の上に叩きつけられ、意識が遠のいていく3人。メガビョーゲンの攻撃に加え、謎の不調が悪化し、すでに3人の表情は虚ろで、見えている視界は少し狭くなっていた。

 

その様子をクルシーナはつまらなそうに見ていた。

 

「ふん、やっぱり口先だけね、あいつらのお手当ては。頑張りなんか、全くもって見苦しいだけなんだっての」

 

あいつらは勢いで浄化しようとしているのが丸わかりだ。その結果、大きくなったメガビョーゲンの一撃一撃の強い力に完膚なきまでに叩きのめされている。

 

それにあの3人にはそれぞれ自分と、ドクルン、イタイノンが植え付けた病気が残っており、それによって生命力を奪われているあいつらはアタシらにとっては病気の苗床も同然。すぐに力尽きるのも時間の問題だろう。

 

だから、あいつらは医者の不養生という言葉が似合うのだ。綺麗事を言っておいて、行動がそれに伴っていない。本当にバカなやつらだ。

 

「わかっただろ? 無理なものは無理なんだって。そんな体調でお手当てするなんてバカでしょ。それに見ろよ、あいつは諦めてるぜ?」

 

「・・・うぅ・・・えぇ? うぅぅ・・・!」

 

ダルイゼンの言葉に、虚ろな表情をしていたグレースはなんとか正気を取り戻し、必死に傷ついた体を起こす。

 

「まさか・・・・・・!」

 

考えたくはないが、もしかして・・・!!

 

グレースは肉球を一回タッチして、ステッキをメガビョーゲンへと向ける。

 

「「キュアスキャン・・・」」

 

ラビリンの目が光り、メガビョーゲンの首元にいる花のエレメントさんを見つける。しかし、その姿はすでに手をだらんと垂らして気力を失っていて、今にも消えてしまいそうな状態だった。

 

「エレメントさんは、メガビョーゲンに力を使い果たされる寸前ラビ・・・!」

 

「エレメントさんが消えたら・・・!!」

 

「このあたりの蝕まれた土地は、もう終わりペエ・・・」

 

弱り切った花のエレメントさん・・・それに瞳を潤ませるヒーリングアニマルたち・・・。

 

「うぅぅぅ・・・エレメント、さん、諦め、ないで・・・! 」

 

グレースはふらつく体を必死に起こして、立ち上がる。

 

「ひゅぅ・・・あなた、を・・・ひゅぅ・・・助け、たい、と、思うの、は、・・・ひゅぅ・・・わたし、たち、ひゅぅ・・・だけ、じゃない・・・ひゅぅ・・・」

 

フォンテーヌも呼吸がおかしくなりながらも、治したいという気力で立ち上がる。

 

「先に助け、た、光のエレメントさん、も・・・水のエレメントさん、も・・・あと、とにかく、たくさ、ん、の、エレメントさん、も・・・みん、な、みん、な・・・言って、たんだよ!!」

 

スパークルも失いそうな意識を必死に起こして、立ち上がった。

 

3人はもはや、瞳も虚ろだったが、エレメントさんを助けたい、お手当てを諦めたくない気持ちからなんとか気力で立ち上がっていた。

 

「どうか・・・ひゅぅ、あなた、を、助けて欲しいって!!」

 

フォンテーヌも声を振り絞る。

 

「だから、お願い・・・! 一緒に頑張って・・・!! 私たちと、一緒に・・・!!」

 

そして、3人はふらつきながら、視界がぼやけながら、意識が落ちそうになりながらも、再びメガビョーゲンへと向かっていく。

 

「ああ・・・うぅ、あぁぁぁぁぁ!!」

 

3人の声が届いたのか、花のエレメントさんは力を振り絞って、グレースが持つ花のエレメントボトルに力を注いでいく。

 

「メガー!!」

 

「「「あぁぁぁぁぁっ!!」」」

 

しかし、そんな3人の想いを無惨に打ち破るかのように・・・メガビョーゲンはトドメの回転攻撃を食らわして、3人を吹き飛ばした。

 

3人は上空へ舞った後、赤い地面に叩きつけられる。そのまま3人はピクリとも動かなくなった。

 

「お大事に・・・ふっ、なんてな」

 

勝利を確信したダルイゼンは余裕の表情で言葉を返した。

 

「ふん、やっぱり頑張ることなんかに意味はないんだよ。アタシだって、頑張っても治んなかったんだから」

 

それを見届けていたクルシーナは興ざめしたように、適当な木の上で昼寝を決めこもうと考えた。どうせこの辺がビョーゲンズのものになるのも時間の問題だろう。

 

しかし、その時だった・・・・・・!

 

パァァァァァァァ・・・!!!

 

「「!!??」」

 

突然、何かが光り出し、その姿を見たダルイゼンとクルシーナは驚愕した。その光のもとは吹き飛ばされたプリキュアの3人からだった。

 

プリキュアから光が溢れたかと思うと、光の柱が上がっていく・・・!

 

3人が立ち上がると、その手にはハートに花と水と光の装飾がついた、エレメントボトルが握られていた。

 

「・・・えっ?」

 

「これは・・・?」

 

「俺たちが初めて見るボトルニャ・・・」

 

「でも、すごいエレメントパワーを感じるラビ!!」

 

そのボトルからものすごい力を感じる・・・。

 

「きっと、エレメントさんたちが力を貸してくれたんだ・・・! みんなと地球の病気と戦おうって・・・!!」

 

花、光、水のエレメントさん、そしてたくさんのエレメントさんたちが与えてくれた力・・・! 地球を救いたいという気持ちが溢れてくる・・・!!

 

そして、3人からはそのせいか体の不調が少し楽になったような気がする・・・。

 

「あの力は・・・!?」

 

クルシーナはどこかで見たことのある様子で、動揺していた。

 

プリキュアの3人は再び飛び上がり、それぞれのステッキにそのボトルをはめ込み、タッチする。

 

「「「トリプルハートチャージ!!」」」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの順で肉球にタッチしていき、ステッキを上に掲げる。すると、花畑が広がっていき、背後には自然豊かな森が広がっていく。

 

「「「プリキュア! ヒーリング・オアシス!!」」」

 

3人は一斉にメガビョーゲンへとステッキを構え、ピンク・青・黄色の3色の光線が螺旋状になって放たれる。螺旋状の光線は混ざり合いながら一直線にメガビョーゲンに直撃する。

 

螺旋状になった光線はそれぞれの色の手へと変化して、3本の手が花のエレメントさんを優しく包み込んでいく。

 

3色に光るハート状にメガビョーゲンを貫きながら、光線はエレメントさんをメガビョーゲンから外へと出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていった。

 

「「「「「「お大事に」」」」」」

 

花のエレメントさんは、タンポポの中へと戻り、このメガビョーゲンが蝕んだ場所だけが元に戻る。

 

「ふーん・・・プリキュアも成長するんだ」

 

ダルイゼンはそう呟いた後、手のひらに持っている黒いチューリップの髪飾りをポケットから出して見つめる。

 

「・・・・・・・・・」

 

何かを思うような表情を見せた後、その場から姿を消した。

 

「やったね!2人とも!!」

 

「うん・・・でも、ラテが・・・」

 

「まだ、あとメガビョーゲンは3体も残ってるけど・・・」

 

「あ、そっか・・・」

 

3人は集まり、スパークルはひとまず喜びの声を上げるも、まだラテは完治していない。

 

グレースはまだぐったりしているラテのことを抱く。

 

「ラテ、大丈夫?」

 

「まだ、全然体調が良くなっていないラビ・・・」

 

「あとはクルシーナ、ドクルン、イタイノンが出したメガビョーゲンだけペエ。でも・・・」

 

「あいつら、どこに行っちまったんだよ・・・」

 

ラテに聞こうにも、今の状況では心の声を聞くことも不可能。どうやってメガビョーゲンを探そうか困っていた。

 

「捕らえろ!!」

 

ビィィィィィィィィッ!!!!

 

突然、声がしてきたかと思うとイバラのようなビームが放たれ、グレースの体に巻きつく。

 

「えっ? うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

グレースはそのままイバラのようなビームに引っ張られていく。

 

「グレース!!」

 

フォンテーヌとスパークルが、引っ張られるグレースの方向を見てみると、先ほど浄化したのと同じサイズのメガビョーゲンと、それに乗っているクルシーナの姿があった。

 

「クルシーナペエ!!」

 

「あいつ、いつの間にいたのか!?」

 

「それに、あのメガビョーゲンもでかくない!?」

 

姿を現したクルシーナもそうだが、彼女についてるメガビョーゲンも先ほど苦戦したのと同じくらい大きい。きっと飛べるようだから、いろんなところを病気で蝕んでいったのだろう。そうとしか、考えられなかった。

 

「あら、簡単に捕まえちゃったぁ・・・」

 

「! クルシーナ!!」

 

グレースの目の前には、不敵な笑みを浮かべるクルシーナが映っていた。

 

「一緒にいきましょう」

 

「っ、離して!!」

 

「ふっ・・・・・・」

 

クルシーナの言葉に悪寒のようなものを感じたグレースは逃れようともがく。クルシーナはそれを鼻で笑うと右手を彼女の左胸へと伸ばし、一気に中へと突っ込んだ。

 

ドスッ!!!

 

「!? か、はっ・・・!?」

 

その瞬間、グレースに息ができないほどの激痛が走っていく。

 

「「グレース!!」」

 

友達が手をかけられたのを見て、フォンテーヌとスパークルはクルシーナに向かって、光線を放つも、それに気づいたクルシーナは顔をしかめる。

 

「メガビョーゲン」

 

「メーガー・・・!!」

 

メガビョーゲンは両手のバラの蕾を開くと、それで光線を受け止めその花の中へと取り込んでいく。

 

「吸収された!?」

 

「私たちの攻撃が・・・!?」

 

「メガー・・・!!」

 

メガビョーゲンはその光線を赤く太いエネルギーにして、二人へと返した。

 

「くっ・・・!!」

 

二人は間一髪でそれを避けるも、トゲのような両手の触手にクルシーナとグレースが囲まれていて、近づくことができない。

 

「メガビョーゲン、そのまま邪魔させないようにしろ」

 

「メーガー・・・」

 

メガビョーゲンが妨害をしている間に、クルシーナはグレースの体を弄りながら動かし、奥へと突っ込んでいく。その間にもグレースには抉られるような痛みが脳を揺さぶっていた。

 

いたい、いたい、いたいいたいいたいいたいいたい・・・・・・!!

 

目が急速に霞んでいき、クルシーナの顔がだんだんと見えなくなっていく。

 

「フフフ・・・・・・」

 

クルシーナは何かが指先に当たると、それを右手で掴む。その瞬間、グレースにこれまでにないというくらいの激痛が走った。

 

目の前にいる彼女が掴んだのは、心臓だった。クルシーナはそれを強く握った。

 

ドクンドクンドクンドクンドクン!!!!

 

「がぁっ・・・!!・・・!!?・・・!!」

 

イタイイタイイタイ・・・クルシイ・・・クルシイ・・・クルシイ・・・!!

 

あまりの激痛と苦しさに声をあげることもできない。グレースの瞳が見開かれて涙目になり、やがて体から力が抜けていく。

 

「フフフ・・・・・・」

 

「ぁ・・・・・・」

 

クルシーナは笑みを深くすると、突っ込んでいた右手を引っ張る。その瞬間、グレースの意識は急速に失われていき、瞳からハイライトが消えたかと思うと、そのまま力なく顔が後ろに倒れる。

 

「グレース! うわぁっ・・・!!」

 

完全に意識を失ったグレースにラビリンは呼びかけるも、彼女の手からは力が抜けており、ステッキはそのまますり抜けて地面へと落下。ラビリンも装着していたステッキから追い出された。

 

そして、グレースの変身はそのまま解けてしまい、花寺のどかへと戻ってしまう。

 

「フフフ・・・いい感じに成長したじゃない・・・!」

 

笑うクルシーナの右手には赤く蠢くものが形をなし、黒いバラへと変化していく。

 

「きゃあ!!」

 

「あああ!!」

 

フォンテーヌとスパークルはのどかを助けようと何度もメガビョーゲンに飛び込もうとするも、先ほどの攻撃でほとんど力を使い果たしたのか、大した抵抗にもなっておらず、メガビョーゲンのトゲの先についている鋏やバラのような花で薙ぎ払われ、地面へと叩きつけられる。

 

「ふっ・・・・・・」

 

クルシーナはその様子を見て笑みを浮かべると、のどかを左肩に担ぐ。

 

「行くわよ、メガビョーゲン。そろそろ二人も待ちくたびれている頃だしね」

 

「メーガー・・・」

 

メガビョーゲンはクルシーナの指示に従い、プリキュアたちに背を向けると上空へと飛び去っていこうとする。

 

「うぅ・・・! のどかぁ!!」

 

「逃げられちまうニャ!!」

 

「今、逃げられたら・・・ラテ様とのどかが・・・」

 

「あ・・・ダメっ・・・!!」

 

立ち上がろうとするラビリンとプリキュアの二人。その間にクルシーナたちはのどかを連れて、どこかへ飛び去ろうとしている。

 

「うぅぅ・・・えいっ・・・!!」

 

起き上がったスパークルが力を振り絞って、ステッキから黄色い光線を花つ。その光線は紐のようになり、メガビョーゲンの足の触手に絡みつく。その飛ぶ勢いでスパークルは引っ張られていく。

 

「フォンテーヌ!」

 

スパークルがこちらに向かって手を伸ばしてくるのが見えた。

 

「くっ・・・!」

 

フォンテーヌはなんとか立ち上がると、飛んでスパークルの手を取り、彼女に抱きつくような形で捕まる。

 

「! ラビ!!」

 

ラビリンもステッキを抱えたまま、メガビョーゲンの後を追って飛んでいく。

 

「メ・・・メガー・・・!?」

 

「ふっ・・・いいよ、メガビョーゲン。そのままそいつらも連れて行こうぜ」

 

メガビョーゲンは急に足に違和感を感じて振り向くと、プリキュアが自分の足に何かを絡みつかせて捕まってるのが見えた。メガビョーゲンは振り払おうとしたが、クルシーナに止められる。

 

どうせなら、こいつらも連れてってぶっ倒してやろう。どうせ、あそこはエレメントさんの力を借りることもできないのだから。

 

「いいから、気にせずに飛べ!」

 

「メガー・・・!」

 

クルシーナの声が聞こえてくると、メガビョーゲンは前を向いて飛んでいく。

 

その時、クルシーナたちの目の前に白いホールのようなものが出現する。

 

「! あれは・・・?」

 

「もしかしたら、どこかに繋がってるかもしれないペエ」

 

あのホールはもしかしたら、別の場所につながっていて、メガビョーゲンが逃げ込んでいるかもしれない。

 

クルシーナたちとメガビョーゲン、それに捕まるプリキュアの二人、そしてそのあとを追いかけるラビリンは白いホールの中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メガー・・・!!」

 

「くっ・・・!!」

 

荒廃した街で、メガビョーゲンに追われる一人の男性。白衣を着込んでいて、カバンを右手に持ちながら、息を切らしてメガビョーゲンから逃れようとしている。

 

「メガー・・・!!」

 

「くっ・・・うおっ!?」

 

メガビョーゲンが吐き出す病気を避けながら、必死に走る男性。

 

「!!・・・くぅぅぅ!!」

 

すると、男性は一つの何かを見つけ、走る速度を上げていく。

 

「メガー・・・!!!」

 

メガビョーゲンは男性に向かって、口から病気を吐き出す。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

男性はそれを飛んで交わすと同時にその中へと飛び込んでいく。そこは林の中であった。

 

「メ・・・メガ・・・? メガー・・・!」

 

メガビョーゲンは大きすぎて林の中へと入ることができず、森の外側を飛び回りながら男性が出てくるのを待ち構えようとする。

 

「ふぅ・・・危ねぇところだった・・・」

 

メガビョーゲンからとりあえずは逃げ切り、安心する男性。

 

「まさか、あの病院に近づこうとして、あの怪物に見つかるとはな・・・」

 

そうぼやく男性。ふと、その林の地面の中に何かあったのを思い出して、その下へと近寄るのであった。

 

「ふむ・・・やはりすばしっこい男ですね・・・」

 

ドクルンは地上へと降りると、自ら手を下すべく林の中へと入っていく。

 

林の奥を進んで行くドクルンだが、男性の姿はない。

 

「ん?」

 

ドクルンは広いところに出たところ、その中央の地面に何か扉みたいなものがあるのを見つける。

まるで防空壕のようで、どうやら男性はこの扉から逃げ出したらしい。

 

「・・・それで逃げたつもりなのかしらね」

 

ドクルンは無表情で穴を見つめ、右足で地面を叩きつけると氷の柱を発生させ、その防空壕のようなものを使えないように塞いでおく。

 

こんなことをしても、どうせどこかに出られる扉があるのだろう。奴の逃げ場を潰しておかなければ・・・!

 

ピゥ~イ!!

 

そして右手の人差し指と親指を使い、いわゆる指笛を吹く。すると、黒い蛇のような大流ーーーーストームビョーゲンが彼女の周囲を飛ぶようにサークルを作り始める。

 

「男を探してください。この際は病気に蝕んでも構いません。徹底的に逃げ場を潰して、奴を潰してください」

 

「ナノー!」

 

ドクルンの冷酷な命令に、一匹のナノビョーゲンの肯定するかのような鳴き声が聞こえると、ストームビョーゲンはサークルから林の奥へと突っ込むようにスピードを上げて消えていく。

 

ドクルンは見届けるように微笑を浮かべていると、ふとこの荒廃した街に何かが入ってくるのを感じて、その方向を向き始める。

 

「・・・どうやら、プリキュアがこの街に入ってきたようね・・・フフフ」

 

ドクルンはプリキュアの生命力を感じとり、不敵な笑みを浮かべ、彼女らに立ち会うべくその場から姿を消す。

 

一方、廃病院にいるイタイノンは、病院まわりの監視をメガビョーゲンに任せて、自分は自室で携帯ゲームをしていた。

 

ふとゲームを操作する手を止めて窓の外を見つめては、顰めた顔をしていた。

 

「クルシーナのやつ・・・遅いの・・・」

 

正直、イタイノンは待ちくたびれていた。クルシーナは元々他人を苦しめるのが好きな性格だから、どうせ必要以上にメガビョーゲンを襲わせているのであろう。全くもって無駄だと思う。

 

ゲームをやるだけでも気がまぎれるが、いい加減飽きてきてもう気がまぎれない。そろそろ戻ってきてもいい頃だと思うが。ドクルンも自分のメガビョーゲンが何かを見つけたと言ってどこかへ行ってしまったし、今は一人で退屈だ。

 

「あぁぁ・・・暇すぎて死にそうなの・・・」

 

携帯ゲームを床へと放り投げて、仰向けに寝転がるイタイノン。まあ、自分たちは病気の塊も同然なので、本当に死ぬことはないが、別の意味で死にそうだ。

 

「・・・・・・・・・」

 

目の上に置いた両腕を少しずらして、天井を見つめる。

 

ひとりぼっちは寂しいの・・・・・・。

 

「っ!?・・・ふん!」

 

心の中でそんな言葉が浮かんでハッとし、思わず横になる。別に天井のシミを数えようとしているだけで、寂しいと思ったことはないの。私は人間が嫌いなのだから、あいつらがいなくたって・・・。

 

・・・・・・誰に言い訳をしているのだろうか。

 

「ネムレン?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「おい、ネムレン」

 

「・・・・・・・・・」

 

カチューシャになっている相棒に話しかけるも、彼女から声は帰ってこない。さっきは思いっきり怒鳴ったから、怯えてしまっているのだろうか。

 

「ネムレン、さっきは怒鳴って悪かったの・・・だから、いい加減機嫌を直すの・・・」

 

一応、謝罪の言葉を口にする。相棒に八つ当たりをしてしまったことは少し罪悪感があった。

 

それでも返事は返ってこない・・・。そう思ったのだが、しばらくの沈黙の後、変化があった。

 

「・・・本当ネム? もう怒ってないネム?」

 

「怒ってないの。だから、私と話せ、なの」

 

ネムレンはまた沈黙した後、カチューシャから小さなヒツジの姿へと戻ると、イタイノンの胸へと抱きつく。ゴシックロリータはそんな彼女を優しく撫でた。

 

「イタイノンは、ちゃんと謝ってくれるネム・・・ビョーゲンズになる前から本当に優しいネム・・・」

 

「べ、別に優しくないの・・・寛容なだけなの・・・」

 

イタイノンは頬を赤く染めてそっぽを向きながらも、優しく撫でる手は止まらない。それはビョーゲンズになる前から・・・・・・なる前から?

 

ビョーゲンズになる前って何? 私は最初からビョーゲンズのはずだが・・・?

 

「!?」

 

そんなことを考えようとした時、この街では感じないはずの生命力を感じ取る。それはすこやか市の自然と同じくらい不快なものだ。

 

あの憎っくき男性・・・ではないの・・・。ということは・・・。

 

「あいつらが、来たの・・・!!」

 

イタイノンは手を撫でるのをやめて立ち上がると、そいつらに会うべくその場から姿を消す。

 

荒廃した街の上空では・・・・・・。

 

白いホールが現れ、そこからクルシーナとメガビョーゲン、それに黄色いエネルギーの紐に引っ張られるスパークルとフォンテーヌ、さらにステッキを持ったラビリンが抜けてきた。

 

「!・・・ここは・・・?」

 

「えっ・・・何、ここ?」

 

スパークルとフォンテーヌはメガビョーゲンに引っ張られている状態で上空にいるが、何やら異様だ。空は青がなく真っ赤に染め上げられており、街の景色を見れば色が存在せず、全てが灰色や白と化していて、所々がメガビョーゲンの病気のように赤い靄が広がっている部分さえある。

 

「見て分かんないわけ? バカじゃないの?」

 

ふと耳にしたであろうクルシーナが嘲笑の言葉を返す。声が聞こえて上をよく見れば、クルシーナがメガビョーゲンの背中に座ってこちらを見ていた。

 

「地球よ、地球。お前らって、空からの景色も見たことないわけ?」

 

「「!?」」

 

「ラビ!?」

 

「ペエ!?」

 

「ニャ!?」

 

クルシーナの見下ろしながら言った言葉にプリキュアの二人、そしてパートナーの妖精たちは驚愕する。ここが地球・・・だと・・・?

 

じゃあ、この街と自然はすでにビョーゲンズのものになっているということ・・・?

 

「まさか・・・そんな・・・!」

 

「嘘・・・じゃあ、ここはもう・・・!!」

 

「ビョーゲンズに奪われちまったってことか・・・!?」

 

「そんな・・・そんなの、ありえないラビ・・・!!」

 

「それがありえんだよ。ここには生気や健康的な環境などないのさ。あるのは病気で吸い尽くされた死の世界だよ」

 

呆然とするしかないフォンテーヌとスパークルたちに、クルシーナが冷酷な言葉を告げる。

 

「そして、地球全体も、お前らも・・・いずれこうなるんだよ・・・!」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべると、おしゃべりはおしまいと言わんばかりに手のひらを二人へと向け、白と黒のイバラビームを放つ。

 

「!? ああっ・・・!!」

 

スパークルは放たれたビームを自身の体を揺らしてうまくかわす。思いっきり揺らしたせいで光線の紐がグワングワンと揺れる。

 

クルシーナはさらにイバラのようなビームを乱発するも、スパークルにことごとく交わされる。本当は光の紐を狙えば切って落とせるのだが、残酷な幹部はあえてそれをしなかった。

 

クスクスと笑っていると、さらにそこへドクルンやイタイノンがメガビョーゲンの上へと姿を表す。

 

「遅いですよ、クルシーナ」

 

「どこで油を売ってた?なの」

 

「あら、随分な物言いね。アタシは地球を蝕んでたってのにさ」

 

ドクルンとイタイノンの皮肉を含んだ言葉に、クルシーナは強気に返す。地球を蝕むのがビョーゲンズの本筋だろうが。

 

「ドクルン!!」

 

「イタイノンもいるペエ!!」

 

ドクルンはプリキュア二人を視認すると、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

「あーあ、もう狙い撃つのも飽きたわね・・・」

 

ピゥ~イ!!

 

クルシーナは手を引っ込めて指笛を吹くと、赤い空から黒い大流が蛇のようにジグザグとしながら近づいてくる。

 

「あれは、メガビョーゲン・・・!?」

 

「でも、なんか違うみたいだし・・・ちっちゃな何かが集まっているようにも見えるけど・・・」

 

「!? こっちにくるペエ!!」

 

プリキュアたちが戸惑いながらも、よく見てみると大流は小さな悪魔の妖精みたいなものが集まっているようにも見えなくもない。大流の先頭には鎖が巻かれたような黒い丸のようなものが見えるが、あそこにも悪魔のような顔が無数見えていて、とにかく何とも不気味なものだった。

 

そう考えているうちに、黒い大流はゆっくりとこちらに飛翔してくる。

 

「フフフ・・・・・・」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべると、手を上に上げて下へと振り下ろす。すると、無数の小さな悪魔の妖精の目が赤く光り始める。

 

「え・・・何・・・?」

 

スパークルが動揺したその瞬間、大流はプリキュア二人に目掛けて突っ込んでくる。

 

「こっちに来るぞ!!」

 

「くっ・・・!!」

 

スパークルはステッキを向けて水色の光線を放つも、大流に弾かれてしまう。正確には、当たったが、そこからさらに黒いのが湧いて元に戻っただけだ。

 

「! そんな・・・!!」

 

フォンテーヌが動揺したのもつかの間、大流はプリキュア二人へと突っ込んだ。

 

小さな悪魔の妖精の大群に飲み込まれ、流されそうになる二人。

 

「ぐぅぅ・・・うぅぅぅぅ・・・!!」

 

「んぅ・・・うぅぅぅぅ・・・!!」

 

スパークルはステッキを離さないように必死に耐えようとする。フォンテーヌも苦しい表情を見せながらも、流されないようにする。

 

「うぅぅぅ・・・うぅぅぅぅ・・・あぁぁぁぁ!!」

 

同じように大流に飲まれたラビリンだが、耐えきれずにそのまま吹き飛ばされてしまった。

 

「「ラビリン!!」」

 

叫ぶ二人だが、そんな二人を嘲笑うかのようにある異変が起きた。

 

「うぅ、ゲホゲホッ!! はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「フォンテーヌ!!」

 

「はぁ・・・ま、た・・・発作、が・・・はぁ・・・ゲホゲホゲホッ!!!」

 

フォンテーヌはまた咳込むと息が切れ始め、呼吸をうまくすることができなくなる。

 

「うぅ・・・あぁ・・・ぁぁ・・・・・・」

 

「スパークル!! 大丈夫か!?」

 

「ぁぁ・・・・・・ぁぁ・・・力が、抜け、て・・・」

 

スパークルは胸に痛みが走り、また意識が落ち始めたのだ。

 

二人の抵抗が急に弱々しくなるも、それを黒い大流は容赦なく攻め立てる。

 

そして、追い打ちをかけるように光の紐がほつれ始める。

 

「ぁぁ・・・紐、が・・・!」

 

スパークルが虚ろな目で紐を見つめるも、それで紐のほつれが収まることなく、ついには光の紐は切れてしまった。

 

そして、二人は大流に吹き飛ばされ、悲鳴も上げられずにステッキも手から離れ、そのまま下へと落下していってしまった。

 

「お大事に。フフフ・・・アッハッハッハッハ!!」

 

クルシーナはその様子を下から見届けると、勝ち誇ったように笑い声をあげる。

 

「プリキュアも病気の前では無様ですね・・・」

 

「どうせあいつらはここじゃ1日も生きられないの。今まで私たちの邪魔をしたからいい気味なの」

 

ドクルンは不敵な笑みを浮かべ、イタイノンは無表情で見下ろした。

 

「? そういえば、もう一人いませんでしたよねぇ?」

 

「・・・ここにいるわよ」

 

クルシーナが指を鳴らすと無数の小さなコウモリの妖精たちが下から花寺のどかを担いでいた。

 

「ああ・・・もう倒してたんですかぁ?」

 

「まあね、こいつをまた抜き取ってやっただけだけど」

 

クルシーナは左手に黒いバラのようなものを二人に見せる。

 

「ほう、いい感じに成長したじゃないですか」

 

ドクルンは感心感心という感じで見つめていた。

 

「で、こいつはどうするの・・・?」

 

イタイノンは気を失っているのどかを見ながら言う。

 

「ふっ・・・その辺のどっかに捨てていきましょう。こいつにも現実を知ってもらわないとね」

 

のどかにはまだ蠢く何かが小さく残っているが、こいつにはまだ苦しんでもらいたい。そのためにはこいつが長くは生きられないこの世界にいてもらわないと。

 

ーーーー正直、メガビョーゲンが手を下すまでもなかったわ。

 

クルシーナたちはメガビョーゲンと一緒に森の方へと飛んでいくのであった。

 

その間も黒い大流ーーーーストームビョーゲンはプリキュアの二人を探し回るかのごとく、サークルを描くように飛んでいるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人娘がいない間の廃病院。そのクルシーナが管理している植物園では・・・・・・。

 

植木鉢に植えられている黒い蕾が通常ではありえないくらいの大きさに成長している。これはこの前、クルシーナがキュアグレースことは花寺のどかから抜き取った黒いバラを埋めたものだ。

 

すでに数日経っているが、蕾は膨らみを持っており、棘のような茎やたくさんの葉をつけて壁を這いながら成長しており、今にも花が開いてもおかしくない状態だ。

 

ブォン・・・ブォン・・・ブォン・・・。

 

その蕾は紫色に点滅しながら光っており、その中には人のような何かが形成されているのであった・・・・・・。

 

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