ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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二日連続で投稿します。
その後は毎週月曜日投稿になりますので、よろしくお願いします。


第2話「出撃」

・・・さてと、人間界に来たわけだけど。確か、ダルイゼンがメガビョーゲンを生み出したのはすこやか市という街だったわよね。

 

私は瞬間移動してきたハート型の灯台の上から、街を見上げる。

 

自然豊かな森・・・きれいな川・・・元気に遊ぶ子供たち・・・この街に澄み渡る快適な空気・・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

・・・なるほど、あいつが蝕むのを好みそうなところじゃん。

 

あまりにも快適過ぎて、本当に・・・・・・ムカムカする。

 

そんな場所を病気で蝕んでやったら、どうなるのかなぁ? どんな苦しむ顔をしてくれるのか。

 

「なんか健康的すぎて、不快な街ウツ」

 

コウモリの羽の生えた中折りの帽子になっているウツバットが不快感を隠さず話す。

 

こいつは常に私のそばにいる相棒だ。いつからいるかは覚えてないけど、とにかく私のそばにいるのだ。元々は地球を癒す存在だったらしいけど、心底どうでもいい。

 

「ふふ、だから病気で蝕むのに最高の環境なんじゃない」

 

生き物の苦しむ姿が目に浮かぶわぁ~。まさに蝕みがいのある場所だものね♪

 

ここを黒く染められると思うと、笑みが止まらない。早速、降りてみようか。

 

私は瞬間移動して、街の中へと入っていく。視界に写るのは、日帰り温泉、ハーブショップ、鍼灸院、リフレクソロジーといったお店らしい建物の数々。

 

・・・・・・これらは健康的っていうけど、やって何の意味があるんだか。

 

少し歩くと足湯やお土産ショップといったものもある。人間のセンスってよくわかんない。

 

「あそこのお土産のお饅頭、美味しそうウツ」

 

「・・・はぁ?」

 

なんか頭の沸いてることを言い出した帽子がコウモリに戻る。頭が寒いっての・・・!

 

「何言い出すのよ、あんた」

 

「あの赤くてテカテカしている、あの饅頭、美味しそうウツ」

 

・・・何、人間のものに感化されてんのよ。

 

「はいはい、いくわよ」

 

「一口、食べプギャァ!?」

 

「うるさい! 食べてる暇なんかないんだよ!」

 

アタシは人差し指と小指以外の手でバカを掴むと、暴れるのも構わずにその場を立ち去っていく。

 

・・・何をそんなに騒いでるんだか。どうせここだって病気で蝕まれるんだ。

 

バカを帽子に戻るように言った後、アタシは歩いていくと街の外に出た。ふと左へ向くと海のある景色が見えている。

 

そして、何やら人間が隊列を作って走っていくのが見えた。

 

「すこ中ー、ファイ!」

 

「オー!」

 

「ファイ!」

 

「オー!」

 

どうやらランニングをしている模様だ。ということはこの近くに中学校があるのか。

 

「あれは何ウツ?」

 

「さあ? スポーツバカどもの運動じゃない?」

 

・・・健康そうな体つきなんかしちゃって、本当に生きてるって感じ。ムカムカするわ。

 

っていうか、その中学校からこんな奴らが出ちゃったら、ビョーゲンに強い人間が出ちゃうってこと?

 

それはいけない。その学校を蝕みに行かないと。

 

私はその場から瞬間移動して、例の中学校へ向かった。

 

校舎の屋根の上から見れば、校庭では運動着を着た多くの人が多種多様の運動をしていた。

 

・・・元気に運動なんかしちゃって、本当に腹が立つ。

 

「子供、元気ウツね」

 

「ええ、本当に黙らせたいくらいね」

 

アタシは苛立ったように言って別の場所に視点を向けると、裏の校舎のところに木が一本立っているのを発見した。

 

アタシは笑みを浮かべると、木の近くに瞬間移動して触れてみる。

 

「クルシーナ、この木がどうしたウツ」

 

「黙ってて」

 

ーーーーーーーードクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン

 

・・・・・・ふーん、よく育ってるわね。

 

「いい感じじゃない。生きてるって感じがして」

 

特に自然の中にあるわけでもないのに、よく育っている感じがする。木漏れ日が射していて、健康的な木だ。

 

・・・あまりにも健康的で、いい感じすぎて、ホントーに・・・ムカムカする。

 

健康的な環境は本当に不快だ。健康的だからこそ、本当の苦しみを知らないと見える。

 

不快すぎてもう限界ね・・・とりあえず、こいつで試してみるか・・・・・・。

 

アタシは、右手の握りこぶしを開き、手のひらに息を吹きかける。ナノビョーゲンを生み出す際の私の動作だ。

 

「進化しろ、ナノビョーゲン」

 

「ナーノー」

 

アタシが生み出したナノビョーゲンは鳴き声を上げながら、先ほど触れた健康的な木に取り憑く。木が徐々に病気に蝕まれていく。

 

「ああ・・・ああああ・・・」

 

木の中にいる妖精、エレメントも病気へと染まっていく。

 

私たち、ビョーゲンズは自然の中、物体の中に存在するエレメントさんを見ることができる。ナノビョーゲンはエレメントさんに取り憑かせることで、ある怪物を誕生させるのだ。

 

エレメントさんを介して、その病気が巨大になってその姿を象っていく。凶悪な目つき、不健康そうな姿、そしてそれを模倣する様々な器物が現れていき・・・・・・。

 

「メガビョーゲン!」

 

世界を病気で蝕むことができる怪物、メガビョーゲンの誕生だ。

 

メガビョーゲンは誕生するとすぐに口から病気を吐き出し、桜の花を病気で蝕んでいく。

 

部活動を行っている女生徒の悲鳴が響き、怪物から離れようと逃げ惑う。

 

ふふふ・・・これよこれ、こうやって人間たちが怯える光景・・・。

 

本当に最高だわぁー。もっともっと見ていたいものね。

 

メガビョーゲンは校舎の壁の横に生えている他の植物にも病気を吐き出し、蝕んでいく。

 

さて、ダルイゼンの言っていたプリキュアは現れるのかしらぁー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャアアァァァ!」

 

放課後の校内では、突然怪物が現れ、部活動に勤しんでいた女生徒が逃げ回っていた。

 

「みんな! 学校から離れるんだ!!」

 

担任の先生らしき中年男性が焦燥しつつも、女生徒たちに避難するように指示する。

 

「メガビョーゲン!」

 

「怪物!?」

 

そんな中、自身は逃げつつも、足を止め、口から得体の知れないものを吐く怪物を見る、ポニーテールの女性がいた。

 

一方、この学校の生徒の一人ーーー花寺のどかの家ではある異変が起きていた。

 

「クチュン!」

 

「この反応は、ビョーゲンズ!」

 

「ええ!?」

 

ある日、彼女と会った子犬の妖精ーーーラテに餌を挙げていたが、突然くしゃみをしたと共にぐったりとし始めた。そこへ虎のような模様の猫ーーーニャトランが家のような形をしたバッグを持ちながら言う。

 

「聴診器でラテ様の心の声を聞いてみろ!」

 

のどかはニャトランに言われた通りに聴診器をして、ラテに向ける。

 

(あっちの方で、大きな木が泣いているラテ)

 

「!?」

 

「襲われたのは大きな木か!」

 

ラテが向いている方角からして、おそらく学校だろう。

 

(・・・また、あんなことが!?)

 

のどかに昨日の光景が甦る。街を歩いたところ、ビョーゲンズという地球を病気で蝕もうとする悪い人が現れた。のどかは子犬がいると聞いて、危険も気にせずに助けに行き、不思議な動物たちと行動を共にすることになったのだ。

 

ーーーあんな辛いこと、もう起こさせはしない!

 

のどかは支度を整えるとラテを抱え、ニャトランと一緒に家を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メガビョーゲン!」

 

・・・ちょっとずつだけど、大分蝕んできたわね。

 

「メガビョーゲン!」

 

メガビョーゲンは学校にある木をある程度蝕んだ後、花壇にある花に病気を吐き出していく。

 

「結構いい感じになってきたウツ!」

 

「ええ、このままひとつ残らず、蝕んじゃおうか」

 

「メガビョーゲン!」

 

学校の生徒たちもみんな居なくなったし、このままここもビョーゲンズの手に落ちるのも時間の問題だ。

 

・・・そういえば、プリキュアの姿が見えないわね。まさか、怖気ついて逃げ出したとか?

 

ふん、ダルイゼンもビビりすぎなのだ。そんな小娘一人に作戦を邪魔されたことなど、要はあいつの性格故の油断でしかないんだよ。

 

アタシは病気に蝕まれていく植物たちを見下げながら、そんなことを考えていた。

 

「ひどい・・・・・・」

 

・・・ん? アタシがナノビョーゲンを取り憑かせた木の前に誰かいるわね。

 

その子はどう見ても普通の女の子だが、メガビョーゲンが暴れているのに全く逃げようとしない。この学校の生徒だろうけど、誰なの、あいつ?

 

もしかして、あいつがプリキュア?

 

・・・でも、あんないかにもな普通の子がプリキュアなわけ? 確かに見覚えのある変な猫が空中にいたり、体調の悪そうな子犬を抱き抱えてはいるが、あんなのがプリキュアだとは到底思えない。

 

「・・・でもどうしよう」

 

「くそー、ラビリンがいればプリキュアになれるのにニャ!」

 

なんか、どうにかしようとしているが、普通の小娘一人にこの状況をどうにかできるわけがない。

 

・・・っていうか、今、プリキュアって言った?

 

「メガビョーゲン!」

 

なんて思っていたら、そろそろこの辺も蝕む場所がなくなってきたな。

 

「どうするウツ?」

 

「・・・そろそろ場所を変えるか」

 

アタシはメガビョーゲンの近くの屋根へと飛び移る。

 

「メガビョーゲン、あっちよ」

 

アタシとメガビョーゲンはさらに範囲を広げるべく、移動しようとする。

 

「こっちだよ!メガビョーゲン!」

 

こっちに声が聞こえてきたので、振り向いてみると、そこには剣道の防具を纏って、両手にラケットと何やら紐らしきものを持っている。

 

「メガ?」

 

「あなたなんか怖くないんだからー!」

 

どうやらメガビョーゲンを引きつけようとしているらしい・・・。

 

・・・っていうか、何なの? あの格好? いろいろと間違えている気がするが・・・。

 

「あれ、何ウツ?」

 

「さあ~ね」

 

呆れたようなウツバットの言葉に、私は適当に答える。

 

お父様から聞かされてはいるけど、あんなお粗末な格好をしているのがプリキュアなの? っていうか、バカにしてるわけ?

 

「ここまでおいでー!」

 

小娘はメガビョーゲンを呼んで走り出した。メガビョーゲンもお遊びに付き合うかのように、小娘の後を追う。

 

何をする気? っていうか、あいつが持ってるのってテニスコートのネット?

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・・」

 

「メガビョーゲン!」

 

小娘はナノビョーゲンに侵した木を回るように走っていき、持っていたテニスコートの紐を巻きつけて引っ張る。

 

すると、テニスコートのネットが立ち、メガビョーゲンが引っかかる。

 

「メガ!?」

 

「引っ掛かったー!」

 

草むらに避難しているであろう、猫が叫ぶ。

 

「うん~~~・・・・・・」

 

小娘は懸命に紐を引っ張っている。どうやらメガビョーゲンを転ばせようとしているらしいが、所詮は人間の考えだ。そんなことでメガビョーゲンを止められるわけがない。

 

・・・・・・浅知恵にもほどがあるんだよ。

 

「メガ、ビョーゲン!!」

 

「あっ、きゃあぁぁぁぁぁ!!」

 

メガビョーゲンは引っかかったネットを上回る力で引っ張り、その反動で小娘を木へと吹き飛ばした。

 

木にぶつかって防具が脱げたようで、そのまま地面に落ちる。

 

「きゃは!あう・・・・・・」

 

この小娘は本当に何も考えてない。逆に笑えてくる。

 

「アハハ!! あんた、それでどうにかできると思ったわけ? バッカじゃないの?」

 

アタシはメガビョーゲンの近くの屋根に飛び移って、小娘を嘲笑する。

 

「クルシーナ!!」

 

草むらに隠れていた猫が叫ぶ。っていうか、思い出したけど、あいつ、隣にいる子犬共々、いつかのヒーリングアニマルじゃない。ウサギとペンギンもいたっけ?

 

「あら? そこの犬と猫は何もしないわけ? 小娘一人にやらせてるなんていいご身分なのね」

 

「くっ・・・!」

 

「ウサギとペンギンはどこに行っちゃったの? ・・・ああ、もしかして地球から逃げたのか」

 

「ち、違うっ! それは・・・」

 

「まあ、あんたたちは指をくわえてそこで見てれば? どうせ増えたところで何もできやしないんだし」

 

アタシは猫を散々けなした挙句、猫の悔しそうな顔を拝んで満足した後、止めていたメガビョーゲンの進行を再開させる。

 

「メガビョーゲン、あっちだ」

 

「メガー!!」

 

アタシとメガビョーゲンは、中学校から出ようと足を進める。

 

「あ、ダメ・・・!」

 

後ろで小娘の声が聞こえたが、どうでもいい。っていうか、もう興味はなくなった。

 

ダルイゼンが騒ぐぐらいだからなんなのかと思ったら、プリキュアなんかただの小娘じゃない。それにあんなお粗末な格好でメガビョーゲンをどうにかしようなんて、バカみたい。

 

・・・所詮、プリキュアなんて無力な小娘なのだ。心配するだけ杞憂だったわ。

 

私はそう思って、病気の範囲を広げるべく、進行させる。

 

だが、私のそんな軽い考えは吹き飛ばされることになる。それはアタシのメガビョーゲンが横に吹き飛ばされたからだ。

 

・・・あの小娘がまた目の前に立っていたのだから。それも格好を変えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラビリンから一方的にパートナー解消を告げられていたのどかは、自分が病気で苦しい思いをしたということを話し、だからこそみんなを助けたい。そんな思いをラビリンに吐露して、両者は和解。キュアグレースに変身し、メガビョーゲンの後を追った。

 

「はあぁぁぁぁ!!」

 

そして、メガビョーゲンの姿を捉えた途端、ジャンプして飛び上がり飛び蹴りを食らわせる。

 

「メガ!?」

 

「えっ?」

 

クルシーナは一瞬何が起こったかわからなかったが、のどかの姿を視界に捉えた瞬間、状況を察した。しかし、彼女の姿が変わっているのには驚きを隠せなかった。

 

「・・・何あれ?」

 

花びら型のハイライトが目立つピンク色のロングヘアー、黄色い花に緑の葉の髪飾り、胸にバラの飾りをあしらったパフスリープのワンピース。

 

ーーーーもしかして、あれがプリキュア?

 

「キュアスキャン!」

 

クルシーナがそんなことを考えているうちに、キュアグレースは素敵の一部となっているラビリンの顔をメガビョーゲンに向ける。

 

ラビリンの目が光り、メガビョーゲンの中にいる、苦しんでいる様子のエレメントさんを見つける。

 

「いた!木のエレメントさんラビ!」

 

ーーーー姿が変わったからって何だと言うの? この蝕んでいる状況に変わりはない!

 

「メガビョーゲン、何やってんの!? 早く潰せ!」

 

「メガビョーゲン!」

 

メガビョーゲンは起き上がると、キュアグレースへと手を伸ばす。

 

キュアグレースは飛んでかわすと、間髪入れずにメガビョーゲンは病気を口から吐き出す。

 

「ぷにシールド!!」

 

ステッキになっているラビリンがそう言うと、肉球型のシールドが展開され、メガビョーゲンの攻撃を防ぐ。

 

「メガー!」

 

「押し返すラビ!!」

 

「はぁ!!」

 

メガビョーゲンは病気で押そうとするも、ラビリンの言葉でキュアグレースがぷにシールドで押す。すると、ぷにシールドで跳ね返された病気がメガビョーゲンへと直撃した。

 

「メガ!?」

 

メガビョーゲンは跳ね返された攻撃でよろけて倒れそうになる。その隙をプリキュアが見逃すはずもなく・・・。

 

「今、ラビ!!」

 

花の模様が描かれたヒーリングボトルをステッキへとかざす。

 

「エレメントチャージ!!」

 

そう言いながら光るステッキの先をハート型の模様を空中に描き、肉球に3回タッチする。

 

「ヒーリングゲージ上昇!!」

 

ステッキの先のハートマークに光が集まっていく。

 

「プリキュア!ヒーリングフラワー!!」

 

キュアグレースはそう叫びながら、ステッキをメガビョーゲンに向けて、ピンク色の光線を放つ。光線は螺旋状になっていた後、メガビョーゲンに直撃した。

 

その光線はメガビョーゲンの中に入ると、螺旋状のエネルギーは手へと変化して、木のエレメントさんを優しく包み込む。

 

花状にメガビョーゲンを貫きながら、光線は木のエレメントさんを外へと出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていった。浄化されたのだ。

 

「「お大事に」」

 

木のエレメントさんは、木の中へと戻り、蝕んだ箇所も元に戻っていく。

 

「ワゥ~ン!」

 

体調不良だった子犬ーーーラテも額のハートマークが黄色から水色に戻り、元気になった。

 

「・・・何よ、やるじゃない。小娘のくせに・・・帰ろ・・・」

 

その光景を見たクルシーナはため息を吐いた後、静かに撤退していった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プリキュアによって、メガビョーゲンを倒された後、アタシは病気で蝕まれたとある一室に寝そべっていた。

 

まさか、メガビョーゲンが倒されるなんて・・・やっぱり、ダルイゼンが言っていたことは本当だったか・・・。

 

あいつの言う通り、プリキュアがアタシたちにとって障害になるんだなんて、マジムカつく・・・!

 

「クルシーナ、怒ってるウツ?」

 

パタパタとウツバットが飛びながら、アタシに言う。

 

「・・・見りゃわかんでしょ?」

 

「そんな怒っている風には見えなプギュ!?」

 

アタシはうるさいコウモリを鷲掴みにすると、窓から放り出した。

 

「うるさいから、あっちいけ」

 

ーーーー気遣われるのが一番嫌いだって言ってんのに、何考えているんだか・・・。

 

そんなことをイライラしながら考えていると、誰かがこの一室に入ってきた。

 

「・・・クルシーナ?」

 

その声はいかにも暗いと言えるような声だった。

 

「・・・なんだ、イタイノンか」

 

「ここで何してるの?」

 

「なんでもいいじゃない」

 

「・・・ふーん」

 

アタシが苛立ったように言うと、イタイノンは興味を失ったかのように、アタシの前を通り過ぎるとテレビモニターへと向かう。

 

・・・ゲームをしに来ただけか。まあ、別に構ってもらいたいわけじゃないけど。

 

「プリキュアはどうだった、なの?」

 

赤色のコントローラーをピコピコ動かしながら、イタイノンが問いかけてくる。

 

ーーーーこいつ・・・アタシが出撃したのを知ってて・・・!

 

「・・・小娘よ小娘、別に大した奴でもなかったわ」

 

「その割にはボロ負けだったネム。舐めプしてたんじゃないネム?」

 

その声は・・・イタイノンの羊のツノのついたカチューシャに化けている、ネムレン。

 

アタシはそれを聞くと、余計に苛立って体を起こす。

 

「なんでアタシが負けたってわかるんだよ!」

 

まるで見え透いたような言い方にアタシは苛立ちを隠さない。

 

「クルシーナはすぐに調子に乗るネム。この前のババ抜きだってボロ負けだったネム」

 

ネムレンはカチューシャから小さなヒツジのような姿に戻ると、アタシを見下しながら言う。

 

「・・・ハッ!ヒーリングガーデンを襲ったときも、アタシがほとんど襲っていて、お前の主人なんかビョーゲンキングダムに引きこもってただけだろうが!」

 

「それはキングビョーゲン様の手柄ネム。クルシーナの手柄なんかひとつもないネム」

 

いつまでも口の減らない言い草に、アタシの怒りメーターがマックスになった。

 

「なんだとぉ! もう一回言ってみろよ! この生意気ヒツジ!!」

 

「ひゃ、ひゃめるニェム! ほうりょくはんふぁいニェム!」

 

アタシがネムレンの頬を思いっきり引っ張っていると、ゲームに夢中になっていたはずのイタイノンがネムレンを取り上げる。

 

「やめてなの。ネムレンはイタイノンのしもべなの。クルシーナが痛めつける権利はないの」

 

イタイノンはちょっと膨れたような顔をしながら言う。

 

・・・アタシも好きでこいつを痛めつけてるんじゃないっての。

 

「だったら、ちゃんとその出来損ないの管理したらぁ? アタシだっていい迷惑だっつーの!」

 

「・・・ふん」

 

ーーーー本当に根暗で、陰湿すぎて、すぐ可愛子ぶってムカつくやつだ。

 

「っていうか、あんたも出撃したら? プリキュアがどんな奴かアタシに聞くよりはいいでしょ」

 

「・・・イタイノンは、侵略に興味はないの。イタイノンにとって居心地のいい場所、眩しい場所がなければ、それでいいの・・・」

 

ピザをかじりながら、イタイノンはアタシに言葉を返してくる。

 

こいつ・・・・・・!

 

「・・・あっそ」

 

・・・・・・ああ!もういい!! こいつの話なんかに付き合ってたら疲れるわ・・・!

 

アタシはここにイタイノンと一緒にいてはたまらないと、病気でボロボロになった手術台から起き上がる。

 

「帰るわよ、ウツバット」

 

「酷いウツ~。太陽の下に放り投げるなんて~!」

 

「・・・文句言うなら、すこやか市に放り投げるわよ」

 

ウツバットは帽子に変化して、アタシはそれを被るとイタイノンには目もくれず、その場を離れる。

 

それにしても、プリキュア・・・アタシに黒星をつけるなんて・・・・・・!

 

・・・・・・まあ、いいわ。負けたなんて思ってないし、次に出撃したときには思い知らせてやるから。

 

ピコピコとあいつがゲームをする音を後ろで聞き流しながら、アタシは廃病院を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「プリキュア、興味深いですね~。私も少し見てみたくなりましたよ~。フフフ・・・」

 




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