ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter 作:早乙女
告知もしていましたが、今回はオリジナルの新しい幹部、本格登場です!
ーーーーこいつ、どうする? アタシたちと同族になるんじゃないの?
ーーーーまあ、とりあえず、様子を見ましょうか。
ーーーーどうせ、うるさい奴が生まれるだけなの。
・・・誰かの話し声がする。赤い靄のようなものに包まれていて、体が動かない・・・。
ぼやける視界の中・・・見えているのは、3人の女の子・・・? でも、見た目は明らかに人間の肌ではなく、まるで病気のような色の肌。
ーーーーでも、ちょっとばかりはアタシらが細工を加えてもいいじゃない? 病気に蝕むとか?
ーーーーそうですねぇ、ついでに何も考えられなくなるぐらいにしてしまいましょうか。
ーーーー楽しそうだから、私もやるの。
・・・えっ、何? 何をする気なの?
すると、その子たちは、手に赤い何かを出現させると、私の体の中に注ぎ込んだ。
・・・痛い、痛い、痛い・・・苦しい・・・苦しい・・・。
・・・私の体の中が何かにかき回されていく・・・。
ーーーーまあ、これでこいつも少しは進歩するんじゃない?
ーーーーとりあえず、様子を見ましょうか。私たちの実験室で。
ーーーー楽しそうだから、私も付き合ってあげるの。
・・・3人の女の子が笑いながら、こちらを見ている。まるで蔑むような目。
・・・ああ、痛い、痛い、痛い、痛い・・・!!
・・・私の体の中が何かに蝕まれていく・・・。
・・・それからも、私は暗い部屋の中でいろいろと何かをされた。
・・・赤い卵が割れて、私の中に入ってくる。
・・・別の日には、ガラスのような玉からも赤い何かが私に入ってくる。
・・・また別の日には、少女に口づけされる。
・・・またまた別の日には、黒いバラが私の中に入ってきた。
・・・やめて。やめて。やめて・・・。
・・・激しく痛い・・・激しく苦しい・・・!!
・・・そんな、そんな、そんなこと、そんなところを掻き回されたら・・・!!
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん♪ 気持ちよくなっちゃう~~~~~~♪
とある夜、地球のどこかにある川岸。その川から一体の動物が陸上へと上がってきた。
その動物とは、ヌートリア。本来は日本に生息していない生き物で、世界では害獣指定もされている動物の一種だ。そんなヌートリアが日本の川からある川岸へと流れ着いてきたのだ。
濡れた体をプルプルと降って雫を落とし、草むらの中へと歩いて行こうとするヌートリア。
そんな、動物の後ろから白いワープホールが開いたかと思うと、あの紫色の不気味な種が現れた。
不気味な種は4本の足でカサカサと歩きながら、ヌートリアの背後を獲物を見つけたかのごとく近づいていく。
ヌートリアはそれに気付かずに、鼻をヒクヒクとさせながら臭いを嗅いでいる模様。
そんな動物の背後に接近すると、種は飛び上がって開き、赤い病気のようになり、なんとヌートリアの体内へと侵入していく。
「!!??」
その場で倒れるヌートリア。ピクピクと体が痙攣し始めており、その体の中には赤く蠢く何かが淀んでいたのであった。
マグマに満たされた世界、ビョーゲンキングダム。そこでは、ダルイゼン、シンドイーネ、グアイワル、そしてクルシーナ、ドクルン、イタイノンのビョーゲン三人娘が、自分たちの主であるキングビョーゲンに召集されていた。
「お呼びでしょうかぁ? キングビョーゲン様ぁ♪ シンドイーネ、取るものもとりあえず、駆けつけましたぁ♪」
愛しのキングビョーゲンに顔をあわせることができてご機嫌のシンドイーネ。まあ、まだ封印されている上に顔を成していないので、見えているとは言えないのだが・・・・・・。
「会わせたい者たちがいる・・・」
「会わせたい者たち?」
「何者ですか?」
キングビョーゲンから告げられた言葉は、最近は特になかった来訪者との接見だった。
ダルイゼンとグアイワルが正体のわからない人物に疑問を抱く。クルシーナ、ドクルン、イタイノンのときも顔合わせの収集はあったが、今回もこのようなことでの収集。一体、誰が現れたというのか?
するとキングビョーゲンはクルシーナたち三人娘へと視線を向ける。クルシーナは察したように不敵な笑みを浮かべ、三人娘は来訪者がいるであろう場所を振り向く。
「「「??」」」
三人娘が視線をキングビョーゲンと逆の方向に向いたことに疑問に思ったダルイゼン、シンドイーネ、グアイワルは彼女たちと同じ方向を向く。
カツ、カツ、カツ、カツ・・・。
ザ、ザ、ザ、ザ・・・・・・。
聞こえてくる二つの足音、黒い影が姿を現していくと、そこに現れたのは自分たちと似たような格好とサソリの尻尾を生やし、ネズミのような、ヌートリアのような外見をした獣人。
そしてもう一人は、自分たちと同じような人間のような外見で、同じく悪魔のツノとサソリのような尻尾をしているが、黄色のレースで白を基調としたバレリーナのような格好と白鳥のような翼をつけた衣装。薄い黄色の肌に、金髪の頭にティアラをしていて、両目は赤と緑のオッドアイになっている少女。
不気味な笑みを浮かべる獣人のような人物と、妖艶な微笑みを浮かべる少女。
(何、こいつら・・・?)
突然現れた相手に警戒心を持つシンドイーネ。ダルイゼンとグアイワルも警戒心を持っていた。
しかし、獣人のような人物と、少女は手を挙げると・・・。
「チ~っす!!」
「は~い!!」
獣人はやけにテンションが高く、少女はふわふわとしたような明るい声質だった。
「キングビョーゲン様~!! ただいま参上~っす!!」
「パパ~♪ ヘバリーヌちゃん、来ちゃったよぉ~♪」
キングビョーゲンに挨拶をすると、獣人はダルイゼンたちと同じような岩場へと飛び移る。
「来たか、バテテモーダ、ヘバリーヌ・・・」
ヘバリーヌと呼ばれた少女は周りをキョロキョロとしていて、一人の少女を見つけると瞳をキラキラと輝かせる。
「あ・・・♪」
「いぃぃ!?」
「クルシーナお姉ちゃーーーーん!!!」
「ちょ、ちょっ!? う、うわぁぁぁ!!??」
クルシーナは「嫌な予感」とでも言いたげな動揺した表情を見せていたが、案の定、ヘバリーヌが笑顔で飛んできたかと思うと、首に手を回して抱きついてきて、背後へと押し倒された。
「あ、イタタ・・・もう!ヘバリーヌ!!」
「な~に~? お姉ちゃん♪」
「いきなり抱きつくのはやめろって言ったでしょ!?」
「だって~~!! お姉ちゃんたちに、早く会いたかったんだも~ん♪」
クルシーナは痛みに頭をさすりつつ、ヘバリーヌに怒る。しかし、本人は全く悪びれることもなく、クルシーナの体を頬ずりしている。
「やっぱり、騒がしい奴だったの・・・」
「まあ・・・これは、私らが悪いんですけどね・・・」
イタイノンとドクルンは、クルシーナに抱きつくヘバリーヌの様子を見て「面倒臭くなった」と言わんばかりにため息を漏らしていた。
「もちろ~ん♪ 忘れてないよ~♪ ドクルンお姉ちゃん♪」
「はいはい・・・あなたは元気すぎて何よりですよ・・・」
そう言って抱きついてくるヘバリーヌに対して頭を撫でながら適当に返すも、ちょっと困ったように目をそらすドクルン。
「その蔑むような目も素敵だよ~♪ ノンお姉ちゃん♪」
「・・・暑苦しいから離れろ、なの・・・! っていうか、ノンお姉ちゃん?」
次にイタイノンに抱きついて頬ずりをしてくるヘバリーヌ。イタイノンは顔を顰めつつも、無理に彼女を振りほどこうとしない。それに、自分だけ呼ばれ方が違う・・・?
「もういい加減にしろっての!!!」
「あ~ん♪ もっと触っていたいぃ~♪」
「お父様の前でしょうが!! 自重しろ!!」
クルシーナはそう言ってヘバリーヌをイタイノンから引き剥がそうとする。しかし、彼女は嫌そうに聞こえない猫なで声を出しながら、彼女から離れようとしない。
「あ、じゃあ、クルシーナお姉ちゃんの体で♪」
ピトッ・・・・・・。
「ひぃ!?」
ドガッ!!!!! ズサァァァァァッ!!
「あぁ~ん!!!」
ヘバリーヌは思いついたように方向転換するとクルシーナの体を触った。敏感なところを触られたのか、鳥肌が立ったクルシーナは小さな悲鳴をあげると思わず蹴りを入れてぶっ飛ばした。ヘバリーヌは甘い声を上げながら数メートル地面を擦ると、岩場に激突した。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
クルシーナはすっかり息を切らしており、少し顔に汗もかいていた。
「痛ぁ~い!! でも、キ・モ・チ・イイ♪」
起き上がったヘバリーヌは痛がって泣くどころか、その攻撃をむしろ喜んでいたのであった。
「ああ!! もう!! 何なんだよ、何なんだよ、これ!!??」
クルシーナはヘバリーヌのおかしな発言に、イライラして地団駄を踏んでいたのであった。
一方、バテテモーダと呼ばれた獣人の方は、ダルイゼンに近づいていた。
「どうも~! ダルイゼン兄貴~♪」
「兄貴・・・?」
バテテモーダに兄貴と呼ばれたことに調子を狂わされるダルイゼン。
「随分とお調子者ね」
シンドイーネが呆れたように言葉を漏らす。
「そこはその、急成長の注目若手ってことで、多めに見てくださいなぁ~。ね? シンドイーネ姐さん♪」
「アンタに姐さん呼ばわりされる覚えはないわよ!!」
そこへごますりのように手を動かしながら、シンドイーネに近づくバテテモーダ。姐さんと呼ばれたことのない言葉を突然言われ、イライラしていたシンドイーネだが・・・。
「呼ばせてくださいなぁ~♪ 見目麗しいかな、シンドイーネ姐さんの類稀なる美貌♪」
「えっ? ま、まあね・・・当然よ」
バテテモーダに美貌を褒められて、満更でもないように顔を赤らめた。
「おばさんが顔を赤くしたの・・・」
「キモっ・・・そこにメガビョーゲンでも見たような気がするわ・・・」
「そこッ!! 聞こえてんのよ!!!」
クルシーナとイタイノンはその様子に寒気を覚えながらボソボソ言うと、シンドイーネの耳に入ったようで彼女が激昂する。
「あ・・・!」
ヘバリーヌは立ち上がって、シンドイーネの方に飛ぶと彼女に近づく。
「お姉さん、その蔑むような目、ヘバリーヌちゃんの好みなのぉ~♪ そういう目で見られるとヘバリーヌちゃん、ゾクゾクしちゃうの~♪」
「え、な、何・・・?」
ヘバリーヌの意味のわからない言葉に、訳がわからないという顔をするシンドイーネ。
「ねえねえ~、もっと私をその冷たい目で見てぇ~♪ っていうか、哀れなメス豚って罵ってぇ~♪♪」
「ちょっ、何なのよ!? こいつ!! 離れなさいってば!!」
すると彼女は猫なで声を出しながら、シンドイーネに抱きついてきた。シンドイーネは彼女を引き剥がそうとするが、意外にも力が強く離れようとせず、彼女の顔を押しのけるようにして力を入れる。
「・・・こっちの方は変態みたいだね。すごくめんどくさ・・・」
「わかる・・・? あいつは筋金入りの変態なのよ。目を覚ましたときも、どんだけ苦労したか・・・」
ダルイゼンは関わりたくないと言わんばかりにつぶやくと、クルシーナは疲れたような顔をしながら返す。
そんな彼はヘバリーヌに関して、一つ気になることがあった。
「っていうか、パパって呼んでたよね・・・?」
「ああ~、あいつもそういう口なのよ・・・」
「・・・・・・なるほど」
面倒臭そうに答えるクルシーナに、ダルイゼンはキングビョーゲン様のそういう器なのだろうと察して、一人納得した。
一方、バテテモーダはグアイワルの方へと近づく。
「輝かしいかな・・・グアイワル先輩の明晰なる頭脳!!」
「ふっ・・・」
グアイワルも褒められて笑みを浮かべる。
「誇らしいかな・・・ダルイゼン兄貴の沈着にして冷静なるハート!!」
「・・・ふん」
ダルイゼンも少しばかり照れながらも、鼻を鳴らして返す。
「そして・・・!!」
バテテモーダは、次は三人娘にも近づく。
「素晴らしいかな・・・クルシーナお嬢さんの偉大なる強さ!!」
「・・・褒めたって何もあげないわよ」
クルシーナはそっぽ向くように冷たく返す。ダルイゼンたちとは違って、媚びへつらっているように感じ、褒めても嬉しくない様子。
「煌びやかな・・・ドクルンお嬢さんの理知的で、素晴らしい頭脳!!」
「・・・それって、褒めてるんですかぁ?」
ドクルンは不敵な笑みを浮かべつつも、困ったような口調を返す。
「可愛らしいかな・・・イタイノンお嬢さんの素晴らしい悪巧み!!」
「・・・ふん」
イタイノンは鼻を鳴らしてそっぽを向く。誰かに褒められても嬉しくはないの・・・。
「みなさん方の活躍は、こ~んな小さい頃からよ~く知ってます! 自分もみなさん方のように、バリバリ地球を蝕みたいっすよ~!」
バテテモーダは指と指の間に隙間を作り、それを目の前にかざしながら6人に言った。
「ちょっと、アンタら!! こいつをなんとかしなさいよ!!」
「・・・・・・ふむ」
抱きついてこようとするヘバリーヌを両手で押しのけながら、シンドイーネは怒ったように三人娘に抗議する。クルシーナはその様子を見て顎に手を当てて考える。
「ヘバリーヌ」
「ん~?」
名前を呼ばれたヘバリーヌは、クルシーナの方を見ると彼女がこちらへと手招きをしているのを視界に移す。ヘバリーヌはそれに笑顔を見せると、シンドイーネから離れてクルシーナの元に飛ぶ。
「な~に~? お姉ちゃん♪」
「アンタ、殴られるのが好きなのよね?」
「そうだよ~♪ あ、殴ってくれるのぉ!?」
「ええ・・・好きなだけいたぶってあげるわ。ただし!!」
クルシーナはそう言って、ヘバリーヌに指を突きつける。
「アンタがちゃーんと仕事をこなしてくれたらね♪」
ヘバリーヌはそういうとますます瞳を輝かせて、首を激しく縦にふる。
「うんうんうん!!やるやる~!! ヘバリーヌちゃんも、地球を病気に蝕んで、気持ちよ~くしたいもん♪」
「だぁー!! もう!! 抱きつくなっての!!」
ヘバリーヌはウキウキしながら抱きつく。サソリの尻尾をフリフリとさせていて、本当に無垢な子犬のように嬉しそうだ。
「では、バテテモーダ・・・ヘバリーヌ・・・行くがよい・・・」
そんな二人の言葉を聞いていたキングビョーゲンは、早々に出撃の許可を出す。
「おーっと!! 早くも出撃のご命令!! 自分、感動~っす!!」
「やったー!! パパが許可してくれた~!! 嬉しいな~♪ パパだーいすき♪」
バテテモーダとヘバリーヌは目を輝かせながら言った。
「フフフ・・・アタシも行ってあげる。アンタたちの初舞台、ちゃんと見届けさせてもらうわよ」
クルシーナは不敵な笑みを浮かべながら言う。
「おぉ~!! クルシーナ嬢に見てもらえるなんて!! 感激っすよ!!」
「お姉ちゃんも来てくれるなんて、ヘバリーヌちゃん、もう自分をさらけ出した~い!!」
「先輩が見るのは当たり前じゃない。まあ、新人の研修ってことで、ね?」
クルシーナはそう言いながら、二人にウィンクをかます。
「では、クルシーナも、この二人をもっと効率良く蝕めるように導いてやれ・・・」
「もちろんよ。お父様」
キングビョーゲンに任を任されたクルシーナは返事をすると、ニヤリと笑みを浮かべた。
ーーーー利用できるものは、利用してやらないとね・・・。
クルシーナは笑みの裏でそのようなことを考えていたのであった。
幹部1人と新人2人の、ビョーゲンズの3人が降り立ったのはすこやか市の採石場。そこには山のように積まれている石が安全柵に囲まれており、近くには石が掬い上げられたショベルカーがあった。
ショベルカーの近くに飛び降りた3人。
「・・・嫌な匂いするっすね。健康的な地球は」
バテテモーダが当たりの匂いを嗅ぎながらそう呟く。
「ホント不快よね。病気で侵したくなっちゃうくらい。まあ、ここは自然の山よりかはマシだけど」
クルシーナは不機嫌そうな顔を隠さずにそう言う。
「何か空気が肌にピリピリぃぃぃ・・・でも、それがまたいいよね~♪」
ヘバリーヌは肩を抱きながら頬を赤く染めながら、何かを感じ取って嬉しそうな声を上げている。
「ヘバリーヌお嬢って、そっち系の趣味なんっすか・・・?」
「ええ・・・そっち系よ。何でこんな奴になっちゃったんだか・・・」
「い、いや! 地球のこんな不快な空気で平然と振る舞えるなんて、さすがだと思うっすよ!!」
「無理して褒めなくていいっつーの」
ヘバリーヌが悶えるように体を動かしていることに、バテテモーダは無理に褒めようとし、クルシーナは呆れたような表情を見せていた。
「とりあえずは、蝕めるもの探したら?」
「OKっす!!」
バテテモーダは元気に返事をしたが・・・・・・。
「空気のピリピリ感がぁ、伝わってくるぅ~♪」
「ヘバリーヌは悶えてないで、探せっての!」
ヘバリーヌはいまだに肩を抱きながら、体をくねらせている。
クルシーナはヘバリーヌにため息をつきながら、二人から離れて別の場所へと移動する。
「クルシーナ、あいつらを本当に教育するウツ?」
「・・・教育するまでもないでしょ? ビョーゲンズなら最初からビョーゲンズとしてやることはわかってるんだから。お父様の快楽も満たせないような、使えない奴なんか切り捨てられるだけよ」
帽子のウツバットの疑問に、冷淡に答えるクルシーナ。正直、私も地球を蝕むという行為が最優先であって、あいつらの相手をしている時間は毛頭ないのだ。
あいつらが3人で出したあの浄化技、あの対抗策を考えなければ・・・・・・。
二人から見えなくなったところへ行くと、そこはショベルカーすらないが、別の採石場。そこには見覚えのある3人の少女と小さな動物のような妖精たちの姿が。
「あれってプリキュアじゃない。なんでこんなところにいんのよ?」
そもそもあいつらが、こんなところに行ってどうするというのだろうか? 呑気にピクニックでもしに来たのか? でも、わざわざこんなところでするバカがいるわけがない。
とりあえず、見つからないように様子だけ見てやることにする。
「ネコのポーズ!!」
栗色の髪の少女に付いている黄色い猫がそう言うと、3人はそれぞれ変なポーズをし始めた。
「次はペンギンのポーズペエ!!」
藍色の髪の少女と一緒にいる青いペンギンがそう言うと、これもまたおかしなポーズをとり始める。
「最後はウサギのポーズラビ!!」
キュアグレースにひっついているピンク色のウサギがそう言うと、やっぱり理解し難いポーズをとり始める。
「・・・はぁ~。全然合わないね」
マゼンダ色の髪の少女はそう言って、表情を緩ませた。
「・・・何やってんだが。バッカみたい」
「相変わらず、あいつらはトンチンカンなことをやってるウツ」
クルシーナは呆れたように見やると興味をなくして、二人の元へと戻っていく。
戻ってみるとバテテモーダはその場から移動していることから、探していたのだと思うが、まだ辺りをスンスンと鼻で匂いを嗅いでいた。
「あ~!! 不快不快不快!! 不快感しかない!! もう、自分限界っす!!」
辺りから漂う自然の匂いに不快感を覚えて、喚いているバテテモーダ。
「ホント不快でしょ? だから、アタシたち好みに染める必要があるの」
クルシーナは叫ぶバテテモーダの近くに来て、不敵な笑みを浮かべる。
「あっち、こっち、そっち~♪」
ヘバリーヌはウキウキしながら、あちらこちら移動しながら蝕めるものを探していた。
「おぉ♪」
すると、石が積み上がっている場所の近くに岩を削るためのドリルが地面に刺さっているのを見つける。
「なんかあれ~、かなり生き生きしてるって感じ~♪ あぁぁぁん!! 気持ちよくなっちゃう~♪」
ヘバリーヌはまた体をくねらせながら、生きてるって感じがするものの生気を感じ取る。クルシーナであれば不快感をあらわにするはずなのだが・・・。
「何、アンタ踊ってんの・・・?」
「あ、お姉ちゃん♪」
ヘバリーヌはクルシーナの姿を視認すると、彼女に近づく。
「ねえねえ、ヘバリーヌちゃんが気持ちよ~くなるものを見つけたんだよ~♪」
「は・・・?」
「こっちこっち~♪」
クルシーナは訳がわからないというような顔をするも、ヘバリーヌは案内するかのように手を引っ張る。
「あれあれ~♪」
ヘバリーヌはそう言って両手の指でさすと、クルシーナは地面に突き刺さっているドリルを見る。
「・・・ふーん、いいんじゃない?」
クルシーナはドリルから不快な生気を感じ取って笑みを浮かべると、バテテモーダの方を振り向く。
「アタシは見てるだけだから、アンタらがやんなよ」
「ええ!? 自分、いいんっすか!?」
「もちろんよ。そのぐらいやってもらわないとビョーゲンズの幹部なんか名乗れないからね」
「いや! クルシーナ嬢ほどでは・・・! でも、よーし! じゃあ、蝕んでやりますかねぇ!」
バテテモーダはショベルカーに積まれている石の一つを握力で砕く。そして、ダルイゼンたちですら見たことがない邪悪な笑みを浮かべる。
「ヘバリーヌ、アンタも」
「やったら、ヘバリーヌちゃんにご褒美くれるんだよね~?」
「ええ、あげるわ。ちゃんと仕事をしたらね」
「やった~! ヘバリーヌちゃん、頑張るね~♪」
ヘバリーヌは嬉しそうな声を出すと、先ほど見つけたドリルへと近づく。
「地球ちゃん♪ 私と一緒に、気持ちよくなろ♪」
妖艶な微笑みを浮かべると、ヘバリーヌはバレリーナのようなポーズを2回取りながら、それぞれ手を叩き、バレエのように体をクルクルと回転させる。
「進化しちゃってぇ~、ナノビョ~ゲン♪」
「ナノォ~♪」
ナノビョーゲンが鳴き声を上げながら、ドリルへと取り付く。ドリルが徐々に病気へと蝕まれていく。
「・・・!!?・・・!!!」
ドリルの中に宿るエレメントさんが病気へと蝕まれていく。
そのエレメントさんを主体として、巨大な怪物がその姿をかたどっていく。凶悪そうな目つき、不健康そうな姿、そしてそれを模倣する様々な自然のものが姿として現れていき・・・。
「メガビョーゲン・・・」
肩と胸、両腕にドリルを持った人型のメガビョーゲンが誕生したのであった。
「メーガー・・・」
メガビョーゲンは採石場の石の壁を腕のドリルに電気を込めて削り始める。削られた壁からその広範囲が病気へと蝕まれていき、さらに飛び散り、落ちた石の壁のかけらが地面に落ちてその場所も狭い範囲ではあるが、病気の赤で染まっていく。
「メガー・・・」
メガビョーゲンはさらに地面にドリルを突き刺すと、地面の広範囲が病気へと蝕まれていく。
「へぇ・・・やるじゃない、メガビョーゲン」
クルシーナは感心したかのように声を上げる。
「いいよいいよぉ~♪ もっとこの場所を気持ちよくしちゃってぇ~♪♪」
ヘバリーヌは腕を振り回しながら、嬉々した表情でメガビョーゲンに指示をする。
「メガビョーゲン・・・」
メガビョーゲンはその後も電気をまとったドリルを突き刺して削り取っていきながら、病気に蝕んでいく。
「じゃあ、アタシは高みの見物してるから、しっかりやんなよ」
「了解っす!!」
「は~い!!」
二人が返事をする中、クルシーナはそう言ってどこかへと飛んで行った。
「ンフフ♪」
ヘバリーヌは自分のメガビョーゲンがこの場所を病気で蝕んでいるのを見て、妖艶な微笑みを浮かべたのであった。
のどかたちプリキュアは、なぜか採石場でチームワークを高めるための特訓をしていたが、その時だった・・・!
「クチュン! クチュン!!」
一緒に連れてきていたラテが二回くしゃみをした後、ぐったりし始めた。
「ラテ!!」
「ビョーゲンズペエ!!」
ヒーリングアニマルたちが持ってきた、ヒーリングルームバッグから聴診器を取り出し、ラテを診察する。
(大きな車さんの中でちっちゃな石さんが泣いてるラテ・・・石さんたちの側にあるトゲの機械さんが泣いてるラテ・・・)
ここは採石場・・・どうやらこの近くにメガビョーゲンが二体も現れた模様・・・。
のどかたちは急いでその現場に向かうと、メガビョーゲンが地面の岩を削って掬い上げて、石を地面にばらまいて病気に蝕んでいて、さらにその後ろでは壁でドリルを削りながら病気に蝕んでいるメガビョーゲンもいた。
「いたわ!! メガビョーゲン!!」
「しかも、二体いる!!」
「え、もうこんなに蝕んでんの!?」
「察知してから時間は経っていないはずよ!!」
のどかたちはあまり広くないこの採石場が察知してから駆けつけるこの短時間に病気で蝕んでいることに驚きを隠せない。それほどメガビョーゲンも強いのだろう。
しかし、こんなところでビビっているわけにはいかない。早くメガビョーゲンを浄化しなければ・・・。
「ちゆちゃん!! ひなたちゃん!!」
のどかたち3人はお互いに頷く。
「ラビリン!!」
のどかに呼ばれたヒーリングアニマルたちも頷く。
「「「スタート!」」」
「「「プリキュア、オペレーション!!」」」
「エレメントレベル、上昇ラビ!!」
「エレメントレベル、上昇ペエ!!」
「エレメントレベル、上昇ニャ!!」
「「「キュアタッチ!!」」」
ラビリン、ペギタン、ニャトランがステッキの中に入ると、のどか、ちゆ、ひなたはそれぞれ花のエレメントボトル、水のエレメントボトル、光のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。
そして、肉球にタッチすると、花、水、星をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、水色、黄色を基調とした衣装へと変わっていく。
そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ちゆは水色、ひなたは黄色へと変化する。
キュン!
「「重なる二つの花!」」
「キュアグレース!」
「ラビ!」
のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。
キュン!
「「交わる二つの流れ!」」
「キュアフォンテーヌ!」
「ペエ!」
ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身。
キュン!
「「溶け合う二つの光!」」
「キュアスパークル!」
「ニャ!」
ひなたは光のプリキュア、キュアスパークルに変身した。
「「「地球をお手当て!!」」」
「「「ヒーリングっど♥プリキュア!!」」」
3人が変身したヒーリングっど♥プリキュアが揃ったのであった。
「あれぇ? あれは、プリキュアちゃんかなぁ?」
ヘバリーヌはプリキュアに変身した3人の姿に気づく。あの少女たちも健康的で、生き生きとしている。
「懐かしいなぁ~♪ いつかは忘れたけど~、久々に見るぅ~♪」
彼女は感情を抑え込みつつも、内心ワクワクしていた。
自分もビョーゲンズとして目覚めて、こんなに気持ちよくなる前に見ていたあの女性とは違うが、確かにプリキュアだ。ピンク色と青色と黄色のコスプレ姿をしている。
でも、あのプリキュアとは明らかに、決定的に何かが違う。私が会ったあのプリキュアからは神秘的な何かをあの娘たちからは感じられなかった。
あの娘たちって、人間なのかなぁ・・・?
「ンフフ~♪」
ヘバリーヌはそう思いながら唇に指を当て、妖艶な微笑みを浮かべるのであった。