ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
新幹部、初バトルです!


第35話「激戦」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

プリキュアに変身した3人は、一斉に飛び上がってメガビョーゲンに向かって飛び蹴りを繰り出す。

 

しかし、そのメガビョーゲンとプリキュアの間に割って入る影が二つ。

 

「よっと~!!」

 

「「「!?・・・あぁぁぁっ!!」」」

 

そのうちの一人が右足を振り上げると竜巻が巻き上がり、プリキュアの3人はそれに吹き飛ばされて地面に落ちる。

 

「何、今の・・・?」

 

「メガビョーゲンが・・・?」

 

「違うわ・・・」

 

プリキュアたちはメガビョーゲンが未知なる力を発揮したのかと思ったが、明らかにメガビョーゲンの力ではないことを察する。

 

「! 見て!!」

 

グレースが指をさす視線の先には、ネズミのような獣人とバレリーナの姿をした少女だった。

 

「ち~っす! あんたたちがプリキュアっすか~? はじめまして~!!」

 

メガビョーゲンの間に割って入ってきた獣人ーーーーバテテモーダはプリキュアを見ながらへらへらとした笑みを浮かべる。

 

「ヤッホー! プリキュアちゃん♪ 見るのは久しぶりだね~♪」

 

同じく少女ーーーーヘバリーヌは腕をブンブン振り回しながら、年頃の少女のような笑顔を見せる。

 

「だ、誰ニャ・・・?」

 

「あいつらも、ビョーゲンズ・・・?」

 

「で、でも・・・ダルイゼンでも、グアイワルでも、シンドイーネでも、クルシーナやドクルン、イタイノンでもないペエ・・・!!」

 

「あんなの見たことがないラビ・・・!!」

 

プリキュアたちは突然、現れた新たな敵に戸惑う。あの6人以外、誰も姿を現さなかった敵が今になって現れるとは・・・。

 

「はいはいは~い! 自己紹介しまーす!! 自分、この度ビョーゲンズ注目若手として、新登場したバテテモーダっす!!」

 

バテテモーダはへらへらと動きながら自分の名前を名乗る。

 

「ごめんね~、名前を名乗るの忘れちゃってぇ~♪ ヘバリーヌちゃんは、ヘバリーヌっていうの~♪ ビョーゲンズの王様、キングビョーゲンの娘で~す♪」

 

ヘバリーヌは体を悶々と揺らしながら、敵らしくない明るい声で自分の名前を名乗り、最後にウィンクをする。

 

「バテテモーダ・・・?」

 

「ヘバリーヌ・・・キングビョーゲンの娘って・・・!?」

 

「クルシーナやイタイノンと同じ奴らかニャ・・・!?」

 

ヘバリーヌがキングビョーゲンの娘だと知らされて驚愕するプリキュアたち。クルシーナと同じようなビョーゲンズの仲間が増えてしまったのか・・・?

 

「しくよろ、プリキュア。そして多分、サヨナラ。だって自分、あんたらに負ける気がしないんで」

 

バテテモーダはピースサインをすると、一転して小馬鹿にしたような態度をとる。

 

「ねえねえ、ヘバリーヌちゃんとぉ、もっと気持ちいいことしようよ~♪ 私がゾクゾクするようなことをぉ~♪」

 

ヘバリーヌは体をくねらせながら、猫なで声を出す。

 

プリキュアたちは挑発の言葉を受けたかのように立ち上がる。

 

「ああ~! 勇ましいけど、やっぱ負ける気がしないっすわ。何故かって・・・? 自分、強いから・・・!」

 

バテテモーダはプリキュアが戦う意思を見せても、表情を変えず不敵な笑みへと変わる。

 

「バテテモーダ、オンステージ、開幕ッ!!!」

 

バテテモーダはなんと自分からプリキュアに向かって攻撃を仕掛けてきた。プリキュアたちは背後に飛びのいてかわす。

 

「あぁ~ん!! モーダちゃん、ずる~い!! 私も楽しいことしたいのに~!!」

 

ヘバリーヌは一足お先にプリキュアへと突っ込むバテテモーダに不満を漏らす。

 

「自分から戦うなんて・・・!?」

 

グレースは自分から積極的に戦いに来るバテテモーダに動揺を隠せない。メガビョーゲンを発生させているのに、自分から攻撃を仕掛けてきたのはこの敵が初めてだ。

 

「だってさー! 見てるだけなんて、つまんないっしょー?」

 

バテテモーダはそう言いながらジャンプして飛び上がる。

 

「やっぱ自分から盛り上げていかないとー!!」

 

壁に飛びついて蹴った後、スパークルへと飛び出していく。

 

「っ・・・!!」

 

スパークルはバテテモーダの拳をなんとか押し返すと、そこへフォンテーヌがパンチで攻撃を繰り出す。

 

「おぉ~!? 楽しい楽しい!! いいねぇ!! 思った以上にパワーあるっすねぇ!!」

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

バテテモーダはフォンテーヌの拳を腕で受け止めながら言う。さらにそこへ別方向からスパークルがパンチで殴りかかる。

 

「でも、聞かない!! 何故って・・・? 自分の方が、強いから!!」

 

「「きゃあぁぁぁぁ!!」」

 

バテテモーダは反対の腕で余裕で受け止めると、凄まじいパワーで押し返し二人を吹き飛ばした。

 

「スパークル!! フォンテーヌ!!」

 

叫ぶグレース、そんな彼女をヘバリーヌが見つめていた。

 

「ふーん、じゃあ私があれをもらおっと♪ とう!! やぁ~!!」

 

ヘバリーヌは地面を駆けると、飛び上がりグレースに向かって飛び蹴りを繰り出す。

 

「!? っ・・・!!」

 

グレースはヘバリーヌがこちらに攻撃を仕掛けてきたことに気づくと、ステッキを使いながらキックを受け止める。

 

ヘバリーヌは蹴って一回転をして背後に下がると地面に着地をした後に、再びグレースに接近していく。

 

「ほぉ!! はぁ!! やぁ!!」

 

「くっ・・・うぅ・・・きゃあ!!」

 

ヘバリーヌは右足を突き出してミドルキックを繰り出すも、グレースはそれを受け止め流すと、ヘバリーヌは次に左右と両足を蹴り上げ、さらには飛んで回転蹴りを食らわせる。グレースは両足の蹴りでステッキを弾かれ、回転蹴りを受けて吹き飛ばされる。

 

「ふっ!!」

 

「っ!?」

 

ヘバリーヌは地面に転がったグレースに、間髪入れずに飛び上がり、右足の蹴りを繰り出す。グレースはその場に転がってとっさにかわす。

 

「はぁぁぁ!!」

 

立ち上がったグレースはヘバリーヌへと飛び出し、パンチを繰り出す。ヘバリーヌはとっさに拳を繰り出して、グレースの拳を防ぐ。

 

「っ!?」

 

お互い拳の勢いでわずかに吹き飛ばされるも、踏ん張って止まる。

 

ヘバリーヌは防ぐのに使用した拳を開くと、唇の近くに指を当てて妖艶な微笑みを見せる。

 

「ねえねえ、プリキュアちゃんの攻撃、右手が痺れて気持ちいいな~♪ ヘバリーヌちゃんも気持ちいいのあ・げ・る♪」

 

「っ!!??」

 

ヘバリーヌは腕をもじもじとさせながら猫なで声を出す。グレースはその声に寒気のようなものを感じた。何を言っているの、この娘は・・・?

 

「とう!! やあぁぁぁぁ!!」

 

そんなことを考える間も無く、ヘバリーヌは再び飛び出すとグレースの上を飛ぶ。飛んだ先の岩場の壁を蹴って飛び上がると、オーバーヘッドのように回転させると、体を回転させてドリルのように突っ込んできた。

 

「っ!? きゃあぁぁぁぁぁ!!!」

 

グレースはステッキを構えて防ぐ体制をとるも、回転するキックの勢いの方が防御力を上回り、直撃して土煙を立てながら大きな音を出した。

 

土煙が晴れていくと傷だらけのグレースが倒れていて、再び立ち上がろうとしていた。

 

「今のは痛いよね~♪ でも、気持ちいいよね~♪」

 

ヘバリーヌは肩を抱きながらもじもじと悶える。その様子を見て、グレースは動揺の表情を隠さなかった。

 

「あらら・・・もうちょっと盛り上げてこうよ?」

 

バテテモーダは、グレースがヘバリーヌに圧倒されているのを見てつまらなそうに笑う。

 

「メガビョーゲン!!」

 

バテテモーダとヘバリーヌと戦っている間に、ショベルカーのメガビョーゲンは赤い石をばら撒いて着々と病気に蝕んでいく。

 

「はいはい! ご苦労さん!! どんどん蝕んじゃって!!」

 

「いいよいいよ~♪ 地球ちゃんが気持ちよくなってるよぉ~♪」

 

ヘバリーヌが悶々と悶えていると、バテテモーダが彼女を見て辺りを見渡す。

 

「ん、あれ? お嬢のメガビョーゲンはどこっすか?」

 

「あれぇ~? どこだろう~?」

 

ヘバリーヌは辺りをキョロキョロと見渡しながら、甘えたような明るい声を出す。

 

「くっ・・・キュアスキャン!!」

 

グレースは歯を食いしばりながらも、ステッキのラビリンの顔をメガビョーゲンへと向ける。

 

すると、メガビョーゲンの腹部の部分にエレメントさんの姿があった。

 

「宝石のエレメントさんラビ!!」

 

グレースがメガビョーゲンを止めようと走ろうとした一方で、バテテモーダに吹き飛ばされたフォンテーヌとスパークルは・・・・・・。

 

「くっ・・・!」

 

「うっ・・・!」

 

体が傷つきながらも、立ち上がろうとしている二人。そんな時だった・・・・・・。

 

ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・!!

 

「え・・・?」

 

「な、何・・・?」

 

フォンテーヌとスパークルはどこからか凄まじい音が聞こえるのを感じ、その音が段々と大きくなっている。一体、どこから聞こえてきているのか・・・?

 

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・!!!

 

「! 下だ!!!」

 

感じ取ったニャトランがようやく音の出所を割り出すも、もう時はすでに遅かった・・・。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・ドガァァァァァァァァァン!!!

 

「メガ、ビョーゲン・・・」

 

「「ああぁぁぁぁぁ!!!」」

 

地面がいきなり吹き飛び、二人は上へと吹き飛ばされてしまう。地面へと落ちて転がる二人。

 

体を起こして正体を確かめようとすると、それはドリル型のメガビョーゲンだった。その穴から病気が広範囲に広がっていき、赤い靄が濃くなっていく。

 

「メガビョーゲン・・・!?」

 

「地面に、潜ってたの・・・!?」

 

そんなことをしてくるメガビョーゲンに、二人は信じられないといった表情だった。

 

「私のメガビョーゲン、あんなところにいたんだ~♪」

 

「地面に潜ってたんすかぁ~!? さすがお嬢のメガビョーゲンっすね~!!」

 

「ありがと♪」

 

ヘバリーヌはメガビョーゲンを見つけて明るい声を漏らし、バテテモーダは感心感心といったような声を出す。

 

「メーガー・・・」

 

「あぁぁぁぁ!!」

 

メガビョーゲンは両肩のドリルを回転させて体を傾けて振り下ろす。フォンテーヌはぷにシールドを張るも、重さと大きさの問題なのか呆気なく吹き飛ばされてしまう。

 

「ビョーゲン・・・」

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!」

 

さらにサソリの尻尾の先にドリルを回転させながら振るい、スパークルは宙を舞いながら吹き飛ばされる。

 

「スパークル!! フォンテーヌ!!」

 

グレースはメガビョーゲンに攻撃されているフォンテーヌとスパークルへと振り向く。前と後ろにいるメガビョーゲン、両方を見るも、どちらを先に攻撃をすればいいのか?

 

「いいよ~、メガビョーゲン♪ そのままプリキュアちゃんたちを気持ちよくしてあげてぇ~♪」

 

「メーガー・・・」

 

ヘバリーヌが赤らめた頬を手に当てながら首を振ると、メガビョーゲンはまずフォンテーヌにトドメを刺そうと回転させているドリルを振り上げる。

 

「くっ、うぅぅぅ・・・!!」

 

「フォンテーヌ!!」

 

フォンテーヌは再度ぷにシールドを展開してドリルを受け止めるも、彼女の表情は苦しくに顰めていて、腕もプルプルと震えていて辛そうだ。

 

「ダメ!!」

 

フォンテーヌがやられてしまう・・・そう思ったグレースはドリル型のメガビョーゲンへと飛び出す。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

メガビョーゲンの上へと飛び上がって飛び蹴りを喰らわせようとする。

 

「無視しないでよぉ~♪」

 

そこへ同じ高さに飛び上がったヘバリーヌが右足を振り上げると、黒い竜巻が彼女に向かって飛んでくる。

 

「!? あぁぁぁぁ!!!」

 

黒い竜巻に飲み込まれ、そのまま地面へと叩きつけられて地面を転がる。

 

「グレース!! しっかりラビ!!」

 

「くっ、うぅ・・・!!」

 

「ひゃはははははは! 自分たちに勝てる気しないっしょ? なぜって・・・? 全く負ける気がしないからっす!! はい!ピンポン大正解!!」

 

バテテモーダが指を鳴らすと、ショベルカーのメガビョーゲンは壁の地面を削り取って病気へと蝕む。

 

「プリキュアちゃん、もしかして焦らしてるぅ~? そういう遊びをしてくれてるのかなぁ~、ンフフ~♪ それも嫌いじゃないけどぉ、やっぱり痛くしてくれるほうがいいなぁ~♪」

 

ヘバリーヌは妖艶な笑みを浮かべながら、嬉しそうに話している。グレースには全く彼女のことが理解できない。

 

「おぉ?」

 

彼女は、次は自分のメガビョーゲンの攻撃に耐え続けているフォンテーヌの方へと行く。

 

「あぁ~ん、苦しそう~♪ 苦しいよね~? 辛いよね~? 痛みを受け入れれば楽になれるかも♪」

 

「うぅぅぅ・・・ぐうぅぅぅぅぅぅぅ・・・!!!」

 

フォンテーヌはヘバリーヌの言葉に聞き耳を立てずにメガビョーゲンの攻撃を押し上げようとするも、腕が悴んで力が入らなくなってきた。押し上げるどころか、逆に押し返されようとしている。

 

ここ一体を、完全に蝕まれるのも時間の問題だった。

 

「このままじゃ・・・!」

 

新しいビョーゲンズ二人に攻められるこの状況、このままではお手当てもできない。また、あの時と同じようなことになるのではと不安に駆られる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

スパークルがメガビョーゲンの横から飛び上がって、ステッキから菱形のエネルギーを飛ばす。

 

「メーガー・・・?」

 

エネルギーは顔に着弾し、体勢を崩したメガビョーゲンは横へと倒れる。

 

「うぅぅ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」

 

「フォンテーヌ、大丈夫!?」

 

「え、ええ・・・」

 

メガビョーゲンのドリルから解放され、膝をついて息を整えるフォンテーヌ。

 

「グレース!!」

 

スパークルはそんなグレースに声を掛け、彼女を安心させるかのように二人はボロボロになってもメガビョーゲンの前に立ち上がり、グレースを安心させようとする。

 

「そうだ・・・私たちは一人で戦ってるんじゃない。みんなの想いで戦っているんだ・・・私も、二人を信じたい・・・!!」

 

グレースは自分の再起してボロボロながらも立ち上がり、ヘバリーヌに向かって構える。

 

「な~に~? その冷たい眼差し~♪ はぁ~ん♪ いいねいいね~♪ 私をもっともっと気持ちよくしてぇ~♪」

 

ヘバリーヌは何やら快感を覚えると、甘い声を発しながらグレースへと走っていく。

 

「おお? まだやるっすかぁ? いいじゃんいいじゃん!!」

 

バテテモーダは相変わらずヘラヘラしたような態度でプリキュアたちを見ている。

 

「メーガー・・・」

 

ドリル型のメガビョーゲンは立ち上がると、フォンテーヌとスパークルに向かって両腕のドリルを振り下ろす。

 

フォンテーヌとスパークルは飛び退いてかわす。

 

「「キュアスキャン!!」」

 

フォンテーヌはステッキの肉球をタッチしてメガビョーゲンにペギタンの顔を向ける。ペギタンの目が光り、ドリル型メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを見つけ出す。

 

「雷のエレメントさんペエ!!」

 

エレメントさんはメガビョーゲンの左胸にいる模様。

 

「よそ見は禁物っすよ!!」

 

「!?」

 

「っ! はぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

そこへバテテモーダがその隙を狙ってフォンテーヌに攻撃を仕掛けようとするも、スパークルが気づいてその勢いのままバテテモーダへと蹴りを入れる。

 

「ぐっ・・・でも、無理無理、っ!!」

 

バテテモーダは空中で両腕をクロスさせて蹴りを防ぎ、逆に蹴り返して吹き飛ばす。先ほどの一撃はさっきよりも強く、それでもまだ余裕があったが、少し彼の表情が歪んだ。

 

「ふっ! はぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

フォンテーヌは岩の壁を利用して、バテテモーダに蹴りを入れる。

 

「うぉ!? ちょい強め!!」

 

バテテモーダは防ぎつつも怯み始め、少し後ろへと体勢をよろつかせた。

 

一方、グレースは・・・・・・。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「そーれっ!!」

 

グレースとヘバリーヌの蹴りがぶつかり合い、周囲を吹き飛ばすほどの風が飛ぶ。

 

「よっと! ほっ! やっ!!」

 

二人はお互いに吹き飛ばされるも、ヘバリーヌは素早く体勢を立て直して猛スピードで急接近すると、右左と足を出して回転蹴りを繰り出す。

 

「く、うぅ!」

 

「とう! よっと!」

 

「うっ、あぁぁ!!」

 

グレースはそれを右腕でなんとか防ぎきるも、表情が辛そうに歪み、さらにヘバリーヌはその勢いのまま地面に手をついて、再度右左と回転蹴りを繰り出す。

 

グレースは連続で来る攻撃には耐え切れずに、吹き飛ばされてしまう。

 

「そぉぅれぇ!!」

 

ヘバリーヌは蹴りの勢いのまま、飛び上がって一回転すると地面へと倒れるグレースへと踵を振り下ろす。グレースは両腕をクロスさせて踵の攻撃を防ぐ。

 

「くぅ・・・!!」

 

「ほらほら~♪ ヘバリーヌちゃんともっといい気分になろうよぉ~♪」

 

「うぅぅ・・・あぁ・・・!」

 

グレースは苦しい表情で受け止めながらも、ヘバリーヌは甘い言葉をかけながら叩き潰そうとしてくる。

 

パァァ・・・!

 

「!? これって・・・?」

 

その時、グレースの体が発光し始める。何やら自分の中に力が溢れてくる。

 

「ふっ!!」

 

「あぁぁん♪」

 

グレースはヘバリーヌの踵攻撃を弾き返す。吹き飛んだヘバリーヌは体勢を立て直すも、そこへグレースが向かってくる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「うぅぅ・・・!! プリキュアちゃん、いいよぉ~♪ だいぶマシになってきたぁ~♪」

 

グレースは拳をお見舞いしようとし、ヘバリーヌは右腕で拳を防ぐ。急に私の攻撃を弾き返し、結構強烈になった一撃を食らわしてくる。そんな状況でもヘバリーヌは喜んでいた。

 

「ほーれ!!」

 

「あぁぁ!?」

 

「そーれ!!」

 

ヘバリーヌはグレースの腕を掴んで背後へと投げ飛ばし、グレースと同じ高さに現れると右足を振り上げて黒い竜巻を繰り出す。

 

「ぷにシールド!!」

 

グレースは空中で肉球型のシールドを展開して黒い竜巻を上へと弾くと、一度地面へと着地して飛び上がりヘバリーヌへと迫る。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「あぁ~♪」

 

バシッ!!!!

 

空中にいたヘバリーヌは防御体勢は取れず、そのまま突っ込んでくるグレースの体当たりで吹き飛ばされる。

 

「あぁぁん♪」

 

ヘバリーヌは甘い声を上げながら吹き飛ぶも、すぐにオーバーヘッドのように体勢を立て直して、後ろに回転して着地する。

 

「うーん、今の攻撃じゃーーーー」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「!?」

 

ヘバリーヌはまるで蚊に刺されたとも思わない様子を見せていたが、そこへグレースが飛び蹴りを繰り出す。

 

ドォォォォォォン!!!

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん♪」

 

グレースの飛び蹴りがヘバリーヌに直撃し砂埃が舞う。そこからヘバリーヌが吹き飛ばされて出てくるも、地面に体を打ち付けながら転がり、うつぶせに倒れたのであった。

 

しかし、ヘバリーヌはすぐにすくっとお母さん座りになって股を開くと、目をキラキラとさせていた。

 

「んん~♪ いいよいいよ~!! 今のはいい痛みだったよ~♪ 気持ちよかったぁ♪」

 

「な、何なの・・・この娘・・・?」

 

攻撃をされたというのに喜んでいる金髪のビョーゲンズを、グレースは寒気すら感じているのであった。

 

一方、バテテモーダに勢いのまま蹴りを繰り出し続けるフォンテーヌとスパークル。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「ぐぅぅ・・・! 何度やっても・・・え!?」

 

スパークルが踵落としを繰り出し、バテテモーダはその攻撃によろける。口調では余裕を見せていたが・・・。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「ええーーーーっ!!??」

 

そこへ飛び上がったフォンテーヌが回転の勢いをつけた拳を繰り出した。これにはさすがのバテテモーダも勢いに押されて、防御体制が取れず・・・・・・。

 

ドォォォォォォォォォン!!!!

 

地面が吹き飛んで、砂埃が舞うほどの攻撃がバテテモーダに直撃した。

 

「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

 

悲鳴を上げながら、回転しながら勢いよく吹き飛ばされるバテテモーダ。そのまま背後にいた自分のショベルカーのメガビョーゲンにぶつかる。

 

「メ!? ガビョーゲン・・・」

 

頭にぶつかったメガビョーゲンはそのまま横向きに倒れ、バテテモーダは弾かれて上へと吹き飛び・・・・・・。

 

反対側にいたドリル型のメガビョーゲンへと飛んでいく。

 

「メガー!? ビョーゲン・・・」

 

ドリル型のメガビョーゲンの胸部分へとぶつかったバテテモーダはそのまま背後へと押し倒してしまい、ごと地面へと落ちた。

 

「あああー!? 私のメガビョーゲンが!!」

 

「ヤベェッ・・・!!」

 

自分のメガビョーゲンが巻き込まれたことに、さすがのヘバリーヌも両手を頬に当てて動揺を隠せない。バテテモーダはしまったと言わんばかりに焦り始める。

 

「今だよ!!」

 

「みんな!! ミラクルヒーリングボトルラビ!!」

 

「「うん!!」」

 

グレースの言葉を合図に、他の二人も頷き3人は体を発光させる。

 

3人はミラクルヒーリングボトルをステッキにセットする。

 

「「「トリプルハートチャージ!!」」」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの順で肉球にタッチしていき、ステッキを上に掲げる。すると、花畑が広がっていき、背後には自然豊かな森が広がっていく。

 

さらにプリキュア3人の背後に、設楽が話していたとされる紫色のコスプレ姿をした女神の姿が映し出されていく。

 

「「「プリキュア! ヒーリング・オアシス!!」」」

 

3人は一斉にメガビョーゲンへとステッキを構え、ピンク・青・黄色の3色の光線が螺旋状になって放たれる。螺旋状の光線は混ざり合いながら一直線に二体のメガビョーゲンに直撃する。

 

螺旋状になった光線はそれぞれの色の手へと変化して、3本の手がそれぞれ宝石のエレメントさん、雷のエレメントさんを優しく包み込んでいく。

 

3色に光るハート状にメガビョーゲンを貫きながら、光線はエレメントさんをメガビョーゲンから外へと出す。

 

「「ヒーリングッバイ・・・」」

 

メガビョーゲンたちは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていった。

 

「「「「「「お大事に」」」」」」

 

宝石のエレメントさんはショベルカーの石へ、雷のエレメントさんはドリルへと戻ると、病気に蝕まれた箇所は元に戻っていく。

 

「ワフ~ン♪」

 

体調不良だった子犬ーーーラテも額のハートマークが黄色から水色に戻り、元気になった。

 

「ハハハハハハッ!!! いいじゃん!いいじゃん! 強いじゃん!! やられちゃったぜ! メガビョーゲンちゃん!!」

 

「ンフフ~♪ プリキュアちゃん、いい攻撃だったよぉ♪ やるねぇ♪ 私ぃ~、メガビョーゲンと一緒に昇天しそうになっちゃったぁ♪」

 

メガビョーゲンが浄化されたのにも関わらず、腹を抱えてゲラゲラと笑うバテテモーダと、腕の埃をパンパンと払った後に唇に指を当てて妖艶な微笑みを浮かべるヘバリーヌ。

 

「笑ってる・・・何なの? あいつら・・・」

 

その様子にフォンテーヌは戸惑いの言葉を漏らす。

 

「フハハハハ!! 負けたのは自分じゃないんで! メガビョーゲンなんで!」

 

「別にメガビョーゲンなんか出さなくてもいいけどぉ、地球を私たちにとって快適にするためだからねぇ?」

 

ヘラヘラと笑うバテテモーダと、不敵な笑みを浮かべつつも冷静な声でウィンクをするヘバリーヌ。3人はその様子に不気味さを感じていた。

 

「まあ、今日はこれぐらいにするっす。それにしても・・・戦うのって、超楽しいわ」

 

バテテモーダはそう言いながら不気味に笑う。

 

「私もお仕事おしま~い♪ 地球ちゃんはきっと気持ち良さをわかってくれるよね~? だって、病気で苦しいのって、気持ちいいもんね~♪」

 

ヘバリーヌはプリキュアたちに背を向けながら歩くと、振り返って妖艶な微笑みを浮かべる。

 

「戦うのが・・・楽しい・・・!? 病気で苦しいのが・・・気持ちいい・・・!?」

 

グレースはそんな二人に怯えたような表情を見せていた。

 

パチパチパチパチ・・・。

 

「ご苦労様、二人とも。いい仕事っぷりだったわ。まあ、及第点だけど」

 

すると、どこからか拍手の音と声が聞こえてくる。その方向は岩の壁の上で、そこにいたのはマジシャン姿の少女だった。

 

「クルシーナ!?」

 

「なんでここにいるラビ!?」

 

クルシーナは岩の壁から飛び降りると、二人の方へと向く。

 

「アンタら、先に帰ってろ。アタシはこいつらと話があるから」

 

現れたクルシーナが発した言葉は、要するに撤退の言葉。実はクルシーナはバテテモーダたちとプリキュアの戦いを見物していたのだ。

 

「まあ、自分はもう満足したし、今日はもう十分っす!!」

 

「お姉ちゃんが約束通り、お仕置きをしてくれるならぁ♪ ヘバリーヌちゃん、楽しみぃ~!!!」

 

バテテモーダとヘバリーヌはその場から飛び上がると、一番上の岩場の壁に着地する。

 

「じゃあ、また遊びましょう!!」

 

「またね~! プリキュアちゃんたち♪」

 

二人はそう言うと姿を消していった。

 

クルシーナは二人が撤退していったのを確認すると、プリキュア3人に向き直る。3人は戦闘体制を取るが・・・・・・。

 

「そんな怖い顔しなくたっていいじゃない。アタシとお話ししましょうよ。あの二人を見事退けたお祝いとして、いいことを教えてあげる」

 

「え・・・?」

 

「な、何、言ってんの・・・?」

 

クルシーナが開口一番に言ったのは、自分とお話しをしたいということ。しかも、二人を追い払った記念としてと言われている。話に何か裏があるようで気がかりだった。

 

「そもそも、お前らはあいつらのことを知らなかったわけよね? 何でだと思う?」

 

「そういえば・・・・・・」

 

「あいつらはいつもの奴らとは、違ったニャ・・・」

 

今思うと自分から戦闘を仕掛けてきた上に、他の幹部とは異質な気がした。プリキュアたちが知らないのは当然だが、ヒーリングアニマルの3人ですらその存在を知らなかったのだ。

 

「答えを言うと、あいつらは最近生まれたばかりのビョーゲンズだからよ」

 

「!? どういうことなの・・・!?」

 

クルシーナが笑みを浮かべながら言った言葉に、フォンテーヌは思わず聞き返す。

 

「まず一人はさ、お前らが散々浄化に手こずったメガビョーゲン、いたでしょ? ダルイゼンが生み出して、森一帯を病気に蝕んでいたメガビョーゲン、そいつから生まれたのよ」

 

「え・・・?」

 

私たちが3体目に浄化したあのとんでもない大きさのメガビョーゲンから生まれた・・・? でも、あのメガビョーゲンからそんな兆しのある要素、あっただろうか?

 

メガビョーゲンが種を吐き出したことを知らないプリキュアたちは、戸惑いの声を上げていた。

 

「そしてもう一人は、アタシたちが捕らえていた娘。その娘にアタシたち3人が作ったメガビョーゲンの力を注ぎ込んで生み出したの」

 

「捕らえていた娘・・・?」

 

捕らえていた娘に最初はピンと来なかったプリキュアの3人。しかし、グレースは少しの思考で何かを察したように目を見開く。三人娘に奪われた街、そこで私たちを助けてくれた医者のことの言葉を思い出す。

 

ーーーー俺の娘のことも・・・頼む・・・!

 

「娘って、まさか・・・!?」

 

「お前にしては、察しがいいんじゃない? そう。お前らを必死に守ろうとしていた設楽先生ってヤブ医者。そいつの娘だって言えば、わかるでしょ」

 

「「!?」」

 

フォンテーヌとスパークルもようやく察したのか驚きの声を上げる。そういえば、設楽先生は自分の娘を取り戻したいと言っていた。

 

「な、なんですって・・・!?」

 

「ヘバリーヌが、先生の娘・・・!?」

 

信じられないというような反応。設楽先生の娘はいつの間にか、三人娘の苗床にさせられていて、その結果、ビョーゲンズの一員になってしまったのか。

 

「しかもこの二人の誕生、ちゃんとお手当てをできてたら止められたことよね? つまりはお前らの過失ってわけ。せっかくメガビョーゲンを浄化できてても、新しいやつらを生まれさせちゃったらお前らとしても成果はゼロなのと同じことじゃない」

 

「そ、そんなこと・・・!」

 

グレースはそんなことないと言おうとしたが、全てが全てクルシーナの言う通りで反論するための言葉が出てこない。

 

「そんなことあるんだよ。しかも、今後お前らがちゃんとお手当てができないと、こういうことが起きるかもしれないわよ? あの二人以外に、アタシらのお仲間が増えるかも」

 

「なんですって・・・!?」

 

「まあ、『諦めない』ってことをいつまでも続ければいいんじゃない? どうせ無駄だって思い知ることになるんだからさ」

 

クルシーナはそれだけ言うと一番上の岩場の壁へと飛び乗る。

 

「また会いましょう、小娘たち」

 

彼女は不敵な笑みで振り向きながら言うと、その場から姿を消した。

 

プリキュアの3人はその場を呆然と見つめていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、のどかたちは変身を解いた後、ショベルカーに積んであった石に宿っていた宝石のエレメントさんを診察した後、岩を削るためのドリルに宿っていた雷のエレメントさんを診察していた。

 

「雷のエレメントさん、体調はどうですか?」

 

『ありがとう! 私はもう大丈夫! 元気です!』

 

雷のエレメントさんは笑顔でそう言うとドリルの中に戻っていった。

 

「よかった・・・!」

 

エレメントさんがなんともないことに安心するのどかとちゆ。

 

「バテテモーダ・・・ヘバリーヌ・・・」

 

しかし、ひなたは現れた敵の名前を呟きながら不安げな表情をしていた。

 

「強かった・・・すごく・・・しかも、ヘバリーヌは、設楽先生の娘だって・・・」

 

「・・・うん」

 

「・・・まさか、その娘がビョーゲンズになったなんて、思わなかったわ・・・」

 

そう言うひなたの右手はプルプルとわずかに震えていた。

 

のどかとちゆは、ヘバリーヌが設楽先生の娘だと聞いて悔しげな表情を見せていた。

 

「もしさあ、あたしたちがあの3人に負けないで、ちゃんと助けられてたら、お手当てできてたら・・・ビョーゲンズになっていなかったって・・・ことだよね・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

のどかは助けられなかった設楽先生の顔を思い出して、表情を俯かせる。

 

私たちが、ちゃんと守れていたら、あんなに臆病になっていなかったら、ちゃんと助けられたはずなのに・・・!

 

「しかも、あんなやつが他にも来るかもしれないって言ってたわよね・・・」

 

「大変だぜ、こりゃ・・・」

 

クルシーナから聞かされた言葉。今後自分の仲間が増えるかもしれない。そう思うと不安に駆られる。

 

「クゥ~ン」

 

「!! ラテ・・・」

 

俯くのどかに心配するかのように鳴くラテ。彼女はラテに寂し気な表情を見せると、自分の手元へと抱く。

 

ーーーーこの街みたいな、悲劇を犯さないで、やってくれ・・・頼む・・・!!

 

設楽が最後に私たちに訴えた言葉。それを思い出すとのどかは決意の表情を見せる。

 

「・・・そうだよ。私たちは、取り戻すって誓ったんだ。あの街も、先生も・・・! だから、こんなところで落ち込んでちゃダメなんだよ・・・みんなで力を合わせればきっと大丈夫」

 

ちゆはのどかのその言葉を聞くと、安心したように優しい笑みを浮かべる。

 

「ええ! 今日だって力を合わせてメガビョーゲンを浄化できたもの」

 

「そうだな! みんなぴったり息が合ってたもんな!」

 

「特訓なんかしなくても、大丈夫だったペエ」

 

「まあ、ラビリンは最初からそう思ってたラビ!」

 

「「おい・・・」」

 

「ワン!」

 

「「ふふふ・・・!」」

 

みんなはいつものように明るい表情、明るい光景を見せていた。

 

しかし、ひなたは左腕を不安げな表情で見つめていたのであった。

 

「キヒヒ・・・」

 

そんなひなたの様子を見ていた、一人のゴシックロリータの少女は不敵な笑みを浮かべるとその場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もぉ~!! モーダちゃんのせいで失敗しちゃったじゃ~ん!! せっかく気持ち良くなってきたところだったのに~!!」

 

「わ、悪かったっすよ!! まさか、プリキュアの攻撃があんなに勢いづいてくるとは、思わなかったんで・・・!」

 

ビョーゲンキングダムへと帰ってきたバテテモーダとヘバリーヌ。そこではヘバリーヌがバテテモーダに明るい声で不満を漏らしていた。その頬は可愛く膨れている。

 

「ぶぅー!! いいもーん!! お姉ちゃんにたっぷりお仕置きしてもらうも~ん!!」

 

余計に頬を膨らませてふてくされるヘバリーヌ。でも、なんだか怒っている感じでもなさそうだ。

 

「あら、こんなところにいたの?」

 

そこへ帰ってきたクルシーナが姿を現わす。プリキュアを打ち負かしたような嬉々とした表情で。

 

「クルシーナ嬢!!」

 

「お姉ちゃん!!」

 

「どうだった? 初めての出撃は?」

 

「いやぁ~、スカッとしたっすね!! 今後が楽しみで仕方がないですわ!!」

 

バテテモーダの言葉を聞いて、クルシーナがニヤッと笑みを浮かべる。

 

「そういう気持ちは大事よ。でも、メガビョーゲンの邪魔をしちゃったのは赤点レベルだけどね」

 

「うぅ・・・そ、それは・・・」

 

「そうだそうだ~!! あれはモーダちゃんが悪い~!!」

 

「だから、自分謝ったじゃないっすか~!! 勘弁してくださいよ・・・」

 

クルシーナが痛いところ突くと、ヘバリーヌが捲し立て始めて、バテテモーダは尻すぼみをし始める。

 

「別に戦ってもいいけど、メガビョーゲンの邪魔にならないところに誘導したほうがいいわよ。メガビョーゲンからあいつらを遠ざけるとか。基本的にアタシらは手を出さなくてもいいけど、メガビョーゲンが倒されそうになったら、手を出したりするなりしてもいいけどね」

 

クルシーナはそんな二人に指を一本上に突き立てて振りながら話す。

 

「なるほど~、参考になりますお嬢!! やっぱりお嬢は素敵っすね~!!」

 

「お世辞でもありがと♪」

 

褒めてくるバテテモーダに、クルシーナはわかりきったようにウィンクをする。

 

「お姉ちゃん!! 約束通り、お仕置きをしてくれるんだよね~?」

 

ヘバリーヌは両手を握りながら目をキラキラとさせている。

 

「もちろんしてあげるわよ。でも、あとでね。お父様に報告しにいかないとさ」

 

「了解っす! では早速、キングビョーゲン様のところに!」

 

クルシーナとバテテモーダはそういうと一緒にキングビョーゲンの元へと向かう。

 

「焦らしちゃうのぉ~? お姉ちゃん。でも、そのプレイも素敵~♪」

 

ヘバリーヌは頬を赤く染め手を当てながら、悶えるように動いた後、二人の後を追うように走る。

 

ふと気付いたように立ち止まって、まるで地球を見やるかのように背後を振り向き、妖艶な微笑みを浮かべる。

 

「プリキュアちゃんたち、また一緒に遊ぼうね♪ せっかくこんなに動けるようになったんだからさぁ♪」

 

ヘバリーヌはそれだけボソリと呟くと、二人の後を追うように走っていくのであった。

 


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