ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです!
なんかグアイワルのメガビョーゲンと絡ませるのが難しくて、しなくても書けちゃったんで割愛しました。
そこは原作と同じということで!


第37話「勇気」

 

「んぅぅぅ・・・ぐぅぅぅ・・・!!」

 

「キヒヒ・・・相変わらずお前らは学習能力がないの」

 

イタイノンの腕の中で顔を歪ませるひなた、プリキュアたちをバカにして嘲う彼女。

 

「! ひなたぁ!!」

 

ニャトランはひなたの元へと飛び出そうとしたが、イタイノンは口から黒い雷撃を放つ。

 

「うわぁ!?」

 

ニャトランは黒い雷撃を間一髪で避ける。そして、その直後イタイノンの背後に巨大な怪物が姿を現した。

 

「! メガビョーゲンペエ!!」

 

「やっぱり・・・あいつも発生させていたのね・・・!」

 

「また、大分大きくなってるラビ・・・!!」

 

「ラテが察知してから全然時間経ってないのに・・・!」

 

イタイノンの背後に現れたのはメガビョーゲンだった。しかし、ラテが察知してからはそんなに時間は経っていないはずなのに、もうあんなに大きくなっていた。きっと彼らは、どこかの場所を病気で蝕んでからここに来たのだろう。

 

「私たちのメガビョーゲンの病気の蝕みの速さを甘く見るな、なの。ものさえ見つければ、あっという間に蝕むことはできるの」

 

イタイノンはそう言いながら、メガビョーゲンの顔がついた籠の中へと近づくとお姫様抱っこをしていたひなたを中に横たわらせる。

 

「!? あ、あれって・・・?」

 

「この街に住む、人たち・・・?」

 

のどかとちゆはメガビョーゲンの籠の中にいる人たちが見えており、その様子を見て動揺する。

 

「うぅぅぅ・・・あ・・・こ、この・・・みんな、は・・・?」

 

さらにひなたは言うことを聞かない体の中で、少し薄く目を開けるとそこには自分と同じようにぐったりとして苦しんでいる子供や彼女の母親らしき人、そして老夫婦の姿だった。

 

しかも、子供の方は自分と顔なじみで、三つ編みを輪っかのように結んでいる少女だった。

 

「みんな、病気で蝕まれている人たちだよ~♪ ノンお姉ちゃんがやったの♪ みんなみんな、気持ち良いって感じてるの~♪」

 

「!?・・・あ・・・ぁぁ・・・!」

 

中に入っていたヘバリーヌが明るい声でそう話すと、ひなたは恐怖の表情になる。

 

自分が、みんながイタイノンによって病気に蝕まれている。段々と体に違和感を感じていく。

 

・・・そうか。私も、この人たちと一緒に・・・。

 

ネガティブになっているひなたはそう考えることしかできなかった。

 

「あなた・・・また、そうやって人を苦しめて・・・!」

 

「許せない・・・!!」

 

「許さなかったら、何? なの。文句があるなら私を止めてみろなの」

 

のどかとちゆは怒りを見せるも、イタイノンはメガビョーゲンの上から二人を無表情で見下ろしている。

 

「ひなたを、みんなを助けださないと・・・!」

 

「行くよ! ちゆちゃん!!」

 

2人とヒーリングアニマルはお互いに頷く。

 

「「スタート!!」」

 

「「プリキュア、オペレーション!!」」

 

「エレメントレベル、上昇ラビ!!」

「エレメントレベル、上昇ペエ!!」

 

「「キュアタッチ!!」」

 

ラビリン、ペギタンがステッキの中に入ると、のどか、ちゆはそれぞれ花のエレメントボトル、水のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

そして、肉球にタッチすると、花、水をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、水色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ちゆは水色へと変化する。

 

キュン!

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。

 

キュン!

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身した。

 

「メガビョーゲン、やれなの」

 

「メガ、ビョーゲン・・・」

 

メガビョーゲンは両腕の車輪についている銃口から赤い空気砲を放つ。

 

グレースとフォンテーヌは飛び上がって空気砲を避ける。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

二人はメガビョーゲンへと向かって、蹴りを放つ。

 

「メ、ガ・・・!?」

 

両肩を同時に蹴りを食らったメガビョーゲンは突き飛ばされるも、両足の車輪を地面につけるとブレーキをかけてふみとどまり、そのままスピードを上げて地面に着地した二人へと突っ込んできた。

 

「メーガー・・・」

 

「うわぁぁ!?」

 

「あぁぁ!?」

 

二人は間一髪で避けるも、メガビョーゲンの走った後は赤い病気に蝕まれていた。

 

「ああ・・・!?」

 

「あのメガビョーゲンの走った後の地面が痛んでいるラビ・・・!」

 

どうやらこのメガビョーゲンが走り回るとその地面は病気に蝕まれるらしい。動きを止めなければここ一帯が蝕まれてしまう。

 

「メーガー・・・!」

 

そんなことを考えているうちにメガビョーゲンがUターンをして、こちらに突進してきた。

 

「「はぁ!!」」

 

「メガビョーゲン・・・」

 

「「あぁぁっ!!」」

 

グレースとフォンテーヌはステッキからピンク色、青色の光線を放つが、メガビョーゲンは物ともしておらず、そのまま二人を跳ね飛ばした。

 

家の柵に叩きつけられて地面に落ちる二人。

 

「グレース! フォンテーヌ! 大丈夫か!?」

 

ひなたがいないのでプリキュアになっていないニャトランが二人に駆け寄る。二人は大きなダメージもなく、起き上がったが・・・・・・。

 

「うん・・・でも・・・」

 

「あのメガビョーゲン、やっぱり強いわ・・・」

 

人間を病気で蝕むことのできる三人娘のメガビョーゲンは、どんな姿をしていてもタチが悪く強力だ。そう感じざるを得ないプリキュアの二人。

 

「メーガー・・・!」

 

そう思っている間にもメガビョーゲンは再びUターンをして、こちらに迫ってきた。

 

「ふっ! はぁぁぁ!!」

 

「メー・・・ガー・・・!?」

 

フォンテーヌは立ち上がって飛び出すと、メガビョーゲンに向かってドロップキックを放つ。胸あたりに直撃したメガビョーゲンはバランスを崩して背後から倒れた。

 

「ちっ・・・!」

 

「おっとぉ・・・!」

 

メガビョーゲンの籠の縁の上に乗っていたイタイノンは舌打ちをしながら、巻き込まれる前に倒れる直前で家の屋根の上に飛び退き、ヘバリーヌも同様に飛び退いた。

 

「!! 危ない!!」

 

グレースは、イタイノンに捕らわれた子供や女性が土けむりの中から飛び出してきたのに気付くと、すぐに飛び出してキャッチし、気付いたフォンテーヌも飛び出して老夫婦を受け止め、地面へと下ろして横たわらせる。

 

「! ひなたぁ!!」

 

さらに土ほこりの中から病気に蝕まれたひなたが力なく飛び出してきたのが見えた。ニャトランはとっさに飛んでいき、地面に衝突する直前で背中から彼女を下から支える。

 

「ぐぬぬぬぬぬ・・・!!」

 

辛い表情を見せるニャトランだが、なんとか体を支えてゆっくりと地面に下ろす。

 

「ふぅ・・・・・・」

 

ニャトランは無事とは言えないが、怪我をさせずに済み一息をつく。

 

「うぅぅぅ・・・ニャト・・・ラン・・・」

 

「! ひなた!!」

 

「うぅ・・・苦、しいぃ・・・苦しい、よぉ・・・」

 

ひなたがわずかながら声を絞り出し、胸を押さえながら苦しさを訴える。

 

「大丈夫ニャ!! 今、二人がメガビョーゲンをなんとかしてくれてる!!」

 

「あたし・・・死んじゃ、う、の、かな・・・? からだ、が・・・うごか、ない、んだ・・・」

 

「諦めんな!! 気をしっかり持てよ!! 俺が傍にいるニャ!!」

 

ニャトランが必死に声をかけるも、ひなたの体は赤く蝕まれていき体調は悪化、段々と弱っていく。

 

「メーガー・・・メガー・・・!!」

 

ドカン! ドカン! ドカン! ドカン! ドカン!

 

倒れたメガビョーゲンは両腕の車輪を回転させて地面につけて、逆立ちのような体勢になると車輪についている銃口を向けて赤い空気砲を連射した。

 

「っ!」

 

「「ぷにシールド!!」」

 

グレースとフォンテーヌはとっさに前へと出て、肉球型のシールドを展開して空気砲を防ぐ。

 

ドォン! ドォン! ドォン! ドォン! ドォン!!

 

「くっ・・・!」

 

しかし爆発の勢いがすごくて押されそうになり、足が徐々に後ろへと下がっていく二人。ひなたがいるときと比べれば、メガビョーゲンの攻撃を抑え込むことが難しくなっていた。

 

「このままじゃ、みんなが・・・!」

 

プリキュア二人の背後には、ひなたを含めてイタイノンによって病気に蝕まれてぐったりしている人たちの姿がある。ここで抑えきれなければ、全員が攻撃に巻き込まれてしまう。

 

「メーガー・・・メガビョーゲン・・・」

 

しかし、メガビョーゲンは逆立ちの状態から180度体を回転させた後、両手で地面を押すと飛び上がり、プリキュア二人に向かってドロップキックを放ってきた。

 

「「あぁぁぁぁぁ!?」」

 

攻撃の勢いが強いために、肉球型のシールドごと思いっきり後ろへと押されるプリキュア二人。なんとか足を踏ん張って腕に力を入れて押し留めるも、後ろはすでに壁で追い詰められてしまう。

 

「くっ・・・・・・!」

 

「うぅ・・・・・・!」

 

「メガー・・・・・・!」

 

二人はなんとか押し返そうとするも、メガビョーゲンも両足の車輪を回転させて力を上げ、押し潰そうとする。

 

「そうやってみんな庇っているから辛い目に遭うの。大人しくやられていればお前らも楽になれるの」

 

「くぅぅぅ・・・!」

 

「ぐぅぅぅぅ・・・!!」

 

イタイノンが嘲笑の言葉を浴びせるも、特に体力のないグレースはそんなことを気にすることもできないほどにすでに表情が辛そうだ。顔は顰めていて、玉のような汗が浮かんでいる。

 

「あぁ~ん♪ 気持ち良さそう~♪ 私も追い詰められてみたいな~♪」

 

ヘバリーヌは苦しい二人の様子を恍惚と見ながら、相変わらずのおかしな発言をしていた。

 

「ああ・・・二人がピンチニャ・・・!!」

 

ニャトランはプリキュア二人が体格差で押されていることに不安の声を漏らす。

 

しかし、ひなたはイタイノンによって病気に蝕まれている。

 

「くそっ!! 俺もひなたがこうなってなければ・・・!!」

 

「ニャト・・・ラン・・・」

 

地面に手を叩いて悔しがるニャトランに、ひなたが再度弱々しく声をかける。

 

「ごめん、ね・・・ニャト・・ラン・・・あたし、が・・・おく、びょう、な、せいで・・・また・・・みんな、に、迷惑、かけ、ちゃった・・・」

 

「ひなた・・・・・・」

 

「あた、し・・・全然、ダメ・・・だね・・・。設楽、先生、の、想い・・・守らない、といけない、のに、敵が、増えたから、って、メガビョーゲンが、強く、なったから、って、臆病に、なりすぎた、よね・・・意味は、あるはず・・・なのに、意味が、ない・・・なんて言って、あたし・・・もう・・・どうしたら、いい、か・・・わから、なかった・・・んだ・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

ニャトランはひなたの心情を聞いて、胸が苦しい気持ちになった。

 

ひなたは本当は、自分たちを救ってくれた設楽先生の思いを無駄にしてはいけないとわかっている。そして、エレメントさんにも、設楽先生にも約束したのだ。ビョーゲンズを倒して、あの街を取り戻すと。

 

しかし、いくらお手当てを頑張っても苦労しかしない感じ、そして敵が増えるという報われない虚しさ、彼女はいつまでもこういうことが永遠に続くのではないかと不安だったのだ。プリキュアをやっても意味がない、でもやらないといけない。その板挟みにどうしたらいいかわからなかった。

 

ニャトランは意を決した表情をして、力の抜けたひなたの手へと触れる。

 

「ひなた・・・辛いなら俺がそばにいるニャ」

 

「え・・・・・・?」

 

「あんまりいいこと言えねぇけど、俺は別にお前を迷惑になんか思ってねぇよ。むしろ、ひなたと一緒にパートナーやってよかったって思ってる。最高のパートナーだって。本当は俺だって不安だよ。地球のお手当てを最後までできるのかなって。でも、俺はそんな明日のことよりも今日のことを考えたい! どうなるかなんかわからないけど、今をどうにかしないと明日はねぇと思うニャ!!」

 

「ニャト・・・ラン・・・・・・」

 

「俺たちは、一人で戦ってるわけじゃないだろ? のどかだって、ちゆだっているんだぜ? ラビリンやペギタンも。確かに、終わりは見えないかもしれねぇけど、みんなと一緒に歩けば、今日も明日も、進めるだろ? ヘヘッ」

 

ニャトランはひなたにニコッと笑顔を見せる。ひなたはまだ戸惑いの表情を浮かべていたが、ニャトランのその表情に心が洗われる感じがする。

 

「暖、かい・・・暖かい、よ・・・ニャト・・・ラン・・・優しい、ね・・・」

 

ひなたはそう言いながらニャトランの優しさに笑みを見せつつも、涙がこぼれ落ちる。暖かい何かがひなたの中に流れ込んでくる。

 

そして、ひなたはあの時と同じように体が発光し始めた。

 

「・・・・・・・・・」

 

イタイノンはひなたとニャトランの様子を見て顔を顰めていた。頭の中にある記憶がフラッシュバックしていたのだ。

 

ーーーー大丈夫? ーーーーちゃん。

 

ーーーー怖いなら、あたしがいるよ。

 

ーーーーきっと良くなるよ。あたしがおねえに教えてもらったおまじないでね。

 

ーーーーねえ? もう苦しくないでしょ?

 

黄色いリボンをつけた栗色の髪の少女が、横たわる自分に手を伸ばしてくる。しかも、その少女はどこかあいつに似ていた。

 

「お姉ちゃん?」

 

「・・・・・・・・・」

 

バチバチバチッ・・・!

 

ひなたとニャトランのやり取りがなんとなく気に入らなかったイタイノンは帯電させると、右手を突き出すように構え黒い雷撃を二人に向かって放った。

 

「!? 危ねぇ!!」

 

「! あ・・・!!」

 

気づいたニャトランはひなたを押し出すように突き飛ばし、なんとか二人揃って黒い雷撃を避けた。

 

倒れ伏したような形となったひなたに、イタイノンが近づく。

 

考えていたが、こいつを一人潰しておけば、あいつらは3人でのあの技を出せなくなる。そうなってしまえば、私らの作ったメガビョーゲンも浄化できなくなるだろう。

 

ちょうどいい機会だ。この場で片付けておくか。

 

「うぅぅぅ・・・!」

 

「お前、辛いだろ? なの。私が楽にさせてあげるの」

 

ひなたは少し体が楽になったのか立ち上がろうとするが、そこに不敵な笑みを浮かべるイタイノンとは距離が縮まっていく。

 

「ひなたに手を出すな!!」

 

「・・・ふん!」

 

「うわぁ!!」

 

ニャトランが二人の間に入ってひなたを庇おうとするが、あっさりと右手で叩き飛ばされる。

 

「・・・何もできないヒーリングアニマルは引っ込んでろ、なの」

 

「ぐぅ・・・!」

 

イタイノンはニャトランを冷たい目で見下ろした後、起き上がろうとしているひなたへと近づく。

 

「うっ・・・あ・・・あぁ・・・!」

 

そして、彼女の胸ぐらを掴んで上へと持ち上げた。ひなたは病気の蝕みに加えて、首を絞め上げられるような苦痛に歪む。

 

「ぐっ・・・うぅっ・・・うぅぅぅぅ!!」

 

「痛いのは一瞬だけなの。すぐにお前の鼓動を動きを止めてやるの」

 

バチバチバチ・・・・・・!!

 

イタイノンは掴んでいない方の手の二本の指に電気を纏わせる。それを彼女の心臓がある左胸に突き刺そうとしていた。

 

「ひなた!!」

 

「ひなたちゃん!!」

 

「メーガー・・・!」

 

「くっ、うぅぅ・・・!!」

 

「うぅぅぅぅ・・・!!」

 

「う、動けないラビ・・・!!」

 

「これじゃあ、ひなたを助けに行けないペエ・・・」

 

うまく体が動かないひなたがイタイノンに襲われているのを見る二人だが、メガビョーゲンは邪魔させないように両足の車輪をさらに回転させて力を上げてきた。あまりの力に押し返せずに、身動きを取ることができない。

 

「やめろよぉ!!」

 

ニャトランは二人の元へと飛び出し、ひなたを助けようとイタイノンが彼女を掴んでいる手に噛み付く。

 

「っ・・・!!」

 

イタイノンは顔を顰めると掴んでいない方の手の指をニャトランの体へと突き刺す。

 

「がぁっ・・・!? うわぁぁぁ!!!!」

 

帯電させられたニャトランは思わず口を開いてしまい、その隙を突かれてデコピン一発で吹き飛ばされた。

 

「ぐぅぅ・・・あぁぁぁぁぁ!!!!」

 

床に転がるニャトランは再び立ち上がって、イタイノンへと立ち向かっていくが、やはり掴んでいない方の手で叩き落されてしまう。

 

「っ・・・やあぁぁぁぁ!!!」

 

それでもニャトランはひなたを助けようと何度もイタイノンに向かっていくも、その度に叩き払われる。それでも諦めずに助けようと向かっていく。

 

「ニャト・・・ラン・・・やめ、て・・・死んじゃう・・・よ・・・!」

 

「ぐっ・・・あぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ひなたは涙をポロポロとこぼしながらそう訴えるも、ニャトランはめげずに立ち向かおうとしている。

 

「いい加減にしつこいの!!!!」

 

「!? ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

何度も向かってくるニャトランに苛立ちを覚えたイタイノンは強めの黒い雷撃を放つ。まともに受けてしまったニャトランはボロボロになり、そのまま力なく地面へと落ちた。

 

「ニャト、ラン・・・!!!!」

 

ひなたはかすれながらも悲痛な声を上げる。

 

「プリキュアになれないお前が何をやっても無駄なことなの。おとなしくお前のパートナーが終わるのを見ているがいいの」

 

「う・・・あぁ・・・く、そ・・・!」

 

イタイノンは地面に倒れるニャトランに冷淡な言葉をかけると、再び掴んでいない方の指で帯電させていく。

 

「待たせて悪かったの。今、楽にしてあげるの」

 

ひなたへと不敵な笑みを浮かべるが、彼女は逆に怯えたような顔から睨むような表情へと変える。

 

「あきらめ、ない・・・!」

 

「?」

 

「お手当てを、やめたく、ない・・・諦めたく、ない・・・! だって、ニャトラン、が・・・あんなにあたし、を・・・助けてくれようとしてるのに・・・二人が、あんなに、頑張っているのに・・・!」

 

「・・・お前が動いたって状況は変わらないの。大して強くもないくせに、むしろ悪化させるだけなの」

 

ひなたはイタイノンの冷淡な言葉に首を振る。

 

「違、う・・・違う、よ・・・! 確か、に・・・私一人、では、弱い、かも・・・。でも、二人の中に私が、入れ、ば・・・助け、られる・・・あたし、が・・・少し、でも・・・頑張れ、ば・・・できる、んだよ・・・お手当てだって、人を救うことだって、できるんだよ・・・!!」

 

「っ・・・!?」

 

必死で声を絞らせるひなたの体が発光し始め、イタイノンの掴む手をゆっくりと押し退けていく。

 

「あぁぁぁ・・・!!」

 

それに苛立ちを覚えたイタイノンはひなたを前へと投げ飛ばした。

 

「やっぱりお前、目障りなの・・・! ここで消えろ、なの・・・!!」

 

イタイノンは両手を上げて黒い雷撃を込めると、球状にしてひなたに向かって放った。

 

「ひなたぁーーーーー!!!!!!」

 

傷ついたニャトランがなんとか立ち上がり、ひなたの方へと飛び出していく。

 

ドカァァァァァァン!!!!

 

黒い電撃の球は着弾して、爆発を起こし、煙が立ち込めていく。

 

「ひなたちゃん!!」

 

「ニャトラン!!」

 

グレースとラビリンが叫ぶ。

 

「ふん・・・・・・」

 

イタイノンは始末したと確信する。まともに動けない栗色の髪の少女、これでプリキュアを一人倒したと・・・・・・。

 

キュン!

 

「!!??」

 

しかし、聞いたことのある音、それが聞こえてきた途端、イタイノンの表情は驚愕へと変わった。

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

煙が晴れるとそこにはキュアスパークルに変身したひなたの姿があった。

 

「ひなた!! 変身できたなぁ!!」

 

「うん・・・まだ、ちょっと体は重いけど・・・動けるよ!!」

 

「よーし! 行こうぜ!!」

 

「うん!!」

 

スパークルはニャトランと絆を確かめ合うと、イタイノンに向かって構える。

 

「ちっ・・・!!」

 

どうして?と考えることもなく、イタイノンは悔しそうな表情をすると、片足を地面に叩きつけて黒い雷撃を走らせる。

 

「はぁぁ!!」

 

スパークルは飛び上がってかわすと、ステッキから黄色の光線を放つ。

 

イタイノンは三体に分裂して黄色い光線を避けると、空中にいるスパークルへと一人ずつ遅れて飛び出していく。

 

「ふっ・・・くっ、はぁ・・・!」

 

「ふん!」

 

「あぁ!!」

 

一人が飛び蹴りを放ってきたのを空中で避け、そこへ二体目が回転して踵を落としてくるも、スパークルは防いで弾き飛ばす。さらにもう一人が死角から蹴りを放ってくるのを気づいて、両手をクロスして防ぐも地面へと吹き飛ばされる。

 

しかし、衝突はせずに着地して踏ん張る。そこへ地面に降りた一体が真正面からパンチを繰り出してくる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

スパークルもステッキを持っていない方の手でパンチを繰り出すべく飛び出して行き、二つの拳がぶつかる。

 

「くっ・・・!!」

 

お互いの拳が押し合い、無表情のイタイノンに対して苦しそうな表情を見せるスパークル。

 

そこへ分身であろう二体のイタイノンが同時に飛び蹴りをスパークルに向かって放ってきた。

 

「!! うっ・・・ふっ!!」

 

三体のイタイノンに挟まれたスパークル。彼女は正面の拳で抑えつつも、ステッキを下に向けると黄色い光線を放ってジェット噴射のようにして飛び上がる。

 

「はぁ!!!!」

 

そして、一体のイタイノンに踵を落とす。両腕をクロスさせて防がれ、弾き飛ばされるも、スパークルはその勢いを利用してもう一体のイタイノンの背後へと飛ぶと壁を蹴って飛び出す。

 

「よっ!! はぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「!? っ・・・!?」

 

もう一体のイタイノンに飛び蹴りを繰り出す。彼女は同様に両腕をクロスしたが、勢いが強かったために吹き飛ばされて、本体であるイタイノンにぶつかり、二体は引き合うようにして一体へと戻る。

 

分身が受けたダメージが反動で入り、膝をつくイタイノン。

 

「これも、あげるよ!!」

 

さらにスパークルはもう一体の分身の腕を掴んでクルクルと回転させる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「!? あっ・・・!?」

 

膝をついていた本体のイタイノンに向かって放り投げると、二体はぶつかり合って一体のイタイノンへと戻る。この分身のダメージも受けたイタイノンだが、脇腹を押さえつつも倒れずに地面に着地する。

 

「ちっ・・・本当にムカつくやつなの・・・!!」

 

イタイノンは表情に怒りと悔しさを滲ませながら、ヘバリーヌの横へと飛び退く。

 

「くぅぅぅぅぅ・・・!!」

 

「うぅぅぅぅぅ・・・!!」

 

「メーガー・・・」

 

その間にグレースとフォンテーヌは押す力を失い、段々と押される形になっていた。

 

「グレース! フォンテーヌ!」

 

スパークルはそれを見るとすぐに二人の横へと飛んでいき、肉球型のシールドを張る。

 

「スパークル! よかった・・・!」

 

「まあ、動けるようになっただけ、なんだけどね・・・」

 

「とにかく、3人一緒に行くわよ!」

 

3人はお互いの無事を喜んだ後、怪物の足を押し上げようとステッキを構える。

 

「「「せーのっ! はぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

「メ、ガ、ガ、ガ・・・!? メガ・・・!?」

 

3人は同時にステッキを動かしてシールドを押しのけ、メガビョーゲンを吹き飛ばす。

 

背中から地面に落ちたメガビョーゲンに向かって、スパークルがステッキのニャトランの顔をメガビョーゲンに向ける。

 

「「キュアスキャン!!」」

 

ニャトランの目が光るとメガビョーゲンの中にいるエレメントさんを見つける。

 

「風のエレメントさんだ!」

 

エレメントさんはメガビョーゲンの右手の車輪部分にいる模様。

 

「メーガー・・・!」

 

メガビョーゲンは立ち上がると両足の車輪を動かして、こちらへと向かってきた。

 

「こっち来るペエ!!」

 

「メーガー・・・!」

 

さらにメガビョーゲンは両腕の車輪の銃口から空気砲を放ってくる。グレースとスパークルは前に出ると肉球型のシールドを展開し、空気砲を防いでいく。

 

ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!

 

「くっ・・・!!」

 

「うっ・・・!!」

 

着弾した空気砲は爆発を起こし、その凄まじさに二人はシールドを張るのが苦しそうだ。

 

「動きを止めないとね・・・氷のエレメント!!」

 

フォンテーヌはそんな二人の背後から飛び上がると、ヒーリングステッキに氷のエレメントボトルをはめる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ステッキから氷をまとった青い光線が放たれ、メガビョーゲンが走る地面を凍らせる。

 

「メ、メガ、ガ、ガ・・・!?」

 

走ることと打つことばかりに気を取られていたメガビョーゲンは、凍った地面に気づかずに足を滑らせると背中から地面へと倒れ、氷漬けになった。

 

「あ~、凍っちゃった~・・・」

 

「っ~~~~~!!!!」

 

ヘバリーヌは気の抜けた明るい声で言い、イタイノンは悔しそうに唸らせる。

 

「今よ!!」

 

「「うん!!」」

 

3人はそれを合図に体が発光し、ミラクルヒーリングボトルをステッキにセットする。

 

「「「トリプルハートチャージ!!」」」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの順で肉球にタッチしていき、ステッキを上に掲げる。すると、花畑が広がっていき、背後には自然豊かな森が広がっていく。

 

さらにプリキュア3人の背後に、設楽が話していたとされる紫色のコスプレ姿をした女神の姿が映し出されていく。

 

「「「プリキュア! ヒーリング・オアシス!!」」」

 

3人は一斉にメガビョーゲンへとステッキを構え、ピンク・青・黄色の3色の光線が螺旋状になって放たれる。螺旋状の光線は混ざり合いながら一直線にメガビョーゲンに直撃する。

 

螺旋状になった光線はそれぞれの色の手へと変化して、3本の手が風のエレメントさんを優しく包み込んでいく。

 

3色に光るハート状にメガビョーゲンを貫きながら、光線はエレメントさんをメガビョーゲンから外へと出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンたちは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていった。

 

「「「「「「お大事に」」」」」」

 

風のエレメントさんは自転車へと戻ると、病気に蝕まれた箇所は元に戻っていく。

 

「ワフ~ン♪」

 

体調不良だった子犬ーーーラテも額のハートマークが黄色から水色に戻り、元気になった。

 

「ちっ・・・あと、もうちょっとだったのに・・・!!・・・はぁ・・・・・・」

 

イタイノンは悔しそうに拳を握り締めたあと、落ち込んだようにため息をつく。そしてやや不機嫌な表情で、ヘバリーヌの方を振り向く。

 

「・・・で、大体わかった? なの。これがやり方なの」

 

イタイノンは失敗はしたものの、ヘバリーヌに今回の出撃を理解したかどうか聞いてみる。

 

「うん♪ 参考になったよ~♪ ありがとぉ♪ ノンお姉ちゃん、ス・テ・キ♪」

 

「あ・・・もう、くっつくな、なの・・・!」

 

ヘバリーヌは笑顔でイタイノンに抱きつき、当の彼女は赤らめながらも困ったような顔をする。そして、二人はそのまま姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、プリキュアたちは静電気騒ぎを起こしていたメガビョーゲンも浄化し、ひなたが助け出した雷のエレメントさんから貴重なボトルをもらった後、3人はひなたの姉・めいが経営するワゴンの近くへと来ていた。

 

ワゴン車の中に閉じ込められていためいは、ようやく脱出することができて、ひなたは心の中で安堵の声を漏らしていた。

 

「私も・・・ありがとね・・・ニャトランも、ありがと・・・」

 

ひなたがお礼の言葉を述べる。

 

「バテテモーダとか、ヘバリーヌとか、まだ全然いるけど・・・それでも、今、あたしが頑張れば、みんなを助けられるんだもんね!」

 

強敵の出現で、お手当ては意味がないと思った。でも、ニャトランが言っていた今が大事、自分がお手当てを頑張ればみんなを救うことができる。さっきも閉じ込められていた姉を助けることができた。

 

だから、自分たちのお手当ては・・・自分のお手当ては・・・。

 

「意味なくなんか、ないんだもんね!」

 

「ワン!」

 

「設楽先生だって、先生の娘だって、あたしたちが取り戻せるよね!!」

 

「ああ!!」

 

設楽先生の思いだってきっと遂げられる。ビョーゲンズになったあの娘だって、きっと救ってあげられる・・・ひなたはそう思えば、お手当てを続けられると感じた。

 

ネガティブな発言をしていた、あの時の自分にさようならだ。

 

ひなたが明るくなり、笑いあうプリキュアの面々。

 

「みんなー! お待たせ!!」

 

「はーい!!」

 

そんな頃、めいが3人を呼ぶ。グミ入りのジュースを3つ、自分の手元に用意しながら。

 

地球も、設楽先生の思いも守ってみせると、プリキュアたちは胸に誓ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 

「あ~ん♪ 待ってよ~♪ お姉ちゃ~ん♪」

 

廃病院の外、イタイノンが黒焦げになったヘバリーヌに追いかけ回されていた。

 

抱きついた状態のまま、二人はアジトへと帰ってきたのだが、あの後、その状態のまま、胸や脇腹といった場所を触られまくったイタイノンは不快感を覚えて電撃を浴びせまくった。しかし、ヘバリーヌは何事もないようにすくっと立ち上がってきて、それに恐怖感を覚えた彼女が逃げ出し始め、現在に至る。

 

「もっともっと私をシビれさせて~♪♪」

 

「なんで、こいつ倒れないの~~!!??」

 

どうやら黒い電撃をイタイノンから浴びたがっているようだが、当の彼女は迫られてくる恐怖から気が気でない様子。

 

「アタシもあんなことされたら、逃げ切れる自信ないわ・・・」

 

「私だったら、薬を染み込ませた布を顔に被せますけどねぇ・・・」

 

「それってなんかエグくない・・・?」

 

クルシーナとドクルンはその様子を、テラス椅子に座りトランプをしながら、呆れた様子で眺めている。

 

「お前ら、見てないで助けろなのっ!!!!!!」

 

「ノンお姉ちゃんも、もっと痛めつけてぇ~♪」

 

イタイノンは逃げ回りながら、他人事のように見ている二人に怒声を飛ばす。

 

「焦らすと我慢できなくなっちゃうから早くぅ~♪」

 

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

バチバチバチバチバチ!!!!!

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」

 

イタイノンの悲鳴と共に空へと柱が立つほどの電撃、そしてヘバリーヌの嬉しそうな声が街へと響き渡ったのであった・・・・・・。

 

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