ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
ヘバリーヌの出撃の結末は・・・?


第42話「相棒」

 

「いっちゃってぇ~、メガビョーゲン!!」

 

「メガビョーゲン・・・!!」

 

ヘバリーヌに指示されたメガビョーゲンは両腕のストローから小さなシャボン玉を数個、噴射する。

 

「「ぷにシールド!!」」

 

対処法がわかっているフォンテーヌとスパークルは、肉球型のシールドを張って備える。小さなシャボン玉は二人へと飛んでいくと、その場で割れて中規模な爆発を起こす。

 

「くっ・・・!!」

 

「うぅぅ・・・ねえ・・・さっきと爆発が強くなってない・・・?」

 

フォンテーヌとスパークルは先ほどとは大きくなった爆発に辛そうな表情をする。

 

「メガビョーゲンが大きくなったせいだニャ!」

 

「そういえば、少し大きくなってる気がするわ・・・!!」

 

それでもなんとか爆発を耐え抜くと、フォンテーヌはぷにシールドを解除して、スパークルのぷにシールドをトランポリンのように使って飛び上がる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「メ、ガァ・・・!?」

 

メガビョーゲンに向かって飛び蹴りを繰り出して吹き飛ばす。

 

「メ、ガ、ハァ・・・!!」

 

しかし、メガビョーゲンも負けじと空中で踏ん張り、その勢いで頭の上についている輪っかのようなものを地面に着地したフォンテーヌへと振り下ろす。

 

「えっ・・・?」

 

「攻撃、じゃないペエ・・・?」

 

フォンテーヌは一瞬きょとんとした。輪っかを振るっての攻撃かと思いきや、メガビョーゲンは輪っかの中にフォンテーヌを入れるかのように、輪っかを地面に叩きつけたのだ。

 

しかし、それは明らかな油断だった・・・。

 

「メガビョーゲン・・・!!」

 

メガビョーゲンは輪っかを上へと振り上げる。すると、フォンテーヌを長いシャボン玉が包んだ。

 

「!! いけないペエ・・・!!」

 

「ああ・・・!?」

 

フォンテーヌとペギタンは怪物の思惑に気づくも、時すでに遅し。長いシャボン玉は割れたかと思うと・・・。

 

ドォォォォォォォォン!!!

 

「きゃあぁぁぁ!!!」

 

凄まじい爆発を起こし、フォンテーヌは数メートル吹き飛ばされた。

 

「フォンテーヌ!!」

 

仲間が吹き飛ばされたことにスパークルは顔を顰めながらも飛び上がる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「メガ・・・!!」

 

スパークルはメガビョーゲンに向かってパンチを繰り出すも、メガビョーゲンは腕のストローで防ぐ。さらにもう一方のストローを合わせて、スパークルの前で大きなシャボン玉を作り出す。

 

「うぇぇ!? ああ!!」

 

スパークルは大きくなるシャボン玉が迫ってくることに驚くも、シャボン玉の中に入れられてしまう。

 

「メガビョー・・・ゲン・・・!!」

 

メガビョーゲンはそのままそのシャボン玉を空へと噴射した。

 

「うわぁぁぁぁ!? あぁぁぁ!!」

 

シャボン玉ごと吹き飛ばされるスパークル。当然、シャボン玉も破裂して爆発が起こり、スパークルは地面へと落とされる。

 

「うぅぅぅ・・・つ、強い・・・!」

 

「あのメガビョーゲン、やっぱり強いわね・・・」

 

フォンテーヌとスパークルは少しボロボロになりながらも立ち上がる。やはりキングビョーゲンの娘のメガビョーゲンはタチが悪い・・・。

 

「メガビョーゲン・・・!!」

 

メガビョーゲンは両腕のストローから再び、無数の小さなシャボン玉を噴射していく。

 

ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!

 

「「あぁぁっ!!!」」

 

シャボン玉が二人の近くで弾けて、爆発を起こす。そのまま断続的に爆発を起こして、どんどん大規模なものになっていく。

 

しかし、その爆発の煙から二人は飛び出していき、メガビョーゲンへと向かっていく。

 

「メガ・・・!?」

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

「メ・・・ガ・・・!?」

 

メガビョーゲンは両腕のストローを二人に向けてシャボン玉を大きく膨らませようとするも、発射する寸前で二人は両腕のストローの上へと飛び蹴りを放ち、二本のストローを叩きつける。

 

「「はぁ!!」」

 

「メガァ・・・!?」

 

そして、二人は同時にステッキから水色、黄色のエネルギー弾をそれぞれチャージしてメガビョーゲンに向かって放つ。メガビョーゲンの顔面に直撃して怯み、その隙に二人は両腕から離れる。

 

「メ、ガ・・・メガァ・・・!?」

 

ドォォォォォォォォン!!!

 

メガビョーゲンが呻いている間に両腕のストローから膨らませている途中のシャボン玉が出てしまい、怪物は割れたシャボン玉の爆発に巻き込まれた。

 

「メガビョーゲン・・・!!」

 

しかし、メガビョーゲンはあっさりと煙を振り払って、まだまだ元気そうな声を上げる。

 

「っ・・・!!」

 

フォンテーヌとスパークルはステッキを構えて戦闘態勢になる。これはグレースがいない以上、また長丁場になりそうな予感がする。

 

「メーガー、ビョーゲン・・・!!」

 

メガビョーゲンは両腕のストローを合わせて大きなシャボン玉を作ると、それを二人に目掛けて撃ち放った。シャボン玉はこれまでとは違い、まるで弾のようなスピードで二人へと迫っていく。

 

ドガァァァァァァァァァン!!!!

 

「「きゃあぁ!!!」」

 

これまでとは比べ物にならないほどの凄まじい爆発が襲い、二人は吹き飛ばされる。

 

「くっ、うぅぅ・・・!!」

 

「うぅぅぅぅ・・・!!」

 

「メガー・・・!!」

 

「あぁぁぁ!?」

 

「ビョーゲン・・・!!」

 

「きゃあぁぁぁ!?」

 

二人はボロボロになりながらも立ち上がるが、メガビョーゲンはそんなプリキュアをあしらうかのように両腕のストローを振るって殴り飛ばす。

 

地面へと転がる二人。そこへメガビョーゲンは追い打ちをかけるように両腕のストローから小さなシャボン玉を数個噴射する。

 

ドォン!!ドォン!!ドォン!!ドォン!!

 

「「あぁぁぁぁ!!」」

 

シャボン玉は中規模の爆発を起こして、二人はそれに巻き込まれる。

 

一つ前のメガビョーゲンとの戦闘による疲労が完全に見えており、さらにはシャボンによる攻撃でダメージが蓄積していて、二人は明らかに動きにキレがなくなっていた。

 

「いいよいいよ~♪ もっと気持ち良くしてあげてぇ~♪」

 

ヘバリーヌは戦闘を見ながら、甘い声を漏らす。

 

「ああ・・・このままじゃ、二人が・・・!!」

 

その様子を見ていたラビリンが危機を感じ、ラテの下から這い出るとシャボン玉に閉じ込められているのどかへと飛んで近づく。

 

「んんんっ・・・んんんぅぅ・・・ふぐぅぅぅ・・・!!」

 

のどかはいまだに息を止めているも、表情は苦痛に歪んでおり、顔が少し息の止めすぎで赤くなっている。

 

「んぐぅぅぅ・・・!!」

 

そして、とうとう彼女は膝をついてしまった。

 

「のどかぁ・・・!!」

 

苦しそうにしているのどかを見て、泣きそうな顔になるラビリン。

 

ラビリンのせいでこうなったんだ・・・ラビリンが素直にあの人形が好きだって言えばよかったのに、素直になれなくて、そのせいでのどかと喧嘩をして、のどかはプリキュアに変身できなくなり、こうしてメガビョーゲンの手で苦しい目に遭わされている。

 

早く助けて、仲直りをしないと・・・!!

 

「のどか・・・ごめんなさいラビ・・・!! 今、助けるラビ・・・!!」

 

ラビリンはそう言ってシャボン玉を叩いて割ろうとするも、彼女が非力なのかそれともこのシャボン玉の弾力が原因なのか破ることができない。

 

「やあぁぁぁぁぁ!!! あぁぁぁぁ!?」

 

ならばと遠くから体当たりをして打ち破ろうとするが、弾力に跳ね返されてしまい、逆に自分が飛ばされてしまう。

 

「うぅ・・・やあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ラビリンは立ち上がって、再度体当たりを試みるも結果は変わらずに弾力に跳ね飛ばされてしまう。

 

「あぁぁぁぁぁ!!」

 

ラビリンは地面へと転がるも、あきらめずにシャボン玉に体当たりを繰り返す。しかし、それでもシャボン玉は割れることはない。

 

その後も、ラビリンは何度も体当たりを続けるも、シャボン玉は微動だにすらせず、自身の体がボロボロになっていくだけだ。

 

「ぐ・・・うぅぅぅぅ・・・!!」

 

ボロボロになりながらも、立ち上がろうとするラビリン。

 

「!? あぁぁぁぁ!?」

 

ふとその体が誰かに摘み上げられる。

 

「ウサちゃん、何やってるのぉ~?」

 

ラビリンを捕まえた張本人であるヘバリーヌが、彼女に妖艶な微笑みを貼り付けた顔を近づける。

 

「は、離すラビ!! のどかが!! のどかがぁ!!」

 

ヘバリーヌに掴まれている手から逃れようとジタバタするラビリン。

 

「プリキュアちゃんのこと~? まだ我慢してるけど~、心配しなくてもそのうち気持ちよくなるよ~♪」

 

ヘバリーヌの明るく甘い声。自分もその状況を楽しんでいるかのような口調だ。

 

どうやらこのプリキュアちゃんは息を止めて病気の靄から逃れようとしているらしいが、このシャボン玉が壊れない限りはその靄から永遠に逃れることはできない。しかも、人間は息を長い間、止めることもできないということはわかっている。病気に冒されて気持ちよくなるのももうすぐだろう。

 

まあ、このまま息が止まって、窒息するっていうプレイも悪くないけどね・・・♪

 

「んんんぅ・・・んぐぅぅ・・・くっ・・・」

 

(く、苦し・・・!)

 

「んんん・・・んんんぅ!! んぶぅぅ・・・!!」

 

のどかの顔は苦痛に歪んでいて、体がピクピクと震え始めた。

 

「くぅぅぅ・・・うぅぅぅぅ・・・!!!」

 

「もぉ~、まだ暴れてるの~? 大丈夫だよぉ~、みんないい気分になれるしぃ♪」

 

ジタバタ暴れているラビリンに、ヘバリーヌは不満そうな声を漏らしつつも、明るい笑顔になりながら話す。

 

ドガァァァァァァァァァァン!!!!

 

「ほら~、あっちもぉ♪」

 

「!? フォンテーヌ! スパークル!!」

 

ヘバリーヌが向く方向にはメガビョーゲンの攻撃でボロボロになり、それでも体をガクガクと震わせながら立ち上がろうとするフォンテーヌとスパークルの姿があった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

すでに息を切らしていて、体力も限界を迎えているようだった。それでも二人は立ち上がってメガビョーゲンを止めようとしていた。

 

「メーガー、ビョーゲン・・・!!」

 

そんな彼女たちを嘲笑うように、メガビョーゲンは両腕のストローを合わせて大きなシャボン玉を作り出す。また爆弾なのかと思いきや、シャボン玉の中に赤い靄を注ぎ、それをスパークルに目掛けて放った。

 

「!? きゃあ!!」

 

シャボン玉はスパークルに命中し、吹き飛ばされたかと思うとシャボン玉はボールのように弾んでいき、地面へと着地する。スパークルはシャボン玉の中に閉じ込められてしまった。

 

「スパークル!!」

 

「うぅぅ・・・あ・・・!?」

 

スパークルは立ち上がってシャボン玉に触れる。中から出ようと拳を振るうも、弾力があって、スパークルの拳を防いでしまう。

 

ならばとステッキから光線を放つも、シャボン玉は全く貫通しておらず、光線が吸収されていくだけだ。

 

「わ、割れない・・・!?」

 

動揺するスパークル。しかも、悪いことが・・・。

 

「うっ・・・ゲホゲホッ・・・な、何、これ・・・ゲホゲホゲホッ・・・!!」

 

スパークルは息が詰まり、両手で口を抑えて咳き込み始める。どうやら赤い靄を吸い込んでしまった模様。

 

「ぐっ・・・ぅぅぅ・・・!!」

 

「スパークル、大丈夫か!?」

 

スパークルは突然、膝をつき始める。赤い靄のせいなのか、この中に空気が入っていないのか、体から力が抜けていくような感覚に陥る。

 

「待って! 今、助けーーー」

 

「メーガー、ビョーゲン・・・!!」

 

スパークルの危機にフォンテーヌは駆けつけて助けようとするも、メガビョーゲンが同じようなシャボン玉を作って彼女に放った。

 

「!?」

 

「メガビョーゲン・・・!!」

 

「あぁぁぁ!!?」

 

フォンテーヌはそれに気づいて飛び上がってかわすも、メガビョーゲンはそれを狙っていたかのようにフォンテーヌのところへと飛ぶと腕のストローを振るった。

 

「きゃあぁぁぁ!!」

 

フォンテーヌはそのままシャボン玉に衝突して中へと入ってしまい、それごと地面へと衝突した。

 

「ああ・・・!!??」

 

ラビリンはこの状況に絶句する。プリキュア3人、メガビョーゲンの手によってシャボン玉の中に閉じ込められてしまったのだ。

 

「ンフフ~♪ あっちも終わったみたいだねぇ~♪」

 

ヘバリーヌはメガビョーゲンがプリキュア2人を仕留めたことに対し、妖艶な微笑みを見せる。

 

「これでみーんな気持ちよくなれるねぇ~♪ プリキュアちゃんたちが病気になって~、ハーブ園の店長さんも病気になって~、このハーブ園が病気になって~、地球ちゃんが病気になって~、みんなみーんないい気分♪ みんな気持ちよくなって~、みーんないい気分になれれば~、みーんな幸せだもんね~♪」

 

ヘバリーヌは手を広げながら、心底幸せそうな顔をする。その様子は周辺が病気になっているこの状況では、もはや狂っているとしか言いようがなかった。

 

そして、のどかはもはや顔はリンゴのように真っ赤になっており、体もプルプルと痙攣するように震わせている。

 

「んんんんんんっ・・・んんんぅぅぅ・・・」

 

(もう・・・ダメ・・・)

 

「ぷはぁっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

顔を捩らせながら必死で息を止めていたが、限界を迎えてとうとう息を吐き出してしまった。息を吐き出したということは、当然息を吸い込むことになる。

 

「はぁ・・・あぁっ・・・あ・・・」

 

赤い靄を吸い込んだのどかの体の中に澱んだ何かが入っていき、のどかはそのまま地面へと倒れ伏してしまった。彼女の体を赤い病気が蝕み始めた。

 

「あぁ♪ やっと受け入れる気になったんだねぇ~♪ もうすぐ気持ちよくなれるよ~♪」

 

ヘバリーヌはそんなのどかを見て、年頃の少女のような顔で瞳をキラキラとさせる。

 

「のどかぁ!! うぅぅぅぅ・・・ふぅぅぅぅぅぅぅん、うぅぅぅぅぅぅん!!!」

 

自分のパートナーが倒れたことに叫ぶラビリンは、彼女を助けに行こうと体をジタバタとさせる。

 

このままでは病気に蝕まれて、彼女が死んでしまう・・・!!

 

ラビリンの頭の中には彼女との喧嘩よりも、のどかを助け出したいという思いしかなかった。

 

「なぁ~に~、また暴れたりなんかして~?」

 

ヘバリーヌは手で掴んでいるラビリンを見て不満そうな声を漏らす。そんな様子を見つめていると、「ああ!」と表情を明るくさせる。

 

「ウサちゃんも気持ちよくなりたいんだね~? 早く言ってくれればいいのに~♪」

 

ヘバリーヌは少女のような明るい声で言うと、のどかが閉じ込められているシャボン玉の近くへと移動する。

 

「プリキュアちゃんのこと気にしてるみたいだから、ここに入れてあげる~♪ これで寂しくないでしょ~?」

 

「ああ・・・!?」

 

ヘバリーヌはそう言ってラビリンをシャボン玉の中に入れた。ラビリンは掴まれた手を離されたことで、地面へと落ちる。

 

「これで、みーんな幸せになれるねぇ~♪ ンフフフフ~♪」

 

ヘバリーヌは手に口を当てながら、嬉しそうに笑う。

 

「メガビョーゲン、ここ一帯を蝕んで~、気持ちよ~くしてあげてぇ♪」

 

「メガビョーゲン・・・!!」

 

メガビョーゲンはヘバリーヌに指示されると、頭の上のストローからシャボン玉を噴射する。ラベンダー畑へと飛んでいって割れて爆発を起こし、元に戻っていたラベンダーが再び病気へと蝕まれる。

 

「あぁん♪ いいねぇ~♪」

 

ヘバリーヌは自分の肩を抱きながら、悶え始めた。

 

痛みと苦しさに快感を覚える幹部は、すでにプリキュアを打ち負かしているのであるが、本人は倒すという自覚はなく、自分の趣味に夢中になっていた。

 

「んっ・・・んんぅ・・・んんんんんんー・・・!!!!」

 

フォンテーヌは赤い靄を吸い込まないように鼻と口を押さえているも、その表情は苦しそうだった。

 

「うぅぅ・・・ぅぅぅぅ・・・」

 

スパークルは地面に倒れ伏して、意識を失いそうになっていた。

 

「うぅぅ・・・ケホケホ・・・苦しいラビ・・・!」

 

のどかと同じシャボン玉の中に入れられたラビリンは咳き込みながら苦しんでいた。

 

「うぅぅぅ・・・!!」

 

「あ・・・のどかぁ・・・!」

 

ラビリンはのどかの呻く声に気づくと、苦しさも忘れて彼女に近寄る。

 

「のどかぁ・・・しっかりするラビ・・・!!」

 

「うぅぅ、あ、ラ、ラビ、リン・・・?」

 

ラビリンはのどかの体を揺すって声をかける。のどかはラビリンに気づくと顔を起こして、弱々しい声を漏らす。

 

「来ちゃった、の・・・? せっかく、逃がした、のに・・・」

 

「のどかを放って逃げられるわけないラビ!!」

 

ラビリンは瞳をうるうるとさせながら叫ぶ。

 

「うぅ・・・ケホケホ・・・!」

 

「ケホケホ・・・!」

 

その後は話が続かず、ラビリンとのどかの咳き込む音が聞こえてくるだけ。

 

苦しい・・・体が少しずつ侵されていくような感覚がする。やはり、赤い靄の中で健康的な人間は生きていられないのだ。

 

でも、プリキュアになれない私にはどうすることもできない。ますますラビリンは落ち込んでいく。

 

「ケホケホ・・・ラビ、リン・・・」

 

「?」

 

ふとのどかがラビリンに声をかける。俯いて病気に蝕まれるのを待つしかないラビリンは気づいて彼女の方へと振り向く。

 

「ごめん、ね・・・」

 

「!!」

 

のどかの口から聞こえたのは、謝罪の言葉だった。

 

「・・・なんで、のどかが、謝るラビ・・・?」

 

「ラビ、リンの気持ち、わかって、なくて・・・人形、嫌だった、んだよね・・・? 私が、変なこと、しちゃった・・・から・・・」

 

のどかはラビリンの気持ちもよく考えずにおせっかいをしたことを謝りたかった。自分は余計なことをしたと思った。それでラビリンはあんなに怒ったんだと思ったのだ。

 

「のどかは・・・何も、悪くないラビ・・・」

 

ラビリンは耳を垂らしながら、瞳をうるうるとさせながら言う。

 

「言ってもないのに・・・勝手にわかってもらった気になって・・・一人で勝手にムカッとしたラビリンが悪いラビ・・・」

 

「ラビ、リン・・・」

 

ラビリンの声は泣きそうな声になっていた。それは自分から打ち明けることができなかった本音だった。全ては素直になれなかった自分に非があると・・・。

 

「なのに、のどかに謝らせちゃって・・・ゴメンなさいラビ・・・!!」

 

ラビリンは泣きそうな顔で、のどかの顔を見ながら言った。

 

「のどかは、もうラビリンのことを嫌いになったのかと思うと、すごく言えなくて苦しかったラビ・・・!!!」

 

ラビリンの目から涙がポロポロとこぼれてくる。拭いても拭いても涙が止まらない。

 

「私も、だよ・・・喧嘩したとき、よりも・・・そのあとのずっと、一人で、悩んで、た、夜、のほうが辛く、て、嫌だった、よ・・・」

 

のどかも涙もこぼしながら、ラビリンに言った。お互い苦しかったのだ。喧嘩をして二度と口をきいてくれない。もうあのときの仲には戻れないんじゃないかと思った。

 

「のどかぁ・・・」

 

「ケホケホ・・・嫌い、になんか、ならない、よ・・・私、ラビ、リンと、ともだち、やめたく、ない・・・もっと一緒、に・・・仲良く・・・したい・・・!!」

 

「そんなの・・・ケホケホ・・・ラビリンも、一緒に決まってるラビ・・・!!!!」

 

二人は苦しそうにしながらも、ようやく笑顔を見せる。

 

そうだ、私たちはこれからも友達だ。ずっとずっと、友達。

 

のどかは倒れ伏したままだったが、気力を振り絞ってラビリンへと手を伸ばす。

 

ラビリンはそんな彼女に答えるように、彼女の近くに行って小さな手を伸ばす。

 

パァァァァァァァァァァァァ・・・!!!!

 

手を交わした時、暖かい光が二人を包み込んだ。

 

「ええ~? なになに~?」

 

ヘバリーヌは突然、光が出現したことに明るい声ながらも驚く。

 

「んんん・・・? のど、か・・・?」

 

「のどか、っち・・・」

 

その光はシャボン玉の中の赤い靄に苦しめられているフォンテーヌとスパークルにも見えたようで、安心したような表情になる。

 

そう、あれはのどかとラビリンが仲直りをした証であると・・・。

 

「スタート!!」

 

「プリキュア、オペレーション!!」

 

「エレメントレベル、上昇ラビ!!」

 

「キュアタッチ!!」

 

ラビリンがステッキの中に入ると、のどかは花のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

そして、肉球にタッチすると、花をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンクを基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もイメージをしたようなものへと変わり、ピンク色へと変化する。

 

キュン!

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身したのであった。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

変身するなりグレースはメガビョーゲンへと飛ぶ。

 

「はぁぁ!!!」

 

「メ、ガァ・・・!!」

 

グレースはメガビョーゲンの胴体に飛び蹴りを食らわせ、メガビョーゲンを地面に叩き落とす。

 

「グレース!二人を助けるラビ!!」

 

「うん!! 実りのエレメント!!」

 

その隙にフォンテーヌとスパークルを助けるために、実りのエレメントボトルをはめ込む。ヒーリングステッキの先に光の刃を出現させる。

 

「ふっ!はぁ!!」

 

光の刃を二人が包まれているシャボン玉へと斬撃として振るう。命中してシャボン玉が割れ、二人は赤い靄の中から開放された。

 

「ぷはぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「うっ・・・うぅぅぅ・・・」

 

フォンテーヌはようやく息を吐いて呼吸を落ち着かせ、スパークルは懸命に立ち上がる。

 

「二人とも大丈夫!?」

 

「はぁ・・・えぇ・・・」

 

「ありがとう、グレース・・・」

 

「えへへへ・・・」

 

グレースはドジっ子のように舌を出して笑い、二人も笑顔になる。

 

「もぉ~! 何、3人だけで楽しそうなの~!? ずるいずるい~!! ヘバリーヌちゃんも入れて~!!」

 

「メーガー、ビョーゲン・・・!!」

 

ヘバリーヌちゃんが不満も漏らしつつも、羨ましそうな声を出す。それと同時にメガビョーゲンが再び起き上がり、両腕のストローを合わせて大きく膨らませたシャボン玉を放つ。

 

玉のようなスピードで向かってくるシャボン玉を、3人はジャンプして避ける。

 

「メーガー・・・」

 

メガビョーゲンは飛び上がったグレースに向かって、小さなシャボン玉を噴射する。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

グレースはヒーリングステッキから光線を放ち、シャボン玉が到達する前に爆発させる。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

そこへ煙の中からフォンテーヌとスパークルが飛び出し、メガビョーゲンの両腕のストローを同時に蹴り上げる。

 

「メ、ガァ・・・!!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「ビョーゲン・・・!?」

 

両腕を蹴られてよろけるメガビョーゲン。さらにグレースが体を回転させながら、メガビョーゲンの顔面に飛び蹴りを食らわせて、再度地面に叩き落とす。

 

キュン!

 

「「キュアスキャン!!」」

 

グレースは地面へと着地すると、肉球にタッチしてステッキをメガビョーゲンに向ける。

 

ラビリンの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを見つける。

 

「泡のエレメントさん、見つけたラビ!!」

 

エレメントさんはメガビョーゲンの右腕のストローのところにいた。

 

「みんな!!」

 

「ええ!!」

 

「OK!!」

 

3人はそれを合図に体が発光し、ミラクルヒーリングボトルをステッキにセットする。

 

「「「トリプルハートチャージ!!」」」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの順で肉球にタッチしていき、ステッキを上に掲げる。すると、花畑が広がっていき、背後には自然豊かな森が広がっていく。

 

さらにプリキュア3人の背後に、紫色のコスプレ姿をした女神の姿が映し出されていく。

 

「「「プリキュア! ヒーリング・オアシス!!」」」

 

3人は一斉にメガビョーゲンへとステッキを構え、ピンク・青・黄色の3色の光線が螺旋状になって放たれる。螺旋状の光線は混ざり合いながら一直線にメガビョーゲンに直撃する。

 

螺旋状になった光線はそれぞれの色の手へと変化して、3本の手が泡のエレメントさんを優しく包み込んでいく。

 

3色に光るハート状にメガビョーゲンを貫きながら、光線はエレメントさんをメガビョーゲンから外へと出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンたちは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていった。

 

「「「「「「お大事に」」」」」」

 

泡のエレメントさんは赤い容器の中に戻ると、病気に蝕まれた箇所は元に戻っていく。そして、ハーブ店の店長の中にあった赤い病気も消えた。

 

「ぶぅ~! せっかくいい気分だったのに~!!・・・でもぉ~、気持ちよかったぁ~!!!!」

 

ヘバリーヌは不満そう表情を浮かべた後、手を頬に当てて満面の笑顔を浮かべてそう言うとその場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんふんふふ~ん♪」

 

ヘバリーヌは廃病院の中をルンルンと明るい気分で歩いていた。

 

病気で蝕んで、地球や人を気持ちよくするのはやっぱり楽しい。あの子たちも楽しめるし、ヘバリーヌちゃんも楽しい。でも、ぬいぐるみ集めも、少しはよかったからたまにはやってもいいかも。

 

「ふわぁ~、よく寝たぁ。寝すぎちゃった気がするけど、爽やかな気分だねぇ」

 

そこへクルシーナが両腕を上に伸ばしながら、自分の自室へと向かっていくのが見えた。

 

「あ、クルシーナお姉ちゃん!!」

 

ヘバリーヌは姿を見ると否や、彼女の体に抱きつく。

 

「あっ・・・ヘバリーヌ?」

 

いきなり新人の幹部に抱きつかれて、きょとんとしたような顔になるクルシーナ。

 

「ヘバリーヌちゃん、初めて一人で出撃したの~♪ 自分が不快だなぁって思うところを病気で蝕めて、気持ちよくして、すっごく楽しかったよぉ~♪」

 

ヘバリーヌは体を抱きながら、瞳をキラキラと輝かせていた。サソリの尻尾をフリフリさせて、まるで子犬のようにご機嫌だ。

 

「そう、よかったわね・・・」

 

「あ・・・・・・」

 

クルシーナは微笑を浮かべながら、ヘバリーヌの頭を撫でる。

 

ヘバリーヌは突然、クルシーナが行った行動に頬が赤くなる。いつもはお姉ちゃんにはお仕置きしかもらっていないはずなのに、今日はやけに優しい。

 

「これからもその調子で頼むわよ」

 

クルシーナはそう言うとぼーっとしているヘバリーヌの体を優しく引き剥がして、自室の方向へと歩いていく。

 

ヘバリーヌはクルシーナの後ろ姿を見つめながら、ぼーっとしていた。ふと頭に手を当てて、その掌を見つめる。

 

今、ヘバリーヌちゃんはお姉ちゃんに撫でられて嬉しいって感じた・・・これも嬉しいってことなのかな・・・?

 

その嬉しいって気持ちに不快な気持ちは感じない。じゃあ、これはヘバリーヌちゃんが心の底から嬉しいって思っていることなんだぁ・・・。

 

ヘバリーヌはそう感じると、少女のような赤らめた顔で嬉しそうな表情を浮かべる。それはいつもの痛みや苦しさで感じる気持ちよさとは違う、穏やかな感情だった。

 

「フフフ・・・♪」

 

ヘバリーヌは女の子のような笑い声を漏らすと、嬉しそうにルンルンと歩きながら自分の自室へと戻って行った。

 

一方、自室のドアを開けたクルシーナは・・・・・・。

 

「・・・・・・・・・」

 

「ウツウツ~」

 

紫色の奇妙なぬいぐるみがベッドの上に置かれているのを見て、目を丸くする。

 

「ウツバット」

 

「ウツゥ!? ク、クルシーナ!? 起きてたウツ!?」

 

「・・・何、そのダッサい人形?」

 

「ダ、ダサくないウツ!! これは僕が一目惚れをしたラベンだるまちゃんウツ!!」

 

「へぇ・・・・・・?」

 

クルシーナはそれだけ聞くと、スタスタとベッドへと近づいてそのぬいぐるみを掴み上げた後、廃病院の窓から放り投げた。

 

「ああ!? 何するウツ!?」

 

「アタシの部屋にそんなセンスのないぬいぐるみを置かないでくれる? バカにされんでしょうが!」

 

「好きにしろと言ったのはクルシーナウツ!!」

 

クルシーナは反論するウツバットにイライラすると、彼女を掴み上げて左右に引っ張る。

 

「誰がアタシの部屋を好きにしろと言ったんだよ!? 自由にしろとは言ったけど、アタシのプライベートを好きにしろって言った覚えはないんですけど?」

 

「ウツツツツツツツツ!!! ウウシーナはフンナフトヒッテナファッファウフ~!!」

 

「言ってなきゃ何をしてもいいってわけ!? あっそう!! じゃあ、アタシのお仕置きをされても文句はないってことよね・・・!!」

 

「ウ、ウツ? ウツゥ・・・!!??」

 

クルシーナの体から黒いオーラが立ち込めて目が睨むように赤く光ると、ウツバットは一転して体をプルプルとさせ始める。

 

ウツゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!

 

廃病院の外にウツバットの悲鳴が響き渡り、ドカドカ、バキバキという聞こえてはいけない音が聞こえてきた。

 

「おやおや、クルシーナが元気になったようですねぇ」

 

「・・・騒がしいから、もう少し寝てもらった方がマシだったの・・・」

 

「あいつも懲りないヤツだブル・・・」

 

「ウツバットは頭いいのに、なんでおバカネム?」

 

廃病院の外のテラス席に座っていたドクルンとイタイノンたちは、彼女の悲鳴からクルシーナが起きたことを察してこんな言葉をつぶやいていた。

 

そして、最近与えられた自分の自室に戻ったヘバリーヌは・・・・・・。

 

「フフフ・・・お姉ちゃん、だーい好き♪」

 

ベッドに横たわり、どこで手に入れ、どこで作ったのか、クルシーナの顔写真を貼り付けた抱き枕を抱きながら、嬉しそうな笑顔を見せていたのであった。

 

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