ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

45 / 144
前回の続きです。
今回はいつもよりちょっと長めです。
結構、気になる描写が満載の回になったと思いますね。


第44話「永遠」

 

プリキュアの3人は、大樹の下で出会ったてつやという老人、喫茶店で出会ったひでおとふみ、友人であるはずの3人を会わせるためにあるイベントの企画を立てようとしていた。

 

その名前は、『永遠の大樹 ありがとうフェス』ーーーー。

 

それは、すこやか市の友情を見守り続けてきた永遠の大樹に、この街の住民たちと一緒にありがとう、そしてさようならを言うイベントである。

 

のどか、ちゆ、ひなたは3人で話し合って行おうと決めた。このフェスにはきっと、あの3人も来てくれるはず。

 

学校の先生に課外活動の一環として、了承を得、すこ中ジャーナルの益子に協力を仰いで、町の掲示板などの色んな場所にポスターを貼ってもらい、ちゆは他の生徒にも協力を仰ぎ、ビラ配りを手伝ってもらって、のどかとひなたはイベントの飾り付けをしていきながら、着々と準備を進めていったのであった。

 

そして、イベントを次の日に控えた夕方・・・。

 

「・・・明日、絶対に成功させようね!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ちゆちー?」

 

「ちゆちゃん?」

 

「あ、ええ、頑張りましょう! じゃあ、おやすみなさい」

 

「おやすみ~! 明日ね~!」

 

のどかの家で作業を終えた3人、ちゆは何かを気にしているかのように顔が俯いていたが、2人に声を掛けられると我に返り、みんなはそれぞれの家へと帰っていった。

 

そんな中、家へと戻り、自分の部屋へと戻ったちゆは、何か考え事をしているようだった。

 

「りょう・・・・・・」

 

引き出しの中からミサンガを取り出し、ここにはいないはずの人物の名前をつぶやき、悲しそうな表情を浮かべるちゆ。

 

「ちゆ?」

 

「! ペギタン・・・」

 

「寝ないペエ?」

 

「もちろん、寝るわよ。明日に備えないとね・・・・・・」

 

ちゆはペギタンに微笑みながらそう言うも、再び表情は暗くさせる。何か罪悪感がありそうな感じの表情だ。

 

ペギタンはそんな彼女を見かねて、自分の小さな布団から出て、彼女に歩み寄る。

 

「ちゆ」

 

「何?」

 

「りょうって、誰ペエ・・・?」

 

「!!」

 

ペギタンに問われた言葉にちゆは驚いたような顔をする。そして、哀愁を帯びたような顔をした後、ペギタンから背を向けると口を開き始める。

 

「・・・私の、友達よ」

 

「ちゆの、友達・・・?」

 

「ええ。とは言っても、のどかとひなたと会う前の、私は小学校だった頃の友達よ」

 

ちゆは落ち着いてはいても、その声はどう聞いてもいつもより暗かった。

 

「小学校の頃に、陸上の部活動で練習してた時に、校庭でペットボトルを打ち上げようとしていた子がいたの。それがりょうだった。気になって私は声をかけて、そのときは迷惑をかけちゃったけど、友達になったのはそこからだったわ。りょうの作ったものをもっと見たいって」

 

「作ったもの・・・?」

 

「ああ、りょうはものを作るのが得意だったの。私、興味があって、いろいろと見せてもらったわ」

 

微笑みながら話すちゆだが、再び暗い表情に戻る。

 

「でも、ある時、りょうは病気になって、週に何回かお見舞いに行ってたんだけど、私がすこやか市から離れなきゃいけないことがあって、りょうとはそれっきりだったの・・・」

 

「ちゆ・・・」

 

「このミサンガはりょうと一緒にお揃いで買ったものなの」

 

ちゆはペギタンに見せながら言う。

 

「あと、なんだったっけ・・・? りょうとはまだ思い出があるはずなのに、思い出せないの・・・そもそも、わた、しは、なんで、彼女のこと、を、わす、れてるの・・・?」

 

「っ・・・・・・」

 

「えいえん、の、たいじゅ、にも、ちかった、はず、なのに・・・」

 

ちゆの瞳からはポロポロと涙が溢れ、声も涙声になっていく。

 

私はどうして、友達のことを忘れていたのか? 永遠の大樹にも誓っていたはずの友情を、一緒に出会ったあの出来事も、どうして・・・?

 

そして、あるはずのたくさんの思い出も、記憶に霞みがかったように、どうして思い出せないのか?

 

ちゆは自分に自信がなくなりそうで、心が折れそうになっていた。

 

「ちゆ!!」

 

そんなちゆに、ペギタンが彼女の顔の頬に寄り添うようにスリスリとさせる。

 

「りょうが、大切な友達だというのは、ちゆの顔を見ればわかるペエ。ちゆも誰も、何も悪くないペエ」

 

「・・・・・・・・・」

 

「無理に思い出さなくても、ちゆは思い出したことがあるはずペエ。そういう小さな思い出だとしても、思い出せただけでもよかったと思えば、少しは気が楽になると思うペエ」

 

ペギタンは難しいことは言えなくても、必死に言葉を紡いでちゆを励まそうとしている。

 

大切な友達の記憶を思い出せただけでも、いいことだと・・・。

 

「でも、私は・・・今まで忘れてたかと思うと、胸が痛いの・・・。大切なことも忘れているような気がして・・・」

 

「そんなのは、ゆっくりと思い出して行けばいいペエ!!」

 

「!!」

 

ちゆのまだ晴れない心に、ペギタンが必死に声を上げる。

 

「ちゆは無理しすぎペエ。陸上で飛べなくなったときも、あんなに無理をして僕は心配でしょうがなかったペエ。もしかしたら、いつか怪我をするんじゃないかって・・・」

 

「ペギタン・・・」

 

「ゆっくりと歩くような感じでもいいペエ。りょうの記憶を少しずつ、思い出して行けばいいペエ。また無理をして、それで倒れるようなことがあったら・・・僕はもう気が気でないペエ・・・」

 

ペギタンが泣きそうな声でちゆに訴えかける。

 

ああ・・・私は、またパートナーに心配なんかさせて・・・のどかやひなたにしっかり者とかよく言われるけど、本当は一人で無茶をしているだけ。そういうところがダメな私なんだなと思う。

 

「・・・ありがとう、ペギタン。ごめんね、心配かけて」

 

「ペエ・・・」

 

「明日、がんばりましょう。一緒に」

 

「・・・うん!!」

 

ちゆとペギタンはお互いの気持ちを通わせると、明日のイベントに備えて就寝に入るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、待ちに待ったフェス当日。

 

「パパはここでプロポーズしたんだよ」

 

「だから、ママとパパは永遠なの」

 

「わーい! えいえ~ん♪」

 

大樹の周りには、親子連れや友達と一緒に来たもの、そしてすこやか中学校の吹奏楽部たちが演奏をしてたりして、盛り上がりを見せていた。

 

「ふむ・・・思ったほどフェスは賑わってるわねぇ・・・本当に不愉快・・・」

 

そして、そのフェスにはドクルンの姿も見せていた。周囲の人間が楽しんでいる様子を見て、顔は貼り付けたような笑みを見せつつも、口では不快感を隠さない。

 

こんな死にかけの大樹に寄り添って、ここの連中は何が楽しいのだろうか? 全くもって理解できない。私は一人で本を読んでいた方が落ち着くというのに・・・。

 

ドクルンはきょろきょろと見渡すと、あのプリキュアの3人が大樹から離れて誰かを探しているのが見えた。

 

「奴らは離れてますねぇ。チャンスです」

 

不敵な笑みを浮かべると、彼女は自分にとって不愉快極まりない大樹へと近づいていく。

 

「バテテモーダは・・・ああ、いたいた・・・」

 

ドクルンはきょろきょろと辺りを見回して、待ち合わせをしている幹部を探す。すると、大樹の周りに立ててある柵の前に立って、大樹を見つめながら待っているのが見えた。

 

昨夜あいつと会って、ドクルンの中では大樹ごとぶち壊すためのプランを話して、ここに来るようにお願いしたはず。

 

ーーーーあの大樹を、自分が、っすか・・・?

 

ーーーーええ、あの大樹をメガビョーゲンに変えて、あなたの大好きなラップで盛り上がるんですよぉ。まあ、客は逃げちゃうでしょうけど、奴らは現れるでしょう。

 

ーーーープリキュアっすねぇ・・・。えっと、その間、ドクルン嬢は何をするんっすか?

 

ーーーー決まっているでしょう? あの一帯を蝕んでやるんですよ。私とあなたが盛り上がれるようにねぇ。

 

昨夜のやり取りを思い出しながら、ドクルンはニヤリと笑みを隠さない。

 

・・・この際、使えるものは使ってやらないとねぇ。

 

そう思いながら、バテテモーダの元へと近づいていく。

 

「おぉ! ち~っす! ドクルン嬢~!」

 

「おはようございます」

 

二人は軽く挨拶を済ませると、同時に大樹を見上げる。

 

「へっ・・・枯れそうなのに、必死に生きてるっていうのがジンジンと感じるっすね~」

 

「ええ・・・だから、盛大に終わらせてやるんですよ」

 

ドクルンは不敵な笑みを浮かべながら、柵の周りに結び付けられている複数の風船に視線を向ける。

 

「そのためにわざわざ素体まで用意してくれてますからねぇ・・・フフフ」

 

これはいいメガビョーゲンができそうだと、ドクルンは笑みを浮かべる。

 

「じゃあ、行くとするっすか!!」

 

「ええ、もちろんですよ・・・」

 

バテテモーダは気合い十分に、ドクルンは徹底的に障害を潰すために。珍しい彼らの作戦が決行される。

 

ドクルンは指をパチンと鳴らし、黒い塊を出現させる。

 

「進化してください、ナノビョーゲン」

 

「ナノデス~!」

 

生み出されたナノビョーゲンが鳴き声を上げながら、柵に結び付けられている風船へと取り憑く。風船が徐々に気へ蝕まれていく。

 

「・・・!?・・・!!」

 

風船の中に宿っているエレメントさんが病気に蝕まれていく。

 

そのエレメントさんを主体として、巨大な怪物がその姿をかたどっていく。凶悪そうな目つき、不健康そうな姿、そしてそれを模倣する様々な自然のものが姿として現れていき・・・。

 

「メガァ、ビョォ、ゲェン!」

 

巨大な丸い風船のようなものに不健康そうな顔、そして両腕、両足が生え、体全体に無数の風船を生やしたような人型のメガビョーゲンが誕生した。

 

そんな二人のビョーゲンズによる悪巧みが行われている中で、プリキュアの3人は・・・・・・。

 

「どう? いた?」

 

「ううん・・・」

 

「もお~!! いい歳して意地を張るなし!!」

 

数年前に永遠の大樹で誓い合ったはずの3人を探しているプリキュアの3人。やはり、来てくれるだなんて安易な考えだったのだろうか・・・。

 

「あっ!!」

 

そんな中、のどかがてつやの姿を見る。彼は大樹に背を向けて帰ろうとしているところだった。

 

「どうしよう! てつやさんが帰っちゃう!!」

 

慌てるのどか。てつやは、ひでおとふみと再会を果たしていない。ここで帰られてしまったら、このイベントのそもそもの目的の意味がなくなってしまう。

 

そんな時だった・・・・・・。

 

「クチュン! クチュン!」

 

「「「!?」」」

 

ラテが2回くしゃみをし、辛そうにぐったりし始めたのだ。これはもしかすると・・・?

 

「「「ビョーゲンズ!?」」」

 

そして、その言葉を合図にしたかのように・・・・・・。

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ビョー♪ ビョー♪ メガビョーゲン♪」

 

「メガァ! メガァ!」

 

会場で悲鳴が響き渡り、その声に視線を向けると逃げ出す人々と、ラップのようなリズムを刻む巨大な木の姿を持つメガビョーゲンがいた。

 

「うわあぁ!? 大樹が大変なことになってるペエ!!」

 

「ってことは、エレメントさんはあの中か!?」

 

「待つラビ!! メガビョーゲンがもう一体いないラビ!!」

 

「ペエ!?」

 

「ニャ!?」

 

ヒーリングアニマルがこんな会話をしているときだった・・・・・・。

 

シュー! シュー! シュー! シュー!

 

ドカン!! ドカン!! ドカン!! ドカン!!

 

「「「きゃあ!!」」」

 

丸い風船のようなものが丘の上の木のメガビョーゲンをすり抜けるようにして飛んできたかと思うと、草原に着弾して爆発を起こし、大気と地面が病気で赤く染められていく。

 

「あっ!? 草原が!!」

 

「大気も病気に蝕まれてるニャ!!」

 

「もう一体も一緒にいるみたいペエ!!」

 

「のどか!! 永遠の大樹を早くお手当てしないとまずいラビ!!」

 

「どこか、変身できる場所は・・・」

 

3人は隠れてプリキュアに変身できる場所がないか探す。

 

「!?」

 

てつやは背後が騒がしくなったことに異変を感じて、振り向く。

 

「一体、何が・・・!?」

 

「・・・!!」

 

「あ・・・ふみ!!」

 

離れた場所でひでおは突然怪物が現れたことに困惑するも、ふみは何を思ったか走り出し、ひでおもそのあとを追った。

 

そして、丘の上のメガビョーゲンの近くでは・・・・・・。

 

「ついに来た来た蝕むタイム♪ メガビョーゲンが放つ、このイルなライブ♪ フェスの主役は?・・・MC!バテテモーダ!! ア~ンド? ドク!ドク!ドクルン嬢♪」

 

「ヨォ♪ ヨォ♪」

 

バテテモーダがメガビョーゲンの近くでラップを歌っており、ドクルンはそれに適当に合いの手を入れてあげている。

 

「メガァ、ビョォ、ゲェン!」

 

シュー! シュー! シュー! シュー!

 

風船のメガビョーゲンは体についている無数の風船を周囲に撒き散らす。地面や丘の下の木へと飛んで行って着弾して爆発し、大気もろとも赤い病気に蝕まれていく。

 

「結構、順調に蝕めますねぇ」

 

自分のメガビョーゲンが一回の攻撃で広範囲を蝕んでいっているのを見て、不敵な笑みを浮かべるドクルン。

 

「出ていけ!」

 

「ん?」

 

「?」

 

聞こえてきた怒鳴るような声に二人が振り向くと、そこにはドクルンが昨日見たてつやという初老の男性が少し離れたところに立っていた。

 

「おやおや、いたんですかぁ?」

 

ドクルンは不敵な笑みでその男性を見下げる。

 

「ここは! この木は! 俺たちの場所だ!!」

 

てつやが二人にそう言い放つ。彼が言った「俺たち」という言葉、これはひでおとふみのことも含まれているようだった。喧嘩をして別れてしまっても、本心では二人のことをどこか思っていたのかもしれない。

 

「てつや!!」

 

「てつやくん!!」

 

そんなひでおとふみが、彼の元へと駆け寄る。

 

「「「ああ!?」」」

 

のどかたち3人は、3人が集まったことに気づいて振り返る。

 

「お前ら・・・来てくれたのか・・・?」

 

そんな様子をドクルンは無表情に見つめていた。病院にいる自分から離れていく、あの少女との出来事を思い出しながら、やがて顔を顰め始める。

 

「・・・ふん、何を訳のわからないことを。メガビョーゲン、やってしまいなさい」

 

ドクルンは首を振りながら鼻で笑い、メガビョーゲンに攻撃するように指示する。

 

「メガァ、ビョォーーー!!!」

 

ピュゥー、ピュゥー、ピュゥー、ピュゥー!!

 

風船のメガビョーゲンは、体についている長い風船のようなもの、いわゆるジェット風船を飛ばす。

 

「ビョー♪ ビョー♪ メガー!!」

 

巨大な木のメガビョーゲンはラップのように刻みながら、腕を振り上げて攻撃しようとする。

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア、オペレーション!!」」」

 

「エレメントレベル、上昇ラビ!!」

「エレメントレベル、上昇ペエ!!」

「エレメントレベル、上昇ニャ!!」

 

「「「キュアタッチ!!」」」

 

ラビリン、ペギタン、ニャトランがステッキの中に入ると、のどか、ちゆ、ひなたはそれぞれ花のエレメントボトル、水のエレメントボトル、光のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

そして、肉球にタッチすると、花、水、星をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、水色、黄色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ちゆは水色、ひなたは黄色へと変化する。

 

キュン!

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。

 

キュン!

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身。

 

キュン!

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

ひなたは光のプリキュア、キュアスパークルに変身した。

 

「「「地球をお手当て!!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!!」」」

 

3人は変身を終えて、すぐさま3人の前に飛び出す。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

グレースは、巨大な木のメガビョーゲンが伸ばしてくる腕を蹴り、3人に到達する前に動きを止める。

 

「逃げてください!!」

 

「君は、一体・・・?」

 

「!! はぁ!!」

 

突然現れた彼女たちに3人は困惑する。そこへ風船のメガビョーゲンが放ったジェット風船が飛んできたのが見え、グレースはピンク色の光線を放って、到達する前にその場で破裂させる。

 

「「ふっ!!」」

 

動きを止めた腕が再び襲い来るも、フォンテーヌとスパークルが横からさらに蹴りを入れて吹き飛ばす。

 

「お願いします!!」

 

「大樹は私たちに任せて!!」

 

「さあ!!」

 

てつやはそれでも困惑するも、ひでおがその手を取り、ふみが背中を押してその場から3人は逃げていく。

 

「すまない!!」

 

プリキュア3人はメガビョーゲンの伸ばしてくる腕の攻撃をぷにシールドで抑え込みながらも、その姿を見届ける。

 

ようやくあの3人は繋がったんだと・・・。

 

「てつやさんたち、3人でまた会えたね!」

 

「ええ!」

 

「それじゃあ、今度は・・・!!」

 

「「「私たち3人の友情を見せる番!!」」」

 

そして、プリキュア3人はぷにシールドの抑え込みに力を入れ始める。

 

「やれやれ、勇ましい友情ですね・・・全く以って不愉快極まりない」

 

「メガァ、ビョォゲェン!!」

 

ドクルンが顰めたような表情で言うと、それに応えるかのように風船のメガビョーゲンが無数のジェット風船をメガビョーゲンに向けて飛ばす。

 

ピュー、ピュー、ピュー!!

 

ガッ、ガッ、ガッ・・・!!

 

「くっ・・・!!」

 

ジェット風船はぷにシールドで防ぐことはできているものの、力が強く3人は苦しい表情をし、さらに腕の推してくる力も相まって足が後ろに下がり、押されそうになっていた。

 

「力比べはバッドなチョイス♪ オススメしない、勝ち目などない♪ それは何故かと問うならば♪ 今回のこいつら、マジビョーゲン♪」

 

「メガー!!」

 

「「「うぅぅ・・・!!」」」

 

バテテモーダのラップのリズムの合図に合わせて両手の指を突き出すと、巨大な木のメガビョーゲンがさらに力を入れ、プリキュアたちはさらに数センチほど押される。しかし、なんとか足を踏ん張って押されないように支える。

 

その様子を無表情で見ていたドクルンは、このメガビョーゲンが浄化されるのは時間の問題だと判断し始める。

 

「・・・メガビョーゲン、あいつらに突撃してください」

 

「メガァビョォ・・・ゲェン!!」

 

瞑目しながら指示されたメガビョーゲンは手についている空気入れのようなもので、体に生やしているいくつかの風船を膨らませる。

 

「メガァ、ビョォー・・・!!」

 

するとメガビョーゲンはなんと宙に浮き始めたのだ。そして、プリキュア3人の方向に体を向けると、風船の一部の空気を抜くと・・・。

 

「ゲェェェェェェェン!!!」

 

自らの体をジェット噴射のように飛ばし、プリキュアたちに向かって飛んでいく。

 

「「「!? きゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」

 

メガビョーゲンは巨体でぷにシールドごとプリキュア3人を吹き飛ばす。

 

「うぅぅ・・・な、何、今の?」

 

「メガビョーゲンが、突っ込んできた・・・?」

 

「っていうか、あれもよく見たらあのメガビョーゲンよりも大きくない・・・?」

 

3人は別のメガビョーゲンの攻撃に困惑するも、その隙を見計らったかのようにフォンテーヌの近くにドクルンが瞬間移動をする。

 

「!?」

 

「ふんっ・・・!!」

 

「あぁぁぁぁ!!」

 

フォンテーヌは突然の行動に防御体制が取れず、ドクルンが空中で放った回し蹴りを受けて吹き飛ばされ、二人からやや遠くへ引き離されてしまう。

 

ドクルンは、彼女の隣へと降りた自らのメガビョーゲンと共にフォンテーヌへと近づいていく。

 

「「フォンテーヌ!!」」

 

「メガビョーゲン♪」

 

「きゃあぁぁぁ!!」

 

「うわあぁぁぁ!!」

 

グレースとスパークルはフォンテーヌに駆け寄ろうと動くが、そこへ巨大な木のメガビョーゲンの伸ばしてくる手に当たって吹き飛ばされてしまう。

 

「よそ見はダメダメ♪ 良い子はダメダメ♪ そのぐらい、こいつはマジビョーゲン♪」

 

「ビョー♪ ビョー♪ メガビョーゲン♪」

 

バテテモーダはそんな二人に嘲るようなラップを捲し立てて歌う。

 

再度巨大な木のメガビョーゲンが腕を伸ばす。二人は集まってぷにシールドを展開するのだが・・・。

 

「「くぅ・・・うぅぅぅ・・・!!」」

 

フォンテーヌが一人欠けただけでも、明らかに押す力は落ちていた。

 

一方、ドクルンに蹴り飛ばされたフォンテーヌは丘の下へと転がり、木へと体を打ち付けてしまう。

 

「ぐっ・・・うぅぅ・・・!!」

 

フォンテーヌは痛みに呻きながらも、立ち上がろうとする。

 

「大樹を叩き潰せばモヤモヤが消えると思いましたが・・・やはり目障りなあなたを倒さないことには私の気は晴れないみたいですね・・・」

 

「ドクルン・・・あなた、最初からそのつもりで・・・!」

 

「ふっ・・・やりなさい、メガビョーゲン」

 

「メガァビョォ、ゲェン!!」

 

メガビョーゲンは無数の丸い風船を体じゅうから飛ばす。

 

シュー! シュー! シュー! シュー!

 

ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!!

 

フォンテーヌの周りに風船が飛んでいき、中規模な爆発を起こし、煙に包まれる。

 

しかし、彼女は煙の中から飛び出し、メガビョーゲンまでジャンプで飛んでいく。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

パンチをメガビョーゲンに繰り出す。その攻撃は命中したのだが・・・・・・。

 

ボヨン!!!

 

「あ・・・!?」

 

「メガァビョォゲェン!!」

 

その拳はメガビョーゲンの風船の体の弾力に弾かれてしまい、代わりに怪物はジェット風船を体から噴射してフォンテーヌへと飛ばした。

 

「うっ・・・くっ・・・きゃあぁぁぁぁ!!!!」

 

フォンテーヌはとっさに両腕を交差して防御体制をとるも、ジェット風船は体中に当たりまくり、最後に一際大きな風船が直撃し、吹き飛ばされる。

 

彼女は空中で体制を整えると、地面へと着地して再度メガビョーゲンへと飛び出す。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

メガビョーゲンより高いところへとジャンプし、その高さから怪物の背後に飛び蹴りを繰り出す。

 

「メガァビョォー・・・!!」

 

メガビョーゲンは生やしている風船を膨らませると、空中へと飛び上がる。

 

「くっ・・・!」

 

飛び蹴りをかわされてしまい、フォンテーヌは悔しそうにするも、その飛び蹴りの軌道の流れに乗るかのように空気を抜いて、ジェット噴射のように飛び出す。

 

フォンテーヌは振り向きざまにステッキを振るって、青い色の光線を放つも、メガビョーゲンの風船のようなボディには通用せずに跳ね返されてしまい、彼女に巨体が迫る。

 

「あぁぁぁぁぁぁ!?」

 

そのままフォンテーヌはメガビョーゲンに体当たりされ、怪物ごと地面に叩きつけられてしまう。

 

「メガァビョォー・・・!!」

 

メガビョーゲンは風船を再度膨らませると、宙へと浮かび上がる。その下には少しボロボロになって仰向けに倒れているフォンテーヌの姿が。

 

「フフフ・・・手も足も出ないみたいですが?」

 

ドクルンはフォンテーヌが一人で苦戦している様子を見て、不敵な笑みを浮かべる。

 

「うぅぅぅ・・・!!」

 

ドクルンの挑発的な態度に、フォンテーヌは歯ぎしりしながら、よろよろしつつも立ち上がる。

 

「メガァビョォ、ゲェン・・・!!」

 

メガビョーゲンは空中に浮きながら、丸い風船のようなものを飛ばす。

 

ピュー! ピュー! ピュー! ピュー!!

 

「・・・!!」

 

フォンテーヌは飛んで避け、風船が着弾した部分が爆発を起こして病気に蝕まれる。

 

「あ・・・!?」

 

フォンテーヌは自分の避けた部分が病気で蝕まれたことに目を見開く。

 

「メガァビョォー・・・ゲェン」

 

「くっ・・・全然近づけない・・・!!」

 

「あんな空中にいたんじゃ、さっきの攻撃も全て弾かれちゃうし、避けられちゃうペエ・・・!」

 

メガビョーゲンが放ってくる風船を避けるばかりで防戦一方のフォンテーヌ。

 

そんな中、風に煽られたのか一個の風船がメガビョーゲンの背後、つまりは永遠の大樹がある方向へ。

 

「!?・・・ダメ!!」

 

フォンテーヌはその風船に気づくと、急いで飛び出してその風船の前へと飛ぶ。

 

ドカァァァァン!!!!

 

「あぁぁぁぁ!!」

 

風船は当然、爆発して彼女はそれに巻き込まれる。

 

「うっ・・・!?」

 

「メガァビョォゲェン!!」

 

フォンテーヌはかろうじて爆発のダメージを最小限にして煙から抜け出すも、そこへ空気を抜いてジェット噴射をして再びこちらに迫る。

 

「あぁぁぁぁぁぁ!!」

 

防御体制が取れずにフォンテーヌはメガビョーゲンに再び体当たりされ、怪物ごと地面に叩きつけられてしまう。

 

「もう終わりですか? つまらないですね」

 

ドクルンはフォンテーヌの様子を見て不敵な笑みを浮かべ、彼女へと近づいていく。

 

「ぐっ・・・うぅぅぅ・・・お、重い・・・!!」

 

メガビョーゲンに地面にのしかかられた形となったフォンテーヌはその重さに苦しみ、抜け出そうともがく。軽い風船とはいえ怪物の体、重さは倒れた棚の下敷きになっているのと変わらない。両腕がピクピクと動くだけだ。

 

「いい格好ですねぇ。少しお疲れなのでは?」

 

「うっ・・・まだ、終わってーーーー」

 

ギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!

 

「ぐっ・・・うぅぅぅぅ・・・!!!」

 

メガビョーゲンは体を地面に押し付けるように圧迫し、フォンテーヌは表情を苦痛に歪ませる。

 

「大体あんな枯れ木、守って何の意味があるというのですか? もはや死にかけだというのに」

 

ドクルンは枯れ木の方角を向きながら、フォンテーヌに敢えて問いかける。

 

「あれは、私が・・・私たちが・・・てつやさんたちが、誓った友情の木だから・・・!!」

 

「何の変哲も無い一本の木に、永遠の友情など約束されるわけが無いでしょう。あなたバカなんですか? 枯れ木は所詮枯れ木でしかないんですよ。辛くなる前に終わらせてやれば、枯れ木だって無駄なことを誓われるよりも幸せでしょう」

 

反論するフォンテーヌに、ドクルンは嘲笑する。

 

あの木は、あのてつやら3人組が誓っても彼らは喧嘩をしているし、仲違いもしている。私だって、誓っても叶ってなんかいないのに・・・。

 

「終わって、ないわ・・・!!」

 

「?」

 

「あの木だって、必死に生きてるの・・・! 寿命で辛くたって、生きてるんだから・・・!!」

 

「だから、私の手で終わらせてやるんですよ。寂しくないように・・・無駄に命を費やすよりはいいでしょう」

 

フォンテーヌの反論に対応しているうちに、不敵な笑みだったドクルンの顔が不機嫌な表情になっていく。

 

「ふざけ、ないで・・・!! 終わっていい命なんか、あるわけないじゃない・・・!!」

 

「・・・は?」

 

「木だって、森だって、植物だって、人間だって、弱ってても・・・!! みんなみんな、生きてるの・・・!! 辛いことだって、寂しいことだって、たくさんあるかもしれない・・・!! でも、みんなはそれを抱えて精一杯、今を生きてるの・・・!! 終わらせていい命があると思ってるなんて、あらゆる命をバカにしてるのと一緒よ・・・!!!」

 

フォンテーヌの必死の言葉に、ドクルンは不機嫌そうな表情を一層不機嫌にさせる。

 

「ふんっ、あなたに私たちの何がわかるっていうのよ・・・!? 大してお手当てもできていないくせに、命を語るんじゃないわよ!! 小娘ごときが・・・」

 

ドクルンは若干声を荒くして言う。そこにはフォンテーヌに対して、メガビョーゲンを浄化するだけのプリキュアに対して、何か思うことがあるような怒りが感じられた。

 

「・・・ではあなたは、今のあなたみたいに一人動けない人間に手を差し伸べたことはあるというのですか?」

 

「? な、何、を、言ってるの・・・?」

 

ドクルンは高ぶりそうになった感情を落ち着かせて、冷静に質問を投げかけると、フォンテーヌは訳がわからないといった顔をする。彼女の反応を見て、ドクルンはため息をつく。

 

こいつはやはり、何も感じようとしないのね・・・・・・。

 

「もういいです・・・」

 

ギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!

 

「ぐっ・・・あ・・・あ・・・」

 

興ざめといったようなドクルンの言葉と同時に、メガビョーゲンがさらに地面へと押し付け、フォンテーヌが苦しみの声をあげる。

 

「木をやる前に、まずは目障りなあなたから終わらせてあげますよ」

 

「あ・・・あ・・・んぐっ!?」

 

苦しむフォンテーヌに、メガビョーゲンがさらに体を押し付けると風船の体が顔に張り付き、口と鼻を塞がれた彼女は息ができなくなる。

 

「んっ!・・・んぅぅ・・・」

 

フォンテーヌは両手で押しのけようとするが、やはりビクともしない。

 

「んんんぅ! んんんんんぅ!!! んぐぅぅぅぅ!!!」

 

フォンテーヌはメガビョーゲンから逃れようとジタバタさせるも、のしかかられている体勢のために足は前後に捩ることしかできず、両手は風船を引き剥がそうと力を入れているが、メガビョーゲンの力の方が強く、さらに素材は滑りやすいせいか力が入れることができない。

 

「んむぅぅぅぅ! むぅぅぅぅ!! んぶぅぅぅぅ!!!!」

 

「フフフ・・・ヘバリーヌによれば、窒息はだんだんと気持ちよくなってくるらしいです。苦しいのは少しだけ、あなたもそうなって終われば、幸せでしょう?」

 

苦しみもがくフォンテーヌの姿に、ドクルンは笑い声をあげる。その顔はもはや余裕の表情だ。

 

ドクルンがそう言うも、フォンテーヌの頭の中に気持ちよさなど感じない。息が吐き出せず、吸い込むこともできず、ただただ苦しさが増していくだけだ。

 

「フォンテーヌ!」

 

「んむぅぅぅ! んぶぅぅぅぅ!! むぐぅぅぅ・・・んぐぅぅぅ・・・!!」

 

ペギタンが呼びかけるが、フォンテーヌには聞こえておらず、彼女は拳を叩きつけるなり、足をバタバタとさせてもがいているだけだ。

 

「んむぅ・・・むぅ・・・んぐぅ・・・んぶ・・・」

 

やがてフォンテーヌの動きも緩慢になり、ただ痙攣しているような震える動きになる。瞳は虚ろになってきており、彼女の視界がぼやけて狭くなっていき、意識も遠のきかけている。

 

「んぶぅ・・・」

 

彼女の両手が地面にパタリと落ちる。息が止ま・・・る・・・。

 

しかし、メガビョーゲンは体を離そうとせずに、むしろ体をさらに押し付けるだけだ。

 

「フフフ・・・」

 

ドクルンが勝利を確信した・・・・・・その時だった。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

「!?」

 

そこへグレースとスパークルが飛び上がって、倒れているメガビョーゲンに同時に飛び蹴りを放つ。

 

パン!! ピュゥー!!!!

 

「メガァビョォー・・・!!??」

 

メガビョーゲンから破裂音が響いたかと思うと、怪物の体は地面に浮き上がり、空中を縦横無尽にめちゃくちゃに飛んでいきながら、地面へと衝突した。

 

グレースとスパークルはその隙にフォンテーヌに駆け寄って、彼女の体を起こす。

 

「フォンテーヌ!」

 

「大丈夫!?」

 

「ん、うぅぅ・・・ぷはぁ! ゲホゲホゲホッ!!!」

 

フォンテーヌは体を震わしつつも、ようやく息を吐き出すと激しく咳き込んだ。

 

「あーあ、ようやく目障りなやつを始末できると思ったのに・・・」

 

ドクルンは誰に言うわけでもなく、無表情にぼやく。

 

「ご、ごめんっす!! 自分のメガビョーゲン、やられちまったっす・・・!!」

 

バテテモーダが彼女の隣に降りてくると、申し訳なさそうに謝ってくる。

 

「はぁ・・・お人好しもここまでくるとあれですね・・・」

 

ドクルンは冷めたように言うと、メガビョーゲンの方へと向く。

 

「メガビョーゲン、何をしているのですか? あの3人をやりなさい」

 

「メガァビョォー・・・!」

 

メガビョーゲンは風船を膨らませて宙に浮かぶと、無数のジェット風船を噴射する。

 

「「!?」」

 

「「ぷにシールド!!」」

 

グレースとスパークルが気づくと、フォンテーヌの前でステッキから肉球型のシールドを展開して、迫り来るジェット風船を防ぐ。

 

「「くっ・・・!!」」

 

一つ前のメガビョーゲンとの戦いで体力を消耗しているのか、先ほどよりも押さえ込む力は無くなっており、足が徐々に後ろへと下がり始めていた。

 

フォンテーヌは息を整えながらも、シールドで弾かれたジェット風船が上に打ち上がるのを見る。

 

「二人とも! そのまま押さえておいて!!」

 

彼女は二人にそう言うと、氷のエレメントボトルをステッキにはめ込む。

 

「氷のエレメント!! はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ステッキの先から氷を纏った光線を、上へ跳ね返ったジェット風船に向かって放つ。

 

「よし!」

 

フォンテーヌはそのまま氷漬けになったジェット風船へと飛び上がる。

 

「ふっ!やっ!はぁ!!」

 

そしてメガビョーゲンに向かって蹴り飛ばし、ジェット風船の噴射をかい潜るようにして、メガビョーゲンの膨らんでいる風船へと当たる。

 

パン!! ピュー!!

 

「メガァ!? ビョォー!!!!」

 

破裂音が響いたかと思うと、メガビョーゲンは再び縦横無尽に飛んでいき、地面へと墜落した。

 

キュン!

 

「「キュアスキャン!!」」

 

フォンテーヌはメガビョーゲンに近くに降りると、肉球にタッチしてステッキをメガビョーゲンに向ける。

 

ペギタンの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを見つける。

 

「空気のエレメントさんペエ!!」

 

エレメントさんはメガビョーゲンの右の脇の下あたりにいるのを確認できた。

 

「メガァ、ビョォー!!」

 

メガビョーゲンは再度風船を膨らませて宙に浮くと、そのままフォンテーヌに向かって突進してきた。

 

そんな彼女の近くにグレースとスパークルも集まり、3人は顔を見合わせて頷くと体が発光する。

 

「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」

 

同時にメガビョーゲンへと飛び出し、体を回転させて飛び蹴りのモーションとなって一直線に向かっていく。

 

「メガァ!? ビョォー!!??」

 

二つの攻撃がぶつかるも、プリキュア3人の方に軍配が上がり、メガビョーゲンはクルクルと回りながら吹き飛ぶ。

 

「私は大樹を守りたい・・・!! だって、りょうと友情を誓った思い出の場所なんだからーーーー!!!!」

 

「!!??」

 

フォンテーヌの叫びにドクルンが動揺する。まさか、あいつ・・・。

 

「一緒にやろう!!」

 

「ええ!!」

 

「うん!!」

 

3人はそれを合図に体が発光し、ミラクルヒーリングボトルをステッキにセットする。

 

「「「トリプルハートチャージ!!」」」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの順で肉球にタッチしていき、ステッキを上に掲げる。すると、花畑が広がっていき、背後には自然豊かな森が広がっていく。

 

さらにプリキュア3人の背後に、紫色のコスプレ姿をした女神の姿が映し出されていく。

 

「「「プリキュア! ヒーリング・オアシス!!」」」

 

3人は一斉にメガビョーゲンへとステッキを構え、ピンク・青・黄色の3色の光線が螺旋状になって放たれる。螺旋状の光線は混ざり合いながら一直線にメガビョーゲンに直撃する。

 

螺旋状になった光線はそれぞれの色の手へと変化して、3本の手が空気のエレメントさんを優しく包み込んでいく。

 

3色に光るハート状にメガビョーゲンを貫きながら、光線はエレメントさんをメガビョーゲンから外へと出す。

 

「ヒィーリィングゥッバァイ・・・」

 

メガビョーゲンたちは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていった。

 

「「「「「「お大事に」」」」」」

 

メガビョーゲンが浄化されると同時に、病気に蝕まれた箇所は元に戻っていく。

 

「ワフ~ン♪」

 

体調不良だった子犬ーーーラテも額のハートマークが黄色から水色に戻り、元気になった。

 

「これで勝ったと思うなよ♪ 全く懲りない、悪びれない♪ーーーー」

 

二人はそのまま背を向けて歩き去ろうとする。バテテモーダがラップをしながら歩く中、ドクルンは立ち止まって背後を振り向く。

 

「あなたはいつになったら、病人の寂しさ、苦しさに気づくのかしらね? キュアフォンテーヌ・・・いや、ちゆ」

 

ドクルンは呟きながら、不敵な笑みを浮かべる。そして、再び歩き出す。

 

「ドク、ドク、ドクルン嬢も悪びれない♪」

 

「バテテモーダ」

 

「MC!バテテモーダ、ア~ンド、ドクルン嬢~♪」

 

「いい加減、やかましいです♪」

 

「レペあががが!? あひゃえい! あーもう、ラップはやめるっす!!」

 

ドクルンが怖い笑顔を貼り付けながら言うと、それに動揺したのかバテテモーダは言えずに舌を噛んでしまい、愚痴を漏らす。二人はそのままその場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃病院の自室へと戻ったドクルン。何かが入っているわけでもない机の引き出しを開けると、そこには靄で赤く薄汚れたミサンガがあり、それを手に取った。

 

それはビョーゲンズとして生まれたときにいつの間にかよくわからずに付いていて、外して適当に引き出しに入れておいたもの・・・・・・。

 

ミサンガを手のひらに置いて、なんとも言えない顔で見つめながら過去の映像を思い出す。

 

ーーーーお揃いで私たちの友達の証、ずっと友達でいたいから

 

ーーーー・・・ありがとうございます。純粋に、嬉しいですよ、ちゆさん。

 

ーーーーその呼び方、やめない? 友達なんだから、普通でいいわよ

 

ーーーー・・・わかった。嬉しいわ、ちゆ。これでいい?

 

全てが甦ったわけではないが、これは自分の記憶なんだとそう自覚する。

 

・・・過去に私に会っていて、友達だと言って・・・今はキュアフォンテーヌに変身して、ビョーゲンズに楯突いている少女ーーーーちゆ・・・。

 

ーーーーみんなみんな、生きてるの・・・!! 辛いことだって、寂しいことだって、いっぱいあるかもしれない・・・!! でも、みんなはそれを抱えて精一杯、今を生きてるの・・・!!

 

ドクルンはフォンテーヌが言った言葉を思い出し、手のひらの上のミサンガを潰すかのように握る。

 

「ちゆ・・・私はあなたを、医者を、人間を、この世界を、絶対に許さないわ・・・。永遠にね・・・」

 

怨差のような言葉をボソリと呟く。みんな、あなたみたいに生きていることが幸せなやつがいるだなんて、思い上がらないでほしい。

 

その一方で、ドクルンは口元に微笑を浮かべる。

 

ーーーーりょうと友情を誓った思い出の場所なんだからーーーー!!!!

 

でも、あいつが忘れていたはずの昔のことを覚えていたのは、ちょっと嬉しかった、かも・・・。

 

ドンドンドンドン!!

 

「ドクルン!!」

 

ドアをノックする音が聞こえてきたかと思うと、クルシーナの声が聞こえてくる。

 

「帰ってんでしょ? 一緒にまんじゅう食べましょうよ! たまにはね」

 

どうやら彼女からおやつーーーー否、お茶会のお誘いのようだ。

 

「はいはい。今、行きますよ」

 

ドクルンは手のひらのミサンガをデスクへと置くと、自室を後にしていくのであった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。