ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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原作第17話がベースです。
今回はヘバリーヌが再び活躍する話です。


第45話「子供」

 

ビョーゲンキングダムーーーーそこはビョーゲンズにとって快適な世界。

 

そんな場所でシンドイーネが、ダルイゼンと同じくらいと思えるほどにだらけている様子で・・・。

 

「あーホント・・・何もする気がしない・・・」

 

シンドイーネは本当に何もやる気なく岩場に寝そべりながら、あくびを漏らしていた。

 

「こんなときは癒しが欲しいわ~・・・!!」

 

かと思えば、駄々っ子のように両腕両足をバタバタとさせ、また体をぐったりとさせる。

 

「おっ、シンドイーネ姐さん。相変わらずお綺麗で~」

 

そこへバテテモーダがいつもと変わらない様子で彼女へと近づく。

 

「・・・あんたは相変わらず調子いいわね。あたしは何だかクタクタなのよ」

 

そう言って、寝転がってひどく疲れた様子を見せるシンドイーネ。

 

「シンド姉、疲れてるのぉ~?」

 

「ひっ!? へ、ヘバリーヌ!?」

 

ヘバリーヌの声が聞こえてきたかと思うと、近づいてきた彼女に小さな悲鳴をあげてすくっと起き上がる。

 

「ヘバリーヌちゃんがマッサージしてあげよっか~?」

 

ヘバリーヌは両手をわしわしとさせながら、いたずらっ子のような笑みを浮かべる。

 

「い、いいわよ!! あんたに肌を触られるなんて!!」

 

「ぶぅ~・・・お姉ちゃんたちは気持ちいいって喜んでくれるのにな~♪」

 

この前のお触りがトラウマになっっているのか、シンドイーネはあからさまに怯えたような様子を見せ、その反応を見たヘバリーヌが顔を膨らませる。

 

「じゃ~あ~、ヘバリーヌちゃんを気持ちよくしてぇ♪」

 

「ち、近づかないでよ!! 相変わらず、あんたは気持ち悪いわね!!」

 

顔を近づけてくるヘバリーヌを手で押しのけながら、シンドイーネは嫌悪感を隠さない。

 

「ヘバリーヌ嬢は、本当に相変わらずっすね・・・」

 

バテテモーダは、ヘバリーヌに呆れた顔を隠さない。

 

「じゃあ、シンドイーネ姐さん、こういうのはどうっすか?」

 

「?」

 

バテテモーダはどこから手に入れてきたのか、一冊の本を彼女に見せる。

 

「ん~? モーダちゃん、何それ~?」

 

ヘバリーヌも一緒に覗き込んで、目をパチクリとさせる。

 

「温泉のガイドブックっす。人間共は心と体を癒すために、温泉とかいうのに入るらしいっすよ~」

 

「ふぅ~ん」

 

バテテモーダが見せたページには、魅惑の温泉郷だの、癒しを温泉で味わおうだの、最高の癒しだの、様々な温泉が銘打って書かれていた。

 

「温泉?」

 

「なんか全然気持ちよくなさそぉ~・・・」

 

「ホント、くだらないわね」

 

ヘバリーヌはなんだかつまらなそうに見つめていて、シンドイーネも同調するかのように鼻を鳴らす。

 

「あたしの癒しは~、キングビョーゲン様のぉ~、お優しいお言葉だけなんですぅ~♥♥♥」

 

いつもよりハートを出しながら乙女のような表情をしながら、赤黒い空にそう叫ぶ。

 

「・・・パパ、見えないよ?」

 

「っていうか、いないし・・・」

 

「・・・はぁ」

 

いつもよりも冷めたような言葉のヘバリーヌと、呆れたようなバテテモーダの、二人が空を見上げながらの言葉。

 

愛しのキングビョーゲン様は今日も現れず・・・・・・シンドイーネはため息をつくしかない。

 

「当たり前じゃない」

 

「っ・・・!」

 

聞こえてきた声に顔を顰めたシンドイーネが振り向くと、クルシーナが岩場で寝そべっているのが見えた。

 

「お父様は体が封印されてるんだからそんなにちょくちょく出てこれないし、ましてや部下に任せっきりにして働きもしない幹部のところに顔を出すとでも思ってんの? 夢見すぎでしょ」

 

クルシーナは嫌味ったらしく、咎めるような声でそう言う。

 

「うるっさいわね・・・わかってんのよ、そんなこと!!!」

 

「だらだらしてたくせに、説得力ないんだよ」

 

シンドイーネの怒ったような声に、クルシーナも睨み返す。

 

・・・アタシはお父様のため、地球を病気で蝕むためにあらゆる策を練っているというのに、このボンクラどもは・・・!

 

ますますイライラするシンドイーネは悔しそうな顔をする。

 

「そうよ・・・! あたしの気を晴らすためにも・・・キングビョーゲン様に褒めていただくためにもーーーー」

 

シンドイーネは指を突き立てながら、こう宣言するのであった。

 

「地球を蝕みに行かなくっちゃ!!」

 

「おぉ~♪」

 

パチパチパチパチ・・・

 

そんな彼女をバテテモーダとヘバリーヌは拍手をしながら称える。

 

「な~に、当たり前のこと言ってんだか・・・」

 

「そこ!! 聞こえてんのよ!!」

 

ボソリと言ったつもりのクルシーナの言葉は、シンドイーネにも聞こえていたようで彼女は憤慨する。

 

「聞こえるように言ったんだよ」

 

クルシーナは悪びれもせずに、嫌味ったらしく返す。

 

「くっ・・・今に見てなさい!!」

 

シンドイーネは悔しそうにしながら、スタスタと歩いてその場を去った。

 

「ん~」

 

「ああ・・・?」

 

「ヘバリーヌちゃんも行ってこようかなぁ~? ここにいても退屈だし、行かないよりはいいっしょ♪ 行ってきまぁ~す♪」

 

ヘバリーヌはバテテモーダから本を取ると、楽しいことをしてこようとルンルンと歩いていく。

 

「いってらっしゃ~い! お二方~!!」

 

バテテモーダがいつもの調子で二人に手を振る。

 

「・・・・・・ふん」

 

クルシーナはその様子を見ながら鼻を鳴らすと、横へと寝返りを打つのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え~っと、この街の温泉は~・・・」

 

ヘバリーヌは商店が多くある街を歩きながら、本をパラパラとめくっていた。

 

ここはすこやか市・・・ということはすこやか市のページを見れば、その温泉の情報が載っているはず・・・。

 

「おぉ、あったあった~♪ え~っとぉ、これなんて読むのかなぁ? さ、さわ・・・さわせん? りょかんさわせん? さわみず・・・さわみずぅ~?」

 

すこやか市の温泉情報のページを見つけ、その中で特に気になったのは・・・大きく書かれているのは『旅館 沢泉』。しかし、ヘバリーヌは後者の漢字をなんと読むのかわからない様子。

 

「まぁいっか~♪ ここにしよ~♪ この温泉、何かありそうだし~♪」

 

ヘバリーヌは旅館沢泉に狙いをつけて歩くことにした。もちろん、指を鳴らして人間に変装することも忘れない。

 

白鳥のバレリーナのような格好からハーブ園のイベントに参加した際に来ていた服装にチェンジ、肌も人のような肌にして、悪魔のようなツノとサソリのような尻尾を隠せば、立派な人間への変装の完了だ。

 

早速歩き出していくヘバリーヌだが、途中で気になるお店を見つけて足を止める。

 

「おぉ?」

 

お店をよく見るとオレンジ色の暖簾に『おんせんまんじゅう』と書かれていて、ショーケースの横には箱がいくつも積み上がっている。

 

店に近づいてみると、立てて置いてある箱には『すこやかまんじゅう』と書かれていた。

 

「おぉ~♪ これって♪」

 

この前、クルシーナお姉ちゃんがお土産にとくれたやつだ。食べてみたら、それはそれは美味しかったなぁ~・・・・・・。

 

なんか、思い出したら、また食べたくなってきちゃった~・・・・・・。

 

ヘバリーヌはそう思うと箱を一つ手に取ると、ショーケースの上に出す。

 

「これ、く~ださい♪」

 

そう言ってクルシーナからもらった人間界のお金を出す。

 

「まいど! おや? お嬢ちゃん見かけない顔だねぇ? 観光かい?」

 

「そうだよぉ~♪」

 

店員であるおばちゃんに、ヘバリーヌは貼り付けた笑顔を見せる。

 

これも怪しいやつだと疑われないように、お姉ちゃんたちに教えてもらった取り繕うということ・・・ヘバリーヌちゃんには容易いことだ。

 

「そうかい? ここはいいところがいっぱいあるから、ゆっくり見てきな!」

 

「ありがと♪」

 

店員からお釣りを受け取ったヘバリーヌは、店から離れた場所に移動する。

 

「あ~む・・・」

 

早速、箱を開けてまんじゅうを一つ、口の中にほうばる。

 

「ん~♪ やっぱり美味しいぃ~♪」

 

ヘバリーヌは赤らめた頬に手を当てながら、嬉しそうな表情を見せ、さらにもう一個口の中に入れる。

 

この喜びに不快さはないから、いくら食べてもダ~イジョ~ウブ♪

 

「「ワウ!!」」

 

「オイシイでーす!」

 

「イッツ、アメージング!!」

 

「ん~?」

 

何やらテンションの高い声が聞こえたかと思うと、振り向いてみたらそこは先ほどのまんじゅうのお店だった。

 

そこにはヘバリーヌでもわかるぐらいの、明らかなここの街の住人ではない夫婦っぽい男女。そして、その隣には・・・。

 

「おぉ、プリキュアちゃんだぁ♪」

 

藍色の髪の少女、確かあれは青いプリキュアだったはず。どうやら彼らに街の案内をしている模様。

 

「あむ・・・ああ!!」

 

あの夫婦の子だと思われるベレー帽をかぶった少女がまんじゅうを摘んで、嬉しそうな顔をする。

 

「どうですか?」

 

「!・・・クッキーの方が好きだわ」

 

藍色の少女に問われるとぶっきらぼうに返すベレー帽の少女。

 

「そう・・・クッキーの方が美味しいものね・・・」

 

なんだか冷たくされている模様で、その藍色の少女は落ち込んでいるように感じられた。

 

「う~ん、なんであの子、素直にならないのかなぁ~?」

 

ベレー帽の少女の態度に、ヘバリーヌは疑問符を浮かべる。

 

ヘバリーヌちゃんみたいに素直になれば、ずーっと楽しいのに~・・・・・・。

 

お姉ちゃんたちからは素直すぎって言われてお仕置きを食らっていて、ヘバリーヌちゃんは嬉しいんだ。お姉ちゃんたちの喜ぶことはみ~んな好き♪

 

だって、あのすこやかまんじゅうはお姉ちゃんによれば、すこやか市の名物で、あのおんせんまんじゅうよりも・・・おんせん・・・おんせん・・・?

 

「あっ!! 温泉行かないと!!」

 

唐突に思い出したヘバリーヌはすこやかまんじゅうの箱を指先を向けて消す。

 

「続きは後でた~べよっと♪」

 

ヘバリーヌはそう言うと、沢泉の温泉に向かって歩き出す。

 

向かえているかどうかはわからないが、なんとなく進めば着くだろうと歩いていて、気がつくと建物が見えなくなっていて、咲き誇る花が広がる場所に来ていた。

 

この場所は、ヘバリーヌにとっては肌にピリピリするようで・・・。

 

「うぅ~ん♪ この健康的な環境ぉ~♪ いい感じ~♪」

 

彼女は肩を抱きながら悶えつつも、旅館へと歩いていく。

 

きゃはははは♪ うふふふ♪

 

わーい♪ わーい♪

 

「ん~?」

 

嬉しそうな子供の声が聞こえ、振り向くとそこは公園であった。

 

ブランコに乗っているもの・・・ボールで遊んでいるもの・・・すべり台で遊んでいるもの・・・ラジコンカーで遊んでいるものと、たくさんの子供たちが遊んでいた。

 

「ん・・・・・・・・・」

 

ヘバリーヌは何か思うところがあるかのように、その公園の中へと入っていく。

 

「ん?」

 

すると子供の遊んでいるボールが足元に転がってくる。ヘバリーヌがそのボールを拾い上げると、子供の声が聞こえてきた。

 

「お姉ちゃーん!」

 

「ボール!ボール!」

 

「あ・・・うん♪」

 

ヘバリーヌはぼんやりしていたが、子供の声で我に返ると彼女たちの元へとボールを持っていく。

 

「ありがとう、お姉ちゃん!」

 

「どういたしまして♪」

 

ボールを受け取った少女は彼女にお礼を言う。すると、遊んでた子供たちがヘバリーヌの元に集まってきた。

 

「お姉ちゃん見ない人だね~」

 

「どこから来たの~?」

 

「えっとね~、遠くから来たんだよ~。あの山の向こ~」

 

「へぇ~」

 

「すご~い!」

 

ヘバリーヌは子供の質問に、適当に答える。自分がビョーゲンズと言えるわけがないので、ごまかさざるを得ない。

 

「お姉ちゃん、一緒に遊んで~」

 

子供から遊ぶことを要求されると、妖艶な微笑みを浮かべる。

 

「な~に~? お姉ちゃんと遊びたいの~?」

 

「うん!!」

 

子供はヘバリーヌの言葉に動じずに元気な様子だ。

 

「じゃあ、襲っちゃうぞぉ~♪」

 

「わーい、おにごっこだー!!」

 

「待て待て~♪」

 

子供は手をワキワキとさせるヘバリーヌから走って逃げて行き、ヘバリーヌも子供の走りに合わせて追いかけていく。

 

「ンフフ~、子猫ちゃんったら早~い~♪」

 

「捕まんないも~ん!」

 

「捕まえちゃうぞぉ~♪」

 

子供もヘバリーヌも、楽しそうに追いかけっこしている。

 

「タ~ッチ♪」

 

「きゃあ♪」

 

「次はお嬢ちゃんが鬼だよぉ~!」

 

「わーい、お姉ちゃん待ってぇ~」

 

子供の一人にタッチして、ヘバリーヌは背後を振り向いて逃げ、子供が追いかける。もちろん子供の走りに合わせて。

 

子供たちといわゆる鬼ごっこをしているヘバリーヌは頭の中で考えていた。

 

・・・・・・前もこんなことして、遊んだ気がする。

 

鬼ごっこの後も、ヘバリーヌは子供たちとの遊びに付き合った。

 

「いーち」

 

「おー!」

 

「にーい」

 

「おおー!!」

 

「さーん!」

 

「わーい、きゃはははは♪」

 

ヘバリーヌが子供の背中を押しながら、ブランコを漕いであげていた。

 

「お姉ちゃーん!僕も僕も!!」

 

「はいは~い! 順番ね~♪」

 

男の子が急かそうとするも、ヘバリーヌは子供をなだめる。

 

・・・こんなことも、した気がする。

 

「だ・る・ま・さ・ん・が・こ・ろ・ん・だ~!」

 

その後、ヘバリーヌは木の幹に顔を伏せながら言葉を言い、最後の単語を言うと振り向く。子供たちは思い思いのポーズを取りながら、その場に停止する。これはそういう遊びなのだ。

 

ヘバリーヌはしばらく見つめた後、再度木に顔を伏せる。

 

「だ・る・ま・さ・ん・が~・・・・・・ころんだぁ~!」

 

ヘバリーヌは言い方のテンポを変えながら、最後の単語を言うと振り向く。すると・・・・・・。

 

「きゃっ!」

 

片足を上げて静止していた女の子がバランスを崩して、地面に膝をつく。

 

「その娘、アウトォ~♪」

 

「う~ん、悔しい~・・・」

 

ヘバリーヌは子供に指をさしながら言うと子供は悔しそうにしながらも、ヘバリーヌが伏せている木に幹に捕まるように触っておく。

 

それを確認するとヘバリーヌは再度木に顔を伏せる。

 

「だ・る・ま・さ・ん・がーーーー」

 

「タッチ!」

 

「わーい!!!」

 

男の子がヘバリーヌにタッチすると子供たちは一斉に走り出した。

 

「ああ、待て待てぇ~♪」

 

ヘバリーヌはそれに気づくと手をワキワキとさせながら、子供たちに合わせて走り出す。

 

・・・う~ん、こんな遊びもしていたような気がする。

 

あとは、子供が操縦するラジコンのヘリコプターをヘバリーヌが追いかけ回したり、すべり台で一緒にすべったり、シーソーに一緒に乗ったり、砂場で砂山を作って遊んだりと、子供たちと一緒に遊んで楽しんだ。

 

「あ~む・・・んんん~♪ このまんじゅう美味しいな~♪♪」

 

そして、遊んだあとはヘバリーヌが残していたすこやかまんじゅうをみんなでおすそ分けして、一緒に食べて、みんなで笑顔になった。

 

「・・・ん?」

 

すこやかまんじゅう・・・まんじゅう・・・おんせん・・・・・・。

 

「ああ~!! ヘバリーヌちゃん、行かなきゃいけないところがあったんだった~!!」

 

子供たちと遊んでいて、沢泉の温泉に行くのをすっかり忘れていたヘバリーヌ。早く行かないと~・・・・・・。

 

「お姉ちゃん、もう行かなきゃ~・・・」

 

「行っちゃうの~?」

 

「うん♪」

 

ヘバリーヌがそう答えると子供たちは悲しそうな顔をする。彼女はそんな表情に目を丸くすると、その子供の頭に手を置いて撫で始める。

 

「そんな顔しないで♪ また遊ぼ♪」

 

「・・・うん」

 

ヘバリーヌは子供に笑顔を見せると、子供は名残惜しそうにしながらも頬を染める。

 

「じゃあ~ね~~~!!!」

 

「「「「バイバーイ!!!!」」」」

 

ヘバリーヌは子供たちに手を振ると、そのまま公園を後にした。

 

・・・こういうのも、なんだか経験してたような気がする。

 

「・・・・・・・・・」

 

旅館沢泉へと向かう道すがら、ヘバリーヌは自分の両手を見つめながらワキワキとさせていた。

 

子供たちといろんなことをして楽しかった・・・いろんな遊びをして楽しかった・・・子供たちと一緒にいられて嬉しかった・・・。

 

これは本当の気持ち・・・純粋に思った楽しい気持ち・・・嬉しさ・・・・・・。

 

なのに・・・なんでだろう・・・。

 

この、不快感・・・そして、懐かしい気持ち・・・・・・。

 

これも、ダル兄が言っていた、自分にとっては不快な環境なのかなぁ・・・?

 

ヘバリーヌはまた頭の中がもやもやとしていたのであった。

 

そんなことを考えて無意識に歩いているうちに、大きな建物が彼女の目の前に姿を現す。

 

「あ・・・・・・」

 

ヘバリーヌはそれに気づいて、目の前を見るとその入り口の看板には『旅館 沢泉』とある。彼女が目的としていた温泉旅館だ。

 

「あぁん、や~っと見つけたぁ~♪」

 

とりあえず頭を切り替えるように擬態を解除して、いつもの調子に戻ると温泉旅館の入り口の前に立つ。

 

「ここで~、ヘバリーヌちゃんを気持ちよくしてくれるんだよねぇ~♪」

 

ヘバリーヌは下半身を嫌らしく抑えながら身悶える。温泉は地球の人間にとっては健康的だと聞いたから、ヘバリーヌちゃんも気持ちいい気分に浸れるはず。

 

早速、入り口から入ろうとするのだが・・・・・・。

 

「ちゆちー、ちゃんとやれてるかなぁ?」

 

「お仕事中でいなかったりして~」

 

誰かがここに来るような気配がして、話し声も聞こえてくる。

 

「誰か来たねぇ~・・・」

 

ヘバリーヌはきょろきょろと見渡し、背後に草むらがあるのを見つけるとそこへ飛び込んで身を隠し、外の様子を見つめる。

 

ちょうど入り口の前に二人の少女が歩いてくる。しかし、それはヘバリーヌにとっても見覚えのある髪型だ。

 

一人はマゼンダショートヘアの少女、もう一人は栗毛ツインテールの少女・・・。

 

「あれぇ~、プリキュアちゃんたちだぁ~♪」

 

そう。あの二人はヘバリーヌちゃんがハーブ園を気持ちよくさせようとしたときにもいた、プリキュアの二人だった。今は変身前の姿であの真面目そうな服装ではないが、一体ここに何をしに来たのか?

 

すると、二人は旅館の扉に近づいて、そっと少しだけ開けると中を覗き始めた。

 

「なんで素直に入らないのかなぁ~?」

 

ヘバリーヌは二人に疑問符をつける。あんなこそこそしなくても、普通に正直に入って仕舞えばいいのに、あれでは変装が怪しまれたときの感覚と変わらない。

 

「あれ~? ちゆちー、いないのかなぁ?」

 

「うむ・・・」

 

何やら誰かを探しているようだが、そんな彼女たちに藍色ロングヘアの少女が近づく。

 

「何しているの?」

 

「「!!??」」

 

声をかけられてびっくりし、背後を振り返る二人。

 

「あわわわわわわ・・・!!??」

 

「あわわわ!!?? ああ、え~っと・・・!!!」

 

何か言い訳をしようとしているようだが、しどろもどろになって言葉が出ていない。

 

そんなに驚くぐらいなら、堂々としてればいいのに~・・・・・・。

 

ヘバリーヌは純粋にそう思った。

 

「ち、ちゆちーがね~!!」

 

「頑張ってるのを、ちょっとだけ見に来たの・・・ごめんね、忙しいときに」

 

「今は大丈夫よ。それに私も、二人にちょうど会いたかったから・・・」

 

「えっ・・・?」

 

「ちゆちー・・・?」

 

「あ・・・ううん、何でもないわ・・・!」

 

藍色ロングヘアの少女は何やら気落ちしているような声色だ。

 

・・・っていうか、よく見たらプリキュアちゃんたち3人集まってるねぇ~。

 

ヘバリーヌはそう考えつつ、3人の様子を伺う。

 

その後は3人の間で沈黙が続く。それを打ち破ったのはマゼンダショートヘアの少女だった。

 

「ねえ、ちゆちゃん。まだ、ちょっとだけ時間あるかな?」

 

「!・・・え・・・?」

 

マゼンダショートヘアの少女がそう言うと、3人はどこかへと歩いていく。

 

旅館の入り口に誰もいなくなったことを確認したヘバリーヌは草むらから飛び出す。

 

「あぁ~ん♪ 植物がチクチク、ムズムズして気持ち良かったぁ~♪」

 

どうやら覗きながら、草むらの植物たちが体の節々を刺してくるのを楽しんでいたようで、ヘバリーヌは肩を抱きながら悶々とする。

 

「でもぉ~、本命はそっちじゃないもんね~♪ じゃあ、早速温泉に~♪」

 

ヘバリーヌは気持ちを切り替えて、温泉宿に入るべく先ほど二人が開けた扉の隙間から様子を伺おうと覗き込む。

 

「ん~・・・・・・」

 

中は静かなようだが、受付だと思われるところに着物を着た従業員の姿があった。

 

「人がいるねぇ~。入りづらいなぁ~・・・」

 

この入り口から中に入るのは難しいと判断。ましてや、こんな格好では変質者として追い出されそうだ・・・。

 

まあ、ヘバリーヌちゃん的には従業員たちに冷たい目で見られるのはアリだけど、それでは温泉を堪能できなくなりそうだ。全く来た意味がなくなる。

 

入り口を離れてきょろきょろと見渡して、他に行ける場所がないか探す。

 

ふと店の名前の看板の上を見る。あそこ、なんだか登れそう・・・!

 

「そうだ~!! 前がダメなら~、上から入っちゃえばいいんだ~!! よーし!!」

 

ヘバリーヌは看板の上へとジャンプして飛び乗り、屋根の上、そのまた屋根の上へと飛び移って建物のてっぺんへと来る。

 

・・・キングビョーゲンの娘であれば普通に飛べるので、そういうことは簡単に思いつくはずなのだが

 

まあ、それはともかく、ヘバリーヌはきょろきょろと見渡して温泉を探している。

 

「!! あったあった~!!」

 

何かを見つけたヘバリーヌは建物から飛んで、その場所へと降りる。

 

そこは大理石の床で、木でできたベンチのようなものがあり、その空間の真ん中には四角い枠の中にお温があって、右の角の部分には岩場があってそこにもお湯があった。

 

「はぅ~♪ これ温泉だよねぇ~? いいねいいねぇ~♪ ピリピリ感が肌に伝わってくるよぉ~♪」

 

ヘバリーヌは健康的で良さそうなものを見つけて大興奮。これで今までの地球の健康的な環境よりも、もっと気持ちいいのを味わえると。

 

「じゃあ、早速~・・・あつっ!」

 

ヘバリーヌは四角い枠のお湯に足を入れると反射的に引っ込める。しかし、それとは裏腹に彼女の頬は赤く染まっていた。

 

「うぅ~うぅ~♪ 熱くって、痛くって、気持ちいいなぁ~♪」

 

どうやらお湯の熱さに快感を抱いている模様。

 

そうだ、今度お姉ちゃんにロウソクでのアレに加えて、こういうこともしてもらおうかなぁ~・・・。

 

そういう卑猥な考えが浮かんだが、気を取り直して、ヘバリーヌはお湯に足を入れて、体をゆっくりと沈めていく。

 

肩まで沈め、しばらくするとヘバリーヌの体がプルプルと震え始める。その表情は辛そうに、でも顔は明らかに頬は赤く染まっていた。

 

その震えがさらに大きくなると、足をもじもじと悶えるように捩らせ始め・・・そして・・・!!

 

「あぁぁぁぁん♪」

 

ヘバリーヌは体を後ろへと仰け反らせ、体をビクンビクンと痙攣させる。

 

「ああ・・・いい、いいよぉ、すごくいいぃ・・・この健康的なお湯がぁ、ヘバリーヌちゃんの全身を蝕んで、ジクジクと痛みを与えてくるのぉ・・・! ピリピリして、ピクピクして、ジクジクして、ズンズンして、痛くて・・・・・・すっごく気持ちいい~~~!!!!!!」

 

ヘバリーヌは他所の建物だというのも忘れて快感の声を上げ、完全な興奮状態だった・・・。

 

それはそれとして、やはり温泉はビョーゲンズにとっては不快に感じるものらしく、肉体的に体を受け付けないようだ。しかし、ヘバリーヌのような変わった性癖の持ち主であると、そんな違和感を全て無くすことができるようだ。ダメージは受けているはずなのだが・・・。

 

ヘバリーヌは言葉では表現できない感覚をもう一度味わおうとするが、誰かがここに近づいてきたようだ。

 

コツコツコツ・・・

 

「はぁ・・・・・・」

 

「!?」

 

ヘバリーヌはまだ溢れ出る快感を抑えながらも、温泉から出ると建物の上へと飛び上がって様子を伺う。

 

入ってきたのは、先ほどまんじゅうのお店の前で変わった夫婦と一緒にいた娘らしき子だった。

 

その娘は何やらつまらなそうな様子で歩いていくと木の枠に腰掛けて、お湯の中に足を入れる。

 

ヘバリーヌは娘の表情を伺えないにしても、その背中は何やら寂しそうで、どう見ても足湯を楽しんでいる様子ではなそうだった。

 

「あぁん♪ 寂しそうな、娘、だね~・・・♪」

 

ヘバリーヌは快感の余韻に浸りながらも、声を抑えながら様子を伺う。

 

すると、そこに誰かが入ってきて、少女の隣に座ってきた。

 

「おぉ? プリキュアちゃん、戻ってきたんだぁ~♪」

 

その少女は度々見かける青いプリキュアに変身する、藍色ロングヘアの少女。ここに堂々と入れるということは、この旅館は彼女のものなのか。

 

「エミリーさんは、いつもどんな遊びをしてるの?」

 

「・・・ブランコとか、追いかけっことか」

 

「!?」

 

藍色ロングヘアの少女は歩み寄ろうとしているが、その少女が話したことにヘバリーヌは目を見開いて驚く。

 

ブランコ・・・先やった。追いかけっこも、さっき・・・子供たちとやった。

 

ヘバリーヌが考えることをやめていた、中に何かモヤモヤした不快な気持ちが甦ってくる。

 

「じゃあ、きっと公園が好きなのね」

 

「・・・公園は好きよ。でも、日本の公園は嫌い。お友達がいないもの・・・」

 

ズキッ・・・・・・。

 

「っ・・・!」

 

少女が吐露した言葉に、ヘバリーヌは胸の中がチクっとするような感じがした。

 

・・・何、これ? 痛い・・・痛いのは気持ちいいはずなのに、気持ちよくない・・・。ただただ不快感が膨らむだけ。

 

これ、何? 何なんだろう・・・?

 

ズキッ・・・・・・。

 

「っ・・・・・・」

 

顰めるほどではないが、頭に何やらジンジンと痛みを感じる。ヘバリーヌの頭の中に映像が流れてくる。

 

ザザ・・・ザザ・・・。

 

ーーーーお前、あの子たちと一緒に遊ばねぇのか?

 

ーーーー・・・体の弱い子が入ってもつまんないからダメだって・・・。

 

落ち込んだように壮年の男性の近くに戻ってきて、訳を吐露する自分・・・。

 

ザザ・・・ザザ・・・。

 

ーーーーいいなぁ・・・みんな楽しそうで・・・。

 

ーーーーゲホゲホッ・・・ーーちゃんも一緒にあの中に混ざりたいなぁ・・・。

 

家のベッドの上で、窓から遊ぶ子供たちを羨ましそうに見る自分・・・。

 

・・・そういえば、ヘバリーヌちゃんって、なんで動けなかったんだっけ?

 

「でも、私は嫌・・・!!」

 

「!!」

 

少女の声に、我に帰ると気を取り直して様子を伺う。

 

「こっちでお友達ができるかわからないし・・・」

 

ズキッズキッ・・・ズキズキズキッ・・・。

 

「っ・・・!!」

 

お友達・・・その言葉に胸がチクチクと痛む。

 

不快・・・不快・・・不快不快不快・・・!!!

 

ヘバリーヌは心の中に黒い感情に支配されると、その場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍色ロングヘアの旅館から公園の近くへと逃げてきたヘバリーヌ。その表情は辛そうで、悲しそうな顔だった。

 

「・・・!?」

 

自分の掌を見ると手汗で濡れていて、気のせいかフルフルと小刻みに震えているのがわかる。

 

本当になんだろう、これ・・・不快・・・不快・・・不快感しかない・・・。

 

公園で一緒に遊んだ子どもたちに楽しいという気持ち、でも不快感を感じる。

 

私に別れを惜しむ子供に笑顔を見せる、でも不快感を感じる。

 

バイバイと手を振ってくれる子供たちは嬉しい、でも不快感を感じる。

 

あの少女のお友達という言葉に、寂しい・・・でも不快感を感じる。

 

友達ができるかわからないという言葉に、胸が痛い・・・不快感を感じる。

 

懐かしい感じはするのに、不快で、不快で・・・なんだか気持ち悪くて、不愉快しか感じない・・・。

 

嬉しい・・・不快・・・楽しい・・・不快・・・寂しい・・・不快・・・。

 

頭がグチャグチャになって、よくわかんない・・・!!!!!

 

ヘバリーヌは両手を胸に当てる。私は、一体、何が楽しいんだろう・・・?

 

子供たちと遊ぶことか・・・地球を病気で蝕むことか・・・。

 

ポツ、ポツ・・・。

 

「・・・?」

 

頭に冷たいものが当たり、見上げてみると黒い雲が空に広がっており、その雫がポツポツと落ちてきている。どうやら雨が降ってきたようだ。

 

「あぁ♪」

 

首筋に雨が当たり、ヘバリーヌは甘い声を漏らす。

 

それを合図に雨がパラパラと降ってきて、ヘバリーヌの体を濡らしていく。

 

「冷たくて気持ちいいなぁ~♪ あぁ・・・体中に雨の水が当たってぇ~、ピリピリするぅ~、あぁん、快・感♪ ンフフフフフフ~~♪」

 

雨が降った途端に、ヘバリーヌのモヤモヤした考えは一瞬で吹き飛び、彼女の体に快感が押し寄せてくる。避けようがない雨に体中が不快を感じているようで、痛くて不快で、すごく気持ちいい感じがする。

 

ヘバリーヌはクルクルと回り、バレリーナのように舞い踊りながら、雨が当たる痛くて気持ちいい快感を楽しんでいた。

 

「おぉ?」

 

気がつくとブランコや砂場といった先ほど子供と遊んでいた公園に着いており、滑り台の上には見たことがある女性の姿が。

 

「ンフフフフフ・・・水も滴るいい女、シンドイーネの、登場よー!!」

 

ビョーゲンズの先輩幹部、シンドイーネだった。最初は水浴びをしているのかなと思ったヘバリーヌだが、彼女は何やら上手いことを言ったつもりのようなセリフを言って、自分の存在をアピールするように手を大きく広げていた。

 

ヘバリーヌはその様子を見るとゆっくりと彼女が乗る滑り台に近づく。

 

「シンド姉~♪」

 

「!? ヘバリーヌ!?」

 

ヘバリーヌに声をかけられて、驚くシンドイーネ。

 

「・・・何してるの? 痛いよ・・・?」

 

「何よ!? 水で濡れた美しい~、私をみんなに見せつけてるのに!!」

 

ヘバリーヌに一転して冷めたような態度で言われ、憤慨するシンドイーネ。ヘバリーヌはそれを聞いて辺りをきょろきょろするが・・・。

 

「・・・誰もいないよ?」

 

「え、えぇ!? 嘘!? って、本当に誰もいないじゃない!!」

 

シンドイーネが周りを見渡しても、本当にヘバリーヌ以外誰もいなかった。

 

「最初から誰もいなかったよ~?」

 

「それを早く言いなさいよ!!」

 

「なのに子供の遊具の上でカッコつけてるの~? カワイイ♪」

 

「う、うるさいわね!!」

 

後輩にいびられて、薄紫の頬を赤くしながら怒るシンドイーネ。

 

「ねえ、シンド姉♪」

 

「・・・何よ?」

 

「今日も地球に来て、い~っぱい楽しくて、不快なことを学んだの。なんで不快って感じるのかなぁ~?」

 

ヘバリーヌが顰めた表情をするシンドイーネに質問をする。ダル兄にも教えてもらったが、この不快感の正体が本当に何なのかを聞きたいのだ。

 

シンドイーネは顰めた表情のまま見つめて、ふんと鼻を鳴らすと口を開く。

 

「そんなの、あんたが普通じゃないからでしょ?」

 

「おぉ?」

 

「ビョーゲンズの幹部のくせに、他の女に痛めつけられたいわ、妙に明るい声だわ、病気で蝕む概念が他の連中と異なるやら、あんたは他とおかしいところが多いものね。何をやってたのか、あたしは知らないけど」

 

ヘバリーヌちゃんが普通じゃない・・・?

 

ということは、普通じゃ満足できないってことかなぁ? 子供たちと遊んでいるのが普通なら不快で、ヘバリーヌちゃんが気持ちいいと思ってやってることは楽しい・・・。

 

あぁ!! そうかそうか!! そういうことなんだぁ~!!

 

ヘバリーヌちゃんは普通でないと満足できないし、普通じゃないことが楽しいんだぁ~♪ スッキリした~♪

 

「シンド姉~♪」

 

「何? きゃあ!?」

 

「ありがと~♪」

 

シンドイーネは皮肉のつもりで言っていたのだが、ヘバリーヌは変な方向に解釈して結論付けて勝手にスッキリし、シンドイーネが驚くぐらいの満面の笑みを浮かべる。

 

「べ、別に私は、あんたに・・・」

 

「シンド姉、今日も綺麗だぞぉ♪」

 

「!!」

 

シンドイーネはヘバリーヌから目を反らしながら言う。さらにヘバリーヌから美貌を褒められ、年頃の女性のように頬を赤く染めていた。

 

「ってこんなことしてる場合じゃないわ!! ここに人がいない今のうちにどんどん蝕んでやんなきゃ!! ヘバリーヌ、あんたも手伝いなさい!」

 

「えぇ? いいの~?」

 

「当たり前でしょ! あんたも少しはビョーゲンズらしいところ見せなさいよ!」

 

ハッとしたシンドイーネがそろそろ仕事をしようと、ヘバリーヌにも声を掛ける。なんだか気を良くしたような返事だった。

 

ヘバリーヌはそれを聞くと目をキラキラとさせる。

 

「わかった~♪ シンド姉のために頑張る~♪」

 

「ふふふ、嬉しいこと言ってくれるじゃない」

 

ますます気を良くしたシンドイーネは、ブランコのそばに落ちている子供が忘れていったと思われる長靴に目をつける。

 

「う~ん、う~ん・・・おぉ?」

 

一方、ヘバリーヌはブランコとは反対方向をキョロキョロとしていると何か気になるものを見つける。

 

公園のベンチの上に、これも同じく子供が忘れていったものと思われるラジコンのヘリコプターがあった。これは先ほど、子供たちが運転するのを追いかけまわして遊んでいたものだ。

 

「ンフフ~♪」

 

それを見ると、妖艶な微笑みを浮かべるヘバリーヌ。

 

彼女はバレリーナのようなポーズを2回取りながら、それぞれ手を叩き、バレエのように体をクルクルと回転させる。

 

「進化しちゃってぇ~、ナノビョ~ゲン♪」

 

「ナノォ~♪」

 

ナノビョーゲンが鳴き声を上げながら、ラジコンのヘリコプターに取り付く。ラジコンのヘリコプターが徐々に病気に蝕まれていく。

 

「フゥ、フ、フ、フゥ~!?」

 

ラジコンのヘリコプターに宿っているエレメントさんが病気に蝕まれていく。

 

そのエレメントさんを主体として、巨大な怪物がその姿をかたどっていく。凶悪そうな目つき、不健康そうな姿、そしてそれを模倣する様々な自然のものが姿として現れていき・・・。

 

「メガビョーゲン・・・」

 

ヘリコプターを模したような姿のメガビョーゲンが誕生したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人のビョーゲンズによる企みが公園で行われている中、本降りになっていた雨がようやく落ち着きを取り戻していく。

 

花寺のどかの家では、のどかたちが家の中で雨が止むのを待っていた。

 

「ふわぁ~! 雨が小降りになったよ、ラテ」

 

そうラテに話しかけるのどかだったが・・・。

 

「クチュン!! クチュン!!クゥ~ン・・・」

 

ラテの額のハートマークが黄色に変わると、くしゃみを2回して体をぐったりとさせる。

 

彼女にこの症状が出たということは・・・?

 

「ああ!? ビョーゲンズラビ!!」

 

のどかは聴診器を出して、ラテを診察する。

 

(あっちで雨さんが泣いてるラテ・・・空飛ぶおもちゃさんが泣いてるラテ・・・)

 

「あっちって・・・?」

 

ラテの心の声を聞いたのどかは不安そうに窓を外を見つめるのであった。

 

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