ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter 作:早乙女
三人娘がプリキュアに対抗すべく、ある検証を始めます。
ビョーゲンズにとって快適な世界、ビョーゲンキングダム。ここは幹部たちにとっては楽園ともいうべき場所なのだが、何やらいつもとは違い、空気が澱んでいて様子がおかしい・・・。
「・・・・・・・・・」
岩場により掛かりながら一緒にいるのは、ビョーゲンズの幹部の一人、グアイワルとビョーゲン三人娘だ。しかし、グアイワルは顰めるように瞑目していて、三人娘は呆れたような視線をそこにいる人物に見つめている。
「ち~っす!!」
そこにヘラヘラしたような態度のバテテモーダがやってきていつものような挨拶を交わすのだが・・・・・・。
モワンモワンモワン~~・・・・・・。
「!?・・・!!!???」
漂ってきた強烈な匂いに、思わず鼻を押さえるバテテモーダ。その目は鼻につくような刺激が強すぎて、涙目になっている。
「ふんふんふふ~ん」
シュー!!
「う~ん♪ う~ん♪」
「はぁ・・・・・・」
ため息を吐いたイタイノンの視線の先には、岩場に座り込みながら悪魔のような絵柄の描かれた瓶から香りがする気体を出して、それーーーー香水を顔に浴びせているシンドイーネの姿が。
その近くには何故かヘバリーヌが赤く染めた頬に手を当てながら、悶えている姿もあったが・・・・・・。
とにかくその香水の匂いがまるで霧のようにビョーゲンキングダムじゅうに漂っていて、快適な世界を害されているとしか思えないグアイワルや鼻栓をしている三人娘は迷惑を被っているわけだ。
「シンドイーネ姉さん・・・キツっーーーーいや、素敵な匂いっすね・・・」
思わず本音が漏れそうになったバテテモーダは、引き攣ったような、辛そうな笑みを向けながらあくまでも取り繕う。
「当然よ。いつキングビョーゲン様からお呼びがかかっても大丈夫なようにね」
「うぅ~ん♪ すごくいい匂いぃ~♪ 天にも昇る気分~♪ ヘバリーヌちゃん、気持ち良くなっちゃうぅ~♪」
「あら? アンタにもこの良さがわかるのねぇ」
シンドイーネは優越に浸りながら香水を浴びていた。
ヘバリーヌは肩を抱きながら香水の匂いを味わい、頬を手に当てて悶える。
「へ、ヘバリーヌ嬢も、さすがっすね・・・」
バテテモーダは、明らかに匂いがきついのに耐えられるヘバリーヌを心の中で尊敬した。
「ふん! つけすぎて臭いんだよ!!」
「そんなもの嗅いでると気分が悪くなるの・・・!」
イタイノンとグアイワルだけは黙ろうともせずに不機嫌そうな声を出し、はっきりと物を言う。
「この世界に香水など不要かと・・・」
「・・・ホント、バカみたい」
ドクルンとクルシーナは、不満そうな顔でぼそりと漏らす。
「ふん、恋する乙女の気持ちがわからない奴らは、香水の良さもわからないようね」
シンドイーネはその場にいる幹部たちの不満に冷めたような態度でそう言いながら、香水を幹部たちに向けて噴射する。
「いぃぃ!?」
「「!?」」
「あぁ~ん♪」
三人娘はその行動に健康に悪そうな顔色を青ざめさせると、早々にその場から逃げ出した。もちろん嬉しそうに悶えているヘバリーヌを強引に引っ張り出して。
「「ゲホゲホゲホッ!!!」」
充満していく香水に苦しそうに咳き込むグアイワルとバテテモーダ。
「し、仕事に行ってくるっす!!」
「ああ!?」
堪らずバテテモーダは逃げるようにその場から去り、ビョーゲンキングダムは香水が白い霧のように漂っていたのであった。
「ゲホ、ゲホゲホ・・・ブファブファ・・・あ~、臭かった~!!」
ビョーゲンキングダムからすこやか市の山へと逃げ出したバテテモーダは、いまだにキツイ香水の香りの余韻が残っているのかむせている様子だった。
「ん・・・」
そんな中、バテテモーダの着ているベストをグイグイと引っ張るものがいた。
「え・・・?」
バテテモーダが背後を振り向くと、そこには揃いも揃って鼻栓をしているキングビョーゲンの娘たち、ビョーゲン三人娘がいた。
そのうちドクルンとクルシーナより前に立っているイタイノンが無表情で、親指を背後に向けて突き立てる。いわゆる自分たちに着いてこいという意味合いの動作だ。
バテテモーダは彼女たちに着いていくことにした。
そして4人、正確にはクルシーナが連れ出したヘバリーヌも含めて5人は、鼻栓もちゃんと外せるような話しやすい場所に移動する。
「・・・お前は本当にあいつらにもっと怒るべきなの」
「い、いや! そ、それは・・・いや、その・・・!!」
ここでイタイノンの言うあいつらというのは、ダルイゼン、シンドイーネ、グアイワルのことを言っているのだが、バテテモーダはいつものように吃る。
「あんなボンクラトリオたちは、少し痛い目を見るべきです」
「ボ、ボンクラだなんて、そんな・・・!!」
ドクルンが不敵な笑みを浮かべながら言うが、バテテモーダは表情を引き攣らせる。
「遠慮なんかする必要はないんだよ!!」
「ク、クルシーナ嬢まで・・・!!」
クルシーナが苛立ったような感じで言っても、バテテモーダの態度は変わらないままだ。
「ビョーゲンズが生意気に香水かよ!! おめかしだかなんだか知らないけど、お父様から生まれた存在のくせにふざけやがってよ!!」
クルシーナは、シンドイーネが香水を撒き散らしたせいでビョーゲンキングダムに居づらくなったことに不満を抱いていた。
「なんであんな奴らがビョーゲンズの幹部をやってるのか疑問なの・・・!」
「そこが不満ですか・・・」
イタイノンも黒いオーラを出しているかのような怒りの表情を浮かべており、ドクルンは怒りの感じるところが違うことを指摘する。
「まあ、あの方々がもう少し寛容であればね・・・」
「ないない」
「ないない、なの」
ドクルンは手を頭に当てながら、首を振っている。クルシーナとイタイノンは手を横に振りながら、ありえないと断言する。だらけてばかりのあいつらにそんな純粋さがあるわけがない。
「お、お嬢たちも、あいつらに不満があるんっすね・・・」
バテテモーダも、お嬢たちが普段からダルイゼンやシンドイーネたちに不満を持っていることを察するのであった。
「ヘバリーヌちゃんは、ダル兄たちが蔑むような視線をしてくるから、気持ちいいんだけどなぁ~♪」
「お前は少し黙ってろ!!」
「お前は少し黙ってろなの!!」
「あぁぁぁぁぁん♪」
ヘバリーヌの悶えながらの変態な発言に、クルシーナとイタイノンは息ぴったりに怒鳴り、彼女はその声に甘い声を上げて快感を覚える。
「って、こんな話をしたいんじゃないんだよ!!」
ダルイゼンらへの不満なんか心底どうでもいい。アタシらにはやらなければいけないことがあるのだ。
クルシーナは咳払いをすると口を開く。
「バテテモーダ、ヘバリーヌ」
「何っすか?」
「なぁ~に~、お姉ちゃん?」
「ちょっとアンタたちに協力してほしいんだけど、いい?」
「「?」」
疑問符を抱くバテテモーダとヘバリーヌを相手に、クルシーナは詳細を説明し始める。
「プリキュアたちの中に自分らの動きを察しているやつがいるっすか・・・?」
「それってホントなの~?」
「ええ、アタシはそういうやつがあいつらにいるんじゃないかって確信してるの」
信じられないというように目を丸くするバテテモーダとヘバリーヌに、クルシーナは腕を組みながら答える。
「大体、アンタたちおかしいと思わない? メガビョーゲンを生み出して暴れさせた後に、あいつらが都合よく現れるのがさ」
「確かに・・・・・・」
「怪物は予告して発生させているわけじゃないし~、おかしいもんね~♪」
クルシーナがそう説明すると、二人は何かを感じたかのように納得する。
「そう。だから、そいつが本当にいるのかどうかを確かめたいから、アンタたちにちょっとやってほしいことがあるわけ」
クルシーナはそう言いながら、バテテモーダとヘバリーヌに指を突きつける。
「協力してくれるわよね?」
不敵な笑みを浮かべるクルシーナに、バテテモーダは考えていた。
彼女たち3人はキングビョーゲン様の娘だ。しかも、自分たちよりも経験があって、地球を蝕むことなど容易くできそうな能力を持っている。
もしかすれば、彼女たちに協力さえすれば、キングビョーゲン様のお側につかせてもらい、そうすればあんなグアイワルらボンクラ共と同じ扱いを受けずに、出世ができるかも・・・!
彼は心の中で邪悪な笑みを浮かべながらそう思い、両手でゴマをするかのような動作をする。
「自分! 喜んでやらせてもらうっす!!」
バテテモーダは快く快諾した。自分が出世してキングビョーゲン様、そして娘たちに認めてもらうために・・・・・・。
「ヘバリーヌちゃんもやるやる~♪♪ やればお仕置きしてくれるんだよね~?」
「ええ、いいわよ。アタシも鬱憤がたまっているところだからね」
クルシーナがあっさりと了承すると、ヘバリーヌは目をキラキラとさせる。
「やったー♪ 期待してね♪」
「・・・抱きつかなくていいっつーの」
「いやぁ~ん、お姉ちゃんったらいけず~♪」
「いけずでけっ、こう!!」
「へぶっ!!」
抱きつこうとするヘバリーヌを、クルシーナは頬に両手を押し付けて抑えた。そのままヘバリーヌを抑えながら位置を移動させて受け流すように放り、ヘバリーヌを木へと叩きつけた。
顔面をそのまま木にぶつけられたヘバリーヌはズルズルと地面へと落ちる。
「あぁ・・・顔面ブロックなんて、ホント・・・すごい・・・!!」
ヘバリーヌは体をピクピクとさせながらも、何やら気持ち良さを感じていた。
クルシーナはそれを無理して指を鳴らすと手下の小さなコウモリたちを呼び出す。
「ドクルン、イタイノン、アンタらにアタシのコウモリを付き添わせてあげる。それは見たものを他のコウモリに通して映し出せるし、記録もできるし、通信もできるから、何かあったらそれで映して、何か言って」
「わかりました」
ビョーゲン三人娘、ヘバリーヌ、バテテモーダによるプリキュアに対抗するための検証が行われようとしていた・・・・・・。
「・・・はぁ、なんで私がこいつらのお守りを? なの」
イタイノンはため息を吐きながら背後で、素体を探しているバテテモーダとヘバリーヌの様子を見守っていた。
「まあまあ、後輩が働くのは微笑ましいではありませんかぁ」
「・・・お前のあっさり肯定できる、その頭の中を見てみたいの」
イタイノンは数分前のクルシーナとのやり取りを思い出す。
『アンタらはその二人と一緒にいて』
『ほう・・・』
『なんで私がそんなことを? なの』
『大勢でプリキュア共を見に行ったってしょうがないし、実験するためには素体も見つけなきゃいけないでしょ。アンタらはあいつらに手を貸してやれってこと』
『・・・素体は普通、自分たちで見つけるものなの。他人に見つけてもらうものじゃないの』
『まあまあ、いいじゃないですかぁ。後輩たちがどんな風に病気で蝕むのか興味がありますから』
『私は全然興味ないの・・・!』
クルシーナの提案に、ドクルンは寛容だったが、イタイノンは不満を漏らしていた。
『とにかく! 全員で来る必要はない。あいつらに怪しまれるから。アンタらはあの二人が勝手なことをしないように見張っておいて! わかった?』
結局、クルシーナに押し切られて、彼女たちは二人の見張りというか、お守りをさせられる羽目になったのである。
「どこにあるんっすかね~? いい素体は・・・」
「ヘバリーヌちゃんをピクピクさせるような~、いい素体があるはずだよね~♪」
林の中で手を目の上に当てながら素体を探しているのんきな二人。
「はぁ・・・もう疲れる未来しか見えてないの・・・」
「それがあなたの本音ですか・・・」
そんな二人にイタイノンがため息を吐きながら言うと、その言葉にドクルンが冷静なツッコミを入れる。
ザー・・・ザー・・・
『そっちはどう?』
小さなコウモリの妖精からクルシーナの声が聞こえてくる。
「特に変わったところはありませんよ。イタイノンがため息ばかりを漏らしているだけですが」
『あっそ。最後のいらないでしょ。いつものことなんだし』
「二人のお守りは全然面白くないの・・・! 私もこの辺を病気で蝕みたいの・・・!!」
『・・・気持ちはわかるけど我慢しろ。今、プリキュアどもを探してるんだから』
「っ・・・!」
クルシーナとイタイノンが通信機越しで小競り合うも、押し切られたイタイノンは押し黙る。
「そっちはどうですか?」
『とりあえず今、ウツバットに探させてるけど、まだ戻ってこないのよね。何をちんたらしてるんだか・・・』
「ラベンだるまちゃんに見とれてるんじゃないですかぁ?」
『・・・その話はやめて。その話を聞くと今握ってる枝を折りたくなるから』
クルシーナから本当に嫌そうな冷淡な声が聞こえてくる。ウツバットの惚れていたぬいぐるみは知っていたが、それに彼女がそこまで嫌悪感を示すものとは思っていなかった。
『ラベンだるま? 何それ? ラベンダーとだるまが合体ってーーーー』
「クルシーナ、何かあったら連絡くださいね」
『・・・あ、わかった』
何やらブツブツとつぶやきそうになったクルシーナに辟易して、ドクルンが通信を打ち切る。
「ふぅ・・・・・・」
一息をついてイタイノンの方を見やると・・・・・・。
「ノンお姉ちゃん♪ その冷たい視線をヘバリーヌちゃんに頂戴♪」
「こ、これは私のものなの・・・!!」
「ヘバリーヌ嬢・・・! イタイノン嬢とじゃれ合ってないで探すっすよ!!」
「え~・・・だってつまんないんだもん・・・。ピリピリした気配を感じないし~! 大好きなお姉ちゃんと一緒にいた方がいいもん♪」
「だからって私にくっつくのはやめろなの!!」
イタイノンがヘバリーヌに言い寄られていて、それをバテテモーダが咎めている。でも、ヘバリーヌは頬を膨らませながら、イタイノンに抱きついている。
「・・・こっちも苦労しそうですね」
ドクルンは頭に手を当てながら言うと、2人を働かせるべく歩み寄っていく。
一方、すこやか市の街の空では・・・・・・。
「ウツゥ・・・クルシーナも人使いが荒いウツ・・・」
ウツバットが飛びながら町並みを見渡していた。クルシーナに言われてあの平和に浮かれて呑気なプリキュアたちを探すためだ。
すこやか市の中学校・・・温泉街の街・・・ハーブ園の近く・・・競技場のあたり・・・先ほどからいろんな場所を飛んで探し回っているが、プリキュアがいる様子はない。
旅館沢泉・・・あのマゼンダショートヘアの少女の家にも行ってみたが、どうやら出かけているようだった。
そして、ワゴンが近くにある、動物クリニックへと向かっていく。
「一体、どうなってるラビ!?」
「!?」
可愛く怒鳴るような声が聞こえ、ウツバットはよろけそうになる。その声の主の方を見下ろすと、ワゴンのテラス席の辺りに見覚えのある3人と小さな動物たちが4匹いた。
「いたウツ・・・さっきの大声は泣き虫ウサギウツか・・・」
ウツバットは3人に飛行しているのがバレないようにゆっくりとワゴン車の看板の裏へと降りる。そして、3人の様子を伺うことに。
とりあえず、小さな声で一緒に連れている小さなコウモリの妖精に通信する。
ザザ・・・ザザ・・・。
「クルシーナ、プリキュアたちいたウツよ」
『遅いんだよ!! いつまでアタシを待たせる気!?』
クルシーナの怒鳴るような声に、思わず顔を顰めるウツバット。
「声がでかいウツよ・・・!! 様子伺ってるんだからウツ・・・!!」
『そこまで命じた覚えはないんだけど? まあ、いいけど・・・どこにいたの?』
「黄色のワゴン車の近くの席に座ってるウツ」
『あそこか・・・』
プツッ・・・!
クルシーナは確認すると早々に通信を切った。もしかして、ここに来るのか?
「「「「「えぇぇぇぇぇ!!??」」」」」
「!?」
また大声が聞こえてきて、よろけそうになるウツバット。様子の続きを見ると、どうやら大声を出したのは黄色の猫ーーーーニャトランが何かを言ったから、のようだった。
「あいつら・・・何、騒いでるウツ?」
ウツバットは話を聞いていなかったのであれだが、どうせしょうもないことなんだろうと呆れたように見やる。
その証拠に、ニャトランの顔が間抜けとしか言いようがないような惚気たような顔をしている。
「そういえば、あいつ・・・しょうもなく惚れっぽいヤツだったウツ・・・」
ヒーリングガーデンにいた頃、自分と同じ見習いだったあの黄色い猫はよく他のメス猫に惹かれることもあって、こっちが迷惑を被ることもあった。
それはあいつがメス猫に惚れると、イタイノンの相棒で同じ見習いだったネムレンが嫉妬をしていたのだ。その度に彼女の様子を探ってこいだの、ヒヅメでやつあたりされるだの、こっちがなぜか被害を被っていたのだ。
あいつが惚れるとすぐに自分が酷い目に会う。でも幸い、今はネムレンもここにはいない。自分は誰にもやつあたりされることもないのだ。安心して様子を伺える。
「うんうん・・・織江さんと仲良くなれるといいね!!」
「だよな!!」
ニャトランのパートナーである栗毛ツインテールの少女が嬉しそうに言うと、ニャトランは目をキラキラと輝かせた。逆に青色のペンギンーーーーペギタンと泣き虫ウサギこと、ラビリンは衝撃を受けているようだ。
「なんであいつがプリキュアとしてお手当てなんかしてるウツ・・・」
ウツバットは信じられなかった。パートナーは恋だと知らないのかわからないが、仲良くなるのを喜んでおり、ニャトランは言わば自分の欲しか考えていない。あんな奴らがどうしてプリキュアなんかになれるのか・・・。
シュルシュルシュル・・・・・・。
「ウツ? ウツゥゥゥゥゥゥ!!!」
そんなことを考えていると、体を白と黒のイバラに縛られ、そのまま木の板の柵の方へと引っ張られる。
そして、誰かの手にシュタッと納まる。
「・・・何やってんの?」
「クルシーナ、いたウツか・・・?」
「さっき来たんだよ」
ウツバットの目の前には不機嫌そうな顔のクルシーナがいた。今にも握り潰そうな力でウツバットを掴んでいる。
「早く帽子に戻れ」
「人使い、コウモリ使いが荒いウツ」
ウツバットは文句をたれながらも、クルシーナの頭に収まる帽子に戻る。
「あいつらは、っと・・・」
板の柵の上から少し向こうを覗き込むと、あいつらはどこかに行こうとしているようだった。
さてとどうしようか・・・ここから奴らの後をつけるか・・・それとも、ヒーリングアニマルのあの子犬だけを記録しておくか。
とりあえず、あいつらに手下にはつけておこうか・・・。
クルシーナは右指を鳴らして、小さなコウモリの妖精を何体か出す。
「あいつらの後をつけて監視しろ。なんだったら記録してもいい。特にあの子犬はマークしておけ」
それだけ言われると小さなコウモリの妖精たちは、散らばってプリキュアたちの元へと飛んでいく。
「さてと、アタシは適当な場所で昼寝しよっかな、っと」
「・・・ドクルンとイタイノンたちに怒られるウツよ」
「うるっさい!」
「ホゲェッ!?」
両腕を伸ばしながら言うクルシーナにウツバットは咎めるも、彼女の拳一発で黙らされた。
クルシーナはそのまま上空へと飛び上がると、森の方へと飛んでいく。
ザザ・・・ザザ・・・
「プリキュア、見つけたわよ」
『そうですか? どこに?』
「どっか行くみたい。そっちにあるコウモリを映してみて、記録するように言ったからどこにいるか分かるはずよ」
『わかりました』
クルシーナはただ怠けようとしたわけではない。ちゃんと手下に仕事をさせた上で、あいつらにも情報共有をしておくことで、検証を効率化させようとしたのだ。
それでも、昼寝を決め込もうとした時点で怠けようとしているのには変わらないが・・・。
「そっちは?」
『こっちはですねーーーー』
バチバチバチバチバチバチ!!!!!!
「っ・・・!」
通信から聞こえてきた凄まじい音に、顔を顰めるクルシーナ。
『はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・』
『あぁん・・・激しすぎて・・・気持ちよすぎて・・・イっちゃう・・・♪』
『へ、ヘバリーヌ嬢、大丈夫っすか!?』
『・・・お前も私のストレス発散に付き合えなの・・・!!』
『ま、待って!! お嬢!! ひぃぃ!?』
『相変わらず遊んでますねぇ』
「・・・まだやってんの?」
『私に止める義理はないので』
「・・・アンタの氷の能力で、そいつらの出番が来るまで氷漬けにしとけば?」
クルシーナはそう言うと通信を切ると、少しスピードを上げて森の方へ飛んでいく。最近はプリキュアの対抗策を寝ずに行っていたし、昼寝もできていないから、少しは眠りたい・・・・・・。
彼女は心の中でそう思い込んでいた。
そして、森の入り口のすぐ近くにある適当な木の上に横になる。
あいつらに任せて、アタシはゆっくり、と・・・・・・。
クルシーナはそのまま寝返りを打つこともなく、闇へと意識を落としていった・・・。
ザザ・・・ザザ・・・ザザ・・・。
「ーーーちゃん、ごめんね・・・。本当は病気のあなたのところにいてあげたいんだけど・・・」
「大丈夫。お父さんは、気にしないで仕事してきて」
「いい子ね、あなたは・・・。嫁にしたいくらいだけど・・・」
「何、言ってるの?」
ザザ・・・ザザ・・・ザザ・・・。
「・・・花を見にきたの?」
「え・・・?」
「・・・花を見にきたの?」
「・・・・・・」
コクコク
「おいで」
「あ、ま、待って・・・」
ザザ・・・ザザ・・・ザザ・・・。
「ーーーちゃ~ん!!」
「ーーちゃん・・・!」
「今日も来ちゃったぁ!」
「今日は嬉しそうね、何かあったの?」
「うん! やっと手術ができそうなんだ! うまくいけば退院できるかも!!」
「そう、よかったわね」
ザザ・・・ザザ・・・ザザ・・・。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・!」
「ーーちゃん!! ーーちゃん!! しっかりして!!」
「はぁ・・・はぁ・・・ーーー、ちゃん・・・はぁ・・・はぁ・・・!」
「待ってて!! 今、看護師さんに・・・!!」
「うぅぅぅ・・・ーーー、ちゃん・・・」
「ーーちゃん・・・?」
「苦し、い・・・助け、て・・・一人に、しない、で・・・!」
「!!・・・誰かぁ!! 誰かいないのー!!??」
ザザ・・・ザザ・・・ザザ・・・。
「だいじょうぶ・・・?」
「ーーーを心配してくれるの?」
「うん・・・・・・」
ザザ・・・ザザ・・・ザザ・・・。
「アタシが連れ回したりなんかしたから、ーーちゃんはあんなことになったんだ・・・」
「君のせいじゃないよ。君はーーーと一緒にいてくれたんだろ?」
「私たちは恨まないわ。だってあなたのおかげで、一人悲しそうな顔をしてたあの子が笑顔になったんだから・・・」
「・・・・・・・・・」
ザザ・・・ザザ・・・ザザ・・・。
「残念だけど・・・あなたの娘さんの、病気は・・・!!」
「嘘よ・・・嘘言わないで!! そんなことあるはずないわ!! うちの娘が治らないんて・・・!!」
「お父さん、落ち着いてくれ・・・!!」
「!?」
そ・・・そんな・・・・・・アタシの、病気が・・・・・・?
嘘・・・嘘だよ・・・!! 嘘だッ!!!! ーーちゃんと約束したのに!!!! 一緒に体を治そうって!!!!
例え病院が離れたとしても、絶対に治して会おうって!!!!
ザザ・・・ザザ・・・ザザ・・・。
アタシにはもう、夢も、希望もないんだ・・・・・・。
一生、この箱から出られないままなんだ・・・・・・。
もうあの娘も、アタシのことなんか忘れて病院に出ているだろうなぁ・・・。
どうして・・・どうしてよ・・・なんでアタシは元気になっちゃ、いけないの・・・? アタシが何をしたって、いうの・・・?
いらない・・・こんな世界、いらない・・・アタシを拒絶する世界なんかいらない・・・。
みんなみんな、アタシみたいに病気になって、一生苦しんでればいいんだ・・・!!!!
『・・・シーナ・・・クルシーナ!!』
「!?」
切ったはずの通信機から声が聞こえたドクルンの声に、眠っていたクルシーナは目を見開いて息を切らせる。
「ドク、ルン・・・?」
『どうしたのですか? 随分と苦しそうに呻く声が聞こえたので・・・』
体を起こして額を拭うと、手の甲が汗で濡れ、脂汗をかいていたことがわかる。
「っ・・・なんでもないわ・・・」
『・・・本当に大丈夫ですか?』
「そんなことよりも、あいつらは・・・?」
ドクルンの通話を打ち切って、クルシーナがプリキュア3人の様子を聞く。
『・・・直接見てはいませんよ。ただ通信の映像を見る限りでは、彼女たちは足湯に入ってますね』
「そう・・・」
『その前には何やらオープン前の店に入っていましたけどね』
オープン前の店に行った・・・? ということは、あいつらはその店のやつらと関わりがあるということか? 特にあの黄色い猫のヒーリングアニマル、あいつの様子も少し変だったが、もしかして・・・?
そこまで考えたクルシーナは通信機に向けて語りかける。
「ドクルン、そのお店の前で待ち構えておいて」
『なぜですか?』
「あいつら、そこに来るかもしれない。場所はわかってるんでしょ?」
『ええ、まあ・・・』
「じゃあ、お願いね・・・」
クルシーナはそう言って通信を切ると、森から離れるように飛ぶ。プリキュアたちを張り込んで、監視を再開するために・・・。
飛んで向かっている最中、クルシーナはこんなことを考えていた。
さっき見た夢は、アタシの夢なんだろうが、関係ない。アタシはアタシ、あんなものを見せられようが、アタシにはどうでもいいことだ。
クルシーナは不機嫌そうな普段の表情をしながら、プリキュア3人を探すのであった。
「はぁ・・・クルシーナ、大丈夫なのかしら?」
ドクルンはため息を吐きながら、プリキュアたちが向かうであろうお店の前に向かおうと歩いていた。
「クルシーナがどうかした? なの」
イタイノンが淡々としながら彼女に聞いてくる。
「どうやら眠っていたみたいですが、苦しそうな声が聞こえたので起こしたのですよ。本人は大丈夫と言っていましたが・・・」
「・・・怠けるからバチが当たったの」
ドクルンの心配そうな声に、イタイノンは呆れたように返した。
「でも、それ頭痛と関係ある? なの」
「・・・・・・・・・」
「私も頭痛があると変な夢を見るの。まるで私が経験をしたような感じの記憶みたいなもの、なの」
しかし、正面を向くと不安そうな顔をでそう話した。
「・・・さあ。でも、これだけは言えます。彼女は絶対に無理してる、そんな夢を何回も見させられれば彼女も辛いでしょうに・・・」
ドクルンは真面目なトーンで返すと、正面にいる新人幹部二人を見やる。
「どんなものがあるのかなぁ~? フンフンフ~ン♪」
「早くこの辺一帯を蝕みたくてたまんないっすよ~、ヘバリーヌ嬢~!」
「まだかなまだかなぁ~♪」
ヘバリーヌとバテテモーダはワクワクしながらその場所に向かっていた。
「あの二人はいいですねぇ・・・能天気で・・・」
「逆に心配になるの・・・」
そんな二人の様子を、ドクルンは苦笑いを浮かべながらいい、イタイノンはなんとも言えない表情で見ていた。
そして山へと向かう坂道を下ってきたところ・・・・・・。
「んっ・・・?」
イタイノンは何やら爽やかな、自身にとっては不快とも取れるような匂いがしてきて、思わず鼻を摘んで顔をしかめる。
「何、この匂い、なの・・・」
「何だか爽やかな香りがしますね・・・」
ドクルンは鼻をスンスンとさせながら、表情を少し顰める。
「う~ん、う~ん、いいにお~い♪ 気持ちよくなっちゃう~♪」
ヘバリーヌは頬を赤く染めながら、体を悶えさせている。体にジンジンときているようだが、それに快感を覚えているようだ。
「お嬢!! 多分、あそこからっす!!」
鼻を摘みながらバテテモーダが指をさす視線の先には、一つのお店があった。
「あれは・・・プリキュアたちがいたお店なのでは?」
「よりにもよって、あんな不快な匂いのお店なの・・・」
確か小さなコウモリで偵察してみる限りでは、アロマショップのお店だったはず。しかも、まだ開店する前のお店だ。
ドクルンは何か思うところがあるのか、その店の近くへと歩んでいく。
「ドクルン、まさか・・・いくの・・・?」
「プリキュアが来る場所であれば、好都合でしょう。あそこで張り込んでおきましょう。不快な環境もありそうですし・・・」
「あ・・・待つの・・・!!」
イタイノンは追いかけるようについていく。バテテモーダもヘバリーヌは顔をあわせると、先輩幹部二人の後についていく。
ザザ・・・ザザ・・・。
『そっちの状況は?』
小さな妖精のコウモリからクルシーナの声が聞こえてきた。
「とりあえず、素体は見つかりそうですね」
『そう・・・』
「そっちはいかがですか?」
『あいつら・・・動物のクリニックにいるわよ。黄色いやつと猫が何かはしゃいでたけど』
クルシーナの淡々とした声が聞こえる。
「クルシーナ・・・本当に大丈夫なんですか?」
『・・・何がよ?』
ドクルンの淡々としつつも懸念しているかのような言葉に、クルシーナの不機嫌そうな声が聞こえてくる。
「自分でわかってるくせに・・・」
『だから・・・! 何が?つってんの』
ドクルンが瞑目しながらそう言うと、クルシーナはイラッとしたような声で返す。
「私たち、変な夢や映像を見るでしょ?なの。自分が自分でないような気がしてきたの・・・本当は今の私たちが嘘なんじゃないかって、なの・・・」
不安そうな声を漏らすイタイノン。どうやら自分の身に覚えのない自分や記憶を見て怯えている模様。
その言葉に通信機から深いため息が聞こえてきた。
『あのね・・・どんな映像が頭の中に流れてたってアタシたちはアタシたちなの。わかる?』
「・・・・・・・・・」
『そんなことに戸惑っててどうすんだってこと、そんなのがあってもアタシらは変わらない』
「・・・そう、なの?」
イタイノンはクルシーナの言葉にボソリとつぶやく。
『例え今のアタシたちの姿が紛い物や嘘だったとしても、アタシたちにとってはそれらを含めて、それが全てよ。それが今に繋がってるって考えれば、何も気にならないでしょ』
「・・・・・・・・・」
イタイノンはクルシーナからの言葉を聞いても無表情で沈黙していた。
『! 奴ら家から出てきたわよ』
「そうですか・・・じゃあ、そろそろ始めますか」
『いいわよ、あの子犬もいるみたいだし』
「じゃあ、通信は繋げたままで」
ドクルンはクルシーナにそう言うと、3人を連れてアロマショップの近くの広いところへと歩く。ちなみに店を見てみると、どうやら開店間近でお客がたくさん並んでいる。
「本当に生きてる感じがしますね。全くもって不愉快だ・・・」
ドクルンはその様子を見て顔を顰めると、笑顔を貼り付けて新人の二人に向き直る。
「さて、バテテモーダとヘバリーヌ」
「うっす!」
「は~い!!」
「メガビョーゲンを生み出してください。そろそろ検証を開始します」
ドクルンがそう言うと二人は目をキラキラとさせる。
「本当っすか~!? いやぁ~、あの爽やかな香りが鼻障りで仕方なかったんですわ~! どんどん消し去ってやるっす~!!」
バテテモーダはそう言うと、店長と思われる眼鏡の女性が店の前に飾ったランタンのキャンドルに目をつける。
「いいのぉ~? ドクルンお姉ちゃん?」
「もちろんですよ。仕事はしてもらわないと・・・」
「う~ん、でも~・・・他に何があるのぉ?・・・おぉ!」
ヘバリーヌは目をキョロキョロとさせているとあるものを見つけた。それは向かいの青い屋根の家、そこに何かがあるのを感じた。
彼女は人にバレないように岩の壁にぶら下がって中を覗いてみると、その下に小さなコンポが放置されているのが見えた。
「ああいうのでもいっかぁ~♪」
ヘバリーヌはいたずらっ子のような笑みを浮かべると、バレリーナのようなポーズを2回取りながら、それぞれ手を叩き、バレエのように体をクルクルと回転させる。
「進化しちゃってぇ~、ナノビョ~ゲン♪」
「ナノォ~♪」
ナノビョーゲンが鳴き声を上げながら、その小さなコンポに取り憑く。小さなコンポが徐々に病気に蝕まれていく。
「・・・!?・・・!!」
コンポの中に宿っているエレメントさんが病気に蝕まれていく。
そのエレメントさんを主体として、巨大な怪物がその姿をかたどっていく。凶悪そうな目つき、不健康そうな姿、そしてそれを模倣する様々な自然のものが姿として現れていき・・・。
「メガビョ~ゲン!!」
コンポのような頭部に不健康そうな顔、足に4対8個のスピーカーを搭載した人型のメガビョーゲンが誕生した。
「メガ~!!」
メガビョーゲンはコンポのような頭部にあるスピーカーから赤い音波を店の向かいの建物に向かって放つと、それを浴びた家や植物たちが病気に蝕まれていく。
「ンフフ~♪ 気持ちいいものの上に気持ちいいことをして、さらに気持ちよくしないとね~♪」
ヘバリーヌは悶えた後に両腕を大きく広げながら、気持ちよさそうな表情を浮かべた。
のどかたちは織江というアロマショップを経営する女性に、ニャトランが惚れたことを知り、彼は彼女に想いを伝えようと奮闘していた。他のメンバーが戸惑いを見せる中、パートナーのひなただけは彼を応援しようとしていた。
店の前で倒れていたところを助けてもらった恩を返そうと、3人は織江さんの家へと向かった。そこで引越しの手伝いやお店の宣伝をしたりと彼女の手伝いをした。そんな中、ニャトランは彼女に想いを伝えたいと3人に語り、ひなたはそれならプレゼントを贈ろうと提案。
ビーズメーカーを使って、気合を入れてアクセサリーを作る彼の姿に、ラビリンやペギタンもパートナーを交代してしまうのではないかと気が気でない様子。
そして、3人はできたプレゼントを持って再び織江のアロマショップへと向かっていた。
「・・・喜んでもらえるかな?」
「気持ちめっちゃ込めたし! 大丈夫だよ!」
不安になるニャトランに、ひなたは彼を励ましてあげる。あんなに一生懸命にやったんだから、思いは絶対に伝わるはず・・・。
「・・・ふん、のんきな連中ね」
そんな彼女たちの様子を、クルシーナが通りの店の屋根の上から見下ろしていた。
『メガ~!』
小さなコウモリの妖精からはメガビョーゲンの声が聞こえている。あの新人幹部二人がナノビョーゲンを飛ばして生み出したようだ。
さて、あの子犬の様子はどうなっているのか・・・。
しばらく様子を見ていると・・・・・・。
「クチュン!! クチュン!!」
「「!?」」
注視していたあの子犬が、くしゃみをして体調を崩したようだ。それに気づいたプリキュアの二人が、栗色の少女に呼びかけてどこかへと走って向かうようだった。
「・・・ほぉ?」
クルシーナはそれを見て確信を持ったかのように笑みを浮かべる。やっぱりあの子犬はメガビョーゲンが現れると反応している。ということは、あいつはヒーリングガーデンの女王、テアティーヌの・・・。
彼女はそこまで考えると3人を追うべく、店と店の間を飛んでいく。あいつらが入った先は人気のない路地裏だった。
ビルの上から3人を覗いてみると、聴診器のようなものを子犬に当てようとしていた。
(良い香りの炎さんが泣いてるラテ・・・良い音が出る機械さんが泣いてるラテ・・・)
「良い香り・・・? もしかして!」
栗色の少女は黄色い猫とお互い頷くと、一足先に駆け出し、マゼンダ色の少女と藍色の少女はその後を追って走り出す。
クルシーナはそれを見やると、ちょうど3人がいた位置へと飛び降りる。
「これで全部わかったわね。あの子犬はアタシたちにとってガンでしかないってこと」
不敵な笑みを浮かべてそう言うと、小さなコウモリの妖精に呼びかける。
「ドクルン、イタイノン、検証終了よ。やっぱりドンピシャだったわ」
『・・・そうですか』
「あとは新人二人の好きなようにさせましょうか」
『・・・不本意だけど、仕方ないの』
クルシーナはそう言って通信を切ると、メガビョーゲンの場所へ向かう・・・・・・ことはせずに、昼寝を決め込める場所を探し始めた。