ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter 作:早乙女
ビョーゲン三人娘の作戦、今日と出るか吉と出るか、その内容をご覧ください。
「メガ~!!」
ヘバリーヌが生み出したスピーカー型のメガビョーゲンは、頭部のスピーカーから赤い音波を放ち、青い家の屋根や庭、草原の向こうの林や隣の建物の壁を赤い靄へと染めていく。
「メガ~、ビョビョビョビョビョ!!」
一方、バテテモーダが生み出した両腕に3本のロウソクをつけたキャンドル型のメガビョーゲンは、口からロウソクを吹き、近くの森や草原、織江の店の壁などに付着させて蝕み始める。
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ああ・・・くっ・・・!!」
その場にいたお客は悲鳴を上げて逃げ出し、織江は突然現れた怪物に呆然としつつも逃げ出していく。
「おやおや、蝕むのが随分と早いですねぇ」
「見ているのが嫌になるくらいなの・・・」
その様子を店の建物から見下ろしていたドクルンとイタイノンはそれぞれの反応を示した。二体のメガビョーゲンはあっという間に店周辺を赤色に染めて行っており、コンポ型のメガビョーゲンは気のせいか少し大きくなっている気がする。
「織江さんのお店が!!」
「っていうか、あっちもまた大きくなってない!?」
そこへ入れ替わるかのようにひなたたち3人がメガビョーゲンの元へと到着した。
ひなたは持っていた袋を近くのベンチへと置いた後、二人の方を向く。
「みんな!!」
「「うん!!」」
「「「スタート!」」」
「「「プリキュア、オペレーション!!」」」
「エレメントレベル、上昇ラビ!!」
「エレメントレベル、上昇ペエ!!」
「エレメントレベル、上昇ニャ!!」
「「「キュアタッチ!!」」」
ラビリン、ペギタン、ニャトランがステッキの中に入ると、のどか、ちゆ、ひなたはそれぞれ花のエレメントボトル、水のエレメントボトル、光のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。
そして、肉球にタッチすると、花、水、星をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、水色、黄色を基調とした衣装へと変わっていく。
そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ちゆは水色、ひなたは黄色へと変化する。
キュン!
「「重なる二つの花!」」
「キュアグレース!」
「ラビ!」
のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。
キュン!
「「交わる二つの流れ!」」
「キュアフォンテーヌ!」
「ペエ!」
ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身。
キュン!
「「溶け合う二つの光!」」
「キュアスパークル!」
「ニャ!」
ひなたは光のプリキュア、キュアスパークルに変身した。
「「「地球をお手当て!!」」」
「「「ヒーリングっど♥プリキュア!!」」」
変身を終えた3人はメガビョーゲンの前へと立ちはだかる。
「メガ~! ビョビョビョ!! ビョビョビョ!!」
キャンドル型のメガビョーゲンは3人に構うことなく、口からロウソクを吐き続ける。
「メガビョ~!!」
コンポ型のメガビョーゲンは頭部と足元についているスピーカーから赤い音波を放って病気へと蝕んでいた。
「ちょっと!! 何してくれちゃってんの!?」
「メガ~」
「メガビョ~ゲン!」
スパークルが怒鳴ると、動きを止めてプリキュアの前に立つメガビョーゲンたち。
そして、それぞれのメガビョーゲンの足元から現れる二つの影。
「おっ!プリキュア!ち~っす!」
ヘラヘラした顔で出てきたのはバテテモーダ。
「プリキュアちゃんたち、来たんだ~♪」
妖艶な微笑みを浮かべていたのはヘバリーヌだった。
「バテテモーダ! ヘバリーヌ! こんにゃろぉ!!」
「これ以上、好きにはさせないよ!」
3人はメガビョーゲンへと立ち向かっていく。
「メガ! メガ! メッガ!!」
対するキャンドル型のメガビョーゲンはロウソクを口から放ち、3人はそれを避ける。
「メガビョ~ゲン!!!」
ドォォォォォン!!!!
コンポ型のメガビョーゲンは頭部、腕、両足のスピーカーから空中に飛んだプリキュアに向かって破壊音波を放った。
「「「きゃあぁぁぁぁ!!!」」」
音波をまともに食らって吹き飛ばされた3人は、なんとか体勢を立て直して地面に着地をする。
「近づけない・・・!!」
メガビョーゲンに手こずるプリキュアたち。まともに近づくとロウソク攻撃及び音波攻撃が阻み、うかつに近寄ることすらできない。
「じゃあ、ヘバリーヌちゃんが近づいてア・ゲ・ル♪」
「!? きゃあ!?」
そんなフォンテーヌの目の前にヘバリーヌが近づき、彼女を蹴り飛ばす。
「フォンテーヌ!」
「よそ見しな~い!」
「!? あっ!?」
叫ぶグレースの背後からはバテテモーダが近づき、爪攻撃を浴びせる。
「んにゃろぉ!!」
「グワハァッ!?」
そこへスパークルが飛んできて、飛び蹴りをお見舞いして吹き飛ばす。そのまま攻撃を受けたグレースへと駆け寄る。
「上にい~るよ♪」
しかし、声が聞こえてきたかと思うと体を上下逆さにしていたヘバリーヌがいつの間にか現れていた。
「!?」
「そ~れっと!!」
ドカァァァァァン!!!!
「「あぁぁぁぁ!!!!」」
ヘバリーヌは両腕を地に伸ばした状態のまま、体を回転させると彼女の周りに竜巻が発生し、そのまま下にいた二人へと突っ込んだ。
大きな土煙が立ち、その中からグレースとスパークルが吹き飛んできた。
「グレース!スパークル!」
フォンテーヌが二人に駆け寄って呼びかけると、グレースとスパークルは起き上がる。
「よっ!と!」
地面に衝突して回転していたヘバリーヌはその動きを止め、片手で逆立ちした体勢のまま地面を押して飛び上がり、倒れているバテテモーダの横に着地する。
「もぉ~、モーダちゃんったら油断しすぎ~♪」
「いやぁ~、悪い悪いっす~! にしても、いいねぇ! いいねぇ! やっぱり戦うのは楽しいっすねぇ~!」
ヘバリーヌが甘い声で声をかけると、バテテモーダはすくっと起き上がってヘラヘラした後、ニヤリと笑みを浮かべる。
「ヘバリーヌちゃんも腕痛ぁ~い、でもそこがまたいいぃ~♪」
一方、ヘバリーヌは両手を見つつも、すぐに両手を頬に当てて顔を赤らめる。
「・・・やっぱり、強い・・・!」
一見、お調子者のように見えても、実力は相当なもの。そう感じざるを得ないグレース。
「メッガビョー、ビョーゲン!」
キャンドル型のメガビョーゲンが両手についているロウソクをミサイルのようにして発射する。
「メガビョ~~~、ゲン!!!」
コンポ型のメガビョーゲンは、頭部と両腕のコンポから周波数のような光線を放つ。
「「「!?」」」
ドカァン!! ドカァァァァァァァン!!!
同時に襲い来るミサイルと光線。三人は飛び退いてその二つの攻撃を交わす。
「あっ!?」
その時、一つのミサイルがあらぬ方向へと飛んでいくのをスパークルが見る。その先にあるのはニャトランが一生懸命作ったアクセサリーの袋・・・・・・。
「やばっ!!」
スパークルはとっさに駆け出して、間一髪でベンチの上の袋を手に取る。
ドカァァァァァン!!!
「きゃあぁぁ!!」
しかし、飛んできたミサイルをまともに受けてしまい、吹き飛ばされて地面へと落ちる。
「「スパークル!!」」
「メガビョ~~~~!!!」
ドォォォォォォォォン!!!
「「うっ・・・!!」」
グレースとフォンテーヌが彼女に駆け寄ろうとするが、そこへコンポ型のメガビョーゲンが頭部のコンポから音波を浴びせて、思わず二人は耳を塞ぐ。
そこへバテテモーダとヘバリーヌの二人が、彼女たちの目の前へと飛び降りてくる。
「ダメダメ! よそ見ダメェ!!」
「焦らさないでもっと相手してぇ~♪♪」
プリキュアの行く手を阻もうと襲い掛かるビョーゲンズの二人。興奮しきっていたバテテモーダはフォンテーヌへと拳を振るい、ヘバリーヌは両手に竜巻を纏わせるとそれをグレースにぶつけようと向かってくる。
「くっ・・・はぁ!!」
「うおぉ!?」
フォンテーヌは拳を両腕をクロスさせて防ぎ、逆に拳を押し返す。
「ぷにシールド!!」
「うっ・・・!」
ほぼゼロ距離から放ってきた竜巻をグレースは肉球型のシールドを展開して防ぐも、勢いが強くかなり苦しい様子だ。
「いい感じぃ~? じゃあ、もっと強くするねぇ~♪」
「っ!? うぅぅっ・・・きゃあぁぁぁ!!!」
ヘバリーヌは甘い声を上げると両手の竜巻の風力をさらに強くし、グレースはそれでも耐えようとするが、ぷにシールドごと吹き飛ばされてしまう。
「グレース!!」
「よそ見はダメって言ったっしょ!」
「あぁぁぁ!!!」
グレースに気を取られたフォンテーヌはバテテモーダの攻撃を受け、彼女の横へと吹き飛ばされる。
「メガビョ~~~~!!!」
そこへコンポ型のメガビョーゲンが頭部、両腕、両足にあるスピーカーから怪音波を放つ。
「うっ・・・あぁぁぁぁ!!!」
「ぐっ・・・くぅぅぅぅ!!!」
不快な音波を浴びせられ、耳を塞ぐ二人。頭が割れそうになるほどの音が二人の耳から頭の中に襲い来る。
「くっ、ぅぅぅぅ!! 氷のエレメント!! はぁぁぁぁ!!!」
フォンテーヌは顔を苦痛に顰めつつも、氷のエレメントボトルをステッキにはめ込むとコンポ型のメガビョーゲンの腹部に目掛けて放つ。
「メッガ~~!?」
メガビョーゲンはまともに喰らうと全身が氷漬けになり、怪音波の放出が止まる。
「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「メッガー!?」
フォンテーヌはそのまま飛び上がると、メガビョーゲンに向かってさらに蹴りを放ち、地面へと倒した。
一方、建物の屋上でそんな戦いを見下ろしていたドクルンとイタイノンは・・・・・・。
「ふぅ・・・面白くもない戦いね・・・」
ドクルンはその様子をつまらなそうに見ていた。
ビョーゲンズとプリキュア、やりつつやられつつの攻防戦のようなもの。地球を病気で蝕む行為はプリキュアに妨害されて一切できていないし、かといってもあの二人も舐めきっているのか本気であいつらを倒そうという気がまったくない。本当に味のない戦いだ。
「・・・・・・・・・」
「? どうしたのですか? イタイノン」
ドクルンが戦いに酷評をしている中、イタイノンは別の場所を黙って見下ろしていた。それは先ほどメガビョーゲンの攻撃で吹き飛ばされたスパークルの姿だ。
プレゼントが無事だったことをステッキのニャトランに話しているであろうスパークル。
何故だろう? あれを見ていると顔をしかめるほどではないが、頭がシクシクと痛む。
スパークルは傷つきつつも、ニャトランのステッキを上に掲げる。
「へへへ・・・ニャトラン、アタシに言ってくれたじゃん? プリキュアになるときに好きなものや大切なものを守るんだよ、って。守りたいんだ、ニャトランの気持ち!」
「!!」
「あたしはさあ、一つのことに集中するのって苦手じゃん? だから、何かを特別に好きっていうのわからないんだ・・・」
スパークルは笑いながら、ニャトランに気持ちを語りかける。
「・・・・・・・・・」
イタイノンはその様子を黙って見つめる。やっぱり、頭がシクシクとする。
「それがすっごく嬉しいの!! 一生懸命なニャトランすごくかっこよかったもん!!」
「!!・・・か、カッコイイのはスパークルニャ!! 今日だっていっぱいアイデアを出して! 一つのことに満足しないで、ぐんぐん進む! すごいやつだって思ってたニャ!! 」
ニャトランもスパークルに対して、その思いを打ち明ける。
「やった!! アタシたち両思いじゃん!!」
「あったりまえだぜ!!」
スパークルとニャトランはお互いに笑顔になりながら、頬を寄せ合う。
「!!?? ぐ、うっ・・・!!」
「イタイノン・・・!?」
イタイノンに顔をしかめて頭を押さえるほどの頭痛が襲った。ドクルンは彼女の異変に表情を変え、彼女へと近寄る。
「!!?? う・・・あ・・・!」
「ス、スパークル!? どうしたニャ!?」
「あ、頭が痛く、なって・・・!!」
その異変はスパークルにも起きており、顔を苦痛に歪めてステッキを持っていない方の手で押さえ始める。
イタイノンはドクルンに胸の中で支えられながら、スパークルは地面に倒れて悶えながら、ある映像が見えてきた。
ザザ・・・ザザ・・・ザザ・・・。
ーーーーねえ、ーーっち!
ーーーー・・・何? なの。
ーーーーこれプレゼント!! ーーっちにあげる!!
ーーーー・・・これは?
ーーーー蝶の髪飾り! ーーっちに似合うと思うんだ~!!
ーーーー・・・仕方ないから着けてやるの。
ーーーーやったー!! これはあたしたちの想いの証、これからも友達ってこと!!
ーーーーあんまりお前には関わりたくないの・・・好きになっちゃうから・・・。
ーーーーうえぇ!? ひどーい!! あたし、ヘコむかも・・・。
ーーーー・・・嘘なの。ーーーは本当にわかりやすいやつなの。
ーーーーあたし、からかわれただけ!? もうーーっちたら・・・。
ーーーーキヒヒ・・・。
ーーーーフフフ・・・。
・・・えっ・・・何、これ・・・なの・・・?
ザザ・・・ザザ・・・ザザ・・・ザザ・・・。
ーーーー!? ーーっち、大丈夫!?
ガシャン!!!!
ーーーーぐ、うぅぅぅ・・・!!!
ーーーー胸、痛いの!?
ーーーーうぅぅぅぅ・・・!!!
ーーーーえっと、こういうとき! どうすればいいんだっけ!?
ーーーーあぁ、ぁぁぁぁ・・・!!!
ーーーーあ、そうだ!! とにかく、病院に電話しなきゃ!! えっと、お兄ぃ!! お姉ぇ!!
えっ・・・こんな記憶、あった、っけ・・・?
ザザ・・・ザザ・・・ザザ・・・。
ーーーー大丈夫・・・?
ーーーー別に・・・何ともないの・・・。
ーーーー全然大丈夫そうに見えないよぉ・・・!
ーーーー心配するな、なの。私は死なないよ、なの・・・。
ーーーー本当?
ーーーーうん。
ーーーー本当に本当!?
ーーーー・・・うん。
ーーーー本当に本当に本当!?
ーーーーっ・・・もううるさいの・・・! 大丈夫ったら大丈夫なの!!
ーーーー・・・約束だよ。
ーーーーえっ・・・?
ーーーー病院から出てこれたら、また一緒に外で遊ぼう! 公園や森とか、いろんなところでさ!!
ーーーー・・・外も人も嫌なの。この病院だって大嫌いなの・・・。
ーーーーあ・・・。
ーーーーでも、お前と一緒だったら、頑張れそうだし、外も行けるような気がするの。
ーーーー!! うん!! 約束だよ!! らむっち!!
ーーーー約束なの・・・・・・ひなた。
ザザザザザザザザ・・・・・・。
「っ!!?? はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
イタイノンはひとしきりの映像を見せられた後、息を切らす。
「大丈夫ですか? イタイノン」
声をした方を振り向くと、ドクルンの胸に抱かれていることに気づく。
「っ・・・!!」
イタイノンはドクルンの胸から乱暴に抜け出すと、息を整えつつも額の汗を拭う。そして、スパークルの方を再度見やる。その表情は不機嫌そうに顰められていた。
一方、スパークルの方は・・・・・・。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「スパークル、大丈夫かニャ!?」
地面に伏して息を整えていたスパークルに、ニャトランが心配そうに叫ぶ。スパークルの顔には汗がかなり滲んでいた。
スパークルはそんな中で、あることを考えようとしていた。
(あたし・・・誰かと、なんか、約束してた・・・?)
先ほど流れてきた映像、自分の記憶なのだろうが・・・全く覚えがない。しかも、病院で誰かと何かを約束している。何か、大事なことを忘れているような・・・。
そんな時だった・・・・・・・・・。
ドガッ!!!
「きゃあぁぁぁ!!!」
そこへ風を切ったような音がすると、スパークルの腹部に痛みが走ったかと思うと体が吹き飛ばされる。
「スパークル!!」
「うぅぅ・・・あっ・・・!?」
スパークルは傷ついた体を懸命に起こして、自分を吹き飛ばした相手の顔を見ると、それはバテテモーダでもなく、ヘバリーヌでもなかった。
「イタイノン・・・なんで・・・!?」
「っ・・・・・・」
そこにはいるはずのないイタイノンの姿があり、スパークルは驚く。しかし、その表情は痛みを抑えているかのように顰められていて、顔にも汗が浮かんでいた。
イタイノンはフラフラとしつつも、倒れ伏しているスパークルに近づく。
「・・・お前、どこかで・・・?」
「えっ・・・?」
イタイノンが漏らした言葉に、スパークルはよくわからずに、目を丸くする。
イタイノンは、自分が会ったとされるあの映像の少女とこいつはよく似ている。背の高さは今と比べて違うとは思うが、もしかして、自分とこいつはどこかで会ったことがあるのでは? そう思い、彼女に問いただそうとしていた。
「どこかで、会ったこと、ある、の・・・?」
「な、何、言ってんの・・・?」
イタイノンは顔を顰めながらも、スパークルに迫ろうとする。
「イタイノン! しっかりするネム!!」
「!?」
イタイノンはカチューシャになっているネムレンの叫ぶ声を受けて、我に帰る。そして首を振って、私とこいつが会ったことがあるだなんて考えを振り払おうとする。
「関係ない・・・関係ないの・・・!」
イタイノンは頭を押さえながら、首を振るもなんだか混乱している模様。遂には頭を押さえながら、うずくまるようにしてしゃがみ込んでしまった。
スパークルはその姿を見て動揺するも、どう見ても敵の様子がおかしいことに気づく。
あたしにさっき流れてきた記憶の少女に似ている・・・あたしはこの子に会ったことがあるの・・・?
スパークルは体を引きずりながら、彼女に近寄ろうとする。
「お、おい! スパークル!! 何する気だよ!?」
ニャトランが叫ぶも、スパークルはそれでも彼女に近づく。
「もしかして、あんた・・・?」
「触るななの!!!」
触れようとしていたスパークルだが、イタイノンはその寸前で拒絶の声を上げて、彼女の手を払いのける。
「私は、嫌いなの・・・お前なんか、人間なんか、大嫌いなの・・・!!」
イタイノンは再び立ち上がると足をフラつかせながらも、後ずさっていく。
「イタイノン・・・・・・」
スパークルは何やら悲しそうな表情を浮かべると、再び彼女へと近づこうとするが、そこへ風を切るような音がしたかと思うと、ドクルンが彼女の背後から現れる。
「そこまでです」
「あっ・・・?」
ドクルンはイタイノンのことを抱きとめる。
「ドクルン!?」
「お前もいたのかよ!?」
幹部がもう一人現れたことに驚きを隠さない二人。
「あまりうちの同僚をかき乱すのはやめてもらいましょうか?」
ドクルンは抱いているイタイノンを優しく撫でつつも、スパークルのことを睨む。
「ドクルン・・・頭が変なの・・・シクシクするの・・・」
「そうですね。私たちは先に帰りましょうか。ここにいると頭がおかしくなりそうですし」
イタイノンが痛みを訴えると、ドクルンは優しい微笑みへと表情を向け、彼女を支えながら歩き去ろうとする。
「うっ・・・ま、待ってよ・・・!!」
「ッッ・・・」
スパークルがなんとか立ち上がってドクルンの背後へと声をかけると、彼女は振り向いて睨み返す。その剣幕に押されたスパークルは思わずたじろぐ。
ドクルンはしばらく睨みつけた後、再び前へと向き直り、そのまま姿を消した。
スパークルは二人が去っていた場所を唖然と見つめていた。
「ンフフ~♪」
「スパークル、後ろ!!」
「えっ・・・きゃあぁ!!」
ニャトランがスパークルに叫ぶも、彼女が振り返った瞬間にいつの間にか背後に立っていたヘバリーヌに蹴り飛ばされてしまう。
そのまま地面へと倒されるスパークル。その様子をヘバリーヌは頬を赤らめながら見つめていた。
「黄色のプリキュアちゃん、暇なの~? ヘバリーヌちゃんを気持ちよくして欲しいなぁ~♪」
「メガビョ~~ゲン!!」
ヘバリーヌは体をクネクネと動かしながら猫なで声を出すと、その背後からコンポ型のメガビョーゲンが現れた。
「うっ・・・メガ、ビョーゲン・・・」
「さっきより大きくなってるニャ!!」
先ほどはグレースやフォンテーヌと戦っていたはずだが、どさくさに紛れて辺りを病気に蝕んでいたのだろうか。最初に対峙した時よりも明らかに大きくなっていた。
「早く、浄化しないと・・・!」
スパークルはなんとか立ち上がり、メガビョーゲンへと向かっていく。
「メガビョーーーーゲン!!」
メガビョーゲンは頭部と胸についているスピーカーから禍々しい光線をスパークルに目掛けて放つ。
「っ・・・はぁぁぁぁぁぁ!!!」
スパークルは飛び上がってかわすと、黄色の光線をメガビョーゲンに向かって放つ。
「メガビョ~~~~!!!!」
メガビョーゲンは頭部のスピーカーから音波攻撃を放ち、黄色の光線をかき消す。
「う、嘘・・・あぁぁぁ!!!!」
音波はそのまま動揺していたスパークルに直撃し、彼女は吹き飛ばされる。
しかし、空中で体勢を整えて着地すると、そのままメガビョーゲンへと再度向かっていく。
「メガビョ~~ゲン!!」
メガビョーゲンは口から赤い円盤状の光弾を放ち、スパークルは横に避ける。メガビョーゲンはそのままスパークルを追うように光弾を何度も単発で放ってくる。
スパークルは走って逃げ回るばかりでメガビョーゲンに近づくことができない。
「これじゃあ、攻撃ができねぇよ!!」
「このままじゃ・・・!」
体力が消耗していく中、スパークルは打開策を考えようとする。
「ヘバリーヌちゃんがいるの忘れてな~い?」
「!?」
そこにヘバリーヌがいつの間にかスパークルの走る速度に合わせて横にいた。
「とりゃー!!」
両手に禍々しいオーラを纏わせて、それを合わせるように前へと突き出し黒い竜巻をほぼ至近距離で放つ。
「きゃあぁぁぁぁ!!!!」
当然、防御体勢が取れなかったスパークルは直撃を受けて飲み込まれ、空中へと打ち上げられる。
「メガビョォォォォォーーーーー」
メガビョーゲンは頭部と胸と両足についているスピーカーにエネルギーを溜めていく。
「ゲン!!!!!!」
スピーカーからスパークルに目掛けて、膨大なエネルギーの光線が放たれる。
ドカァァァァァァァァァァン!!!!!!
大きな土煙が立つほどの爆発を起こし、その煙が晴れるとそこにはスパークルが地面に突っ伏していた。
「う、うぅぅぅ・・・!!」
スパークルは気を失っていないながらも呻いており、小さなダメージも蓄積していて立ち上がることができない。
そこにヘバリーヌが近づいていく。
「黄色のプリキュアちゃん、もう終わりなのぉ~? ヘバリーヌちゃん、もっと気持ちよくして欲しいんだけどなぁ~♪」
「うぅぅぅ・・・!」
ヘバリーヌの猫なで声を漏らすも、スパークルは突っ伏したまま呻いているだけだ。
「スパークル!!」
「メッガ、ビョーゲン!!」
スパークルのピンチに気づいたグレースとフォンテーヌが気づくも、キャンドル型のメガビョーゲンが両手のキャンドルを再度ミサイルのように飛ばしてくる。
「スパークルのところにいけないラビ・・・!!」
「あのロウソクのようなメガビョーゲンをどうにかしないと・・・!」
スパークルを助けに行きたいグレースはメガビョーゲンの攻撃に邪魔をされてしまい、なかなか行くことができず悔しそうにする。
「ロウソク? もしかして・・・!」
グレースの言葉に、フォンテーヌは何か思いついたのか、戦闘中のバテてモーダから離れるように飛び退く
「あれぇ? 逃げるんっすか~?」
バテテモーダは馬鹿にしたような口調で煽る。
「雨のエレメント!!」
フォンテーヌは以前手に入れた雨のエレメントボトルをステッキにセットする。
「はぁぁぁぁぁ!!」
そして、それをそのまま上空に向かって青い光線を放つ。
バチバチ・・・!!
ザァァァァ・・・・・・。
青い光線は雲の中へと入っていくと、雲から稲光が起こったかと思うと頭上が黒い雲へと覆われ、青いエネルギーの雨が降り始めた。
雨はメガビョーゲンの両腕についているキャンドルミサイルの火を消していく。
「メガ~・・・? ビョー・・・ゲン・・・」
雨を浴びたキャンドル型のメガビョーゲンは力を失っていき、やがて沈黙した。
「うひゃ!? 雨、ヤベェ!!」
バテテモーダは降ってきた雨にたまらず、森の方へと避難していく。
「ん~? 雨~?」
ヘバリーヌは降ってきた雨を不思議そうに見つめる。
ビリビリビリ・・・!
「メ、ガガガガガ・・・ビョ、ビョビョビョ・・・? ゲゲゲゲゲゲゲ、ゲゲゲン・・・?」
コンポ型のメガビョーゲンはスピーカーから電気を起こすと、何やら声が低くなったり高くなったり、声の出が悪くなったりと変になっていた。
「メガビョーゲン?」
ヘバリーヌはメガビョーゲンの様子がおかしくなったことに目を丸くする。
「はぁぁぁぁ!!!」
地面に突っ伏していたはずのスパークルがヘバリーヌにステッキを向けて光線を放つ。光線は油断していたヘバリーヌに当たると紐のようになって彼女の体を縛る。
「あっ・・・♪」
「うっ・・・おぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そして、なんとか立ち上がるとそのまま残っている体力を振り絞って、ヘバリーヌをメガビョーゲンに向かって放り投げる。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん♪」
「メメメ、ガガガガ・・・!?」
雨で自分自身が感電しているメガビョーゲンは、そのままヘバリーヌを顔面にぶつけられそのまま背後に押し倒される。
キュン!
「「キュアスキャン!!」」
スパークルはその隙にステッキの肉球をタッチして、メガビョーゲンに向ける。
ニャトランの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを見つける。
「音のエレメントさんだ!!」
エレメントさんは頭部のコンポの右部分にいるのを発見した。
「こっちも見つけたラビ!!」
ラビリンはキャンドル型のメガビョーゲンの中に、火のエレメントさんがいるのを発見した。
「みんな!! ミラクルヒーリングボトルだ!!」
ニャトランの言葉を合図に、体を発光させる3人。
3人はミラクルヒーリングボトルをステッキにセットする。
「「「トリプルハートチャージ!!」」」
「「届け!」」
「「癒しの!」」
「「パワー!」」
グレース、フォンテーヌ、スパークルの順で肉球にタッチしていき、ステッキを上に掲げる。すると、花畑が広がっていき、背後には自然豊かな森が広がっていく。
さらにプリキュア3人の背後に、設楽が話していたとされる紫色のコスプレ姿をした女神の姿が映し出されていく。
「「「プリキュア! ヒーリング・オアシス!!」」」
3人は一斉にメガビョーゲンへとステッキを構え、ピンク・青・黄色の3色の光線が螺旋状になって放たれる。螺旋状の光線は混ざり合いながら一直線に二体のメガビョーゲンに直撃する。
螺旋状になった光線はそれぞれの色の手へと変化して、3本の手がそれぞれ火のエレメントさん、音のエレメントさんを優しく包み込んでいく。
3色に光るハート状にメガビョーゲンを貫きながら、光線はエレメントさんをメガビョーゲンから外へと出す。
「「ヒーリングッバイ・・・」」
メガビョーゲンたちは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていった。
「「「「「「お大事に」」」」」」
火のエレメントさんは店に吊り下がっているアロマキャンドルへ、音のエレメントさんは家の庭のコンポへと戻ると、病気に蝕まれた箇所は元に戻っていく。
「いいところまで行ったんっすけどねぇ~!」
「本当にもうちょっとだったのにぃ~・・・」
森の木の上でバテテモーダが負けたとは思えないようにヘラヘラとしながら、いつの間にかその隣ににいたヘバリーヌは顔を膨らませながら不満を漏らす。
「でも、縛ったの良かったなぁ・・・♪」
「えっ・・・な、何してたんっすか・・・?」
ヘバリーヌはかと思うと、頬を赤らめて気分がよさそうにし、バテテモーダはそれを見て若干ひいたたような感じになる。
「ヒ・ミ・ツ♪」
ヘバリーヌはバテテモーダに向かってウィンクをしながら言う。二人はそのまま姿を消した。
「ん?」
建物の上で適当に昼寝を決め込んでいたクルシーナはふと片目を開く。
「メガビョーゲンの反応が消えたな。終わったのか?」
クルシーナは起き上がると小さなコウモリの妖精を呼び出して、プリキュアたちにつかせているあちらのコウモリの映像をこちらに出させる。
ザザザ・・・ザザザ・・・ザザザ・・・。
映像には砂嵐が走っていたが、それが腫れていくとプリキュアたちの様子が見えてくる。
「あいつら、さっきのところに戻ったのか・・・」
プリキュアたちはどうやら先ほどのクリニックの横のテラス席へと戻ったらしい。彼女は立ち上がると空中へと飛び上がり、その場所へと戻っていく。
「・・・本当に忌々しくて、邪魔くさいやつら」
クルシーナは不機嫌そうな顔をしながらそう言う。病気で蝕むのはずっと前からだが、あいつらのせいだ。アタシは自分たちにとって心地よい場所を手に入れられればいいのに、いつもあいつらは邪魔をする。本当にムカつくやつらだ。
しかも、新たな力を手に入れて、それでメガビョーゲンを浄化できて調子に乗っているだろう。繰り返して思うが、本当にムカつくやつらだ。
「クルシーナ・・・」
「・・・何よ?」
「自分が最初どんなやつだったのか覚えてるウツ?」
帽子になっているウツバットはクルシーナにこんなことを問いかける。
「・・・ふん。忘れたわよ、そんなこと」
「そう・・・」
「どうしたのよ? 一体」
「なんでもないウツ・・・」
クルシーナが逆にそんなことを聞いて何なの?と言わんばかりに問いかけると、ウツバットは何やらごまかす。
二人でそう話し込んでいると、やがてあのクリニックが見えてくる。
プリキュアたちに気づかれないようにゆっくりと降りていき、クリニックの建物の上であいつらを見下ろすことにする。
今、栗色ツインテールが黄色い猫にグミジュースを差し出し、泣き出した黄色い猫が彼女に撫でられている様子が見える。
どうやら女性と失恋したようだが、正直、どうでもいい光景。人間と妖精が結ばれるわけがないのだ。
クルシーナは心の中でため息を漏らす。
「・・・ウツバット」
「ウツ・・・?」
「言ったと思うけど、たとえ今のアタシが偽物だったとしても、アタシにとってはそれが全てよ。人間共の憎しみも含めてね」
「ウツ・・・?」
「アタシはこれからもビョーゲンズだし、これからもそれは変わらない。誰かになんと言われようと、おかしな頭痛や悪夢に苛まれようと、アタシはアタシなのよ」
「クルシーナ・・・」
クルシーナはキリッとしたような表情でウツバットに告げる。
「ラテ、どうしたの!?」
何やら慌ただしい声が耳に聞こえ、見てみるとそれは藍色のロングヘアをしている少女からだった。
彼女が見ていたのは、自分たちが気になっていた気配を察知することができるあの子犬だった。
その様子にプリキュアやヒーリングアニマルたちの様子が騒がしくなる。子犬はどうやら顔が赤くなっていて、辛そうな表情をしている。
「あいつ、具合が悪いのか・・・?」
「メガビョーゲンの気配の察知のしすぎだと思うウツ」
様子をよく見るクルシーナに、ウツバットが彼女について知っているかのようなことを言う。
「・・・なんですって?」
「クルシーナも見たと思うけど、あいつは気配を察知するとああいう風に調子が悪くなるウツ。そのガタが来たんじゃないか?ウツ」
「ふーん・・・」
クルシーナは適当に話を聞いている中、一つの考えを思いつく。
あの子犬が調子が悪い・・・もしかしたら・・・!
今だったら、地球の広範囲を蝕むことができるチャンスかもしれない。
「フフフ・・・・・・」
クルシーナは不敵な笑みを浮かべると、その場から姿を消した。