ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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第51話「氷霧」

 

中学校で暴れているイタイノンのメガビョーゲンを浄化した後、そこから近くにある緑が溢れる公園へと急いで向かうプリキュアたち。

 

「公園はもう近くのはずよ!」

 

公園の近くにいるであろう場所まで走っていくと、何やら不可思議な現象が起こる。

 

「「「!?」」」

 

白い煙がこちらに向かって立ち込めてくるのが見え、思わず立ち止まる3人。

 

「何これ・・・?」

 

「白い、煙ラビ・・・?」

 

戸惑うグレース。メガビョーゲンが蝕んでいるところは普通は赤い靄が広がっているはずだが、白い煙がこちらに立ち込めるほどの現象があっただろうか。

 

「前が見えないよ~・・・?」

 

「これがメガビョーゲンの仕業ということは・・・?」

 

「あんなに煙が充満している分、もう病気がかなり広がってるかもしれないニャ!!」

 

「急いでお手当てをしないとペエ!!」

 

プリキュアたちは頷くと、恐れずに煙の中へと飛び込んでいく。

 

まるで霧がかかったような不気味な世界、公園ではない別の世界にいるかのよう。先の先もよく見えないので注意しながら公園の中を進み、メガビョーゲンを探していく。

 

「メガー!!!」

 

「「「!?」」」

 

野太いメガビョーゲンの叫びが聞こえ、思わず足を止めるプリキュアたち。そこへ赤い光線が3人に迫る。

 

「危ない!!」

 

グレースが攻撃に気づいて、プリキュアの3人は飛び退いてかわすも、辺りを見渡してもメガビョーゲンの姿が見当たらない。

 

「どっから飛んできたの!? 今の光線!?」

 

霧で全く周りが見えず、戸惑うプリキュアたち。そんな彼女たちに巨大な黒い影が迫る。

 

「メガー・・・!!!」

 

野太い声を上げながら、赤く光る不気味な目。姿は霧のせいでよく伺えないながらも、その体は美術館のある町でダルイゼンが発生させたメガビョーゲンほどではないが、それなりに大きくなっていた。

 

「うぇぇ!?」

 

「こいつも結構でかいぞ・・・!?」

 

「っ・・・!!」

 

巨大で得体の知れないメガビョーゲンを前に、プリキュアたちに緊張感が漂う。

 

「ふーん・・・ようやく来たみたいねぇ。かなり遅いけど」

 

その様子をドクルンが公園の山中で見下ろしていた。メガビョーゲンの放った病気で氷漬けになった部分から発している煙で生成された霧は充満していてよく見えないが、プリキュアたちとメガビョーゲンの影はよく見えるので様子を伺うことができる。

 

今はプリキュアたちが、霧の中に紛れていた自分のメガビョーゲンに遭遇した模様。

 

「メーガァ!!!!」

 

メガビョーゲンは口から赤い光線を放つ。プリキュアたちは再度、その攻撃をかわす。

 

「うわぁ!?」

 

しかし、避けた先で着地をしたスパークルが足を滑らせて尻餅をついてしまう。

 

「いったぁ・・・。!? これって・・・?」

 

打ったお尻をさするスパークルだが、その下の地面が冷たくて、なんだかピリピリする。よく見れば地面が氷漬けになっていた。

 

「もうここ一帯が蝕まれてるニャ!!」

 

周りは見えないが、ニャトランはこの辺一帯はすでにメガビョーゲンに蝕まれてることを察する。

 

「メーガー!!!!」

 

「!?」

 

そこへメガビョーゲンが鋭い爪をスパークルへと振り下ろす。彼女はすくっと立ち上がって退避する。

 

「「「はぁ!!!」」」

 

三方向に分散した3人は同時にそれぞれの色の光線をメガビョーゲンに向かって放つ。

 

「メーーーガァー!!!!」

 

メガビョーゲンは光線を受けるも、聞いている様子はなく、怪物は片手で光線を薙ぎ払う。

 

「メガー!!」

 

さらにメガビョーゲンは体中から白い氷塊を出現させると、それを周囲に向かって放つ。

 

「ふっ!!」

 

「はぁ!!!」

 

自身に飛んでくる氷塊を避けたり、パンチやキックで破壊していくプリキュアたち。しかし、メガビョーゲンは次から次へと氷塊を放っていく。

 

「ああもう、キリがないし!!」

 

「あいつの動きを止めないとダメね・・・!」

 

敵の攻撃が激しいことにぼやくスパークル。フォンテーヌの言う通り、止めないことには近づくことすらできない。

 

「氷だったら、あれだよね!! 火のエレメント!!」

 

スパークルは火のエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ステッキから火を纏った黄色い光線が放たれる。

 

「メガー!!!!」

 

それに気づいたメガビョーゲンは口から赤い光線を吐き出し、火を纏った光線とぶつかるも、赤い光線が段々と押していき突破されてしまう。

 

「え、嘘・・・!?」

 

「ぷにシールド!!」

 

あっけにとられるスパークル。そこへ割って入ったグレースがステッキから肉球型のシールドが展開し、赤い光線を防ぐ。

 

「くっ・・・!」

 

「な、なんで!? 氷は火で解けるはずだよね!?」

 

それは勉強が得意ではないスパークルでもわかることだ。氷は火さえあれば解けるはずだ。しかし、それが普通の氷であれば・・・・・・。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「メガ!?」

 

フォンテーヌが気を取られているメガビョーゲンの顔面に蹴りを入れる。メガビョーゲンは少し体がよろけるも、倒れるまでには至らない。

 

「きっと、ドライアイスよ!!」

 

「ドライアイス・・・?」

 

スパークルのそばに降りたフォンテーヌがその正体を話す。

 

「二酸化炭素を固体化したもので、正確に言えば氷じゃないわ!!」

 

「ええ!? そうなの!?」

 

「二人ともまた来るよ!!」

 

二人が話している間に、グレースが叫ぶ。メガビョーゲンは再び自分の周囲に氷塊を出現させて放つ。

 

「へぇー・・・相変わらず冴えてるわね、ちゆは」

 

その様子を見下ろしながら、ドクルンはメガビョーゲンを構成しているのがドライアイスだと見抜いたフォンテーヌに笑みを浮かべる。

 

「私もちょっと遊びたくなっちゃったわねぇ」

 

ドクルンはそう言うとその場から姿を消す。

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

「メガ!!」

 

「っ!!」

 

フォンテーヌが飛び蹴りを繰り出すも、メガビョーゲンは鋭利な爪でその蹴りをガードする。

 

「メガー!!!!」

 

メガビョーゲンは爪でフォンテーヌを振り払うと口から赤い光線を吐きつけ、グレースとスパークルはぷにシールドを展開して光線を防ぐ。

 

「くっ・・・!!」

 

「何アイツ!? 全然攻撃が効いてないみたいなんだけど!?」

 

ぼやくスパークル。確かに全力を出しているはずなのに、メガビョーゲンは攻撃を受けても平然としている。それどころか、こちらの力に耐え切れるようになっているような感じがする。

 

「メガァー!!!!」

 

「うぅ・・・!!」

 

「くっ・・・!!」

 

メガビョーゲンが口から吐く光線の勢いを強くすると、二人は苦しい顔をし始める。そして、徐々に押され始める。

 

「うぅぅぅぅぅ・・・!!!」

 

「ちょっ、キツくなってない・・・?」

 

この程度の光線、ぷにシールドを使えば簡単に防げるはずなのに・・・。それどころか、こちらの力を入れようとしても、まるで入らなくなっているような感覚がする。グレースとスパークルはそう感じていた。

 

フォンテーヌもメガビョーゲンへの蹴りがあまり功をなしていないことに疑問を感じていたが、ドライアイスの性質を考えて確信を抱いた。

 

「そうよ・・・この煙かも・・・!!」

 

「どういうことペエ・・・?」

 

「ドライアイスから出てくる煙は、気化した二酸化炭素なのよ。これだけ充満するぐらい煙が舞っているってことは、私たちは今、動き回っていることで酸欠状態になっているかもしれない・・・!!」

 

フォンテーヌがそう分析していると、そこへ風を切ったような音が聞こえてくる。

 

「やっぱり冴えてますねぇ、キュアフォンテーヌ」

 

「!? きゃあぁぁぁ!!!!」

 

彼女の眼の前にドクルンが姿を現し、蹴りを食らわせて吹き飛ばす。

 

「くっ・・・ドクルン・・・!!」

 

「ふっ・・・」

 

体勢を立て直しこちらを睨むフォンテーヌに対し、ドクルンは笑みを漏らすとこちらへと駆け出してきた。

 

「はぁ!!」

 

フォンテーヌは向かってくるドクルンに青い光線を放つも、彼女は首を傾けてかわすとフォンテーヌに向かって回し蹴りを繰り出す。

 

「うっ・・・!!」

 

フォンテーヌはとっさにステッキでガードするもよろけ、さらにドクルンは赤い何かが淀んでいる氷塊を彼女の顔の横へと投げつける。

 

パチン!

 

「!?」

 

ドカァァン!!!!

 

フォンテーヌは何かを察したのか、ドクルンが右指を鳴らすととっさに飛び込んで転がるように避け、その瞬間氷塊が弾けるように爆発を起こし、氷の霧を撒き散らす。

 

地面に膝をつくも巻き込まれずに済み、体を起こすフォンテーヌだが、そこへドクルンがさらに3個ほど氷塊をこちらに向けて投げつけ、右手をパチンと鳴らす。

 

「っ!!!!」

 

ドカカカァァァン!!!!

 

氷塊は先程よりも大きな爆発を起こし、フォンテーヌは思わず体を伏せる。再度体を起こすフォンテーヌだが、そこへ爆発によって氷の霧へと紛れたドクルンがいつの間にか彼女の懐へと飛び込んできた。

 

「フフフ・・・!」

 

「!? あぁぁぁぁ!!!!」

 

フォンテーヌの腹部へと片足を繰り出すと、そのまま前へ飛ぶように彼女の体を蹴り飛ばす。

 

「くぅぅ・・・!!!」

 

フォンテーヌはとっさに片足を急ブレーキにして倒れないように踏ん張るも、一つ前のメガビョーゲンのダメージも蓄積していたせいか、膝をついてしまう。

 

「どうしたんですかぁ? 随分とお疲れのようですが。早くお手当てしないと取り返しのつかないことになるんじゃないんですかぁ?」

 

「くっ・・・!!」

 

膝をガクガクとさせつつも、なんとか立ち上がるフォンテーヌ。

 

ドカァァァァン!!!!

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

爆発した音が聞こえ、フォンテーヌが振り向くとスパークルが吹き飛ばされているのが見えた。

 

「スパークル!!」

 

「メガー!!」

 

「ぐっ・・・あぁぁぁぁ!!!!」

 

メガビョーゲンはグレースに爪を振り下ろし、彼女はぷにシールドごと吹き飛ばされてしまう。

 

「グレース!! スパークル!!」

 

「よそ見をするとは余裕ですねぇ」

 

ドクルンは二人に気を取られたフォンテーヌに目掛けて氷塊をばらまき、指をパチンと鳴らす。

 

ドカカカカァァァァァァン!!!!

 

「あぁぁぁぁぁ!!!!」

 

爆発に巻き込まれて吹き飛ばされるフォンテーヌ。氷の霧が晴れると倒れ伏した彼女の姿が映っていた。

 

「おやおや・・・もう終わりですかぁ? ならここ一帯はもう私のものですねぇ」

 

「うぅ・・・!!」

 

フォンテーヌは立ち上がろうとするが、小さなダメージが積み重なって立ち上がることができない。

 

メガビョーゲンは倒れ伏すプリキュアたちから離れて、赤い光線を吐きつけて氷漬けにしている。このままでは、ここ一帯が完全に蝕まれてしまうのももはや時間の問題だった。

 

「クゥ~ン・・・・・・」

 

安全なところにいるラテも、その様子を不安そうに見つめている。

 

「! ラテ・・・」

 

グレースはそんな彼女の様子を見ると、体をよろつかせながらもなんとか立ち上がる。

 

「フォンテーヌ・・・スパークル・・・まだ終わってないよ・・・。私たちは何があっても、お手当てを諦めないって決めたんだから・・・!!」

 

「! そうね・・・私も頑張らないとね・・・」

 

フォンテーヌは、その言葉に奮い立たせるようになんとか立ち上がる。

 

「だったら、やらないと・・・地球も困っちゃうもんね・・・!」

 

スパークルも立ち上がり、これで3人はもう一度ビョーゲンズの前に立ちはだかろうとする。

 

グレースとスパークルは再びメガビョーゲンの元へと駆け出す。怪物の近くまで近づいたところで、一斉に飛び上がる。

 

「「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

「メガー!!!!」

 

二人は同時に飛び蹴りを繰り出し、攻撃に気づいたメガビョーゲンが右手で防ぐ。

 

「ほお・・・まだいけますかぁ。これは面白くなりそうですねぇ」

 

ドクルンはそう言いながらフォンテーヌの周りに氷塊を投げつけて、指をパチンと鳴らす。

 

フォンテーヌは爆発する直前で飛び込むように転がり、爆発を避ける。

 

「ふっ・・・!!」

 

「くっ・・・!!」

 

避けた先にドクルンが移動し、フォンテーヌに蹴りを入れようとし、彼女はそれを両手で受け止める。

 

「少しはキレがよくなりましたねぇ・・・」

 

「もちろんよ・・・私には守るべきものがあるんだから・・・!!!!」

 

フォンテーヌはドクルンの足を押し返す。しかし、ドクルンは後方に下がると同時に氷塊を数個投げつける。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

フォンテーヌはそれらにその場で回し蹴りを放ち、氷塊をドクルンの方へと吹き飛ばした。

 

「っ!!!!」

 

ドカァァァァン!!!!

 

ドクルンはそれに目を見開くと、横へと飛び退いて爆発を回避する。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

そこへ飛んだフォンテーヌは勢いをつけた蹴りを繰り出す。ドクルンは冷静にそれを見ると、片手を氷の手に変化させるとそれをフォンテーヌに向かって繰り出す。

 

蹴りとパンチがぶつかり合い、大きな爆発を起こす。

 

「「っ・・・!!」」

 

二人はお互いに吹き飛ばされて後方へと下がっていくも、倒れずに踏ん張る。

 

ドクルンはパンチを食らわせた手を見つめて握ったり開いたりをすると、フォンテーヌに向かって不敵な笑みを浮かべる。

 

「ふむ・・・なかなかやりますねぇ」

 

ドクルンはそう言いながら、その場から後方へと下がっていく。

 

「・・・早く、メガビョーゲンを!」

 

フォンテーヌはそれを見届けると、メガビョーゲンを対処している二人の元へと駆け出す。

 

「メガー!!!!」

 

メガビョーゲンは体中から再び氷塊を出現させ、周囲に向かって放つ。プリキュア二人は空中へと飛び上がってかわすと、ステッキを構える。

 

「雷のエレメント!!」

 

スパークルは雷のエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ヒーリングステッキから電撃を纏った黄色い光線が放たれる。

 

「実りのエレメント!!」

 

グレースは実りのエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「はぁぁぁ!!!!」

 

ヒーリングステッキからピンク色のエネルギー弾が放たれる。

 

「メガァ!? メガビョーゲン!?」

 

メガビョーゲンの顔面に黄色い光線が当たり、さらにそこへピンク色のエネルギー弾が着弾し爆発を起こす。

 

「メガー!!!」

 

しかし、メガビョーゲンはすぐに煙を振り払って大声を上げる。

 

「あんまり効いてる感じしないし!!」

 

「やっぱり、前みたいに弱点を突かないと・・・!!」

 

メガビョーゲンは顔をしかめたりはしたが、いまだ決定打を与えるようなダメージを与えられていない。どうにかしなければならないが、二人にはこのメガビョーゲンの弱点になり得るようなエレメントの力は持っていない。

 

万事休す、と思われたその直後・・・・・・。

 

「雨のエレメント!!」

 

ドクルンを退けたフォンテーヌが、ステッキに雨のエレメントボトルをセットする。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ステッキから水を纏った青色の光線が放たれる。

 

「メガー・・・!?」

 

メガビョーゲンは光線を頭から受けて、体全体がびしょ濡れになる。気のせいか、メガビョーゲンの体から白い煙のような何かが出てきたかと思うと、行動が少し鈍くなったような気がした。

 

「フォンテーヌ!!」

 

「ドライアイスは水で気化するのよ!」

 

「なるほど・・・!!」

 

「二人とも行くよ!!」

 

3人はお互いに目を合わせて頷くと、その場から飛び上がる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「メッガァ・・・!?」

 

3人で一斉にメガビョーゲンに向かって飛び蹴りを放つ。顔面に食らったメガビョーゲンは体がよろけ、地面へと倒れ込む。

 

「へぇ・・・なかなかにやるわねぇ」

 

上からそれを見下ろしていたドクルンはそれを見ながら興味深そうに笑みを浮かべる。

 

キュン!

 

「「キュアスキャン!!」」

 

フォンテーヌは肉球を一回タッチすると、ステッキをメガビョーゲンに向ける。

 

ペギタンの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを見つける。

 

「氷のエレメントさん、首のあたりにいたペエ!!」

 

「行くわよ、二人とも!!」

 

フォンテーヌの言葉を合図に、3人はミラクルヒーリングボトルをステッキにセットする。

 

「「「トリプルハートチャージ!!」」」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの順で肉球にタッチしていき、ステッキを上に掲げる。すると、花畑が広がっていき、背後には自然豊かな森が広がっていく。

 

さらにプリキュア3人の背後に、紫色のコスプレ姿をした女神の姿が映し出されていく。

 

「「「プリキュア! ヒーリング・オアシス!!」」」

 

3人は一斉にメガビョーゲンへとステッキを構え、ピンク・青・黄色の3色の光線が螺旋状になって放たれる。螺旋状の光線は混ざり合いながら一直線にメガビョーゲンに直撃する。

 

螺旋状になった光線はそれぞれの色の手へと変化して、3本の手が氷のエレメントさんを優しく包み込んでいく。

 

3色に光るハート状にメガビョーゲンを貫きながら、光線はエレメントさんをメガビョーゲンから外へと出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンたちは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていった。

 

「「「「「「お大事に」」」」」」

 

氷のエレメントさんが箱の中のドライアイスへと戻っていくと、病気に蝕まれた箇所は元に戻っていき、白い煙も晴れて公園は元の明るさを取り戻した。

 

「まあ、いいかしら。十分に時間稼ぎができたでしょ」

 

ドクルンは満足げに言いながら、その場から姿を消した。

 

メガビョーゲンを浄化したグレースは安全なところに置かれていたラテを拾い上げて撫でていた。

 

「ラテ、大丈夫だよー」

 

「クゥ~ン・・・・・・」

 

グレースがそういうも、ラテの表情にはいまだに不安げな表情が浮かんでいた。

 

一方、フォンテーヌはスパークルと一緒に公園にある建物の近くの箱の中のドライアイスに聴診器を当てていた。

 

「エレメントさん、調子はいかがですか?」

 

『はい! 私は大丈夫! 元気です!!』

 

氷のエレメントさんはプリキュアたちに笑顔でそう言った。そして、不安げな表情をする。

 

『大したことができずにゴメンなさい・・・でも、私たちの仲間もどうか・・・!』

 

「もちろんです! 私たちが必ず助けます!!」

 

氷のエレメントさんは、フォンテーヌの力強い一言を聞くと安心したようにドライアイスの中へと戻っていった。

 

「行きましょう! あとはすこやか山にいるメガビョーゲンだけよ!!」

 

「他の二体よりも後回しにしたから、だいぶ強くなっているはずペエ!! 気をつけていくペエ!!」

 

グレースとスパークルの二人は頷くと、3人は残り1体のメガビョーゲンを止めるべく、急いですこやか山へと駆け出していく。

 

しかし、3人はまだ気づいていなかったのだ。メガビョーゲンは、すこやか山で終わりではないということを・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはメガビョーゲンによる騒動が治まった後の、すこやか中学校。そこには先ほど退散したばかりのイタイノンの姿があった。

 

イタイノンは校庭の中で、きょろきょろとしながら何かを探している。

 

「イタイノン、何を探してるネム?」

 

「・・・この辺にまだメガビョーゲンみたいな気配がしたの」

 

イタイノンはそう言うと校庭中を歩き回り始める。囮のために作った自分のメガビョーゲンは、確かに忌々しいプリキュアたちに浄化されたはず。しかし、地球のどこかに一度退散した後に、山の方と外れの工場の方に強いメガビョーゲンの反応があり、それとは別に中学校にほんのりとメガビョーゲンの気配がまだ残っているのを感じたのだ。

 

メガビョーゲンはすでに消えたはずだが、何かの反応を感じたということは、何かがあるはず。イタイノンはそれを確かめに来たのだ。

 

「・・・・・・!!」

 

イタイノンは歩きながら黙々と地面を見つめていると、赤く染まった灰色の欠片のようなものが散らばっているのが見えた。それも細かいものもあれば、大きいものもある。

 

「これは、メガビョーゲンの・・・」

 

この欠片は間違いなく、メガビョーゲンの破片の一部だ。おそらく、スパークルがピンクのプリキュアを投げ飛ばして、お互いが衝突した際にメガビョーゲンのアンテナ部分が砕けて破片となって散らばったものであろう。

 

しかも、その欠片は驚くことにその場で緑色のクリスタルのようなものへと変化した。しかも、その欠片は見間違いがなければ、全部で5つある。

 

イタイノンはその欠片の一つを手に取ってみる。

 

「・・・わずかにメガビョーゲンを感じるの」

 

「メガビョーゲンの欠片ネム?」

 

「そうみたいなの。でも、何だか懐かしくて、生きたいっていう何かを感じるの」

 

イタイノンはこのメガビョーゲンの欠片が、なんとなく昔を思い出しそうな感じがする。そういう気配がした。

 

「キヒヒ・・・こいつは使えそうなの」

 

イタイノンは、良いものを見つけたとでも言いたげな様子で不敵な笑みを浮かべた。

 

一方、ドクルンもプリキュアたちが後にした公園に再度現れていた。

 

「・・・・・・・・・」

 

自分の作ったメガビョーゲンの攻撃が飛んできたと思われる林の中、そこに着弾していたと思われる氷の一部があった。その氷は赤く淀んだような何かが蠢いていた。

 

「これは・・・何かしら?」

 

ドクルンは無表情のまま、その欠片を見つめている。普通、メガビョーゲンが浄化された後は跡形も残らない怪物の痕。その一部が何故か消えずに残っているのだ。

 

気のせいか、その欠片からはメガビョーゲンの気配を密かに感じる。

 

「公園にまた戻ってきたかと思えば、こいつの気配ブルか」

 

「えぇ、そうみたいね」

 

ブルガルの言葉に愛想よく返すと、ドクルンはその氷の欠片に触れようと手を伸ばす。

 

「・・・!!」

 

すると氷の欠片はその直前で、まるでドクルンを受け入れる準備をするかのように緑色の欠片へと姿を変えていく。欠片は全部で7個あるようだった。

 

「ふーん、随分と面白そうなものに変わったわね」

 

ドクルンは改めて欠片の一つを拾い上げると、それは冷たくて、なんだか懐かしいような感じがして、なんだか生きたいっていう感じがした。

 

両手でコロコロと転がしながら、顔へゆっくりと近づけていく。ドクンドクンと心臓の音のようなものが聞こえてきて、まるで生きているかのようだった。

 

「フフフ・・・これは調べがいがありそうねぇ」

 

そして、街の外れの工場では・・・・・・。

 

「フーンフンフーン♪ 気持ちよくって嬉しいなぁ~♪」

 

ドラム缶の一つに腰掛けながら、体を悶えさせているヘバリーヌ。その周囲の光景はもはや地面全体が赤く染め上げられており、工場がすでに見る形もないほどに赤い靄に包まれていた。

 

「地球ちゃんも、気持ちいい気持ちいいって言ってるよぉ~♪」

 

ヘバリーヌは頬を赤く染め上げながら嬉しそうに、常人にはよく理解できない言葉を口にする。

 

「メガァ・・・・・・」

 

そんな彼女の視線の先には、上真ん中下と三つに分かれている球状の体をしたメガビョーゲンが体がから赤い煙を噴射しながら、周囲を赤く染め上げていた。

 

工場一帯の地形や大気はほとんど病気に蝕まれており、完了するのも時間の問題だ。

 

「んん~、ここは大分気持ちよくできたよね~♪」

 

ヘバリーヌはそろそろ場所を変えないと、地球を気持ちよく、蝕むことができないことを理解する。

 

そんな彼女は自身が慕うお姉ちゃんたちがいるであろう街の方を向く。

 

「お姉ちゃんたち・・・・・・楽しくやってるのかなぁ?」

 

ヘバリーヌはそう呟くも、その様子はなんだか寂しそうだった。

 

病気がまだ苦しいと感じていたとき、自分はベッドの上で外を見下ろしながら元気に遊ぶ子供たちを羨ましそうに見ていた。私は、あの中に入るのはきっと無縁なんだなとすら思えた。

 

そんなとき、声をかけてくれたのはあの金髪の綺麗な髪の女性だった。彼女は自分の元に毎日来てくれて、元気づけるような言葉をかけてくれていた。

 

そんな中で、自身はこんな不安を口にしたのだ。

 

ーーーーお姉ちゃん・・・・・・。

 

ーーーーどうしたのですか?

 

ーーーー私の病気って、治るよね?

 

ーーーーえぇ、親切なお医者さんたちがきっと治してくれますよ。

 

ーーーーでも、全然よくならないんだ・・・・・・お医者さんは治してくれないのかなぁ?

 

ーーーー今はまだその時ではありません。みんなを助けるためにお医者さんは日々努力をしているのですよ。あなたの病気もいつか治すことができますよ。

 

まるで聖母のように微笑みながら諭してくれた女性。

 

そして現在、自身はビョーゲンズのメンバーとしてお姉ちゃんたちと一緒に活動をしている。

 

そこまで考えだしたとき、ヘバリーヌはハッと思った。

 

「そっかぁ・・・今、動けるってことは、ヘバリーヌちゃんが起きたあのときが、そのときってことだよねぇ♪」

 

ヘバリーヌは口元に笑みを浮かべながらそう呟いた。

 

いつか会いたいなぁ・・・・・・元気になったヘバリーヌちゃんを見てもらいたい・・・!!

 

「メガァ・・・・・・」

 

そう思っているうちに、メガビョーゲンがここ一帯の病気の蝕みを完了したようだ。

 

「んん~? 終わったぁ~? じゃあ、どうしようかぁ~・・・・・・」

 

ヘバリーヌは顎に手を当てて考える。ふとお姉ちゃんたちがいるであろう街を再度見る。

 

「ンフフ~♪ じゃあ、あっち行ってみようか~♪」

 

「メガァ・・・・・・」

 

メガビョーゲンは上真ん中下に分かれている体をくっつけて球状の体に戻すと、その上にヘバリーヌが飛び乗る。

 

そして、街へと向かうべくその動きを進めたのであった・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブォン・・・ブォン・・・ブォン・・・。

 

三人娘とヘバリーヌが出撃中で不在の廃病院。そのクルシーナが管理している植物園。

 

その中で彼女が植木鉢に埋めた黒いバラから育ったありえないくらいの大きさに成長した蕾。紫色に点滅しながら光るその中には人のような形が形成されている。

 

ブォン・・・ブォン・・・ブォンブォンブォン・・・!!!!

 

ふとその点滅が激しくなり、蕾が少しずつ開いていく。

 

ブォンブォンブォンブォンブォンブォンブォンブォンブォン!!!!!!

 

点滅がさらに激しくなり、蕾が完全に開いていく。中にいた人の形をしたものが少しずつ蕾の中からずれ落ちていき・・・・・・。

 

ドサッ!!!!

 

それは病院の床へと落ちた。人の形をしているものも、花の蜜にでも浸かっていたかのようにひどく濡れていた。

 

人の形をしているものは、倒れた状態からフラフラと起き上がる。そして、自分の両手を見やり、握ったり開いたりを繰り返す。

 

ブウォン・・・・・・。

 

人の形をしているものは顔を上げた瞬間、被っているフードの中から両目を赤く光らせた・・・・・・。

 

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