ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
今回は新キャラの姿が少しお見えします。


第52話「窮地」

 

「フンフフーン♪ 楽しいなぁ~♪」

 

外れの工場から場所を移動したヘバリーヌは、岩場の上で足をぶらぶらとさせながら海を眺めていた。

 

「きれいな青色だなぁ~♪ どこまでも青いのが広がっていくよぉ~♪」

 

地平線の向こうを目の上に手を置きながら、どこまでも続く遠い場所をを眺めていた。

 

「そして、こっちにはぁ~・・・」

 

ヘバリーヌは妖艶な微笑みを浮かべながら、横を振り向くと・・・・・・。

 

「メガァ・・・・・・」

 

球状のメガビョーゲンが口から赤い光線を吐きながら、海岸や砂浜を病気へと蝕んでいる。

 

「メガビョーゲンちゃんが、ヘバリーヌちゃんとお姉ちゃんたち、地球ちゃんのために気持ちよ~くしているのでしたぁ~♪♪」

 

「メガビョーゲン・・・・・・」

 

ヘバリーヌは年頃の少女のような明るいテンションでそう言うと、メガビョーゲンはそれに応えるかのように体を上真ん中下の三層に分けると、上の頭の上から赤い霧を噴射する。

 

病気の霧が空気中に舞い、大気が赤く蝕まれていく。

 

メガビョーゲンの方を見て、口元に笑みを浮かべる。しかし、空を見上げるとなんとも言えないような表情をし始めた。

 

ーーーートリはヘバリーヌ、アンタよ

 

クルシーナが自分に向かって指をさして言い放った言葉。

 

「お姉ちゃん、ヘバリーヌちゃんをトリって言ってたけど、どうしてなんだろう~?」

 

ヘバリーヌはクルシーナが言ったことをいまだに理解できないでいた。トリはヘバリーヌちゃんよりも、クルシーナお姉ちゃんがやればいいのに・・・・・・どうして、私なんかにやらせるのだろうか。

 

あの時はとても嬉しいような感じがしたが、今になって思えば、その役目はヘバリーヌちゃんじゃなくても、モーダちゃんやクルシーナお姉ちゃんでもいけるような気がした。

 

「ヘバリーヌちゃん、わかんないなぁ~♪」

 

どう考えても、自身の頭では皆目見当もつかない。考えても、頭が痛くなるだけだ。

 

「メガァ・・・・・・!!」

 

メガビョーゲンは移動しつつ赤い霧を噴射して大気を蝕みながらも、さらに体中から赤く禍々しい玉のようなものを出現させると、そこから赤い風を海に向けて放ち、赤い靄へと蝕んでいく。

 

その様子を見ていたヘバリーヌは、自分が座っていた岩場の上に立ち始める。

 

「時間かかりそうだし、踊ってようかなぁ♪」

 

ヘバリーヌはそう言うと、スケートのように片足を上げながらくるくると体を回転させ始める。

 

「クルクルクルクル~・・・・・・ほいっ!!」

 

綺麗にポーズを決めて、さらにバレエのようにピョンと飛び上がって足を高速で交差させつつ、着地すると片足を上げてポーズを決める。

 

「ほいっ! ふっ! はっ!!」

 

片足を下ろすとバク転をしながら飛び上がり、空中で縦に回転すると着地して体操のようなポーズを決める。

 

「ほーい!! やっ!! はぁっ!!」

 

・・・・・・常人から見れば、かなりおかしなことをしているのだが、ヘバリーヌはその後もここ一帯が病気に蝕まれるまで、奇妙な踊りを踊り続けていたが・・・・・・。

 

「ぶぅ~、つまんな~い!!!」

 

踊るのに飽きたヘバリーヌは頬を膨らませながら、岩場に座って足をブランブランさせる。

 

「メガァ・・・・・・」

 

メガビョーゲンを見つめていても、大きく成長しているだけで特に面白いことは何もない。

 

「お姉ちゃんのところに行ってこよ~っと♪」

 

ヘバリーヌは立ち上がると、メガビョーゲンの気配がするすこやか山へと行くために姿を消す。

 

「メガァ・・・・・・」

 

メガビョーゲンはその間に赤い風を放って、海岸一帯が病気に蝕んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ビョーゲンキングダムでドクルンとイタイノンは、すこやか市で発生させたメガビョーゲンの欠片を回収した後、自身たちの父親であるキングビョーゲンに招集をかけられていた。

 

「・・・クルシーナとヘバリーヌはどうした?」

 

キングビョーゲンは明らかに誰かがいないことを二人に問う。本来であれば、自身の娘たちーーーークルシーナ、ドクルン、イタイノンらビョーゲン三人娘、そして最近生まれたばかりの娘ーーーーヘバリーヌを呼び出したはずなのだが・・・・・・。

 

「絶賛、地球を蝕み中ですよ」

 

「私たちは役目を終えて、先に帰ってきたの・・・・・・」

 

「話なら受けますよ、私たちが」

 

二人は特に臆することなく、いつもの口調で返す。

 

「・・・まあよい。我の娘たちよ、お前たちの活発的な活動、本当に感服に値する」

 

キングビョーゲンは娘たちを褒めるような言葉を発した後、一拍置いて話し始める。

 

「そんな活動の中すまないが、ちょっとこちらで厄介なことが起きた。それの対処に回って欲しい」

 

「厄介なこと・・・?」

 

「それは何? なの」

 

ドクルンは顎に手を当てながら、イタイノンは首をかしげながら問う。

 

「・・・我々の種族の一人が脱走した」

 

「? どういうことなの?」

 

イタイノンはますますよくわからず、顔を顰め始める。

 

「・・・言った通りだ」

 

「・・・私たちビョーゲンズはダルイゼン、シンドイーネ、グアイワル、バテテモーダ、クルシーナ、私、イタイノン、ヘバリーヌしかわかりませんが、他にビョーゲンズが誕生したと?」

 

「その通りだ」

 

ドクルンが真面目なトーンで問うと、キングビョーゲンはあっさりと肯定する。

 

「・・・で、そんな脱走したやつっていうのは誰なの?」

 

イタイノンも真面目なトーンで問う。脱走者と言われても、特徴を言ってくれないと自分たちも探しようがないのだが・・・。

 

「・・・よくはわからんが、そやつは我の気配から察するに地球にいるらしい。厄介なことになる前に連れ戻すか、捕らえるかして欲しいのだ」

 

「・・・特徴はわからないってことなの?」

 

「まあ、お父さんが地球にいる気配を察することができるということは、私たちでも簡単に見つかるでしょう」

 

キングビョーゲンの曖昧な答えに、イタイノンは顔を顰めるも、ドクルンが諌めるように結論を付ける。

 

「・・・それなら仕方がないの」

 

イタイノンは顔を赤らめながらそっぽを向く。

 

「わかりました。最悪、障害になるなら消しても構いませんよね?」

 

ドクルンはいつものトーンで、自分たちの父親に問う。

 

「・・・よかろう。では、あとは頼んだぞ」

 

キングビョーゲンは許可をすると、そのまますっと消えていった。

 

ドクルンとイタイノンはそのまま帰路へと着いていた。

 

「ふぅん・・・しかし、特徴がわからないのではねぇ・・・」

 

「パパ、面倒なことを押し付けてくれたの。本当に厄介なことなの」

 

「まあ、何にしても、私たちビョーゲンズの邪魔になるのであれば、始末する他はありませんよねぇ」

 

イタイノンは不満そうな声を漏らすも、ドクルンはいつもの調子の良いトーンで話す。

 

「・・・お前は何でそんなに嬉しそうなの? 見つけるのが面倒なのに・・・」

 

「正体不明の相手を叩きのめすというのも、スリルがあるじゃないですかぁ」

 

ムッとするイタイノンに対して、ドクルンはニヤリと笑みを浮かべながら話す。

 

「はぁ・・・・・・」

 

イタイノンはため息を吐くしかなかった。この変な女は、もう何を言っても無駄だと。

 

「とりあえず、クルシーナと合流してから探すの。メガビョーゲンのせいで気配を追いづらいの・・・」

 

ドクルンとイタイノンはとりあえず、自分たちのアジトである廃病院へと戻っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

プリキュアたちはたどり着いた場所の光景を見て、愕然とした表情を浮かべていた。

 

彼女たちはメガビョーゲンが出現したと思われるすこやか山へとやってきている。たどり着いているはずなのだが、そこへ着いたときのその場所は驚きを隠せなかった。

 

絶句・・・ただ絶句・・・こんなのありえない・・・・・・信じられない・・・・・・。

 

そういう言葉を発してしまうほどの凄惨な光景が広がっている。

 

そんな彼女たちが見ている光景は、すこやか山の頂上から麓までもが赤い靄に包まれており、細かく見ると木の一部が枯れ木となり始めており、所々がすでに荒れ地とかしてしまっている。おまけに大気までもが病気に蝕まれてしまっている。

 

すこやか山の、綺麗な自然はもはや見る影もなかったのだ。

 

「嘘・・・・・・!?」

 

「病気があんなに広がってる・・・!!」

 

スパークルとフォンテーヌは、信じられないといった表情を浮かべている。

 

「他の二体に時間をかけすぎたせいラビ・・・!!」

 

ラビリンたちヒーリングアニマルも、この光景にただただ愕然としていた。

 

のどかの家に近い場所に出現したメガビョーゲンから浄化していったが、少し成長していたために苦戦を強いられ、時間がかかってしまった。いつ出現したかはわからないというリスクを抱えながらも、メガビョーゲンを処理していったのだが、まさかすこやか山がこんなことになっているとは・・・・・・。

 

やはり3人で一体ずつ浄化していくというのは、無理のある作戦だったのか・・・・・・。

 

そして、彼女たちの近くにはこの惨状を作り出したクルシーナの姿があった。

 

「ん?」

 

すこやか山の光景を見ていたクルシーナは、プリキュアたちに気づくとこちらを振り向く。

 

「クルシーナ!!」

 

「あら? 随分と遅かったじゃない。もう来ないのかと思ったけど?」

 

クルシーナはこちらに体を向けるなり、不敵な笑みを浮かべる。

 

彼女はプリキュアたちが何をしていたのかわかっている。すこやか山に出現させた自分のメガビョーゲンよりも、他の二体ーーーードクルンとイタイノンのメガビョーゲンを処理していたのだろう。

 

わかっているからこそ、敢えて言うことで嗤ってやる、嘲笑ってやるのだ。お前らの考えた行動など、全くの無意味であの頃と全く変わっていないということを。

 

「どうすんの? メガビョーゲンあっちにいるけど? だいぶ育っちゃったけど?」

 

親指を背後に立てながら、質問、質問、質問・・・・・・これを繰り返すことでプリキュアたちを煽るクルシーナ。

 

そんな中、グレースは強気な表情をすると前に出る。

 

「もうこれ以上させないし、育たせない!!!」

 

グレースが強気に言っても、クルシーナの余裕の笑みは変わらない。

 

「行くよ、二人とも!!!!」

 

「うん!!」

 

「ええ!!」

 

グレースの言葉にフォンテーヌとスパークルが頷くと、意を決したように3人はすこやか山へと駆け出していく。

 

クルシーナは引き留めもせずに、3人がメガビョーゲンの元へと向かっていくのを見やる。

 

「・・・ふっ」

 

ここまで蝕んでいるというのに諦めようともしない威勢の良さを感じながら、笑みを漏らすとゆっくりと歩きながらプリキュアの後を追っていく。

 

「メガァ!!!!」

 

一方、山の中枢と頂上の間にいるメガビョーゲンは口から赤い光線を吐き出しながら、残るこの場所の地面を蝕んでいた。

 

そして、その近くにはメガビョーゲンを見張っていたバテテモーダの姿が。

 

「いいじゃん!! いいじゃん!! 快調じゃん!!!! さすがはお嬢のメガビョーゲン!!!!」

 

バテテモーダが山一帯に広がっていく病気に興奮気味に騒いでいる。

 

と、そこへ山の麓から駆け出してきたプリキュア3人がメガビョーゲンへと駆け出してきた。

 

「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」

 

「メガァ!!!!」

 

3人は一斉に蹴りを放つも、メガビョーゲンは赤い布のような両腕でそれを片なく防ぐ。

 

「ち~っす!! プリキュアちゃんじゃないの~!! 今回はもう来ないのかと思ったぜ??」

 

プリキュア3人に気づいたバテテモーダが、ヘラヘラした態度でプリキュアたちを煽る。

 

「来たし!!!」

 

彼の余裕の態度に強気で返すスパークル。そんな彼女たちの目の前に立っているメガビョーゲンは、美術館の街の山の花畑に現れていたメガビョーゲンと同じくらい、もしくはそれよりも大きく成長をしていた。

 

「メガビョーゲン、やっぱりものすごく育ってるペエ・・・!!」

 

「みんな、気をつけるラビ!!」

 

ヒーリングアニマルたちはプリキュアたちに警戒を促す。

 

「メガ、ビョーゲン!!!!」

 

それを合図にメガビョーゲンは布のような赤い両腕を振り下ろし、プリキュアたちは飛び退いて避ける。

 

「クゥ~ン・・・・・・」

 

まだ体調が悪いラテは、その戦いの様子を心配そうに見つめている。

 

そして、プリキュアたちに追いついたクルシーナは、ゆっくりとバテテモーダの横へと降りてくる。

 

「お嬢~!! 加勢したほうがいいっすかね~?」

 

「・・・その必要はないでしょ」

 

バテテモーダの意見に、クルシーナは両腕を頭の上で組みながらきっぱりと返す。

 

「お姉ちゃ~ん!!」

 

「・・・ふん」

 

「ゲボッ!!!!」

 

どこからともなく背後から現れたヘバリーヌを、クルシーナは一歩横に移動するだけで避ける。

 

「で、アンタは何してるわけ?」

 

クルシーナは地面に突っ伏すヘバリーヌに睨みつけるような冷たい視線を向ける。

 

「つまんないから遊びに来た~!!」

 

「・・・メガビョーゲンは大丈夫なの?」

 

起き上がって瞳をキラキラとさせるも、クルシーナの表情は変わらない。

 

「全然問題ないよ~、むしろ順調すぎて面白くないくらい♪」

 

「あっそ」

 

クルシーナは付き合いきれないと言わんばかりに、プリキュアとメガビョーゲンの戦いを見下ろす。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

「メガ!! メガァ!!!!」

 

フォンテーヌとスパークルがそれぞれ光線を放つも、メガビョーゲンは両腕で容易く防ぐ。

 

「はぁ!!」

 

その隙にグレースが前へと走り、メガビョーゲンの腕を駆け上がりながら飛ぶ。

 

「グレース!!」

 

「うん!!」

 

キュン!!

 

「「キュアスキャン!!」」

 

グレースは空中でステッキの肉球に一回タッチすると、ステッキをメガビョーゲンに向ける。

 

ラビリンの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを見つける。

 

メガビョーゲンの胸の部分に、風のエレメントさんがいることを発見したのだが・・・・・・。

 

「ああ!? 風のエレメントさんがぐったりしてるラビ!!」

 

ラビリンはエレメントさんの様子を見て慌て出す。風のエレメントさんはすでにあの時、ダルイゼンが生み出したメガビョーゲンの中にいたエレメントさんと同じように、体をぐったりとさせていたのだ。

 

「早く、浄化しないと・・・!!!」

 

エレメントさんがいることはこれでわかった。あとは急いでこのメガビョーゲンを大人しくさせた後、『プリキュア・ヒーリング・オアシス』で浄化をするだけ。

 

・・・しかし、このメガビョーゲンはそんなに甘くはなかった。グレースのその行動こそが明らかな油断だった。

 

シュルシュル!!!!

 

「!? ああっ!?」

 

メガビョーゲンが赤い布のようなものを伸ばし、グレースを捕まえる。

 

「メッガァ!!!!」

 

「うぅ、あぁぁぁぁぁ!!!!」

 

そして、そのまま地面へとグレースを叩きつけた。

 

「油断しすぎなんじゃない? まずは一人ね」

 

その様子を見ていたクルシーナが瞑目しながら言った。

 

「「グレース!!」」

 

「っ・・・」

 

叫ぶフォンテーヌとスパークル。ふとスパークルがメガビョーゲンへと駆け出す。

 

「メー!!」

 

グレースを拘束したメガビョーゲンはスパークルに気づいて振り向く。

 

「待て!! スパークル!!!」

 

「ダメェー!!!!」

 

ニャトランの制止も空しく、スパークルはグレースを助けようと手を伸ばす。

 

シュルシュルシュル!!!!

 

しかし、メガビョーゲンはそれを狙っていたかのように、グレースを掴んでいる布を枝分かれさせ、スパークルも同じように捕らえる。

 

「「きゃあぁぁぁぁ!!!!」」

 

ズガーン!!!!!

 

そして、先ほどと同様に二人を地面へと叩きつけた。

 

「ウゥ・・・・・・」

 

ラテはその様子を不安そうに見つめている。

 

「メガァ、ハハハ・・・・・・」

 

メガビョーゲンは拘束した二人を持ち上げながら、まるで嘲笑うかのような声を上げる。

 

「これで二人・・・あとはそこの青いの、お前だけね」

 

「くっ・・・・・・!!」

 

クルシーナが指をさすその先には、フォンテーヌが焦りを感じ始めていた。

 

「どうせ逃げ回るんだったら、キツネになりなさいよ。それともお前は、捕まるだけの鳥で終わるのかしらぁ?」

 

「っ・・・・・・!!」

 

フォンテーヌの表情と心には緊張感で溢れていた。メガビョーゲンに捕まってしまえば、それで終わりのこの状況。しかし、一人でこの大きく成長したメガビョーゲンに対処できるはずがない。

 

しかし、どうすればいいか、そんなことを考える暇もなく、メガビョーゲンの布のような手が襲いかかる。

 

「っ!!!」

 

「メガァ!!!!」

 

ビタァン!!!!

 

飛んで避けたフォンテーヌは逃れようと青い光線を放つも、襲いかかってくる布には全く通用せずに打ち消されてしまい、逆に押してくる布にフォンテーヌは再び飛び退く。

 

「はぁっ!!!!」

 

フォンテーヌは再度青い光線を放つが、赤い布は蛇のように動きながら光線を掻い潜りフォンテーヌへと迫る。

 

「!? しまった・・・!! きゃあぁぁ!!!!」

 

そして、そのままフォンテーヌはなすすべなく赤い布に捕まってしまい、先ほどの二人と同様に地面へと叩きつけられた。

 

「キャウン!!!」

 

その様子を見ていたラテが悲痛な鳴き声を上げる。

 

「メッガ、ビョーゲーン!!!!」

 

メガビョーゲンは「つっかま~えた~!!」とでも言いたげな声を上げながら、両腕を頭の上に持ち上げる。

 

とうとうプリキュアは3人とも全員、メガビョーゲンに拘束されてしまったのであった。

 

「くっ・・・うぅ・・・!!」

 

「うっ・・・ぅぅ・・・!!」

 

「うぅぅ・・・うぅぅぅ・・・!!」

 

苦痛の声を上げるプリキュアの3人。

 

「クゥ~ン・・・クゥ~ン・・・!!」

 

その様子を見ているラテは不安げな声を上げる。

 

「フッフフフ・・・あらあら、どうしちゃったのかしらぁ?」

 

そこへクルシーナが笑い声を上げながら近づいていく。

 

「プリキュア3人仲良くメガビョーゲンに捕まっちゃうなんて、ちょっとお疲れなのかしらねぇ?」

 

「くっ・・・!」

 

「うっ・・・!」

 

「うぅぅ・・・!!」

 

クルシーナはメガビョーゲンに拘束された3人を見上げながらあざ笑う。

 

「本当にどうしちゃったの~? アタシたちは昨日の夜からメガビョーゲンを出現させて、ここ一帯を蝕んでいたのに、いつまで経っても来ないわ、やっと来たと思ったらこのザマだわ、お手当てがうまく行きすぎてちょっと気が緩んじゃったんじゃないのぉ~?」

 

クルシーナはそこまで言うとわざとらしくハッとしたような表情を浮かべた後に、あざ笑うかのようなニヒルな笑みを浮かべる。

 

「あぁ~、ごめんなさい。お前らは気を引き締めてもその程度だったわねぇ! アッハハハハハ!!! アーッハッハッハッハッハ!!!!!!」

 

クルシーナは徹底的にプリキュアをバカにしたような態度をとり、大きな笑い声をあげる。

 

「う、うるさい・・・!!」

 

「まだ、終わってないんだから・・・!!!」

 

グレースとスパークルは拘束されながらも、反抗して強気に返す。その表情からはまだお手当てを諦めていない様子だ。

 

「まぁ~だ、終わってないだぁ~?? そんな無様な格好で言われても説得力ないんですけどぉ??」

 

クルシーナはサディスティックな表情を見せた後、プリキュア3人に背を向けながら挑発する。あいつらは、もはや身動き一つ取れないというのに何を寝ぼけたことを言っているのだろうか?

 

「・・・それで? どうやってそこから抜け出すのかしらぁ?」

 

クルシーナは顔を振り向きながら3人、主にグレースに問う。その表情は不敵な笑みを浮かべていた。

 

彼女にはわかり切っていた。あの3人が自力であそこから抜け出す術を何一つ持っていないということを。拘束されて身動き一つ取れないあの状態ではステッキを振るうどころか、エレメントボトルを使うことも、3人でのあの合体技を出すことすらできないだろう。

 

だからこそ、彼女は敢えて聞いてやるのだ。無様なあいつらを嗤ってやるために。

 

「くっ・・・・・・!」

 

グレースはクルシーナの言葉に何も反論が出てこない。それどころか体全体を縛られていて、動くことすら叶わない。

 

ギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!

 

「ぐっ、うぅぅぅぅぅ・・・!!」

 

「うぅぅぅぅ・・・!!」

 

「くっ、うぅぅぅぅぅ・・・!!」

 

メガビョーゲンは拘束する腕の力を強くする。これによって強く体を締め上げられたプリキュアたちは苦痛の声を漏らし、その苦しさに表情を苦痛に歪ませる。

 

「ふん、強がればどうにかなるとでも思ったわけ? お前らってホントバカね」

 

手を腰に当てながら、何もできないプリキュアたちを嘲笑うクルシーナ。

 

あいつらはお手当てを諦めたくないんだろうが、この状況ではどうしようもない。プリキュアは3人しかいないはずだし、救援を駆けつけられるものは誰もいない。もはや強がっているようにしか聞こえない。

 

「無駄な抵抗はやめとけよ。もがいたって苦しくなるだけだぜ?」

 

クルシーナは余裕の笑みで言う。やっぱり今のプリキュアは弱すぎる。せめて相手になるぐらいのやつは現れないだろうかとすら思う。

 

「あぁん♪ いいないいなぁ~♪ ヘバリーヌちゃんもあんなふうに縛られた~い♪」

 

「あとで好きなだけ縛ってやるわよ。でも、まずは役目を果たさないとねぇ」

 

ヘバリーヌの羨ましそうな言葉に、クルシーナは適当に返す。するとヘバリーヌは瞳をキラキラとさせ始める。

 

「あとでお仕置きしてくれるぅ~? あ・・・」

 

「ちゃ~んと仕事してくれたらね♥」

 

クルシーナはヘバリーヌの頭を撫でながら言う。

 

「うんうんやる~!!」

 

「その意気で頼むわよ」

 

「りょ~かい♪ じゃあ、ヘバリーヌちゃん頑張ってくるね~♪」

 

ヘバリーヌは少女のような無垢な表情を浮かべると、敬礼のポーズをしながらその場から姿を消した。

 

クルシーナは口元に笑みを浮かべながら消えたのを見届けると、すこやか山の惨状を見やる。

 

「さてと、この辺は大体蝕み終わったところだし、そろそろ場所を移動するか」

 

すこやか山全体は赤く染め上げられており、特にメガビョーゲンの周囲の地面は赤い靄に包まれていて傷んでおり、すでに荒地と化している。

 

もう十分に蝕んだ。あとはこいつをどこまで大きくできるかだ。

 

クルシーナは他に蝕める場所がないか、空へと飛び上がって遠い場所を見てみる。

 

「あそこなんかいいかしらねぇ」

 

不敵な笑みを浮かべるクルシーナの目の前には、あのプリキュアたちが住んでいるであろう街が見えていた。

 

クルシーナはメガビョーゲンの近くへと降りて、怪物に指示を出すために近づく。

 

「お嬢~! 次、どこ行くっすか~?」

 

「あいつらの街に行ってみようかなと思ってね」

 

「!? や、やめて・・・・・・!!」

 

近づいてくるバテテモーダに答えると、それにグレースが反応した。

 

まさか、私たちの住む街に侵攻しようとしているの・・・? そんなことをされたら・・・・・・!!

 

しかし、今の自分は動くどころか、ビョーゲンズを止めることすらできない。

 

「・・・メガビョーゲン」

 

ギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!

 

「ぐぅ、うぅぅぅぅぅぅ・・・!!!」

 

グレースの言葉がやかましくなると感じたクルシーナは顔を顰めると、メガビョーゲンに指示を出すとさらに締め上げる腕を強くし、グレースを苦しめる。

 

「何もできないやつは大人しくしてろよ」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべながら言う。

 

病気で苦しめるのとは違うが、締め付けられているあいつらの苦痛に歪んだ表情も、これもまたいい。何せ拝めながら次の場所に行くことができるからだ。

 

「ほらメガビョーゲン、あっち。ああ、そいつらも何もできないように締め上げておけよ」

 

「メガァ・・・・・・」

 

プリキュア3人を拘束しながら、クルシーナの指示の下、移動しようとするメガビョーゲン。

 

「く、うぅ・・・!」

 

「う、うぅ・・・!」

 

「うっ、うぅぅぅぅ・・・!!」

 

プリキュア3人は苦痛の表情を浮かべている。身動きを取ることができず、そこから脱出することもできない。

 

「フフフ・・・・・・」

 

クルシーナはそんな3人を見上げながら、笑みを浮かべていた。

 

そのままビョーゲンズの幹部たちはゆっくりとすこやか山から移動していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドクルンとイタイノンが帰還した後の廃病院。二人はその中の床を見つめていた。

 

「これは、なんですかね?」

 

ドクルンは床に溢れている赤オレンジ色の液体を見る。しかも、それは部屋のどこかに続いているようだった。

 

イタイノンは液体を指ですくうと口にしゃぶり、口から出す。

 

「甘いの・・・花の蜜みたいなの」

 

「花の蜜? ということは、クルシーナの植物園ですか」

 

二人は赤オレンジ色の液体をたどっていくと、扉の開いている部屋へとたどり着く。

 

「扉が開いていますね」

 

「廃病院には誰もいないはずなの。開けられるわけがないの」

 

「クルシーナが開けっ放しにしていくわけがありませんし、この液体の跡を見ると何かが生まれたとしか言いようがありませんね」

 

「・・・入ってみればわかるの」

 

二人は植物園の中へと入っていく。ここにも赤オレンジ色の液体が続いているが、廊下で見た部分と比べたら液体の濃度は濃く、よく見るとそこに靴のような足跡が付いていた。

 

「・・・人のような足跡なの」

 

「っていうことは、何かが生まれたんでしょうね」

 

赤オレンジ色の液体を最後まで辿ると、蕾が開き切ったような黒い花があり、そこから液体が垂れているのが見えた。

 

「どうやら、ここから生まれたみたいですね」

 

「・・・もう面倒臭いから液体を辿ればそいつの場所がわかるはずの」

 

ドクルンとイタイノンはそう言いながら、自分たちがたどった液体の跡を見つめた。

 

その一方で・・・・・・。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

地球のとある森の中、息を切らしているフードを被った人物。どんな人かは伺えないが、体つきを見ると少女のようだ。

 

「なんとか・・・あの世界から・・・逃げてきたが・・・」

 

背後を向きながら追っ手が来ていないか様子を伺うフードの少女。そして、周囲を見渡す。

 

「ここは・・・どこだ・・・? それにこのあたりは空気が澄んでいて、苦しさを感じる・・・」

 

夢中で走っていたのか、フードの少女はこの場所がどこなのかわかっていないようだ。しかも、よくわからないが、自然の空気が私に苦痛を与えてくる。

 

「とにかく、あいつらから遠くへ逃げないと・・・・・・!!」

 

フードの少女はどこに逃げようかと模索していると・・・。

 

「!!」

 

少女は何かを感じたように、目を見開き、あらぬ方向を向く。

 

「なんだか、誰かが泣いているような・・・?」

 

何かの気配を察した少女はつぶやく。確かに助けを求めている誰かの声が聞こえた気がする。自分が今、向いている方向にだ。

 

「あっちへ行ってみよう・・・」

 

少女は半信半疑でありながらも、その方向へと走っていくのであった。

 

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