ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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今回で第19話ベースは最後となります。
まだまだ長編は続きます。最後までお付き合いください!


第53話「曲者」

 

ギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!

 

「ぐっ、うぅぅぅぅぅ・・・!!」

 

「うぅぅぅぅ・・・!!」

 

「くっ、うぅぅぅぅぅ・・・!!」

 

クルシーナの生み出したメガビョーゲンに立ち向かうも、逆に拘束されてしまったプリキュアの3人。

 

「ふん、強がればどうにかなるとでも思ったわけ? お前らってホントバカね」

 

手を腰に当てながら、何もできないプリキュアたちを嘲笑うクルシーナ。

 

あいつらはお手当てを諦めたくないんだろうが、この状況ではどうしようもない。プリキュアは3人しかいないはずだし、救援を駆けつけられるものは誰もいない。もはや強がっているようにしか聞こえない。

 

「無駄な抵抗はやめとけよ。もがいたって苦しくなるだけだぜ?」

 

クルシーナは余裕の笑みで言う。

 

「ほらメガビョーゲン、あっち」

 

「メガァ・・・・・・」

 

クルシーナが指示を出すと、メガビョーゲンはプリキュア3人を拘束したまま移動しようとする。

 

「クゥ~ン・・・」

 

その様子を見ていたラテの想いは、不安から無力感へと変わっていた。

 

「く、うぅ・・・!」

 

いつも元気でおっちょこちょいだが、ラテを本気で心配してくれるスパークル。

 

「う、うぅ・・・!」

 

しっかり者で、常に自分を気にしてくれるフォンテーヌ。

 

「うっ、うぅぅぅぅ・・・!!」

 

そして、常にラテに寄り添ってくれて、優しい言葉をかけてくれるグレース。

 

その3人は今、メガビョーゲンを浄化することができず、窮地に追い込まれている。

 

なのに、体調の悪い自分は、何もすることができない。それどころか、地球の不調を察することができず、優しくしてくれる3人に迷惑をかけてしまった。

 

ラテは不甲斐ない自分に、悔しそうに目をギュッとさせながら俯向く。

 

そんな彼女に母親であるテアティーヌの声が甦る。

 

ーーーー私たちのお手当てはね、強くないとできないのよ。

 

自分もお手当てをしたいと言ったときに、彼女が微笑みながら言った言葉。

 

ーーーーラテは確かに強くない、でもラテがどうにかしないとグレースたちが・・・・・・!!

 

彼女たちを、助けてくれる仲間がいない。ヒーリングガーデンで待つお母さんが助けに来てくれるわけがない。

 

そう思ったラテの表情が意を決したように強い表情になる。

 

ラテは体調不良でふらつく体を必死で起こし、立ち上がる。足は震えているが、自分は立てると奮い立たせる。

 

その場から飛び出し、自身に背を向けてゆっくりと進んでいくメガビョーゲンを見据える。

 

「ワン!ワン!!」

 

メガビョーゲンに向かって吠え、そのまま駆け出していく。

 

「ワン!!ワン!! ウゥゥゥゥゥ・・・!!」

 

ラテはそのままメガビョーゲンの尻尾に飛びつくと噛み付き、怪物の進行を止めようとする。

 

「メガ・・・?」

 

尻尾に違和感を感じたメガビョーゲンが背後を振り向く。

 

「・・・あぁ?」

 

さらにそれに気づいたクルシーナが足を止めて振り返る。

 

「ラテ・・・!!」

 

「ラテ様!!」

 

グレースやラビリンが叫ぶのを尻目に、ラテはメガビョーゲンの尻尾に噛み付いて振り回す。

 

「ウゥゥゥゥゥゥゥ・・・!! キャウン!!」

 

そんなラテをメガビョーゲンは虫を振り払うかのように振り回して軽くあしらい、吹き飛ばす。地面へと叩きつけられて転がるラテ。

 

「ラテ!!」

 

「ラテ様!!」

 

「っ・・・!!」

 

スパークルとニャトランが心配そうに叫ぶも、ラテは震える足を立ち上がらせる。

 

「アッハハハ・・・それでどうにかできると思ってるわけ? バカじゃないの?」

 

そんな彼女を見て、クルシーナは余裕の笑みであざ笑う。

 

彼女の言葉も目にくれず、ラテは再びメガビョーゲンへと向かっていく。

 

「ラテ様!!」

 

「ダメー!!」

 

フォンテーヌとペギタンが叫ぶ中、ラテは再び尻尾に噛みつこうとしたが、メガビョーゲンは地面に尻尾を叩きつける。

 

「キャウン!!」

 

ラテはそれによって吹き飛ばされ転がるも、諦めずに震える足を立ち上がらせていく。

 

その後もラテはメガビョーゲンに立ち向かっていくが、その度怪物に軽くあしらわれ、攻撃によってボロボロになっていく。

 

しかし、ラテはそれでもなお、メガビョーゲンを止めようと立ち上がる。

 

「ラテ・・・やめてっ・・・!!」

 

グレースはラテを助けに行こうと足掻くも、メガビョーゲンに強く拘束されている状態では力を入れることができず、そこから抜け出せずにいた。

 

「まだわかんないわけ? お前が努力したところで、無理なものは無理なんだよ」

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

もはや悪あがきにしか見えていないラテの行動を嘲笑するクルシーナ。彼女はそれでもなお、立ち上がり、メガビョーゲンに向かっていく。

 

「来るニャ!! ラテ様!!」

 

「死んじゃうよ・・・!!」

 

スパークルとニャトランはその様子を涙目になりながら叫んでいた。

 

「キャウン!!」

 

こちらに走ってくるラテを、メガビョーゲンは軽く蹴りを入れて吹き飛ばす。

 

「やめるペエ!!」

 

「ラテ!!」

 

ボロボロになり傷ついていくラテに、フォンテーヌとペギタンも涙ながらに叫んでいた。

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

吹き飛ばされて倒れるラテ。立ち向かうたびにメガビョーゲンの攻撃を受け続けた彼女の表情は、疲れが見えていた。

 

「ふん、そもそもパートナーのいないお前に何ができるんだよ、ヒーリングガーデンの王女様?」

 

クルシーナはニヒルな笑みを浮かべながら、ラテをバカにする。

 

「ウゥ・・・・・・」

 

「箱入り娘は力の差っていうのを理解できないのかしら? 無駄だってわかってんのに立ち向かうとか、バカにも程があるんじゃないの?」

 

クルシーナの言葉に、ラテは悔しそうな顔を向ける。

 

「大体、捕まってるあいつらの顔見てみろよ。お前が余計なことして、さっき以上に苦しい顔してんのわかんないわけ?」

 

「っ・・・!?」

 

クルシーナがメガビョーゲンに捕まっている3人を見上げながら指摘すると、ラテはショックを受けて落ち込むような表情になる。

 

勝てないとわかっているのに、お手当てをしたいという気持ちからメガビョーゲンに立ち向かい、その結果ボロボロにされている。そのときの3人の顔はどうだろうか? メガビョーゲンに捕まっている時よりも苦しい表情、泣きそうな表情をしている。

 

ラテはお手当てがしたいと思っていても、パートナーがいないことには何もできていないのと同じ。不甲斐ない自分を悔やむしかなかった。

 

(ラテも・・・ラテもママみたいに、地球をお手当てするラテ・・・)

 

しかし、ラテの表情には諦めの色はなく、言葉を話すことができない彼女は心の中でそんなことを思っていた。

 

「!?」

 

そんな立ち上がった彼女に迫る影。それはクルシーナと一緒にいたバテテモーダだった。

 

バテテモーダはラテを片手でつまみ上げる。彼はそれを見て邪悪な笑みを浮かべると、ラテに頬ずりをし始める。

 

「よーち、よちよちよち~・・・」

 

「ウゥ~ン・・・ウゥ~ン・・・!」

 

「踏み潰されたいのかなぁ~? それとも握りつぶされる方がいいのかなぁ~?」

 

バテテモーダはラテを可愛がるように振り回しながら、どうしてやろうかと画策する。

 

その様子を見ていたクルシーナが、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

「・・・バテテモーダ」

 

「はい?」

 

「そのままその子犬を頭の上に高く上げといてくれる?」

 

「あっ、了解っす~・・・」

 

バテテモーダは言われた通りに、ラテを自分の頭の上に掲げる。

 

「この際だからこいつは始末しておこうかしら」

 

クルシーナはそう言うと右手にピンク色の禍々しいオーラを込め始める。

 

「な、何をする気なの・・・?」

 

「ああ、そうだ。お前らも見ておけよ。一匹の命が終わる瞬間をさ」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべながら、ラテに向かって右手を構える。

 

「や、やめて・・・!!」

 

「ダメー!!!」

 

「そんなことしたら本当に死んじゃうよ・・・!!」

 

助けに行くことができないプリキュアの3人は叫ぶ。グレースに至っては拘束から逃れようともがいているが、やはり抜け出すことができない。

 

「恨むんだったら、無力な自分を恨むんだね。フフフ・・・」

 

バシュ!!

 

クルシーナはプリキュアの叫び声を聞いて笑みを浮かべながら、右手からピンク色の光弾を放った。

 

「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

グレースの絶叫が響くも、光弾は無情にもラテへと迫っていき・・・・・・。

 

ビィィィィィィィィィ!!

 

ドカァァァァァン!!

 

「!?」

 

ラテに当たる直前で、どこからともなく黒い光線が飛んでいき、ピンク色の光弾に着弾して爆発させる。クルシーナは突然起こった出来事に目を見開いた。

 

「え、何・・・!?」

 

「今、何が起こったの・・・?」

 

「攻撃が打ち消された・・・?」

 

グレースとフォンテーヌも突然のことに驚いている。

 

「な、何が起こったっすか!?」

 

バテテモーダもクルシーナの攻撃が打ち消されたことに驚きを隠せない。

 

「っ!?」

 

クルシーナは遠方から何かの気配を感じ、その方向へと振り返る。

 

それは一陣の風のようなもの、誰かの祈りに導かれるかのように吹き始め、それはまっすぐとすこやか山へと向かっていく。

 

そして、すこやか山へと現れた風はラテを掴んでいるバテテモーダへと向かっていき・・・・・・。

 

「ん? うおっ!? どわはぁ!?」

 

バテテモーダはそのまま風に襲われて吹き飛ばされ、地面を転がった。

 

「メガ!?」

 

「っ!?」

 

「「「ああ・・・!?」」」

 

その様子にメガビョーゲンはおろか、クルシーナ、プリキュアの3人は驚く。

 

「だぁ! いってぇ・・・!! あれ!?」

 

バテテモーダは体を起こすと、なんと彼の手元からラテの姿が消えていた。

 

「ラテは!?」

 

「消えちゃった・・・?」

 

ラテが突然いなくなったことに、戸惑いの声をあげるグレースとスパークル。

 

「っ! 見て!!」

 

何かに気がついたフォンテーヌの視線の先には、紫色の風が渦巻いているのが見えた。そして、その風が徐々に治っていき・・・・・・。

 

「あ!?」

 

そこには薄紫色のウェーブがかかったロングヘアに、頭には翼の飾りのついたティアラ。フリルのついた薄紫色のアシンメトリーのドレスを着た、グレースたちとほぼ同年代の女性の姿があった。

 

そんな彼女の手元にはラテが抱かれているのが見えた。

 

「プ、プリキュアラビ!!」

 

「えっ・・・!?」

 

「先代のプリキュアニャ!!」

 

「テアティーヌ様のパートナーだったプリキュアとそっくりペエ!!」

 

「「「ええっ!?」」」

 

「なんだと!?」

 

ラビリンたちは先代のプリキュアに酷似ていることを指摘し、プリキュアたちやバテテモーダは驚きを隠さない。

 

そんな中、突然の登場に目を見開きつつも、その女性を冷静に見たクルシーナはニヒルな笑みを浮かべる。

 

「へぇ・・・こんなところでまた会えるなんてねぇ」

 

その女性はクルシーナにとっては懐かしい存在。私が生まれたばかりの頃、あの街を襲い、自分たちと戦ったことがあるあのプリキュアだ。

 

でも、あの街にいたやつと雰囲気は一緒だが、違う。あの街のプリキュアは自分たちが消したはずだから、あいつとこいつは一緒であっても、何かが違うのだろう。

 

「ラテ様。あなたの望み、私が叶えましょう」

 

先代のプリキュアにそっくりの女性はラテを地面に優しく下ろすと、目の前にいるメガビョーゲンを見据える。

 

「地球を蝕む邪悪なものよ。最後の時です。清められなさい」

 

女性はそう言うと高く飛び上がって姿を消したかと思うと・・・・・・。

 

シュン!!

 

一瞬でメガビョーゲンの腕を切り裂いて、プリキュアたちを拘束から解放する。

 

「ふぅ・・・助かった・・・」

 

「っ! ラテ!!」

 

グレースはラテを見つけると、すかさず駆け出して自分の方に抱き寄せる。

 

「ラテ・・・よかった・・・」

 

グレースはラテが無事なのを確認し、涙ぐみながら安堵の声を漏らす。

 

「メガァ!?」

 

一方、先代似のプリキュアは舞うように飛び込むとメガビョーゲンに腹部に手を当てて掌底を放って怯ませる。さらにそのまま蹴りを放って高く打ち上げる。

 

「メガァ・・・!?」

 

そして、一瞬でメガビョーゲンの背後に移動すると、そのまま渾身の蹴りを放って地面へと叩き落とす。

 

「追いましょう!」

 

「「うん!」」

 

プリキュアの3人は女性とメガビョーゲンの元へと向かう。

 

「お嬢!! 自分たちも追うっすよ!!」

 

「フフフ・・・・・・」

 

焦ったように言うバテテモーダに対し、クルシーナはニヒルな笑みを浮かべながらゆっくりと歩いて向かっていく。

 

「メー・・・」

 

メガビョーゲンは自分を圧倒する、先代似のプリキュアを見据える。

 

「メガガガガガガ!!!!」

 

メガビョーゲンは起き上がると、素早く両腕を振るって攻撃する。先代似のプリキュアはそれらを難なくかわしていくとメガビョーゲンへと迫り・・・・・・。

 

「・・・・・・・・・」

 

「メガァ!?」

 

メガビョーゲンの顔面に蹴りを入れて、そのまま踏みつけるように押し倒した。

 

「な、なんだあいつ!?」

 

「フッフフフフフフ・・・!!」

 

圧倒的な強さを誇る先代似のプリキュアにただただ驚くばかりのバテテモーダに対し、クルシーナは面白いものを見つけたかのように笑みを深くしていく。

 

「「「・・・!」」」

 

追いついたプリキュアたちは、バテテモーダと同じように驚くばかりだ。

 

「プリキュアよ、今です」

 

「えっ・・・あ、はい!」

 

先代似のプリキュアに言われ、呆然と見ていたプリキュアの3人はハッとした後に頷く。

 

3人はミラクルヒーリングボトルをステッキにセットする。

 

「「「トリプルハートチャージ!!」」」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの順で肉球にタッチしていき、ステッキを上に掲げる。すると、花畑が広がっていき、背後には自然豊かな森が広がっていく。

 

「「「プリキュア! ヒーリング・オアシス!!」」」

 

3人は一斉にメガビョーゲンへとステッキを構え、ピンク・青・黄色の3色の光線が螺旋状になって放たれる。螺旋状の光線は混ざり合いながら一直線にメガビョーゲンに直撃する。

 

螺旋状になった光線はそれぞれの色の手へと変化して、3本の手が風のエレメントさんを優しく包み込んでいく。

 

3色に光るハート状にメガビョーゲンを貫きながら、光線はエレメントさんをメガビョーゲンから外へと出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンたちは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていった。

 

「「「「「「お大事に」」」」」」

 

風のエレメントさんが吹流しへと戻っていくと、広範囲に蝕まれたすこやか山は元に戻っていき、元の山の自然の豊かさを取り戻していく。

 

「おいおい!? お嬢があんなに蝕んだのに・・・!?」

 

あんなに強力だったクルシーナのメガビョーゲンが浄化されたことに、驚きを隠せないバテテモーダ。

 

「フフフ、アッハハハハ!!! いいねいいねぇ! 強さはあの時のあいつと全く変わってない! これから楽しみねぇ!」

 

クルシーナは自分がようやく相手になりそうな、あいつとは違うが、強さはほとんど変わらないプリキュアが現れたことに笑い声を上げながら言うと、そのまま撤退しようとするが・・・・・・。

 

「・・・・・・・・・」

 

ふとあることを思い出して、その方向を睨むように向く。それは自分の光弾を打ち消したあの黒い光線が飛んできた方向だ。

 

あいつは、あのプリキュアが放ってきたものとは違う、別の何かだ。ということは、自分の邪魔をした何者かがやったに違いないのだ。

 

ーーーー確かめないことには、アタシのモヤモヤが晴れない・・・。

 

クルシーナはそう思うと、黒い光線が飛んできた方向へと歩いていく。

 

「お嬢? どこ行くんすか・・・?」

 

「・・・アンタは先に帰ってて。あとお父様に報告ね」

 

クルシーナはバテテモーダにそれだけ言うと、その場から姿を消す。

 

「えぇ!?・・・ま、まぁ、ちょっと楽しくなってきたんで・・・」

 

彼女の唐突な行動に驚きの声をあげるも、楽しみが増えたと笑みを浮かべながら、彼もその場から姿を消す。

 

「フゥ・・・・・・」

 

すこやか山の自然が戻り、安心したラテはその場で倒れてしまう。

 

「「「ラテ様!!」」」

 

プリキュアたちは変身を解き、相棒のヒーリングアニマルたちと共にラテに駆け寄る。

 

「大丈夫!?」

 

「無理するから・・・!!」

 

「風のエレメントさんに頼もうぜ!! また、エレメントボトルを分けてくださいって!!」

 

「だね・・・!!」

 

今のラテは怪物に返り討ちにあったばかりか、元々体調も悪い状態、これはもうエレメントさんの力を借りるしかないとそう判断したプリキュアのみんな。

 

しかし、そこへ近づいてくるものがいた。

 

「その必要はありません」

 

「「「!?」」」

 

それは先程、あんなに大きかったメガビョーゲンを圧倒した先代にそっくりのプリキュアだった。

 

先代似のプリキュアは祈るように手を合わせると体を光らせる。すると、プリキュアは金髪のロングヘアの女性へと変化し、その手元にはのどかたちが見たことがあるボトルがあった。

 

「「「「「「えぇっ!?」」」」」」

 

その様子に驚くしかないのどかたち。

 

「エレメントさんじゃないのに、風のエレメントボトルを生んだペエ・・・!!」

 

その出来事にはペギタンたちヒーリングアニマルも驚きを隠せない。

 

その様子を尻目に、女性はラテを優しく抱きとめると風のエレメントボトルを首輪へとかざす。

 

「ワフ~ン・・・」

 

すると、ラテの傷はあっという間に良くなった。ラテは気のせいか体調もよくなった気がする。

 

「人間界で負った病が残ってしまうのですね・・・あぁ、お気の毒なラテ様・・・」

 

「ウゥ~ン・・・ワン、ワン・・・」

 

ラテは不思議そうに金髪の女性を見やると、女性は悲しそうにラテ様を抱きしめる。

 

「先代のプリキュアって大昔の人なのよね・・・?」

 

「なんでラテのこと知ってるの!?」

 

「その前になんで現代に現れたラビ!?」

 

ちゆたちは驚きを隠せないままだ。大昔の人であれば、ラテのことを知っているはずがないし、ましてや人間がそんなに長く生きられるわけがない。本当に不思議な雰囲気の女性だ。

 

しかも、なぜ今になって彼女は姿を現したのか・・・?

 

「プリキュアさん・・・あなたは一体・・・誰なんですか・・・?」

 

のどかが神秘的な女性に声をかけると、彼女は優しい微笑みを浮かべる。

 

また、ちゆは少し気になることもあった。

 

「さっきの黒い光線も、あなたなの・・・?」

 

「そうだよ、さっきラテへの攻撃を庇ってくれたのは・・・?」

 

「? それは私ではありませんが・・・?」

 

「「「えっ!?」」」

 

先程、ラテに攻撃しようとしていたクルシーナの光弾を吹き飛ばしたのが、彼女じゃない?

 

ちゆやひなたは黒い光線が飛んできたであろう場所を見つめる。

 

じゃあ、この女性とは別に、黒い光線を放ってきたのは、一体誰だったのか?

 

目の前にいる先代のプリキュア、ラテを庇った黒い光線・・・のどかたちは疑問を抱くばかりであった。

 

そして、戦いはまだ終わっていなかった・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやら、泣いている声は無くなったようだな・・・」

 

すこやか山の林の中、あのフードを被った少女はコスプレをした少女たちや子犬が無事なのを察すると、その場から歩いていく。

 

「よし、早くここから離れないと・・・!」

 

少女はその場から足早にすこやか山から立ち去ろうとする。ビョーゲンズの誰かに見つかってもあれだし、何よりもここは私にとっては環境が良すぎて息苦しい。

 

この息苦しい場所に長居はできないと、山の中枢あたりまで走って降りていくフードの少女。

 

シュイーン!!

 

しかし、そこへ彼女の背後から風を切るような音が聞こえてきた。

 

「おい」

 

「!?」

 

不機嫌そうな攻撃的な口調、かけられた声にフードの少女はビクッと震える。

 

「さっきアタシの邪魔をしたの、お前か?」

 

クルシーナが不機嫌そうな声で問うも、フードの少女は沈黙したまま何も答えない。

 

その態度にクルシーナの表情が顰められる。

 

「そもそもお前は誰だ? 見たところプリキュアでも無さそうだし、何よりもアタシたちと同族の気配がするんだよ、お前からは」

 

クルシーナは次々と指摘するも、フードの少女は何も答えようとしない。しかし、よく見ると見えている顔、頬の部分には緊張したように汗をかいているのが見えた。

 

少女は緊張から喉をゴクリとさせると、深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。

 

「ふっ!!」

 

ビィィィィィィィィ!!!!

 

フードの少女は振り向きざまに、プリキュアたちとよく似たステッキを向けて黒い光線を放つ。

 

クルシーナはこういう攻撃を予測していたのか、冷静に首を傾けるだけで光線を交わす。

 

「へぇ・・・アタシとやろうってわけ?」

 

クルシーナは相手が攻撃を仕掛けてきたことに、不敵な笑みを浮かべる。

 

ビィィィィィィィィィィ!!!!

 

そして、クルシーナの背後から電撃をまとった光線と冷気をまとった白い光線が同時に飛んできた。

 

「!?」

 

突然の攻撃に驚きつつも、フードの少女は転がるようにして光線をかわす。

 

「やっと見つけましたよ」

 

「メガビョーゲンの気配のせいで探すのに苦労したの・・・」

 

彼女の背後から現れたのは、ドクルンとイタイノンだった。

 

「ねぇ、アンタたち、あとでどういうことだか説明してくれる?」

 

「あとで好きなだけ話してあげますよ」

 

「まずはあいつを捕まえるの」

 

「っ・・・・・・」

 

フードの少女は立ち上がると後ずさりをしていき、逃げようと駆け出していく。

 

「捕らえろ!!」

 

クルシーナは右手からイバラビームを放って、フードの少女を捕らえようとするも、ビームは逃げた近くの木に絡まって外す。

 

「ちっ・・・・・・!!」

 

どんどん遠くへと走っていくフードの少女に舌打ちをすると、クルシーナは飛び出して追っていく。まずはあいつの行動を止めようと、ピンク色の光弾を次々と放っていく。

 

そして、その背後から追っていく二人はそれぞれ黄色の光弾と水色の光弾を、フードの少女に目掛けて放つ。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・!!」

 

ビョーゲン三人娘に追われるフードの少女。彼女は必死で走りながら、光弾に当たらないように避けていく。

 

なんだかよくわからないが、あいつらが相手だと何故か分が悪い。早く逃げて、追っ手を巻かないと・・・・・・。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

フードの少女は巻きやすい林の中へと逃げ込んでいく。

 

「すばしっこいやつなの・・・!!」

 

「これでは見えなくなりますね・・・」

 

ドクルンとイタイノンが険しい表情をする中、クルシーナは冷静な表情をしていた。

 

「・・・ふん」

 

クルシーナは右手からイバラビームを木へと目掛けて放った。

 

バキ、バキバキバキバキバキ!! ドォーン!!!!

 

ビームは木を貫くと、根元から折れて激しい音を立てて倒れていく。

 

「隠れてるなら、炙り出してやるまでよ」

 

そう言い放ってイバラビームを別の木へと打ち、同様に大きな音を立てて倒れる。

 

(なっ、なんて無茶苦茶な奴なんだ・・・!?)

 

林の中に隠れているフードの少女はクルシーナが取った行動に驚きを隠せない。

 

(と、とにかく、ここから離れないと・・・!!)

 

フードの少女は見つからないように匍匐前進をしながら、その林の中を抜け出そうとするが・・・・・・。

 

「!! そこか!!」

 

クルシーナが気配を感じた場所に、イバラビームを放つ。しかも、それはちょうどこのフードの少女がいる場所であった。

 

「!? うわぁっ!!!」

 

ビームが近づいてくるのを察したフードの少女は咄嗟にそこから飛んで林から抜け出す。そして、急いで立ち上がり、三人娘から離れようと駆け出していく。

 

「待てなの!!」

 

それを見ていたイタイノンは口から雷撃を放つ。

 

「随分と往生際の悪い女ですね」

 

ドクルンは指先から白い光線を放つ。

 

「っ!!」

 

フードの少女はそれらを、体を翻しながらかわす。そして、そのまま彼女たちからどんどん距離を離していく。

 

三人娘は足を止めることなく、フードの少女を追っていく。

 

一方、フードの少女は背後から迫る三人娘を見つつ、走っていくが・・・。

 

「!? うわぁ!」

 

体か傾くような感覚に陥り、なんとか踏ん張ってその場に止める。彼女の目の前には崖が広がっていた。

 

フードの少女は逃げ場を失って、追い詰められてしまったのだ。背後を振り向けば、そこには無情にも三人娘が自分へ迫ってくる。

 

「もう逃げられやしないよ」

 

「大人しく一緒に来てください」

 

「どうせお前の居場所なんか、この地球のどこにもないの」

 

三人娘は口々に言いながら、フードの少女への距離を詰めていく。

 

「っ・・・!!」

 

フードの少女は背後と前を見ながら、険しい顔をする。目の前には関わりたくない奴ら、背後には底が見えない崖・・・・・・。

 

しかし、彼女にはある秘めた思いがあった。

 

「わ、私は・・・!!」

 

フードの少女は言葉を紡ぎながら、背後へと下がっていく。

 

「お前たちと一緒に居るくらいなら・・・!!」

 

さらに背後へ下がっていき、足が地面に着く寸前までになる。

 

「私は・・・地獄でもいい・・・!!!!」

 

フードの少女はそう叫ぶと、背後の崖に向かって飛んだ。

 

「!!?? 捕らえろ!!!」

 

クルシーナはフードの少女の予想外の行動に目を見開き、とっさに片手からイバラビームを放つ。しかし、寸前で届かず彼女は下へと落ちていく。

 

三人娘が駆けつけて崖下を覗く頃には、フードの少女の姿は消えていた。

 

「・・・・・・・・・」

 

クルシーナは見えていない崖下を静かに見つめる。

 

「・・・ねえ、アンタら」

 

「・・・?」

 

「・・・何?」

 

クルシーナの声に、ドクルンとイタイノンが反応する。

 

「・・・これはどういうことか説明してくれる?」

 

「・・・見ればわかるでしょう。追ってるんですよ、今のやつを」

 

「パパの命令なの」

 

「お父様の・・・?」

 

クルシーナが冷たい声で問うと、ドクルンとイタイノンはキングビョーゲンの命令であることを話す。

 

「しかも、あのビョーゲンズ、あなたが管理している植物園から出てきたみたいなんですよ」

 

「花の蜜の匂いがすごかったの」

 

「アタシの植物園・・・?」

 

クルシーナはそんな思うところがあっただろうかと考えると、ふと思い出す。

 

もしかしたら、以前、植物園に埋めたキュアグレースから取り出したあの黒いバラ、あれを埋めたところから誕生したやつかもしれない。

 

「ふーん、なるほどね・・・」

 

クルシーナは何かを感じたかのように、不敵な笑みを浮かべる。

 

「ああ、そうそう。二人とも」

 

「「??」」

 

「現れたわよ、あいつが」

 

「あいつって誰ですか?」

 

「もっと詳しく言え、なの」

 

「アタシたちが占拠した街に現れたあのプリキュアよ」

 

「「っ!?」」

 

二人はクルシーナが発した言葉に驚きを隠せない。そんな、まさか・・・・・・。

 

ドクルンとイタイノンは顔を顰めながら口を開く。

 

「・・・それは本当ですか?」

 

「嘘ついて私たちを煽ってるんじゃないか? なの」

 

「本当よ。間違いないわ。アタシたちが消しとばしたはずの、あのプリキュアにそっくりだったわ」

 

ニヒルな笑みを浮かべながら言うクルシーナに対し、ドクルンとイタイノンは真面目な表情を浮かべる。

 

「まあ、とりあえず、お父さんに報告しましょうか」

 

「一応、バテテモーダにも頼んだけど、アタシたちも行きましょうか。・・・いろいろと聞きたいこともあるし」

 

メガネを上げながらドクルンがそういうと、クルシーナは必要ないと思いつつも、聞きたいことも山ほどあったため、一旦キングビョーゲンの元へ戻るとする。

 

「っ・・・・・・・・・」

 

「どうしたの? イタイノン」

 

そんな中、イタイノンがすこやか山に視線を向けていることに、クルシーナが声をかける。

 

「・・・お前、さっきメガビョーゲンを暴れさせたところ、行ってみるといいの」

 

「? なんでよ?」

 

イタイノンがこちらに笑みを浮かべてきたことに、疑問を抱くクルシーナ。

 

「きっといいものがあるの・・・」

 

ゴシックロリータの意味深な言葉に、クルシーナは首を傾げるのであった。

 

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