ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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原作第20話がベースになります。


第54話「欲望」

 

ビョーゲンキングダム、そこにはバテテモーダの姿があり、彼は一人、主人であるキングビョーゲンに報告しにやってきていた。

 

「古のプリキュアが現れた・・・・・・?」

 

バテテモーダからクルシーナの邪魔をした先代のプリキュアのことを聞かされると、キングビョーゲンの様子はいつも以上に厳かな雰囲気だった。

 

「似てるってだけでまだ確定じゃないんっすけど、とりま、ご報告を・・・」

 

そこまで話したバテテモーダに、キングビョーゲンの様相が変わった。

 

「潰せ・・・!!!」

 

「いぃ!?」

 

淀んだ顔を寄せてきたキングビョーゲンに、バテテモーダは思わず顔を引きつらせる。

 

「テアティーヌとそのパートナー・・・大昔から目障りであった」

 

厳かな声で言うキングビョーゲンは、さらにバテテモーダにその淀んだ顔を近づける。

 

「さっさと潰してこい・・・!!!!」

 

「ひぃ!? りょ、了解っす!!」

 

目までも大きく開かせて命令するキングビョーゲンに、さらに顔を引きつらせながら答えるバテテモーダ。

 

しかしそれとは別に、バテテモーダにはキングビョーゲンに頼みたいこともあった。

 

「つきましては・・・」

 

「何だ・・・?」

 

「この仕事、成功したらでいいんですが・・・!」

 

バテテモーダは手をこまねきながら、彼にあることをお願いした。それは・・・・・・。

 

「何が望みだ・・・?」

 

「グアイワルたちボンクラトリオよりも、このバテテモーダに指揮権を。そして、自分をキングビョーゲン様の一番の部下に、お嬢たちと一緒に並ぶような存在にしてくだされば、地球などあっという間に蝕み尽くしてみせます」

 

バテテモーダが邪悪な笑みを浮かべながら、欲しいのはお嬢たちと同じ必要とされる存在、そしてキングビョーゲンの娘と同じような位になって、キングビョーゲンとクルシーナら、主人の娘たちに認められたいという思いであった。

 

所詮、グアイワルやダルイゼンたちなどは自分を出世のために利用しているだけで、何一つしてくれず、大して仕事すらもしないボンクラな連中の集まりだ。逆にお嬢たちは自分にアドバイスをくれたり、一緒に仕事をしたりしてくれた。あいつらがロクに動いていない以上、これはチャンスだ。

 

ここで地球全体を病気に蝕んでやって、自分がキングビョーゲンや娘たちと同じような位に立てれば、グアイワルたちをギャフンと言わすこともできれば、娘たちも自分が特別な駒であることを認めてくれるはずだ。そう思い、バテテモーダは一大決心をしたのであった。

 

それを聞いていたキングビョーゲンは・・・・・・。

 

「よかろう。あの目障りなプリキュアを始末できればな・・・!」

 

バテテモーダの望みを承諾した。キングビョーゲンは元々バテテモーダを使えるやつだと思っていたので、あの力と勢いがあれば達成できると思い込んだのだ。

 

それを聞いたバテテモーダは、表情に喜びを出すと自身の主人に頭を下げる。

 

「ありがとうございます。このバテテモーダ、必ずや仕事を成功させてみせます!」

 

バテテモーダはそう言うと、意気揚々と出撃していったのであった。

 

彼がいなくなり、顔だけの王のみが残された空間で、キングビョーゲンは何かの気配を感じる。

 

「・・・そこにいるのであろう? お前たち」

 

誰もいない空間にキングビョーゲンが声をかけると、彼の近くに瞬間移動して3人の少女のような幹部たちが現れる。

 

それは自身の父親と称する彼に会いに来ていたクルシーナ、ドクルン、イタイノンのビョーゲン三人娘だった。

 

「ええ、いたわよ」

 

「さっきのやり取りもバッチリ聞いてました」

 

「随分な願いをパパに言ったものなの・・・」

 

それぞれが思い思いの言葉を吐く。お先にビョーゲンキングダムに戻ってきたバテテモーダに報告に行かせたのはクルシーナだが、まさか自身の父親にお願いをするやつがいるとは思わなかった。

 

それにしても、あいつの言う願いときたら・・・・・・。

 

「お父様の一番の部下とか、アタシたちに並ぶ存在にしてほしいとか、何言ってんだか・・・」

 

「アタシたちと同じ存在になれるわけないでしょうに・・・」

 

「あいつと私たちでは生まれた過程も存在も違うの・・・」

 

三人娘はどうやら呆れているようだった。そもそも、あいつと自分たちでは何もかも違っているのだ。それはダルイゼンやグアイワルたちにも言えることだ。

 

「あいつがアタシたちになれるわけがないじゃない。だって、アタシたちはお父様の力によって生まれた究極の存在なんだからさ」

 

「私たちにできて、ダルイゼンらにできないことはたくさんありますが・・・」

 

「ダルイゼンたちにできて、私たちにできないことはないの」

 

そうだ。自分たちはダルイゼンやバテテモーダたちとは格も力の差も違う。生まれたばかりのぽっと出のやつや、宿主がいなければ誕生すらもできないあいつらとは違う。自分たちはそのぐらい究極の存在なのである。

 

そんな自分たちに近づこうなど、あの新人は生意気にも程があるのだ。そもそも、あの古のプリキュア似のあいつに勝てるかどうかもわからないくせに・・・・・・。

 

「・・・ヘバリーヌはどうした?」

 

キングビョーゲンが自分の娘たちが一人いないことを問う。

 

「あいつは作戦実行中よ。あの街を着実に病気にしてるところだから」

 

「散々時間稼ぎをしたわけですから、成功してもらわないと困りますけどね」

 

「今頃、街は真っ赤っかなの」

 

「そうか・・・」

 

不敵な笑みを浮かべながら言う三人娘。プリキュアを追い詰めたとはいえ、あそこまでお膳立てをしたのだ。成功してもらわないと自分たちはただ働きをしたも同然である。

 

「ところで、お父様」

 

「何だ・・・?」

 

クルシーナは真面目な表情に戻して、逆にキングビョーゲンに声をかける。

 

「脱走者の件なんだけどさ」

 

脱走者のことを調べていたクルシーナは、真面目な口調でそれらのことを話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キングビョーゲン様に啖呵を切ったのはいいけど、なんか一気に病気に蝕めそうなもんねぇかな~?」

 

地球へと降りたバテテモーダはそんなことを言いながら、クルシーナが発生させたメガビョーゲンのいたすこやか山のあたりをうろうろしていた。

 

自分が戦うのを楽しみにしているあの先代のプリキュア。しかし、あの様子ではメガビョーゲンを呼び出したところですぐに浄化されてしまうのが目に見えている。

 

何か一発逆転を狙えそうなものはないものか・・・・・・。

 

そんなことを思っている最中だった・・・・・・。

 

「バテテモーダ」

 

「ん?」

 

彼の声を呼ぶ少女の声が聞こえる。それに振り返ってみるとクルシーナの姿があった。

 

「クルシーナお嬢!!」

 

「アンタ、頑張ろうとしてるみたいじゃない」

 

木の陰から姿を現したクルシーナはバテテモーダに近づく。

 

「え、えぇ、自分もあいつらに負けたくないっすからね!!」

 

バテテモーダは頭を掻きながら照れる。

 

「私たちは感謝しているのですよ。ヘバリーヌもそうですが、あなたもちゃんと働いてくれますからねぇ」

 

「!! ドクルン嬢も!?」

 

ドクルンも彼の背後から現れたことに、バテテモーダは驚く。

 

「お前はなんだかんだでやってくれてるの」

 

「イ、イタイノン嬢まで!!」

 

さらに別の背後からはイタイノンが姿を現していた。

 

「そんなアンタに、アタシたちからささやかなプレゼント!」

 

クルシーナはそう言うと右手から緑色のかけらのようなものを取り出す。

 

「・・・それは何っすか?」

 

「メガビョーゲンのかけらみたいなやつ。大きく成長したアタシたちのメガビョーゲンから取れたってわけ」

 

そう言うクルシーナも、密かに自分のメガビョーゲンから手に入れていたのだ。

 

それはキングビョーゲンへの報告に向かう前のこと・・・・・・。

 

すこやか山でイタイノンが何かの気配を感じて、その場所を三人娘で探していた。

 

『確か、メガビョーゲンを暴れさせてたのはこのあたりのはずだけど・・・』

 

クルシーナもそういえば気配を感じたなと思い、探そうと思っていたのでちょうど良かったと感じていた。

 

クルシーナがメガビョーゲンがいた場所をうろうろと探していると、何かが当たったのを感じて足元を見る。

 

そこにはウネウネと動く布の切れ端のようなものが散らばっていた。

 

『もしかして、これかしら・・・?』

 

この布の切れ端のようなものから気配を感じた模様。これはおそらく自分の作ったメガビョーゲンがあの先代のプリキュアに切り落とされて散らばったもの。それが浄化されても消えずに残っていたのであろう。

 

その切れ端をしばらく見つめていると、8個の禍々しい赤が澱む緑色のかけらのようなものに変化する。

 

『これは・・・?』

 

疑問に思いながら緑色のかけらを拾い上げるクルシーナ。手で触れてみるとドクンドクンと心臓の音のような何かを感じ、このかけらは自然と同じように生きてるって感じがする。

 

『なるほどね・・・』

 

クルシーナはかけらを頬ずりしながら不敵な笑みを浮かべる。これは何かに使えそうだと・・・。

 

そして、現在までクルシーナは、ドクルンやイタイノンと同じようにかけらを持っているのだ。

 

「これ頑張ろうとしてるアンタにアタシたちからあげる」

 

そう言ってクルシーナはバテテモーダの足元にかけらを放る。

 

「一個じゃ足りないと思うので、私からもあげますよ」

 

「感謝してほしいの」

 

ドクルンとイタイノンも、バテテモーダにかけらを一個ずつ放る。

 

「あ、ありがとうっす!! このバテテモーダ、お嬢たちにこんな素敵なものをもらえて感謝感激っす~!!」

 

バテテモーダはキングビョーゲンの娘からのプレゼントに、瞳をキラキラとさせながら涙ぐむ。今から地球を広範囲に蝕む前に、お嬢たちからこんな素敵なプレゼントをもらえるなんて、感謝するしかなかった。

 

「頑張ってきなさいよ」

 

「いい報告、待ってますよ」

 

「お前の活躍、少しは期待してるの」

 

「ありがとうっす、お嬢たち!! 自分、必ずやり遂げてみせるっす!!!」

 

三人娘に激励の言葉をかけられたバテテモーダは気を良くしながら、すこやか山の奥へと入っていった。

 

「行ったな・・・」

 

「行きましたね・・・」

 

「行ったの・・・」

 

バテテモーダの姿が見えなくなったのを見届けた後、口々にそう言うと彼の歩いていく方向とは逆に背を向けながら歩いていく三人娘。

 

「本当に純粋で利用しがいのあるやつね」

 

「甘い言葉をかければすぐに気をよくする・・・あいつは本当に無垢で可愛いやつですねぇ」

 

「自分が利用されてるだなんて、思ってもいないの」

 

「カワイイ♪ フッ、フフフ・・・」

 

「フフフ・・・・・・」

 

「キヒヒ・・・・・・」

 

その三人娘はクスクスと笑いながら歩く。その口元には邪悪な笑みが浮かんでいた。

 

一方、三人娘と別れて、一人山の奥へと行くバテテモーダ。

 

「フンフ~ン♪ イェ~イ♪」

 

三人娘に活躍を褒められ、ささやかなプレゼントをもらって気を良くしていた彼は歌いながら歩いていた。

 

「おい、バテテモーダ」

 

すると、そこへ背後から男性の声が聞こえてくる。

 

「っ・・・ちっ・・・!!」

 

聞いたことがある声だったため、思わず舌打ちをする彼。今、気分良く歌っていたのに、寄りにもよって偉そうなだけのこいつに会うなんて・・・!!

 

バテテモーダは取り繕うとしばらく前を向いた後、背後にいる男性の方を振り向く。

 

「あれぇ? なんっすかぁ? グアイワルせんぱ~い♪」

 

バテテモーダはヘラヘラした口調で目の前を歩いてくる先輩ーーーーグアイワルに声をかける。

 

「お前、あいつらからもらったメガビョーゲンのかけらを持っているだろう?」

 

不敵な笑みを浮かべながら話すグアイワル。どうやら自分がお嬢たちからもらっている緑色のかけらを狙っているようだ。

 

「な・・・えぇ? なんなんっすかぁ? 急に~♪ ぐわぁ!?」

 

バテテモーダはとぼけようとするが、すぐに近づいてきたグアイワルに胸ぐらを掴まれる。

 

「ごまかすな。見ていたんだ! 俺はぁ。お前がクルシーナたちにかけらを渡されるのをなぁ!」

 

どうやら三人娘に会っていたのを、寄りにもよってこいつに見られていたらしい。普段から何もしないボンクラトリオの一人に。

 

「くっ・・・!!」

 

「よこせ」

 

グアイワルは尊大な態度で命令する。バテテモーダは一瞬渡すかどうか迷ったが、今自分の一世一代の作戦を邪魔されるのは不都合だ。かけらはいくつか持っているし、渡せばこいつも引き下がるだろう。

 

「っ・・・もぉ~!! っと、しょうがないなぁ~」

 

バテテモーダはグアイワルから手を引き剥がすと、渋々ポケットからかけらを一個取り出す。

 

「グアイワル先輩には特別っすよ~!」

 

そう言いながら嫌な先輩に差し出す。グアイワルはそれをひったくるように受け取るが・・・。

 

「まだあるだろう」

 

「えぇ!?」

 

グアイワルはまだかけらがあると疑っている。全然ごまかしきれていなかった・・・。

 

グアイワルはさらにかけらを手に入れようと、バテテモーダの体を無理矢理弄り始める。

 

「よこせ!! 後輩の手に入れたものは、俺のものだ!!!!」

 

「お、お嬢たちからもらったんすよ!! お嬢たちからもらえばいいじゃないっすかぁ!!」

 

「う、うるさい!! さっさとよこせ!!!」

 

単純に三人娘にお願いしてもらえばいいのに、わざわざ自分からもらう必要はないはず。なのに、それでもバテテモーダからかけらを取ろうとするグアイワル。

 

理由も単純だ。クルシーナたちはキングビョーゲンの娘なのだ。そんな貴重な体の幹部に、手を出したなどとあいつらから報告されてしまえば、グアイワルはあっという間に主人に消されるだろう。

 

だから、バテテモーダがかけらを手に入れたことは自分にとって都合がよかったのだ。

 

「わ、わかった!! わかりましたって!!」

 

弄られるくすぐったさに耐えられなくなったバテテモーダはグアイワルの手から逃げ出すと、懐から緑色のかけらをもう一個取り出す。

 

「全部あげますから・・・!!」

 

「さすが、俺の子分だ。フッハハハハハハハ!!!!」

 

グアイワルは差し出されたかけらを取ると、笑顔でバテテモーダの肩をトントンと叩くと、そのまま彼に背を向けて笑いながら去っていく。

 

バテテモーダはそんな横柄な先輩の態度に、忌々しそうに顔を顰める。

 

「あざーっす・・・」

 

グアイワルの背に向けて体裁だけの感謝の言葉を投げかける。

 

そして、バテテモーダはしめしめといったような感じの邪悪な笑みを浮かべる。そんな彼が懐から取り出したものは・・・・・・グアイワルに渡したものと同じ緑色のかけらだった。

 

バテテモーダは全部渡すフリをして、かけらを一つ隠し持っていたのだった。

 

「本当に全部渡すバカがいるかよ。こいつは、俺とお嬢たちのために使わせてもらうぜぇ」

 

お嬢たちからせっかくもらったものを、あんな奴に全部渡してたまるものか。バテテモーダは、うまくいったと言わんばかりの不敵な笑みを浮かべた。

 

さて、そろそろ頃合いだ。地球全体を病気で蝕むための準備をしなくては・・・・・・。

 

バテテモーダはそんなことを思いながら、自慢の鼻で匂いを嗅ぎながら怪物にする素体を探す。

 

ふと、山の林を抜けてみるとそこには青色のパネルがついたような建物が並んでいるのが見えた。

 

崖の近くまで来てみると、その匂いは余計に強くなり、彼にとっては強烈な不快感が増してきた。

 

「ヘヘっ、くっせぇ・・・」

 

バテテモーダはそんなことを吐き捨てながら、顔を顰める。

 

「自然の力をたっぷり溜め込んだ匂いがするぜぇ・・・!!」

 

不快な匂いを感じたのは、あの青いパネルからだ。ビョーゲンズの自分にとってはイライラするほどの天気のいい日、そんな季節だからこそあのパネルは一層嫌な感じがする。

 

あれだったら、いいメガビョーゲンを生み出せるかもしれない・・・!!

 

そう思ったバテテモーダは侵攻する準備をするため、メガビョーゲンを生み出すことにする。

 

両腕を交差させつつ小躍りをし、黒い塊のようなものを出す。そして、自身の両手を合わせる。

 

「進化ベイベー、ナノビョーゲン!」

 

「ナノッス~!」

 

彼から生み出されたナノビョーゲンは、一直線に青色のパネルへと取り憑いていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

息を切らしながら歩く、フードを被っている少女。その足取りは足を引きずりながら歩いているようにすら見える。

 

「ここは・・・どこなんだ・・・?」

 

疑問を抱きつつも、歩く足取りを止めようとしない少女。

 

自分を襲ってきたビョーゲンズから逃げてきたのはいいが、崖から落ちた先で数分気絶していたためにどこを歩いているのかすらもわからなくなってしまった。

 

よく見れば、フードはホコリだらけで顔にも擦ったような傷が付いている。

 

それに・・・ここも変わらず、空気が澄んでいて息苦しさを感じる。

 

周りは木や葉っぱだらけで、何もない。自分がもはや、どこを歩いているのかもわからない。

 

グゥ~~~!!!

 

「っ!?」

 

少女は自分の腹部が鳴ったことに違和感を感じ足を止める。思わずお腹を抑える彼女だが、これがどういうことなのか自分にもわからない。

 

「とにかく、あいつらから逃げないと・・・!」

 

そう言いながら、足を引きずるようにして前へ進もうとする少女。自分がどこに向かっているかもわからない中で、私は一体何をしようとしているのだろうか?

 

そんな疑問を抱きながら進んでいた、その時だった・・・。

 

「!?」

 

何かの気配を感じて目を見開き、足を止める。

 

「誰かが・・・泣いている・・・?」

 

誰かが泣いているような、苦しんでいるような、そんな声が聞こえてきた気がする。

 

しかも、この気配、逃げてきたあいつらとは違うが、それでも同等の気配がする。そこから泣いている声も聞こえてくる。

 

「行かないと・・・!!」

 

何かはよくわからないが、行かないといけない気がする。そんな思いから、フードの少女は足の痛みも忘れて林の中を走っていく。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

汗が出るのも構わず、ステッキを構えたまま走り続ける少女。

 

一体、私は・・・どこへ向かっているのだろうか? 何をしようとしているのだろうか? 衝動的にあの部屋から飛び出してきたから、よくわからない。

 

自分は一体、誰なのか・・・・・・?

 

夢中で走りながらも、そんなことを考えてしまう。

 

そして、林の中を抜けて明るさを感じ、少女が見た光景は・・・・・・。

 

「なっ、何だ・・・これは・・・?」

 

動揺するフードの少女。その光景は建物が多く広がっている光景だが、そのほとんどが赤い靄がかかっていた。

 

どうやら人間が住んでいる場所のようだが、近くの畑や街路樹にも赤い靄がかかっている。

 

「メガァ・・・・・・」

 

「!?」

 

声がする方向に驚いて振り向くと、球体の怪物が口から赤い光線を吐きながら建物に赤い靄をかけていた。どうやらこの赤い靄は怪物の仕業のようだった。

 

しかも、怪物はあの山で見たものと同様、かなりの大きさになっている。

 

さらにその近くには、白い服を着た少女が座り込んでいる。

 

「フンフンフーン♪ お姉ちゃんいないとつまんないなぁ~・・・」

 

少女は足をぷらぷらとさせながら、怪物が赤い光線を吐くのを見つめている。

 

フードの少女は違和感を感じ、体を震わせる。

 

あの少女はなんだ・・・? なんだか私を追っていた奴らと同じ気配がする。

 

それだったら、こんなところにいるわけにはいかない。早く逃げないと・・・!

 

しかし、そんな思いとは裏腹にフードの少女は衝動的に黒いステッキを構える。

 

なんだろう・・・なんだかわからないが、あの怪物は止めなければいけない気がする・・・・・・。

 

二つの感情が交差する少女。ステッキを握る手を震わせる。

 

「くっ・・・!!」

 

表情は歯を食いしばりながらも、顔が緊張で険しくなっていく。

 

しかし、泣いている声はあの怪物から聞こえる・・・・・・。

 

そうだ。止めないと・・・。泣いているなら、泣き止ませないと・・・!!

 

何を思ったのか、フードの少女は緊張から汗を垂らしながらも、意を決したように駆け出していく。

 

「やめろぉ!!!!」

 

叫びながら少女は怪物へと駆け出し、目の前で飛び上がる。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

少女は黒いステッキから黒い光線を怪物に向かって放つ。

 

「メガァ・・・?」

 

黒い光線は怪物の背中に当たるも、全く通用していない様子。怪物は違和感を感じて、背後を振り向く。

 

「ん~? 誰~、あの子?」

 

白い服の少女ーーーーヘバリーヌは突然、自分の作り出した怪物ーーーーメガビョーゲンに光線を放つものが現れたことに驚く。

 

見たところプリキュアちゃんではなさそうだし、かといってあの子からはヘバリーヌちゃんと同じ同族の匂いがする。まるで違和感の塊としか思えない少女だ。

 

なんだかわからないが、ヘバリーヌちゃんの邪魔をするなら追いはらうだけだ。

 

「メガビョーゲン、そいつ邪魔だからぶっ飛ばしちゃってぇ~」

 

「メガァ・・・!」

 

メガビョーゲンはヘバリーヌに指示をされると、赤い球体のようなものを出現させ、そこから赤い靄のかかった風を少女に向かって噴射する。

 

「うっ・・・うわぁぁ!!」

 

吹き飛ばされて地面に落ちるフードの少女。

 

光線が効いていない・・・だったら・・・!!

 

フードの少女は空中で体勢を立て直して、建物の壁に足をつけるとロケットのように飛び出し、メガビョーゲンへと迫っていく。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

フードの少女はステッキを振り上げ、メガビョーゲンに向かってステッキを振り下ろす。

 

「メガァ?」

 

「な、なん、だと・・・!?」

 

ところが、メガビョーゲンに全く通用しておらず、呆然と目を見開く少女。

 

「メガァ・・・!!!」

 

「! あぁぁぁぁぁ!!!!」

 

メガビョーゲンはその場で高速回転して、フードの少女を吹き飛ばす。空中で体制を立て直す少女だが・・・・・・。

 

「メガァ・・・!」

 

「! うわぁっ!!!」

 

そこへメガビョーゲンがこちらに向かって飛んできて体当たりを繰り出した。攻撃を受けてしまった少女は地面へとコンクリートの地面に叩きつけられる。

 

「うぅ・・・くっ・・・!」

 

ボロボロになって倒れ伏したフードの少女。しかし、そこからステッキを杖代わりにして再び立ち上がろうとしていた。

 

グゥゥゥ~~~~~!!!!

 

「あっ・・・!?」

 

また、腹部から先ほどよりも大きな音がなる。気のせいか、音が鳴っていると力が抜けていくような感覚がする。

 

そんな彼女の前に、ヘバリーヌが降りてくる。

 

「ねぇ~、なんなの~? どうしてヘバリーヌちゃんのメガビョーゲンに攻撃したの~?」

 

「!?」

 

ヘバリーヌは猫なで声で話しかけつつも、感情のない顔で見つめてくる。フードの少女は体を震わせる。

 

こいつは、あいつらと同等の存在・・・!! 早くこいつから離れないと・・・!!

 

フードの少女が一歩前へ下がると、ヘバリーヌは一気に少女に詰め寄る。

 

「ひっ!?」

 

「キミも気持ちよくなりたいのぉ~?」

 

ヘバリーヌはそんな彼女に妖艶な微笑みを浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のどかたちは自分を人間ではなく精霊だという金髪の女性に出会った。彼女はヒーリングガーデンの女王・テアティーヌの願いによって地球から生まれたものであり、そのせいで名前はまだないという。

 

女性はラテをヒーリングガーデンに連れ戻そうと連れて行くが、のどかの家の二階の窓から飛び出して落ちるなど、天然な一面を見せた。

 

それでも走って去ろうとする精霊をのどかたちは追いかけた。

 

ハート型の灯台のある場所で、ようやく追いついたのどかたちはその真意を問うと、彼女はラテを守るのが目的であるという。しかし、テアティーヌが連れて来いと言ったわけではなく、自分の勝手な判断であった。

 

ラビリンはテアティーヌがそんなことを言うはずがないと彼女を批判するも、彼女は守ることを連れ帰ることだというふうに主張。

 

のどかたちはこのようなやり取りから、精霊は生まれたばかりで本当に何もわかっていないと理解する。そこでラテの本音を彼女に聞かせてあげようとする。

 

そんな時だった・・・・・・・・・。

 

「クチュン!!」

 

ラテがくしゃみをし、彼女の体調が悪くなった。

 

「ラテ様!!」

 

「ビョーゲンズペエ!!」

 

のどかは聴診器を当てて、ビョーゲンズのいる場所を確認する。

 

(あっちの屋根で、おひさまが泣いてるラテ・・・)

 

「屋根でおひさま・・・?」

 

ラテの言葉は、いつも以上にアバウトな内容だった。そんなものがある場所ってどこかにあったっけ・・・・・・?

 

と、ハッとしたちゆが思い出したように口を開く。

 

「ソーラーパネルを設置してる工場がある・・・!!」

 

「それだ・・・!!」

 

このすこやか市には工場があり、何を作っているかはともかく、その工場の屋根にはソーラーパネルが付いている工場がある。彼女はそこが狙われたんじゃないかと察した。

 

「・・・・・・・・・」

 

体調が悪くなったラテを不安そうに見つめる精霊の女性。

 

「お願い、精霊さん・・・」

 

のどかの言葉にハッとしたように顔を上げる。

 

「ラテの言葉、ちゃんと聞いてあげてね」

 

そう言って聴診器を彼女に手渡す。精霊の女性は彼女を見つめていた。

 

「ね?」

 

「・・・わかりました」

 

のどかの優しい笑みに、精霊の女性は頷いた。

 

「行こう!」

 

「うん!!」

 

ひなたの言葉に、皆は頷き、のどかたちとヒーリングアニマルたちはメガビョーゲンの元へと駆け出していくのであった。

 

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