ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。


第55話「急成長」

 

「とう!!」

 

「うわぁぁぁ!!!」

 

フードの少女は、ヘバリーヌが足から放った竜巻に吹き飛ばされ、地面を転がる。

 

「うぅ・・・!!」

 

「キミ弱いねぇ~♪ そんなんじゃ、ヘバリーヌちゃんは気持ちよくならないよ~?」

 

ヘバリーヌは倒れ伏したフードの少女へと近づくと、その場にしゃがむ。

 

「ほらほらぁ~♪ 立ち上がって、そのステッキでヘバリーヌちゃんを気持ちよくしてよぉ~♪」

 

「ひっ・・・!?」

 

フードの少女は、自分に妖艶な微笑みを浮かべるヘバリーヌに怯えた表情で見る。

 

彼女から感じる狂気・・・そして、得体の知れない力・・・フードの少女はまるで敵う気がしなかった・・・。

 

「その表情、クルシーナお姉ちゃんが好きな顔だね~♪」

 

ヘバリーヌはフードの少女の顔をじっと見つめながら、笑みを浮かべる。愛しのクルシーナお姉ちゃんが大好きな恐怖に怯えた表情、苦しむ表情、その全てがその顔に表れていた。

 

「あ・・・あぁ・・・・・・」

 

フードの少女は恐怖からその視線を反らすことができない。話した瞬間にやられる・・・そう心の中で感じていた。

 

「メガァ・・・・・・」

 

「あ・・・!」

 

ふとメガビョーゲンの声が聞こえて、そちらを振り向く。どうやら怪物はここら辺一帯を蝕み終えて、場所を移動しようとしている。

 

あの怪物から泣いている声が聞こえる。泣くのは良くない・・・早く泣き止ませないと・・・!

 

「うぅ・・・!!」

 

フードの少女は力を振り絞って立ち上がる。

 

「おぉ? 立ち上がってくれるの~? なら早く、ヘバリーヌちゃんをーーーー」

 

ヘバリーヌはフードの少女が再度立ち上がったことに機嫌良くすると、自分を攻撃してくれると期待したが・・・・・・。

 

ふとフードの少女はメガビョーゲンの方へと飛び出していく。

 

「えっ・・・?」

 

ヘバリーヌは訳がわからないという顔をした。あの少女は先ほどまでヘバリーヌちゃんを相手にしていたのに、突然自分が生み出した怪物の方に向かったのだから。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

フードの少女は飛び上がると、持っているステッキの先から黒い光の紐を鞭のように振るう。

 

「メガァ?」

 

メガビョーゲンは背中に何かが当たるのを感じ、こちらを振り向く。どうやら怪物にこの攻撃も通用していないようだった。

 

「はぁ!! やぁ!!!」

 

それでもなお光の紐を振るうフードの少女。

 

「メガ・・・メガァ!!!」

 

鞭のような攻撃はメガビョーゲンの顔に当たるが、右目を顰めたぐらいで大したダメージにはなっていない。メガビョーゲンは鬱陶しく感じたのか、赤い球体のようなものを出現させるとそこから強力な赤い風を吹き付けた。

 

「くっ・・・あぁぁぁ!!!」

 

黒い光の鞭は赤い風に吹き飛ばされ、それを振るっていたフードの少女も風に飲み込まれる。

 

吹き飛ばされて地面へと落ちるフードの少女。

 

「メッガァ!!!!」

 

「あ・・・!? うわあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

さらにメガビョーゲンは赤い球体を禍々しく光らせるとそこから赤黒いレーザーを放つ。爆発に巻き込まれたフードの少女はさらに吹き飛ばされて、建物の壁に叩きつけられる。

 

「がぁっ・・・!!」

 

背中から思い切り打ち付けた少女は押し出されるように空気を吐き出し、その場に落ちて倒れ伏した。

 

「もぉ~、ヘバリーヌちゃんを無視するからそういうことになるんだよぉ~♪」

 

そこにヘバリーヌが近くへと降りてきて、フードの少女に近づく。

 

「うっ・・・あ・・・!?」

 

倒れ伏したまま呻く少女に、ヘバリーヌは彼女の顔を両手で添えるように自分の顔へと向かせる。

 

「よく見るとキミの顔も可愛いねぇ~♪ 気持ちよくしちゃいたいくらい♪」

 

「あ、あぁ・・・」

 

ヘバリーヌはそう言いながら、怯えるフードの少女の首に手をかけようとした。その時だった・・・・・・。

 

「!?」

 

ヘバリーヌはハッと目を見開き、何かを察したであろう方向に振り向く。

 

「この気配って・・・もしかして・・・!!」

 

何だか懐かしい気配を感じる。あの時とは反応が異なるが、この気配はもしかして・・・!?

 

ヘバリーヌはフードの少女から手を離すと、瞳をキラキラとさせながら笑顔を溢れさせると立ち上がり、その場から姿を消す。

 

「うっ・・・・・・」

 

一人残されたフードの少女は倒れ伏したまま呻く。メガビョーゲンとヘバリーヌ、両方から受けたダメージが大きいせいか立ち上がることができない。

 

(助かった・・・のか・・・?)

 

そんな中でフードの少女は、ヘバリーヌが別の何かを気にして自分の前から姿を消したことに安堵していた。

 

それと同時に両手をグッと強く握るように締める。あの3人と一緒で、彼女に言い寄られたことによる恐怖、自分がそれしか抱けなかったことに、自分の力では足元にも及ばないことに悔しい気持ちを抱いていた。

 

無力感を抱いていたが、まだ全部が終わったわけではない。

 

「メガァ・・・・・・」

 

メガビョーゲンはここ一帯を蝕み終えているため、フードの少女には目もくれずに移動しようとしていた。

 

あの怪物はまだ泣いている・・・。泣き止ませなければ、泣き止ませないと、なんだかわからないが、この街は大変なことになってしまう・・・!!

 

この街はよくわからないが、あの怪物を泣かせたままにするのはよくない気がした。

 

「くっ、うぅ・・・!!」

 

フードの少女は建物の壁を支えにし、体を震わせながら懸命に立ち上がる。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・くっ・・・!!」

 

息を切らしながらも、体をボロボロにしながらも、少女はメガビョーゲンを追っていく。あの怪物に泣き止んでもらうために・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラテを精霊の女性に任せて、メガビョーゲンがいると思われる工場へと向かうのどかたち。

 

「いた!! メガビョーゲン!!」

 

急いで走って向かっていき、工場が見えてくると、ソーラーパネルのような体にケーブルのような触手、太陽のような顔をしたメガビョーゲンが暴れる姿が見えた。

 

「ビョーゲン!!」

 

メガビョーゲンはケーブルのような触手から電気を放って、工場の屋根のソーラーパネルを赤い靄に染めていく。

 

「まずいラビ!!」

 

メガビョーゲンはまだ成長していないが、着実にこの場所を蝕んでいる。早くなんとかしなければ・・・・・・!!

 

のどかたちはこれ以上やらせないために、プリキュアへと変身していく。

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア、オペレーション!!」」」

 

「エレメントレベル、上昇ラビ!!」

「エレメントレベル、上昇ペエ!!」

「エレメントレベル、上昇ニャ!!」

 

「「「キュアタッチ!!」」」

 

ラビリン、ペギタン、ニャトランがステッキの中に入ると、のどか、ちゆ、ひなたはそれぞれ花のエレメントボトル、水のエレメントボトル、光のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

そして、肉球にタッチすると、花、水、星をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、水色、黄色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ちゆは水色、ひなたは黄色へと変化する。

 

キュン!

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。

 

キュン!

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身。

 

キュン!

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

ひなたは光のプリキュア、キュアスパークルに変身した。

 

「「「地球をお手当て!!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!!」」」

 

3人は変身を終えて、すぐにメガビョーゲンへと立ち向かう。

 

「メガァ~、ビョーゲン!!!」

 

メガビョーゲンは片方の触手から電撃を放つ。フォンテーヌは飛び上がってかわす。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「メガァ!!」

 

フォンテーヌは空中で回転しつつ踵を落とすも、メガビョーゲンはケーブルで攻撃を防ぐ。

 

「やめなさい!! メガビョーゲン!!」

 

「メガァ!!」

 

「きゃあぁ!!」

 

フォンテーヌがそう叫ぶも、メガビョーゲンのケーブルに跳ね返されてしまう。

 

「フォンテーヌ!!」

 

そこへグレースが飛び上がって手を伸ばす。何かを察したフォンテーヌはグレースの手を伸ばして掴み、空中で回転させる。

 

「ビョーゲン!!」

 

そこへメガビョーゲンがケーブルを伸ばして攻撃する。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

「メガァ!!」

 

それをスパークルがぷにシールドを展開して、ケーブルを防ぐ。

 

「今だよ!!」

 

体を翻したスパークルの足に、グレースとフォンテーヌが踏み台にし、スパークルが押すように蹴る。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

「メガァ!?」

 

そのまま二人はメガビョーゲンの背中に足を叩きつけて怯ませ、怪物は地面に倒れ伏す。

 

「やった!!」

 

メガビョーゲンに功をなしていると確信するプリキュアたち。

 

しかし、その怪物の隣には、その様子を先ほどから見ていたバテテモーダの姿が。

 

「ふむ・・・・・・」

 

自分の手に持っている緑色のかけら、すなわちメガビョーゲンのかけらを見つめる。これはキングビョーゲンの娘である三人からもらった大事なもの、どうせだったらお嬢たちのためにも利用したいが・・・。

 

プリキュアと戦うメガビョーゲンとその緑色のかけら、その両方を見やるとバテテモーダは確証はないが、一つの考えに思い至る。

 

もしかしたら、こいつは使えるかもしれないと・・・・・・。

 

バテテモーダは早速、倒れ伏した怪物のそばに現れる。

 

「・・・あいつはまだか」

 

みたところ、プリキュアはさっきまでクルシーナのメガビョーゲンに敗北していた弱い三人だけ。あの颯爽と現れたあの先代似のプリキュアはまだ来ていない。

 

でも、まあいい。この緑色のかけらを使えば、奴は現れるかもしれない。

 

「とりま、試してみるか・・・」

 

そう言いながら、バテテモーダは緑色のかけらをメガビョーゲンの中へと押し当てて埋め込む。

 

「ガァ・・・!?」

 

すると、メガビョーゲンの様子が変わった。

 

「メ、メメメ、メガァァァァァァ!!!!!」

 

苦しむような声を上げながら、メガビョーゲンの体から禍々しいオーラが溢れ出し、膨大な力に満ちていく。

 

そして・・・・・・。

 

「ビョーゲン・・・!!」

 

足元のケーブルが無数に増え、先ほどよりも数倍もの大きさに巨大化したメガビョーゲンの姿があった。それは先ほど生み出したクルシーナの生み出したメガビョーゲンと同じくらいなほど。

 

「「「!!??」」」

 

突然のメガビョーゲンの変化に驚くプリキュアたち。

 

「メ~~~~ガァ~~~~~~」

 

巨大化したメガビョーゲンは、体のソーラーパネルを光らせると片目に禍々しいエネルギーを溜め始め・・・・・・。

 

「ビョーゲン!!!!」

 

ビィィィィィィ!! ドォォォォォォォォォン!!!!

 

そして、その目からドス黒いレーザーを発射し、着弾して大爆発を起こした。

 

メガビョーゲンの攻撃を受けて、地面へと落ちたプリキュアたち。しかし、彼女たちはいまだに解せなかった。

 

「どういうこと・・・!?」

 

「急にでっかくなったんだけど・・・!?」

 

目の前のメガビョーゲンが大きくなったことに疑問が拭えない三人。まだ、周囲は大して蝕んでいないはずなのに、急にメガビョーゲンがここまで成長することなんてありえただろうか?

 

「フヒャハハハハハハ!!!」

 

そこへ笑い声が聞こえ、屋根の上を見上げるとバテテモーダの姿が。

 

「実験大成功!! どうです!? キングビョーゲン様!! お嬢!!! 自分発見しちゃいました!! 簡単にメガビョーゲンを急成長させる方法を!!!!」

 

空に向かって叫び声をあげながら、歓喜の声を上げるバテテモーダ。お試しだったが、こんなにも簡単にメガビョーゲンを成長させることができようとは。これで自分の株も上がっただろうと。

 

「メガァ、ビョーゲン!!!」

 

メガビョーゲンは成長して太くなった両腕のケーブルに電気を纏わせながら、プリキュアに向かって叩きつける。

 

「フハハハハハハハ!!! さあさあ、こいこい!! 正体不明の紫プリキュアちゃん!!!」

 

成長させたメガビョーゲンを利用して、先代似のプリキュアをおびき出そうと目論むバテテモーダ。

 

そんなメガビョーゲンの強力な攻撃をかわすプリキュアたち。

 

「めっちゃ強いんだけど!?」

 

強力になったメガビョーゲンに困惑するプリキュアたち。それを尻目にメガビョーゲンはドシンドシンと地面を響かせながら侵攻していく。

 

「いいよぉいいよぉ!! このまま地球全土を蝕みにいっちゃってぇ~!!」

 

プリキュアが全く歯が立たないと確信するメガビョーゲンに、歓喜の声を上げるバテテモーダ。

 

そこへ風を切ったような声が聞こえてきたかと思うと、聞いたことのある猫なで声が聞こえてきた。

 

「モーダちゃん、すごいことしてるねぇ~♪」

 

「うわぁっ!? ヘバリーヌ嬢!? どうしてここに・・・!?」

 

現れたのは狙っていたプリキュアではなく、ヘバリーヌの姿だった。

 

「ん~、なんか懐かしい気配がしたからこっちに来ちゃったんだけどぉ~、おかしいなぁ~、この辺だと思ったのに~・・・」

 

ヘバリーヌはちょっと寂しそうな表情を見せている。確かに懐かしい気配をこっちに感じてきたのだが、どうも懐かしいものは何もない。なんか間違った場所に来てしちゃったのかな?

 

「まあいいや~。それにしてもぉ・・・・・・」

 

まあ、それはさておくと太陽のような顔のメガビョーゲンを見やる。禍々しくとても気持ちの良さそうなメガビョーゲン。これは簡単に地球を蝕むことができるんじゃないかな?

 

「モーダちゃん、さっきのメガビョーゲンに何してたの~?」

 

「ん? あぁ。メガビョーゲンにかけらを埋め込んだんっすよ。そしたら、この通り、簡単にメガビョーゲンを成長させることができたわけっすよ!!」

 

「かけら? かけらってなあに~?」

 

バテテモーダは喜々して話すも、ヘバリーヌはあまり理解していないようだった。

 

「メガビョーゲンのかけらっすよ。あれ? ヘバリーヌ嬢は持ってないんっすか?」

 

「持ってないよぉ~、っていうかぁ・・・」

 

ヘバリーヌはムッとした顔をすると、その表情をそのままバテテモーダに近づける。

 

「またヘバリーヌちゃんに内緒でそんなことしてぇ~!! ずるいずるい~!!!!」

 

「そ、そそ、そんなこと言われましても・・・」

 

ヘバリーヌは不満そうな口調でそう言いながら、首をブンブンと振り回す。バテテモーダは駄々っ子のような彼女の発言に困惑するしかなかった。

 

「いいも~ん!! ヘバリーヌちゃんは懐かしい気配に会えれば、それでいいんだも~ん!!」

 

ヘバリーヌは不満をたらたら言いながらもしゃがみ込んで、プリキュアとメガビョーゲンの戦闘を見やることにした。

 

「メガァ、メガァ、メガァ!!」

 

メガビョーゲンは両腕のケーブルに電気を纏わせて何度も叩きつける。

 

プリキュアたちはその度に飛んでかわすを繰り返すも、先ほど以上に暴れるメガビョーゲンに近づくことができない。しかも、叩きつけられた地面が赤い靄に染まって傷んでいく。

 

おまけに避け続けたのと、今日これまでに戦ったメガビョーゲンとの体力もあまり回復していないせいもあって、消耗していく・・・・・・。

 

「これじゃあ、キリがないわ・・・!!」

 

メガビョーゲンに善戦したものの、パワーアップしたメガビョーゲンに一転して劣勢になるプリキュアたち。

 

「メガァ、メガァ!!」

 

そんなプリキュアたちにお構いなしに、電気を纏った両腕のケーブルを叩きつけるメガビョーゲン。

 

とはいえ、怪物も生きているものには変わりはない。その両腕の攻撃も段々と遅くなっていく。

 

プリキュアたちは避け続けることで、メガビョーゲンの動きにこちらが攻撃できる隙ができたことを見逃さない。

 

「葉っぱのエレメント!!」

 

「雨のエレメント!!」

 

「火のエレメント!!」

 

三人はそれぞれが所持しているエレメントボトルをステッキにはめ込む。

 

「「「はぁぁぁぁ!!!!」」」

 

そして、それぞれのステッキからそれぞれの色に合った光線をメガビョーゲンに向かって放つ。

 

「メガァ・・・」

 

メガビョーゲンは両腕のケーブルを交差させて、光線を防ぐ。

 

ドカァァァァン!!!

 

「メガァ・・・!!」

 

メガビョーゲンに着弾した光線は爆発を起こし、それによってメガビョーゲンの体勢が少しよろけた。

 

「チャンスラビ!!」

 

「このまま一気に・・・!!」

 

これはチャンスだ。このまま三人の合体技で浄化を・・・!!

 

「ンフフ~♪ プリキュアちゃん♪」

 

背後から聞こえた猫撫で声にプリキュアたちが振り返ると、ヘバリーヌがスケートのように地面を滑りながら迫っていた。

 

「とぉ!!」

 

ヘバリーヌは片足をふるって風のような斬撃を放つ。

 

「「「きゃあぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

攻撃を受けて吹き飛ばされ、地面へと叩きつけられるプリキュアたち。

 

「プリキュアちゃん♪ ヘバリーヌちゃん退屈なの~、もっと遊んでぇ♪」

 

メガビョーゲンの前に立つヘバリーヌは、振り向いて少女のような笑顔を見せる。

 

「ヘバリーヌ・・・!」

 

「な、なんで・・・あんたも、いたの・・・?」

 

バテテモーダしかいないはずのこの場に、ヘバリーヌが現れたことに動揺する三人。

 

「悪いねぇ・・・まだ終わらせるわけにはいかないんっすよ・・・!!」

 

「バテテモーダも・・・!」

 

そこへバテテモーダも現れて、不敵な笑みを浮かべる。

 

「さあ、どうする? プリキュア!!」

 

「メガァ・・・!!」

 

バテテモーダの言葉をよそにメガビョーゲンは体を光らせて、再び片目にエネルギーを溜め始める。倒れ伏しているプリキュアたちにトドメを刺すつもりのようだ。

 

「フハハハハハハ!!!」

 

「ンフッフ~♪」

 

笑い声をあげるバテテモーダ。不敵な笑みを浮かべるヘバリーヌ。

 

「くっ・・・!!」

 

悔しそうにするグレース。プリキュア三人はこれまでに受けたダメージが蓄積していて、なかなか立ち上がれない。

 

もはや、これまでか・・・・・・。

 

その時だった・・・・・・。

 

「お待ちなさい!!」

 

聞こえてきた声にハッとするプリキュアたち。

 

「メガァ・・・?」

 

メガビョーゲンも思わず、声の主に振り向く。

 

そこに立っていたのは、金髪のロングヘアの姿をした女性。右手には紫色に光るボトル、左手にはラテが抱かれていた。

 

「ラテ!! 精霊さん!!」

 

「ん? まさか、あいつ・・・」

 

「・・・あれって・・・もしかして・・・?」

 

グレースたちやバテテモーダがそれぞれの反応をする中、ヘバリーヌはただ一人異なるような反応で、目を見開いて彼女を呆然と見つめている。

 

あの女性から懐かしい気配、そして目の前にいるプリキュアちゃんと同じだけど異質な気配。この気配はどこかで感じたことがある。あれは、そうだ、間違いない・・・!!

 

「ラテ様」

 

「ワン!!」

 

「参りましょう!!」

 

精霊の女性は手に持っていた風のエレメントボトルを構える。

 

そして、ラテの首輪にはめ込む。すると、オレンジ色になっているラテの額のハートマークが神々しく光る。

 

「スタート!!」

 

「プリキュア、オペレーション!!」

 

「エレメントレベル上昇ラテ!!」

 

「「キュアタッチ!!」」

 

キュン!!

 

ラテと精霊の女性が手を取り合うと、白い翼が舞い、ラテが舞ったかと思うとハートの中から白い白衣のようなものが飛び出す。

 

その白衣を身に纏い、ラテが降りてきたかと思うとハープが飛び出し、さらに精霊の女性は紫色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

衣装にチェンジした後、ハープを手に取り、その音色を奏でる。

 

「「時を経て繋がる、二つの風!」」

 

「キュアアース!!」

 

「ワン!」

 

精霊の女性は、風のプリキュア、キュアアースへと変身した。

 

「・・・・・・!」

 

「あれは・・・!!」

 

キュアグレースがラテをパートナーに変身した女性を呆然と見つめる。

 

「お姉さん・・・お姉さんだぁ~!! あの時の!!」

 

ヘバリーヌはプリキュアに変身を遂げた女性を見つめ、喜びの感情が芽生える。

 

あれは間違い無く、ヘバリーヌちゃんが病気だった頃に見た、あのプリキュアだ。まさか、あの懐かしい気配にこんなところで会えるなんて、思いもしなかった・・・!!

 

「ラテ様、後はお任せを」

 

アースはラテをゆっくりと地面に下ろす。

 

「このキュアアース、ラテ様の想いを受け、お手当ていたします!!」

 

キュアアースはプリキュアとビョーゲンズに向き直り、そう言い放ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メガァ・・・!!」

 

ヘバリーヌが発生させたメガビョーゲンは、すこやか市の街中の商店エリアを襲っていた。赤い球体のようなものから赤い空気を噴射して、建造物一帯を病気に蝕んでいく。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

そこへフードの少女が黒いステッキのようなものをメガビョーゲンに向かって振り下ろす。

 

ガキン!!

 

「メガァ・・・?」

 

「くっ・・・!」

 

やはり効いていない・・・そう思わざるを得ない少女は悔しさに歯を食い縛る。

 

「メガァ!!」

 

「あぁ・・・!!」

 

メガビョーゲンはその場で高速回転をさせて、フードの少女を吹き飛ばす。建物の壁に叩きつけられて、少女は地面へと落ちる。

 

「うっ・・・!!」

 

少女は諦めようとはせずに立ち上がり、メガビョーゲンへと向かおうとするも、膝をついてしまう。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

息を切らしながらも、フードの少女は辺りを見渡す。まるで怪物に対抗できるような手段がないか、探している様子。

 

「はぁ・・・あっ・・・!」

 

ふと少女は近くに蛇口があるのを発見する。なんだかよく分からないが、あそこから自然の力を感じる気がする。

 

「うっ・・・くっ・・・!」

 

少女はなんとか立ち上がると、足を引きずりながらその蛇口の前に近づく。

 

そして、その蛇口の前で体を光らせると、蛇口の方も彼女に呼応するかのように光り始める。

 

「水の力よ!!!」

 

少女はそう叫ぶと、なんと蛇口から水が呼ばれたかのように飛び出してくる。そして、少女が黒いステッキを掲げるとその力が集まっていく。

 

パァ・・・!!!!

 

そして、そのステッキが青く光ったかと思うと、少女の黒いフードが暗い水色に変わっていき、フードから見えている金髪が水色の髪に変わっていく。

 

さらにステッキも暗い水色に変わっていき、その先端には水色の玉のようなものが取り付けられていた。

 

「よし!!」

 

フードの少女はうまくいったと言わんばかりに言うと、自身に背を向ける怪物に体を向ける。ボロボロで傷ついていたはずの体は、先ほどの力なのか何事もなかったかのように治っている。

 

少女は地面を蹴るとメガビョーゲンへと飛び出していく。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ステッキをメガビョーゲンに向けて構えると、ステッキの先から青黒い水流を放つ。

 

「メ・・・メガァ・・・!?」

 

水流が不健康そうな顔にかかり、顔を顰めさせるメガビョーゲン。動きが止まるという隙を見つけた少女はメガビョーゲンに向かって飛び上がる。

 

「ふっ!!!」

 

「メガァ・・・!?」

 

少女は水色の光に包まれた足を光らせながら、メガビョーゲンに向かって蹴りを入れる。吹き飛ばされたメガビョーゲンは建物の壁に叩きつけられる。

 

「メガァ・・・!!」

 

メガビョーゲンはすぐに立ち上がると、赤い球体を出現させて、そこから強力な赤い風を少女に向かって噴射する。

 

「ふっ・・・!!」

 

地面に着地した少女はすぐに飛び上がって風をかわすと、建物の壁に蹴りを入れて再度メガビョーゲンへと飛び出していく。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「メッ、ガァ・・・!?」

 

少女はステッキを振り上げると、メガビョーゲンに向かって振り下ろす。水の力と光の力が合わさった攻撃を受けて、メガビョーゲンは地面に叩きつけられた。

 

「よし、今のうちに・・・!!」

 

フードの少女は顔の前にステッキを掲げると、体中から青いオーラを迸らせる。黒いステッキが青いオーラに包まれ、青く力を注がれていく。

 

そして、目を見開くとその瞳はオーラと同じように青く光っていた。

 

「泣き止め!! はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

少女はそう叫ぶと青く光らせたステッキを前へと突き出し、その先端から暗い青色のエネルギーを放つ。

 

「メガァビョーゲン・・・!!??」

 

チュドォォォォォン!!!!

 

エネルギーはメガビョーゲンに直撃し、爆発を起こした。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

少女は息を切らすと同時に青いオーラが消滅し、暗い青色のフードは元の暗い色へと戻り、水色だった髪は金髪へと戻った。ステッキも黒色に戻っている。

 

「はぁ・・・はぁ・・・やったか・・・?」

 

少女はメガビョーゲンが倒れていた場所を見つめる。どうやら怪物は沈黙したようだった。

 

少女は泣き止む声がなくなったことに、安堵した。

 

・・・・・・しかし、そう思ったのはその一瞬だけだった。

 

「メガァ・・・!!!」

 

爆発の煙が吹き飛び、そこには少しボロボロになったメガビョーゲンが宙に浮いていた。

 

「な、何・・・!?」

 

少女は愕然とした。自分が発したあの力は、よく分からないがこの星の健康的なものを吸収して、自分の力へと変える渾身の技だ。

 

それがこの怪物に通用していないなんて・・・・・・!!!!

 

少女の心はすでに絶望へと染まっていた。

 

「メッガァ・・・!!!!」

 

メガビョーゲンは赤い球体を禍々しく光らせるとそこから赤黒いレーザーを放つ。

 

「!? あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

放心していた少女は、当然防御体制なんか取れるはずもなく、レーザーの直撃を受けて吹き飛ばされる。

 

「がっ、はぁ・・・!?」

 

背中から体を打ち付け、その痛みに口から空気を吐き出す少女。そのまま地面へと落ちて倒れ伏してしまう。ステッキも自分の手を離れ、地面へと落としてしまう。

 

「うぅ・・・!!」

 

少女は痛みに呻き、震わせながら顔を上げると怪物が自身に背中を向ける姿が映っている。しかし、先ほどの体の打ち所が悪かったのか、頭に痛みを感じ、その視界はだんだんとぼやけてきていた。

 

「ま、ま・・・て・・・!」

 

少女は自分から離れていくメガビョーゲンに手を伸ばすも、怪物には敵わないことを悟った彼女にはもう立ち上がる力は残っていなかった。

 

「あ・・・ぁ・・・」

 

少女は怪物から感じる泣いている声を止めることができないことに絶望しながら、伸ばした手を地面へと落とし、意識を闇に落としていくのであった・・・・・・。

 

「メガァ・・・!!」

 

メガビョーゲンはそんな少女に目もくれずに、そのまま次の場所を蝕もうと侵攻していくのであった・・・・・・。

 

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