ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

前回の続きです。
今回からオリストになります。


第57話「侵蝕」

 

バテテモーダたちビョーゲンズを浄化して、一安心していたのどかたち。

 

しかし、ラテの体調が治らないことをきっかけに、彼女たちは街の様子を見に行ったことで恐ろしい光景を目撃することになるのであった。

 

それは、赤い靄で広範囲に蝕まれたすこやか市の街の姿だった。

 

「嘘・・・?」

 

「どういうことなの、これは・・・!?」

 

「なんで!? だって、メガビョーゲンはさっきので全部浄化したはずだよね!?」

 

のどかたちはそれぞれの言葉を言いながら、呆然と街を見つめている。

 

「でも、これは・・・あの怪物の仕業ですね・・・」

 

険しい表情で街を見ながら、そう分析する精霊の女性。

 

街はすでに真っ赤に染まっているわけではないが、かなり広範囲が赤い靄に染まっている。すこやか市のここから見える海も赤くなっていて、麓の町も、流れる川も、ここから見える木々も、道路も、何もかもがと言えるほどに赤く染め上げられていた。

 

これはどう見ても、メガビョーゲンがあちらこちらに移動して暴れたということだ。しかし、ここからはメガビョーゲンの姿が見えてはおらず、探すことさえ困難だろう。

 

「・・・もしかして」

 

のどかとひなたが呆然と見やる中、一人冷静になったちゆは考えを口にしようとする。

 

「あの時、メガビョーゲンは3体じゃなくて、4体だったんじゃないかしら・・・?」

 

「「えぇっ!?」」

 

ちゆの推測に、のどかとひなたが驚きの声を上げる。

 

「で、でも・・・SNSには、3体しか写ってなかったんだよ・・・!?」

 

「その盲点を突かれたのかもしれないわ・・・」

 

「どういうことニャ・・・?」

 

「SNSを発信するのは写真を撮った人でしょ? 例えば、人気のない場所でメガビョーゲンを現れたとしても、周りに人がいなければ写真を撮って発信するものもいないってこと。ビョーゲンズはそこを狙ってきたんだと思うの・・・。それにラテの体調が悪くて、地球の不調を察知できなかったから」

 

ちゆが分析するには、SNSは人の手で発信しなければ情報を得ることはできない。つまり、人があまり通りかからないような場所でメガビョーゲンを出されてしまえば、それを発信することができないので、いくらSNSを見ようとメガビョーゲンが出ることはわからない。

 

しかも、ラテが体調不良で察知できないタイミングを狙われたものだから、プリキュアたちは誰もメガビョーゲンに気づくことができなかった。

 

「要するにペエ・・・?」

 

「私たちはあの三人の罠に引っかかったってことよ」

 

「そ、そんな・・・!!」

 

「じゃあ、最初からこうするためにあいつらは動いてたってことラビ!?」

 

「おそらくそうよ・・・」

 

ちゆは、もう少し早く気づくべきだったと感じた。クルシーナ、ドクルン、イタイノン、メガビョーゲンを同時に発生させたビョーゲンズの三人は浄化されても大して悔しそうな顔をせずに去っていったことを。あの三人は幹部の誰かが発生させたもう一体のメガビョーゲンを気づかせないように、目を向けさせたということを・・・・・・。

 

「くっ・・・!!」

 

やられた・・・!! 最初からあいつらはすこやか市の街全体を狙っていたのだ。私たちを陽動して、本当の作戦に気づかせないために。改めて三人娘の卑劣で、他人を苦しめるような作戦に憤りを覚える。

 

「あぁ・・・」

 

「うぅ・・・」

 

のどかやひなたも、こうなってしまえばエレメントさんはまた消滅寸前になっており、怪物の居場所もはっきりしない以上、間に合わないかもしれないと絶望感を抱いていた。

 

3人には三人娘たちに奪われたあの街の悪夢が蘇る。ここまでなってしまえば、いずれあの街のようになってしまうのではないかと。

 

「こんなの、こんなのってないラビ・・・!!」

 

「ペエ・・・・・・」

 

「くそー!! あいつら!! なんでこんなひでぇことができるんだよ!!」

 

ヒーリングアニマルたちも悲しみ、怒りといったような感情を抱く。

 

「みなさん・・・」

 

そんな感情を抱くプリキュアたちに声をかけたのは、ラテを抱いている精霊の女性だった。

 

「まだお手当てはできるんじゃないでしょうか・・・?」

 

精霊の女性の声に、のどかたち三人は振り向く。

 

「あなた方からはお手当てを諦めたくない、そのような思いを感じます。ラテ様からも先ほど、お手当てをしたいという熱い思いを感じました。みなさんの諦めないという思いさえあれば、この状況を打破できるのではないでしょうか?」

 

精霊の女性はよく分からないが、ヒーリングガーデンに帰そうとしたラテの決意からお手当てをしたいという感情を感じた。そして、メガビョーゲンを必死に食い止めようとするのどかたちからは諦めないという感情を感じた。

 

そういう強い気持ちが失われない限り、この街は消えない。ビョーゲンズに蝕まれることもないと、精霊の女性は確かではないが、そのように感じたのだ。

 

思ったことを話しただけの精霊の女性だが、のどかはそんな彼女の言葉に今まで自分が聞いてきて、言ってきた言葉を思い出す。

 

「・・・そうだよ。あの街にいたメガビョーゲンだって、私たちが諦めてたら終わってたかもしれない。でも、私たちが諦めなかったから、エレメントさんも消えずに救うことができたんだ。諦めなければ、少しでも希望はあるんだ。だから、私たちはどんな時でも立ち止まっちゃいけないんだよ」

 

のどかはちゆとひなた、そして相棒のヒーリングアニマルたちに向き直る。

 

「行こう、みんな! 私たちはどんな時があっても諦めない! どんなに絶望があったとしても、立ち止まっちゃいけない! 救いたいという思いが消えない限り、私たちは戦わなくちゃ!」

 

みんなは少し呆然と見ていたが、のどかの言葉に少しずつ希望を取り戻していく。

 

「そうね。私たちはあの時からお手当てを諦めないって決めてたじゃない。だったら、私たちができることを進んでやるべきよ!」

 

「そうだよね! あたしたちはまだ戦えるし、希望はあるし! 頑張ればこの街だって取り戻せるもんね!」

 

「ラビリンは諦めないラビ!! ビョーゲンズがどんなに酷いことをしても!!」

 

「僕たちは、お手当てを続けるだけペエ!!」

 

「そうだよな!! なんだって、俺たちはお手当てに選ばれたプリキュアなんだもんな!!」

 

それぞれが言葉を紡ぐ。精霊の女性はその様子を見て、なんだかよく分からないが、自然と笑みがこぼれた。

 

そして、のどかたちは意を決したような表情に変え、すこやか市の街を見やる。

 

「絶対、私たちがお手当てをするんだから・・・!!」

 

「行きましょう・・・!!」

 

「うん!!」

 

のどかたちは皆で頷くと、すこやか市の街へと降りるためにすこやか山を降りていく。

 

「私たちも行きましょう、ラテ様」

 

「ワン!」

 

精霊の女性も、抱いているラテに頷くとのどかたちの後を追っていく。

 

その頃、街中では・・・・・・。

 

「くっ・・・・・・」

 

建物などが赤い靄で染まる中、フードの少女がステッキを杖代わりにしながら、メガビョーゲンを探していた。

 

体はメガビョーゲンのせいでボロボロだ。ダメージが溜まっているせいもあって、うまく体を動かすことができず、こうして支えて歩かないと動けないのだ。

 

「早く行かないと・・・泣いている声はどっちだ・・・?」

 

フードの少女は、泣いている声を辿りながら進む。時折、分かれ道があるが、泣いている声は聞こえるので、容易にたどることができる。

 

「どこからか力を借りるべきか・・・?」

 

フードの少女は傷だらけの姿を見て考えた。この状態のまま立ち向かっても、結局はメガビョーゲンにボコボコにされるだけだ。だったら、どこからか力を借りて傷を回復するべきなのではないかと。

 

「・・・・・・・・・」

 

しばらく、自分の傷を見つめる少女。手は動かしてみれば動くし、足もトントンと踏むことができる。

 

見つめているうちに、後先のことを考えているうちに、気が進まないと言ったような表情になってきた。

 

「いや、あれも結構疲れるんだ。自分の力で解決しないと・・・!!」

 

少女は力を借りようという考えを取っ払い、杖を突いて歩いていく。

 

「・・・・・・?」

 

しかし、少女は少し歩いたところで足を止め、別の方向を向く。

 

「なんだ・・・? 何か、別の力が近づいてきているような・・・?」

 

その方向に、あいつらではない別の何かの気配を感じるのだ。しかし、これはメガビョーゲンのような泣いている気配ではなく、どことなく希望に満ち溢れている・・・?

 

なんだか、暖かいような気もする・・・。

 

「・・・・・・・・・」

 

フードの少女は、何かを感じたように、まるで見とれるかのようにぼーっと虚空を見やる。

 

そして、しばらくするとハッとしたように我に帰る。

 

「早く、泣いている声を止めないと・・・!!」

 

フードの少女は、ステッキを杖代わりに突きながら、メガビョーゲンの気配を辿っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メガァ・・・!!」

 

ヘバリーヌが生み出したメガビョーゲンはすこやか市のほとんどの街を赤い靄で染めており、現在はすこやか市の端にある海沿いにあたりを蝕んでいた。

 

メガビョーゲンは赤い球体のようなものを出現させて、そこから赤い空気を噴射してそこの植物たちを病気へと蝕む。

 

あと一歩ですこやか市の街の侵攻が完了する。今のメガビョーゲンはそういう状態だった。

 

「フフフ・・・順調ね。これであの街同様にこの街もビョーゲンズのもの・・・」

 

その様子を眺めていたのは、ビョーゲン三人娘の一人・クルシーナだった。

 

まもなく、ここ一帯はあの街同様に生きてるって感じがなくなって、ビョーゲンズのものになる。珍しくお父様ーーーーキングビョーゲンも褒めてくれるだろう。

 

それをよそにクルシーナは、自分の横で寝そべっている後輩を見やる。

 

「・・・自分で生み出しておいて、のんきに寝てるとか。どんだけマイペースなんだか、こいつは・・・」

 

寝ているヘバリーヌを、クルシーナは呆れたように言う。

 

「ん・・・あぁ・・・お姉ちゃん♪」

 

さぞかし良い夢を見ているのだろうと、人の苦労も知らない後輩。あの時、先代プリキュアに似て、あの街に現れたやつに似たプリキュアのあの技から助け出さなかったら、どうなっていたことやら。

 

こいつが勝手な行動をとったせいで、メガビョーゲンを生み出せる貴重なテラビョーゲンが一人いなくなるところだったのだ。バテテモーダは残念だったが、こいつを助け出せただけでもよしとしたい。

 

「さてと、プリキュアどもは来ないのかしらねぇ?」

 

クルシーナはヘバリーヌからメガビョーゲンに視線を移すと、メガビョーゲンに特に変わった様子はなく、一帯を赤い靄に蝕んでいるのみだ。見た感じ的に言うのであれば、メガビョーゲンは先程よりも大きく成長を遂げているぐらいだ。

 

そして、クルシーナにはもう一つ気にしていることもあった。

 

「あと、あのフードの女も・・・」

 

山中でわざわざ崖から落ちて逃亡したフードの少女。それは自分の父親、キングビョーゲンに脱走者と言われていたやつだ。あいつもきっと現れるだろうとクルシーナは踏んでいた。

 

それは三人娘がバテテモーダの元へ行く前の話だ。

 

ーーーー脱走者を放置とはどういうことだ? クルシーナ。

 

キングビョーゲンはクルシーナの提案に、険しい表情を浮かべる。今にも淀んだ顔がフルフルと震わせそうな雰囲気だ。

 

ーーーー言った通りの意味よ。あいつは放置でいいってこと。

 

クルシーナは当然のようにキングビョーゲンに言い放った。

 

ーーーーお前はいつからそんな我の命令を逆らうようになったのだ・・・!?

 

ーーーーまあまあ、落ち着いてよ。考えはあるっての。

 

淀んだ顔を歪ませるが如く近づけて怒るキングビョーゲン。しかし、クルシーナは少しも動じることなく、自分の父親に適当に返す。

 

ーーーー考えも何も、捕まえられてない時点で考えも何もないの。

 

ーーーーそうですよ。お父さんが珍しく怒ってるではないですか。

 

イタイノンとドクルンが冷たい目をしながら言うも、クルシーナは特に相手をすることをしない。

 

ーーーーそのお前の考えとやらを聞かせてもらおうか・・・!!

 

ーーーーあいつはアタシが生み出した失敗作。でも、おそらくあいつの能力はーーーー。

 

クルシーナはキングビョーゲンに、脱走者の能力の詳細を話す。

 

ーーーーだから、プリキュアどもにくっつけちゃえば少しは役に立つんじゃないかってこと。

 

ーーーーほう・・・それは面白い考えだ。

 

ーーーーでしょ? まあ、最悪あいつをこっちに引き戻すってこともできるしね。

 

クルシーナの考えを聞いたキングビョーゲンは興味深いと言ったように話す。

 

ーーーーその能力に確証はあるの?

 

ーーーーどう聞いても憶測にしか聞こえませんが?

 

イタイノンとドクルンは疑問に思っていた。何も見ていないのに、そう言う能力があることがわかること自体疑問だ。

 

ーーーーあるわよ。それはね・・・。

 

クルシーナはその確証を持てる現象の詳細をここにいる者たちに話す。それは自分の手下のコウモリたちにも調査させたということも合わせて話す。

 

ーーーーそう言うことなの。

 

ーーーーよく見ていますね。

 

ーーーーアタシの観察眼を甘く見ないでほしいわね。というわけでお父様、あいつはうまく利用するってことでいいかしら?

 

クルシーナは余裕の笑みを浮かべながら言った。

 

ーーーーよかろう。目障りなプリキュアをどうにかできるかもしれぬしな・・・。

 

キングビョーゲンは、クルシーナにその作戦を承諾したのであった。

 

そして現在・・・・・・メガビョーゲンに病気を蝕ませる一方で、すこやか市の街があるであろう場所をクルシーナは見つめていた。

 

「あいつも来てれば、好都合だけど」

 

クルシーナは笑みを浮かべながらそう呟く。

 

そんな大惨状とも言える場所に、口で噂をした奴らの気配にクルシーナは振り向く。

 

「ふーん、噂をすれば・・・」

 

不敵な笑みを深くする。プリキュアたちがやってきたのだ。しかも、金髪の先代似のプリキュアになるであろう女性の姿もある。

 

「いたわよ!! メガビョーゲン!!」

 

「うぇぇ!? 今までのメガビョーゲンよりもはるかにでかいよ!?」

 

「あぁ・・・!?」

 

のどかたちは今までにない大きさのメガビョーゲンに驚く。それはあの街で合体したメガビョーゲンと同じくらいの大きさだ。

 

「あらあら、やっと来たんだ・・・?」

 

「クルシーナ!!」

 

そんな彼女たちの前にクルシーナが姿を現す。その表情は余裕の笑みを浮かべていた。

 

「気づくのが遅いんだよ。そんな弛んでるお前らにこのメガビョーゲンを止められるのかしらねぇ?」

 

思わず心が折れそうになるくらいだが、三人はすこやか市の街を救うという気持ち、お手当てをしなければならないという気持ちは変わらなかった。

 

「止めるよ、絶対に・・・!!」

 

「そうよ、私たちはビビってなんかいられない・・・!!」

 

「あたしたちは、お手当てを続けないとね!!」

 

「ラビ!!」

 

「ペエ!!」

 

「ニャ!!」

 

のどかたちも、相棒のヒーリングアニマルたちも、ビョーゲンズから街を救うという決意は変わらない。

 

「ラテ様、私たちも参りましょう」

 

「ワン!」

 

ラテの願いのためにお手当てをすることを決めた精霊の女性も、体調が悪そうなラテもメガビョーゲンに怖気付くことはない。

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア、オペレーション!!」」」」

 

「エレメントレベル、上昇ラビ!!」

「エレメントレベル、上昇ペエ!!」

「エレメントレベル、上昇ニャ!!」

「エレメントレベル、上昇ラテ!!」

 

「「「「キュアタッチ!!」」」」

 

ラビリン、ペギタン、ニャトランがステッキの中に入ると、のどか、ちゆ、ひなたはそれぞれ花のエレメントボトル、水のエレメントボトル、光のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

そして、肉球にタッチすると、花、水、星をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、水色、黄色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ちゆは水色、ひなたは黄色へと変化する。

 

一方、ラテと精霊の女性が手を取り合うと、白い翼が舞い、ラテが舞ったかと思うとハートの中から白い白衣のようなものが飛び出す。

 

その白衣を身に纏い、ラテが降りてきたかと思うとハープが飛び出し、さらに精霊の女性は紫色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

衣装にチェンジした後、ハープを手に取り、その音色を奏でる。

 

キュン!

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。

 

キュン!

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身。

 

キュン!

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

ひなたは光のプリキュア、キュアスパークルに変身した。

 

「「時を経て繋がる、二つの風!」」

 

「キュアアース!!」

 

「ワン!」

 

精霊の女性は、風のプリキュア、キュアアースへと変身した。

 

「「「「地球をお手当て!!」」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!!」」」」

 

プリキュアに変身した4人。アースを除く三人は、変身して早々飛び上がる。

 

「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」

 

「メ・・・ガ・・・ガァ・・・!?」

 

蹴りのモーションとなってメガビョーゲンへと突っ込む三人。三人分の蹴りが次々と直撃し、三発目で後方へと吹き飛ばされるメガビョーゲン。

 

しかし、あまり聞いていないのか、すぐに体勢を立て直すと禍々しい赤い球体のようなものを複数出現させる。

 

「メガァ・・・!!」

 

そして、その球体から赤く禍々しい空気をプリキュアにめがけて噴射する。

 

「「「きゃあぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

ものすごい質量の風を受けて、吹き飛ばされる三人。それと入れ替わるようにアースが飛び出し、メガビョーゲンへと駆け出す。

 

「ふっ!」

 

アースはメガビョーゲンの前で飛び上がると、体を縦に回転させる。

 

「はぁ!!」

 

「メガ・・・!?」

 

そして、宙に浮いているメガビョーゲンに踵を落として、地面へと叩きおとす。

 

キュン!

 

「キュアスキャン!!」

 

グレースは肉球を一回タッチすると、ステッキをメガビョーゲンへと向ける。ラビリンの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを発見する。

 

「空気のエレメントさんラビ!!」

 

「!? また、消えかかってる・・・!?」

 

顔の下あたりにいる模様だが、エレメントさんはぐったりしていて、ノイズが走っているような状態。これは、もはや仮死状態である証拠だ。

 

「大変! 早く気力を戻さないと・・・!!」

 

「でも、どうやってやんの!?」

 

フォンテーヌがそう言うも、スパークルは困惑したように言う。あの合体メガビョーゲンの時はやられる寸前で力が流れ込んできて、無意識でやっていたので三人はやり方を知らないのだ。

 

その様子を見ていたクルシーナは・・・・・・。

 

「ふん、やっぱりあのプリキュアにはやられっぱなしか・・・」

 

クルシーナは、キュアアースにメガビョーゲンが相手になっていないことに顔を顰める。キュアグレースたち三人は相手にならないだろうから、まだいい。だが、アースに執拗に攻められて、浄化されてしまってはこの作戦の意味もなくなる。

 

ヘバリーヌはのんきに眠っているし、こうなったら自分があいつを引き離すように出て行くしかないか・・・。

 

「メガビョーゲン!! そのプリキュアはいいから、そこのピンクと青と黄色のプリキュアを潰せ」

 

「メガァ・・・!!」

 

クルシーナの指示を受けて、地面から起き上がったメガビョーゲンは再び宙に浮かび上がると体を高速回転させる。

 

「メメメメメメメメ!!!」

 

メガビョーゲンはアースの横を逸れて、そのままグレースたち三人の方へ突っ込んでいく。

 

「お待ちなさい!!・・・!?」

 

アースはメガビョーゲンの後を追おうと飛び出すも、その前にクルシーナが瞬間移動で姿を現す。アースはとっさに後方へと飛びのいて、クルシーナと距離を取る。

 

「お前の相手はこのアタシよ」

 

「っ!!」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべながら、アースを見据える。

 

「「「っ・・・あぁぁ!!」」」

 

高速回転しながら突っ込んでくるメガビョーゲンに、ぷにシールドを展開するグレースたち三人。しかし巨体な分、攻撃の勢いが強く、ぷにシールドごと吹き飛ばされてしまう。

 

しかし、三人は大勢を立て直すとそれぞれのエレメントボトルを取り出す。

 

「実りのエレメント!!」

 

「雷のエレメント!!」

 

「氷のエレメント!!」

 

「「「はぁっ!!」」」

 

三人はステッキから一斉にそれぞれの色の光線を放つ。

 

「メガァ・・・!!」

 

メガビョーゲンは赤い球体を出現させると、そこから強力な赤い空気を噴射する。光線は赤い空気の中に入っていくと、徐々に勢いを弱めていき、そのまま消えてしまった。

 

「あぁ・・・!?」

 

「嘘・・・!?」

 

「ものすごく成長していて、エレメント技が通用してないペエ・・・!!」

 

「メーガァー・・・!!」

 

呆然とする三人。そんな間も無くメガビョーゲンは、頭から赤い霧のようなもの噴射していく。赤い霧は空高く上がっていくと、そこから水玉のようなものが降り注いで、プリキュアの上へと落下する。

 

ドカン!! ドカン!! ドカン!!!!

 

水玉は地面に着弾して爆発を起こしていく。

 

「くっ・・・!!」

 

プリキュア三人はぷにシールドを展開して爆発を凌ごうとするも、絶え間なく落ちてくる水玉のせいで動くことすらかなわない。

 

ドカン!! ドカン!! ドカン!! ドカン!! ドカン!!

 

「うっ・・・一体、どうしたら・・・!?」

 

「くっ・・・!!」

 

「うぅ・・・!!」

 

次第に大きくなっていく爆発の規模。プリキュアたちも苦しい顔をしていく。

 

「メー・・・!!」

 

そんな中、メガビョーゲンは体の中を禍々しく光らせて何かを溜めていく。そして、メガビョーゲンの体が三層に割れたかと思うと、その溜めた光はその一番上の割れたところから露出していく。

 

そこで一層、その禍々しい光を輝かせたかと思うと・・・・・・。

 

「ガァ・・・!!!!」

 

ビィィィィィィィィィィィィ!!!!

 

ドカァァァァァァン!!!!

 

四方向に禍々しい赤いレーザーを放ち、着弾したところに大爆発を起こした。

 

「はぁっ!!」

 

「ふん!!」

 

その頃、アースとクルシーナの蹴りがぶつかり合う。二人は互いに距離をとると、アースが駆け出していき、クルシーナは目からピンク色のビームを次々と放つ。

 

ビィィ! ビィィ! ビィィ!!

 

ドカァン!! ドカァン!! ドカァン!!

 

アースはビームを避けながら、クルシーナへと迫る。

 

「はぁっ!!」

 

「ふっ!!」

 

アースはクルシーナめがけてミドルキックを繰り出すも、クルシーナは両腕を交差させて蹴りを防ぐ。

 

「ふん!!」

 

「っ!!」

 

クルシーナは交差されている両腕を払って、アースの足を弾く。そしてその瞬間、クルシーナの姿が消える。

 

「!? はぁ!!」

 

背後に気配を感じたアースはとっさに肘を背後に出して、クルシーナの拳を防ぐ。

 

「っ・・・!!」

 

「強さはあの時と変わってないねぇ」

 

不敵な笑みを浮かべながらクルシーナは拳を押しのけようとする。

 

「あなたも、あのビョーゲンズと同じことを・・・!?」

 

「いやぁ? アタシはお前とあいつは別人だと思ってるけど、力も姿もそっくりで、あの時と同じように興奮しちゃった♪」

 

「くっ・・・!!」

 

「ふん!!」

 

「あ・・・!?」

 

クルシーナは拳を開いて肘をつかみ、アースの右肩をもう片方の手で掴むと背負い投げをするかのように放る。アースは体勢を立て直すも、そこへクルシーナは片手から次々とピンク色の光弾を放つ。

 

「っ・・・!!」

 

ドォン!! ドォン!! ドォン!!

 

光弾は着弾して爆発し、アースは両腕を交差して防御体勢をとる。

 

シュイン!!

 

「!?」

 

「ふっ・・・」

 

クルシーナはアースの目の前に瞬間移動をして、不敵な笑みを浮かべた後、禍々しいオーラを溜めていた片手をアースに目掛けて構え、そこから黒みがかかった赤色のエネルギー波を近距離で放った。

 

「メガァ・・・!!」

 

ビィィィィィィィ!!! ドカァァァン!!!!

 

「うわあぁぁ!!!」

 

メガビョーゲンは強力な赤いレーザーを放って、爆発でスパークルを吹き飛ばす。

 

ビィィィィィィィ!!! ドカァァァァァン!!!

 

「あぁぁ!!!!」

 

ビィィィィィィィ!!! ドカァァァァァン!!!

 

「きゃあぁ!!!!」

 

さらにフォンテーヌとグレースにもレーザーを放ち、こちらも爆発で吹き飛ばされる。

 

「うぅぅ・・・」

 

「グレース! しっかりするラビ!!」

 

倒れ伏したグレースは立ち上がろうとするが、ダメージが蓄積していて起き上がることすらできない。

 

「ダメ・・・攻撃が全然通用して、ないんだけど・・・」

 

「さっきからエレメント技を試しても、全然聞いてねぇし!」

 

「私たちじゃ、無理なの・・・?」

 

「ペエ・・・!」

 

スパークルもフォンテーヌも、これまでのダメージが回復して切っていないのと、このメガビョーゲンから攻撃を受けているのも重なって、なかなか立ち上がれない。

 

「ふんっ!!!」

 

「うぅっ・・・!!」

 

クルシーナの蹴りを両腕を交差させて防ぐも、吹き飛ばされるアース。それでもなんとか足をブレーキにし、倒れないように踏ん張る。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「もう疲れてんの? もっとアタシを楽しませろよ」

 

余裕の表情を浮かべるクルシーナに対し、アースは息が上がっていて、体が少しボロボロになってきている。

 

「ふっ・・・!!」

 

「!・・・あぁぁ!!!」

 

クルシーナは片手からピンク色の光弾をアースへに次々と放っていく。アースは走って避けながらクルシーナへと駆け出すも、先ほどよりも動きが鈍っていたのか、光弾の直撃を受けて吹き飛ばされてしまう。

 

「っ・・・」

 

「どうしたの? 動きが散漫になってるけど?」

 

倒れ伏すアースを見下ろすクルシーナ。

 

「っ・・・ふっ!!」

 

「おっと・・・!」

 

アースはすぐに立ち上がってフラッシュキックを繰り出すも、クルシーナは体を反らすだけで交わし、その流れでアースはバク転をして後ろへと飛び退く。

 

クルシーナから距離をとって、再び構えるアース。

 

「ふん!!」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべて、片足を地面に叩きつけると地面を掘り進むかのように何かが移動し、アースの背後から二本の黒いバラのようなものが生え、そこから短めのビームを次々と放った。

 

ビィィィィ!!

 

「!? ふっ・・・はっ・・・!!」

 

アースは飛び退きながら、バク転をしながらビームを交わすも、クルシーナは飛び上がって植物の種のような黒いものを宙に複数出現させると片足を振るって蹴り飛ばす。

 

「オラァッ!!!」

 

「あぁぁ!!!!」

 

アースは気づくも宙に浮いていたところを狙われたために防御体勢が遅れ、そのまま直撃を受けて爆発を起こし、吹き飛ばされてしまう。受け身を取ることができず、地面に叩きつけられるアース。

 

「くっ・・・!!」

 

体を震わせながらも、立ち上がろうとするアース。そんな彼女にクルシーナが近づく。

 

「もう終わり? まだやれるでしょうよ」

 

ドカァァァァァァァァン!!!!

 

「「「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」

 

「!?」

 

悲鳴が聞こえて、アースが振り向くとグレースたち三人がメガビョーゲンの攻撃を受けて、吹き飛ばされて宙を舞う姿が見えた。

 

「あ・・・みなさん・・・!!」

 

アースはグレースたちがメガビョーゲンにやられている姿を見て動揺を隠せない。なぜだろうか・・・よくわからないが、あの三人の無残な光景を見て、自分の中にあるものが乱れているような感じがする。

 

ラテのためにとお手当てを誓ったあの瞬間、あの時とは違う何かが自分に流れ込んでいる。

 

「うぅぅ・・・」

 

「くぅぅ・・・」

 

「うぅぅ・・・」

 

グレースたち三人は、メガビョーゲンの攻撃を受けてボロボロになっており、立ち上がる気配もなく、意識が朦朧としている状態だ。

 

「あっちも、もう終わりかしらね?」

 

クルシーナはグレースたち三人が倒れているのを見て、不敵な笑みを浮かべる。

 

「クゥ~ン・・・ウゥ~ン・・・!!」

 

「ん?」

 

どこからか犬の鳴き声が耳に入り、クルシーナはその方向を向くとそこには体調を悪そうにしながらも、不安げな声を上げるラテの姿があった。

 

「ついでだから、あいつを先に片付けておこうかしら。やれ、メガビョーゲン!!」

 

「メガァ・・・!!」

 

クルシーナはメガビョーゲンに攻撃するように指示を出す。あの子犬は目の前にいる厄介な新入りのプリキュアを変身させるのに必要な存在のようだし、あいつがいるとメガビョーゲンに支障が出る。今のうちに始末しておいて、あいつらの戦力を削いでおくのもいいだろう。

 

メガビョーゲンはレーザーを放つべく、一番上の別れた部分に禍々しいエネルギーを溜め始める。

 

「や、やめて・・・うぅ・・・あ・・・!!」

 

ラテに撃とうとしていることを察したグレースは立ち上がろうとするが、ダメージが積み重なり、意識が朦朧としている状態では腕に力が入らなかった。

 

「ダ、ダメ・・・!!」

 

薄眼を開けながら叫ぶフォンテーヌの声はどこか弱々しかった。

 

「ラテ、逃げてぇ・・・!!」

 

スパークルも手を伸ばそうとするも、その手は弱々しくラテには届かない。

 

「!! ラテ様・・・!! あぁ!!」

 

「お前の相手はこのアタシだって言ったはずだろ?」

 

アースはラテを助けようと動くも、彼女の目の前にクルシーナが瞬間移動をして、蹴りを入れる。アースもクルシーナに阻まれて助けに行くことができない。

 

そんな三人の行動もむなしく、無情にもメガビョーゲンの禍々しいエネルギーは溜まっていく。

 

そして・・・・・・・・・。

 

ビィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!

 

メガビョーゲンから極太のレーザーが放たれる。それはラテに迫っていき・・・・・・。

 

ドカァァァァァァァァァァン!!!!

 

着弾して爆発を起こした。

 

「あ・・・あぁ・・・」

 

グレースはその光景に絶望の表情を浮かべるしかなかった。

 

「そ、そんな・・・」

 

「ラテ・・・!!」

 

フォンテーヌとスパークルも絶望に近い言葉を発していた。

 

「ラテ、様・・・?」

 

アースは絶望の表情をしながら、がくりと膝を地面に落とす。自分はラテ様を守るために生まれてきたのに、守れなかった・・・?

 

「フフフ・・・」

 

クルシーナがその様子を受けて、不敵な笑みを浮かべていた。あの攻撃を受けてはラテも無事では済まないだろうと。

 

大きな音と共に煙が晴れていく。そこには攻撃を受けて倒れているラテの姿は・・・・・・存在しなかった。

 

「!?」

 

クルシーナはラテが倒れていないことに目を見開く。体調が悪く動きが鈍っているあの子犬が、素早く動いた? いや、そんなことがあるはずがない。

 

「ラテ・・・?」

 

「ラテがいない・・・!?」

 

「消えちゃったの・・・!?」

 

グレースたち三人もその光景に戸惑いを隠せない。

 

「ラテ様・・・どこに・・・!?」

 

アースはラテが消えたことに戸惑い、焦ったようにキョロキョロと辺りを見渡す。すると、何やら一つの影が立っているのが見えた。

 

「あ、あれを見るラビ!!」

 

ラビリンが何かを見つけたようで叫ぶ。グレースたち三人が視線を向けるとそこに立っていたのは、黒いフードを被った少女の姿だった。

 

「誰なの・・・!?」

 

「わ、わからないペエ・・・」

 

「ビョーゲンズ、じゃ、ねぇよな・・・?」

 

「見たこともないんだけど・・・?」

 

「あ・・・ラテ・・・!!」

 

突然現れた見慣れない人物に戸惑いの声を上げるフォンテーヌとスパークル。そして、そんな彼女の手にはラテを抱いているのが見えた。

 

どうやらラテをメガビョーゲンのレーザーから助け出したのは、あのフードの少女のようだった。

 

「キミ、怪我はないか・・・?」

 

「ワン!」

 

「そうか・・・よかった」

 

フードの少女の気遣うような声をかけると、ラテは元気に返事をする。フードの少女はそれを見て口元に優しい笑みを浮かべると、彼女をゆっくりと地面に下ろす。

 

そして、ラテに手を伸ばして頭を優しく撫でる。

 

(なんだろう・・・まるでのどかたちに優しくされているみたいラテ・・・)

 

ラテはフードの少女にのどかたちに優しくされているのと同じような気持ちを感じた。暖かいような、冷たいような感覚。でも、優しい感覚・・・・・・。

 

フードの少女はラテから手を離すと立ち上がり、メガビョーゲンの方を睨む。

 

「ふーん、やっと出てきたのねぇ、脱走者!!」

 

クルシーナは待っていたとでも言いたげな加虐な笑みを浮かべながら、フードの少女を見つめていたのであった。

 

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