ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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本編的には第4話になります。
今回も長くなったので、前後編に分けます。前編です。


第5話「恐怖」

ビョーゲンキングダム、そこはビョーゲンズのための世界。そこには幹部たちが全員集まっていた。シンドイーネとドクルンがキングビョーゲンに報告があるとのことで、全員が収集されたためだ。

 

今日は普段、夕焼けのような空に現れない顔は、ドクルンが声を投げかけると姿を現していた。

 

ドクルンはシンドイーネの分も合わせて、プリキュアが二人になったことを話した。

 

「プリキュアが二人・・・?」

 

「ええ・・・間違いなく二人になってましたねぇ・・・」

 

ドクルンはいつもの口調を崩さずにそう言った。

 

「どうします? やっぱりやっちゃいます~?」

 

シンドイーネは鼻息を吹かせながら言っていた。プリキュアは障害の一つだ。排除するだけでも相当貢献度は上がると思うが・・・。

 

「今は地球を蝕め・・・我がヒーリングアニマルの女王よりも先に復活せねばならんのだ」

 

キングビョーゲンはあくまでも地球を蝕むことを指示した。プリキュアは障害の元になるとは思うが、それに固執しても地球は自分たちのものにはならない。少しでも地球を病気に侵すことが最前線である。

 

「ですよね~♥」

 

「かしこまりました、お父さん」

 

シンドイーネは相変わらずの調子で話しかけ、ドクルンは眼鏡を上げながらそう言った。

 

「まあ、今んとこ出くわす場所限られてるし、焦んなくていいでしょ」

 

いつもの口調で言うダルイゼンだが、隣を見ているとグアイワルは何やら考え事をしているような様子だ。

 

「・・・どうしたの? グアイワル」

 

「何・・・そのプリキュアとやらに、俺も合ってみたいと思ってな」

 

ダルイゼンが問いかけると、グアイワルはプリキュアがどんなやつなのか興味を示していたのであった。

 

「・・・全く、アタシの苦労が増えそうね、こんな奴らじゃ・・・ん?」

 

クルシーナはそれぞれが能天気な台詞を吐いていることにため息をついている。ふと横を見るとイタイノンが何やらピコピコと携帯ゲームをやっているのが目に入る。

 

その様子にクルシーナは不快感を覚え、イタイノンに近寄る。

 

「あっ・・・?」

 

イタイノンは夢中になってゲームをやっていてクルシーナには気付かず、しかもその手元からゲームがなくなると驚きの声を上げる。

 

「あんたねぇ・・・お父様の眼前で何やってんのよ?」

 

イタイノンが声がした方へと見上げると、携帯ゲームを取り上げたしかめっ面のクルシーナだった。

 

「別にいいでしょ、なの。人がどこでゲームをやってようと勝手なの」

 

イタイノンはそっぽを向きながら言う。

 

「アタシらの目的はなんだっけ?」

 

「・・・知らないの。イタイノンにはどうでもいいの」

 

イタイノンの言葉に、クルシーナはますます不機嫌そうな顔をする。

 

「っていうか、返せなの!」

 

イタイノンはクルシーナの手に持っている自分のゲームを取り返そうと飛びかかる。しかし、クルシーナは返さないと言わんばかりにゲーム機を持つ手を高く上げる。

 

「怠け者にやらせるゲームなんかねーんだよ!」

 

「~~~っ、返せ! 返せなのっ!」

 

クルシーナは吐き捨てるとイタイノンの顔を手で押さえつけて引き剥がそうとするも、イタイノンも一歩も下がらずに取り返そうとしてくる。

 

「返して欲しかったら、少しは地球を蝕んでこいっての!」

 

「誰が人間のはびこる場所に行くかなの! あんなところに行くかと思うと虫酸が走るの!」

 

「病気で蝕めばいないも同じだろうが!」

 

「そんな面倒くさいことお前がやればいいの!」

 

一歩も譲らないクルシーナとイタイノン。水掛け論だ。いつまでたっても終わらない。

 

そんな時、クルシーナの手からゲームが取り上げられた。

 

「「あ・・・」」

 

「全く、何を喧嘩しているのですか?」

 

ゲーム機を取り上げたのはキングビョーゲンに報告していたドクルンだった。二人のやり取りを見ていた彼女は面倒臭そうな声で彼女に聞いている。

 

「だって、こいつが・・・!」

 

「はいはい。まあ、大体の察しはつきますけどね」

 

ドクルンはイタイノンにゲーム機を差し出すと、イタイノンはひったくるように奪い取る。

 

「イタイノン、ゲームをやるのは勝手ですけど、少しはマジで働いてください」

 

「・・・ふん。5人もいるんだから、そいつらがやれば十分でしょ、なの」

 

「あんた、まだそれをーーーー」

 

イタイノンの言葉に食いつこうとしたクルシーナだが、ドクルンはそれを制止する。

 

「・・・では、もうあなたは入りませんよね?」

 

ドクルンの珍しく冷めたような言葉に、イタイノンはびくりと反応する。

 

「お父さんの快楽を満たせないようなやつなど、ビョーゲンズには不要。消されても問題ないですよね? あのダルイゼンですらちゃんとやっているのに、恥ずかしくないんですか? こっちは遊びでやっているのではないのですよ」

 

それを聞いて、プルプルと震えるイタイノン。ドクルンはイタイノンに近づくと肩に手を置く。

 

「!?」

 

「消えてしまっては大好きなゲームとやらもできなくなりますよ。それが嫌なら一緒に地球を蝕みましょう? 私はなるべくあなたに消えて欲しくなんかありません。それを、理解してください」

 

イタイノンがビクビクと視線を向けると、ドクルンが穏やかな表情でこちらを見ていた。口調も穏やかだ。

 

それは自分を軽蔑しているわけではない、仲間思いからの優しい感情だ。イタイノンはそんな風に感じていた。

 

イタイノンは無意識のうちに恐怖の表情が和らぎ、無表情ながらも少し頬を染めていた。

 

「・・・わ、わかったの。行ってくればいいんでしょ、行ってくれば、なの」

 

イタイノンはゲーム機をポケットにしまうと、その場から逃げるように去った。

 

「・・・素直ないい子ですねぇ、フフフ」

 

イタイノンが去るのを見届けると、ドクルンは元のニヤついた表情に戻っていた。

 

「何、あんた今の・・・気色悪いわよ・・・」

 

「寒気がしたウツ・・・」

 

その場にいたクルシーナとウツバットは、ドクルンのイタイノンに対しての言葉に言い知れぬ恐怖を感じたそうな・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドクルンに軽く怒られて、まるで逃げるかのように渋々と人間界へと降りてきたイタイノン。

 

瞬間移動して来た場所は紫色の屋根の建物の上。何やら商業施設みたいな場所だった。

 

おそらく中であろうところを下から覗いてみると、そこにはイタイノンの苦手な人で溢れていた。子供を連れる親子がいれば、女友達同士で遊んでいるような人もいる。

 

イタイノンはその様子を見て、顔を嫌そうに顰めていた。

 

「ここは人間が多いの・・・行きたくない・・・」

 

イタイノンは憂鬱だった。そもそも自分は人の顔を見てまともに話せたことがないし、人に近づかれるのも恐怖すら感じる。特に明るくてポジティブな人間には極力関わりたくない。

 

せいぜいちゃんと話せるのは不本意ではあるが、ビョーゲンズのやつらだったりする。

 

「でも、ちゃんとやらないとまたドクルンに・・・」

 

「わかってるの! 仕方ないから入るの・・・」

 

カチューシャになっているネムレンに言われてムキになるイタイノン。行きたくないのが本音であるが、またドクルンやクルシーナに口うるさく言われるのもごめんだ。特にドクルンのあんな冷たい視線とあの言葉は二度と見たくないし、聞きたくない。

 

そう思い込んで、屋根から飛び降りて中に入るイタイノンだが・・・。

 

「ひぃ!!」

 

すぐ横から二人組の女性が歩いてくるのが見え、小さく悲鳴を上げたゴシックロリータは避けようと左方向に歩こうとするが・・・。

 

「ひゃっ」

 

避けた方向にも別の人が通りかかり、危うくぶつかりそうな距離で声をあげる。慌てて右に方向転換しようとしたが、思わずつまずいて地面へとコケてしまう。

 

「あう・・・!」

 

「大丈夫ですか・・・?」

 

「え・・・?」

 

そんな彼女を心配する声が。イタイノンは思わず疑問の声を出して、視線を見上げるとそこには大人の女性の姿が。しかも、自分に手を伸ばそうとしている。

 

「い、嫌ぁぁぁぁ!」

 

大きく悲鳴をあげるとすぐさま立ち上がって、反対側の方向へと逃げていく。そして、路地裏のようになっている曲がり角へと隠れた。

 

「・・・・・・・・・」

 

ビクビクとしながら、角から先ほどの方向を覗く。屋根の上から見ても人が多いのは明らかだったが、ここから見ると余計に人がいるようにも見える。

 

「向こうは人が多いの・・・うぅ・・・あっちに行くの」

 

「先が思いやられるネム・・・」

 

ネムレンはイタイノンの慌てっぷりに呆れるしかなかった。

 

すぐに諦めて人が混んでいない場所へと移動しようとするのだが・・・。

 

「みなぴー! りなぽんー!!」

 

「!?」

 

何やら叫ぶ声が聞こえて、またびくりとなったイタイノンは再び角へと隠れる。向かっていこうとした方向を見てみると噴水があり、何やら栗色のツインテールの少女が辺りを見渡しているようだった。

 

なんかやかましそうな子だ。あいつには絶対に近づきたくない・・・。

 

しばらく見つめていると、マゼンダ色の髪の少女と藍色の髪の少女が二人近づいてきた。

 

「向こうにはいなかったよ」

 

「今、どこにいるのか連絡つかないの?」

 

どうやら三人は誰かを探しているようだった。みなぴーとかりなぽーとか言っていたっけ? おそらく本名ではないようだが、それにしても何なの、その呼び方は?

 

「・・・・・・?」

 

そんなことを思っていると、ふと明らかに人間ではない反応を感じ、上を見上げる。どうやら上の階に反応がある模様。

 

とはいえ飛び上がったりすると怪しまれるため、イタイノンは瞬間移動を使って、上の階へ。すると・・・。

 

「!? ま、まぶっ・・・!?」

 

瞬間移動をした横の店はおしゃれな服のお店だった。しかも、ファッションと言うよりは素敵な服を求めるイケてる女性たちでいっぱい・・・。

 

服を見ているだけなのに・・・何でこんなに眩しいの・・・?

 

イタイノンはたまらず後ろを向いて、店を見ないようにカニ歩きで店の前を通り過ぎていく。

 

ようやく店が見えないくらいまで通りすぎ、気がつくと彼女の前にあるのは、ここもファッションのお店であった。

 

「はぁ・・・辛いの・・・」

 

「大丈夫ネム?」

 

まぶしいお店がありすぎて、げんなりする。もうさっさと地球を蝕んで帰りたい・・・。ネムレンも気遣ってはくれるが、そんなことで気が晴れるとは思えなかった。

 

そう思っていると、そこに彼女に声をかける男の声があった。

 

「お前・・・」

 

「ぴぃ!?」

 

「こんなところで何をしている?」

 

「・・・?」

 

思わずビクッとしたイタイノンだが、どこか聞いたことがあるような声を聞いて横を向くと筋肉隆々の男だった。

 

「・・・グアイワル?」

 

「ここはお前が苦手なところだろ?」

 

安心した。また知らない奴に声をかけられたのかと思った。

 

イタイノンは知り合いだとわかると、いつものような無表情に戻り・・・。

 

「地球を蝕みに来たに決まっているの。お前こそ何、なの? おめかしでもしに来たの?」

 

「違う! 俺もお前と同じだ!」

 

「そんな暑苦しい筋肉を出しながら言われても説得力ないの」

 

「き、筋肉は関係ないだろ!! 格好をどうしようと俺の勝手だ!!」

 

すっかりイタイノンにペースを乱されているグアイワル。イタイノンにとって一番からかいがいがあるので楽しい。だってクルシーナがスカートをチラつかせても動揺するような変態だから。

 

ここに来たのだってどうせ女性の服でも着に来たのだろう。でないと、わざわざこんなところでうろついている理由がない。自分の力に酔いしれている生粋の変態だから。

 

声には出さなかったが、そう思うことにした。

 

「じゃあ、イタイノンがどうしようと勝手なの」

 

「いや、そういうことを言ってるんじゃなく、って、おい! どこに行く!?」

 

イタイノンは捨て台詞を吐くとそのままグアイワルに背を向けて、その場を去ろうとする。からかって少しは気が晴れたのか、また蝕むものを探しに行くことにした。

 

「人のいないところで探すの~」

 

イタイノンはそう言うと瞬間移動をして、その場から消えた。この時にグアイワルがちょっと悔しそうな顔をしていたのはまた別の話である。

 

イタイノンが瞬間移動した先は、この商業施設の隣接したところにある建物の中。紫色の屋根があるもう一つの建物だ。ここにもいろいろなものが売られていた。

 

「お店が多いの、ここは。人が多くて萎えそうなの」

 

「無理しないでネム・・・」

 

「大丈夫なの・・・単に気持ちの問題なの」

 

少しは気持ちに余裕があるのか、言葉を返し、気遣ってくるれるパートナーに感謝しつつ歩いていく。

 

いろいろと周囲を見渡してみると、掘り出し物や洋服、おもちゃの楽器があったりとイタイノンには興味のないものばかり。別に遊びに来たわけではないが・・・。そもそも人のいる場所では遊びたくない。

 

目星がつかないまま進んでいくと、そこには何やらステージ会場があり、何か始まろうとしているのが見えた。ステージの前には椅子が並べられていて、人がいっぱい・・・。

 

「こんなところにも人がいっぱいいるの・・・」

 

「何か楽しそうでムカムカするネム・・・」

 

「何で集まっているのか理解できないの・・・」

 

とりあえず、ステージの方を見てみると看板には『4つの楽器のセッション、カルテット・コンサート』と書かれていた。何やら楽器を演奏する模様。

 

ステージには黒くてでかい楽器ーーーーピアノと言ったか、それが置いてあるだけ。楽器は一つだけ、じゃあ、残りの3つはどこにあるのか?

 

ステージの横にある設営されたテントに近づくとそこには、トランペットとそのケースが無造作に置かれているのが見えた。

 

「ピカピカとしている・・・」

 

「・・・イタイノン? どうしたネム?」

 

ネムレンがトランペットをじっと見つめている様子を見て心配そうな声をかける。人がいるせいでとうとう気が参ってしまったか?

 

ネムレンの思っていたことは違った。イタイノンはこの楽器が使われていることを感じつつも、綺麗に保たれているのを感じていた。

 

この楽器ーーーー自然で生まれたわけでもないのに、なーんか・・・生きてるって感じ・・・。

 

ドォーン

 

その時、建物が揺れ始め、周囲が何事かとざわめき始める。

 

「? 何だ?」

 

「何かあっちの方で大きな音が・・・?」

 

・・・おそらくグアイワルであろう。作戦を開始したらしい。

 

イタイノンもそろそろ人の多い場所に辟易して、むしゃくしゃしてきた・・・しかも、さっきはドクルンに叱られたし、クルシーナにも邪魔された。この怒り、ここ一帯を蝕むことで晴らしてやるとするか、なの。

 

イタイノンは両腕の袖をまるで埃を払うかのような動作をする。そして、右手を開きながら突き出すように構える。

 

「進化するの、ナノビョーゲン」

 

「ナノナノ~」

 

イタイノンの生み出したナノビョーゲンが鳴き声を上げながら、床に置かれていたトランペットへと取り憑く。金色の楽器が徐々に病気へと蝕まれていく。

 

「キラキラキラぁ~~!?」

 

トランペットの中にいる妖精、エレメントさんが病気へと蝕まれていく。

 

そのエレメントさんを主体として、巨大な怪物がその姿をかたどっていく。凶悪そうな目つき、不健康そうな姿、そしてそれを模倣する様々な自然のものが姿として現れていき・・・。

 

「メガビョーゲン!」

 

パレードのような衣装を纏い、指揮棒を手に持ったメガビョーゲンが誕生した。

 

「な、なんだあの怪物は!?」

 

一般の客たちは突然現れた巨大な怪物に動揺していた。ここでやるのは音楽を奏でるコンサートだったはず・・・。

 

「メガ!」

 

そんな客の動揺など露知らず、メガビョーゲンはタクトを振ると、空中にトランペット、バイオリン、小太鼓を出現させる。そこには黒い悪魔のような羽が生えていた。

 

「メガ!」

 

メガビョーゲンがさらにタクトを振ると、出現した3つの楽器は同時に黒い光を集め始めると、一斉に光線を放った。

 

チュドーン!!!

 

「きゃあぁぁぁ!!」

 

「に、逃げろー!!!」

 

突然の攻撃に人々はパニックを起こし逃げ始めた。それを尻目に、爆発を起こした箇所は壊れつつも、病気で蝕まれていく。

 

メガビョーゲンはまるで指揮をするかのようにタクトを振り回すと、トランペットは光線を放って破壊していき、小太鼓は音波の波動を放って吹き飛ばしながら周囲を病気に蝕み、バイオリンは楽譜の光線を放って病気へと蝕んでいく。

 

メガビョーゲンの周囲があっという間に病気で蝕まれていく。

 

「いつもより元気だねぇ、メガビョーゲン・・・」

 

ネムレンは俊敏な動きでタクトを振りながら、楽器に指示をして破壊活動を行っているメガビョーゲンを見ながら言う。

 

「さっきのトランペット綺麗だったの・・・きっとそのおかげに違いないの」

 

「メガァ!」

 

チュドーン!!!

 

「きゃあぁぁ!!!」

 

イタイノンがほくそ笑んでいる間にも、メガビョーゲンは人が集まる場所に光線を放ち、客たちは悲鳴を上げて逃げていく。

 

「人間どもがごみ虫のように逃げていくの・・・愉快愉快なの・・・キヒヒヒ」

 

イタイノンは逃げ惑う人々を見て、優越感を抱いていた。怒りとつまらなさでいっぱいだった心が晴れていくように感じる。

 

一人でゲームをしていても感じなかったこの快感。人間たちは何もできずに、メガビョーゲンを恐れて逃げ出すだけ。こいつらを攻撃が直撃したらと思うと、ますますわくわくする。

 

もっと快楽を得るためには、もっともっと人間を怖がらせて、ここから追い出してやらないと・・・。

 

イタイノンは嬉々しながら、メガビョーゲンに命令する。

 

「メガビョーゲン、もっともっと蝕んでやるの」

 

「メガー!!!」

 

メガビョーゲンはまだ蝕まれていないところに楽器からの光線を放つ。破壊音がなっているというのもおかしな光景だが、それでも光線が直撃した箇所は病気で侵されていく。

 

人間に向かって放たれれば、恐怖に悲鳴を上げ、逃げ出していく。

 

「キヒヒ・・・」

 

壊れ行く店内、逃げ惑う人々、イタイノンはそんな喧騒を聞きながら不敵な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆめぽーとに爆発音が響き、平光ひなたは何事かと動揺していた。眼下を見ると客たちが悲鳴を上げて逃げている。

 

そこへやっと見つけた友人、みなぴーとりなぽんから巨大な怪物が暴れていることを聞かされる。おそらく、このまま学校に現れた怪物だ。

 

一緒に逃げようとしたが、ここにいないのどかとちゆのことを思い出した。二人は怪物の方に向かって走っていったらしい・・・。

 

ーーーー二人が危ない・・・!!

 

平光ひなたは友人を放っておけない気持ちからに先に逃げるように言い、のどかとちゆが向かった方向へと走った。

 

元はと言えば、自分が奇妙なしゃべる猫・ニャトランを見つけたことで、のどかとちゆにも出会い、友達との約束を忘れた自分を、二人はこのゆめぽーとで探してくれると言ってくれた。

 

向かった先には・・・。

 

「うぇぇ!? デカっ! ウソウソ!? 何あれ!? ガチ怪物じゃん!?」

 

驚くのも無理はなく、このリアクションも当然だ。明らかに自分よりも倍の大きさを持つ怪物で、襲われたら一発で一捻りだ。

 

「何、この状況!? 何で真っ黒!? 可愛いもの全て台無しなんだけど・・・!!」

 

周囲を見渡して更に動揺するひなた。洋服や店が黒く汚されていっている。噂の怪物は友人から聞かされてはいたものの、懐疑的であまり信じておらず、まさか本当にいるとは。間近で見るのは初めてだ。

 

ニャトランに言われて、怪物の方を見る二人。すると、そこには・・・。

 

「のどかっちとちゆちー!?」

 

怪物の前に立ちはだかる友人二人だった。しかも側にはウサギとペンギンのような生き物もいる。

 

更に二人はひなたの眼の前で、姿を変えた・・・・・・。

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!!」

 

「!?」

 

二人が目の前でコスプレみたいな正装に変わり、更には筋肉隆々の明らかに人の肌ではない男も現れた。

 

「来たな!プリキュア!」

 

「あれは?」

 

「ビョーゲンズのグアイワルラビ!!」

 

「貴様らの力、この俺に見せてみろ!! やれ、メガビョーゲン!!」

 

「メガビョーゲン!!」

 

男にメガビョーゲンと呼ばれた怪物は、首のマフラーを伸ばして襲いかかる。

 

キュアフォンテーヌは飛び上がって蹴りを入れるも、防がれてマフラーで吹き飛ばされる。

 

キュアグレースは飛び上がってハート型の光線を放つも、メガビョーゲンは周囲にバリアを張り、更には光線を跳ね返してきた。

 

お手当てが進んでいるとは思えない状況。そんな時・・・・・・。

 

「クチュン!!」

 

ラテがくしゃみをした。

 

「ラテ様!?」

 

「・・・もしかして、またペエ?」

 

「?・・・何の話だよ?」

 

「グレース、診察してみるラビ!」

 

前回もこんなことがあったような気がする。ペギタンはそう思った。

 

グレースはラビリンに言われて、ヒーリングルームバッグから聴診器を取り出し、ラテに向けてみる。

 

するとラテはメガビョーゲンがいるであろう方向を向きながら・・・・・・。

 

(・・・あっちの方で、金ピカな楽器さんが泣いているラテ)

 

「また・・・別の場所でメガビョーゲンが・・・」

 

グレースはラテの心の声に動揺する。前回もドクルンと名乗る別のビョーゲンズが現れ、メガビョーゲンを生み出していた。そのことがまた起こったのだ。

 

「フォンテーヌ!ペギタン!また別の場所でメガビョーゲンが!」

 

「やっぱりペエ・・・」

 

「大変!急がないと・・・!!」

 

急がないとまた苦しむ人が現れる。グレースとフォンテーヌは焦燥感を抱いていた。

 

「ほう・・・イタイノンのやつがやったか・・・あいつもなんだかんだ言ってやるやつだからな」

 

プリキュア二人の会話を聞いていたグアイワルがそう確信した。あんな臆病なやつでも本気を出せば侵略活動など簡単にできる。不本意だが、本当は自分よりも強かったりする。

 

「メガー!!」

 

電撃のような光線を放ってくるメガビョーゲン。

 

「!!」

 

「まずは、このメガビョーゲンをなんとかしないと・・・!」

 

グレースとフォンテーヌはそう決めると、メガビョーゲンと対峙する。

 

一方、ひなたは状況を呆然と見ている。

 

「嘘・・・え、何・・・プリキュア?」

 

・・・・・・理解が追いつかない。ゆめぽーとに怪物が現れ、可愛いものを真っ黒にされ、自分の友人が変身して、巨大な怪物と戦っている・・・?

 

特に理解がつかないのは、のどかっちとちゆちーが、自分の目の前でプリキュアというものに変身して戦っている・・・?

 

現実感がわかない・・・これは夢なのか?

 

「ひなたちゃん!?」

 

「え、避難したはずじゃ・・・!?」

 

ひなたの思考がめちゃくちゃになっていると、彼女に気づいたグレースとフォンテーヌが驚きの声を上げる。

 

確かに彼女はニャトランに連れられてメガビョーゲンがいない方向へ走っていったはず。なぜ、戻ってきているのか・・・?

 

「どうしよう・・・見られてたペエ・・・」

 

「もうニャトラン、何してるラビ!?」

 

(・・・さあ、ひなたはここからどう出るニャ?)

 

ペギタンが動揺し、ラビリンが憤慨する中、ニャトランはある一つの賭けを行おうとしているのであった・・・・・・。

 




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