ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
今回で謎の少女の名前を発表します。


第60話「仲間」

 

「メッガァ・・・!!!!」

 

ダルイゼンが生みだした黄色い花弁のような毛で覆われた四速歩行のメガビョーゲンが、口から禍々しい光線を吐き出し、地面を蝕んでいく。

 

「メガビョー!!!!」

 

ドカン!! ドカン!! ドカン!! ドカン!!

 

その近くでは、クルシーナが生み出したメガビョーゲンが両手の小さなスイカのようなものから禍々しい赤い光線を大量に噴射し、さらに一緒に流れてきた黒い種を爆発させて広範囲の地面を蝕んでいく。

 

「うわあぁぁぁぁぁ!?」

 

近くにいた人々は怪物の出現に逃げ惑う。

 

「いいわよ、その調子」

 

クルシーナは偶然近くにいた人々が恐怖している姿を見て不敵な笑みを浮かべる。この場所が赤くなっていくのもそうだが、人間たちの苦しむ姿の方が格別だ。

 

そんな中、その二体のメガビョーゲンが発見したことに歓喜している人物がいた。

 

「おぉ! いたぞ!! お誂え向きなメガビョーゲンが二体!!」

 

それはこの前、バテテモーダから緑色のかけらを二つ事実上強奪したグアイワルだった。

 

「だが、しかし、かけらは二つしかないしな・・・どちらでやったものか・・・」

 

出現した二体のメガビョーゲン、どちらでかけらを試そうか考えていた。ここで二つも使うとすぐになくなってしまうので、それはあまり良くない。どちらの方が埋めやすいか・・・・・・。

 

「よし、とりあえず、あっちのメガビョーゲンでやってみるか」

 

どちらで検証するか決めたグアイワルはそう言いながら、懐から緑色のかけらを一つ取り出すとそのメガビョーゲンへと近づく。

 

「ん?」

 

ダルイゼンはなぜかグアイワルが現れたことに疑問を抱く。

 

「あいつ、何しに出てきたわけ? っていうか、あれって・・・」

 

クルシーナは誰かの気配を察して振り返ってみるとグアイワルが視界に映り、さらに手に持っている緑色のかけらを見て目を細める。

 

グアイワルはそんな二人の視線に気づくこともなく、メガビョーゲンに近づき、緑色のかけらを埋め込んだ。

 

「メガッ!? ガッ、ガガガガガガガガァ!!!! メッガビョーゲーン!!!!」

 

メガビョーゲンは禍々しいオーラに包まれると、巨大化した上に二足歩行になった。さらにその余波なのか、周囲の広範囲の地面を蝕んでいく。

 

グアイワルが埋め込んだのは、ダルイゼンが生みだしたメガビョーゲンであった。

 

「おぉ!! やはりメガビョーゲンのパーツ、略してメガパーツさえあれば、急激に成長できる!!」

 

グアイワルが、以前のバテテモーダが試したようにメガビョーゲンを急成長させることができることに感嘆する。

 

「ククク・・・!! バテテモーダのやつ、いいことを教えてくれたものだ!!」

 

グアイワルは残り一個の緑色の欠片ーーーーメガパーツを見つめながら不敵な笑みを浮かべる。

 

「へぇ・・・面白い発見じゃん」

 

「!?」

 

余韻に浸っていたグアイワルの背後から声が聞こえ、振り返ると何やら面白いものを発見したような表情のダルイゼンが立っていた。

 

「なっ、ダルイゼン!? なぜここに!?」

 

「メガビョーゲン作ったの、俺だし」

 

「えっ!? そうか!?」

 

グアイワルはダルイゼンがいるとは思っていなかったようで、えらく驚いていた。

 

「ちなみにアタシもいるわよ」

 

「っ!? クルシーナもいたのか!?」

 

「当たり前じゃん。仕事で来てるんだから」

 

自分がいるとも思わなかったグアイワルに、クルシーナは心底呆れたような表情で見る。

 

「それとさあ、なんでアンタがメガビョーゲンのかけらを持ってんの? アタシたち、アンタにあげた覚えはないんだけど?」

 

「な、そ、それは・・・!」

 

「まさか、バテテモーダから奪ったんじゃないだろうな・・・?」

 

あげた覚えのないメガパーツをグアイワルが持っていることに対して、睨みを利かせるクルシーナ。さらに彼女が詰め寄るとグアイワルはバツが悪そうな顔をする。

 

「素直に言えばあげんのに・・・まあ、いいけど」

 

クルシーナはため息を吐きながら言うと、特に興味はなさそうに返して彼から離れていく。

 

「メガビョー!!!!」

 

自身が生み出したスイカ型のメガビョーゲンは、赤い光線を噴射して周りの木々をも蝕み始めていた。

 

「一応、アタシもやっておこうかしらね」

 

クルシーナは手に持っているメガパーツを見つめながらそう言うと、自身のメガビョーゲンの近くへと飛ぶ。そして、手に持っているメガパーツをメガビョーゲンに埋め込む。

 

「ビョッ!? メ、ガガガガガガガガガガァ!!!!」

 

メガビョーゲンは苦しむような声を上げながらも、その体から禍々しいオーラが溢れ出し、膨大な力に満ちていく。

 

そして・・・・・・。

 

「メガァ、ビョーゲン!!!!」

 

メガビョーゲンは巨大化しただけでなく、一頭身の体からスイカの玉のような足、つるのような手が伸び、頭から生えているつるがさらに成長した姿となった。

 

「ふーん、本当に成長するんだ・・・これなら進化を待たなくてもいいし、便利だけど」

 

クルシーナはもう一つのメガパーツを取り出して見つめながら、不敵な笑みを浮かべる。

 

「あっ!?」

 

「ん?」

 

何やら別の声が聞こえたので振り向いてみると、そこには自らの父が脱走者と称する金髪の少女が立っていた。少女はクルシーナの姿には気づいていない模様。

 

「あら、脱走者も来たのね」

 

カモがネギをしょってきたかのように面白い輩が現れたことに、クルシーナは笑みを浮かべた。

 

「やめろ!!」

 

少女は片手に黒いステッキを持つと、スイカ型のメガビョーゲンへと向かっていく。

 

「メガビョー!!! ゲン!!」

 

メガビョーゲンは少女に目がけて、口から黒い種のようなものを吐き出していく。種は着弾して爆発するも、少女はそれを避けながら迫っていく。

 

「はぁ!!!!」

 

少女は飛び上がるとメガビョーゲンに向かって、黒いステッキを振り下ろした。

 

「メガァ、ビョーゲン!!」

 

一方、もう一体のメガビョーゲンも暴れ出そうとしていた。

 

「いたぞ!! しかも二体いる!!」

 

そこへプリキュアたちも到着する。ニャトランが言う二体はいつものパターンだからいい。しかし、気になるのは・・・。

 

「うぇぇ!? あっちもこっちも、なんかまたいきなりでっかくない!?」

 

「時間はそんなにかかってないはずよ!!」

 

メガビョーゲンは明らかに先日、すこやか山に現れたメガビョーゲンよりも大きくなっていた。しかし、みんなは出現に気づいてからここに駆けつけるまで時間は経ってないはず。なのに、どうしてもうこんなに大きくなっているのか?

 

「昨日のバテテモーダみたいに、誰かがなんかやったのかもしれないペエ!!」

 

ペギタンは昨日、バテテモーダが何かをしたように、この二体のメガビョーゲンも誰かの手によって何かしらの施しをされた可能性があると推測する。

 

「うわあぁぁぁ!!!!」

 

そこへ悲鳴が聞こえてきたかと思うと、少女がプリキュアたちの前に吹き飛ばされてくる。

 

「あ・・・キミ、大丈夫!?」

 

「もぉ、一人で突っ走って・・・!!」

 

少女を知っているちゆとひなたは彼女に駆け寄って体を起こす。

 

「あなたは、この前の・・・?」

 

「!!」

 

そこへ彼女のことがよく分からないのどかが声をかける。しかし、その姿を見たことはある。この前、お手当てを一緒に手伝ってくれたフードの少女だった。

 

「き、キミは・・・!?」

 

少女はそんなのどかの姿を見て、目を見開く。

 

彼女は自分の夢の中に出てくる、苦しむ少女・・・自身が彼女の中にいることで苦しめた少女・・・戦おうとする彼女の意思を無視して、窮地に陥れてしまった少女・・・・・・。

 

私は、やっと会えたのか・・・・・・?

 

「メガビョー!!!!」

 

そこへスイカ型のメガビョーゲンが両手のスイカから赤い光線を噴射する。

 

「っ!? はぁ!!!!」

 

そんな少女たちに目がけて放ったことに気づいた少女はステッキを向けて、そこからシールドを展開して光線を防ぐ。

 

「と、とにかくお手当てラビ!!」

 

少女のことは気になるが、今はメガビョーゲンをなんとかすべきだと発破をかけるラビリン。

 

「ラテ、アスミちゃん、いい?」

 

「クゥ~ン・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

アスミが背負うバッグの中で調子が悪そうなラテが返事をするが、アスミは険しい表情で金髪の少女の顔を見つめている。

 

「アスミちゃん?」

 

「あ・・・はい!」

 

のどかがアスミの様子がおかしいことに気づいて声をかけると、ハッとしたアスミは返事をした。

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア、オペレーション!!」」」

 

「エレメントレベル、上昇ラビ!!」

「エレメントレベル、上昇ペエ!!」

「エレメントレベル、上昇ニャ!!」

 

「「「キュアタッチ!!」」」

 

ラビリン、ペギタン、ニャトランがステッキの中に入ると、のどか、ちゆ、ひなたはそれぞれ花のエレメントボトル、水のエレメントボトル、光のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

そして、肉球にタッチすると、花、水、星をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、水色、黄色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ちゆは水色、ひなたは黄色へと変化する。

 

キュン!

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。

 

キュン!

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身。

 

キュン!

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

ひなたは光のプリキュア、キュアスパークルに変身した。

 

そして、アスミは風のエレメントボトルをラテの首輪にはめ込む。すると、オレンジ色になっているラテの額のハートマークが神々しく光る。

 

「スタート!!」

 

「プリキュア、オペレーション!!」

 

「エレメントレベル上昇ラテ!!」

 

「「キュアタッチ!!」」

 

キュン!!

 

ラテとアスミが手を取り合うと、白い翼が舞い、ラテが舞ったかと思うとハートの中から白い白衣のようなものが飛び出す。

 

その白衣を身に纏い、ラテが降りてきたかと思うとハープが飛び出し、さらにアスミは紫色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

衣装にチェンジした後、ハープを手に取り、その音色を奏でる。

 

「「時を経て繋がる、二つの風!」」

 

「キュアアース!!」

 

「ワン!」

 

アスミは風のプリキュア、キュアアースへと変身した。

 

「「「「地球をお手当て!!」」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!!」」」」

 

4人は変身を終えて、すぐにメガビョーゲンへと立ち向かう。

 

「!? キミたちは・・・!?」

 

少女はちゆたちがあのコスプレ姿に変身を遂げたことに驚きを隠せなかった。

 

「「「「はぁぁぁぁぁ!!!」」」」

 

「メガァ!?」

 

4人は同時に蹴りを放ち、メガビョーゲンを背後へ押し倒す。

 

「おっ、来たか!プリキュア!!」

 

グアイワルはメガビョーゲンが倒されたことでプリキュアが来たことに気づく。その中にはバテテモーダを浄化した、あの紫のプリキュアの姿もあった。

 

「へぇ・・・あの紫の新入りもいるんだ」

 

不敵な笑みを浮かべるダルイゼンの隣に、クルシーナが飛び降りてくる。

 

「それと、あの脱走者もいるわよ」

 

「ふーん・・・あれが脱走者なのか・・・」

 

クルシーナが指摘すると、ダルイゼンは視線をずらして金髪の少女を見る。

 

「俺には普通の人間にしか見えないけど?」

 

「ビョーゲンズとして不完全な状態だから、アタシたちとは格好も違うんじゃないかしら」

 

ダルイゼンは普通の人間の少女にしか見えないことに疑問を持つ。クルシーナは失敗作が故に、ビョーゲンズとして不完全だという推測をダルイゼンに教えた。

 

「メガァ・・・」

 

メガビョーゲンは立ち上がるとアースを見据える。

 

「速やかに浄化しましょう」

 

アースはそう言うとメガビョーゲンへと飛び込んでいく。

 

「メッガァ!!」

 

メガビョーゲンはアースに向かって拳を振り下ろすも、アースの姿が消える。

 

「ビョーゲン!? メガァ!! メガ、メガァ!!」

 

アースはいつの間にか自身の真上に移動しており、それに気づいたメガビョーゲンは飛ぶ彼女を捕まえようとするも、なかなか捉えられない。

 

「メメ!?」

 

「ふっ!」

 

アースはメガビョーゲンの頭を踏み台にして飛ぶと、背後に着地する。

 

「メーガァ!!」

 

「はぁ!!!」

 

「ビョーゲーン!!??」

 

メガビョーゲンはそんなアースへと駆け出していくも、アースはその行動を読んだかのようにミドルキックを食らわせ、メガビョーゲンを吹き飛ばす。

 

「さすが、アース!!」

 

「メガビョーゲンが大きくても関係なしニャ!!」

 

メガビョーゲンをものともしないアースに、スパークルたちの方も余裕が出てきた。

 

「メガビョー!!!!」

 

そこへもう一体のスイカ型のメガビョーゲンが両手から赤い光線を放ってくる。

 

「「「!!」」」

 

グレースたち3人はそれに気づくと、赤い光線を交わす。

 

「氷のエレメント!!」

 

フォンテーヌはステッキに氷のエレメントボトルをはめ込む。

 

「はぁ!!!」

 

スイカ型のメガビョーゲンに目がけて、冷気をまとった青い光線を放つ。

 

「メ、メガビョ・・・?」

 

光線が直撃したメガビョーゲンは足元が凍りついていく。

 

「火のエレメント!!」

 

スパークルはステッキに火のエレメントボトルをはめ込む。

 

「実りのエレメント!!」

 

グレースはステッキに実りのエレメントボトルをはめ込む。

 

「「はぁ!!!!」」

 

「メガビョーゲン!?」

 

氷漬けになっているメガビョーゲンに目がけて、スパークルは火をまとった黄色の光線、グレースはピンク色の玉のような光弾を放つ。二つの攻撃を同時に食らい、メガビョーゲンが爆発を起こす。

 

「メガァ!!! メッガァ!!!」

 

しかし、爆発の煙からメガビョーゲンが飛び出し、頭から生やしているつるを振り回して、プリキュアたちに向かって振るう。

 

「「ふっ!!!」」

 

グレースとスパークルはその攻撃を飛んで交わす。

 

「メッガ、ビョビョビョビョ!!!!」

 

メガビョーゲンは空中に逃げたグレースとスパークルに目がけて、口から種を吹く。

 

「ぐっ、あっ、痛っ・・・!!!」

 

「イタタタタタタタ!!」

 

「メガァ!!!!」

 

「「あぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

とっさに防御して防ぐ二人だが、種攻撃は高速で飛んできているために苦痛を感じ、そこへさらにメガビョーゲンがつるを振るって、二人を吹き飛ばす。

 

「グレース!! スパークル!!」

 

「メッガァ!!」

 

叫ぶフォンテーヌだが、メガビョーゲンはスイカの玉のような拳をフォンテーヌへと振るう。

 

「ぐっ・・・!!」

 

「!! あなた・・・!!」

 

その拳を防いだのは、金髪の少女だった。両腕をクロスさせて叩きつけてくる玉のような拳を防いでいる。

 

「今のうちに・・・!!!」

 

「!! ええ!!」

 

少女の言葉にフォンテーヌは頷くと、抑えられている拳の上に乗っかって飛び出していく。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「メッガァ!?」

 

そして、メガビョーゲンの顔面に飛び蹴りを食らわせ、背後へと押し倒す。

 

「よし!!」

 

少女はうまくアシストできたことに感嘆の声を上げる。

 

「はぁ!!!!」

 

「メガァ!? ビョーゲン・・・!!!」

 

ダルイゼンのメガビョーゲンも立ち上がってはアースに立ち向かっているようだが、すぐに吹き飛ばされて押し倒されていた。

 

「こっちも大丈夫そうだな・・・」

 

少女はアースがもう一体も牽制してくれていることにも安堵の声を漏らす。

 

「よし、今のうちに!!」

 

「ええ!!」

 

キュン!

 

「「キュアスキャン!!」」

 

グレースの言葉に頷くとフォンテーヌはステッキの肉球を一回タッチして、スイカ型のメガビョーゲンに向ける。ペギタンの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを発見する。

 

「実りのエレメントさんペエ!!」

 

エレメントさんは右胸のあたりにいる模様。

 

「こっちも花のエレメントさんを見つけたニャ!!」

 

そして、マリーゴールド型のメガビョーゲンからは花のエレメントさんを発見。左胸あたりにいる模様。

 

「確認しました」

 

アースはエレメントさんがいることを確認し、浄化の準備に入ろうとする。

 

「メガビョー、ゲン!!!!」

 

しかし、メガビョーゲンは負けじと四つん這いになると背中に覆われている無数の花びらを飛ばしてきた。

 

「「っ!!」」

 

「うっ・・・!!」

 

攻撃は広範囲に及び、突然の攻撃にぷにシールドが間に合わないグレース、フォンテーヌ、スパークル、そしてアースも両腕を交差させながら防御体制になる。

 

「メガメガメガメガァ!!!!」

 

「「きゃあぁぁ!!!」」

 

さらにメガビョーゲンは四つん這いで歩行しながらパンチを繰り出し、グレース、スパークル、アースの3人を吹き飛ばした。

 

「メッガ、ビョーゲン!!!!」

 

もう一体のメガビョーゲンも、頭から生えているつるから複数の小さなスイカの玉を出現させると、それを振るって飛ばす。

 

それは3人から離れていたフォンテーヌの方へと飛んできていた。

 

「あ!?」

 

金髪の少女はそれに気づくとすぐに飛んでいき、フォンテーヌの目の前に立つとステッキを向けてシールドを展開して、爆発に備える。

 

ドカン!! ドカン!! ドカァァァァン!!!!

 

「うっ・・・くっ・・・!!」

 

凄まじい爆発に吹き飛ばされそうになるも、なんとか持ちこたえる少女。

 

「メッガァー!!!」

 

メガビョーゲンはさらに両手についているスイカをロケットパンチのように飛ばす。

 

「ぐっ・・・うぅぅ・・・うわあぁぁぁ!!!」

 

「きゃあぁぁぁ!!!!」

 

展開し続けているシールドで一発目は耐える少女だったが、そこへもう一本のロケットパンチが飛んできて、シールドごと吹き飛ばされてしまう。しかも、守っていたフォンテーヌも巻き込まれてしまう。

 

「「はぁっ!!」」

 

「ふっ!!」

 

グレース、スパークル、アースは体制を立て直して、メガビョーゲンへと飛び出していく。

 

「ふっ!!」

 

「ふっ!! はっ!!」

 

一方、一緒に吹き飛ばされた少女は地面に足でブレーキをかけて自分を止め、背後のフォンテーヌはバク転をしながら着地する。

 

そして、二人はスイカ型のメガビョーゲンへと駆け出していく。

 

「そう簡単には終わらせてくれないみたいね!!」

 

「だったら、少しずつ、着実に!!」

 

成長している分、大きくなったメガビョーゲンは体力も有り余っていて打たれ強い様子。ならば少しずつメガビョーゲンの動きを押さえ込んでいくまでだ。

 

「メガァ・・・」

 

「はぁ!!」

 

「ゲン!?」

 

「やあっ!!」

 

「メガァ!?」

 

メガビョーゲンは立ち上がるも、そこへ右肩にスパークルが蹴りを入れ、さらにアースが右胸にパンチを食らわせてけん制する。

 

「メッガァー!!」

 

スイカ型のメガビョーゲンは両手のスイカを再びロケットパンチのように飛ばす。

 

「はぁぁぁぁ!!!!」

 

「ふっ!! はぁぁぁぁぁ!!!!」

 

フォンテーヌは飛んできたロケットパンチの一つを蹴りで上に弾く。金髪の少女はもう一つのロケットパンチに飛び乗るとそのままステッキを噴射口に突き刺して縦に一回転すると、それを横に振り回してロケットパンチをメガビョーゲンへと飛ばす。

 

「メッガァ!?」

 

自身の返ってきたロケットパンチが顔面に直撃してよろけるメガビョーゲン。

 

「ふっ!!」

 

そして、金髪の少女はしゃがみこむとそこへ背後から走ってきたフォンテーヌが彼女の肩を踏み台にして飛ぶ。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「メガビョー!!??」

 

飛び上がったところから急降下した蹴りを胸に食らわせて、スイカ型のメガビョーゲンを背後へと倒す。

 

「あの金髪、なかなかやるわね。失敗作は取り消してやろうかしら?」

 

クルシーナは金髪の少女がなかなかに奮闘している様子に珍しく感嘆していた。

 

一方、自分のメガビョーゲンの様子を見ていたダルイゼンは・・・・・・。

 

「メガパーツか」

 

「ん?」

 

ダルイゼンは気になっていた。グアイワルが使用したメガビョーゲンのかけら、メガパーツを。いいものを持っていると感じた彼はどうやって手に入るのか考えていた。

 

ふと自身のメガビョーゲンの背中を覆っている黄色い花びらのようなものを見つめる。そして、不敵な笑みを浮かべた。

 

「・・・いいこと思いついた」

 

「ダルイゼン・・・?」

 

ダルイゼンはそう言うとクルシーナの疑念の言葉をよそに駆け出し、メガビョーゲンの背中に飛び乗る。

 

「ダルイゼン!?」

 

驚いたグレースが振り向くとダルイゼンの姿が映った。それをよそにダルイゼンはメガビョーゲンの背中を探るように動かし、その一部を4つほどむしり取ると空中へと放る。

 

そして、メガビョーゲンから地面へと降りると、その一部を手にする。

 

「おぉ!? その手があったか!!」

 

その行動にグアイワルは感嘆の声を上げる中、ダルイゼンの持つかけらはクルシーナやグアイワルが持つようなメガパーツへと変化を遂げた。

 

「ふーん、なるほどねぇ」

 

その様子を見ていたクルシーナは不敵な笑みを浮かべると、自身のメガビョーゲンに視線を向ける。メガパーツはメガビョーゲンの一部、要するにメガビョーゲンから採取すれば簡単に手に入るというわけだ。

 

「じゃあ、アタシもやってみるとしましょうか」

 

「メッガァ・・・」

 

メガビョーゲンが立ち上がると、クルシーナはその場からメガビョーゲンの近くへと瞬間移動する。そして、両手からピンク色のビームサーベルのようなものを出す。

 

「あいつは・・・!?」

 

「クルシーナ!? 何をする気なの・・・!?」

 

警戒する少女とフォンテーヌをよそに、クルシーナは両手のビームサーベルをメガビョーゲンに向かって振るう。

 

「ふっ!! はぁ!!」

 

ビームサーベルから斬撃が放たれ、メガビョーゲンーーーー正確にはメガビョーゲンの頭から生やしているツタについている葉っぱのようなものの先っぽが切断される。

 

「ウツバット!!」

 

「ウツゥ!!」

 

飛び退いて帽子になっていたウツバットに指示を出すと、ウツバットはコウモリの姿に戻って素早く切断された葉っぱの一部を回収していく。

 

そして、クルシーナの元へと戻ると、ウツバットは回収したその一部をクルシーナの手元に出す。

 

「フフフ・・・いただき」

 

クルシーナが不敵な笑みを浮かべるとその葉っぱの一部は自身が持っているメガパーツと同じようなかけらへと変化を遂げた。ウツバットはすぐに帽子へと戻った。

 

そんなダルイゼンとクルシーナの背後にグレースが立つ。

 

「ダルイゼン!! クルシーナ!!」

 

グレースに名前を呼ばれた瞬間、無表情になるダルイゼンとクルシーナ。

 

「何を企んでるラビ!?」

 

「さあね・・・」

 

「お前らに教えると思ってんの?」

 

グレースは問い詰めると、ダルイゼンとクルシーナは淡々とそう答える。すると、ダルイゼンはグレースの方に向き直り、駆け出して攻撃を仕掛けてくる。

 

グレースはダルイゼンの攻撃を回避して、後方に飛んで避ける。しかし、ダルイゼンは一気に距離を詰めてパンチを繰り出す。

 

バシッ!!!

 

「ぐっ・・・うぅぅ・・・!!」

 

ダルイゼンのパンチを左手で受け止めたグレースが痛みに顔を歪めて、動きを止めてしまう。

 

「あ!?」

 

「!?」

 

アースはそれに気づいた。実は、グレースはここに来る前にアスミを守るために左の掌に傷を負ってしまい、その手で防いでしまったのだ。

 

それを見ていた金髪の少女も目を見開いていた。

 

「うっ・・・くっ・・・!」

 

グレースは受け止めた掌の傷を抑える。

 

「ふっ・・・」

 

それを見ていたダルイゼンは不敵な笑みを浮かべると、隙ありと言わんばかりに足を振り上げて攻撃を仕掛けようとする。

 

バシッ!!

 

しかし、そこへアースがグレースの前に立ち、両腕でダルイゼンの足を受け止めた。

 

「ちっ・・・!!」

 

「はぁ!!」

 

アースはダルイゼンの足を押すと、彼の体に蹴りを入れて後方へと退かせる。

 

「やっぱりあのプリキュアは目障りね。まとめてアタシが・・・!!」

 

クルシーナはグレースとアースに目がけて、右手から禍々しい赤いオーラを集約させていく。

 

「させるか!!」

 

そこへ金髪の少女が走りながらステッキから黒い光線を放ってくる。

 

「ウツゥゥゥゥゥ!!!」

 

その光線の前に帽子状態のウツバットが立ちはだかり、光線を口の中へと飲み込んでいく。

 

「ゲップ・・・」

 

「ふっ!!」

 

「ウツゥ!?」

 

少女は動揺せずにげっぷをしたウツバットを踏み台にして飛びあがる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

そして、クルシーナに目がけて黒いステッキを振り下ろす。

 

「ふん!!」

 

クルシーナは右手のオーラの集約を止めると、その右手でステッキの攻撃を受け止める。

 

「ふっ!!」

 

「あぁ・・・!!」

 

クルシーナはその状態のまま、左手からイバラビームを放って少女を吹き飛ばす。少女は体制を立て直して、地面に着地する。

 

その隙を狙って飛び出し、こちらへ駆け出してきたクルシーナが少女に向かって拳を繰り出す。

 

「っ・・・!!」

 

少女は両手を使って拳を防ぐも、徐々に押されそうになる。

 

「はぁっ!!!!」

 

「!!」

 

そこへフォンテーヌがクルシーナに向かって、急降下の飛び蹴りを繰り出す。それに気づいたクルシーナは拳を引っ込めて、後方へと退避する。

 

「ふーん、少しはやるみたいだけど、まだまだね」

 

クルシーナは金髪の少女にそう言うと、ウツバットの帽子が頭に装着されるとその場から下がっていった。

 

「大丈夫!?」

 

「あ、ああ・・・また、助けられてしまったな・・・」

 

少女はまた助けられてしまったことにバツが悪そうな表情を浮かべる。

 

「いいのよ。困った時はお互い様でしょ」

 

「・・・そうか、困った時は、か・・・」

 

少女はある記憶を思い返して、頬を紅潮させて微笑んだ。

 

「雷のエレメント!!」

 

スパークルはステッキに雷のエレメントボトルをセットする。

 

「はぁぁぁぁ!!!!」

 

「メッガ、ビョ・・・!?」

 

スパークルは黄色い光線をメガビョーゲンに向けて放ち、直撃した黄色い花のメガビョーゲンの体勢がフラつく。

 

「メッガァ!!」

 

スイカ型のメガビョーゲンは両手から赤い光線を噴射しようと構える。

 

「!! はぁっ!!」

 

フォンテーヌに目がけて放とうしていることに気づいた少女は阻止すべく、ステッキを振って黒い光線を放つ。

 

「メッガ・・・!?」

 

黒い光線はメガビョーゲンの片手に着弾し、噴射を防ぐ。

 

「雨のエレメント!!」

 

フォンテーヌは雨のエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「はぁ!!!!」

 

「ビョー・・・!?」

 

フォンテーヌはステッキから雨粒をまとった光線を放ち、メガビョーゲンのもう片方の手に着弾させる。

 

「ふっ!! はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「メガァ・・・!?」

 

それを見ていたアースが追い打ちと言わんばかりに飛び出していき、急降下からの強烈な攻撃を食らわせて吹き飛ばす。

 

「アース! 行けるわよ!!」

 

フォンテーヌの言葉に、アースは頷くと両手を祈るように合わせる。一枚の紫色の羽が舞い降り、ハープのような武器へと姿を変える。

 

「アースウィンディハープ!!」

 

そう呼ばれたハープに、風のエレメントボトルがセットされる。

 

「エレメントチャージ!!」

 

アースはハープを手に取って、そう叫ぶとハープの弦を鳴らして音を奏でる。

 

「舞い上がれ! 癒しの風!!」

 

手を上に掲げると彼女の周りに紫色の風が集まり始め、ハープへとその力が集まっていく。

 

「プリキュア! ヒーリング・ハリケーン!!!」

 

アースはハープを上に掲げてから、それを振り下ろすとハープから無数の白い羽を纏った薄紫色の竜巻のようなエネルギーが放たれる。

 

そのエネルギーは一直線にメガビョーゲンへと向かい、直撃する。

 

竜巻のようなエネルギーはメガビョーゲンの中で二つの手へと変化し、実りのエレメントさんを優しく包み込む。

 

メガビョーゲンをハート状に貫きながら、光線はエレメントさんを外に出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていく。

 

「こっちも行こうよ!!」

 

「うん!!」

 

「ええ!!」

 

グレースたち3人はミラクルヒーリングボトルをステッキにセットする。

 

「「「トリプルハートチャージ!!」」」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの順で肉球にタッチしていき、ステッキを上に掲げる。すると、花畑が広がっていき、背後には自然豊かな森が広がっていく。

 

「「「プリキュア! ヒーリング・オアシス!!」」」

 

3人は一斉にメガビョーゲンへとステッキを構え、ピンク・青・黄色の3色の光線が螺旋状になって放たれる。螺旋状の光線は混ざり合いながら一直線にメガビョーゲンに直撃する。

 

螺旋状になった光線はそれぞれの色の手へと変化して、3本の手が花のエレメントさんを優しく包み込んでいく。

 

3色に光るハート状にメガビョーゲンを貫きながら、光線はエレメントさんをメガビョーゲンから外へと出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンたちは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていった。

 

「「「「「「お大事に」」」」」」

 

それぞれのエレメントさんが宿っていたものに戻っていくと、蝕まれた場所は元に戻っていく。

 

「ワフ~ン♪」

 

体調不良だったラテも額のハートマークが黄色から水色に戻り、元気になった。

 

「ちぇー・・・今回もしてやられたわね・・・」

 

「・・・まあいいや。いいもん手に入ったし」

 

「・・・それもそうね。おかげでいいことも分かったし」

 

クルシーナは不満そうな顔をしていたが、ダルイゼンの言葉に同調し、笑みを浮かべる。

 

ダルイゼンとクルシーナはそれぞれ4個のメガパーツを手にして姿を消した。グアイワルもそんな2人を見やりつつも、自身も撤退した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騒動後、のどかたち4人は花のエレメントさんを診察した後、実りのエレメントさんを診ていた。

 

「みなさんのおかげで助かりました! ありがとうございます!」

 

実りのエレメントさんが無事な様子を見て、のどかたち4人は微笑み合う。

 

「ふっ・・・」

 

少女はそんな様子を遠目で見守り、笑みを浮かべた後、その場から背を向けて立ち去ろうとする。

 

「あ・・・待って!!」

 

そんな自分を背後から呼ぶ声が聞こえ、思わず足を止める。彼女に声をかけたのはのどかだった。

 

「また、私たちを助けてくれたよね。あの時のお礼が言えてなかったの。ありがとう」

 

「・・・・・・・・・」

 

のどかの笑顔の言葉に、少女はしばらく沈黙していた。その場に立ったまま、彼女は動かない。

 

しかし、唐突に踵を返して駆け出すとのどかの体を強く抱きしめる。

 

「えっ・・・?」

 

「「ええっ!?」」

 

「っ・・・!!」

 

のどかは何が起こったかわからず、放心するばかりだ。その行動にはちゆやひなたも驚きを隠せない。

 

「うぅ・・・よかった、本当によかったぁ・・・!!」

 

少女はのどかを抱きしめたまま、体を震わせていた。その声はどこか泣きそうな声になっている。

 

「のどかがビョーゲンズのせいで痛そうな顔をした時、ぞっとした・・・気がおかしくなりそうだった・・・!!」

 

少女は嗚咽を漏らしながら吐露していたが、のどかは気になっていることがあった。

 

「えっ・・・なんで、私の名前を知って・・・?」

 

「なんともなくてよかったぁ・・・本当によかったぁ・・・!」

 

のどかはこの娘がなぜ話したこともないのに自分の名前を知っているのか疑念を抱いていたが、少女は気にせずに嗚咽を漏らして体を震わせるだけだ。少し抱きしめる力も強くなった気がする。

 

「あ、あのさ・・・のどかっちが苦しそうだから離してあげて・・・」

 

「あ・・・!!」

 

ひなたに指摘された少女はハッとなると慌てて体を離す。

 

「す、すまない・・・!! 痛くなかったか・・・!?」

 

「あ、うん・・・大丈夫・・・」

 

少女はそわそわとしながらも気遣うような声を出し、のどかも若干戸惑ったような感じで二人の間になんとも言えないような空気が流れる。

 

「あ・・・えっと・・・」

 

「うぅ・・・・・・」

 

二人は何か言いたいのだが、お互いに顔を紅潮とさせていて、恥ずかしいと思っているのか下を向いて言葉を紡ぐのを躊躇する。

 

「あ、そうだ・・・!! 確か、キミの名前決めてなかったよね・・・!?」

 

「そ、そうね・・・!! 名前がわからないとお互いに呼びづらいでしょ・・・!?」

 

気まずそうな空気にひなたが思い出したように声をあげ、ちゆが賛同の声をあげる。

 

「そ、そうだね・・・!!」

 

「あ、ああ・・・えっと・・・」

 

のどかと少女は二人の言葉に賛同の声を出し、少女はごまかすように名前を考え始める。

 

「・・・!!」

 

少女はハッとしてその動きを止めた。自分の頭の中に何かが流れ込んでくる。そして、微笑みながら頭に思い浮かんだ言葉を発した。

 

「かすみ・・・」

 

「「「??」」」

 

突然、少女が発した言葉にのどかたちは疑問符を抱くも、少女はしっかりとそんな4人の顔を見ながら笑顔を見せる。

 

「かすみだ・・・私の名前は、かすみ・・・!!」

 

少女は自分の名前をつぶやき、年頃の少女のように後ろで腕を組む。

 

のどかたちはしばらく放心していたが、やがてその名前に微笑む。

 

「かすみ・・・いい名前じゃん!!」

 

「そうね、花にもあるような素敵な名前ね・・・!」

 

ちゆとひなたがその名前に笑顔になる中、のどかは少女に近づいて手を取る。

 

「私、のどか。花寺のどか!」

 

「ちゆ・・・沢泉ちゆよ」

 

「平光ひなた! ひなたって呼んで! よろしくね、かすみっち!!」

 

「!!」

 

のどかが名前を名乗ったことを皮切りに、ちゆとひなたも名前を名乗る。3人にとっては新たな仲間と友達ができたような感じだ。

 

少女はそんな彼女たちの様子を見て微笑む。

 

「ああ、よろしく頼む・・・」

 

少女改め、かすみはこの日出会った初めての仲間の手を、そっと握り返した。

 

「よーし!! 新しい仲間と出会ったことだし!! お姉のお店でジュースパーティーしない!?」

 

「ジュースって、あのジュースか・・・?」

 

「そうだよ!! あのジュースを誓い、じゃないけど、そんな感じでみんなで飲むの!!」

 

かすみはテンションの高いひなたのその言葉を聞いて、瞳をキラキラと輝かせる。

 

「おぉ!! それはいいな!! あのジュースは最高だしなぁ!!」

 

「でしょでしょ!? じゃあ、早速レッツゴー!!」

 

「おっ! うぉぉぉぉ!?」

 

ひなたはかすみの手を取るとすぐにワゴンハウスの元へと走り出す。

 

「あ、ちょっと待ってよ! ひなたちゃん!!」

 

のどかやちゆたちも二人の後を追うべく走り出す。

 

「・・・・・・・・・」

 

そんな様子を、アスミは一人険しい表情で見つめていたが、4人の後を追うべく歩き出していく。

 

そして、ひなたの家の近くのワゴンカフェ、5人は近くのテラス席のテーブルを囲んでいた。皆はそれぞれひなたが用意したグミ入りのジュースを手にしている。

 

「いい? 二人とも、コップをこうやってそっと合わせるんだよ」

 

「わかりました」

 

「わかった」

 

のどかのあるレクチャーにアスミとかすみは肯定する。

 

「じゃあ、アスミが無事にのどかの家で暮らせるのと・・・」

 

「かすみっちが新たな仲間になったということで!! カンパーイ!!」

 

「カンパイ・・・」

 

「カ、カンパイ・・・」

 

ちゆとひなたがそう言って、皆はコップを合わせる。そして、みんなはジュースを飲み始める。

 

「あっ、これ新しい味ね!!」

 

「んん~? これはまた違う味がして、おいしいな!!」

 

「そうそうそう!!」

 

どうやらジュースは新作のようで、ちゆ、ひなた、かすみは笑顔になっていた。

 

「あれ? そういえば、かすみっちってどこに住んでるの?」

 

「山の中に住んでいるが・・・?」

 

「「「「ええ!?」」」」

 

ひなたがなんとなく聞いた質問に、かすみは爆弾発言をして仰天させる。

 

「や、山の中ペエ・・・?」

 

「マジかよ・・・?」

 

ペギタンとニャトランもその答えを聞いて唖然としていた。

 

「ああ。山の中にいると森の声が聞こえるから、安心するんだ」

 

かすみは当然のように答えるが、それよりも気になることがあった。

 

「た、食べ物とかはどうしてたの?」

 

「お風呂は!?」

 

ちゆとひなたがそれぞれ聞くと、かすみはハッとしたような顔をする。

 

「あ・・・そういえば、そんなことは考えてなかったな・・・」

 

かすみは主に食べ物に関して、何も考えていなかったことをバツが悪そうにする。食べるということをわかっていなかったが、それをしないとあのように倒れてしまうことも経験済みだ。一体、どうすればいいのか?

 

「ダ、ダメダメ!! かすみっちは女の子なんだから、そんな野宿するなんて・・・!!」

 

「そ、そうだが・・・」

 

ひなたに詰め寄られて、動揺するかすみ。とは言っても、どうすればいいのか生まれたばかりの自分は思いつかない。

 

「そうだ! あたしの家に住んでいきなよ!! お姉に事情を話してみるし!!」

 

「そ、そんな・・・!! 申し訳ないぞ!! ひなたの家の人に迷惑がかかるだろう・・・?」

 

ひなたの提案に、かすみは両手を振りながら遠慮しようとする。さっきも二人に迷惑をかけたのに、さらに迷惑をかけるのは本当に申し訳ない。

 

「大丈夫大丈夫!! うちの家族めっちゃ優しいし!!」

 

「だ、だが・・・!」

 

ひなたが笑顔で言っても、かすみの顔は申し訳なさそうだ。

 

「とは言ってもよー、ひなたン家は部屋が一つしかねぇだろ? かすみを止めるのは難しいんじゃねぇの?」

 

「あ、そっか・・・」

 

ニャトランに指摘されると、ひなたはテンションが下がったように落ち込む。

 

そんな中、口を開いたのはちゆだった。

 

「じゃあ、うちに済まない?」

 

「えっ・・・?」

 

「私の家は旅館だし、部屋も余っているところがあるから、そこに住むといいわ」

 

ちゆが自分の家に住むことを提案。部屋も余っているから、そこをかすみに貸してあげることで彼女の家として使ってもらおうとしているのだ。

 

「だ、だが、ちゆの家の人には・・・!」

 

「大丈夫。私が事情を話すし、なんとかしてかすみを住まわせてもらうわ。もう友達で仲間なんだから、遠慮なんかしなくていいのよ」

 

「!!」

 

ちゆのその言葉を聞いて、かすみは心の中で申し訳ないという気持ちが溶けていくような感じがした。

 

「・・・わかった。すまないな。これから世話になるよ」

 

「そんなに固くならなくていいわよ。それに、困った時はお互い様でしょ」

 

「そう、だな。じゃあ、これからもよろしく」

 

かすみはそう言って赤い手袋をした手を差し出すと、ちゆは笑顔でその手を握った。

 

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