ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
今回で22話ベースはラストになります。


第63話「友情」

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「メッガァ! メッガァ!!」

 

生徒たちが悲鳴をあげて逃げ回る中、シンドイーネが生みだした頭に蛇口のハンドル、両手に蛇口の口がついているメガビョーゲンが暴れまわっていた。

 

メガビョーゲンは両手の蛇口から赤い水を噴射して、校庭を病気に蝕んでいく。

 

「メッガァ! メッガァ!!」

 

「その調子よ、メガビョーゲン」

 

その様子をシンドイーネが校舎の上から見下ろしていた。

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

一方、体育館付近では、イタイノンの生みだしたメガビョーゲンが暴れていた。

 

「メガ!! メガメガ!!!!」

 

筒のような両腕の口から赤い球体のようなものを発射し、着弾した場所が病気に蝕まれていく。

 

「メガメガメガ!!!!」

 

「きゃあ!!」

 

「いやぁ!!!」

 

さらにメガビョーゲンは逃げ惑う生徒にも赤い球体を乱射して、生徒たちから悲鳴を上げさせつつ、地面を病気へと蝕んでいく。

 

「いいのいいの!! 今日はなんか、いつになく楽しいの・・・!!」

 

体育館のある建物から座りながら、その様子を見下ろすイタイノンが不敵な笑みを浮かべている。もちろん、恐怖に怯える人間たちの姿も堪能済みだ。本当に心地がいい・・・!!

 

しかも、今回はプリキュアと同じであろう年頃の女共であるから、その悲鳴が可愛くて最高だ。

 

それはそうと、同じようにメガビョーゲンを暴れさせているシンドイーネの方を見やる。

 

「プリキュア・・・今日は来るのが早いの・・・」

 

イタイノンは無表情でプリキュア3人がシンドイーネの方に駆けてくるのを見下ろす。そういえば、ここはあいつらの中学校だったなと思い出す。

 

メガビョーゲンはまだ全く成長していない。ここ一帯を蝕むのにはまだ時間がかかるだろう。最悪、メガビョーゲンから取れたメガパーツを使うしかない。

 

・・・だけど、そういえば・・・シンドイーネもメガパーツを持っていたはず。あれを使えば、メガビョーゲンを成長させ強化することができる。プリキュアたちがそちらに向かったということは、しばらくこちらに被害はないということだ。

 

イタイノンはそう考えながら瞑目する。

 

「シンドイーネが相手をしている間に、私たちは蝕むとするの。メガビョーゲン」

 

「メガァ・・・!!」

 

これはチャンスと言わんばかりに、メガビョーゲンに指示を出して、あいつらから離れたところで病気に蝕むべく行動を起こしていく。

 

一方、のどかたちは・・・・・・。

 

「シンドイーネラビ!!」

 

「変身ペエ!!」

 

「ええ!!」

「うん!!」

「OK!!」

 

変身できないアスミとラテをかすみに任せ、メガビョーゲンを阻止するべくプリキュアに変身しようとしていた。

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア、オペレーション!!」」」

 

「エレメントレベル、上昇ラビ!!」

「エレメントレベル、上昇ペエ!!」

「エレメントレベル、上昇ニャ!!」

 

「「「キュアタッチ!!」」」

 

ラビリン、ペギタン、ニャトランがステッキの中に入ると、のどか、ちゆ、ひなたはそれぞれ花のエレメントボトル、水のエレメントボトル、光のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

そして、肉球にタッチすると、花、水、星をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、水色、黄色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ちゆは水色、ひなたは黄色へと変化する。

 

キュン!

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。

 

キュン!

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身。

 

キュン!

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

ひなたは光のプリキュア、キュアスパークルに変身した。

 

「「「地球をお手当て!!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!!」」」

 

3人は変身を終えて、すぐにメガビョーゲンへと立ち向かう。

 

「・・・!!」

 

かすみと一緒にいたアスミはハッとするとプリキュアたちの方に駆け寄ろうとする。

 

「!? アスミ!!」

 

パシッ!

 

「!!」

 

かすみはラテを抱きかかえながら、そんなアスミの片手を掴む。思わずかすみの方を振り向くアスミ。

 

「あっちに行ったら危ないぞ!」

 

「っ・・・!!」

 

かすみはそう言うも、アスミはその表情を険しくさせた後、かすみの握る手を振り払って走り出す。

 

「あ、待ってくれ!! アスミ!!」

 

かすみは叫びながら、アスミの元へと走る。そっちはプリキュアとメガビョーゲンが戦闘を行っている。近づくのは巻き込まれる可能性があり、危険だ。

 

アスミが駆け寄るとプリキュアとメガビョーゲンによる戦いが始まっていた。

 

「メッガァ!!」

 

「「「っ!!」」」

 

メガビョーゲンは両手の蛇口から赤い水を噴射し、飛び上がってこちらに向かってくる3人を押し返す。

 

「はぁ!!」

 

「メッガァ!?」

 

しかし、フォンテーヌはメガビョーゲンの攻撃をすり抜けて、頭部のハンドルにかかとを落とす。

 

「「ふっ! たぁぁぁぁ!!!!」」

 

「ビョーゲン!?」

 

さらにフォンテーヌに気を取られている隙を狙って、グレースとスパークルがメガビョーゲンの足に蹴りを入れ、メガビョーゲンをうつ伏せに転倒させる。

 

「ふん、こっちにはこれがあるのよ」

 

その戦いを見ていたシンドイーネは、手に持っていたメガパーツをメガビョーゲンに目掛けて放る。

 

「あれは・・・!?」

 

それはプリキュアたちも、前回の戦いで見ていた見覚えのある代物であった。

 

「この前、ダルイゼンとクルシーナが取っていった・・・!!」

 

メガビョーゲンの中にメガパーツが入り、メガビョーゲンが禍々しい赤いオーラに包まれていく。

 

「メェ~、メメメメメメメメメメガァ!!!! ビョーゲン!!!」

 

メガビョーゲンから膨大な力が満ちていき、急成長して巨大化し、パワーアップを遂げた。

 

「やぁだ~、本当に成長したじゃない! 使えるわ~、メガパーツ!」

 

シンドイーネはその様子を見て喜びの声をあげていた。

 

「メガパーツ?」

 

「前のメガビョーゲンのかけらね・・・! あれを使って、成長を早めていたんだわ!!」

 

プリキュアたちはこの前、たどり着いたのにもうメガビョーゲンが大きくなっていることに対して、謎が解けた。ビョーゲンズたちはメガパーツをメガビョーゲンに埋め込むことによって、急成長させてパワーアップをさせていたのだ。

 

「だから、この前のメガビョーゲンはあんなに大きかったのか・・・!!」

 

かすみは握る拳を震わせながら、そう呟いた。

 

「? シンドイーネ、メガパーツを使ったの・・・?」

 

シンドイーネから離れた場所の学校を蝕んでいたイタイノンは、メガビョーゲンの力が急に大きくなったのを感じて、後ろを振り向いた。

 

「メェ~ガァ~! ビョーゲン!!!!」

 

メガビョーゲンは腕に蛇口から膨らむほどの膨大な量の赤い水を溜めると、それを巨大な水玉を放った。

 

「「「っ!!」」」

 

プリキュア3人に目がけて放たれた水玉を避けると、まるで大砲が着弾したかのような水しぶきを上げ、その場所の広範囲が病気に蝕まれた。

 

「メェ~ガァ!!!!」

 

さらにメガビョーゲンはもう片方の腕からも水球を放つ。それは戦いを見ていたアスミとかすみの方へと向かっていた。

 

「!? 危ない!!!」

 

「っ!?」

 

かすみはラテを脇に抱えるように持つと、即座にアスミをもう片方の手で掴んで飛び上がる。そこへ水球が着弾し、広範囲が病気に蝕まれていく。

 

「っ・・・アスミ、こっちだ!!」

 

かすみは地面に着地をすると抱えていたラテを頭に乗せ、アスミを下ろして手を引きながら、離れた安全な場所へと走っていく。

 

「っ・・・!」

 

アスミはそれを見て呆然としたような表情を浮かべていた。なぜ、この少女は自分を助けてくれるのか・・・?

 

「あら? あれは例の脱走者じゃない。逃げちゃうわけ? 別にいいけど」

 

シンドイーネはメガビョーゲンから離れていくかすみを見ながらそう言った。

 

「メェガァ!! メェガァ!!!!」

 

「っ・・・・・・」

 

メガビョーゲンはさらに片方ずつ水球を乱射し、サッカー部が練習をしていたグラウンド、さらにかすみたちの頭上を通ってテニスコートへと着弾させて、その場所を病気へと蝕んでいく。

 

「っ・・・あれは・・・!」

 

かすみに手を引かれながら、蝕まれていく様を見ていたアスミはある様子を思い出す。

 

「あの方たちの『好き』・・・」

 

それは、先ほどまで部活に励んでいた生徒たちの姿。あんなに一生懸命で生きている感じだったのに、今はもうその面影すらもなくなっていく。

 

「っ・・・ここも蝕まれているのか・・・!?」

 

かすみたちは体育館のある建物の木の近くへとやってきたが、ここ一帯も建物を含めてすでに真っ赤に染まっていた。もう一体のメガビョーゲンはどこにいるのか?

 

「みんなの道具を蝕むなんて!!」

 

一方、グレースたちはメガビョーゲンへと向かっていくも、そこへメガビョーゲンが放った巨大な赤い水球が襲いかかる。

 

「「「きゃあぁぁぁ!!!」」」

 

直撃を受けたグレースたちは赤い水に押し流され、地面へと倒れてしまう。

 

「つ、強いラビ・・・!」

 

メガビョーゲンはプリキュアにとどめを刺そうと移動しようとする。

 

「ああ・・・!? っ・・・!」

 

その様子を見ていたアスミは顔を歪ませると、掴まれている手を振りほどこうとする。

 

「アスミ・・・!?」

 

「は、離して・・・」

 

「ダメだ! 今、あっちは・・・!」

 

「離してください! みなさんが・・・みなさんの好きが・・・!!」

 

アスミは握られている手を解いてまでグレースたちの元へ行こうとしているが、かすみがその手を離さない。

 

「プリキュアに変身できないのにどうやって戦うんだ!?」

 

「でも・・・でも・・・!! このままでは、みなさんが・・・!!」

 

かすみが叫ぶも、アスミは止まらない。アスミはラテと仲違いをしているために、プリキュアに変身することができない。今の彼女は精霊といえども、普通の女性と変わらない。メガビョーゲンに立ち向かっても、あっという間に潰されてしまうだろう。

 

しかし、アスミはかすみがいくら呼びかけても止まろうとしない。このままでは危険だと判断したかすみは・・・・・・。

 

「アスミ!!!!」

 

かすみが大きな声で叫ぶと、驚いたような表情をしてアスミが動きを止める。

 

「私の顔を見てくれ!」

 

かすみがそう叫ぶとアスミは困惑したような表情を見せながらも、かすみの顔を見る。

 

「アスミは、やらなくてはいけないことがあるだろう? このままではこの学校も、プリキュアたちも、『好き』も守れない。自分が今、何をするべきなのかを考えるんだ」

 

「私が、何をするべきか・・・?」

 

アスミがそう呟くと、かすみが頷く。

 

「そうだ。メガビョーゲンは私が何とかする。その間にアスミはするべきことをするんだ」

 

かすみはそうアスミに言い聞かせると、抱えていたラテを地面へと下ろす。

 

「ラテ、アスミと一緒に大人しくできるか?」

 

「ワン!」

 

「よし! いい子だ!」

 

ラテは返事をすると、かすみは笑顔でそう返すと立ち上がる。どこからか黒いステッキを取り出すと暴れているメガビョーゲンの方へと向く。

 

「プリキュア、待っててくれ。今、私がーーーー」

 

「メガァ!!」

 

「!?」

 

かすみが向かおうとしたその時、別の方向からメガビョーゲンの声が聞こえ、何かが発射されたような音が響く。

 

かすみはハッとしたような表情をすると、声がした方向に振り向きざまに、ステッキからシールドを展開して飛んできた攻撃を防ぐ。

 

「・・・!?」

 

シールドを解除し、煙が晴れていくとそこに見えた光景にかすみは驚愕する。

 

「もう一体の、メガビョーゲン・・・?」

 

かすみの目の前には、シャトルマシンのようなメガビョーゲンの姿があった。

 

「・・・シンドイーネのやつ、派手にやってくれたの」

 

さらに別の方向からも声が聞こえ、振り向くと体育館のある建物の屋根の上にイタイノンの姿があった。

 

「お前は・・・!」

 

「久しぶりなの、脱走者。あの時、もう死んでたかと思ったの」

 

睨むような表情のかすみに対し、不敵な笑みを浮かべるイタイノン。そのビョーゲンズは、ラテのそばにいるアスミを見やる。

 

「お前、まさか、新入りのプリキュアなの? 今日は変身しないの?」

 

「っ・・・」

 

「もしかして、変身できないの?」

 

イタイノンは笑みを浮かべながら煽り、アスミは悲しそうな、困惑したような表情を浮かべる。その反応を見るとこれはチャンスだと言わんばかりの表情を浮かべる。

 

そんなアスミに立ちはだかるようにかすみが前に立つ。

 

「私が相手だ! アスミには指一本触れさせないぞ!!」

 

「・・・邪魔するならお前でも容赦しないの・・・!!」

 

イタイノンがその行動に顔を顰めると、それを合図にメガビョーゲンが地響きを立てながら前に出る。

 

「メガァ!! メガメガメガ!!!!」

 

メガビョーゲンは両腕の筒から赤い玉のようなものをかすみに目がけて乱射する。かすみはとっさに避けながら、メガビョーゲンへと迫っていく。

 

「メガァ!!!」

 

「ふっ!! はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「メガァ!?」

 

「ふぅぅぅ!!!」

 

放たれた一発を避けると同時に飛び上がり、メガビョーゲンの頭部へとステッキを振るう。そして、そのままメガビョーゲンを押しのけてバランスを崩させる。

 

「メ、メガァ・・・!?」

 

「やぁぁ!!!」

 

「ビョーゲン!?」

 

かすみはメガビョーゲンの背後へと飛び、地面を蹴ってメガビョーゲンの背中へと蹴りを入れて吹き飛ばした。

 

「・・・少しはやるみたいなの」

 

イタイノンはその様子を見て、不愉快そうな表情を浮かべる。

 

「覚悟しろ怪物!! この好きが溢れるこの場所は汚させはしないぞ!!」

 

かすみはステッキを構えながらそう叫んだ。

 

「そう簡単にうまくいくと思うな、なの・・・!」

 

屋根の上に座っていたイタイノンがメガビョーゲンのそばへと飛び降り、手に持っていたメガパーツを取り出す。

 

「あれは・・・!?」

 

「お前相手ならこれぐらいが十分なの」

 

かすみが驚いたような表情をする傍ら、イタイノンは倒れているメガビョーゲンにメガパーツを押し当てて埋め込む。

 

「メガァ!? メガメガメガメガメガメガァ~!!!!! ビョーゲン!!」

 

メガビョーゲンは苦しみながらも、体中が禍々しいオーラに包まれていき、膨大な力が満ちていくと巨大化して、パワーアップを遂げた。さらに両手の筒と頭部の車輪が少し大きくなっている。

 

「おぉ、本当に大きくなったの・・・!!」

 

イタイノンは急成長を遂げた自身のメガビョーゲンを見て驚く。

 

「お前も持っていたのか・・・!!」

 

「切り札は後にとっておくものなの。これはゲームでも常識なの」

 

かすみが睨みながら言うと、イタイノンは不敵な笑みを向ける。

 

「メガビョーゲン、潰すの」

 

「メーガァ!!!!!」

 

メガビョーゲンは片手の筒を向けると大砲のような音を立てながら、先ほどよりも少し大きい赤い玉を発射する。

 

「っ・・・!!」

 

大砲のようなスピードで放たれた赤い玉に、かすみはとっさに飛んで避ける。

 

「メェェェェェ~ガァッ!!!!」

 

メガビョーゲンは頭部の二つの車輪を回転させると、その車輪の間に赤いエネルギー弾を球体状にし、弾丸のようなスピードでかすみへと放った。

 

ドォォォォォン!!!!

 

「メガァ!! メガァ!! メガァ!! メガァ!!!!」

 

ドォォォン!! ドォォォン!! ドォォォォォォン!!!!

 

かすみが飛んで避ける度に、赤い玉は地面や草木に着弾し、病気へと蝕んでいく。

 

「ああ!?」

 

「!?」

 

空中にいたかすみはその赤い玉の一つがアスミとラテに向かっているのに気づき、その場から瞬間移動をしてアスミの前へと飛び出す。

 

ドォォォォン!!!

 

「うわあぁぁぁぁ!!!!!」

 

直撃を受けてしまい、地面を勢いよく転がるかすみ。

 

「かすみさん・・・!!」

 

アスミは怯えたような表情をしながら叫ぶ。

 

「キヒヒヒ、自分から攻撃を庇うなんてバカなやつなの」

 

「ぐっ、うぅぅぅ・・・!!」

 

イタイノンの嘲るような言葉が聞こえる中、かすみはステッキを杖代わりにして立ち上がる。

 

「メガメガメガメガァ!!!!」

 

「っ・・・!?」

 

メガビョーゲンは筒から赤い玉を連射し、かすみは痛みに呻きながらもアスミの前に立ち、ステッキからシールドを展開する。

 

「うぅぅ・・・!!」

 

「メガメガメガメガメガメガメガメガァ!!!!!」

 

「ぐっ、うぅ・・・!!」

 

かすみはシールドで防いでいるが、メガビョーゲンは追い詰めようと赤い球を連射していき、かすみが先ほどのダメージもあって痛みに顔を歪め、押されそうになっている。

 

「お前が何でそいつを庇う必要があるの? 私たちと同族のお前が、守る必要なんかどこにもないの」

 

「ふ、ふざ、けるな・・・!! 私は、お前たちとは、違う・・・!!!!」

 

イタイノンがそう言うと、かすみは苦しい顔をしながらも否定する。

 

「一緒なの、お前は。どんなにお前が否定しても、その事実は消せないの」

 

「!・・・戯言を、ほざくな!!!!」

 

イタイノンがさらに煽ると、かすみは怒りの叫びと共にシールドを大きくする。

 

「かすみさん・・・!!」

 

「アスミ・・・ラテを連れて、逃げるんだ・・・! このままでは、私もアスミも・・・!!」

 

「!!」

 

心配そうな声をあげるアスミに、かすみは苦しそうにそう叫ぶ。

 

「・・・どうして」

 

「っ・・・?」

 

「どうして私を守ろうとするのですか・・・? 私は、あなたから嫌な気配がしたのに・・・」

 

困惑しているアスミは、必死にシールドを展開するかすみに問う。アスミは前々からかすみからは嫌な気配を感じており、彼女のことを敵だと認識していた。しかし、かすみはそれなのにも関わらず、プリキュアを、この場所を守ろうとしている。その理由がわからなかった。

 

かすみは振り向いて苦しい表情を見せながらも答える。

 

「私は、誰にどう思われようと構わない・・・!! 私は、自分が好きなものを守りたい・・・!! みんなの『好き』を守りたい・・・!! それとーーーー」

 

かすみは口元に笑みを浮かべながらこう言った。

 

「私の好きな、アスミとラテは、大切な仲間で、友達だから・・・!!」

 

「!!!!」

 

アスミはその言葉に驚きの表情を浮かべる。なんだかよくわからないが、暖かくて受け入れてもいい何かが胸の中に溢れてきた気がした。

 

そして、先ほどちゆに言われた言葉を二人は思い出していた。

 

ーーーーアスミの心にもあるんじゃないかしら。そんな『好き』って気持ちが。

 

ーーーーもちろん、かすみにだってあると思うわよ。

 

「っ!・・・そのことばかりを考える・・・止められない気持ち・・・」

 

アスミはちゆのその言葉が頭をよぎるとラテに向き直る。

 

「ラテ・・・私はラテのことが好き。いいえ、大好きなのです。だから、少々心配しすぎてしまったようです」

 

「ワフ・・・」

 

アスミはラテに避けられたあの、朝のお世話の出来事を思い出しながら言う。あの行動が意味することは彼女ことが大好きだから。だから、あんなに彼女を気にしすぎてしまったのだ。

 

でも、これは自分の止めることのできない気持ちの一つ。アスミは今日のちゆたちの会話でそれを理解したのだ。

 

「これからは、ラテの気持ちを第一に考えて、ずっとお側にいたいと思います」

 

「ワン!」

 

アスミが自身の心情を吐露すると、ラテは笑顔になり、彼女へと駆け寄る。アスミは彼女を抱きしめ、透けていた体が元の色を取り戻していった。

 

かすみはアスミとラテのそんな様子を見て安堵していた。二人が仲直りができてよかったと。

 

「メェェェェェ~ガァッ!!!!」

 

そこへ連射を止めたメガビョーゲンが頭部の車輪を回転させてやや大きな赤い球体を作り出して放った。

 

「っ!!」

 

ドォォォォォォォォン!!!!

 

「うあぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

着弾した球は威力が強く、かすみはシールドごと吹き飛ばされてしまい、地面へと転がる。

 

「かすみさん!!」

 

アスミはかすみの元へと駆け寄る。

 

「!? かすみちゃん!!」

 

倒れていたグレースが立ち上がってその場から飛び、かすみへと駆け寄る。

 

「あ、そうだ。メガパーツを取っておかないとなの」

 

イタイノンはメガビョーゲンに近づき、怪物の尻尾を掴むと弄る。

 

「これでいいの? おぉ、メガパーツになったの」

 

イタイノンは疑問を抱きながら尻尾から肉片を二かけらほど毟るとそれが緑色のかけらとなり、それに驚く。メガパーツを二つ手に入れた形となった。

 

「うぅ・・・!」

 

「かすみちゃん!!」

 

「かすみさん、大丈夫ですか!?」

 

イタイノンがそうしている間、地面に突っ伏すかすみが顔を上げると、ラテを抱いているアスミとグレースの姿が見えた。彼女はアスミの姿を見て微笑む。

 

「よかった・・・二人が仲直り、できて・・・」

 

「私のことより、かすみさんのことです!」

 

心配そうに見つめるアスミをよそに、かすみは体を震わせながらも立ち上がろうとする。

 

「私、は・・・大丈夫・・・メガビョーゲンを止めなければ・・・!」

 

かすみは立ち上がって、ステッキを構えるとアスミに向かって言う。

 

「・・・うん!!」

 

グレースはかすみが動けるとわかると返事をし、メガビョーゲンに構える。

 

「わかりました。参りましょう、ラテ」

 

かすみが無事なことにアスミは安心すると、メガビョーゲンの方へと向き直る。

 

アスミは風のエレメントボトルをラテの首輪にはめ込む。すると、オレンジ色になっているラテの額のハートマークが神々しく光る。

 

「スタート!!」

 

「プリキュア、オペレーション!!」

 

「エレメントレベル上昇ラテ!!」

 

「「キュアタッチ!!」」

 

キュン!!

 

ラテとアスミが手を取り合うと、白い翼が舞い、ラテが舞ったかと思うとハートの中から白い白衣のようなものが飛び出す。

 

その白衣を身に纏い、ラテが降りてきたかと思うとハープが飛び出し、さらにアスミは紫色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

衣装にチェンジした後、ハープを手に取り、その音色を奏でる。

 

「「時を経て繋がる、二つの風!」」

 

「キュアアース!!」

 

「ワン!」

 

アスミは風のプリキュア、キュアアースへと変身した。

 

アースは、グレースとかすみの前へと降り立つ。

 

「お前が新入りのプリキュアの姿・・・」

 

イタイノンは無表情でアースのことを見つめながら言う。

 

「ふん、お前がどれほどなのか見ておきたいの。メガビョーゲン!!」

 

「メガァ!!!」

 

メガビョーゲンはイタイノンに指示を受け、頭の車輪を回転させて三人に向ける。

 

「アース、グレース、一緒に行くぞ!!」

 

「はい!!」

「うん!!」

 

かすみが呼びかけて、アースとグレースが返事をし、三人はメガビョーゲンに構える。

 

「メェェェェェ~ガァ!!!!」

 

メガビョーゲンはやや大きな赤い玉を三人に目がけて放った。

 

「「「ふっ!!」」」

 

アース、かすみ、グレースはその場から飛んでかわすと、メガビョーゲンへと駆け出していく。

 

「メガメガメガメガメガメガメガ!!!!」

 

メガビョーゲンは両手の筒から赤い球を連射していくも、グレースはぷにシールドを展開しながら、アースとかすみは避けながら迫っていく。

 

「メガ!?」

 

そして、メガビョーゲンとの距離が縮まった時、かすみとグレースは飛び上がる。

 

「「はぁぁぁぁ!!!」」

 

「メガァ・・・!?」

 

二人はそれぞれの両腕の筒を横に蹴り飛ばし、メガビョーゲンは放とうと思っていた赤い玉をあらぬ方向へと発射してしまった。

 

「はぁっ!!」

 

「ビョーゲン!?」

 

さらにそこへアースが飛んで、メガビョーゲンの顔面に強烈な蹴りを入れ、メガビョーゲンの体は大きく吹き飛ばされる。

 

「・・・むぅ、少しはやるみたいなの」

 

イタイノンはその様子を見て不機嫌そうな表情を浮かべていた。

 

一方、あらぬ方向へと高速で飛んできた赤い玉は、シンドイーネのメガビョーゲンの方へ・・・。

 

カンッ!!

 

「メガァァァァァ~!!??」

 

メガビョーゲンの頭のハンドルに当たり、メガビョーゲンは体ごと回転する。

 

「よしっ! チャンス!!」

 

それを見ていたスパークルが飛び上がり、メガビョーゲンの頭部へと近づく。

 

「はぁっ!!」

 

「メガァァァァァァァァァ~・・・!!??」

 

メガビョーゲンのハンドルを蹴り、さらに回転の勢いをあげる。

 

「えっ、えぇぇぇぇ!?」

 

シンドイーネが動揺する中、強烈な勢いで回されたメガビョーゲンは目を回してしまう。その隙にフォンテーヌが飛び上がる。

 

キュン!

 

「「キュアスキャン!」」

 

フォンテーヌはステッキの肉球を一回タッチして、スイカ型のメガビョーゲンに向ける。ペギタンの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを発見する。

 

「水のエレメントさんペエ!!」

 

エレメントさんはメガビョーゲンの左胸にいる模様。

 

「メェェェェェ~・・・・・・!!!!!」

 

一方、再び立ち上がったイタイノンのメガビョーゲンは頭部の車輪を回転させて、やや大きな赤い玉を放とうとしていた。

 

「また来るラビ・・・!!」

 

「ガァッ!!!!」

 

ラビリンが警戒して言う中、メガビョーゲンの頭部からやや大きい赤い玉が放たれる。

 

「ぷにシールド!!」

 

「はぁっ!!」

 

グレースとかすみが前に出て、同時にシールドを展開して赤い玉を受け止める。

 

「「くっ・・・!!」」

 

ドォォォォォォォン!!!!

 

二人は苦しい顔をしながら抑えようとするも、威力が強くシールドごと押し返される。

 

地面へと倒れる二人は、体をすぐに起こしてメガビョーゲンを見る。

 

「あの玉を打ち出すのを止められれば・・・!!」

 

「あいつの玉の発射を止めればいいんだな・・・?」

 

グレースの言った言葉にかすみはそう返すと、周囲を見渡し始める。ふと、まだ蝕まれていない一本の木があるのを見つける。

 

かすみは立ち上がるとその木の元へと駆け出す。

 

「かすみちゃん! どこに行くの!?」

 

グレースは突然走り出したかすみに向かって叫ぶ。

 

「グレースとアースはメガビョーゲンを引きつけてくれ!! 私があの玉を止める!!」

 

そう言うかすみに、グレースは彼女が何か考えがあるのだろうということを察する。

 

「わかった・・・!!」

 

「行きましょう、グレース!」

 

グレースは立ち上がると、アースと共にメガビョーゲンへと駆け出す。

 

「メガ!! メガ!! メガァ!!!」

 

メガビョーゲンはそんなグレースに向かって両手の筒から赤い玉を連射する。

 

「ふっ!!」

 

グレースはぷにシールドを展開し、赤い玉を防ぎながら駆け出す。

 

「メガ!! メガ!! メガメガメガ!!」

 

ドォン!! ドォン!!!

 

メガビョーゲンはさらに赤い玉を連射していくも、二人は止まらずに迫っていく。

 

「ふっ!! はぁぁ!!」

 

「メガァ!?」

 

メガビョーゲンとの距離が縮まったところで、アースが飛び上がり、メガビョーゲンの頭部に掌底を放ってバランスを崩させる。

 

「実りのエレメント!!」

 

グレースはステッキに実りのエレメントボトルをはめ込む。

 

「はぁ!!」

 

「ビョーゲン!?」

 

グレースはステッキからピンク色のエネルギー弾を放ち、胴体に直撃したメガビョーゲンは背後にひっくり返って倒れる。

 

その頃、一本の木へと移動したかすみは目を瞑って体を光らせる。すると、木が彼女に呼応するように光っていく。

 

「木の力よ!!」

 

少女はそう叫ぶと、木から緑色の光がまるで呼ばれたかのように飛び出してくる。そして、少女が黒いステッキを掲げるとその力が集まっていく。

 

パァ・・・!!!!

 

そして、そのステッキが緑色に光ったかと思うと、少女の髪が緑色に変わっていき、手袋も緑色になる。ステッキも暗い鮮やかな緑色に変わっていく上に、ステッキの枝が3本に分かれたような状態になった。

 

「よし!!」

 

かすみは力を借りることに成功すると、二人の元へと戻っていく。

 

「メェェェェェ~ガァッ!!!!」

 

メガビョーゲンは頭部の車輪を回転させてエネルギーを溜め、やや大きな赤い球を放つ。

 

「うぅぅ・・・!!!」

 

「くっ・・・!!!」

 

着弾を受けて吹き飛ばされる二人だが、すぐに態勢を立て直して地面に着地する。なかなかメガビョーゲンを止める決定打は与えられず、このままでは体力を消耗するだけだ。

 

ビュン!!!

 

そこへかすみがメガビョーゲンに向かって飛び出していく。

 

「はぁぁぁ!!!」

 

「メガァ!?」

 

かすみは一回転して胴体に飛び蹴りを食らわせて吹き飛ばすも、メガビョーゲンは倒れないように踏ん張る。

 

「待たせたな!!」

 

かすみは振り返って、二人に叫ぶ。

 

「髪型が変わってる・・・?」

 

「それにそのステッキも、なんだか地球の気配を感じます・・・!!」

 

グレースとアースはかすみの変わりように驚く。

 

「っ、あの脱走者・・・不愉快な気配なの・・・」

 

イタイノンはかすみが変わったこと、その気配の元に不機嫌そうな表情を浮かべる。

 

「メガメガメガメガメガ!!!」

 

メガビョーゲンは両手の筒から赤い球を連射していく。

 

「はぁ!!」

 

かすみはそれに気づくと緑色のシールドを展開して赤い球を防ぐ。その煙の中からグレースとアースが飛び出していく。

 

「「はぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

「メガ・・・?」

 

グレースとアースは同時にメガビョーゲンの肩にかかとを落として、メガビョーゲンを怯ませる。そこへさらにステッキに緑色のオーラを纏わせたかすみが高く飛び上がって、体をクルクルと回転させる。

 

「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

かすみはステッキを振り上げた後に、振り下ろすとステッキから三日月のような緑色の斬撃が放たれる。斬撃はメガビョーゲンの頭部を貫通する。

 

ガギンッ!!!!

 

「メガビョー!!??」

 

メガビョーゲンの頭部の車輪は砕けたような音が響くと、合わさっていた車輪が離れて位置がずれる。頭部を壊されたようで、動揺するメガビョーゲン。

 

「ふっ!!」

 

アースはメガビョーゲンの肩を押して、後方へと飛び退き、その手を背後にいたかすみが手に取る。

 

「やぁっ!!!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「メガァ!?」

 

かすみはそのまま体を回転させて放ると、勢いをつけたアースが強烈なドロップキックを食らわせる。顔面にまともに食らったメガビョーゲンは背後へと倒れた。

 

「ちっ・・・あの脱走者の能力、厄介なの・・・!」

 

イタイノンはかすみのことを忌々しそうに見る。

 

「グレース、今ラビ!!」

 

「うん!!」

 

キュン!

 

「「キュアスキャン!」」

 

地面へと降りたグレースがラビリンを合図に、ステッキの肉球を一回タッチすると、メガビョーゲンへと向ける。ラビリンの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを発見する。

 

「雷のエレメントさんラビ!!」

 

エレメントさんはメガビョーゲンの右手の筒の先端あたりにいる模様。

 

「三人ともやるじゃん!!」

 

「あっちは大丈夫そうね」

 

その様子を見ていたスパークルとフォンテーヌが感嘆の声を上げる。

 

「メェ~ガァ!!」

 

めまいから回復したメガビョーゲンが再び膨大な赤い水を噴射する。

 

「「うっ・・・!!!」」

 

相変わらずの水しぶきに思わず目を覆う二人。

 

「こっちも止めなきゃ・・・!!」

 

「フォンテーヌ、ここは氷のエレメントボトルを使うペエ!」

 

「了解!! 氷のエレメント!!」

 

フォンテーヌはペギタンのアドバイスを受け、氷のエレメントボトルをステッキにはめ込む。

 

「メェ~ガァ~・・・!!」

 

メガビョーゲンは再び膨大な赤い水を噴射しようとする。

 

「はぁ!!!」

 

そこを狙ってフォンテーヌはステッキから冷気をまとった青い光線を放つ。

 

「メェ!?」

 

青い光線は右腕に直撃して氷漬けに。腕を封じられたメガビョーゲンは水を噴射することができなくなった。

 

「もぉ~!! 私は大好きなキングビョーゲン様にお会いしたいだけなのに~!!!!」

 

シンドイーネが地団駄を踏んで悔しがっていると、その近くにアースとかすみが降り立つ。

 

「大好き?」

 

「そうよ! 大好きよ!! 悪い!?」

 

シンドイーネの『大好き』にアースが反応し、シンドイーネが言い放つ。

 

「いいえ。大好きは悪くありません・・・ですがーーー」

 

「その『大好き』のために、私やアースの、そして他のみんなの『大好き』を汚すこというのは、この私が許さないぞ!!!」

 

シンドイーネに対し、アースとかすみはそう言い放つ。

 

「アース、あとは頼む・・・!」

 

「はい・・・!」

 

かすみはアースにあとを託し、アースは両手を合わせるように祈り、浄化の準備へと入る。

 

一枚の紫色の羽が舞い降り、ハープのような武器へと姿を変える。

 

「アースウィンディハープ!!」

 

そう呼ばれたハープに、風のエレメントボトルがセットされる。

 

「エレメントチャージ!!」

 

アースはハープを手に取って、そう叫ぶとハープの弦を鳴らして音を奏でる。

 

「舞い上がれ! 癒しの風!!」

 

手を上に掲げると彼女の周りに紫色の風が集まり始め、ハープへとその力が集まっていく。

 

「プリキュア! ヒーリング・ハリケーン!!!」

 

アースはハープを上に掲げてから、それを振り下ろすとハープから無数の白い羽を纏った薄紫色の竜巻のようなエネルギーが放たれる。

 

そのエネルギーは一直線にメガビョーゲンへと向かい、直撃する。

 

竜巻のようなエネルギーはメガビョーゲンの中で二つの手へと変化し、雷のエレメントさんを優しく包み込む。

 

メガビョーゲンをハート状に貫きながら、光線はエレメントさんを外に出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていく。

 

「お大事に」

 

そして、グレースたちもミラクルヒーリングボトルをステッキにセットする。

 

「「「トリプルハートチャージ!!」」」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの順で肉球にタッチしていき、ステッキを上に掲げる。すると、花畑が広がっていき、背後には自然豊かな森が広がっていく。

 

「「「プリキュア! ヒーリング・オアシス!!」」」

 

3人は一斉にメガビョーゲンへとステッキを構え、ピンク・青・黄色の3色の光線が螺旋状になって放たれる。螺旋状の光線は混ざり合いながら一直線にメガビョーゲンに直撃する。

 

螺旋状になった光線はそれぞれの色の手へと変化して、3本の手が水のエレメントさんを優しく包み込んでいく。

 

3色に光るハート状にメガビョーゲンを貫きながら、光線はエレメントさんをメガビョーゲンから外へと出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンたちは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていった。

 

「「「「「「お大事に」」」」」」

 

それぞれのエレメントさんが宿っていたものに戻っていくと、蝕まれた場所は元に戻っていく。

 

「ワフ~ン♪」

 

体調不良だったラテも額のハートマークが黄色から水色に戻り、元気になった。

 

「キュアアース、脱走者・・・今度は簡単には行かないわよ・・・!!」

 

メガパーツを手に持ったシンドイーネは後ずさりながらそう言うとその場から姿を消した。

 

「・・・ふん、いくら豪語しても、脱走者のお前は私たちと同族なの」

 

イタイノンはメガパーツを持ちながらそう吐き捨てると、彼女たちに背を向けてその場から姿を消していくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騒動後、のどかたちはテニスのピッチングマシンに宿る雷のエレメントさんを診察していた。

 

「ありがとう! 私は元気です!」

 

雷のエレメントさんはなんともないことをのどかたちに言う。

 

「「「ふふっ♪」」」

 

「ハハ♪」

 

エレメントさんが無事であることを確認し、のどかたちは笑みを浮かべた。

 

その後、5人は学校を出て帰路についていた。

 

「・・・ラテ様は、アスミに怒られちゃうと思ってたラビ」

 

「そうだったのですね・・・」

 

「じゃあ、避けてたのはラテの勘違いだったってことか?」

 

「そうラビ」

 

ラビリンが、ラテのことに関してアスミに事情を話していた。ラテはアスミがやりすぎていても、親切にしてくれるのはわかっていた。しかし、その好意を無下にしてしまったため、アスミに叱られてしまうかと思い、逃げていたのだ。

 

「私も病気のとき、お母さんにすごく心配されてたけど、それだけ大切に思ってくれてたってことだよね?」

 

「それはつまり・・・」

 

のどかは自分の病院での経験を元に言うと、アスミは察したかのように言う。

 

「『好き』、ということよ」

 

「『好き』・・・」

 

ちゆがそう言うと、アスミは自分の知らない感情があるということを感じる。それも『好き』ということの現れであるということを。

 

「かすみちゃん、今日は本当にごめんね! 私、かすみちゃんが嫌いだから避けたんじゃないの。アスミちゃんが放っておけなかったから!!」

 

「いいんだ、もうわかってるから。のどかが私を嫌いじゃなくて、よかった」

 

のどかが申し訳なさそうに謝ると、かすみは安心したように彼女に笑顔を向ける。

 

「あっ・・・」

 

話しながら歩いていると、彼女たちの前に夕日が見えてきた。のどかたちは暫し、その場で立ち止まる。

 

「・・・綺麗だな。あれは、なんだ?」

 

「夕日だよ」

 

「夕日?」

 

「日が暮れると、太陽があんな風に綺麗に見えてくるんだよ」

 

かすみは見たことのなかった綺麗な風景に、目を見開き瞳を潤ませる。何なのか知らないかすみに、のどかは夕日だということを教えてあげる。

 

かすみの中にほっこりとした何かが溢れてくる。

 

「これも『好き』、なのかな?」

 

「きっとそうよ」

 

かすみは自分の胸に手を当てながら呟くと、ちゆがそう言う。

 

「この世界にも、私の心の中にも、まだまだ知らないことがたくさんありそうですね」

 

アスミは夕日を見ながらそう呟くと、次にかすみへと向き直る。

 

「かすみさん」

 

「? どうした?」

 

「これからも、仲間として、友達として、よろしくお願いしますね」

 

「!!」

 

アスミは笑顔でそう呟くと、かすみは目を見開く。そして、その表情に笑みを浮かべる。

 

「・・・ああ、よろしくな、アスミ」

 

かすみはそう言うと赤い手袋をした手を差し出す。

 

「? これは・・・?」

 

「握手。仲良しの証にやるんだ」

 

アスミが不思議そうに見つめていると、かすみがそう言う。

 

説明されたアスミは笑みを浮かべながら、その手を握った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人娘のアジトである廃病院、その地下の奥にある部屋にクルシーナが現れていた。

 

彼女は扉を開けて中へ入った場所は、一面が赤く薄汚れていて、たくさんのロッカーのようなものが壁一面に並んでいて、そこに古びた病院のベッドが一つ置かれているという無機質な部屋。

 

クルシーナはそのベッドへと近づいて、そこに横たわる人物を見つめる。それは赤い靄に包まれている一人の少女。その外見はモデルのような顔立ちをしている。

 

「おはよう。会いに来てやったわよ」

 

「・・・・・・・・・」

 

クルシーナはその少女に向かって声を掛けるも、少女は何も答えない。苦しんではおらず、無表情で眠っている。

 

「アタシたちと一緒に目覚めたはずなのに、つい最近入った新入りそっくりのあのプリキュアにやられて眠りこけてるなんて、本当に油断するやつだったわね」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべながら、返事が返ってくるはずもない少女に声をかける。

 

そして、懐からメガパーツを取り出して、彼女へと向ける。

 

「このアタシが、アンタの復活を早めてあげようと思うの。まあ、ちょっとした検証だけど、試させてもらうわ。感謝しろよ」

 

クルシーナはそう言って少女の体にメガパーツを押し当てる。すると、すぐにメガパーツは少女の体の中へと入り込んでいく。

 

ズォォォォォォォォォン!!!!

 

「!!」

 

その瞬間、少女の体から建物が揺れるぐらいの膨大なオーラが溢れていく。その勢いにクルシーナは思わず、少し後ずさるぐらいに驚く。

 

やがて激しく放っていたオーラは大人しくなり、少女の体は元の落ち着きさを取り戻していく。

 

クルシーナはベッドを覗き込んでみるも、少女は眠ったままで起きる気配はない。

 

「・・・ふん。まだ馴染むのに時間がかかるのかしらね? まあ、アタシたちと同じようにお父様の力で生まれたからかな。それか、メガパーツが全然足りないか・・・?」

 

クルシーナは少女を見つめながら言う。こいつは自分たちと同じようにお父様の力で生まれた、人間ベースのテラビョーゲンだ。まだ、メガパーツ1個ぐらいでは足りないのか、それとも馴染むのにまだかかるのか。

 

しかし、メガパーツを埋め込んだ時のオーラは消えていないから、少女の体に何らかしらの変化は起きているのだろう。ヘバリーヌのときも相当な時間がかかったはずだから、おそらくそういう感じのはずだ。

 

「少し様子を見るとしましょうかしらね。また、来るわ、お姉様」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべながらそういうと、部屋を後にした。

 

その直後、眠っていて指一つ動きを見せないはずの少女の口元に、薄っすらと笑みが浮かんだ・・・・・・・・・。

 

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